JP2016180054A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制された優れた耐加水分解性を有し、かつ異物・ゲル欠点などが抑制され、外観性に優れるポリエステルフィルムの提供。
【解決手段】ポリエステルをポリマー成分とし、エポキシ化合物Aおよびエポキシ化合物の反応触媒を含有する層を含むポリエステルフィルムであって、該反応触媒が無機ハロゲン化合物Bであり、該エポキシ化合物Aの含有量がフィルムの重量を基準として0.15〜2.5重量%、該無機ハロゲン化合物Bの含有量がフィルムの重量を基準として0.0015〜0.045重量%であるポリエステルフィルムによって得られる。
【選択図】なし

Description

本発明はポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは耐加水分解性と外観に優れるポリエステルフィルムに関する。
近年、太陽電池モジュールを用いる太陽光発電システムは、クリーンエネルギーを利用する発電手段の一つとして普及が進んでいる。太陽電池モジュールの構造は、一般的には、受光側の透明前面基板と、充填材、太陽電池素子、充填材および太陽電池裏面保護膜を順に積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法によって製造される。
一般に太陽電池裏面保護膜として含フッ素系フィルムとポリエステルフィルムを貼り合わせたものが使用されているが、フッ素系フィルムは非常に高価であるため、安価かつ性能面でフッ素系と遜色ないようなフィルムが切望されていた。
太陽電池用部材に用いられる比較的安価かつ耐熱性に優れる材料の1つとして二軸延伸芳香族ポリエステルフィルムの使用が提案されている。しかしながら、汎用的なポリエステルフィルムでは耐熱性や耐加水分解性は十分とはいえず、これまでにも種々の提案がなされてきた。
ポリエステルは理想的にはそのポリマー鎖の全ての末端がヒドロキシル基として存在するが、高温または湿度を含むプロセスを経由することで熱分解、酸化分解、加水分解などが起こり、分子量低下およびカルボキシル末端基の生成が避けられないことが知られている。生じたカルボキシル末端基は新たな分解反応の触媒として作用するため、カルボキシル末端基の封止および分子量の増大によるポリエステルの耐久性向上を狙って、ポリエステルに対しカルボキシル末端封止剤や鎖延長剤の類を添加する手法が知られている。例えばカルボジイミド化合物、エポキシ化合物などを末端封止および鎖延長反応剤として添加する手法が知られている。
特許文献1、2、3では、エポキシ化合物を末端封止および鎖延長反応剤として含有するポリエステルフィルムが提案されている。しかし、エポキシ化合物は自分自身や系中に発生する水酸基、水分とも容易に反応しうることが知られており、局所的に分子量・分枝度が増大することによるゲル化が問題となる場合があった。そのため、エポキシ化合物を用いた場合であっても、これらの副反応を抑制し、高選択的にポリエステル末端と反応させることが求められている。
また、特許文献4ではポリエチレンテレフタレートに対し、結合剤として分子量1,000〜300,000および該分子内に7〜100個のエポキシ基を含有する高分子量型多官能エポキシ化合物、および結合反応触媒として有機酸の金属塩を用いることが提案されている。しかし、反応触媒として用いる有機酸金属塩自体の耐熱性や、反応性・選択性の制御が不十分であるため、耐加水分解性とフィルム欠点レベルとがトレードオフとなるのが現状であった。また、このような高分子量型多官能反応剤はポリエステルの分子量を再生させる効果を有するが、局所的な反応度増大に伴う不均一化(ゲル化)が起こりやすく、重合工程あるいはフィルム製膜のための押出機内で反応性を高度に制御するのが難しかった。
特許文献5では、炭素数5〜50の分枝モノカルボン酸のグリシジルエステルを耐加水分解剤として、I族またはII族金属カチオンを反応触媒として添加することが提案されている。一方で、エポキシ化合物とともにかかる反応触媒を用いることによって、グリシジル基とポリエステルの末端基との反応は効率よく進行するものの、反応触媒自体の異物化という観点では課題が残されていた。
特開2012−122051号公報 特開2007−276478号公報 国際公開第2011/030098号パンフレット 特開2009−167388号公報 国際公開第2012/120260号パンフレット
本発明は上記の問題点に注目してなされたものであり、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制された優れた耐加水分解性を有し、かつ異物・ゲル欠点などが制され、外観性に優れるポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者等は、かかる従来技術の問題点を解決するために鋭意検討した結果、グリシジル基とポリエステルの末端基との反応を促進させる反応触媒として特定構造の化合物を用いることにより、末端封止反応が効率的に進行し、エポキシ化合物の添加量を低減できること、同時に反応触媒種自体の異物化を抑制できるため、耐加水分解性と外観性を両立できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、ポリエステルをポリマー成分とし、エポキシ化合物Aおよびエポキシ化合物の反応触媒を含有する層を含むポリエステルフィルムであって、該反応触媒が無機ハロゲン化合物Bであり、該エポキシ化合物Aの含有量がフィルムの重量を基準として0.15〜2.5重量%、該無機ハロゲン化合物Bの含有量がフィルムの重量を基準として0.0015〜0.045重量%であるポリエステルフィルムが提供される。
さらに本発明によれば、本発明のポリエステルフィルムの好ましい態様として、前記エポキシ化合物Aが単官能エポキシ化合物であること、前記エポキシ化合物Aが脂肪酸グリシジルエステル化合物であること、前記の無機ハロゲン化合物Bを構成するハロゲン化物イオンが臭化物イオンまたはヨウ化物イオンであること、温度121℃、湿度100%RHでエージングしたときのフィルムの伸度半減期が70時間以上であること、フィルム重量を基準として白色顔料Cを2.5〜18重量%含有すること、前記白色顔料Cがルチル型酸化チタンであること、層Xおよび層Yの少なくとも2層からなり、前記エポキシ化合物A、前記無機ハロゲン化合物Bおよび前記白色顔料Cがそれぞれ少なくとも1つの層に含有されること、前記エポキシ化合物Aおよび前記無機ハロゲン化合物Bが少なくとも層Xに含有され、前記層Xにおける白色顔料濃度Cxが層Xの重量を基準として0〜10重量%、前記層Yにおける白色顔料濃度Cyが層Yの重量を基準として5〜25重量%であり、かつ該白色顔料濃度Cyが該白色顔料濃度Cxより大きいこと、単層のフィルムであって、フィルム重量を基準として白色顔料Cを2.5重量%未満含有すること、太陽電池部材あるいは燃料電池部材に用いられること、の少なくともいずれかを具備するポリエステルフィルムも提供される。
本発明によれば、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制され、かつ異物・ゲル欠点の少ない、耐加水分解性とフィルム外観性に優れるポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[ポリエステル]
