JP2016176714A - 電鋳部品及び電鋳部品の製造方法 - Google Patents

電鋳部品及び電鋳部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】摺動部を有する電鋳部品であって、摺動部における潤滑油の保持性が高いものを提供する。【解決手段】フォトリソグラフィーにより電鋳型を作製する際に使用するフォトマスクや露光機光学系を利用し、摺動部となる部分202に微細な縦筋の凹凸を形成し、これを電鋳で転写することにより摺動部202に摺動方向とは垂直方向に延びる微細な縦筋状凹凸を電鋳体表面に形成することにより、潤滑油の保持性が高い摺動部202を有する電鋳部品とする。さらに、この微細な縦筋状凹凸につながる凹部203を電鋳部品に形成することにより潤滑油の供給を行えるようにする。【選択図】図2

Description

本発明は、摺動部を有する機械部品に関し、特に時計等の小型精密機械の部品として好適な電鋳部品及びその製造方法に関する。
小型の精密機械の一つである機械式時計には、摺動部を有する機械部品である歯車等が多く用いられている。これらの部品は用途に応じて様々な形状に形成されているうえ、複雑に組み合わされて動力を伝達している。たとえば、機械式時計の歯車の一つである金属製がんぎ車は、振り子に相当するアンクルに取り付けられたルビーやセラミックス等の高硬度を有する材料からなる爪石が歯先側面に対して高速で摺動するので、両者の間に生じる摩擦により摩耗が著しい。そのため、摩擦をできるだけ軽減するために、摺動部およびその近傍に潤滑油を常に施しておく必要がある。一方、不必要な部分への潤滑油の拡散を防ぐために、摺動部とその近傍に潤滑油を保持させる必要がある。
このような中、がんぎ車では、歯車部に形成された鉤型構造を有する複数の歯部の先端に潤滑油を局所的に保持して、爪石との摩擦を低減することができるがんぎ車が考案されている(例えば、特許文献1参照)。このがんぎ車では、歯部の先端の厚みを薄くするための段差が形成されており、厚みの異なる部分の境である境界面を利用して潤滑油を保持することが可能としている。
さらに、歯車等の摺動部となる側壁部に潤滑油を保持するための複数の孔を形成する方法が考案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、摺動部となるがんぎ歯車厚み方向に複数の孔を設けることにより、この孔中に潤滑油を保持することとなる。また、この孔の形成方法として、フォトリソグラフィー法を用いた電鋳法を採用しており、この工程において、フォトレジストに孔を形成するための現像液に不溶のビーズを混合し、フォトレジスト現像後、フォトレジスト開口部のうちフォトレジスト残留部の壁面に現れるビーズによる凹凸を電鋳により転写することによっている。
特表2007−506073号公報 特開2010−261064号公報
しかしながら、段差を設けた歯車等の摺動では、境界面の部分を中心に潤滑油が保持される構成であるため、境界面に近い部分と離れた部分では、潤滑油の量が異なるため、必要な部分である歯先の厚み方向に潤滑油がムラ無く均等に行き渡り難かった。このため、摩擦抵抗にばらつきが生じる可能性があり、偏った摩耗に繋がる恐れがあった。
また、摺動部となる歯車の側壁に複数の孔を形成する方法では、保持される潤滑油の量は孔のみであるため、その量は限定され、長期間にわたる駆動により消耗、消失し、摺動部の摩擦を高めることとなり、その効果は限定的である恐れがあった。また、その作製においてもフォトレジストに異質なビーズ材料を混入させることから、フォトレジストの露光時における解像度や現像時におけるビーズの脱落に伴う現像液の汚染によるフォトレジスト開口部への再付着等によるフォトレジストの開口パターンへの悪影響とも懸念されるという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、歯車のような摺動部品の摺動部となる側壁に均一に潤滑油を保持することができ、さらに、側壁部に潤滑油を供給することができる電鋳部品を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る電鋳部品は、電鋳により所定の厚みに形成された電鋳部品であって、前記厚み方向の少なくとも一部が摺動部となる摺動面を有し、前記摺動面の摺動方向に対して垂直方向に筋状の凹凸部を設けて潤滑油を保持可能な凹部を備えることを特徴とする。
本発明に係る電鋳部品は、前記凹凸部の摺動方向に対する自乗平均粗さは、50nmから500nmであることを特徴とする。
