JP2016179990A - 創傷の治癒を促進する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】創傷の治癒を促進し、瘢痕形成を低減するための医薬品の提供。
【解決手段】外傷又は創傷の治癒を促進するのに有効な量の薬学的に許容可能なリラキシンを含む医薬組成物。
【効果】繊維芽細胞増殖を誘導するTGF−βコラーゲン及びコラーゲンの生成の抑制し、創傷又は切傷の治癒の促進、創傷の再上皮化を促進、創傷の治癒時の瘢痕化の低減又は防止を行い、LGR7及びLGR受容体が、リラキシンの結合により、活性化し、一酸化窒素(NO)の生成を引き起す。
【選択図】なし

Description

関連出願
本願は、2008年5月16日に出願された米国仮特許出願第61/127,947号
の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、すべての目的のため
に全体を参照によって本明細書に引用したものとする。
分野
本開示は、創傷の治癒を促進し、瘢痕形成を低減する方法に関する。本明細書に記載さ
れる方法には、リラキシンの投与が用いられる。
創傷は、目立つ外観の悪い瘢痕を残して治癒することが多く、結果としてもたらされる
組織は通常、周囲の組織より弱い。それは、コラーゲンが本来の配向で治癒しないためで
ある。例えば、盛り上がった瘢痕の形成を低減するために皮膚の表面にシリコンシートを
貼るなどの、創傷の治癒を増進し瘢痕形成を低減するさまざまなアプローチが試みられて
きた。いくつかの局所用クリームおよびゲルも瘢痕の外観を改善すると主張する瘢痕用の
治療薬として販売されている。しかしながら、これらのアプローチの多くは、主張した解
決をもたらせない。例えば、瘢痕の低減を促進する局所用クリームは、盲検試験が行われ
ても有効性が示されていない。これは、局所用クリームが創傷後に再形成されるコラーゲ
ンネットワークについて対処していないためである。
米国で2004年に合計4200万の外科手技に対して行われたThe Mattso
n Jackグループによる市場調査によると、34パーセントの患者で治癒が損なわれ
ているリスクが高かった。この調査によると、市場で現在受けられる治療に対しての満足
度は低く、外科的な治癒を加速する治療薬に対して関心が高いことが示された。よって、
創傷の治癒を促進するための効果的な薬物療法を提供することに対してはっきりとした市
場ニーズが存在している。特に、急性創傷(例えば、穿通創、熱傷、神経損傷または選択
的手術によって生じる創傷も)、慢性創傷(例えば、糖尿病性、静脈性および褥瘡性潰瘍
など)の場合または全般的に治癒に障害のある個人(例えば、高齢者もしくは糖尿病の個
人)にとって、治癒速度を速めることが望ましいことが多い。これらの例すべてにおいて
、創傷は、個人のクオリティオブライフに重大な影響を及ぼす可能性があり、または結果
として死に至ることさえある。例えば、創傷部の細菌感染により、治癒過程が妨害され、
生命を脅かす合併症に至ることがある。よって、臨床的に可能な限り治癒速度を速めるこ
とが望ましい。
創傷の治癒過程は、負傷した瞬間から始まり数か月から数年間続くこともある複雑な一
連の事象である。特に成人の組織における創傷の治癒は複雑な修復過程である。例えば、
皮膚の治癒過程には、創傷部に対する特殊化したさまざまな細胞のリクルート、細胞外マ
トリックスおよび基底膜の沈着、血管形成、特異的プロテアーゼ活性ならびに再上皮化が
含まれる(SingerおよびClark、The New England Jour
nal of Medicine、341:738〜743ページ、1999年)。
創傷の治癒過程には明確な3つの段階がある。第1に、一般に創傷が生じた瞬間から最
初の2から5日までに起こる炎症期には、血小板が凝集して顆粒が沈着する。これが、フ
ィブリンの沈着を促進して、増殖因子の放出を刺激する。白血球が創傷部に移動し、消化
を開始し、創傷から壊死組織片を運び去る。この炎症期の間、さらに単球がマクロファー
ジに転換され、血管形成および線維芽細胞の生成を刺激する増殖因子を放出する。
第2に、一般に2日から3週までに起こる増殖期には、肉芽組織が形成され、上皮化が
始まる。この段階で重要な細胞の種類である線維芽細胞は、増殖し、コラーゲンを合成し
て創傷を塞ぎ、上に上皮細胞が増殖する強いマトリックスを提供する。線維芽細胞がコラ
ーゲンを生成するにつれ、近くの血管から新生の血管が伸びて、再生組織に栄養分が供給
される。血管のこの赤いループにより、創傷が粒状に見えることから、「肉芽形成」組織
と呼ばれる。上皮化には、創傷表面から上皮細胞が移動して創傷を塞ぐことが含まれる。
同種の細胞同士が接触する必要性により上皮細胞が動かされ、それらの細胞が上を移動す
る格子として機能する、フィブリン鎖のネットワークによって誘導される。筋線維芽細胞
と呼ばれる収縮性細胞が創傷に現れ、創傷閉鎖を助ける。筋線維芽細胞は、コラーゲン合
成および収縮性を示し、創傷の肉芽形成時に一般的である。
第3に、3週から最大数年までに起こることがある、創傷の治癒の最終段階である再構
築期には、瘢痕でコラーゲンの分解と再合成とが繰り返される。この段階の間に、新たに
形成された皮膚の抗張力が増す。
一方、創傷の治癒の速度が増すと、瘢痕形成の増加を伴うことが多い。瘢痕化は、大部
分の成体動物および成人ヒトの組織での治癒過程の結果である。瘢痕組織は、通常、機能
的質が劣っているため、瘢痕組織が取って代わる組織と同一ではない。例えば、皮膚の瘢
痕は紫外線照射に対しての抵抗性が低く、瘢痕組織内では汗腺および毛包がもとの状態に
は戻らない。瘢痕の種類には萎縮性、肥厚性およびケロイド性瘢痕ならびに瘢痕拘縮が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。萎縮性瘢痕は、平らで、くぼみまたは穴
のように周辺の皮膚より下に陥没している。肥厚性瘢痕は、本来の損傷の境界内にとどま
っている隆起した瘢痕であり、異常なパターンで配列された過剰なコラーゲンが含まれる
ことが多い。ケロイド性瘢痕は、本来の創傷の周縁部を越えて広がり部位特異的に周囲の
正常な皮膚に浸潤する隆起した瘢痕であり、異常な様式で配列した渦巻き状のコラーゲン
が含まれることが多い。瘢痕拘縮は、関節をまたぐか、または皮膚が直角にしわになる瘢
痕であり、縮みまたは拘縮に発展する傾向がある。瘢痕拘縮は、瘢痕が完全にできあがっ
ていないうちに生じ、肥厚する傾向が高く、一般に障害を引き起こし機能障害をもたらす
ものである。瘢痕化は、虚血性または線条であることもある。虚血性の瘢痕(Ischemic s
car)は、局所的に血液供給が不足することにより生じる。線条瘢痕は、皮膚が急速に伸
展する場合(例えば、妊娠中の著しい体重増加もしくは青年期の急成長)、または治癒過
程中に皮膚が張力を受けている場合(通常、関節付近)に形成される。通常、この種類の
瘢痕は、数年後には外観が改善される。
一方、正常な皮膚はかごの編目状に配列されたコラーゲン線維からなり、これが真皮の
強度および弾力性の双方をもたらす。したがって、より順調な創傷の治癒過程を達成する
ためには、コラーゲン生成を刺激するだけでなく、瘢痕形成を低減するためにより組織化
された配列でコラーゲンが横たわるアプローチが望ましい。本開示は、満たされていない
この需要に対処するものである。
本開示は、概して創傷の治癒を改善し、瘢痕形成を低減する方法を提供する。本開示の
態様は、外傷または創傷の治癒を促進する方法、創傷の再上皮化を促進する方法、創傷が
治癒する間に瘢痕化するのを低減する方法、創傷が治癒する間に瘢痕化するのを防止する
方法、皮膚創傷の、線維芽細胞増殖を誘導するTGF−βコラーゲンおよびコラーゲンの
生成を抑制する方法ならびに損なわれた外観(appearance of disfiguration)を改善す
る方法に関する。
創傷は、切開、引き裂き、擦過、穿刺、貫通、銃撃、刺すことならびに顔面および全身
の、形成および再建手術によって生じることもある。創傷の治癒を増進し、瘢痕形成を低
減するために、シリコンシートおよび局所用クリームなどのさまざまなアプローチが試み
られてきたが、これらのアプローチの多くは望ましい効果を達成できない。したがって、
本開示は、この需要に対処する新しい治療的アプローチを提供する。この開示の利点の1
つは、リラキシンが創傷の治癒速度を増加させることである。本開示の別の利点は、リラ
キシンが創傷部の強度を改善することである。さらに別の利点は、リラキシンの投与によ
り瘢痕形成を低減する抗線維症作用を刺激し、線維芽細胞増殖を誘導するTGF−βコラ
ーゲンおよびコラーゲンの生成を抑制することが含まれる。
リラキシンの投与により創傷の治癒は著しく増進される。例えば、齧歯類において、ラ
ットではリラキシンの全身投与がVEGFおよびbFGF転写物のアップレギュレーショ
ンに関与し、負傷した部位における新しい血管の形成を選択的に増加させる(Unemo
riら、Wound Repair and Regeneration、8:366〜
368ページ、2000年)。しかしながら、齧歯類の創傷の治癒メカニズムは、ブタお
よびヒトの創傷の治癒メカニズムとは異なる。したがって、本開示の利点は、本開示が、
創傷の治癒を促進するためおよび瘢痕形成を低減するために、安全で効果的な方法で動物
(ブタなど)およびヒトの皮膚にリラキシンを投与する方法を提供することである。
前述の各方法について、外傷あるいは創傷(開放創、閉鎖創、切創または顔面の形成手
術もしくは全身の形成手術によって生じた創傷であってもよい)のある動物またはヒト対
象(糖尿病の対象を含む)を選択し、外傷または創傷の治癒を促進するのに有効な量の薬
学的に許容可能なリラキシンを含む医薬製剤を投与する。特定の実施形態では、外傷は切
創(表皮の切開創であってもよい)または創傷(開放もしくは閉鎖であってもよい)であ
る。開放創の例としては、切開創、裂創、擦過創、穿刺創、貫通創、射創および刺創が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。閉鎖創の例としては、挫傷または血腫が
挙げられるが、これらに限定されるものではない。特定の実施形態では、創傷の治癒、再
上皮化、または治癒時の瘢痕化の低減が加速される。他の実施形態では、創傷は、全体が
もしくは部分的に痂皮で覆われているか、活性な線維芽細胞を含むか、または急性もしく
は慢性創傷である。さらに別の実施形態では、切創は表皮の切開創である。
本開示の前述の態様について他の実施形態では、創傷は顔面の形成手術または全身の形
成手術などの美容整形手術によって生じたものであってもよい。顔面の形成手術の例とし
ては、皺切除、眼瞼形成術、鼻形成術、耳形成術、頤形成術、頬部除皺術、額除皺術、眉
毛吊り上げ術、顔面の瘢痕修正、顔面の瘢痕除去、レーザー手術、皮膚の表面修復(resu
rfacing)、皺治療、プラズマ皮膚再生、顔面の脂肪移植、皮膚の引き締め、刺青除去お
よび植毛が挙げられるが、これらに限定されるものではない。全身の形成手術の例として
は、腹壁形成術、乳房縮小術、豊胸術、ボディリフト手技、クモ状静脈治療、皮膚線条治
療、脂肪吸引、余剰皮膚切除手術、セルライト減少治療、体形矯正、体の表面修復および
体内インプラントが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特定の実施形態では、特定の受容体を調節することにより、対象の創傷もしくは切創の
治癒の促進、創傷の再上皮化の促進、創傷の治癒時の瘢痕化の低減もしくは防止または創
傷の、線維芽細胞増殖を誘導するTGF−βコラーゲンおよびコラーゲンの生成の抑制が
起こる。特に、LGR7およびLGR8受容体は、リラキシンの結合によって活性化され