本発明のポリエステルフィルムはポリエステルをポリマー成分とする。本発明におけるポリエステルは、芳香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコールを主たるグリコール成分とするポリエステルである。かかるポリエステルは実質的に線状であり、そしてフィルム形成性、特に溶融成形によるフィルム形成性を有する。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、アンスラセンジカルボン酸等を挙げることができる。また、具体的な脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール,トリメチレングリコール,テトラメチレングリコール,ペンタメチレングリコール,ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、本発明においてはアルキレンテレフタレートやアルキレンナフタレートを主たる構成成分とするものが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート,ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートをはじめとして、例えば全ジカルボン酸成分の80mol%以上がテレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸であり、全グリコール成分の80mol%以上がエチレングリコールであるホモポリマーや共重合体が好ましい。
かかるポリエステルは、ポリエステルフィルムを構成するポリマー成分を基準として80重量%以上であることが好ましく、さらに90重量%以上であることが好ましい。
エチレンテレフタレートやエチレンナフタレンジカルボキシレートが主たる繰り返し単位である場合、表面平坦性、乾熱劣化性を損なわない程度であれば、全酸成分の20mol%以下の範囲内で、主たるジカルボン酸以外のジカルボン酸成分、あるいはエチレングリコール以外のグリコール成分を用いることができ、例えば先に例示した他の芳香族ジカルボン酸成分やアルキレングリコール成分、またアジピン酸、セバチン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、シクロヘキサングリコールなどの脂環族ジオール成分、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールが例示される。
また本発明におけるポリエステルには本発明の効果を損なわないかぎり、例えばヒドロキシ安息香酸などの芳香族オキシ酸,ω−ヒドロキシカプロン酸などの脂肪族オキシ酸等のオキシカルボン酸に由来する成分を、ジカルボン酸成分及びオキシカルボン酸成分の総量に対し20mol%以下、さらには10mol%以下の範囲で共重合したものであってもよい。
さらに本発明におけるポリエステルには、実質的に線状である範囲の量であり、かつ本発明の効果を損なわないかぎり、例えば全酸成分に対し2mol%以下の量で、3官能以上のポリカルボン酸またはポリヒドロキシ化合物、例えばトリメリット酸,ペンタエルスリトール等を共重合してもよい。
本発明におけるポリエステルポリマー原料は、前述のジカルボン酸成分およびグリコール成分を反応させてポリエステル前躯体とし、さらに重縮合反応によって所望の固有粘度を有するポリエステルポリマーを製造することができる。
ポリエステルポリマーの重縮合に際し、その他の部分は公知のポリエステル重縮合方法を用いることができる。具体的には、重縮合反応を行う前にエステル化反応もしくはエステル交換反応を行う。エステル交換反応を経由する場合に用いるエステル交換反応触媒としては、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、チタン化合物などが好適に挙げられる。
このようにしてエステル化反応もしくはエステル交換反応を経由して得られた前駆体を溶融状態で重縮合反応させればよい。重縮合反応触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物などが好適に挙げられる。
また、本発明のポリエステルポリマーの製造にあたり、重縮合反応の初期段階までに、好ましくはエステル化反応もしくはエステル交換反応終了後から固有粘度0.3dl/gになるまでの重縮合反応中にリン化合物を添加することが好ましい。リン化合物としては特に限定はされないが、フェニルホスホン酸、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると、触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
[エポキシ化合物]
本発明のポリエステルフィルムは、耐加水分解剤としてエポキシ化合物(以下、エポキシ化合物A、成分Aと称することがある)を含有する層を有する。該エポキシ化合物Aの含有量は、フィルムの重量を基準として0.15〜2.5重量%であり、好ましくは0.1〜2.0重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%、さらに好ましくは0.5〜1重量%である。
かかるエポキシ化合物Aの含有量はフィルム全体の重量を基準として求められ、積層フィルムの場合は積層フィルム全体の重量を基準として求められる。なお、積層フィルムの場合は該エポキシ化合物Aを含む層の重量に対してもかかる範囲でエポキシ化合物Aを含有していることが好ましい。
上述の通り、製造プロセスで生成するポリエステルのカルボキシル末端基の封止を目的としてカルボキシル末端封止剤や鎖延長剤などを添加する手法が知られており、本発明においてエポキシ化合物Aを適切な条件下でポリエステル樹脂に添加し、ポリエステルのカルボキシル基やヒドロキシル基と反応させることで、ポリエステルの耐久性、特に耐湿熱性を大幅に向上することができる。
エポキシ化合物の構造は一般的に多官能剤と単官能剤に分類できる。多官能剤はポリマーの分子量を増大させる効果があるため、ポリエステルフィルムの機械特性を維持あるいは回復させることができ、好ましい。一方で、多官能剤の構造上、局所的な反応度増大に伴うゲル化の制御が難しい場合がある。
本発明では、多官能剤のような局所的な反応度増大に伴うゲル化を制御しやすい観点より、エポキシ化合物Aとして単官能エポキシ化合物が好適に用いられる。かかる単官能エポキシ化合物は、鎖延長ではなく、末端封止機能を有する化合物として用いられる。
また、かかるエポキシ化合物Aの具体的な種類として、グリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物、などが挙げられるが、安定性、反応性の観点からグリシジルエステル化合物が好ましい。グリシジルエステル化合物の好ましい例としては、芳香族系のグリシジルエステル化合物、脂肪酸グリシジルエステル化合物が挙げられ、中でも脂肪酸グリシジルエステル化合物が好ましく、特に耐熱性のより良好な分枝脂肪酸グリシジルエステル化合物が好ましい。分枝脂肪酸グリシジルエステル化合物は、カルボン酸基に隣接する炭素原子が第三級炭素原子であることが好ましく、第三級炭素原子と結合する3個の基をR、R、Rとする場合、R、RおよびRの炭素数の合計が5〜50個であることが好ましい。RおよびRは前記炭素数を満たす範囲内でアルキル基の中からそれぞれ独立して選択でき、RおよびRの少なくとも一方はメチル基であることが好ましい。Rは水素および前記炭素数を満たす範囲内のアルキル基から選択でき、前記炭素数を満たす範囲内のアルキル基であることが好ましい。
単官能のグリシジルエステル化合物の例として、安息香酸グリシジルエステル、t−Bu−安息香酸グリシジルエステル、P−トルイル酸グリシジルエステル、シクロヘキサンカルボン酸グリシジルエステル、ペラルゴン酸グリシジルエステル、ネオデカン酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、ラウリン酸グリシジルエステル、パルミチン酸グリシジルエステル、ベヘン酸グリシジルエステル、バーサティク酸グリシジルエステル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシジルエステル、リノレイン酸グリシジルエステル、ベヘノール酸グリシジルエステル、ステアロール酸グリシジルエステルが例示され、中でも単官能の脂肪酸グリシジルエステル化合物、特に単官能の分岐脂肪酸グリシジルエステル化合物が好ましく用いられる。