本発明に係る電鋳部品は、前記摺動面とは異なる面は、前記摺動面より表面粗さが大きい梨地状態からなることを特徴とする。
本発明に係る電鋳部品は、前記摺動面とは異なる面に前記凹凸部とつながる凹部を有することを特徴とする電鋳部品。
本発明に係る電鋳部品は、鉤型状の歯部を複数有するがんぎ歯車部からなり、前記歯部に備えられた前記摺動面にアンクルの爪石が摺動することを特徴とする。
本発明に係る電鋳部品の製造方法は、電鋳により所定の厚みに形成され、前記厚み方向の少なくとも一部が摺動部となる摺動面を有し、前記摺動面の摺動方向に対して垂直方向に筋状の凹凸部を設けて潤滑油を保持可能な凹部を備える電鋳部品を製造する方法であって、基板上に形成された導電膜の上に第1のフォトレジスト層を所定の厚みに塗布する第1の塗布工程と、第1のフォトマスクを通して前記第1のフォトレジスト層を部分的に露光する第1の露光工程と、前記第1のフォトレジスト層の上に第2のフォトレジスト層を所定の厚みに塗布する第2の塗布工程と、第2のフォトマスクを通して前記第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を部分的に露光する第2の露光工程と、露光した前記第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を現像して前記導電膜を露出させると共に、前記電鋳部品の外形形状を有する開口部を備えた電鋳型を形成する現像工程と、前記電鋳型をめっき液に浸漬し、通電して前記導電膜上にめっき層を形成するめっき工程と、全体を電鋳液に浸漬し、通電して前記めっき層上に金属を析出させると共に、前記開口部を少なくとも完全に塞ぐ金属体となるまで金属を成長させる電鋳工程と、前記開口部から溢れた前記金属体を除去すると共に、残った金属体の厚みが前記電鋳部品の厚みとなるように厚み調整を行う厚み調整工程と、前記フォトレジスト層及び前記めっき層を除去して電鋳部品を得る除去工程と、を備えることを特徴とする電鋳部品の製造方法。
この発明によれば、摺動部となる側面に均一な潤滑油を保持することができると同時にこの摺動面となる側面に潤滑油を長期間に渡って供給することができるので、優れた摺動部品を提供することができる。
本発明の実施形態に係る機械式時計の脱進・調速装置のうちアンクルとがんぎ車の関係を示した図である。 本発明の実施形態に係るがんぎ車の歯車部を拡大した図である。 本発明の実施形態に係るがんぎ車とアンクル爪石の摺動関係を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造する際のフォローチャートである。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造する工程である第1の塗布工程を示す図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造するために使用するフォトマスクのパターンの概略を示す図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造するための第1の露光工程を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造する工程である第2の塗布工程を示す図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造するための第2の露光工程を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造するための現像工程を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造するためのめっき工程を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造するための電鋳工程を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品であるがんぎ車を製造するための厚み調整工程を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳不憫であるがんぎ車を製造するための除去・分離工程を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品の一つであるがんぎ車の別の形態を示した図である。 本発明の実施形態に係る電鋳部品を歯車に適用した図である。
本発明に係る実施形態について、機械式腕時計部品であるニッケル電鋳により作られるがんぎ歯車を例に挙げて、図1から図16を参照して説明する。