、この結合が一酸化窒素(NO)の生成を引き起こす。他の実施形態では、外傷部のまわ
りの血管拡張を増大すること、創傷部で組織の肉芽形成を低減すること、創傷部で慢性炎
症を低減すること、創傷部で壊死を低減すること、創傷部でコラーゲンの組織化を増進す
ること、創傷部の組織構造を改善すること、創傷部の強度を増すことおよびそれらの組合
せによってリラキシンが創傷または切創の治癒を促進する。前述の方法は、皮膚創傷の再
上皮化を促進すること、瘢痕化を低減すること、瘢痕化を防止することならびに線維芽細
胞増殖を誘導するTGF−βコラーゲンおよびコラーゲンの生成を抑制することをさらに
含む。特定の実施形態では、再上皮化には、創傷部のまわりの血管拡張を増大すること、
創傷部で組織の肉芽形成を低減すること、創傷部で慢性炎症を低減すること、創傷部で壊
死を低減すること、創傷部でコラーゲンの組織化を増進すること、創傷部の組織構造を改
善することおよび/または創傷部の強度を増すことが含まれるが、これらに限定されるも
のではない。他の実施形態では、皮膚創傷の再上皮化は、さらに瘢痕化を低減する、瘢痕
化を防止するかつ/または線維芽細胞増殖を誘導するTGF−βコラーゲンおよびコラー
ゲンの生成を抑制する。
本開示の医薬製剤に使用されるリラキシンは、例えば、合成または組換え型リラキシン
が可能である。一実施形態では、リラキシンはヒトリラキシンである。本開示の別の実施
形態では、リラキシンは、H2ヒトリラキシンである。さらに別の実施形態では、リラキ
シンは、合成または組換え型H2ヒトリラキシンである。このように、合成または組換え
型ヒトリラキシンの医薬製剤で対象を治療することができる。本開示の別の実施形態では
、合成H2ヒトリラキシンで対象を治療する。さらに別の実施形態では、組換え型H2ヒ
トリラキシンで対象を治療する。
リラキシンは、以下に限定されるものではないが、局所、皮下、全身、筋肉内、舌下、
静脈内、吸引、注入、洗浄および/または浸透圧ポンプ(例えば、マルチチャンバー型浸
透圧ポンプシステム(multi-chamber osmotic pump system))などの多くの異なる経路
によって対象に投与することができる。例えば、局所送達には以下に限定されるものでは
ないが、ローション、ゲル、クリーム、溶液および包帯(リラキシンが包帯のガーゼに送
達され、湿潤創傷に適用されると創傷部に放出されることになる)が含まれうる。特定の
実施形態では、徐々に速度を遅くしてリラキシンを投与した。リラキシンの血清中濃度を
約0.5から約500ng/mL、より好ましくは約0.5から約300ng/mLおよ
び最も好ましくは約3から約75ng/mLに維持するよう、速度をあらかじめ決定でき
る。可能な範囲は約1から約50ng/mLであり、好ましい血清中濃度は20ng/m
Lである。他の実施形態では、リラキシンが1日あたり対象の体重をもとに約10から1
000μg/kgの範囲の量で投与される。さらに別の実施形態では、リラキシンの用量
は、10、30、100および250μg/kg/日である。さらに別の実施形態では、
これらの用量は、それぞれ約3、10、30および75ng/mLのリラキシンの血清中
濃度をもたらす。さらに別の実施形態では、1日あたり体重をもとに約960μg/kg
としてリラキシンが投与されることが好ましい。いかなる用量レベルについても、治療効
果が得られるのに十分な期間にわたってリラキシンが投与されてもよい。
特定の実施形態では、上記の方法には、治癒を加速するために創傷を洗浄することを含
めてもよい。リラキシンは、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤とともに投与
することができ、ローション、ゲル、クリームおよび/または溶液の形態で組み合わされ
てもよい。他の実施形態では、リラキシンは、創傷浸透促進剤(wound penetration enha
ncer)と組み合わせて投与される。リラキシンは、NSAIDまたは抗生物質などの少な
くとも1つの薬学的に活性な他の薬剤と組み合わせて投与することもできる。さらに別の
実施形態では、治療効果が得られるのに十分な期間にわたってリラキシンが投与される。
本開示の他の態様は、外傷を治療する方法、創傷を再上皮化する方法、皮膚創傷が治癒
する間に瘢痕化するのを防止または低減する方法であって、薬学的に活性な合成ヒトリラ
キシンが対象に投与される方法を提供する。これには、1日あたり体重をもとに約10か
ら約1000μg/kgの範囲の用量を含む注入可能な製剤が含まれ、リラキシンは治療
効果が得られるのに十分な期間にわたって投与される。一実施形態では、対象はヒト対象
である。他の実施形態では、外傷は、表皮の切開創であることもある切創、または開放も
しくは閉鎖であることもある創傷である。開放創の例としては、切開創、裂創、擦過創、
穿刺創、貫通創、射創および/または刺創が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。さらに別の実施形態では、製剤は注入可能なものである。
さらに別の態様では、本開示は、皮膚創傷が治癒する間に瘢痕化するのを防止または低
減する方法であって、薬学的に活性な合成ヒトリラキシンが1日あたり体重をもとに約1
0から約1000μg/kgの範囲の量で対象に投与され、対象において治療効果が得ら
れるのに十分な期間にわたって投与され続ける方法を提供する。一実施形態では、対象は
ヒト対象である。別の実施形態では、創傷は、開放創または閉鎖創である。さらに別の実
施形態では、開放創には、切開創、裂創、擦過創、穿刺創、貫通創、射創および刺創が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。さらに別の実施形態では、瘢痕化には、
ケロイド、肥厚性、虚血性および線条が挙げられるが、これらに限定されるものではない
。さらに別の実施形態では、まず既存の瘢痕組織が取り除かれる。さらに別の実施形態で
は、製剤は注入可能なものである。
本開示は、上述のとおり、(糖尿病の対象を含む)ヒト対象の外傷の治癒を促進するた
めに用いるリラキシン;(糖尿病の対象を含む)ヒト対象の創傷の治癒を促進するために
用いるリラキシン;(糖尿病の対象を含む)ヒト対象の創傷の再上皮化を促進するために
用いるリラキシン;(糖尿病の対象を含む)ヒト対象の創傷が治癒する間に瘢痕化するの
を低減するために用いるリラキシン;(糖尿病の対象を含む)ヒト対象の創傷が治癒する
間に瘢痕化するのを防止するために用いるリラキシン;(糖尿病の対象を含む)ヒト対象
の創傷の、線維芽細胞増殖を誘導するTGF−βコラーゲンおよびコラーゲンの生成を抑
制するために用いるリラキシン;ならびに(糖尿病の対象を含む)ヒト対象の損なわれた
外観を改善するために用いるリラキシンをさらに包含する。
本開示は、さらに皮膚創傷の表面的外観(cosmetic appearance)を改善する方法であ
って、未処置の対象の治癒後の創傷と比較して改善された表面的外観を有する治癒後の創
傷をもたらすのに有効な量の薬学的に活性なリラキシンを含む医薬製剤を皮膚創傷を有す
る対象に投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、改善された表面
的外観を有する治癒後の創傷は、周辺の皮膚とのより近い色の一致を含む(より滑らかな
質感、周辺の皮膚の歪みの低減、周辺の皮膚に対するより良い外形および包括的な症状が
ないこと)。いくつかの好適な実施形態では、改善された表面的外観を有する治癒後の創
傷は、コラーゲン線維が編み合わさって配列されたものをさらに含む。いくつかの実施形
態では、リラキシンは、精製、組換え型または合成ヒトリラキシンである。いくつかの好
適な実施形態では、リラキシンはH1、H2またはH3ヒトリラキシンであり、他の実施
形態では、リラキシンは、リラキシン作動薬である。いくつかの好適な実施形態では、リ
ラキシンは、対象に全身投与され、かつ/または皮膚創傷に局所投与される。いくつかの
実施形態は、皮膚創傷を洗浄することをさらに含む。さらに、いくつかの実施形態では、
医薬製剤は、抗生物質および非ステロイド系抗炎症薬のうち1つまたはその両方をさらに
含む。いくつかの実施形態では、対象は、治癒能力が損なわれた(例えば、糖尿病の、高
齢の)ヒト対象である。
さらに、本開示は、皮膚創傷が治癒する間に瘢痕化するのを低減する方法であって、未
処置の対象の治癒後の創傷と比較して瘢痕化が低減された治癒後の創傷をもたらすのに有
効な量の薬学的に活性なリラキシンを含む医薬製剤を皮膚創傷を有する対象に投与するこ
とを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、瘢痕化は、ケロイド、肥厚性瘢痕お
よび線条からなる群から選択される。いくつかの好適な実施形態では、本方法は、デブリ
ードマンまたは既存の瘢痕組織の除去をさらに含む。いくつかの実施形態では、リラキシ
ンは、精製、組換え型または合成ヒトリラキシンである。いくつかの実施形態では、リラ
キシンは、H1、H2またはH3ヒトリラキシンであり、他の実施形態では、リラキシン
は、リラキシン作動薬である。いくつかの好適な実施形態では、リラキシンは、対象に全
身投与され、かつ/または皮膚創傷に局所投与される。いくつかの方法は、皮膚創傷を洗
浄することをさらに含む。さらに、いくつかの実施形態では、医薬製剤は、抗生物質およ
び非ステロイド系抗炎症薬のうち1つまたはその両方をさらに含む。いくつかの実施形態
では、対象は、治癒能力が損なわれた(例えば、糖尿病の、高齢の)ヒト対象である。
本開示は、さらに創傷の治癒を促進する方法であって、創傷の治癒を促進するのに有効
な量の薬学的に活性なリラキシンを含む医薬製剤を創傷を有する対象に投与することを含
む方法を提供する。いくつかの実施形態では、創傷は、形成手術によって生じるものであ
る。いくつかの実施形態では、形成手術は、皺切除、眼瞼形成術、鼻形成術、耳形成術、
頤形成術、頬部除皺術、額除皺術、眉毛吊り上げ術、顔面の瘢痕修正、顔面の瘢痕除去、
レーザー手術、皮膚の表面修復、皺治療、プラズマ皮膚再生、顔面の脂肪移植、皮膚の引
き締め、刺青除去および植毛からなる群から選択される顔面の形成手術である。他の実施
形態では、形成手術は、腹壁形成術、乳房縮小術、豊胸術、ボディリフト手技、クモ状静
脈治療、皮膚線条治療、脂肪吸引、余剰皮膚切除手術、セルライト減少治療、体形矯正、
体の表面修復および体内インプラントからなる群から選択される全身の形成手術である。
いくつかの実施形態では、リラキシンは、精製、組換え型または合成ヒトリラキシンであ
る。いくつかの好適な実施形態では、リラキシンは、H1、H2またはH3ヒトリラキシ
ンであり、他の実施形態では、リラキシンは、リラキシン作動薬である。いくつかの好適
な実施形態では、リラキシンは、全身および/または局所投与される。さらに、いくつか
の好適な実施形態では、医薬製剤は、抗生物質および非ステロイド系抗炎症薬のうち1つ
またはその両方をさらに含む。いくつかの実施形態では、対象は、治癒能力が損なわれた
(例えば、糖尿病の、高齢の)ヒト対象である。
本開示は、好適な実施形態を説明するのに役立つ添付の図とともに読むと、最もよく理
解される。ただし、当然のことながら、本開示は図に開示した特定の実施形態に限定され
るものではない。