エポキシ化合物Aの含有量が下限に満たない場合、末端封止効果が不十分となり、耐湿熱性が十分に得られない。一方、エポキシ化合物Aの含有量が上限を超える場合、局所的な反応に伴う溶融系の不均一化が起こり、ゲル欠点などが発生しやすいことに加え、エポキシ化合物A自体の熱分解および加水分解が起こることでかえってポリエステルの分解を促進し、分子量低下やカルボキシル末端基の増大を招き、耐加水分解性が低下することがある。
本発明において、エポキシ化合物Aは従来公知の方法を用いてポリエステル樹脂に含有させることができ、例えば以下のような手法で添加することができる。エポキシ化合物Aをポリエステル樹脂に添加する際、剤単体を添加してもよいし、粉末などの担体に担持させ、スラリー状にして添加してもよい。また、水やジオール成分の溶液状態として添加することもできる。
(ア)ポリエステルのエステル化またはエステル交換工程〜重縮合工程においてエポキシ化合物Aを添加する。
(イ)ポリエステルチップを溶融し、エポキシ化合物Aを添加することでエポキシ化合物Aの高濃度マスターバッチを予め作成し、製膜直前にエポキシ化合物Aを含まない樹脂と混合して使用する。
(ウ)ポリエステルチップを溶融し、エポキシ化合物Aを添加することで希望の濃度のエポキシ化合物A含有ペレットを予め作成し、そのまま使用する。
(エ)製膜直前に溶融する押出機のフィードポケットもしくはバレルにおいて、直接エポキシ化合物Aを添加する。
これらの手法の中でも特に、添加量を工程状況に応じて制御できる(イ)または(エ)の手法が好ましい。さらに、ポリエステルおよびエポキシ化合物Aが熱履歴を受ける回数を最小限にでき、反応終了後のカルボキシル基の生成が少ない手法(エ)が好ましい。
[エポキシ化合物の反応触媒]
本発明のポリエステルフィルムは、上述のエポキシ化合物Aを含有する層において、該エポキシ化合物Aとともにエポキシ化合物の反応触媒を含有する。本発明において用いられる前記反応触媒は無機ハロゲン化合物B(以下、無機ハロゲン塩B、成分Bと称することがある)であり、該無機ハロゲン化合物Bの含有量はフィルムの重量を基準として0.0015〜0.045重量%である。
エポキシ化合物のグリシジル基(エポキシ基と称することがある)とポリエステルのカルボキシル基との反応は、反応触媒の存在がないと十分な反応速度をもって進行しない。無触媒または酸触媒下でも反応は進行しうるものの、ポリエステルのヒドロキシル基末端や、反応で生成する新たなヒドロキシル基との反応、水分による失活をはじめとした副反応が競合となり、十分な速度での効果ないし末端封止効果が得られない。また、一般的に塩基性化合物を反応触媒とした場合は比較的高い反応性が認められるものの、ポリエステルをポリマー成分とする場合はポリエステルの加水分解を促進する触媒でもあることから、ポリエステルフィルムの耐加水分解性の低下にもつながりかねず、その利用は制限されている。
本発明者はエポキシ化合物のグリシジル基とポリエステルのカルボキシル基の反応触媒として、無機ハロゲン化合物Bで表される特定の成分を用いることで、反応性が高く、同時に水や自己反応をはじめとした副反応も抑制され、すぐれた末端封止効果を発現できることを見出した。ハロゲン元素は電気陰性度が高く、ハロゲン化物イオンはその求核性・脱離能からエポキシ開環反応の触媒として作用しているものと考えられる。
該無機ハロゲン化合物Bの含有量は好ましくは0.005〜0.040重量%、さらに好ましくは0.005〜0.010重量%である。該無機ハロゲン化合物Bの含有量が下限に満たないと触媒効果が不十分となり、ポリエステルの末端カルボキシル基が十分に封止されないため、十分な耐加水分解性が得られない。一方、該無機ハロゲン化合物Bの含有量が上限を超えるとポリエステルフィルムの変色や析出異物の原因となる。該無機ハロゲン化合物Bを用い、その含有量を所定の範囲内とすることで、変色や異物化を最小限に抑えつつ、エポキシ化合物Aによるポリエステルの末端基の封止効果を最大限に引き出すことが可能となる。
該無機ハロゲン化合物Bを構成する金属イオンとして、アルカリ金属類もしくはアルカリ土類金属類が挙げられ、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr、Baのイオンのうち、少なくとも1種を選択することができる。これらの中でもLi、Na、K、Mg、Caが好ましく、さらにこれらの中でもアルカリ金属が好ましく、特に好ましくはNaまたはKである。
該無機ハロゲン化合物Bを構成するカウンターアニオン成分は、17族元素のうち、Cl、Br、Iのイオンからなる群から選ばれる少なくとも1種を選択することができる。これらの中でも臭化物イオン、ヨウ化物イオンが好ましく、特に好ましくはヨウ化物イオンである。かかるアニオン成分を選択することにより、該無機ハロゲン化合物Bによる触媒効果が向上する。
該無機ハロゲン化合物Bを構成する金属イオン、カウンターアニオン成分についてそれぞれ上述したうち、ハロゲン化アルカリ金属塩が好ましく、特にヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウムなどが好ましく例示される。
本発明において、無機ハロゲン化合物Bはエポキシ化合物Aと同様、従来公知の方法によりポリエステル樹脂に対して添加でき、例えば上述した(ア)〜(エ)の選択肢からその添加方法を選ぶことができ、用いる化合物の化学的性質に応じて適宜選択すればよい。ハンドリングの観点からは重合工程で添加する(ア)の方法か、予めマスターバッチを作成する(イ)の方法が好ましい。
[白色顔料]
本発明のポリエステルフィルムはさらに白色顔料Cを含有することができ、フィルム重量を基準として2.5〜18重量%含有することが好ましい。また、白色顔料Cの含有量は2.5〜15重量%であることがさらに好ましく、2.5〜12重量%であることがさらに好ましい。フィルム中の白色顔料の含有量がかかる範囲にあることにより、隠蔽性に優れ、白色性が求められる用途や、反射性能が求められる用途に好適に用いることができる。また太陽電池の裏面保護膜として用いる場合には受光面側への反射によって太陽電池の発電効率が向上する。白色顔料Cの含有量が下限に満たないと、隠蔽性やフィルムの紫外線劣化を抑制する効果が十分に発現しないことがある。また白色顔料Cの含有量が上限値を超えると、フィルム強度が低下したり、フィルムにデラミネーションを生じることがあり、それに伴いフィルムの耐熱性や耐加水分解性が低下することがある。
該白色顔料Cとして、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムなど公知のものを用いることができるが、太陽電池の裏面保護膜として用いる場合には酸化チタンが好ましく、特にルチル型酸化チタンが好ましい。ルチル型酸化チタンを用いることで、フィルムの紫外線劣化を抑制し、光線を長時間照射したときのフィルム変色や機械的強度の低下を少なくすることができる。
該白色顔料Cの平均粒径は、好ましくは0.1〜5.0μm、特に好ましくは0.1〜3.0μmである。この範囲の平均粒径の白色顔料を用いることで、良好な分散状態で白色顔料をポリエステルフィルム中に分散させることができ、白色顔料の凝集を低減することができるとともに、良好な延伸性でフィルムを製膜することができる。
本発明において、白色顔料Cは成分Aや成分Bと同様、従来公知の方法によりポリエステルに含有させることができる。例えば上述した(ア)〜(エ)の選択肢から添加方法を選ぶことができ、分散性やハンドリングの観点から、予めマスターバッチを作成する(イ)の方法が特に好ましい。
本発明のポリエステルフィルムが積層構成の場合、そのうちの少なくとも1層に白色顔料Cを含有させてもよく、層によって異なる含有量としてもよい。かかる場合においても積層フィルム全体の重量を基準として上述の範囲の含有量とすればよい。
積層構成の場合の一例として、層Xおよび層Yの少なくとも2層からなり、前記エポキシ化合物A、前記無機ハロゲン化合物Bおよび前記白色顔料Cがそれぞれ少なくとも1つの層に含有されることが好ましく、その際、前記エポキシ化合物Aと前記無機ハロゲン化合物Bは同じ層に添加されることが好ましい。
