JP7353608B2 - Adamtsl5遺伝子の過剰発現に基づく癌の診断および治療のための方法およびキット - Google Patents

Adamtsl5遺伝子の過剰発現に基づく癌の診断および治療のための方法およびキット Download PDF

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Description

本発明はそれを必要とする哺乳類における癌を診断するための方法に関する。本発明に係る方法は、前記哺乳類から得られた生体試料中の特異的バイオマーカーの発現レベルを決定する工程を含む。本発明はそのような発現レベルを決定するためのキットおよび特異的バイオマーカー経路を阻害するための医薬組成物にも関する。
癌は世界で2番目に多い死因である。世界的にほぼ6人に1人の死亡は癌によるものである。例えば2015年には880万人の人が癌で死亡した。従って、それを必要とする患者における癌の診断を向上させ、かつ特に彼らの治療応答を高めるために当該治療に対する彼らの感受性を予測し、それにより生存見込みを高めるための新しい方法を開発することが重要である。
エピジェネティクスは、DNA配列の修飾を伴わず、かつ細胞分裂で継承され得る遺伝子活性における変化の研究である。DNA配列に影響を与える突然変異とは異なり、エピジェネティック修飾は可逆的である。エピジェネティック異常によりヒトの疾患、特に癌の発生および進行が引き起こされることは周知の事実である。エピジェネティックプロセスは細胞分裂、分化、生存および移動度などの多くのイベントの調節に介入する。これらの機序の変化は健康な細胞を癌細胞に変えるのを促進し、故にあらゆるエピジェネティック異常は腫瘍原性に関わる場合がある。細胞におけるエピジェネティック異常に関連する結果の中には腫瘍抑制遺伝子のサイレンシングまたは癌原遺伝子などの癌遺伝子の過剰発現が含まれ、これらは異常なDNAメチル化またはクロマチン修飾に関与する酵素をコードする遺伝子の突然変異を伴う。DNAメチル化は細胞における遺伝子発現レベルに影響を与える必須のエピジェネティック機序である。これらの変化により劇的な生物学的変化ならびに悪性の性質の獲得が生じる場合がある。癌のランドスケープは一般にCpGアイランド(CGI)として知られているCpG高頻度領域における広範囲のDNA低メチル化および限局的な過剰メチル化を特徴とする。一般にプロモーターにおけるCGI過剰メチル化は腫瘍抑制遺伝子として機能する遺伝子の転写を抑圧する。それにも関わらず、メチル化と遺伝子発現の上方制御との正相関によりDNAメチル化の大部分が遺伝子本体CGIでも観察される。これは遺伝子本体CGIにおけるDNA過剰メチル化が腫瘍原性の正の調節因子として機能する遺伝子の上方制御に関連していることを暗示しており、これは癌細胞におけるそれらのいくつかの報告されている機能と矛盾しない。しかし、細胞の腫瘍原性へのいくつかの他の過剰メチル化および上方制御された遺伝子の関与は依然として未知のままである。
これらの発見により、エピドラッグ(epi-drug)またはエピ薬(epi-medicine)と呼ばれるエピジェネティック調節因子を標的にする薬物の開発が失敗に終わった。特に化合物の2つの主要ファミリー、すなわち(i)DNAメチル化を阻害する化合物および(ii)ヒストン修飾を標的にする化合物がこれまでに開発されてきた。しかし現在のところ、これらの種類の化合物は特異作用を欠いている。
上記を踏まえて、癌治療のための生物活性剤で調節するための新しい特異的バイオマーカーおよび/または標的として使用することができる遺伝子を同定することが依然として必要とされている。特に癌の新しい診断、予後診断および治療のための方法を開発することが依然として必要とされている。
第1の態様によれば、本発明はそれを必要とする哺乳類における癌を診断するための方法に関する。本方法は、
-前記哺乳類から生体試料を採取する工程と、
-前記生体試料からADAMTSL5遺伝子が過剰発現されているかを決定する工程と、
-前記遺伝子の過剰発現の決定から癌を診断する工程と
を含む。
第2の態様によれば、本発明は、哺乳類から得られた生体試料中のADAMTSL5遺伝子の過剰発現を決定するためのキットに関する。本キットは、少なくとも1種の抗ADAMTSL5型抗体、当該生体試料を保持するための容器、および哺乳類から得られた生体試料中のADAMTSL5癌マーカー遺伝子、好ましくは肝細胞癌マーカー遺伝子の過剰発現を測定するためのプロトコルを含む。
第3の態様によれば、本発明は医薬組成物に関する。本医薬組成物は、ADAMTSL5遺伝子それ自体および/またはADAMTSL5が作用する経路を標的にする薬剤と、癌の治療に使用するための薬学的に許容される担体とを含む。