図1A:大きさおよび形状がインスリンと類似したペプチドホルモンであるH2リラキシンを示す図である。図1B:ヒトリラキシン2(H2)のB鎖(配列番号:1)およびA鎖(配列番号:2、Xはグルタミン酸[E]またはグルタミン[Q]を表す)のアミノ酸配列である。 図2A:ブタの創傷の位置を示す図である。図2B:生きたブタの創傷の位置を示す写真である。 リラキシンおよびプラセボによる6週間の処置後における若齢ブタの背中の創傷部の写真である。区分3は、最初の1週間、リラキシンで洗浄され、続いて2〜6週目の間、高用量のリラキシン局所製剤で処置された。区分4、5および6は1週目の間は洗浄されなかった。区分4は、プラセボで処置された。区分5は、低用量の局所製剤で処置され、区分6は、高用量の局所製剤で処置された。 6日後の創傷の外観の変化を示す写真である。(A)上の写真は、対照ブタの皮膚を示す。(B)下の写真は、全身性リラキシンが適用された、処置されたブタの皮膚を示す。図からわかるように、リラキシンで処置された創傷は、対照ブタと比較して治癒がより速く良好で、治癒後の皮膚の外観がより滑らかに見える。 皮膚の表面的外観の視覚的評価を示すグラフであり、(A)審美的点数(cosmetic score)を示し、(B)周辺の皮膚との色の一致についての点数を示す。両方の点数は、4および6週目につけた。 6週間の処置後における若齢のブタの創傷部を示す写真である。矢印で示された領域は以下を示す。(A)皮膚が全身性リラキシンで処置された場合の瘢痕が目立たない領域、および(B)皮膚がプラセボで処置された場合の赤い瘢痕が目立つ領域。写真の両側にある黒いマークは本来の創傷の範囲を示す。写真にある目立つ痂皮は、試験中にパンチバイオプシーを採取した場所を示す。 リラキシンで処置した後の創傷部を示す病理組織学的スライドである。 リラキシン処置した肉芽組織とリラキシン処置していない肉芽組織を比較した若齢のブタにおける創傷部の2枚の病理組織学的スライドである。左側のスライド(リラキシン処置なし)では重度の瘢痕化が観察され、右側のスライド(リラキシン処置あり)では軽度の瘢痕化が観察された。スライドは、創傷を受けて6週間後に見られる広範囲に及ぶ肉芽組織を示している。スライドは、さらに肉芽組織の量を低減するリラキシンの効果(右)および結果として正常な外観に回復した組織を示している。 6週間後の創傷部の肉芽組織の量(左)および炎症(右)の採点(盲検法による評価)を示すグラフである。全身性リラキシン処置した創傷(赤)は、全身性リラキシン処置していない創傷(青)より肉芽組織または炎症が有意に低減された。これは、全身送達によりリラキシンで処置されると創傷部がより良好に変化することを示している。 創傷治癒の評価に使用されたコラーゲン修復のスライドである。(A)上側は、相対的に組織化されていないコラーゲンを示している。(B)下側は、良好に治癒したコラーゲンを示している。 全身性リラキシンを投与されていない創傷(左)と比較して全身性リラキシンで処置された創傷(右)の創傷治癒の複合点数が有意に改善されたことを示すグラフである。創傷の点数は、創傷部におけるコラーゲンの主観的外観に基づく3段階評価であり、数が大きいほど治癒が良好であることを示す。点数「1」は、多くの線維が平行な束の状態でまたは一次元的に配列され、大きさもより小さく、よりきつく固まっていることを指す。「2」は、中程度に線維が配列され編まれていることを指す。「3」は、正常な真皮と比較すると大きさが小さいものの正常なパターンと同様の、コラーゲン線維が編み合わさって配列されていることを指し、治癒が最も良好であることを示す。 瘢痕を分類する、瘢痕の新しい採点法を示す顕微鏡写真である。正常な皮膚を(A)、軽度の瘢痕化を(B)、重度の瘢痕化を(C)、瘢痕化を(D)に示す。コラーゲンの束の方向を青、白および橙黄色の色で示している。軽度の瘢痕では、編まれたものは見られるが、細いコラーゲンが含まれている。重度の瘢痕には、主に平面的に配向した非常に細いコラーゲンの束が存在する。スケールは、100ミクロン、コンゴレッド染色、偏光、20×である。 定量的なコラーゲンの採点法を示す図である。フォトショップソフトウェアを用いて「赤み」の割合の算定が行われる。瘢痕周囲をトレースして、赤い画素の平均数を計算する。隣接した正常な領域をトレースして、赤い画素の平均数を計算する。 本試験に適用した客観的なコラーゲン採点法の結果を示すグラフである。全身性リラキシンを投与された創傷(右)は、全身性リラキシンを投与されなかった創傷(左)よりコラーゲンが有意により良好に組織化された。 処置されたイヌの歯肉において注入部位から0.5cm、1.0cmおよび2.0cmの位置で測定した注入後1時間、2時間および4時間において検出されたH2リラキシン(H2 RLX)の濃度を示すグラフである。処置されたイヌの歯肉の評価から、1、2および4時間の3時点のすべてにおいてリラキシン(RLX)が存在していたが、濃度が着実に低下していることが観察された。具体的には、90nM、78nMおよび21nMのH2 RLXがそれぞれ検出された。RLXが歯肉の中を限定的に移動したことが確認された。1時間の時点では、RLXは、注入部位から0.5cmの位置で検出されたが、注入部位から1.0および2.0cmの位置では検出されなかった。残りの時点では、注入部位でのみRLXが検出された。したがって、このグラフにより、注入部位の近くにリラキシンがとどまっていることが明らかに示されている。
総括
本開示は、外傷または創傷の治癒を促進する方法に関する。本開示は、外傷を治療する
方法、創傷の再上皮化を促進する方法ならびに治癒過程で瘢痕化するのを低減および防止
する方法を提示する。本開示は、線維芽細胞増殖を誘導するTGF−βコラーゲンおよび
コラーゲンの生成を抑制する方法ならびに皮膚の損なわれた外観を改善する方法をさらに
提供する。特定の実施形態では、本開示の方法は、例えば高齢者などの手術または外傷後
の治癒が思わしくない患者ならびに糖尿病患者および免疫低下患者などの併存症のある患
者の、創傷の加速および領域の強化に適用するのに特に適している。他の実施形態では、
本開示の方法は、美容整形手術に対する適用性が見いだされている。
本開示は、創傷の治癒および瘢痕の防止の分野で著しい進歩を提示する。臨床治療の場
および臨床治療前の場でリラキシンを創傷に用いると、治癒過程、具体的には再上皮化の
速度を加速する。リラキシンによる処置は、瘢痕化の低減および防止においても治療的に
有効である。リラキシンが、LGR7およびLGR8などの特異的なG−タンパク質共役
型リラキシン受容体を調節できるため、リラキシンのこれらの受容体との結合により、よ
り良好な創傷の治癒および瘢痕の防止をもたらすと考えられている。
リラキシンは、血管内皮増殖因子(VEGF)および線維芽細胞増殖因子(FGF)な
どの血管新生サイトカインを誘導することにより創傷部での新しい血管の成長(血管形成
)も促進する。VEGF放出を刺激することにより、内皮細胞の有糸分裂活性および/ま
たは移動活性を促進する。さらに、組織の修復に極めて重要なのは、細胞の移動および/
または増殖を支持する細胞外骨格を構築することである。多くの細胞タイプのあらゆるも
のからのFGF放出を刺激すると、線維芽細胞の増殖および移動を促進し、これがコラー
ゲンなどの細胞外マトリックス(ECM)成分の生成に関与する。驚くべきことに、本発
明者は、リラキシンの約6週間の処置後、創傷部において血管の全般的な減少をもたらす
、すなわちリラキシン処置の結果として創傷部に見られる赤みが著しく抑えられることを
見いだした。リラキシンは、まずできたばかりの創傷部で新しい血管の成長を促進し、そ
の後、約6週間の処置後にはこれらの新しい血管を減少させ、よりきめ細かく滑らかでよ
り正常に見える皮膚をもたらすため、これは興味深い新規の発見である。
定義
「リラキシン」という用語は、当該技術分野で周知のペプチドホルモンを指す(図1を
参照)。本明細書で使用される場合、「リラキシン」という用語は、インタクトな完全長
ヒトリラキシンまたは生物学的活性を維持しているリラキシン分子の一部などのヒトリラ
キシンを包含する。「リラキシン」という用語は、合成H2ヒトリラキシンおよび組換え
型H2ヒトリラキシンなどの合成ヒトリラキシンおよび組換え型ヒトリラキシンをさらに
意図している。この用語は、リラキシン類似体および生物学的活性を維持したその一部、
ならびに例えばLGR7受容体またはLGR8受容体などのリラキシン受容体から、結合
したリラキシンを競合的に置換する薬剤などの、リラキシン様活性を有する活性薬剤をさ
らに包含する。さらに、ここで使用される場合、ヒトリラキシンの核酸配列は、ヒトリラ
キシンH2の核酸配列と100%同一であってはならないが、ヒトリラキシンH2の核酸
配列と少なくとも約40%、50%、60%、65%、66%、67%、68%、69%
、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%
、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%
、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または9
9%同一であるとよい。リラキシンは、ここで使用される場合、当業者に周知のいかなる
方法で生成されてもよい。そのような方法の例は、例えば、米国特許第5,759,80
7号ならびにBullesbachら、J Biol Chem、266:10754〜
10761ページ、1991年で説明されている。リラキシン分子および類似体の例は、
例えば、米国特許第5,166,191号で説明されている。
「創傷」という用語は、通常開放創および閉鎖創の両方を指し、以下に定義されるとお
りである。創傷はさらに、急性創傷または慢性創傷として分類することができる。急性創
傷とは、根本的な治癒の異常はなく、通常健康な個体に手術または外傷に次いで二次的に
生じるもので、すぐに完全に治癒する。一方、慢性創傷とは、組織の完全性が失われるも
のであり、侵襲または外傷によって生じ、長期間継続するか頻繁に再発する。本明細書で
使用される場合、「皮膚創傷」という用語は、皮膚の破損を指す。
「開放創」という用語は通常、創傷を引き起こした物体により分類される。これには、
切開創、裂創、擦過創、穿刺創、貫通創、射創などが含まれる。切開創または切り傷は、
ナイフ、カミソリまたはガラスの破片などの刃がきれいで鋭い物体によって生じることも
ある。表皮のみに関与する切開創は、切創として分類することができる。裂創は、硬組織
の上にある軟部組織に対する鈍い衝撃によって生じるか(頭蓋骨を覆う皮膚の裂創など)
、または皮膚および他の組織が裂けることによって生じる(出産によって生じるなど)不
規則な創傷である。結合組織または血管が下部の硬表面に押しつけられるため、裂創がつ
ながっているように見えることもある。擦過創(擦り傷)は、皮膚の最外層(表皮)が擦
りむける表面の創傷であり、ざらざらした表面の上を滑り落ちることによって生じること
が多い。穿刺創は、釘または針などの物体が皮膚を貫通することによって生じることもあ
る。貫通創は、ナイフなどの物体が体に刺さることによって生じることもある。射創は、
弾丸または類似の発射体が体に打ち込まれるかまたは体を通過することによって生じる。
そのような場合、入り口に1つと出口に1つとの2つの創傷が存在することもあり、通常
スルーアンドスルー(through-and-through)として知られている。
「閉鎖創」という用語は、打撲傷としてより一般的に知られている、鈍器外傷により生
じ皮膚の下の組織が損傷する挫傷;血腫(Blood tumor)とも呼ばれる、血管の損傷によ
り生じ、皮膚の下に次々と血液が集まる血腫;および大きなまたは極度の力が長期にわた
って与えられたことにより生じることがある圧挫損傷を指す。
「瘢痕」という用語は、先に起きた外傷または創傷(例えば、切開創、切除または外傷
)により生じる異常な形態構造を指す。瘢痕は、主にコラーゲン1型および3型ならびに
フィブロネクチンのマトリックスである結合組織からなる。瘢痕は、(皮膚の通常の瘢痕
に見られるように)組織化が異常なコラーゲン線維からなるかまたは(中枢神経系の瘢痕