さらに、隠蔽性に優れる白色の積層ポリエステルフィルムとして用いる場合、前記エポキシ化合物Aおよび前記無機ハロゲン化合物Bが少なくとも層Xに含有され、前記層Xにおける白色顔料濃度Cxが層Xの重量を基準として0〜10重量%、前記層Yにおける白色顔料濃度Cyが層Yの重量を基準として5〜25重量%であり、かつ該白色顔料濃度Cyが該白色顔料濃度Cxより大きいことが好ましく、同時に積層フィルム全体での白色顔料の含有量は2.5〜18重量%であることが好ましい。
少なくとも一方の層の白色顔料Cの含有量を5重量%以上とすることにより優れた隠蔽性が得られ、かつ白色顔料Cが相対的に少ない層にエポキシ化合物Aと無機ハロゲン化合物Bを用いることにより、優れた外観性が発現する。
積層フィルムとする場合には、生産性の観点から共押出による積層フィルムとすることが好ましく、さらに太陽電池の保護膜として用いる場合、白色顔料が相対的に多い層Yを光のあたる層に配置することが好ましく、該層Yが太陽電池モジュールの最外層となるように配置することが好ましい。
また積層フィルムを太陽電池の保護膜として用いる場合、エポキシ化合物Aおよび無機ハロゲン化合物Bを含む層Xは内面層として配置されることが好ましく、例えば裏面保護膜として用いる場合は太陽電池モジュールの受光面側の層として配置されることが好ましい。
受光面側の層に成分Aおよび成分Bが存在しないと、かかる層の耐加水分解性が低下してしまい、結果としてフィルム全体としての耐久性を低下させてしまうことがある。
すなわち、積層ポリエステルフィルムを太陽電池裏面保護膜として用いる場合、受光面側層に成分Aおよび成分Bを含む層Xを配置し、モジュールの最外層に白色顔料を相対的に多く含む層Yを配置する態様が好ましい。
また高い隠蔽性が求められない用途で乳白色フィルムを得る場合は、フィルム重量を基準として白色顔料Cを2.5重量%未満の範囲で含有させてもよく、かかる用途の場合、単層の構成で用いてもよい。
[末端カルボキシル基濃度]
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルの末端カルボキシル基濃度は、好ましくは20eq/T、さらに好ましくは17eq/T、特に好ましくは14eq/Tの範囲である。末端カルボキシル基濃度がかかる範囲であることで、耐熱性および耐加水分解性に優れ、高温・多湿の条件において長時間使用した場合においても機械的性質の低下の少ないフィルムを得ることができる。
なお、本発明のポリエステルフィルムが積層フィルムである場合は、積層フィルムを構成するポリエステル全体での末端カルボキシル基濃度がかかる範囲であることが好ましく、さらに積層フィルムの各層を構成するポリエステルそれぞれについて上記末端カルボキシル基濃度の範囲であることが好ましい。
[ポリエステルの極限粘度数]
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、用途により好ましい極限粘度数の範囲が異なるが、極限粘度数が0.55〜0.85dl/gであることが好ましく、さらに0.56〜0.79dl/gであることが好ましい。極限粘度数がこの範囲にあることで、良好な耐熱性、耐加水分解性のフィルムを高い生産性で得ることができる。極限粘度数が下限に満たない場合は劣化に伴う重合度減少により脆化が生じやすくなる。一方、極限粘度数が上限を超える範囲にするために、重合〜溶融工程で樹脂温度を低く保つことがあり、高溶融粘度であるがゆえに生産性が低下することがある。
なお、本発明のポリエステルフィルムが積層フィルムである場合は、積層フィルムを構成するポリエステル全体での極限粘度数がかかる範囲であることが好ましく、さらに積層フィルムの各層を構成するポリエスエルそれぞれについて上記極限粘度数の範囲であることが好ましい。
[耐加水分解性]
本発明のポリエステルフィルムは、太陽電池モジュールの前面および裏面の最外層用フィルムとして用いる場合、温度121℃、湿度100%RHでエージングしたときのフィルムの伸度半減期が70時間以上であることが好ましい。温度121℃、湿度100%RHの環境における70時間のエージングは、太陽電池モジュールの前面および裏面の最外層用フィルム用途に対し、概ね25年間の屋外暴露状態に相当する耐加水分解性を検査する加速試験の一つであり、上記伸度半減期が70時間未満である場合は太陽電池の表面保護膜あるいは裏面保護膜として求められる耐加水分解性が十分でなく、屋外での長期使用において劣化を引き起こし、機械的性質が低下する可能性がある。かかる伸度半減期は好ましくは90時間、さらに好ましくは110時間以上である。
これに対し、太陽電池部材の中でも他の部材による保護で風雨に直接曝されない内面側用途においては温度121℃、湿度100%RHで50時間のエージングが概ね30年間の屋外曝露に相当するため、かかるエージングによる伸度半減期が50時間以上であることが好ましい。
かかる耐加水分解特性はポリエステルをポリマーの主成分とするポリエステルフィルムにおいて、上記成分(A)および上記成分(B)を所定量ずつ用いることにより得ることができる。
[フィルム厚み、層厚み]
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム全体の厚みとしてはハンドリング性の観点から、例えば25〜300μm、好ましくは40〜275μm、特に好ましくは50〜250μmである。また、本発明のポリエステルフィルムが積層構成である場合、積層フィルム全体でかかる厚みを有することが好ましい。
また本発明のポリエステルフィルムが白色の積層フィルムである場合は、後述するように白色顔料の含有量が多いポリエステル層の厚みが5μm以上あればよい。かかる層厚みを有することにより、白色顔料による隠蔽性が得られ、またフィルムの紫外線劣化の抑制効果が得られる。前記層Xと前記層Yの層厚み比(X:Y)は、70:30〜97:3であることが好ましい。
[その他添加剤]
必要に応じてさらに性能を上げるために、本発明のポリエステルフィルムには、エポキシ化合物A、無機ハロゲン化合物B、白色顔料C以外にも公知の各種添加剤を本発明の作用を阻害しない範囲内で用いてもよく、例えば、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤などを添加することができる。
滑剤としては有機物、無機物いずれの滑剤を用いてもよく、無機物の滑剤としては、例えば硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化珪素、アルミナの粒子を挙げることができる。分散性と滑り性の観点から、滑剤として好ましくは平均粒径0.1〜5.0μm、さらに好ましくは0.2〜4.0μmの粒子を用いる。粒子の形状は板状、球状いずれであってもよいが、滑剤の中には水分を吸着し易いものや配位し易いものがあり、滑剤により持ち込まれた水分がフィルムの分子量を低下させ、耐熱性、耐加水分解性に乏しいものとなるため、吸着水や配位水の少ない構造、組成のものが好ましい。滑剤として特に好ましいものは、真球状シリカである。
酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系化合物を、紫外線吸収剤としては例えばベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物を例示することができる。これらの添加剤は、本発明の作用を阻害しない範囲内であればフィルムに含有させてもよく、フィルムに塗布する方法で機能を付与してもよく、あるいはポリエステルフィルムを積層構成とし、その少なくとも1層にこれらの剤を添加する方法でもよい。
[太陽電池部材]
本発明のポリエステルフィルムは太陽電池部材として用いることができ、さらに太陽電池モジュールの表面あるいは裏面を保護する太陽電池保護膜として用いることができる。かかる保護膜は太陽電池表面保護膜、太陽電池裏面保護膜と称することがある。