第4の態様によれば、本発明は癌のバイオマーカーとしてのADAMTSL5タンパク質の使用に関する。
第5の態様では、本発明は、それを必要とする哺乳類における癌を治療するための方法に関する。当該癌は上に記載されているものと同じである。本方法は、それを必要とする哺乳類における癌を診断する第1の工程と、ADAMTLS5阻害剤を投与することにより癌を治療する第2の工程とを含む。癌を診断する工程は、それを必要とする哺乳類における癌を診断するための方法において上に記載されているものと同じ工程を伴う。
第6の態様では、本発明は、癌に罹患している哺乳類の抗癌治療に対する応答を監視するためのインビトロ方法であって、前記抗癌治療中の2つ以上の時点で前記哺乳類の生体試料中のADAMTSL5発現レベルを決定する工程を含み、ここでは先の時点で対象の生体試料において得られた参照値と比較した、後の時点での対象の生体試料中の等しいかそれよりも高いADAMTSL5発現レベルは前記抗癌治療に対する対象の抵抗性を示し、より低いADAMTSL5レベルは前記抗癌治療に対する対象の応答を示すことを特徴とする方法に関する。
有利には本発明に係るそれを必要とする哺乳類における癌を診断するための方法は、当該癌は脳癌、CNS癌、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、皮膚癌、腎臓癌、胃腸癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、子宮頸癌、肝癌および肝細胞癌からなる群から選択され、好ましくは当該癌は肝細胞癌であり、当該生体試料は血液、生検組織、血漿、血清、尿、便、痰、脳脊髄液または細胞溶解物の上澄みからなる群から選択され、好ましくは当該生体試料は組織生検、血液、血漿、血清または尿であり、当該生体試料中のADAMTSL5遺伝子の過剰発現は前記生体試料中のADAMTSL5タンパク質レベルまたはmRNAレベルを測定することによって決定し、当該生体試料中のADAMTSL5タンパク質レベルは少なくとも1種の抗ADAMTSL5型抗体を前記生体試料に添加することによって測定し、抗ADAMTSL5型抗体はアルカリホスファターゼ西洋わさびペルオキシダーゼまたは蛍光染料に結合されていないものまたは結合されているものからなる群から選択され、当該生体試料中のADAMTSL5タンパク質レベルは免疫染色、免疫蛍光、ウェスタンブロットまたはELISAを用いて測定することを特徴とする。
有利には本発明に係るADAMTSL5遺伝子の過剰発現を決定するためのキットは、抗ADAMTSL5型抗体がアルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシダーゼまたは蛍光染料に結合されていないものまたは結合/コンジュゲートされているものからなる群から選択されることを特徴とする。
有利には本発明に係る医薬組成物は、ADAMTSL5またはADAMTSL5経路を標的にする薬剤が阻止抗体、ペプチド、sh-RNA、si-RNA、マイクロRNA、アンチセンスRNA、化学薬物、脱メチル化剤およびグリコシル化および/またはヘパリン結合を調節する薬剤からなる群から選択されることを特徴とする。
本発明の他の特徴および態様は、以下の記載および添付の図面から明らかになるであろう。
臨床的に関連する癌マウスモデル(Alb-R26Metマウス)におけるADAMTSL5の遺伝子本体CGIにおける過剰メチル化およびADAMTSL5の過剰発現を示す。 臨床的に関連する癌マウスモデル(Alb-R26Metマウス)におけるADAMTSL5 mRNAおよびタンパク質の過剰発現を示す。 低いADAMTSL5発現レベルを有する細胞と比較して高いADAMTSL5発現レベルを有する臨床的に関連する癌マウスモデル(Alb-R26Metマウス)から確立された肝細胞癌(HCC)細胞のインビトロ腫瘍化特性を示す。 ADAMTSL5の下方制御後のHCC細胞の腫瘍化特性のインビボ喪失を示す。 ADAMTSL5の過剰発現後の臨床的に関連するマウスモデル(R26Metマウス)からの不死化肝細胞の腫瘍化特性のインビボ獲得を示す。 腫瘍形成の初期および最終段階における臨床的に関連する癌マウスモデル(Alb-R26Metマウス)におけるADAMTSL5発現レベルを示す。 HCC患者の52%における高いADAMTSL5 mRNAレベルおよびアルコール摂取に関連づけられた患者の優勢を示す。 隣接する肝臓と比較した10人中9人のHCC患者におけるADAMTSL5タンパク質レベルの過剰発現を示す。 ヒトの癌細胞株におけるADAMTSL5 mRNAレベルを示す。