図1は、機械式腕時計の駆動機構であるムーブメントで、脱進・調速装置と呼ばれるうち、がんぎ車101とアンクル102の組み合わせを示した図である。がんぎ車101は軸穴103に打ち込まれ、動力を伝えるがんぎかな部104とがんぎ歯車部105から構成されており、がんぎ歯車部105には摺動面106が備えられている。
一方、アンクル102は、振り中心となる軸部106とアンクル102の振動を一定に保つための図示しないヒゲぜんまい等からなる機構につながるアンクルハコ107と、軸部106を中心に振動することにより、がんぎ車101を一方向に回転させるための、2個の爪石108から構成されている。
アンクル102は、軸部106を中心に振れることにより、振り子として働くが、その際、爪石108は、がんぎ車101のがんぎ歯車部105を押すことによりがんぎ車101に回転を与えるが、その際、摺動面106を摺動することとなる。
一般に、アンクル102の爪石108は、精度に加え、摺動による摩耗を抑えるため、硬度が高いルビーやアルミナ等のセラミックス材料により作られており、その駆動により、金属で作られているがんぎ車101の摺動面106を摩擦により摩耗することとなる。このため、摺動面106における摩擦低減のため潤滑油の注油、保持が必要となる。
図2は、図1におけるがんぎ車101の歯車部105を拡大した図であり、歯車部201の摺動面202の表面には、歯車の厚み方向に縦筋状で、かつ、縦筋垂直方向、すなわち摺動方向に対して粗さが自乗平均粗さ50nmから500nmを有する凹凸を配してあり、この凹凸は、歯車部105の自乗平均粗さ500nmから1000nmを有する一面に設置した凹部203に繋がっている。
図3は、図1におけるがんぎ車101の摺動面106と爪石108の摺動状態を示した図であるが、爪石301はがんぎ車302の縦筋状凹凸を有する摺動面303の表面をこすりながら移動する。この際、摺動面303の表面には縦筋状凹凸により保持された潤滑油により摩擦の低減がなされており、さらに、がんぎ車302の歯車部304の一部に備えられている凹部305に保持された潤滑油が縦筋状凹凸を伝わって摺動面303に供給されるため、長期間に渡って良好な潤滑状態を維持することができる。
次に、上述したがんぎ車101の製造方法について、図4に示すフローチャートを参照しながら説明する。
本実施形態のがんぎ車101の製造方法は、第1の塗布工程(S1)と、第1の露光工程(S2)と、第2の塗布工程(S3)と、第2の露光工程(S4)と、現像工程(S5)と、めっき工程(S6)と、電鋳工程(S7)と、厚み調整工程(S8)除去・分離工程(S9)と、を行って製造する方法である。以下、これらの各工程について詳細に説明する。
第1の塗布工程(S1)では、図5(a)に示すようにシリコンウエハ基板501の一面に導電膜502を形成する。この導電膜502としては、たとえば、金、銅、クロム、ニッケル、チタン等の金属を用いるが複数の膜から構成されていてもかまわず、形成方法としても、真空蒸着法、スパッタリング法等の気相めっき法による方法以外に無電解めっき法等の湿式めっき法を採用しても構わなく、また、その膜厚は、数nmから数μmの範囲であることが好ましい。次に、図5(b)に示すように、第1のフォトレジスト層503を50μmを塗布する。塗布方法としては、液状フォトレジストを用いたスピンコート法、スプレーコート法、印刷法等があるが、フィルム状フォトレジストであるドライフィルムフォトレジストを熱圧着等により貼付する方法もこの工程に採用することができる。また、フォトレジストとしてネガタイプ、ポジタイプのいずれも適用できるが、本実施の形態ではネガタイプのフォトレジストを使用した例について述べる。
次に第1の露光工程(S2)を行う。
図6は露光に使用するフォトマスクのパターンの概略で、第1の露光に使用する第1のパターン601が描かれた第1のフォトマスクと第2の露光に使用する第2のパターン602が描かれた第2のフォトマスクのパターンの位置関係を示した図である。なお、図6は、1個のがんぎ車のパターンを示したもので、フォトマスクにはこのパターンが複数個描かれており、複数個のがんぎ車を同時に作製することができる。なお、本実施形態ではネガタイプのフォトレジストを使用することから、第1のパターン601は透過パターン、第2のパターン602は遮光パターンである。
第1の露光工程では、第1のフォトマスクを用いて露光を行うことにより、図7で示したように露光部701を形成する。図7では、図6におけるA−A‘部での断面を図示しているが、図面を見やすくするために、大きさや間隔を変えて図示している。