太陽電池保護膜として用いる場合、本発明のポリエステルフィルム1枚で太陽電池表面保護膜として使用してもよく、他のシートと積層した積層体を太陽電池表面保護膜として使用してもよい。また、本発明のポリエステルフィルム1枚で太陽電池裏面保護膜として使用してもよく、他のシートと積層した積層体を太陽電池裏面保護膜として使用してもよい。ここで太陽電池表面とは太陽電池モジュール受光面側、即ちフロントシート側を指し、太陽電池裏面とは太陽電池セルの裏面側、即ちバックシート側を指す。積層体の例として、絶縁特性を向上させる目的で別のポリエステルフィルムと貼り合わせた積層体、さらに耐久性を向上させる目的でポリフッ化ビニルやポリフッ化ビニリデンなどの高耐候性樹脂からなるフィルムと貼り合わせた積層体を例示することができる。
太陽電池裏面保護膜として用いる際には、水蒸気バリア性を付与する目的で水蒸気バリア層を積層することが好ましい。この構成の太陽電池裏面保護膜は、JIS Z0208−73に従い測定される水蒸気の透過率が5g/(m・24h)以下であることが好ましい。かかる水蒸気バリア層としては、水蒸気バリア性を有するフィルムや箔を用いることができ、フィルムとしてポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニリデンコートフィルム、ポリフッ化ビニリデンコートフィルム、酸化ケイ素蒸着フィルム、酸化アルミニウム蒸着フィルム、アルミニウム蒸着フィルム、箔としてはアルミニウム箔、銅箔を例示することができる。また、本発明のポリエステルフィルムに直接水蒸気バリア層をコート、あるいは蒸着しても構わない。これらの水蒸気バリア層は、一例として本発明のポリエステルフィルムがEVA層と接着して用いられる際にはEVA接着面の反対側に積層したり、またさらにその外側に別のフィルムを積層して複数のフィルムで挟みこむ構造をとる形態で用いることもできる。
[燃料電池部材]
また、本発明のポリエステルフィルムは燃料電池部材として用いることができ、例えば固体高分子型燃料電池のガスケット、電解質膜の補強枠等、長期にわたる耐加水分解性が求められる用途に好適に用いることができる。
[製造方法]
本発明のポリエステルフィルムを製膜する際に用いるポリエステルの製造方法について、ポリエチレンテレフタレートを例に説明する。なお、ポリマーのガラス転移温度をTg、融点をTmと表記することがある。
本発明に用いるポリエチレンテレフタレートの製造方法として、テレフタル酸ジメチルに代表される芳香族ジカルボン酸エステルとエチレングリコールをエステル交換反応により反応させた後に重縮合反応を行う方法、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とエチレングリコールをエステル化反応させた後に重縮合反応を行う方法が挙げられる。
まずエステル交換反応を用いた製造過程を説明すると、エステル交換触媒の存在下発生するアルコールを除去させつつエステル交換反応を実施した後、リン酸化合物を添加して実質的にエステル交換反応を完了させ、次いで得られた反応生成物にアンチモン化合物および/またはチタン化合物を添加し、重縮合反応を行う。エステル化反応を用いた製造工程については、除去するのがアルコールでなく水であること、エステル交換触媒を添加しないこと以外はエステル交換法と同様の手法にて樹脂を得ることができる。
より高い耐加水分解性のポリエステルフィルムを得るためには、上記手法で得られたポリエステル原料の高極限粘度数および低末端カルボキシル基濃度化が重要であり、固相重合を加えることが好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、従来公知の製膜法に準拠して製造することができる。以下にその一例を示す。まず、原料のポリエステルをスリットダイよりフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとする。積層構成の場合は、各層の原料を必要に応じて乾燥させた後、各々を別々の押出機で溶融混合し、フィードブロックを用いて積層した後、スリットダイに展開して未延伸フィルムを得る。ここまでのいずれかの工程内で、成分Aおよび成分B、白色顔料Cが添加・混合される。溶融工程において添加する場合は、押出機のフィードポケットからポリエステル原料と所定の配合比となるよう剤を投入することができる。また、押出機のバレルの上部または側部より添加することもできる。
次いで、得られた未延伸シートを少なくとも1軸方向、好ましくは2軸方向に延伸する。延伸は同時二軸延伸でも逐次二軸延伸でもかまわない。まず逐次二軸延伸を説明すると、未延伸フィルムを加熱されたロールの速度差により走行方向にまず延伸する。つぎにフィルムを延伸機に導き、両端をクリップで把持して走行させながら両端のクリップ幅を連続的に広げることで、幅方向に延伸する。延伸工程における温度はポリエステルのTg以上の温度、さらにはTg〜(Tg+70℃)の範囲の温度とするのが好ましい。ポリエステルがホモポリエチレンテレフタレートである場合は、延伸温度は78〜158℃である。延伸倍率は、2.8〜4.2の範囲内で行うことが好ましく、さらに好ましくは3.0〜3.9倍である。延伸倍率が下限に満たないと厚み斑が低下したり、耐熱性や耐加水分解性が低下することがある。一方、上限を超える延伸倍率の場合はフィルム切断が発生しやすくなることがある他、得られたフィルムの面方向の強度が低下しやすく、デラミネーションやクラックを引き起こす原因となる。ここで延伸倍率については、縦延伸倍率は(延伸後のフィルム走行速度)÷(延伸前のフィルム走行速度)と定義し、横延伸倍率は延伸工程完了直後でのフィルム幅と延伸工程直前でのフィルム幅の比と定義する。
本発明において、延伸工程に引き続き、さらに熱固定処理を行うことが好ましく、横延伸後のフィルムは両端を把持したまま(Tm−70)℃〜(Tm−20)℃の範囲内で熱処理を行うことが好ましい。ポリエステルがホモポリエチレンテレフタレートである場合は、188℃〜238℃の温度範囲が好ましい。この温度範囲内とすることで耐加水分解性に優れたフィルムを得ることができる。またかかる温度で、定幅または10%以下の幅減少下で熱処理して熱収縮率を低下させると寸法安定性がよくなる。
さらに弛緩処理を行う場合、公知の弛緩処理方法を用いることができ、例えば熱固定後にフィルム温度を常温に戻す過程で、把持しているフィルムの両端を切り落し、フィルム縦方向の引き取り速度を調整し、縦方向に弛緩させる方法(特開昭57−57628号公報)が挙げられる。その際の弛緩させる割合(弛緩率)として、テンターのフィルムライン速度に対してロール群の速度ダウンを行い、好ましくは1.0〜4.0%、さらに好ましくは1.2〜3.5%の割合で弛緩させることが好ましい。かかる縦弛緩処理により、縦方向の熱収縮率をより小さくすることができる。また横方向の寸法安定性をより高める方法としては、フィルム両端を切り落すまでの過程で幅減少させて、所望の熱収縮率を得ることもできる。
次に同時二軸延伸を説明すると、未延伸フィルムを直接テンターに導き、クリップに連続的に把持させる。その後、予熱を経て加熱しながら、クリップの速度およびクリップ間の幅を増大させることで、走行方向と幅方向を同時に延伸する。延伸工程における温度はポリエステルのTg以上の温度、さらにはTg〜(Tg+70℃)の範囲の温度とするのが好ましい。ポリエステルがホモポリエチレンテレフタレートである場合は、延伸温度は78〜158℃である。その後の熱固定処理については前述の逐次二軸延伸法と同様にして処理し、フィルムを得ることができる。なお、弛緩処理については逐次二軸延伸法と同様、把持しているフィルムの両端を切り落として引き取りロールの速度を減少させることで弛緩させることもできるが、両端を切り落とすかわりにクリップの走行速度とクリップ間の幅を同時に減少させ、弛緩させる手法も有効である。