本発明は、それを必要とする哺乳類における癌を診断および予後診断するための方法に関する。本方法は最初に前記哺乳類から生体試料を採取する工程と、次いで前記生体試料からADAMTSL5遺伝子/タンパク質が過剰発現されているかを決定する工程と、次いで第3の工程に従って前記遺伝子またはタンパク質の過剰発現の決定から癌を診断/予後診断する工程を含む。
本発明によれば、当該哺乳類は特にヒトである。但し、ネコ、イヌ、ウマさえも含む全ての哺乳類またはマウスやラットなどの齧歯類が該当する。
本発明の好ましい実施形態によれば、当該癌は、脳癌、中枢神経系(CNS)における癌、結腸直腸癌、乳癌、肺癌、皮膚癌、胃腸癌、腎臓癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、子宮頸癌、肝細胞癌(HCC)などの肝癌である。特に本発明に従って診断される癌はHCCである。
本発明によれば、当該生体試料は、血液、組織生検、血漿、血清、尿、便、痰、脳脊髄液および細胞溶解物の上澄みからなる群から選択される。特に使用される生体試料は組織生検、血液、血漿、血清または尿である。
本発明の好ましい実施形態によれば、それを必要とする当該哺乳類から得られた当該生体試料中のADAMTSL5遺伝子の過剰発現は、前記生体試料中のADAMTSL5タンパク質レベルまたはRNAレベルを測定することによって決定する。「上方制御される」、「上方制御」、「過剰発現される」または「過剰発現」という用語は、遺伝子あるいは当該遺伝子のRNA転写物またはタンパク産物の発現、活性またはレベルが例えば1つ以上の陽性および/または陰性対照などの1つ以上の対照などに対して高いことを意味するように使用される。特にレベルが対照の健康な組織におけるものよりも高い場合にレベルが高いとみなされる。
実際に、哺乳類のゲノムは1~20の番号が付された19種のADAMTS(A Disintegrin And Metalloproteinase with Thrombospondin(トロンボスポンジンを有するディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ))遺伝子を含む。それらの類縁すなわちマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)およびADAMのように、ADAMTSは亜鉛イオン依存性メタロプロテアーゼ活性部位に近い保存されたメチオニン残基にちなんで命名されたメトジンシンプロテアーゼスーパーファミリーに属する。ADAMTSファミリーの代表は全ての後生動物において認められるが、それらは今日まで単細胞生物または植物では同定されていない。全てのADAMTS、すなわちアミノ末端からシグナルペプチドおよびその後の可変長さのプロ領域、メタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリン様ドメイン、中央トロンボスポンジン1型配列反復(TSR)モチーフならびにシステイン高含有ドメインおよびその後のスペーサー領域を含む化合物ドメイン構成を有する細胞外酵素が分泌される。ADAMTSとは別の7種類のADAMTS様遺伝子(ADAMTSL)の別のファミリーは、ADAMTSの付随的ドメインに類似しているタンパク質をコードするがそれらの触媒ドメインを欠いている。ADAMTSL1~6およびパピリン(papilin)を含むこれらのADAMTSLタンパク質は、ADAMTSの活性を調節するように機能することができる。ADAMTSL5は2000年代後半に発見されたタンパク質であり、フィブリリン-1に結合し、かつ線維形成を促進すると記載されている。細線維形成におけるADAMTSL5の役割は、細胞外マトリックスにおける増殖因子の調節のための非常に重要な機序としてかなり興味深い。ADAMTSL5はより詳細には、N末端トロンボスポンジン1型反復、システイン高含有モジュール、スペーサーモジュール、およびプロリン高含有セグメントによって当該スペーサーに結合されているC末端ネトリン様モジュールを含む固有のドメイン組成を有する分泌タンパク質である。ADAMTSL5は乾癬などのいくつかの疾患に既に関与しているものとして知られているが、今日までADAMTSL5は潜在的バイオマーカーまたは分子治療のための標的として癌に関連づけられていなかった。
本発明の文脈および好ましい実施形態では、ADAMTSL5タンパク質レベルは少なくとも1種の抗体を前記生体試料に添加することによって測定する。ADAMTSL5タンパク質レベルを測定するために特に使用される抗体は抗ADAMTSL5型である。特に抗ADAMTSL5抗体は、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)または蛍光染料に結合されていないものまたは結合/コンジュゲートされているものからなる群から選択される。