次に第2の塗布工程(S3)では、第1の塗布工程(S1)で使用したフォトレジストと同じフォトレジストを第1のフォトレジスト層801上に塗布することにより、第2のフォトレジスト層802を形成する。以上のように形成した2層のフォトレジスト層802は、図8(b)に示したようにフォトレジスト未露光部803と露光部804となる。
次に、第2の露光工程(S4)を行う。
図9に示した第2の露光工程では、第2の露光パターンが描かれた第2のフォトマスクを用いて露光を行うことにより、露光部901と現像後にがんぎ車形状の開口部となる未露光部902を得る。なお、図9では、図6におけるA−A‘部での断面を図示しているが、図面を見やすくするために、大きさや間隔を変えて図示している。
この第2の露光工程では、摺動面となる部分に微細な凹凸部を形成するために、ビーム径φ0.5μmにより作られるラスタースキャンフォトマスクを第2のフォトマスクとして使用する。ラスタースキャンにより作製されるフォトマスクは、ビームの直線走査描画によっており、この走査方向と平行関係にない方向では、ビーム径と描画線角度に応じた非常に微細なドット状の境界面描画となる。本実施形態では、がんぎ車101の摺動面303となる描画線が第2のフォトマスク作製時にビーム走査と平行とならないように配置する。この第2のフォトマスクにより微細な凹凸を有する露光状態を得ることができる。
次に、現像工程(S5)を行う。
図10に示すように、現像工程(S5)では、図示しない現像液により未露光部を現像することにより除去する。これにより、底部に導電膜1001が露出したがんぎ車101の外形形状を有する開口部1002と、これを囲む絶縁体となるフォトレジスト層1003が得られ、現像工程(S5)が終了すると、電鋳型1004が完成する。この電鋳型1004を構成するフォトレジスト層1003のうち、開口部1002側の側壁部1005の表面は、ラスタースキャンにより作製された第2のフォトマスクにより露光されたため、厚み方向に対して、微細な縦筋状凹凸を有した面となっている。
次に、めっき工程(S6)を行う。
図11に示すように、めっき工程(S6)では、図10に示した電鋳型1004を図示しない無光沢硫酸銅めっき液内に浸漬し、通電することにより、電鋳型1004の開口部1002の底面で露出している導電膜1002表面に自乗平均表面粗さ約300nmで5μmの厚みを有する無光沢銅めっき層1101を形成する。この無光沢銅めっき層1101は、導電性を有する部分である導電膜1102上のみに形成されるもので、電鋳型1103のフォトレジスト層1104の表面には形成されることはない。
次に、電鋳工程(S7)を行う。
図12に示すように、電鋳工程(S7)では、図11に示しためっき工程(S6)を経て十分水洗された電鋳型1103を図示しないスルファミン酸ニッケル系電鋳液内に浸漬し、導電膜1102を介して通電することにより電鋳型1103の開口部1105の底部で露出している無電解めっき層1101上にニッケル電鋳を行い、ニッケル電鋳体1201を形成する。ニッケル電鋳は、図11に示した開口部1105を隙間なく充填するまでなされ、ニッケル電鋳体1201の一部はフォトレジスト層1202上に至るようにする。
次に、厚み調整工程(S8)を行う。
電鋳工程(S7)終了後、基板1205を電鋳液から取り出し十分洗浄した後、基板1205の表面のうち不要部を研削装置や研磨装置を用いることにより、除去すると同時に厚み調整および表面平坦化を行うことにより、図13に示したように厚みや表面状態が整った電鋳体1301を得る。この工程により、がんぎ車として形状、厚み等の寸法が整えられたニッケルからなる電鋳体1301と、フォトレジスト層1302と、導電膜1303と、銅めっき層1304と、シリコンウエハ基板1305からなる基板1306を得る。
最後に、除去・分離工程(S9)を行う。
厚み調整工程(S8)を経た基板1306を十分洗浄した後、基板1306を図示しないレジスト剥離液に浸漬してフォトレジスト層1302を除去することにより、図14(a)に示したように、電鋳体1401と、銅めっき層1402と、導電膜1403と、シリコンウエハ基板1404からなる基板1405を得る。次に、この基板1405を銅エッチング液である図示しない過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬することにより、銅めっき層1402を端面方向から所謂サイドエッチングにより除去することにより、図14(b)に示したニッケル電鋳体からなるがんぎ車1406を製造することができる。
このようにして作られたがんぎ車1406のうち厚み調整工程(S8)を行った面1407は鏡面状態であるが、銅めっき層1402側の面1408は、銅めっき層1402の表面状態である自乗表面粗さ500nmを有する梨地表面を有しており、さらに、摺動面303となるがんぎ車側壁1409の表面は、図10に示したフォトレジスト層1003の側壁部1005を忠実に転写しており、その自乗平均粗さは、約100nmである。