または皮膚の病理学的な瘢痕化に見られるように)結合組織の異常な蓄積であることもあ
る。瘢痕の種類には萎縮性、肥厚性およびケロイド性瘢痕ならびに瘢痕拘縮が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。萎縮性瘢痕は、平らで、くぼみまたは穴のように
周辺の皮膚より下に陥没している。肥厚性瘢痕は、本来の損傷の境界内にとどまっている
隆起した瘢痕であり、異常なパターンで配列された過剰なコラーゲンが含まれることが多
い。ケロイド性瘢痕は、本来の創傷の周縁部を越えて広がり部位特異的に周囲の正常な皮
膚に浸潤する隆起した瘢痕であり、異常な様式で配列した渦巻き状のコラーゲンが含まれ
ることが多い。瘢痕拘縮は、関節をまたぐか、または皮膚が直角にしわになる瘢痕であり
、縮みまたは拘縮に発展する傾向がある。瘢痕拘縮は、瘢痕が完全にできあがっていない
うちに生じ、肥厚する傾向が高く、一般に障害を引き起こし機能障害をもたらすものであ
る。
「投与する」とは、以下に限定されるものではないが、局所、静脈内、全身、皮下、筋
肉内、舌下および吸引もしくは注入、洗浄または浸透圧ポンプなどの特定の経路により医
薬治療薬または製剤を対象に与えるあるいは適用することを指す。
リラキシン
リラキシンは、大きさおよび形状がインスリンに類似したペプチドホルモンである(図
1を参照)。より具体的には、リラキシンは、インスリン遺伝子スーパーファミリーに属
する内分泌および自己分泌/傍分泌ホルモンである。活性型のコード化タンパク質は、鎖
間に2つおよび鎖内に1つのジスルフィド結合により結合したA鎖およびB鎖からなる。
したがって、この構造はジスルフィド結合の配置についてインスリンに非常に似ている。
ヒトには3つの非対立リラキシン遺伝子、リラキシン−1(RLN−1またはH1)、リ
ラキシン−2(RLN−2またはH2)およびリラキシン−3(RLN−3またはH3)
が存在する。H1およびH2は高い配列相同性を有する。この遺伝子を発現する異なるア
イソフォームをコードする、選択的にスプライシングされた2つの転写変異体が存在する
。ヒトにおいてH1の発現は、定かではない。H2は、生殖器官で発現し、H3は主に脳
内に見られる。その受容体のリラキシンペプチドファミリーの進化は、一般に当該技術分
野で周知である(Wilkinsonら、BMC Evolutionary Biol
ogy、5:1〜17ページ、2005年;ならびにWilkinsonおよびBath
gate、1章、Relaxin and Related Peptides、Lan
des Bioscience and Springer Science + Bu
siness Media、2007年)。
リラキシンは、2つの特定のリラキシン受容体、すなわち、LGR7(RXFP1)お
よびLGR8(RXFP2)を活性化する。LGR7およびLGR8は、ロイシンリッチ
リピートを含むGタンパク質共役受容体(LGR)であり、これはGタンパク質共役受容
体の固有のサブグループを表す。これらは、7回膜貫通領域およびグリコシル化された大
きな外部領域を含み、遠い関係ではあるがLH−受容体またはFSH−受容体などの糖タ
ンパク質ホルモンの受容体と関連がある。これらのリラキシン受容体は、心臓、平滑筋、
結合組織ならびに中枢神経系および自律神経系に見られる。H1、H2、ブタおよびクジ
ラリラキシンなどの有効なリラキシンは、特定の共通した配列、すなわち、Arg−Gl
u−Leu−Val−Arg−X−X−Ile配列または結合カセットを有している。例
えば、ラット、サメ、イヌおよびウマリラキシンなどの彼の配列相同関係から外れている
リラキシンは、LGR7およびLGR8受容体によって生物活性が低下されることが示さ
れている(Bathgateら、Ann NY Acad Sci、1041:61〜7
6ページ、2005年)。
リラキシンは、女性および男性双方に見られる(Tregearら;Relaxin
2000、Proceedings of the Third Internatio
nal Conference on Relaxin & Related Pept
ides、2000年10月22〜27日、ブルーム、オーストラリア)。女性の場合、
リラキシンは、卵巣の黄体、乳房によって生成され、妊娠中には胎盤、絨毛および脱落膜
によっても生成される。男性の場合、リラキシンは精巣で生成される。ヒトにおいて、リ
ラキシンは、妊娠、精子の運動性の増強、血圧の調整、心拍の制御ならびにオキシトシン
およびバソプレッシンの放出に関与する。動物においてリラキシンは、コラーゲン代謝に
も影響を及ぼす。リラキシンは、コラーゲンの合成を抑制し、マトリックスメタロプロテ
アーゼを増加することによりコラーゲンの分解を増強する。リラキシンは、血管形成も増
進し、腎臓血管拡張薬でもある。
リラキシンは、増殖因子の一般的特性を有し、結合組織の性質を変化させたり、平滑筋
の収縮に影響を与えたりすることができる。H2は、主に生殖組織で発現することが知ら
れている(米国特許第5,023,321号参照)。しかしながら、本発明者は、H2が
創傷治癒の改善および瘢痕形成の低減において重要な役割を果たすことを発見した。
リラキシン作動薬
いくつかの実施形態では、本開示は、正常血圧患者または高血圧患者の急性心不全に関
連する呼吸困難を治療する方法であって、リラキシン作動薬の投与を含む方法を提供する
。いくつかの方法では、リラキシン作動薬は、以下に限定されるものではないが、RXF
P1、RXFP2、RXFP3、RXFP4、FSHR(LGR1)、LHCGR(LG
R2)、TSHR(LGR3)、LGR4、LGR5、LGR6LGR7(RXFP1)
およびLGR8(RXFP2)から選択される1つまたは複数のリラキシン関連Gタンパ
ク質共役受容体(GPCR)を活性化する。いくつかの実施形態では、リラキシン作動薬
にはCompugenのWO2009/007848(リラキシン作動薬の配列を教示す
るために参照によって本明細書に引用したものとする)の式Iのアミノ酸配列が含まれる
式Iのペプチドは、好ましくは7から100アミノ酸長であり、以下のアミノ酸配列を
含む:X1−X2−X3−X4−X5−X6−X7−X8−X9−X10−X11−X1
2−X13−X14−X15−X16−X17−X18−X19−X20−X21−X2
2−X23−X24−X25−X26−X27−X28−X29−X30−X31−X3
2−X33。ここで、X1は存在しないか、Gまたは小さい天然もしくは非天然アミノ酸
;X2は存在しないか、Qまたは極性の天然もしくは非天然アミノ酸;X3は存在しない
か、Kまたは塩基性の天然もしくは非天然アミノ酸;X4は存在しないか、Gまたは小さ
い天然もしくは非天然アミノ酸;X5は存在しないか、QまたはS極性の天然もしくは非
天然アミノ酸;X6は存在しないか、VまたはAまたはPまたはMまたは疎水性の天然も
しくは非天然アミノ酸;X7は存在しないか、Gまたは小さい天然もしくは非天然アミノ
酸;X8は存在しないか、PまたはLまたはA天然もしくは非天然アミノ酸;X9は存在
しないか、PまたはQ天然もしくは非天然アミノ酸;X10は存在しないか、Gまたは小
さい天然もしくは非天然アミノ酸;X11は存在しないか、AあるいはHあるいはEある
いはDあるいは疎水性または小さいまたは酸性の、天然もしくは非天然アミノ酸;X12
は存在しないか、AあるいはPあるいはQあるいはSあるいはRあるいはHあるいは疎水
性または小さい、天然もしくは非天然アミノ酸;X13は存在しないか、CまたはVまた
は疎水性の天然もしくは非天然アミノ酸;X14は存在しないか、RあるいはKあるいは
QあるいはPあるいは塩基性または極性の、天然もしくは非天然アミノ酸;X15は存在
しないか、RあるいはQあるいはSあるいは塩基性または極性の、天然もしくは非天然ア
ミノ酸;X16は存在しないか、AあるいはLあるいはHあるいはQあるいは疎水性また
は小さい、天然もしくは非天然アミノ酸;X17は存在しないか、Yあるいは疎水性また
は芳香族の、天然もしくは非天然アミノ酸;X18は存在しないか、Aあるいは疎水性ま
たは小さい、天然もしくは非天然アミノ酸;X19は存在しないか、Aまたは疎水性の小
さい天然もしくは非天然アミノ酸;X20は存在しないか、Fあるいは疎水性または芳香
族の、天然もしくは非天然アミノ酸;X21は存在しないか、SまたはTまたは極性の天
然もしくは非天然アミノ酸;X22は存在しないか、Vまたは疎水性の天然もしくは非天
然アミノ酸;X23は存在しないか、Gあるいは疎水性または小さい、非天然アミノ酸あ
るいはアミドで置換されている;X24は存在しないか、Rまたは塩基性の天然もしくは
非天然アミノ酸;X25は存在しないか、Rまたは塩基性の天然もしくは非天然アミノ酸
;X26はAあるいは疎水性または小さい、天然もしくは非天然アミノ酸;X27はYあ
るいは疎水性または芳香族の、天然もしくは非天然アミノ酸;X28はAあるいは疎水性
または小さい、天然もしくは非天然アミノ酸;X29はAあるいは疎水性または小さい、
天然もしくは非天然アミノ酸;X30はFまたは疎水性の天然もしくは非天然アミノ酸;
X31はSまたはTまたは極性の天然もしくは非天然アミノ酸;X32はVまたは疎水性
の天然もしくは非天然アミノ酸;X33は存在しないか、Gあるいは疎水性または小さい
、天然もしくは非天然アミノ酸またはアミドで置換されている;あるいは薬学的に許容可
能なそれらの塩である(配列番号:4)。好適ないくつかの実施形態では、リラキシン作
動薬は、ペプチドP59C13V(遊離酸)の配列GQKGQVGPPGAA VRRA
Y AAFSVを含む(配列番号:5)。別の好適な実施形態では、リラキシン作動薬
は、ペプチドP74C13V(遊離酸)の配列GQKGQVGPPGAA VRRA Y
AAFS VGRRA Y AAFS Vを含む(SEQ DD NO:6)。ヒト補
体C1Q腫瘍壊死因子関連タンパク質8(CTRP8またはC1QT8)の別の派生体、
例えばペプチドP59−G(遊離酸型Gly(free acid Gly))GQKGQVGPPG
AACRRA Y AAFSVG(配列番号:7)も本開示の方法での使用に適している
と考えられる。C1QT8のアミノ酸配列を配列番号:8として以下に記載する。MAA
PALLLLALLLPVGAWPGLPRRPCVHCCRPAWPPGPYARVS
DRDLWRGDLWRGLPRVRPTIDIEILKGEKGEAGVRGRAGR
SGKEGPPGARGLQGRRGQKGQVGPPGAACRRAYAAFSVGR
RAYAAFSVGRREGLHSSDHFQAVPFDTELVNLDGAFDLAA
GRFLCTVPGVYFLSLNVHTWNYKETYLHIMLNRRPAAVLY
AQPSERSVMQAQSLMLLLAAGDAVWVRMF QRDRDNAIYG
EHGDLYITFSGHLVKP AAEL。
本開示は、これらのポリペプチドの相同体も包含し、そのような相同体は、典型的なリ
ラキシン作動薬(例えば、配列番号:5または配列番号:6)のアミノ酸配列と少なくと
も50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%
、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも85%、少なく
とも90%、少なくとも95%またはもっと言えば100%同一であってもよく、米国国
立生物工学情報センター(NCBI)のBlastPソフトウェアでデフォルトパラメー
タを用いて決定することができる。デフォルトパラメータは、任意ではあるが好ましくは
以下を含む:フィルターオン(この選択によりSeg(タンパク質)プログラムを使用し
て、繰り返し配列または複雑度の低い配列が問い合わせ配列から除外される)、スコア行