本発明によれば、それを必要とする哺乳類の生体試料中に存在するADAMTSL5タンパク質レベルは、特に免疫染色、免疫蛍光、ウェスタンブロットまたはELISAを用いて測定する。
生化学における免疫染色は、生体試料中の特異的タンパク質を検出するために抗体を用いる方法を使用するものとして知られている。免疫染色は、抗体を用いる染色方法を使用する組織学、細胞生物学および分子生物学で使用される広範囲の技術を包含する。免疫蛍光は蛍光顕微鏡による光学顕微鏡法のために使用される技術であり、主に微生物学的試料に対して使用される。この技術はそれらの抗原に対する抗体の特異性を使用して蛍光染料を細胞内の特異的生体分子標的に標的化し、従って当該試料により当該標的分子の分布の可視化を可能にする。
第2の態様によれば、本発明は哺乳類から得られた生体試料中のADAMTSL5遺伝子の過剰発現を決定するためのキットを提供する。本キットは少なくとも1種の抗ADAMTSL5型抗体と当該生体試料を保持するための容器とを含む。本キットで使用される抗ADAMTSL5型抗体は上に記載されているものと同じである。
本発明によれば、それを必要とする哺乳類の生体試料中に存在するADAMTSL5レベルは、例えばマイクロアレイ、RNAシーケンス(RNA-seq)、in situハイブリダイゼーション、RNA-scopeならびに通常の半定量的もしくは定量的RT-PCRを用いてADAMTSL5 mRNAレベルを測定することによって決定することもできる。
第3の態様によれば、本発明は医薬組成物に関する。本医薬組成物は、ADAMTSL5それ自体またはADAMTSL5経路を標的にする薬剤と癌の治療に使用するための薬学的に許容される担体とを含む。「ADAMTSL5経路」という用語およびその文法的変形はADAMTSL5遺伝子が関与する経路を指す。
ADAMTSL5経路を標的にする使用される薬剤は、特に阻止抗体、ペプチド、sh-RNA、si-RNA、マイクロRNA、アンチセンスRNAおよび化学薬物である。それは、例えばデシタビンなどの脱メチル化剤あるいはグリコシル化および/またはヘパリン結合を調節する薬剤も含む。本発明に係る脱メチル化剤は、DNAメチル転移酵素を阻害することによってゲノムDNA低メチル化を引き起こす化合物である。
第4の態様では、本発明は、癌のバイオマーカーとしてのADAMTSL5タンパク質の使用に関する。当該癌は上に記載されているものと同じである。
第5の態様では、本発明は、それを必要とする哺乳類における癌を治療するための方法に関する。当該癌は上に記載されているものと同じである。本方法は、それを必要とする哺乳類における癌を診断する第1の工程とADAMTLS5阻害剤を投与することにより癌を治療する第2の工程とを含む。癌を診断する工程は、それを必要とする哺乳類における癌を診断するための方法において上に記載されているものと同じ工程を伴う。
第6の態様では、本発明は、癌に罹患している哺乳類の抗癌治療に対する応答を監視するためのインビトロ方法であって、前記抗癌治療中の2つ以上の時点で前記哺乳類の生体試料中のADAMTSL5発現レベルを決定する工程を含み、ここでは先の時点で対象の生体試料において得られた参照値と比較した後の時点での対象の生体試料中の等しいかそれよりも高いADAMTSL5発現レベルは前記抗癌治療に対する対象の抵抗性を示し、より低いADAMTSL5レベルは前記抗癌治療に対する対象の応答を示すことを特徴とする方法に関する。
材料および方法:
以下の実施例では遺伝子改変されたマウスを使用した。これらのマウスでは、ヒトのHCCの約50%において活性化されたMetすなわち受容体チロシンキナーゼ(RTK)の発現レベルは組織/時間的に特異的な方法で遺伝子発現の調節を可能にする遺伝的手法に基づいて内因性レベルよりも僅かに高められている(R26stopMetマウス;Fanら PLoS Genetics 2015;Fanら Hepatology 2017)。肝臓中の高められたメチル化(Met)RTK発現レベルが組織の恒常性を乱し、腫瘍発生およびHCCへの進展が生じることが最近になって実証された(Alb-R26Met)。Alb-R26Met(n=32)およびヒト(n=249)肝臓腫瘍におけるMet発現レベルの比較に基づき、Alb-R26Metの遺伝的設定におけるMetレベル(対照肝臓に対して3.16±0.06)がHCC患者の約20%(48/249人)において認められたものに相当することが分かった。腫瘍試料(n=32)のパネルにおいて96種の異なる遺伝子を分析することによって、Alb-R26Metマウスによってモデル化された肝臓の腫瘍形成がHCC患者のサブセットに相当することが分かり、従ってAlb-R26Met HCCマウスモデルの臨床的関連性が確立された。腫瘍形成に伴う転写スイッチに対するDNAメチル化の影響を探求するためにAlb-R26Metマウスモデルを使用した。CpGアイランド(CGI)において同時に過剰メチル化され、かつ過剰発現された遺伝子の有意な濃縮が同定された。それらの中にADAMTSL5が認められた。