また、がんぎ車101の外形は、第2の露光工程(S4)により作られた図9に示した露光部901の形状により決められ、さらに、歯車部304に備えられた凹部305は、図8に示した第1の露光工程(S2)により作られた露光部804と第2の露光工程(S4)により作られた露光部901により作製されたパターンの転写により形成されている。
このようにして作製したがんぎ車1406を図1に示したごとく通常のアンクルと組み合わせ、がんぎ歯車部304に潤滑油を注油することにより、摺動面303および歯車部304に形成された凹部305に潤滑油が行きわたる。
さらに、この組み合わせにより高速で駆動することによりなされる3年および10年相当の耐久試験においても止まり等の不具合は全く生じない。
本実施形態によるがんぎ車の摺動面に微細な縦筋状凹凸とこれとは別の面に設けられた凹部による潤滑油の保持と供給により優れた摺動特性を示すものである。
なお、本実施形態では、摺動面に微細な縦筋状凹凸を形成する手段として、ラスタースキャンにより作製されるフォトマスクを使用しているが、フォトマスクに微細な凹凸をつけることによっても同様の効果を果たすことができる。また、露光装置のコリメーション等光学系の調整とフォトマスクとフォトレジストとの間の隙間を利用することによる光の干渉を利用することにより発生する露光境界部の凹凸を利用することにより、縦筋状凹凸をフォトレジスト壁面に形成することができるので、これを電鋳体に転写することにより本願発明である摺動面における縦筋状凹凸を形成することができる。
さらに、本実施の形態では、図2に示した凹部203を有した歯車部201のがんぎ歯車101を例に挙げたが、凹部203の代わりに、図15に示した摺動面1502と段差1503を有する歯車部1501を有するがんぎ車としてもよく、さらに、図16に示したごとく、微細な縦筋状凹凸を形成した摺動面1601と凹部1602およびこの凹部1602と摺動面を繋ぐ凹部1603を備えることにより通常の歯車1604に適用できることは言うまでもない。
また、本実施形態では、電鋳型としてフォトリソグラフィー法による型を電鋳部品製造用として用いたが、フォトリソグラフィー法により、摺動面となるべき部分に微細な縦筋状凹凸を形成した電鋳母型を作製し、この電鋳母型を用いて、このパターンを樹脂等へ転写し、これに電鋳を行うことにより電鋳部品を作製する方法も可能であることは言うまでもない。
以上述べたように、本実施形態に係る電鋳部品は、電鋳により所定の厚みに形成された電鋳部品であって、厚み方向の少なくとも一部が摺動部となる摺動面を有し、摺動面の摺動方向に対して垂直方向に筋状の凹凸部を設けて潤滑油を保持可能な凹部を備えることを特徴とする。
この電鋳部品は、電鋳の厚み方向の全体または一部が摺動部となる電鋳部品であり、摺動面に微細な縦筋状の概略一方向の凹凸を設けることにより、その凹部に潤滑油を保持すると同時に、この凹部が摺動部以外からの潤滑油の供給路となるため、均一な潤滑油面を維持すると同時に長期間に渡る潤滑油の保持を行うことができるので、長期的かつ安定的な潤滑状態を維持できる。
また、本実施形態に係る電鋳部品は、凹凸部の摺動方向に対する自乗平均粗さは、50nmから500nmであることを特徴とする。
この電鋳部品は、摺動面に微細な縦筋状の自乗平均粗さが50nmから500nmからなる一方向の凹凸を設けることにより、その凹部に潤滑油を保持すると同時に、この凹部が摺動部以外からの潤滑油の供給路となるため、均一な潤滑油面を維持すると同時に長期間に渡る潤滑油の保持を行うことができるので、長期的かつ安定的な潤滑状態を維持できる。
また、本実施形態に係る電鋳部品は、摺動面とは異なる面は、前記摺動面より表面粗さが大きい梨地状態からなることを特徴とする。
この電鋳部品は、摺動面に微細な縦筋状の概略一方向の凹凸を設け、さらにこの縦筋状凹凸とは異なる面に、縦筋状凹凸より大きな粗さを有する梨地状の面を設けることにより、潤滑油を保持することができ、この保持された潤滑油を前記摺動面に設けられた縦筋状凹凸にこの潤滑油を供給することができるので、摺動面の潤滑油の量を常に安定的に保つことができるので長期的かつ安定的な潤滑状態を維持できる。
また、本実施形態に係る電鋳部品は、摺動面とは異なる面に凹凸部とつながる凹部を有することを特徴とする。