列がタンパク質用のBLOSUM62、word sizeが3、期待値が10、ギャッ
プコストが11,1(開始ならびに(開始および延長)。任意ではあるが好ましくは、核
酸配列同一性/相同性は、米国国立生物工学情報センター(NCBI)のBlastNソ
フトウェアでデフォルトパラメータを用いて決定される。デフォルトパラメータは、DU
STフィルタープログラムを使用することが好ましく、さらに期待値が10、複雑度の低
い配列のフィルタリングおよびword sizeが11であることが好ましい。最後に
、本開示は、上記のポリペプチドおよび変異を有するポリペプチドのフラグメントも包含
する。この変異は、自然に起こったかまたは人工的に誘導した、ランダムにかまたは標的
化した方法での欠失、挿入または1つもしくは複数のアミノ酸の置換などである。
リラキシン処置が創傷の治癒を促進する
例えば切ることによって皮膚が傷つくと、湿潤創傷が生じ、損傷を修復するために真皮
組織および表皮組織を再生する体の自然な作用が一連の複雑な生化学的現象で構成される
。リラキシンは、この過程を増進および加速する。創傷の治癒の初期段階では、一度細菌
および壊死組織片が創傷部から取り除かれ、血管形成によって内皮細胞から新しい血管が
成長する。さらに、線維芽細胞が増殖し、コラーゲンおよびフィブロネクチンを分泌する
ことによって新しい細胞外マトリックス(ECM)を形成する。本開示は、肉芽組織形成
を増加させ、最終的に血管形成によって生じる血管の数を減少させ、コラーゲンの沈着を
増加させ、より良好に組織化されたコラーゲンマトリックスの形成を助け、創傷の再上皮
化を促進することによって自然な創傷の治癒過程を加速し、創傷部の強度を増す方法を提
供する。いくつかの例では、創傷が適切に治癒しない場合(例えば、糖尿病、皮膚障害を
有する個体の場合)、リラキシン処置は創傷の治癒を増進するだけでなく、それを可能に
する。
より具体的には、本発明者は、2段階の過程で創傷の治癒を促進するリラキシンの能力
が有利であることを発見した。第1に、リラキシンは、良好に治癒するよう線維芽細胞を
活性化し、血管形成を促進して創傷を速く閉鎖する。第2に、リラキシンには、抗線維症
および抗血管新生の作用があり順調な治癒を達成する。これにより、瘢痕形成を低減する
。リラキシンに抗血管新生の作用があるという事実は、一般に信じられていること、すな
わちリラキシンが血管の成長を促進し、それより血管形成を増進するだけであるというこ
ととは反対の新規の発見である。
線維芽細胞は、ECMの前駆体を連続的に分泌することによって結合組織の構造的完全
性を維持する上で重要な役割を果たしている。正常な条件下では、線維芽細胞は静止状態
にある。しかしながら、線維芽細胞が湿潤創傷において活性化されると、より多くのコラ
ーゲンを分泌する。リラキシンは、線維芽細胞の活性化に関与し、これがコラーゲンの分
泌を増加させることにつながる。線維芽細胞は、マトリックスメタロプロテアーゼ(MM
P)も分泌し、これがコラーゲンの分解を助ける。リラキシンは、さらに線維芽細胞増殖
を誘導するTGF−βコラーゲンおよびコラーゲンの生成を抑制することもできる。この
ように、コラーゲン分泌の増加およびコラーゲン代謝回数の増加のこの組合せにより、創
傷の治癒を促進し瘢痕形成を低減する、より組織化されより強いコラーゲンマトリックス
をもたらされる。
血管形成は、創傷の治癒過程のごく初期に起こる。マクロファージおよびリンパ球が創
傷部にリクルートされると同時に新しい血管が形成され十分な血液が創傷に供給される。
特に、マクロファージは、新しい血管の形成を促すVEGFを放出する。リラキシンが処
置に使用されると、VEGFの量が増加し、より多くの血管がもたらされ、ひいてはより
多くの血液が創傷に供給される。
新しい血管を形成(血管形成)し、線維芽細胞を活性化する免疫系のリクルートの全過
程をまとめて肉芽形成過程、すなわち、肉芽組織が生成される過程と見なされる。最終的
に、正常な健康で滑らかな皮膚に存在する、望ましいかごの編目状に達するためには、あ
る時点で、この肉芽組織が消散される必要がある。これには、追加のコラーゲンを必要と
しないため線維芽細胞を鈍化させ、炎症を治める必要があるため免疫系を鈍化させる必要
があり、それにより皮膚の赤い跡を消失させることができる。さらに、血管形成を逆転さ
せる必要がある。すなわち、外観の悪い永久的な赤い跡である瘢痕を防止するために、最
初の段階で創傷を治癒するのに必要とされる血管および毛細血管がここで消失する必要が
ある。驚くべきことに、リラキシンは肉芽組織の消散を増進し、加速するだけでなく、新
しい血管の早期消失を助長し、皮膚を滑らかで赤い跡のない状態のままにする。注目に値
するのは、リラキシン処置により劇的に瘢痕の形成が低減され、かごの編目のような健康
な皮膚を促進することである。
さらに、リラキシンは、打撲傷および潰瘍における創傷の治癒を促進することができる
。そのような創傷は、全身的に処置されるのが好ましく、それはリラキシンの局所的な処
置では、開放創または湿潤創傷のように簡単に閉鎖創には到達しないためである。一方、
開放創および湿潤創傷は、洗浄および/または直接注入により局所的に処置されるのが好
ましい(実施例1のブタ皮膚の試験で説明するように)。
リラキシン処置が瘢痕形成を防止し、低減する
瘢痕は、線維組織を含み、外傷または創傷の後に正常な皮膚と置き換わる。瘢痕化は、
創傷の自然な治癒過程の一部であり、ほぼすべての真皮の外傷後に瘢痕が生じる。先進国
では、毎年1億人の患者が瘢痕を有することになり、その一部は5500万件の待機手術
および2500万件の外傷後の手術の結果として、無視できない健康的ならびに心理的な
問題を引き起こしている。推定1100万のケロイド瘢痕および400万の熱傷瘢痕が存
在し、その70%が子供に生じたものである。異常な皮膚瘢痕がある人は、身体的、審美
的、心理的および社会的影響に直面することもあり、これが著しい情緒的および財政的負
担に関連することもある。瘢痕は些細なものであると見なされることが多いが、瘢痕によ
り外観が損なわれ、審美的に好ましくないことがあり、さらに重度のそう痒、圧痛、疼痛
、睡眠障害、不安、抑うつの原因となったり日常活動を妨げたりすることがある。他の心
理的な影響には、心的外傷後ストレス反応の発現、自尊心の喪失および恥辱を感じること
が挙げられ、クオリティオブライフの低下につながる。皮膚瘢痕の結果による身体的な変
形により障害がもたらされることがある。メディアが反対の提示をしているにも関わらず
、瘢痕組織の性質が複雑で予測できないものであるため瘢痕はいまだ簡単に除去できるも
のではない(Bayatら、Clinical Review−BMJ、326:88ペ
ージ、2003年)。リラキシンは、創傷の治癒過程を加速することによってだけでなく
、瘢痕形成が始まる前にそれを低減することによってこうした瘢痕を治療する方法を提供
する。
一般に顔面の形成手術の結果として瘢痕が形成される。顔面の形成手術としては、皺切
除、眼瞼形成術、鼻形成術、耳形成術、頤形成術、頬部除皺術、額除皺術、眉毛吊り上げ
術、顔面の瘢痕修正、顔面の瘢痕除去、レーザー手術、皮膚の表面修復、皺治療、プラズ
マ皮膚再生、顔面の脂肪移植、皮膚の引き締め、刺青除去および植毛が挙げられるが、そ
れらに限定されるものではない。さらに、顔面の形成手術は、腫脹、打撲傷および瘢痕化
をもたらす可能性が高い。上記のことから、リラキシンは特に形成および再建手術に適用
される。腫脹は外傷に対する顔面の自然な反応であり、顔面の治癒が始まると治まる。こ
れは、手術後わずか数日生じるかまたは数週間もしくはそれ以上かかることもある。打撲
傷も、顔面の手術手技後、顔面が変化に反応するために起こる自然なことであり、通常手
術後における回復の最初の数日間に最も現れる。打撲傷の大半は2、3週間で消えるが、
完全に治癒するのには数か月またはそれ以上かかることもあり、それは個体による。通常
、瘢痕は、目立たなくなるまでの数か月間ピンク色のままであるため、顔面の形成手術の
さらに別の好ましくない副次的結果である。したがって、この開示は顔面の形成手術を受
けた患者にとって有利であり、具体的には創傷の治癒を加速し、瘢痕形成を低減すること
によって瘢痕化および打撲傷を手当てすることが有利である。
一般に全身の形成手術の結果としても瘢痕が形成される。全身の形成手術としては、腹
壁形成術、乳房縮小術、豊胸術、ボディリフト手技、クモ状静脈治療、皮膚線条治療、脂
肪吸引、余剰皮膚切除手術、セルライト減少治療、体形矯正、体の表面修復および体内イ
ンプラントが挙げられるが、それらに限定されるものではない。さらに、全身の形成手術
も腫脹、打撲傷および瘢痕化をもたらす可能性が高い。腫脹は外傷に対する体の自然な反
応であり、通常体の治癒が始まると治まる。これは、手術後わずか数日または数週間もし
くはそれ以上生じることもある。通常、体が変化に反応するために全身の手術手技の結果
として打撲傷が起こる。打撲傷は、通常手術後における回復の最初の数日間に最も現れる
が、もっと長く続くこともある。打撲傷の大半は2、3週間で消えるが、完全に治癒する
のには数か月または数年もかかることもある。通常、瘢痕は、目立たなくなるまでの数か
月間ピンク色のままであるため、全身の形成手術の好ましくない副次的作用でもある。し
たがって、この開示は全身の形成手術を受けた患者にとっても有益であり、具体的には創
傷の治癒を加速し、瘢痕形成を低減することによって瘢痕化および打撲傷を手当てするの
に有益である。
瘢痕化および赤みは、刺青除去の一般的な副次的作用でもある。他の副次的作用として
は、水疱、感染および皮膚の色の喪失が挙げられる。したがって、この開示は、いくつか
の刺青除去の副次的作用を最小限にする方法、具体的には皮膚の赤みを低減する(すなわ
ち、上述のリラキシンの抗血管形成の作用)ことによって、さらに刺青除去手技により生
じることもあるあらゆる瘢痕を低減することによって副次的作用を最小限にする方法を提
供する。
リラキシン組成物および製剤
リラキシンおよびリラキシン類似体が、本開示の方法において使用される医薬品として
作製される。生物学的もしくは薬学的に活性なリラキシン(例えば、合成リラキシン、組
換え型リラキシン)またはリラキシン作動薬(例えば、リラキシン類似体またはリラキシ
ン様修飾因子)のリラキシン受容体との結合に関連する生物学的反応を刺激することがで
きる、任意の組成物または化合物を本開示の医薬品として使用できる。製剤および投与の
技術についての全般的な詳細は、科学文献に詳細に記載されている(Remington
’s Pharmaceutical Sciences、Maack Publish
ing Co、ペンシルバニア州イーストン、参照)。薬学的に活性なリラキシンを含む
医薬製剤は、医薬品の製造について当該技術分野で周知の任意の方法により調製すること
ができる。本開示の方法に使用される薬学的に活性なリラキシンまたはリラキシン作動薬
を含む製剤は、以下に限定されるものではないが、局所、静脈内、全身、皮下、筋肉内、
舌下および吸引もしくは注入、洗浄または浸透圧ポンプなどの従来の許容可能な任意の投
与方法用に作製することができる。実例となる例を以下に記載する。
好適な一実施形態では、リラキシンを開放創に洗浄液として、覆われた創傷に局所適用
としておよび/または創傷修復のあらゆる段階の間に全身的に適用してもよい。製剤は、
創傷部または瘢痕の近くに注入することもでき、または滞留時間および透過を延ばすため
に創傷部もしくは瘢痕に塗り込まれるクリームであってもよいと考えられる。洗浄による
処置には、例えば0.5mlの1.0mg/mlリラキシン酢酸ナトリウム溶液を創傷部
にゆっくりと滴下することが含まれる。他の実施形態では、リラキシン溶液を創傷に滴下
