JP2016179439A - 汚染物質除去剤および土壌浄化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温度や強酸性等の過激な条件を必要とすることなく比較的温和な条件下でも、汚染物質を含む土壌から汚染物質(例えば砒素)を簡便かつ安価に除去することが可能な汚染物質除去剤および土壌浄化方法を提供する。
【解決手段】砂型鋳造で得られた鋳物に対するショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂を主成分とする汚染物質除去剤。前記ショット廃砂は少なくとも、70〜74質量%の酸化珪素、9〜13質量%の鉄及び酸化鉄、9〜13質量%の酸化アルミニウム、を含んでなる汚染物質除去剤。より好ましくは、砂型鋳造で得られた鋳物に対するショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂を磁選機で磁選して得られる鉄分主体の成分からなる汚染物質除去剤。土壌浄化方法は、汚染物質を含む土壌を泥水化し、その泥水に上記の汚染物質除去剤を添加した後、常温常圧下で遠心分離する汚染物質除去剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、汚染物質(除去すべき物質)を除去するための汚染物質除去剤、及び、当該除去剤を用いた土壌浄化方法に関する。とりわけ、汚染物質としての砒素の除去剤、及び、それを用いた土壌浄化方法に関する。
近年、自然発生的要因または産業発生的要因によって発生した汚染物質の浄化処理の需要が高まっている。例えば、リニア新幹線等の高速鉄道を建設すべく我が国国土の大深度地下をシールド工法で掘削した場合、生じた掘削土が自然由来の砒素を比較的多く含むことが知られており、かかる掘削土から砒素を如何に効率的且つ低コストで取り除くかが課題となっている。なお、土壌から除去することが求められる汚染物質としては、砒素以外にも、シアンや重金属(例えば、水銀、六価クロム、カドミウム)等がある。
従来、砒素を含む汚染物質や有害物質を取り除く技術が様々に提案されている。
特許文献1は、砒素含有汚染土壌の浄化処理方法及びその装置を開示する。文献1の技術では、鉄を含有する物質と、砒素を含有する土壌とを混合し、この混合物を700〜1300℃の温度で加熱処理することで砒素を揮発除去している(文献1の要約参照)。文献1によれば、鉄含有物質の添加後に前記混合物を700℃以上の高温で加熱することにより、鉄分が通常の還元力を超える非常に優れた還元力を発揮することとなり、還元性雰囲気下のみならず酸素存在下でも充分に砒素を揮発させることが可能になるとのことである(文献1の段落0013〜0016参照)。
特許文献2は、重金属不溶化方法を開示する。この文献2では「重金属」との語を、通常の学術的な意味での重金属(水銀、カドミウム、六価クロム等)を指すのみならず、非金属である砒素をも含む意味で用いている(例えば要約参照)。文献2の技術では、そこで言うところの「重金属」を含む処理対象物に酸を添加し、pHを4以下の酸性条件に調整した後、鉄粉末を添加し、全体を混合することで、重金属を不溶化している。文献2が砒素(As)について言及するところによると、水酸化鉄(III)との吸着反応により、Asは水酸化鉄(III)の表面に吸着されて不溶化されるとのことである(文献2の段落0013参照)。
特開2005−305305号公報 特開2004−089850号公報
しかしながら、上記従来の処理技術も、必ずしも使い勝手のよいものではない。特許文献1の方法は、700℃〜1300℃という高温度での加熱処理を必要とすることから、加熱処理のための専用設備を必要とするのみならず、エネルギーコストもかさむため、安価な処理方法とは言い難い。何より、700℃〜1300℃という過激な加熱条件の下で砒素を揮発させて除去する方法であるから、土木工事の現場付近で実施できるような汎用性のある手法ではない。また、特許文献2の方法は、処理対象物を予めpH4以下の強酸性に調整する必要があり、酸性の処理液を事後的に中和する処理も必要となることを考慮すると、この方法もあまり簡便な方法とは言えない。尚、鋳物工場の操業過程からは種々の廃出物が生じており、廃出物の多くはそのまま廃棄処分され、しかもその廃棄処分には多大な費用を要することから、廃出物のリサイクル又は有効利用が求められている。