本発明のポリエステルフィルムを太陽電池の保護膜として用いる場合、接着剤を介して他シートと積層され保護膜を構成するか、直接上に太陽電池素子の封止樹脂が設けられる。該ポリエステルフィルムと接着剤や封止樹脂との接着性を向上させる目的で、本発明のポリエステルフィルムの片面に易接着性のコーティングを施してもよい。接着剤としては例えばエポキシ系やウレタン系接着剤が多く用いられ、封止剤はほとんどがEVA(エチレンビニルアセテート)である。易接着性コーティング層の構成材としては、ポリエステルフィルムと接着剤あるいはEVAの双方に優れた接着性を示す材であることが好ましく、例えばポリエステル樹脂やアクリル樹脂を例示することができ、さらに架橋成分を含有することが好ましい。コーティングは一般的な既知のコーティング方法を用いることができる。好ましくは、延伸可能なポリエステルフィルムに、前述のコーティング層の構成成分を含む水性液を塗布した後、乾燥、延伸し、熱処理するインラインコーティング法で行う。このとき、フィルムの上に形成された塗膜の厚さは0.01〜1μmであることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。評価方法を以下に示す。
(1)エポキシ化合物Aの組成および含有量
単層フィルムの場合、フィルムサンプル約10mgを重トリフルオロ酢酸と重クロロホルムの1:1混合溶媒約0.6mlに溶解し、H−NMR法で解析した。アルキル基と帰属されるδ=0.6〜2.0ppmのピーク群の積分値からフィルム中の存在量を計算した。
積層フィルムの場合は予め断面観察でその層構成を大まかに把握したうえで、フィルムサンプルからフェザー刃で表層から層境界手前まで削り取り、10mgサンプリングした。各層、および積層フィルム全体についてそれぞれサンプリングし、上記の方法に従って、各層についてエポキシ化合物Aの組成および含有量を求めた。
(2)無機ハロゲン化合物Bの組成および含有量
イオンクロマト法により、無機ハロゲン化合物Bの組成を同定し、添加された成分Bの定量を行った。積層フィルムの場合は(1)と同様の手法で各層、および積層フィルム全体についてそれぞれサンプリングを行い、イオンクロマト法により測定した。
(3)白色顔料Cの組成、含有量
組成については、(2)と同様のICP−MS分析によりその組成を定性・半定量分析した。含有量については、フィルムサンプル約10mgをアルミニウム製パンに積載して熱重量分析計(SII社製TG/DTA200)に装着し、大気雰囲気下25℃から20℃/分の速度で550℃まで昇温させ、重量残存率を読み取り、白色顔料の含有量とした。
積層フィルムの場合は各層、および積層フィルム全体についてそれぞれ(1)と同様にサンプリングし、上記の方法に従って、各層について白色顔料Cの組成および含有量を求めた。
(4)フィルム厚み、各層厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製 K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルムの厚みとした。
各層厚みについては、フィルムから試料を三角形に切り出し包埋カプセルに固定後、エポキシ樹脂で包埋し、包埋されたサンプルをミクロトーム(ULTRACUT−S)で縦方向に平行な断面を50nm厚の薄膜切片にした後、透過型電子顕微鏡を用いて加速電圧100kvにて観察撮影し、写真から各層厚みを測定し、平均厚みを求めた。
(5)極限粘度数(η)
サンプルを重量比6:4のフェノール:テトラクロロエタン混合溶媒に溶解後、35℃の温度にて測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いた。
ηsp/C=[η]+K[η]・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml)、Kはハギンス定数である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。なおポリエステル以外に、白色顔料など上記溶媒に不溶な成分を含む際は、予めそのポリエステル成分の重量比率を測定しておき、η値を重量比率で割ることでポリマー自体の極限粘度数を得た。
(6)末端カルボキシル基濃度
サンプル10mgをHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール):重クロロホルム=1:3の混合溶媒0.5mlに溶解してイソプロピルアミンを数滴添加し、H−NMR法(50℃、600MHz)により定量した。
(7)耐加水分解性
フィルムの縦方向に100mm長、横方向に10mm幅に切り出した短冊状の試料片を、温度121℃、湿度100%RHに設定した環境試験機内に所定時間放置する。その後試料片を取り出し、試料の縦方向の破断伸度を5回測定し、平均値を求めた。引張試験は東洋ボールドウィン社製(商品名「テンシロン」)を用いておこない、チャック間距離50mm、引張速度50mm/minにて実施した。同様に上記処理を行わない試験片について試料の縦方向の破断伸度を5回測定し、平均値を求めた。
処理後の縦方向の破断伸度平均値を処理前の縦方向の破断伸度平均値で割った値をその処理時間についての破断伸度保持率[%]とした。
上記環境試験機内での処理時間は10時間きざみで行い、それぞれの時間について破断伸度保持率をそれぞれ算出し、破断伸度保持率が50%をまたぐ隣接する2データのうち処理の短いほうの時間を破断伸度半減期と定義する。耐加水分解性を破断伸度半減期に応じて以下の通りランク付けした。
S: 110時間 ≦ 破断伸度半減期
A: 90時間 ≦ 破断伸度半減期 < 110時間
B: 70時間 ≦ 破断伸度半減期 < 90時間
C: 50時間 ≦ 破断伸度半減期 < 70時間
D: 破断伸度半減期 < 50時間
(8)異物欠点(表面外観性)
フィルムサンプルについて、暗室内でLED光反射検査を行い、長辺0.1mmを超える内部異物の数をカウントした。フィルム1mあたりの評価結果を下記の基準で評価した。積層構成のフィルムの場合、測定方法(1)をもとにエポキシ化合物Aの含有量が相対的に多い層から観察を行った。また透明性の高いフィルムなど反射法で観察しにくい場合は、反射検査に代えて透過検査を用いてもよい。
A: 異物個数/1m < 3個
B: 3個 ≦ 異物個数/1m < 15個
C: 15個 ≦ 異物個数/1m
(参考例1) ポリエステルの製造(PEs−a)
エステル交換反応容器にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを60重量部、酢酸マンガン四水和物を仕込み、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、生成するメタノールを反応容器外へ留出させた。メタノールの留出が終了したらフェニルホスホン酸を添加し、エステル交換反応を終了させた。その後反応物を重縮合装置に移行し、酸化アンチモンおよび酢酸チタンの両方を添加した。
次いで重合装置内の温度を235℃から290℃まで90分かけて昇温し、同時に装置内の圧力を大気圧から100Paまで90分かけて減圧した。重合装置内容物の撹拌トルクが所定の値に達したら装置内を窒素ガスで大気圧に戻して重合を終了した。重合装置下部のバルブを開いて重合装置内部を窒素ガスで加圧し、重合の完了したポリエチレンテレフタレートをストランド状にして水中に吐出した。ストランドはカッターによってチップ化した。得られたポリマーの極限粘度数は0.64dl/g、末端カルボキシル基濃度は17当量/トン、触媒、リン化合物の濃度は、Mnが30mmol%、Sbが20mmol%、Tiが3mmol%、フェニルホスホン酸が15mmol%であった。これをPEs−aと称する。
(参考例2) ポリエステルの製造(PEs−b)
参考例1で得られたポリマー(PEs−a)を150〜160℃で3時間予備乾燥した後、210℃、100トール、窒素ガス雰囲気下で7時間固相重合を行った。固相重合後の極限粘度数は0.77dl/g、末端カルボキシル基濃度は10当量/トンであった。これをPEs−bと称する。