する範囲は、約0.5mlから約5.0mlの範囲であってもよくまたは創傷部により多
く約1.0から約5.0mg/mlリラキシン溶液の範囲であってもよい。創傷は、例え
ば損傷後7日間、1日1回洗浄される。別の実施形態では、創傷は、例えば損傷後約7日
間、1日2回以上洗浄される。さらに別の実施形態では、創傷は、損傷後、長期間または
短期間に週に1回もしくは月に1回洗浄される。リラキシン投与のための用量は、損傷の
重症度および患者の状態により調整する必要がある。
さらに別の実施形態では、リラキシンは、製剤に含まれる例えば0.5または2.5m
g/mlリラキシンを0.5ml送達することにより局所適用されてもよい。この製剤は
、20mM酢酸ナトリウム緩衝液76.5%、メチルパラベン0.17%、プロピルパラ
ベン0.03%、プロピレングリコール5%、エタノール5%、HED 250HX 1
%およびリラキシンの酢酸ナトリウム緩衝液溶液12.285%からなる。創傷は、例え
ば2週間、1日2回処置され、その後の3週間、1日1回処置される。薬物が局所に送達
される場合、製剤は、プロピレングリコールおよびエタノールを含む。さらに、本発明者
は、湿潤創傷に付けてもよい浸透促進剤を製剤に含めるとリラキシンの効力が改善される
ことを見いだした。浸透促進剤としては、以下に限定されるものではないが、物理的(例
えば、マイクロニードルアレイ)、化学的(例えば、エタノール、グリセリルモノエチル
エーテル、モノグリセリド、ミリスチン酸イソプロピルなど)または物理的および化学的
強化の組合せが挙げられる。例えば、本発明者は、キトサンなどの粘膜付着性の浸透促進
剤を添加することによりリラキシンの歯肉組織内の浸透が増すことに気づいた(Squi
erら;Mucoadhesive vehicles for the delive
ry of relaxin across oral mucosa、国際歯科研究学
会、2006年6月28日〜7月1日、オーストラリア、ブリスベン、参照)。
さらに別の好適な実施形態では、全身アプローチ後、約20ng/mLの全身濃度を達
成するために、5.3μg/kg/hrで浸透圧注入ポンプによって創傷にリラキシンが
直接送達される。
さらに別の好適な実施形態では、リラキシンは、静脈内注入によって創傷部に送達する
ことができる。この場合、薬学的に活性なリラキシンまたはリラキシン作動薬を含む製剤
は、無菌で注入可能な水性または油性懸濁液などの無菌で注入可能な調合物の形態であっ
てもよい。この懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて周知の
技術により作製することができる。無菌で注入可能な調合物は、無毒性の非経口的に許容
可能な希釈剤または溶媒の、無菌で注入可能な溶液または懸濁液であってもよい。許容可
能な媒体および溶媒のうち使用できるものは、水およびリンゲル溶液、すなわち等張の塩
化ナトリウムである。さらに、従来の無菌の固定油を溶媒または懸濁媒体として使用する
こともできる。この用途のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドなどの刺激の
少ない任意の固定油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も同様に
注入可能な調合物に使用することができる。
本開示の水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中にリラキシンを
含む。そのような賦形剤としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセル
ロース、ヒドロキシプロピルネチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロ
リドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムなどの懸濁剤ならびに天然のリン脂質(例
えば、レシチン)、アルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸
ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例え
ば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシ
トールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトー
ルモノオレエート)またはエチレンオキシドの、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来
する部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエー
ト)などの分散剤または湿潤剤が挙げられる。水性懸濁液には、さらにp−ヒドロキシ安
息香酸エチルまたはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピルなどの1つまたは複数の防腐剤
、1つまたは複数の着色料、1つまたは複数の香味料およびスクロース、アスパルテーム
またはサッカリンなどの1つまたは複数の甘味料を含めることもできる。製剤をモル浸透
圧濃度について調整することができる。
油懸濁液は、落花生油、オリーブ油、ゴマ油もしくはヤシ油などの植物油または液体パ
ラフィンなどの鉱油にリラキシンを懸濁させることにより作製することができる。油懸濁
液には、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含めることもでき
る。口当たりのよい経口調合物を得るために甘味料を添加してもよい。これらの製剤は、
アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
水を添加することによって調合される水性懸濁液に適した本開示の分散性粉末および顆
粒は、分散剤、懸濁剤および/または湿潤剤ならびに1つまたは複数の防腐剤の混合物中
に含まれるリラキシンから作製できる。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤としては
、上に開示されたものが例として挙げられる。さらに、例えば甘味料、香味料および着色
料などの別の賦形剤を含めることもできる。
本開示の医薬製剤は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、オリー
ブ油もしくは落花生油などの植物油、液体パラフィンなどの鉱油またはこれらの混合物で
あってもよい。適切な乳化剤としては、アカシアゴムおよびトラガカントゴムなどの天然
ゴム、大豆レシチンなどの天然リン脂質、ソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸および
ヘキシトール無水物に由来するエステルまたは部分エステルおよびポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレエートなどのこうした部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物
が挙げられる。エマルジョンは、甘味料および香味料も含めることができる。シロップ剤
およびエリキシル剤は、グリセロール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味料と一
緒に作製することができる。そのような製剤には、粘滑薬、防腐剤、香味料または着色料
を含めることもできる。
リラキシン製剤の投与および投与レジメン
本開示の方法に使用される薬学的に活性なリラキシンを含む製剤は、以下に限定される
ものではないが、静脈内、皮下、筋肉内、舌下、局所、経口および吸引などの従来の許容
可能な任意の方法で投与することができる。投与は、薬物動態および薬物の他の特性なら
びに患者の健康状態によって決まる。一般指針を以下に示す。
本開示の方法は、創傷および外傷の治癒を促進し、瘢痕形成を低減する。単独でまたは
薬学的に活性な他の薬剤(例えば、NSAIDまたは抗生物質)と組み合わせて、こうし
た効果を達成するのに十分なリラキシンの量は、治療効果用量(例えば、治癒を促進する
薬学的に許容可能な量)と見なされる。
最先端の技術により、個々の動物またはヒト対象それぞれについてのリラキシンの投与
レジメンを臨床医が決定できる。具体例のとおり、以下に提供するリラキシンの指針は、
本開示の方法を実施する場合に、投与される薬学的に活性なリラキシンを含む製剤の投与
レジメン、すなわち投与スケジュールおよび用量レベルを決定するガイダンスとして使用
することができる。具体的には、上記の対象は、薬学的に活性なH2ヒトリラキシン(例
えば、合成、組換え型)を1日あたり対象の体重をもとに約10から1000μg/kg
の範囲の量で投与される。一実施形態では、リラキシンの用量は10、30、100およ
び250μg/kg/日である。別の実施形態では、当該用量はそれぞれ約3、10、3
0および75ng/mLのリラキシンの血清中濃度をもたらす。別の実施形態では、リラ
キシンの血清中濃度を約0.5から約500ng/mL、より好ましくは約0.5から約
300ng/mLおよび最も好ましくは約3から約75ng/mLに維持するようリラキ
シンの投与が継続される。可能な範囲は約1から約50ng/mLであり、好ましい血清
中濃度は20ng/mLである。
一般指針のとおり、薬学的に活性なH2ヒトリラキシン(例えば、合成、組換え型)の
1日量は、一般に1日あたり対象の体重をもとに約10から1000μg/kgの範囲の
量であり、最も好ましくは1日あたり対象の体重をもとに約960μg/kgであると予
想される。対象に応じて、特定の期間または対象において安定性を達成するのに必要とさ
れる限りリラキシン投与が継続される。
以下の具体例は、本開示を説明することを意図しており、特許請求の範囲を限定するも
のと解釈されるべきではない。
ブタの皮膚の創傷試験
動物試験の概要。本試験に適した動物を選択する際、ブタの皮膚とヒトの皮膚との構造
上の類似性からブタを選択した。実際、ブタの創傷治癒は、ヒトの皮膚の模擬実験が行わ
れる多くの試験で使用されてきた(Sullivanら、Wound Repair R
egen、9:66〜76ページ、2001年)。本試験の結果は、ブタの皮膚において
リラキシンは肉芽組織ならびに慢性炎症を低減し、それにより治癒過程全体が速くなり、
より滑らかな皮膚の外観がもたらされることを示唆している。
試験設計。本試験では、動物1匹あたり12の創傷部−背中に20×6mmの切開創傷
−を有する若齢のブタを6週間の試験の間適応させた(図2を参照)。20ng/mLの
血清中濃度を達成するようミニポンプにより全身性リラキシンを送達した。局所製剤は、
Dow Pharmaによって調製され、プロピレングリコールおよびエタノールから構
成された。これにより、治療薬剤の長期安定性がもたらされた。プラセボからなる用量、
0.5mg/ml(低用量)、および2.5mg/ml(高用量)を調製した。試験の目
的は、創傷の治癒における局所リラキシンの安全性を評価し、創傷の治癒および/または
瘢痕形成に対する治療法としてのリラキシンの効力を判定することであった。1週目は、
1日1回洗浄を行った。2〜3週目は局所製剤を1日2回適用し、3〜6週目は局所製剤
を1日1回適用した。
薬物設計。試験薬物は(組換え技術によって生成した)リラキシンとした。組換え一本
鎖プロセスを用いて生成された組換え型リラキシンは未変性のヒトホルモンH2リラキシ
ンと同一である。活性な被検物質を酢酸塩の希釈剤(20mM酢酸ナトリウム、pH5.