本発明の主たる目的は、汚染物質を含む土壌から汚染物質を簡便かつ安価に除去することを可能にすると共に、高温度や強酸性等の過激な条件を必要とすることなく比較的温和な条件下でも汚染物質の除去を可能にする汚染物質除去剤、及び、その汚染物質除去剤を用いた土壌浄化方法を提供することにある。また、鋳物工場の操業過程で生じる種々の廃出物のうちでも、とりわけショット廃砂の有効活用を図り、ひいてはショット廃砂の廃棄処分に要する費用を大幅に低減することを副次的な目的とするものである。
本願の発明者らは、鋳物工場の操業過程で生じる種々の廃出物のうちでも、鋳物のショットブラスト処理時に生じる「ショット廃砂」が、砒素等の汚染物質の除去に有効であることを見出した。本発明は、かかる新知見に基づくものである。
本発明の汚染物質除去剤は、砂型鋳造で得られた鋳物に対するショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂を主成分とする汚染物質除去剤である。より好ましくは、砂型鋳造で得られた鋳物に対するショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂を磁選機で磁選して得られる鉄分主体の成分からなる汚染物質除去剤である。
また、本発明の土壌浄化方法は、砒素等の汚染物質を含む土壌を泥水化し、その泥水に上記の汚染物質除去剤を添加した後、常温常圧下で遠心分離することを特徴とする土壌浄化方法である。
本発明の更に好ましい態様や追加的構成要件については、後記「発明を実施するための形態」欄で説明する。
本発明の汚染物質除去剤および土壌浄化方法によれば、高温度や強酸性等の過激な条件を必要とすることなく比較的温和な条件下でも、汚染物質を含む土壌から汚染物質を簡便かつ安価に除去することが可能になる。加えて、鋳物工場の操業過程で生じる種々の廃出物のうちでも特にショット廃砂の有効活用を図ることができ、ひいてはショット廃砂の廃棄処分に要する費用を大幅に低減することが可能になる。
III価砒素の吸着試験を行った結果を示す棒グラフ。縦軸は砒素除去剤による砒素の吸着濃度(mg/g)を示す。 V価砒素の吸着試験を行った結果を示す棒グラフ。縦軸は砒素除去剤による砒素の吸着濃度(mg/g)を示す。 本実施形態の汚染土壌浄化システムを含む全体構成を示す図である。
以下、本発明の詳細及び好ましい実施形態について説明する。
[汚染物質除去剤]
本発明に係る汚染物質除去剤は、砂型鋳造で得られた鋳物に対するショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂を主成分(又は主原料)とするものである。
ここで「ショットブラスト処理」とは、砂型に金属溶湯を注湯した後に砂型を解枠して得られた鋳物(粗製品)の表面に対し、例えば鋼鉄製の球状投射材(ショット)を投射して、鋳物の地肌表面に付着・残留する鋳物砂を取り除くと共に、鋳物の地肌表面の平滑化や硬化を図るための吹付け(ブラスト)処理をいう。そして一般的にショット廃砂とは、上記ショットブラスト処理の工程で生じた、主として粒子状の廃棄物をいい、概ね砂混じりの状態で回収されることからショット廃砂と呼ばれる。多くの場合、ショット廃砂の物質的実態は、鋳物砂と、鉄その他の金属成分の酸化物の粒子と、ショットブラストに用いた球状投射材と、ショットブラストにより鋳物から剥がれ落ちたバリ等が混じり合った混合物である(本明細書では、このような混合物を「狭義のショット廃砂」と位置付ける)。