実施例1:対照肝臓と比較したAlb-R26Met腫瘍モデルにおけるADAMTSL5の遺伝子本体CGIにおける過剰メチル化およびmRNA ADAMTSL5の過剰発現。
図1(A)は、UCSCゲノムブラウザからのADAMTSL5転写物およびCGIならびにNCBI37/mm9マウス参照に基づくRefseq遺伝子アノテーションの概略図を示す。このスキームは、AdamtsL5のエクソン、イントロンおよびCGIの可視化を可能にし、腫瘍において過剰メチル化されていることが認められた遺伝子本体CGIを四角で強調している。
図1(B)は、Badelら Matric Biology,2012からのヒトADAMTSL5タンパク質の概略図である。
他のタンパク質とのADAMTSL5相互作用の調節およびADAMTSL5の生物学的機能に関与し得るADAMTSL5タンパク質中に存在する異なるドメインが報告されている。
図1(C)および(D)は、対照肝臓(n=3)およびAlb-R26Met腫瘍(n=10)におけるプロモーターCGI(図1(C))および遺伝子本体CGI(図1(D))におけるADAMTSL5のメチル化レベル(β値)を示す。プロモーターCGIにおけるADAMTSL5のメチル化レベルは対照および腫瘍試料において類似しているが、遺伝子本体CGIにおけるメチル化レベルは対照肝臓と比較してAlb-R26Met腫瘍において有意により高いことに気づく。腫瘍は遺伝子本体CGIにおけるADAMTSL5の過剰メチル化を特徴とすると結論づけられる。
図1(E)は、RNA-seqによって対照肝臓と比較したAlb-R26Met腫瘍におけるADAMTSL5 mRNA発現レベルを示す。これらのグラフは読み取り数(右側)およびLogFC(倍率変化)(左側)を示す。有意性::P<0.05;FDR(調整されたp値)=4.31E-15。腫瘍はADAMTSL5 mRNAの過剰発現を特徴とすると結論づけられる。
図1(F)は、対照肝臓(n=5)に対するAlb-R26Met腫瘍(n=16)におけるADAMTSL5発現レベル(RT-qPCRによる)を示す。対照肝臓と比較したAlb-26Met腫瘍における高いADAMTSL5発現レベルに気づく。腫瘍はADAMTSL5 mRNAの一貫した過剰発現を特徴とすると結論づけられる。
実施例2:Alb-R26Met腫瘍モデルにおけるADAMTSL5 mRNAおよびタンパク質の過剰発現。
図2(A)は、腫瘍(Alb-R26Metマウスから切除されたもの)および対照肝臓(対照マウスから切除されたもの)におけるADAMTSL5 mRNA発現レベルの代表的な画像(RNA-scopeによる)を示す。強い染色がAlb-R26Met腫瘍では観察されたが対照肝臓では観察されなかった。RNA-seqおよびRT-qPCR分析からのデータと同様に、腫瘍はADAMTSL5 mRNAの一貫した過剰発現を特徴とすると結論づけられる。
図2(B)は、腫瘍(Alb-R26Metマウスから切除されたもの)および対照肝臓(対照のマウスから切除されたもの)における免疫蛍光(左)および免疫染色(右)によるADAMTSL5タンパク質レベルの代表的な画像を示す。対照肝臓と比較してAlb-R26Met腫瘍においてADAMTSL5が過剰発現されていることに気づく。腫瘍は高いmRNAレベルと矛盾しないADAMTSL5タンパク質の一貫した過剰発現を特徴とすると結論づけられる。
実施例3:ADAMTSL5が過剰発現されているAlb-R26Met HCC細胞のインビトロ腫瘍化特性。:P<0.05;**:P<0.01;***:P<0.001。
図3(A)は、分子および機能研究のために使用されるAlb-R26Met HCC細胞株の確立の概略図である(Fanら Hepatology,2017)。このスキームは、生物学的アッセイにおけるそれらの分子特性評価およびそれらの使用のためにHCC細胞株をどのように樹立したかを要約している。当該プロトコルに従って、HCC細胞株を異なるAlb-R26Metマウスから切除された肝臓腫瘍から樹立したことがFanら Hepatology,2017において確立および報告されている。簡単に言うと、切除された腫瘍を刻み、コラゲナーゼおよびDNaseを含有する溶液中でインキュベートし、かつ100μmの無菌フィルタを用いて組織残屑を除去した。次いで細胞を直接に接着条件下で、あるいは1週間にわたって非接着条件下で添加物を含むWilliam E培地で培養して腫瘍化特性を有する細胞を濃縮した。培養された細胞の増殖後にそれらの一部を凍結し、かつストックとして維持し、別の一部を分子(生化学、RT-qPCR)および機能(ヌードマウスにおいて腫瘍を形成するそれらの能力)について特性評価した。