0)で所望の濃度に無菌的に希釈してもよい。
試験手順。6週間の終了時における、本明細書に記載される実験設計による切開創を有
するブタの背中を示す図3を参照する。上述のとおり区分3の創傷を1週目はリラキシン
構築物により洗浄し、その後2〜6週目は高用量局所リラキシン製剤で処置した。区分4
、5および6は1週目に洗浄を行わなかった。区分4をプラセボで処置した。区分5を低
用量局所製剤で処置し、区分6を高用量局所製剤で処置した。
区分4と区分5および6それぞれとを比較すると、プラセボと比較してリラキシンによ
る局所のみの処置によって創傷の治癒が改善されたことが明らかに示されている。リラキ
シンで洗浄処置し、さらに局所処置した区分3と比較するとさらに劇的である。この実験
から、プラセボと比較して創傷の治癒を促進し、瘢痕化を低減および/または防止するリ
ラキシンの顕著な力が示されている。このデータから、さらにリラキシン構築物による洗
浄が特に効果的であることが示されている。
皮膚の表面的外観。創傷の写真の視覚的な順位付けを中立な観察者が行い、観察者は創
傷の治癒初期(5〜7日)の痂皮および試験終了時の瘢痕を評価した(図4を参照)。評
価のために皮膚科学者でない人に写真を見せた。観察者には処置を知らせず、観察者自身
の判断基準によって写真を評価し、6グループ(各8枚の写真)のうち最も良い3グルー
プを選び、順位付けするよう依頼した。ここで、3グループにはリラキシンを投与し、3
グループには投与しなかった。視覚的な創傷の評価の結果から、89%の確率でリラキシ
ン処置のグループが上位3位に選ばれたことがわかった。リラキシ処置されていないグル
ープが上位3位に選ばれたのは11%の確率に過ぎなかった。中立な観察者は、「より良
好」に見えるとしてリラキシンで処置した創傷を選んだ。これらのデータから、リラキシ
ンが創傷の早期閉鎖に役立つことが強く示唆される。
さらに、皮膚科学の専門家が2、4および6週目に審美的点数を判定した。審美的点数
には、以下の5つの要素が含まれる:(1)色−周辺の皮膚と一致する;(2)質感−硬
くない;(3)歪み−近くの皮膚に歪みがない;(4)外形−周辺の皮膚に対して平らで
ある;(5)全体−肥厚またはケロイドの形成がない。この皮膚科学的な評価中、2週目
の時点での評価は痂皮によりわかりにくかったため、審美的点数のためのデータは4およ
び6週目の評価から収集した(図5を参照)。図6は、6週目の創傷部同士の相違を示し
ている。上の結果(リラキシン処置)では、瘢痕が目立っていない。下の結果では、瘢痕
が目立っている。洗浄によるリラキシン処置を受けた創傷/瘢痕の領域は、局所リラキシ
ン処置のみを受けた創傷/瘢痕の領域より総合的に高い評価であった。
組織学的評価。組織病理学の専門家が肉芽形成、炎症および壊死などの指標について処
置の状態を評価した。肉芽組織を判断する際には、創傷の初期反応に線維芽細胞、炎症細
胞および新しい血管による創傷部の浸潤が含まれることも考慮される。これは、創傷部が
治癒するにつれ、徐々により正常な組織になっていく。慢性炎症とは、マクロファージ、
巨細胞、リンパ球および有害反応を示すPMNの存在によって特徴付けられた。角化症(
表皮の外側における角質層の形成)および表皮肥厚(表皮層の肥厚)などの重要性の低い
要因も考慮する。
図7および8は、リラキシン処置に関連する有害作用がなかったことを示している。肉
芽組織は、全身性リラキシン処置により低減される(例えば、リラキシンにより創傷のよ
り速い回復が示される)。最終的に、全身性リラキシンにより慢性炎症が低減され、さら
にリラキシン処置がより速い治癒を促進することが示された(図9、10を参照)。
創傷の採点法、赤い画素のカウントによって判定されたコラーゲンの組織化(コンピュ
ータプログラムによってカウントされた−瘢痕領域と周囲の正常な組織とにおける赤い画
素の比率は相対的なコラーゲンの組織化を示す)および第VIII因子染色による血管を
考慮した組織学的評価により創傷の治癒について組織学の専門家が評価した(図12、1
3を参照)。創傷治癒の点数は以下のように数えた:コラーゲン線維が編み合わさって配
列されたものが3ポイント(治癒が最も良好);中程度にコラーゲン線維が配列され編ま
れたものが2ポイント;コラーゲン線維が平行な束の状態でまたは一次元的に配列された
ものが1ポイント(治癒が最も悪い)。治癒が最も良好であることは、正常な真皮と比較
すると大きさが小さいものの正常なパターンと同様の、コラーゲン線維が編み合わさって
配列されたものにより裏付けられる(図11を参照)。
このように、あらゆるリラキシン処置(例えば、洗浄または局所投与)にも有害作用は
見られなかったと判定された。さらに、壊死または炎症はリラキシン処置に関連しなかっ
た。局所投与と比較してリラキシンによる全身処置後に、より良好な創傷の治癒が観察さ
れることがいくつか示されている。
発見および結論。このパイロット試験は、動物の皮膚に対してリラキシンを使用する初
めての調査である。本発明者の第1の目的は、創傷の治癒に対する局所リラキシンの安全
性を確立することであった。この試験の第2の目的は、創傷治癒および/または瘢痕形成
におけるリラキシンの効力を証明することであった。本発明者は、以下について証明した
:(1)広い用量範囲(10〜960μg/kg/日)にわたって、この薬物に関連する
有害作用は示されず、良好な耐用性を示した。(2)リラキシンは、肉芽組織の形成を増
加させ、血管形成によって生じる血管の数を低減し、コラーゲンの沈着を増加させ、より
良好に組織化されたコラーゲンマトリックスの形成を助け、創傷の再上皮化を促進するこ
とによる自然な創傷の治癒過程の加速および創傷部の強度の増加によって有益な効果を作
りだす。
イヌの歯肉試験
イヌ試験の概要。ヒト2リラキシン(H2 RLX)は、軟部組織を再構築する能力か
ら歯科矯正の用途において可能性のある治療法として調査されてきた。イヌモデルにおけ
る過去の試験により、歯肉注入によってRLXを適用することにより、歯の移動を速くし
、元の位置に戻るのを防ぐことができると証明されている。
本試験の目的は、RLXの移動速度および歯肉注入後の分解の程度を測定することであ
った。この試験により、RLXは注入部位の近くにとどまっていることが示された。イヌ
モデルを用いて、RLXを投与し、注入部位ならびに注入部位から0.5、1および2c
mの位置で組織パンチバイオプシーを採取した。注入1、2および4時間後などのいくつ
かの時点で組織を採取した。歯肉バイオプシーからタンパク質を抽出し、タンパク質チッ
プ技術(表面エンハンス型レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計、SELDI−T
OF MS)によって分析した。タンパク質チップ技術は、固相クロマトグラフィおよび
TOF−MSの確立した2つの方法を組み合わせて統合プラットフォームとする。タンパ
ク質チップアレイは、抗−H2 RLX抗体でコーティングされ、これによりRLXおよ
び関連分解生成物/修飾生成物を特異的に補足することが可能であった。
RLXは、1、2および4時間の3時点のすべてにおいて明らかに検出されたが、濃度
が着実に低下していること明からになり、それぞれ90nM、78nMおよび21nMの
H2 RLXが検出された。歯肉中のRLXの移動も限られたものであると考えられる。
RLXは、注入部位から0.5cmの位置では検出されたが、さらに1cmおよび2cm
の印では検出されなかった。
薬物設計。歯肉注入を行い(25μg H2 RLX/100μl、41μM)、注入
部位ならびに注入部位から0.5、1および2cmなどのいくつかの位置で組織を採取し
た。注入1、2および3時間後に組織を採取した。RLX処置を受けていない対照動物か
らも組織バイオプシーを採取した。
試験手順
a)タンパク質の抽出および定量。凍結した歯肉バイオプシーを10mMのTris−
HCl、10mMのNaCl、0.1%のTFAおよびプロテアーゼインヒビター(コン
プリートミニ、Roche)を含む抽出緩衝液(10μl/mg組織)中でホモジナイズ
した。その抽出物を10分間遠心分離し(6000×g)、上清を回収し、分注して、−
80℃で保存した。ブラッドフォードアッセイを使用して総タンパク質濃度を測定した。
タンパク質濃度は1.4mg/mlから2.8mg/mlまでに及び、すべてのサンプル
を抽出緩衝液中1.4mg/mlの濃度に定めた。
b)SELDI−TOF MS分析−PG20アレイにおけるRLX処理された歯肉の
分析。抗−H2 RLX抗体(2μl/0.25mg/ml;Genentech)また
は対照IgG(Ciphergen Biosystems)をプロテインGであらかじ
めコーティングしてあるPS20アレイ(Ciphergen Biosystems)
の各スポットに加えた。抗体が結合後、撹拌しながらPBS/0.5% Triton
X−100で5分間、チップを1回洗浄して(各スポットあたり5μl)、次いでPBS
で2回洗浄した。イヌ歯肉抽出物(3μl/1.4mg/ml)を各スポットに加え、4
時間インキュベートした。非特異的に結合したタンパク質は、PBS/0.5% Tri
ton X−100、PBSおよびpH7.2の1mM HEPESによる一連の洗浄に
よって除去された。チップを風乾し、1μlの50%飽和シナピン酸の50%(v/v)
アセトニトリル溶液、0.5%のトリフルオロ酢酸を各スポットに2回加え、各添加の間
にアレイを風乾した。その後、チップをレーザー220および感度9に設定したSELD
I−TOF MS(Ciphergen Biosystems)によって分析した。
c)PG20アレイにおけるH2 RLXの標準曲線の作成。H2 RLX(バッチ番
号11835−89)を100nM、50nM、12.5nM、6.25nM、3.12
5nMおよび1.56nMなどの異なる濃度で対照イヌ歯肉に投与し(1.4mg/ml
)、上記のとおり分析した。
d)NP20アレイにおけるH2 RLXの評価。H2 RLXを順相(NP20)ア
レイ上で分析して純度を評価した。上記のとおり、H2 RLX(1μl/500nM)
をスポット上に載せ、アレイを風乾し、50%SPAの2回の添加を各スポットに適用し
た。
所見。処置した歯肉サンプル中のRLXの濃度を定量するためにH2 RLXの標準曲
線を作成した。R値が0.9495で2桁であるリニアダイナミックレンジを定めた。
処置されたイヌの歯肉の評価から、RLXは、1、2および4時間の3時点のすべてに
おいて存在していたが、濃度が着実に低下していること明からになり、それぞれ90nM
、78nMおよび21nMのH2 RLXが検出された。RLXが歯肉の中を限定的に移
動したことが確認された。1時間の時点では、RLXは、注入部位から0.5cmの位置
で検出されたが、注入部位から1cmおよび2cmの位置では検出されなかった。残りの
時点では、注入部位でのみRLXが検出された(図15を参照)。
結論。したがって、イヌ歯肉をリラキシン処置することを含む本試験から、リラキシン
は注入部位の近くにとどまり、瘢痕に沿ったさまざまな場所にリラキシンを注入する必要
なく局所標的化が達成されることが明らかに示された。
ヒトの皮膚における部分的に治癒した開放創の試験
部分的に治癒した開放創は、一般に凝血しており、細胞外マトリックスおよびフィブリ
ンの予備的な層が横たわって血餅と組織とをつないでいる。本試験の目的は、部分的に治
癒した創傷におけるリラキシンの安全性、ヒトの創傷の治癒および/または瘢痕形成に対
する効力ならびに部分的に治癒した創傷を所望の結果にするための最も有効なリラキシン
送達方法を判定することである。
少なくとも1つの薬学的に活性な他の薬剤と組み合わせてリラキシンを投与する。薬学
的に活性な他の薬剤はNSAIDまたは抗生物質であってもよい。第1組の実験では、注
入により創傷部にリラキシンを投与する。第2組の実験では、定着したコラーゲンマトリ
ックスの薄層を取り除くことによって部分的に治癒した創傷を外科的に再び開き、洗浄に
よりリラキシンを投与する。これには、0.5mlの1.05mg/mlリラキシン酢酸
ナトリウム溶液を創傷部にゆっくりと滴下することが含まれる。第3組の実験では、定着
したコラーゲンマトリックスの薄層を取り除くことによって部分的に治癒した創傷を外科
的に再び開き、リラキシンを局所投与する。これには、リラキシンを直接創傷部に適用す
ることが含まれる。局所送達には、20mM酢酸ナトリウム緩衝液76.5%、メチルパ
ラベン0.17%、プロピルパラベン0.03%、プロピレングリコール5%、エタノー
ル5%、HED 250HX 1%およびリラキシンの酢酸ナトリウム緩衝液溶液12.