なお、この「狭義のショット廃砂」に準じるものとして、ショット集塵ダストがある。ショット集塵ダストとは、鋳物工場内のショットブラスト処理設備付近に設置された集塵機で回収されたダストをいい、そのダストの実態は、通常は粒子状態にある狭義のショット廃砂が微粉化してダスト状(ちり、埃の状態)になったものであり、化学的組成を同じくするものである。つまり、ショット集塵ダストとは、ダスト状のショット廃砂である。本明細書および特許請求の範囲では、特にことわらない限り、狭義のショット廃砂(粒子状のショット廃砂)のみならず、ショット集塵ダスト(ダスト状のショット廃砂)をも含めて「ショット廃砂」(広義のショット廃砂)と呼ぶものである。
鋳物工場内のショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂について、廃砂全体を均等化した組成は、概ね次の通りである。即ち、本発明で使用するショット廃砂は、少なくとも、
70〜74質量%の酸化珪素(SiO)、
9〜13質量%の鉄(Fe)および酸化鉄、
9〜13質量%の酸化アルミニウム(Al)、を含有する。
尚、ショット廃砂中の酸化鉄は、FeO、Fe、Feの形態で存在し得る。
本発明ではショット廃砂をほぼそのまま汚染物質除去剤として用いることができるが、より好ましくは、本発明に係る汚染物質除去剤は、砂型鋳造で得られた鋳物に対するショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂を、更に磁選機で磁選して得られる鉄分主体の成分からなるものである。
ショット廃砂を磁選機で磁選(磁気選別)することによって鉄分主体の成分を回収でき、ショット廃砂中から、主として鋳物砂に由来する酸化珪素の多くと、非磁性金属であるアルミニウムの酸化物の多くを分離することができ、その結果、鉄および酸化鉄の比率を高めることができる。このような磁選のメリットは、砒素等の汚染物質を除去する上で有用な鉄分の濃度を高めるというにとどまらず、ロットごとに成分比率が安定しないショット廃砂のロットぶれによる悪影響を緩和(低減)できることにある。つまり、ショットブラスト処理設備から回収したばかりのショット廃砂よりも、磁選処理後のショット廃砂の方が品質面でのぶれが少なく、原材料としての品質が安定していると考えられる。なお、磁選の際の磁力(又は磁界)の強さは特に限定されないが、例えば500〜10000ガウスであってもよい。
磁選によって鉄分主体の成分を回収でき、酸化珪素や酸化アルミニウムの多くを取り除くことができるが、磁選後のショット廃砂中には、依然として球状投射材やバリ等が混入している。これらを取り除くために、磁選後のショット廃砂を分級処理することは好ましい。分級には一般的な分級機を用いることができ、使用可能な分級機としては、振動篩、振動スクリーン、風力分級機、乾式サイクロン分級機等を例示することができる。篩によって分級する場合には、例えば8メッシュと20メッシュの二種類の篩を用意する。8メッシュの篩を通過できないものとしては、比較的大きなバリ等がある。8メッシュ篩を通過するが20メッシュ篩を通過できないものとしては、球状投射材がある。そして、8メッシュ篩および20メッシュ篩の両方を通過できたものを鉄分主体の成分として回収し、これを本発明に係る汚染物質除去剤の主成分(又は主原料)として使用する。
粗原料としてのショット廃砂を磁選および分級して得た鉄分主体の成分は、厳密には混合物であることに変わりはないが、この混合物の全体を均等化した組成は、概ね次の通りである。即ち、本発明で使用する鉄分主体の成分は、少なくとも、
88〜92質量%の鉄(Fe)および酸化鉄、
4〜8質量%の酸化珪素(SiO)、を含有する。
尚、この鉄分主体の成分中の酸化鉄は、FeO、Fe、Feの形態で存在し得る。また、この鉄分主体の成分中には、不純物として酸化アルミニウムその他の金属酸化物が若干量残留することがある。
[汚染物質]