図3(B)は、対照肝臓に対して3種類のAlb-R26Met HCC細胞株(HCC3、HCC13およびHCC14)におけるADAMTSL5発現レベル(RT-qPCRによる)を報告するグラフである。HCC細胞は腫瘍において示されているようにADAMTSL5 mRNAの一貫した過剰発現を特徴とすると結論づけられる。
図3(C)は、対照に対してshRNA標的配列を運ぶプラスミド(安定なクローン選択のためのピューロマイシン遺伝子も運ぶ)で安定にトランスフェクトされたAlb-R26Met HCC細胞中のADAMTSL5のmRNA発現レベルを示す。細胞を目的のプラスミドでトランスフェクトし、次いで48時間後にプラスミドが安定に組み込まれた細胞を選択するためにピューロマイシンに7日間暴露する。ADAMTSL5発現レベルがshRNA標的配列によって下方制御されているクローンをRT-qPCRによって同定する。ADAMTSL5に対するshRNA標的配列によりHCC細胞中のADAMTSL5 mRNAレベルの効率的な下方制御が生じ、これによりADAMTSL5タンパク質発現レベルが干渉されると結論づけられる。
図3(D)は、HCC対照細胞またはADAMTSL5を標的にするshRNA配列を保有するHCC細胞のいずれかを用いて行われた足場非依存性増殖アッセイ(軟寒天アッセイ)の結果を示す。このアッセイにより非接着性条件下でコロニーを形成する細胞の能力を例証し、従ってそれらのインビトロ腫瘍化特性を明らかにする。結果から、ADAMTSL5を標的にするshRNA配列を保有するAlb-R26Met HCC細胞によって形成されたコロニーの数が対照細胞と比較して減少することが分かる。HCC細胞中の高レベルのADAMTSL5はそれらのインビトロ腫瘍化特性のために必要とされると結論づけられる。
図3(E)は、対照細胞からの条件培地によるADAMTSL5標的化Alb-R26Met HCC細胞のインビトロ腫瘍化特性のレスキューを部分的に示す足場非依存性増殖アッセイ(軟寒天アッセイ)を記述している。この結果は、細胞外ADAMTSL5が低レベルのADAMTSL5を発現している細胞に腫瘍原性を与えることを示している。分泌タンパク質であるADAMTSL5が細胞外環境においてその機能を惹起し、かつ非細胞自律的にも作用することができると結論づけられる。
図3(F)は、対照およびADAMTSL5標的化Alb-R26Met HCC細胞(右)由来の腫瘍球の代表的な画像(左)および定量化(右)である。Alb-R26Met HCCshAdamts15細胞(ADAMTSL5を標的にするshRNA配列を保有している)と比較したより大きい数およびサイズの対照細胞から生成された腫瘍球に気づく。HCC細胞中の高レベルのADAMTSL5が自己複製能力を与えると結論づけられる。
実施例4:Alb-R26Met HCC細胞におけるADAMTSL5の下方制御後のHCC細胞のインビボ腫瘍化特性の喪失。:P<0.05;**:P0.01;***:P0.001。
図4(A)は、Alb-R26Met HCC細胞(上)またはAlb-R26Met-shADAMTSL5 HCC細胞(下)のいずれかが注射されたヌードマウスにおける異種移植片から切除された腫瘍の画像を含む。
ヌードマウスの側腹部におけるAlb-R26MetまたはAlb-R26Met-shAdamtsL5 HCC細胞(5×10細胞)の皮下注射により異種移植片研究を行った。図4(A)は、異種移植片の確立から8週間後に切除された腫瘍の画像を含む。Alb-R26Met HCC細胞が皮下注射されたヌードマウスでは腫瘍が形成されたが、Alb-R26Met-shADAMTSL5 HCC細胞が皮下注射されたマウスからの腫瘍は劇的に減少し、インビボ腫瘍化特性の低下を示していることに気づく。
図4(B)は、毎週測定されたグループごとの平均腫瘍体積を報告する異種移植片増殖曲線を含む。HCC細胞におけるADAMTSL5レベルの下方制御(shRNA標的配列の安定な形質移入によって達成される)がHCC細胞のインビボ腫瘍化特性を干渉すると結論づけられる。まとめると、これらの結果からADAMTSL5発現レベルの下方制御が腫瘍の確立/進展を干渉することが分かる。
図4(C)には、細胞の注射から8週間後に切除された腫瘍の体積の定量的分析が示されている。各ドットは各腫瘍の体積に対応している。HCC細胞におけるAdamtsL5レベルの下方制御(shRNA標的配列の安定な形質移入によって達成される)がインビボ腫瘍化特性を干渉すると結論づけられる。