(参考例3) ポリエステルの製造(PEs−c)
参考例2で得られたポリマー(PEs−b)60重量%と堺化学株式会社製ルチル型酸化チタン粒子TCR−52(平均粒径0.2μm)を40重量%とをブレンドし、二軸混練機に供給して280℃で溶融した。溶融混練したポリエステル組成物をストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。これをPEs−cと称する。
(参考例4) ポリエステルの製造(PEs−d)
予め225部のオリゴマーが滞留する反応器内に、撹拌下、窒素雰囲気で255℃、常圧下に維持された条件下に、179部の高純度テレフタル酸と95部のエチレングリコールとを混合して調製されたスラリーを一定速度供給し、反応で発生する水とエチレングリコールを系外に留去ながら、エステル化反応を4時間し反応を完結させた。この時のエステル化率は98%以上で、生成されたオリゴマーの重合度は約5〜7であった。このエステル化反応で得られたオリゴマー225部を重縮合反応槽に移し、重縮合触媒として、テトラブトキシチタネート0.018重量部を投入した。引き続き系内の反応温度を255から280℃ 、また、反応圧力を常圧から60Paにそれぞれ段階的に上昇及び減圧し、反応で発生する水、エチレングリコールを系外に除去しながら重縮合反応を行った。重縮合反応の進行度合いを、系内の撹拌翼への負荷をモニターしなから確認し、所望の重合度に達した時点で、反応を終了した。その後、系内の反応物を吐出部からストランド状に連続的に押し出し、冷却、カッティングして、約3mm程度の粒状ペレットを得た。この時の重縮合反応時間は110分間であり、得られたポリエチレンテレフタレートペレットの固有粘度は0.52dl/gであった。これをPEs−dと称する。
(参考例5) ポリエステルの製造(PEs−e)
参考例4で得られたポリマー(PEs−d)を220℃、15時間真空下で固相重合して得られたペレット(固有粘度0.78dl/g、カルボキシル末端基濃度9.0当量/トン)を、25℃、0.5重量%の酢酸カリウム塩水溶液を入れた容器に入れて4時間接触処理させ、引き続き、酢酸カリウム塩水溶液を除いた後160℃にて5時間、窒素気流下で乾燥させた。これをPEs−eと称する。
(参考例6) ポリエステルの製造(PEs−f)
参考例5で得られたポリマー(PEs−e)60重量%と堺化学株式会社製ルチル型酸化チタン粒子TCR−52(平均粒径0.2μm)40重量%とをブレンドし、二軸混練機に供給して280℃で溶融した。溶融混練したポリエステル組成物をストランド状にして水中に吐出し、カッターによってチップ化した。これをPEs−fと称する。
(参考例7) ポリエステルの製造(PEs−g)
エステル交換反応後にエポキシ化合物の反応触媒としてヨウ化カリウム(以下、B1と表記する)を0.26重量%(基準:ポリエステル100重量%、テレフタル酸成分対比で金属イオン換算0.50mol%に相当)、20重量%エチレングリコールスラリーとして添加する以外は参考例1と同様にして、ポリエステルチップを得た。これをPEs−gと称する。
(参考例8) ポリエステルの製造(PEs−h)
エステル交換反応後にエポキシ化合物の反応触媒として臭化カリウム(以下、B2と表記する)を0.24重量%(基準:ポリエステル100重量%、テレフタル酸成分対比で金属イオン換算0.50mol%に相当)、20重量%エチレングリコールスラリーとして添加する以外は参考例1と同様にして、ポリエステルチップを得た。これをPEs−hと称する。
(参考例9) ポリエステルの製造(PEs−i)
エステル交換反応後にエポキシ化合物の反応触媒としてヨウ化ナトリウム(以下、B3と表記する)を1.04重量%(基準:ポリエステル100重量%、テレフタル酸成分対比で金属イオン換算0.50mol%に相当)、20重量%エチレングリコールスラリーとして添加する以外は参考例1と同様にして、ポリエステルチップを得た。これをPEs−iと称する。
(参考例10) ポリエステルの製造(PEs−j)
エステル交換反応後にエポキシ化合物の反応触媒として臭化ナトリウム(以下、B4と表記する)を1.04重量%(基準:ポリエステル100重量%、テレフタル酸成分対比で金属イオン換算0.50mol%に相当)、20重量%エチレングリコールスラリーとして添加する以外は参考例1と同様にして、ポリエステルチップを得た。これをPEs−jと称する。
[実施例1]
表1に示した配合比で層Xのポリエステル原料をそれぞれ混合し、回転式真空乾燥機にて180℃で3時間乾燥した後、押出機1のフィードポケットに供給し、285℃で溶融押出しした。同時に、エポキシ化合物Aとして商品名「カーデュラE10P」(ネオデカン酸グリシジルエステル、モメンティブスペシャリティケミカルズ(株)製、以下「A」と表記する)を表2に記載の配合量となるよう、チューブポンプを用いてフィードポケット側部から添加した。層Yについても層Xと同様に表1に示した配合比で混合・乾燥を行い、押出機2に供給し285℃で溶融押出しした。
それぞれの押出機で溶融した樹脂組成物を2層フィードブロック装置を使用して合流させ、その積層状態を保持したままスリットダイよりシート状に成形した。各樹脂の供給量は、層Xと層Yの厚み比率が80%:20%となるように調整し、冷却ドラムに接触する側の面は層Xとした。以上の条件におけるエポキシ化合物A、無機ハロゲン化合物B1、白色顔料Cの含有量を表2に示している。さらにこのシートを静電密着法により表面温度20℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを100℃にて長手方向(縦方向)に3.2倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、130℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向(横方向)に3.5倍延伸した。その後、テンター内で222℃に加熱された雰囲気中で15秒間熱固定を行い、横方向に3%幅入れを行い、続いて両端を切り落として長手方向に2%熱弛緩した後、室温まで冷やして厚み50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの極限粘度数は0.582g/dl、カルボキシル末端基数は8.4当量/トン、特性は表2の通りであった。得られたフィルムは長期にわたり耐加水分解性に優れており、異物発生も少なく表面外観に優れるため太陽電池保護膜として好適に利用できる。
[実施例2−3]
エポキシ化合物Aの配合量を表2の通り変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであった。得られたフィルムは長期にわたり耐加水分解性に優れており、異物発生も少なく表面外観に優れるため太陽電池保護膜として好適に利用できる。
[比較例1]
エポキシ化合物Aの配合量を表2の通り変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであった。過剰量のエポキシ化合物Aに由来するゲル状異物欠点が多発した。かつ、エポキシ化合物Aの未反応分の分解を起点としてポリエステル樹脂の分解も促進され、太陽電池保護膜として利用するうえでは耐加水分解性が不足していた。
[比較例2]
エポキシ化合物Aの配合量を表2の通り変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであった。エポキシ化合物Aの配合量が不十分であることから耐加水分解性効果が不十分であり、太陽電池保護膜として利用するうえでは耐加水分解性が不足していた。
[比較例3]
表2の通り、エポキシ化合物Aを添加しないよう変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。得られたフィルムの極限粘度数は0.598g/dl、カルボキシル末端基数は22.5当量/トン、特性は表2の通りであった。エポキシ化合物Aを含まないことから、太陽電池保護膜として利用するうえでは耐加水分解性が不足していた。