本発明の汚染物質除去剤を用いて除去される汚染物質としては、砒素、燐酸、シアン、フッ素、ホウ素および重金属を例示することができる。また、本除去剤の適用対象となり得る重金属としては、水銀、鉛、カドミウム、クロム(特に六価クロム)を例示できる。これら汚染物質の中でも、とりわけ砒素に対して本発明の除去剤は有効である。
[砒素除去のメカニズム]
少なくとも鉄分(鉄および酸化鉄)を含有するショット廃砂由来の汚染物質除去剤が、土壌中から砒素を除去するメカニズムについて考察する。例えば大深度地下のシールド工事によって生じた掘削土中には砒素が比較的多く含まれている。かかる掘削土が水(雨水でもよい)に触れると、掘削土から砒素イオンが溶出すると考えられる。そして、水濡れ状態の掘削土に対して本発明の汚染物質除去剤を混ぜたときに起こり得る化学反応として次の二態様が考えられる。第1の反応態様は、鉄イオン溶出による砒化鉄の生成である。即ち、本発明の除去剤から鉄イオン(二価又は三価の陽イオン)が溶け出し、鉄イオンと砒素イオンとが結合して砒化鉄(非水溶性の塩)を生成することで砒素が固定化される。第2の反応態様は、表面吸着反応である。即ち、本発明の除去剤の表面に露出した鉄(酸化又は水酸化を受けている可能性が高い)に対して砒素が化学吸着し、除去剤表面に固定化される。前記第1の反応態様及び/又は第2の反応態様に基づいて、掘削土からの砒素の除去が図られるものと考えられる。
[汚染土壌の浄化方法]
本発明に係る土壌浄化方法は、砒素等の汚染物質を含む土壌を泥水化し、その泥水に対し上記のような汚染物質除去剤を添加し、その後に、常温常圧下で遠心分離することを特徴とするものである。このような手順を踏むことで、例えば砒素を砒化鉄として固定化し、それを遠心分離後に固形物として取り除くことができる。なお、「常温」とは一般に室温付近の温度を意味し、極度な低温や高温ではないとの意味である。また、「常圧」とは一般に大気圧付近の圧力を意味する。
以下、本発明の実施例(実験例)を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定するものではない。なお、以下では、主として砒素を除去するための砒素除去剤の事例について説明する。
[砒素除去剤の調製その1]
砒素除去剤の主原料として、本件の一出願人の子会社であるアイシン高丘東北株式会社の鋳物工場内にあるショットブラスト処理設備で生じたショット廃砂(ショット集塵ダストを含まない狭義のショット廃砂)を使用した。このショット廃砂をほぼそのまま転用して得た第1の砒素除去剤を指して、以下では「生ショット廃砂」と呼ぶことにする。
以下に説明する性能評価試験(砒素吸着試験)で使用した砒素除去剤としての「生ショット廃砂」は、概ね次のような組成を有していた。
鉄および酸化鉄:11wt%、酸化アルミニウム:11wt%、酸化珪素:72wt%、その他の成分:6wt%
また、この生ショット廃砂をレーザー回折散乱式粒度分布測定器で測定した平均粒径(体積基準平均径)は、251μmであった。
[砒素除去剤の調製その2]
上記「生ショット廃砂」を磁選機にかけて約3000ガウスで磁選した後、分級機にて20メッシュを通過したものを第2の砒素除去剤とした。この第2の砒素除去剤を指して以下では「磁選後鉄粉」と呼ぶことにする。
この「磁選後鉄粉」は、概ね次のような組成を有していた。
鉄および酸化鉄:90wt%、酸化アルミニウム:2wt%、酸化珪素:6wt%、その他の成分:2wt%
また、この磁選後鉄粉をレーザー回折散乱式粒度分布測定器で測定した平均粒径(体積基準平均径)は、263μmであった。
上記第1の砒素除去剤(生ショット廃砂)及び第2の砒素除去剤(磁選後鉄粉)について、以下に述べるような砒素吸着試験を行い、それぞれの砒素吸着性能を評価した。
[砒素吸着試験(III価砒素の場合)]