実施例5:immorto-R26Met感作肝細胞によるADAMTSL5の過剰発現後のインビボ腫瘍化特性の獲得。
図5(A)は、immorto-R26Met感作肝細胞(高レベルのMet RTKを保有し、かつSV40ラージT抗原により不死化された胚肝細胞)の確立の概略図である。簡単に言うと、E15.5マウスR26Met胎仔肝細胞から培養された肝細胞を不死化のためにSV40ラージT抗原(+安定なクローン選択のためのネオマイシン遺伝子)を保有するレトロウイルスで感染させ、次いでその後に他の細胞型を枯渇させるために肝細胞に許容的な培地で7日間処理した。immorto-R26Met肝細胞は野生型Metレベルの3倍の増加により感作されているが、異種移植片において腫瘍を形成する能力がないため腫瘍原性ではない。
図5(B)は異種移植片の確立から11週間後のマウスの画像を含む。immorto-R26Met hepaoverAdamts15(ADAMTSL5を過剰発現している細胞)の皮下注射により両側腹部において腫瘍を発生しているヌードマウスに気づく。
ヌードマウスの両側腹部におけるimmorto-R26Met対照(immorto-R26Met hepaWT)またはADAMTSL5過剰発現(immorto-R26Met hepaoverAdamts15)肝細胞(5×l0細胞)の皮下注射により異種移植片研究を行った。
図5(C)は、毎週測定されたグループごとの平均腫瘍体積を報告する異種移植片増殖曲線を含む。
図5(D)には、細胞の注射から11週間後に切除された腫瘍の体積の定量的分析が示されている。各ドットは各腫瘍の体積に対応している。immorto-F26Met hepaWTが注射されたマウスとは対照的に、immorto-F26Met hepaoverAdamts15が注射された全てのマウスが腫瘍を形成したことに気づく。異種移植片において腫瘍を形成する能力がないため腫瘍原性でないimmorto-肝細胞におけるADAMTSL5の過剰発現レベルは、それらにインビボ細胞腫瘍化特性を与えるのに十分であると結論づけられる。
実施例6:初期および最終段階のAlb-R26Met腫瘍におけるADAMTSL5発現レベル。
図6(A)は、ADAMTSL5レベルのRT-qPCR分析のために使用される組織試料の概略図である。使用される試料は、対照の野生型肝臓(WT)、健康なAlb-R26Met肝臓、初期および進行段階のAlb-R26Met腫瘍である。
図6(B)では、これらのグラフはADAMTSL5、AFP(α-フェトプロテイン)、GPC3(グリピカン3)(2種類のHCCマーカー)、およびKi67(増殖マーカー)の発現レベル(RT-qPCRによる)を報告している。野生型および健康なAlb-R26Met肝臓におけるADAMTSL5ならびに他の分析されるマーカーの同程度に低い発現レベルに気づく。対照的に、転写物レベルは初期段階のAlb-R26Met腫瘍中では既に増加している。ADAMTSL5転写物レベルを使用して健康な試料を初期の腫瘍原性状態にある既に腫瘍性の試料と識別することができると結論づけられる。
実施例7:高いADAMTSL5 mRNAレベルがHCC患者の52%において存在し、アルコール摂取に関連づけられた患者が優勢である。
図7(A)では、ADAMTSL5 mRNAレベルに関してHCC患者(371人の患者)のコホートが上に報告されており、21%はADAMTSL5の下方制御を特徴とし(白色、左)、27%は変化なしを特徴とし(黒色の線を有する白色、中央)、およびHCC患者の52%はADAMTSL5 mRNAレベルの上方制御を有する(黒色、右)。下のグラフは低い、変化なしおよび高いADAMTSL5発現レベル(数および割合が示されている)に従うHCC患者の3つのサブグループを報告している。データは371人のHCC患者のコホート(TCGAから)のRNA-seq研究に対応している。ADAMTSL5は371人のHCC患者のうちの193人(52%;LogFC>1;FDR<0.05)において過剰発現されている。HCC患者の50%超において高いADAMTSL5転写物レベルを検出することができると結論づけられる。
図7(B)では、その表は371人全ての分析された患者における主要なHCC危険因子の存在(黒色の線)または非存在を報告している。高いADAMTSL5レベルを有するHCC患者は、限定されるものではないがアルコールの摂取と有意に関連づけられることに留意されたい。ADAMTSL5の高いmRNAレベルがいくつかの危険因子を特徴とする大部分の患者において存在すると共にアルコール摂取に関連づけられた患者が優勢であると結論づけられる。
実施例8:HCC分析された患者の大多数においてADAMTSL5タンパク質レベルが過剰発現されている。