[実施例4−6]
表1の通りチップの種類を変更することで無機ハロゲン化合物Bの種類を表2の通り変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであり、太陽電池保護膜として好適に利用できるレベルであった。
[実施例7−8]
表1の通りチップ配合比を変更することで無機ハロゲン化合物B1の配合量を表2の通り変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであった。太陽電池保護膜として好適に利用できるレベルであった。
[比較例4]
表1の通りチップ配合比を変更することで無機ハロゲン化合物B1の配合量を表2の通り変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであった。無機ハロゲン化合物B1の配合量が不足していたためエポキシ化合物Aの反応性が乏しく、太陽電池保護膜として利用するうえでは耐加水分解性が不足していた。また、未反応のエポキシ化合物Aに由来するゲル状異物欠点が発生し、表面外観性に乏しかった。
[比較例5]
表1の通りチップ配合比を変更することで、表2の通り無機ハロゲン化合物Bを添加しないよう変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであった。無機ハロゲン化合物Bを含まないためエポキシ化合物Aの反応性が乏しく、太陽電池保護膜として利用するうえでは耐加水分解性が不足していた。また、未反応のエポキシ化合物Aに由来するゲル状異物欠点が発生し、表面外観性に乏しかった。
[実施例9]
表1の通りチップ配合比を変更することでフィルムを構成するポリエステル樹脂の種類を変更する以外は実施例1と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであった。得られたフィルムは長期にわたり耐加水分解性に優れており、異物発生も比較的少なく表面外観に優れるため太陽電池保護膜として好適に利用できる。
[実施例10]
未延伸シートを得るまでの工程は実施例1と同様に操作を行った。未延伸フィルムの両端をクリップで保持しながら同時二軸延伸機に導き、100℃に加熱された雰囲気中で長手方向(縦方向)に3.2倍延伸すると同時に幅方向(横方向)に3.5倍延伸した。その後テンター内でさらに222℃に加熱された雰囲気中で15秒間熱固定を行い、同時に縦方向にクリップ速度差をつけて2%の熱弛緩率とし、また同時に横方向に幅入れ率3%でクリップ幅入れを行い、室温まで冷やしてポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2の通りであった。得られたフィルムは長期にわたり耐加水分解性に優れており、異物発生も少なく表面外観に優れるため太陽電池保護膜として好適に利用できる。
[実施例11]
表1に示した通りの配合比でポリエステル原料をそれぞれ混合し、回転式真空乾燥機にて180℃で3時間乾燥した後、押出機1のフィードポケットに供給し、285℃で溶融押出しした。同時に、エポキシ化合物Aを表2に記載の添加量となるよう、チューブポンプを用いてフィードポケット側部から添加した。このようにして得られた溶融樹脂をスリットダイよりシート状に成形した。以上の条件におけるエポキシ化合物A、無機ハロゲン化合物B1の配合量を表2に示している。さらにこのシートを表面温度20℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを100℃にて長手方向(縦方向)に3.0倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.2倍延伸した。その後テンター内で222℃に加熱された雰囲気中で15秒間熱固定を行い、横方向に3%幅入れを行い、続いて両端を切り落として長手方向に2%熱弛緩した後、室温まで冷やして厚み250μmの単層ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性は表2の通りであった。得られたフィルムは長期にわたり耐加水分解性に優れており、異物発生も少なく表面外観に優れるため、太陽電池保護膜、特に裏面保護膜の内面用フィルムとして好適に利用できる。
[実施例12]
表1の通りチップ配合比を変更し、白色顔料を添加した以外は実施例11と同様に操作を行い、フィルムを得た。特性は表2の通りであった。実施例11にくらべると若干耐加水分解性、表面外観が低下したものの、太陽電池保護膜、特に裏面保護膜の内面用フィルムとして利用できるレベルであった。
Figure 2016180054
Figure 2016180054
本発明によれば、高温・多湿などの過酷な自然環境下で長時間使用しても機械的性質の低下が抑制され、かつ異物・ゲル欠点の少ない、耐加水分解性とフィルム外観性に優れるポリエステルフィルムを提供することができる。

Claims (11)

  1. ポリエステルをポリマー成分とし、エポキシ化合物Aおよびエポキシ化合物の反応触媒を含有する層を含むポリエステルフィルムであって、該反応触媒が無機ハロゲン化合物Bであり、該エポキシ化合物Aの含有量がフィルムの重量を基準として0.15〜2.5重量%、該無機ハロゲン化合物Bの含有量がフィルムの重量を基準として0.0015〜0.045重量%であることを特徴とするポリエステルフィルム。
  2. 前記エポキシ化合物Aが単官能エポキシ化合物である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記エポキシ化合物Aが脂肪酸グリシジルエステル化合物である、請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記無機ハロゲン化合物Bを構成するハロゲン化物イオンが臭化物イオンまたはヨウ化物イオンである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 温度121℃、湿度100%RHでエージングしたときのフィルムの伸度半減期が70時間以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  6. フィルム重量を基準として白色顔料Cを2.5〜18重量%含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. 前記白色顔料Cがルチル型酸化チタンである、請求項6に記載のポリエステルフィルム。
  8. 層Xおよび層Yの少なくとも2層からなり、前記エポキシ化合物A、前記無機ハロゲン化合物Bおよび前記白色顔料Cがそれぞれ少なくとも1つの層に含有される、請求項6または7に記載のポリエステルフィルム。
  9. 前記エポキシ化合物Aおよび前記無機ハロゲン化合物Bが少なくとも層Xに含有され、前記層Xにおける白色顔料濃度Cxが層Xの重量を基準として0〜10重量%、前記層Yにおける白色顔料濃度Cyが層Yの重量を基準として5〜25重量%であり、かつ該白色顔料濃度Cyが該白色顔料濃度Cxより大きい、請求項8に記載のポリエステルフィルム。
  10. 単層のフィルムであって、フィルム重量を基準として白色顔料Cを2.5重量%未満含有する、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  11. 太陽電池部材あるいは燃料電池部材に用いられる請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013503958A (ja) * 2009-09-08 2013-02-04 デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ 耐加水分解性ポリエステルフィルム

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