三酸化二砒素(As)を用いて砒素(III)水溶液を調製した。具体的には、水酸化ナトリウム水溶液に三酸化二砒素の粉末を溶解させ、これに希硫酸を加えてpH7に調整し、1ppmの砒素(III)水溶液を準備した。そして、この砒素(III)水溶液100mLに対し、砒素除去剤(生ショット廃砂又は磁選後鉄粉)10gを添加して混合液(液体/固体の比=10)とし、この混合液を振とう機により振とう回数毎分約200回転で1時間振とうした。その後、毎分約3000回転で20分間、遠心分離を行い、遠心分離後の上澄み液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過してろ液を回収した。そして、ろ液の砒素濃度をICP発光分光分析計で実測し、砒素除去剤による砒素の吸着濃度を算出した。
[砒素吸着試験(V価砒素の場合)]
砒酸水素二ナトリウム・七水和物(NaHAsO・7HO)を用いて砒素(V)水溶液を調製した。具体的には、水酸化ナトリウム水溶液に砒酸水素二ナトリウム・七水和物の粉末を溶解させ、これに希硫酸を加えてpH7に調整し、1ppmの砒素(V)水溶液を準備した。そして、この砒素(V)水溶液100mLに対し、砒素除去剤(生ショット廃砂又は磁選後鉄粉)10gを添加して混合液(液体/固体の比=10)とし、この混合液を振とう機により振とう回数毎分約200回転で1時間振とうした。その後、毎分約3000回転で20分間、遠心分離を行い、遠心分離後の上澄み液を孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過してろ液を回収した。そして、ろ液の砒素濃度をICP発光分光分析計で実測し、砒素除去剤による砒素の吸着濃度を算出した。
III価砒素の場合における砒素吸着試験の結果と、V価砒素の場合における砒素吸着試験の結果を表1に示す。なお、図1、図2の棒グラフは、表1中の吸着濃度をグラフ化したものである。
Figure 2016179439
表1及び図1、図2の結果から、III価砒素の吸着試験とV価砒素の吸着試験のいずれにおいても、磁選前の生ショット廃砂より磁選後鉄粉の方が、良好に砒素を吸着できることが確認された。これは、生ショット廃砂よりも磁選後鉄粉の方が鉄を多く含み、より多くの砒素を固定化できることによるものと考えられる。
[砒素除去剤を用いた砒素含有土壌の浄化例]
泥水式シールド工法に本発明の土壌浄化方法を適用した事例について図3を参照しつつ説明する。図3に例示する汚染土壌浄化システムにおいてシールド機10はカッターヘッドを回転駆動させて切羽面の掘削を行い、カッターヘッドにより切削した切羽面の土砂すなわち掘削土を泥水と混合し、これを適宜な圧送ポンプと配管からなる排泥系統25により坑外に圧送する。こうして圧送した泥水は、固液分離装置11へ送られる。この固液分離装置11は、泥水と掘削土を分離する泥水処理装置であって、上述の泥水を、振動ふるい等により、掘削土由来の建設発生土(振動ふるい等にて抽出)と泥水とに分離する。
固液分離装置11にて分離された上述の建設発生土については、一般残土として処分する。他方、固液分離装置11にて分離された上述の泥水は、送泥管や送泥ポンプ等の所定系統を介して調整槽12に供給される。
一方、汚染土壌浄化を行う本実施形態の汚染土壌浄化システムは、砒素除去槽14、遠心分離機15、砒素除去剤タンク20、及びそれら各間における泥水、溶液等の移送系統を備えているものとする。また、上述したシールド機10による掘削の進行に伴い、余剰槽13には泥水が貯留されていき、一定基準量以上となった分の泥水が、汚染土壌浄化システムにおける砒素除去槽14に供給されるものとする。
ここで、本実施形態の汚染土壌浄化方法において、余剰槽13から供給された泥水を砒素除去槽14にて貯留し、これに対し、砒素除去剤タンク20より取り出した所定量の砒素除去剤を投入し、撹拌する。ここでの砒素除去剤として本実施例では上述した第2の砒素除去剤(磁選後鉄粉)を用いた。なお、本発明の土壌浄化方法においては、上述した第2の砒素除去剤(磁選後鉄粉)でなく、上述した第1の砒素除去剤(生ショット廃砂)を用いてもよい。また、第1の砒素除去剤(生ショット廃砂)と第2の砒素除去剤(磁選後鉄粉)を併用してもよい。なお、砒素除去槽14は余剰槽13と所定の配管系統で結ばれている。