この図は、隣接する肝臓と比較した腫瘍試料における抗ADAMTSL5抗体による免疫染色を報告している。全ての分析されたHCC患者(#8の患者を除く)における強いADAMTSL5タンパク質レベル(濃い染色;Fast Redによる)に留意されたい。高いADAMTSL5タンパク質レベルはHCC患者の大多数を特徴づけていると結論づけられる。
実施例9:ヒト癌細胞株のパネルにおけるADAMTSL5の過剰発現。
このグラフは、ヒトHCC細胞株のパネル、すなわちMKN(胃癌)細胞株、ヒト乳房細胞株、HELA(ヒト子宮頸部)癌細胞株およびHER(ヒト胎生腎)細胞株におけるADAMTSL5のmRNA発現レベルを示す。3回の独立した実験の平均値。ADAMTSL5の高いmRNAレベルが異なる由来を有する癌細胞に存在すると結論づけられる。

Claims (13)

  1. それを必要とする哺乳類における肝細胞癌を検出するための方法であって
    哺乳類由来の生体試料において、ADAMTSL5遺伝子が過剰発現されているかを決定する工程と、
    前記遺伝子の過剰発現の決定から肝細胞癌を検出する工程と
    を含む方法。
  2. 前記生体試料は、血液、生検組織、血漿、血清、尿、便、痰、脳脊髄液または細胞溶解物の上澄みからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生体試料は、組織生検、血液、血漿、血清または尿である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記生体試料中のADAMTSL5遺伝子の過剰発現は、前記生体試料中のADAMTSL5タンパク質レベルまたはmRNAレベルを測定することによって決定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記生体試料中の前記ADAMTSL5タンパク質レベルは、少なくとも1種の抗ADAMTSL5抗体を前記生体試料に添加することによって測定する、請求項に記載の方法。
  6. 前記抗ADAMTSL5抗体は、アルカリホスファターゼ西洋わさびペルオキシダーゼまたは蛍光染料に結合されていないものまたは結合されているものからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
  7. 前記生体試料中の前記ADAMTSL5タンパク質レベルは、免疫染色、免疫蛍光、ウェスタンブロットまたはELISAを用いて測定する、請求項のいずれか1項に記載の方法。
  8. 少なくとも1種の抗ADAMTSL5抗体、前記生体試料を保持するための容器、および前記哺乳類由来の生体試料中の肝細胞癌マーカー遺伝子としての前記ADAMTSL5の過剰発現を測定するためのプロトコルを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法において使用するためのキット。
  9. 前記抗ADAMTSL5抗体は、アルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシダーゼまたは蛍光染料に結合されていないものまたは結合/コンジュゲートされているものからなる群から選択される、請求項に記載のキット。
  10. 前記生体試料中の前記ADAMTSL5 mRNAレベルは、マイクロアレイ、RNA-seq、in situハイブリダイゼーション、RNA-scopeならびに通常の半定量的もしくは定量的RT-PCRを含む前記生体試料に対するmRNAを検出するための利用可能な方法によって測定する、請求項に記載の方法。
  11. ADAMTSL5を標的にする薬剤と、薬学的に許容される担体とを含む、肝細胞癌の治療に使用するための医薬組成物であって、前記ADAMTSL5を標的にする薬剤は、阻止抗体、sh-RNA、si-RNA、マイクロRNA、およびアンチセンスRNAからなる群から選択される医薬組成物。
  12. 肝細胞癌のバイオマーカーとしてのADAMTSL5タンパク質の使用。
  13. 肝細胞癌に罹患している哺乳類の抗癌治療への応答を監視するためのインビトロ方法であって、前記抗癌治療中の2つ以上の時点で前記哺乳類の生体試料中のADAMTSL5発現レベルを決定する工程を含み、先の時点で対象の生体試料において得られた参照値と比較した、後の時点での前記対象の生体試料中の等しいかそれよりも高いADAMTSL5発現レベルは前記抗癌治療に対する前記対象の抵抗性を示し、より低いADAMTSL5レベルは前記抗癌治療に対する前記対象の応答を示すことを特徴とする方法。
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