285%からなる製剤中の0.5mlの0.5または2.5mg/mlリラキシンからな
る製剤中の0.5mLの0.5mg/ml(低用量)または2.5mg/ml(高用量)
リラキシンが含まれる。第4組の実験では、定着したコラーゲンマトリックスの薄層を取
り除くことによってもう一度部分的に治癒した創傷を外科的に再び開き、約20ng/m
Lの全身濃度を達成するために、5.3μg/kg/hrで浸透圧注入ポンプによってリ
ラキシンを全身投与する。2週間、1日2回創傷を処置し、次の3週間は1日1回処置す
る。
前述の各送達方法について創傷の治癒をプラセボと比較する。創傷の写真の視覚的な順
位付けを中立な観察者が行い、観察者は創傷の治癒初期(5〜7日)の痂皮および試験終
了時の瘢痕を評価する。評価のために皮膚科学者でない人に創傷の写真を見せる。観察者
には処置を知らせず、観察者自身の判断基準によって写真を評価し、6グループ(各8枚
の写真)のうち最も良い3グループを選び、順位付けするよう依頼する。ここで、3グル
ープにはリラキシンを投与し、3グループには投与しない。
皮膚科学の専門家も各週に審美的点数を判定する。審美的点数には、以下の5つの要素
が含まれる:(1)色−周辺の皮膚と一致する;(2)質感−硬くない;(3)歪み−近
くの皮膚に歪みがない;(4)外形−周辺の皮膚に対して平らである;(5)全体−肥厚
またはケロイドの形成がない。
さらに、組織病理学の専門家が肉芽形成、炎症および壊死などの指標について処置の状
態を評価する。創傷の治癒の評価の際に、組織病理学者は創傷の採点法、赤い画素のカウ
ントによって判定されたコラーゲンの組織化(コンピュータプログラムによってカウント
された−瘢痕領域と周囲の正常な組織とにおける赤い画素の比率は相対的なコラーゲンの
組織化を示す)および第VIII因子染色による血管を考慮した組織学的評価を使用する
。治癒が最も良好であることは、正常な真皮と比較すると大きさが小さいものの正常なパ
ターンと同様の、コラーゲン線維が編み合わさって配列されたものにより裏付けられる。
この評価では、あらゆるリラキシン処置に関連する有害作用の有無を判定することが重要
である。
ヒトの皮膚におけるできたばかりの開放創の試験
ヒトの皮膚のできたばかりの開放創および外傷を発生の2から3時間以内にリラキシン
で処置する。本試験の目的は、ヒトの開放創の治癒におけるリラキシンの安全性、ヒトの
創傷の治癒および/または瘢痕形成に対する効力ならびに開放創を所望の結果にするため
の最も有効なリラキシン送達方法を判定することである。外傷は、表皮の切開創であるこ
ともある切創であっても、または開放もしくは閉鎖であることもある創傷であってもよい
。開放創としては、切開創、裂創、擦過創、穿刺創、貫通創、射創および刺創を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではない。
少なくとも1つの薬学的に活性な他の薬剤と組み合わせてリラキシンを投与する。薬学
的に活性な他の薬剤はNSAIDまたは抗生物質であってもよい。開放創への送達方法と
しては、洗浄、局所、全身および注入が挙げられる。
第1組の実験では、洗浄によりリラキシンを投与する。これには、0.5mlの1.0
5 mg/mlリラキシン酢酸ナトリウム溶液を創傷部にゆっくりと滴下することが含ま
れる。第2組の実験では、リラキシンを局所投与する。これには、リラキシンを直接創傷
部に適用することが含まれる。局所送達には、20mM酢酸ナトリウム緩衝液76.5%
、メチルパラベン0.17%、プロピルパラベン0.03%、プロピレングリコール5%
、エタノール5%、HED 250HX 1%およびリラキシンの酢酸ナトリウム緩衝液
溶液12.285%からなる製剤中の0.5mlの0.5または2.5mg/mlリラキ
シンからなる製剤中の0.5mLの0.5mg/ml(低用量)または2.5mg/ml
(高用量)リラキシンが含まれる。第3組の実験では、約20ng/mLの全身濃度を達
成するために、5.3μg/kg/hrで浸透圧注入ポンプによってリラキシンを全身投
与する。第4組の実験では、創傷にまたは創傷にごく近接した位置に注入によりリラキシ
ンを投与する。2週間、1日2回できたばかりの創傷を処置し、次の3週間は1日1回処
置する。
前述の各送達方法について創傷の治癒をプラセボと比較する。創傷の写真の視覚的な順
位付けを中立な観察者が行い、観察者は創傷の治癒初期(5〜7日)の痂皮および試験終
了時の瘢痕を評価する。評価のために皮膚科学者でない人に創傷の写真を見せる。観察者
には処置を知らせず、観察者自身の判断基準によって写真を評価し、6グループ(各8枚
の写真)のうち最も良い3グループを選び、順位付けするよう依頼する。ここで、3グル
ープはリラキシンを投与され、3グループは投与されていない。
皮膚科学の専門家も各週に審美的点数を判定する。審美的点数には、以下の5つの要素
が含まれる:(1)色−周辺の皮膚と一致する;(2)質感−硬くない;(3)歪み−近
くの皮膚に歪みがない;(4)外形−周辺の皮膚に対して平らである;(5)全体−肥厚
またはケロイドの形成がない。
さらに、組織病理学の専門家が肉芽形成、炎症および壊死などの指標について処置の状
態を評価する。創傷の治癒の評価の際に、組織病理学者は創傷の採点法、赤い画素のカウ
ントによって判定されたコラーゲンの組織化(コンピュータプログラムによってカウント
された−瘢痕領域と周囲の正常な組織とにおける赤い画素の比率は相対的なコラーゲンの
組織化を示す)および第VIII因子染色による血管を考慮した組織学的評価を使用する
。治癒が最も良好であることは、正常な真皮と比較すると大きさが小さいものの正常なパ
ターンと同様の、コラーゲン線維が編み合わさって配列されたものにより裏付けられる。
この評価では、あらゆるリラキシン処置に関連する有害作用の有無を判定することが重要
である。
ヒトにおける形成手術の創傷の試験
創傷の治癒を促進し、瘢痕形成を最小限に抑えるために顔面および体双方の形成手術な
どの形成手術によって生じる開放創を手術の終わりにリラキシンで処置する。本試験の目
的は、創傷の治癒におけるリラキシンの安全性、顔面または全身の形成手術によって生じ
る創傷の治癒および/または瘢痕形成に対するリラキシンの効力ならびに形成手術による
創傷を所望の結果にするための最も有効なリラキシン送達方法を判定することである。
リラキシンは、顔面の形成手術によって生じる創傷の処置に対して有益である。顔面の
形成手術には、皺切除、眼瞼形成術、鼻形成術、耳形成術、頤形成術、頬部除皺術、額除
皺術、眉毛吊り上げ術、顔面の瘢痕修正、顔面の瘢痕除去、レーザー手術、皮膚の表面修
復、皺治療、プラズマ皮膚再生、顔面の脂肪移植、皮膚の引き締め、刺青除去および植毛
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、リラキシンは、体の形成手
術によって生じる創傷の処置に対して有益である。体の形成手術には、腹壁形成術、乳房
縮小術、豊胸術、ボディリフト手技、クモ状静脈治療、皮膚線条治療、脂肪吸引、余剰皮
膚切除手術、セルライト減少治療、体形矯正、体の表面修復および体内インプラントが挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
少なくとも1つの薬学的に活性な他の薬剤と組み合わせてリラキシンを投与する。薬学
的に活性な他の薬剤はNSAIDまたは抗生物質であってもよい。最初のリラキシンの投
与は手術の終了時に洗浄により投与する。これには、0.5mlの1.05mg/mlリ
ラキシン酢酸ナトリウム溶液を開放創部にゆっくりと滴下することが含まれる。次に、2
週間、1日2回リラキシンを局所投与し、次の3週間は1日1回処置する。局所投与には
、リラキシンを直接創傷部に適用することが含まれる。局所送達には、20mM酢酸ナト
リウム緩衝液76.5%、メチルパラベン0.17%、プロピルパラベン0.03%、プ
ロピレングリコール5%、エタノール5%、HED 250HX 1%およびリラキシン
の酢酸ナトリウム緩衝液溶液12.285%からなる製剤中の0.5mlの0.5または
2.5mg/mlリラキシンからなる製剤中の0.5mLの0.5mg/ml(低用量)
または2.5mg/ml(高用量)リラキシンが含まれる。
前述の各送達方法について創傷の治癒をプラセボと比較する。創傷の写真の視覚的な順
位付けを中立な観察者が行い、観察者は創傷の治癒初期(5〜7日)の痂皮および試験終
了時の瘢痕を評価する。評価のために皮膚科学者でない人に創傷の写真を見せる。観察者
には処置を知らせず、観察者自身の判断基準によって写真を評価し、6グループ(各8枚
の写真)のうち最も良い3グループを選び、順位付けするよう依頼する。ここで、3グル
ープはリラキシンを投与され、3グループは投与されていない。
皮膚科学の専門家も各週に審美的点数を判定する。審美的点数には、以下の5つの要素
が含まれる:(1)色−周辺の皮膚と一致する;(2)質感−硬くない;(3)歪み−近
くの皮膚に歪みがない;(4)外形−周辺の皮膚に対して平らである;(5)全体−肥厚
またはケロイドの形成がない。
さらに、組織病理学の専門家が肉芽形成、炎症および壊死などの指標について処置の状
態を評価する。創傷の治癒の評価の際に、組織病理学者は創傷の採点法、赤い画素のカウ
ントによって判定されたコラーゲンの組織化(コンピュータプログラムによってカウント
された−瘢痕領域と周囲の正常な組織とにおける赤い画素の比率は相対的なコラーゲンの
組織化を示す)および第VIII因子染色による血管を考慮した組織学的評価を使用する
。治癒が最も良好であることは、正常な真皮と比較すると大きさが小さいものの正常なパ
ターンと同様の、コラーゲン線維が編み合わさって配列されたものにより裏付けられる。
この評価では、あらゆるリラキシン処置に関連する有害作用の有無を判定することが重要
である。
本開示の範囲および精神から逸脱しない本開示のさまざまな修正形および変形が当業者
には明らかであろう。特定の好適な実施形態に関連して本開示を記載してきたが、当然の
ことながら、特許請求されるとおり、本開示はそのような特定の実施形態に不当に制限さ
れるべきでない。実際に、当業者が理解する、本開示を実施するための記載した形態のさ
まざまな修正形が請求の範囲内にあることを意図している。

Claims (30)

  1. 皮膚創傷の表面的外観を改善する方法であって、未処置の対象の治癒後の創傷と比較し
    て改善された表面的外観を有する治癒後の創傷をもたらすのに有効な量の薬学的に活性な
    リラキシンを含む医薬製剤を皮膚創傷を有する対象に投与することを含む方法。
  2. 前記改善された表面的外観を有する治癒後の創傷は、周辺の皮膚とのより近い色の一致
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記改善された表面的外観を有する治癒後の創傷は、コラーゲン線維が編み合わさって
    配列されたものをさらに含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記リラキシンは、精製、組換え型または合成ヒトリラキシンである、請求項1に記載
    の方法。
  5. 前記リラキシンは、H1、H2またはH3ヒトリラキシンである、請求項1に記載の方
    法。
  6. 前記リラキシンは、リラキシン作動薬である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記リラキシンは、前記対象に全身投与される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記リラキシンは、前記皮膚創傷に局所投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 前記皮膚創傷を洗浄することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 前記医薬製剤は、抗生物質および非ステロイド系抗炎症薬のうち1つまたはその両方を
    さらに含む、請求項1に記載の方法。
  11. 皮膚創傷が治癒する間に瘢痕化するのを低減する方法であって、未処置の対象の治癒後
    の創傷と比較して瘢痕化が低減された治癒後の創傷をもたらすのに有効な量の薬学的に活
    性なリラキシンを含む医薬製剤を皮膚創傷を有する対象に投与することを含む方法。
  12. 前記瘢痕化は、ケロイド、肥厚性瘢痕および線条からなる群から選択される、請求項1
    1に記載の方法。
  13. デブリードマンまたは既存の瘢痕組織の除去をさらに含む、請求項11に記載の方法。
  14. 前記リラキシンは、精製、組換え型または合成ヒトリラキシンである、請求項11に記
    載の方法。
  15. 前記リラキシンは、H1、H2またはH3ヒトリラキシンである、請求項11に記載の
    方法。
  16. 前記リラキシンは、リラキシン作動薬である、請求項11に記載の方法。
  17. 前記リラキシンは、前記対象に全身投与され、かつ/または前記皮膚創傷に局所投与さ
    れる、請求項11に記載の方法。
  18. 前記皮膚創傷を洗浄することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  19. 前記医薬製剤は、抗生物質および非ステロイド系抗炎症薬のうち1つまたはその両方を
    さらに含む、請求項11に記載の方法。
  20. 前記対象は、治癒能力が損なわれたヒト対象である、請求項11に記載の方法。
  21. 創傷の治癒を促進する方法であって、前記創傷の治癒を促進するのに有効な量の薬学的
    に活性なリラキシンを含む医薬製剤を創傷を有する対象に投与することを含む方法。
  22. 前記創傷は、形成手術によるものである、請求項21に記載の方法。
  23. 前記形成手術は、皺切除、眼瞼形成術、鼻形成術、耳形成術、頤形成術、頬部除皺術、
    額除皺術、眉毛吊り上げ術、顔面の瘢痕修正、顔面の瘢痕除去、レーザー手術、皮膚の表
    面修復、皺治療、プラズマ皮膚再生、顔面の脂肪移植、皮膚の引き締め、刺青除去および
    植毛からなる群から選択される顔面の形成手術である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記形成手術は、腹壁形成術、乳房縮小術、豊胸術、ボディリフト手技、クモ状静脈治
    療、皮膚線条治療、脂肪吸引、余剰皮膚切除手術、セルライト減少治療、体形矯正、体の
    表面修復および体内インプラントからなる群から選択される全身の形成手術である、請求
    項22に記載の方法。
  25. 前記リラキシンは、精製、組換え型または合成ヒトリラキシンである、請求項21に記
    載の方法。
  26. 前記リラキシンは、H1、H2またはH3ヒトリラキシンである、請求項21に記載の
    方法。
  27. 前記リラキシンは、リラキシン作動薬である、請求項21に記載の方法。
  28. 前記リラキシンは、全身および/または局所投与される、請求項21に記載の方法。
  29. 前記医薬製剤は、抗生物質および非ステロイド系抗炎症薬のうち1つまたはその両方を
    さらに含む、請求項21に記載の方法。
  30. 前記対象は、治癒能力が損なわれたヒト対象である、請求項21に記載の方法。
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