こうした構成において、砒素除去剤添加工程を実行する場合、まず、余剰槽13から供給される泥水で当該砒素除去槽14を満たし、所定量の砒素除去剤を水と混合した砒素除去剤混合液を砒素除去槽14に投入し、撹拌作業を行う。その後も余剰槽13から泥水が供給される状況であれば、さらに砒素除去槽14に砒素除去剤を投入し撹拌作業を行う。
また、上述の砒素除去槽14において、泥水と砒素除去剤との撹拌作業を所定時間継続し、泥水と砒素除去剤が十分に混合された後、この混合液である砒素除去剤添加泥水を遠心分離機15に供給し、当該砒素除去剤添加泥水から砒化鉄を含む砒素除去剤の分離を図る。
上述の遠心分離機15としてはサイクロンを採用できる。サイクロンは、固体混じりの液体等を円筒容器に対して円周方向から渦を描く様に投入することで、比重の重い鉄粉(と掘削土)は遠心分離作用により円筒容器内壁に衝突させて回収し、液体(この場合、泥水)は円筒中心から排出させる機能を有している。
続いて上述の遠心分離機15により、砒素除去剤添加泥水中から砒化鉄を含む砒素除去剤を分離させて得た上澄み泥水は、例えばプレスによって所定の減容、脱水を行ってケーキとした上で、砒素を含まない汚泥として搬出される。
一方、上述の遠心分離処理により、反応後の砒素除去剤(砒化鉄を含む)を含む沈降物が回収される。この沈降物について磁選機等で砒素除去剤(砒化鉄を含む)が回収される。
なお、本実施形態においては、掘削土が砒素を含む場合に対応したシステム構成と処理方法について説明したが、上述のように、砒素以外の、燐酸、シアン、フッ素、ホウ素、重金属などの汚染物質に対して本実施形態の汚染土壌浄化システム、汚染土壌浄化方法を適用するとしてもよい。その場合、汚染物質除去剤の使用量や撹拌時間など諸条件の値を該当汚染物質の性状に適用させることとなる。
こうした本実施形態によれば、砒素、燐酸、シアン、フッ素、ホウ素、重金属などの汚染物質を含む掘削土を効率的かつ低コストで浄化可能となる。以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
10:シールド機
11:固液分離装置
12:調整槽
13:余剰槽
14:砒素除去槽
15:遠心分離機
20:砒素除去剤タンク
25:排泥系統

Claims (6)

  1. 砂型鋳造で得られた鋳物に対するショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂を主成分とする汚染物質除去剤。
  2. 前記ショット廃砂は少なくとも、
    70〜74質量%の酸化珪素、
    9〜13質量%の鉄および酸化鉄、
    9〜13質量%の酸化アルミニウム、
    を含んでなるものであることを特徴とする請求項1に記載の汚染物質除去剤。
  3. 砂型鋳造で得られた鋳物に対するショットブラスト処理工程から生じたショット廃砂を磁選機で磁選して得られる鉄分主体の成分からなることを特徴とする汚染物質除去剤。
  4. 前記鉄分主体の成分は少なくとも、
    88〜92質量%の鉄および酸化鉄、
    4〜8質量%の酸化珪素、
    を含んでなるものであることを特徴とする請求項3に記載の汚染物質除去剤。
  5. 除去されるべき汚染物質が、砒素、燐酸、シアン、フッ素、ホウ素および重金属からなる群から選択される少なくとも一種である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の汚染物質除去剤。
  6. 汚染物質を含む土壌を泥水化し、その泥水に請求項1〜5のいずれか一項に記載の汚染物質除去剤を添加した後、常温常圧下で遠心分離することを特徴とする土壌浄化方法。
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