この電鋳部品は、摺動面に微細な縦筋状の概略一方向の凹凸を設け、さらにこの縦筋状凹凸とは異なる面に、この凹凸部とつながる凹部を設けることにより、この凹部に潤滑油を保持することができ、この保持された潤滑油を前記摺動面に設けられた縦筋状凹凸にこの潤滑油を供給することができるので、摺動面の潤滑油の量を常に安定的に保つことができるので長期的かつ安定的な潤滑状態を維持できる。
また、本実施形態に係る電鋳部品は、鉤型状の歯部を複数有するがんぎ歯車部からなり、前記歯部に備えられた前記摺動面にアンクルの爪石が摺動することを特徴とする。
この電鋳部品は、アンクルと共に機械式時計の脱進・調速を行うがんぎ車として利用することができる。特に、潤滑油を保持可能な凹部が、アンクルの爪石が摺動される摺動面にあるので、爪石の摺動時に生じる摩擦抵抗を効果的に軽減することができる。従って、耐久性に優れた信頼性の高いがんぎ車とすることができる。
また、本実施形態に係る電鋳部品の製造方法は、電鋳により所定の厚みに形成され、前記厚み方向の少なくとも一部が摺動部となる摺動面を有し、前記摺動面の摺動方向に対して垂直方向に筋状の凹凸部を設けて潤滑油を保持可能な凹部を備える電鋳部品を製造する方法であって、基板上に形成された導電膜の上に第1のフォトレジスト層を所定の厚みに塗布する第1の塗布工程と、第1のフォトマスクを通して前記第1のフォトレジスト層を部分的に露光する第1の露光工程と、前記第1のフォトレジスト層の上に第2のフォトレジスト層を所定の厚みに塗布する第2の塗布工程と、第2のフォトマスクを通して前記第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を部分的に露光する第2の露光工程と、露光した前記第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を現像して前記導電膜を露出させると共に、前記電鋳部品の外形形状を有する開口部を備えた電鋳型を形成する現像工程と、前記電鋳型をめっき液に浸漬し、通電して前記導電膜上にめっき層を形成するめっき工程と、全体を電鋳液に浸漬し、通電して前記めっき層上に金属を析出させると共に、前記開口部を少なくとも完全に塞ぐ金属体となるまで金属を成長させる電鋳工程と、前記開口部から溢れた前記金属体を除去すると共に、残った金属体の厚みが前記電鋳部品の厚みとなるように厚み調整を行う厚み調整工程と、前記フォトレジスト層及び前記めっき層を除去して電鋳部品を得る除去工程と、を備えることを特徴とする。
この電鋳部品の製造方法によれば、電鋳を利用するので複雑な形状であっても精密に電鋳部品を作製することができ、高品質化を図ることができる
101、302、1406 がんぎ車
102 アンクル
103 軸穴
104 がんぎかな部
105、201、304、1501 歯車部
106、202、303、1502、1601 摺動面
107 アンクルハコ部
108、301 爪石
203、305、1602、1603 凹部
501、1305、1404 シリコンウエハ基板
502、1001、1102、1303、1403 導電膜
503、801、802、1003、1104、1202、1302 フォトレジスト層
601、602 パターン
701、804、901 露光部
803、902 未露光部
1002、1105 開口部
1004、1103 電鋳型
1005 側壁部
1101、1304、1402 銅めっき層
1201、1301、1401 電鋳体
1306、1405 基板
1407、1408 面
1409 側壁
1604 歯車

Claims (6)

  1. 電鋳により所定の厚みに形成された電鋳部品であって、
    前記厚み方向の少なくとも一部が摺動部となる摺動面を有し、前記摺動面の摺動方向に対して垂直方向に筋状の凹凸部を設けて潤滑油を保持可能な凹部を備えることを特徴とする電鋳部品。
  2. 前記凹凸部の摺動方向に対する自乗平均粗さは、50nmから500nmであることを特徴とする請求項1に記載の電鋳部品。
  3. 前記摺動面とは異なる面は、前記摺動面より表面粗さが大きい梨地状態からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電鋳部品。
  4. 前記摺動面とは異なる面に前記凹凸部とつながる凹部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電鋳部品。
  5. 鉤型状の歯部を複数有するがんぎ歯車部からなり、
    前記歯部に備えられた前記摺動面にアンクルの爪石が摺動することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電鋳部品。
  6. 電鋳により所定の厚みに形成され、前記厚み方向の少なくとも一部が摺動部となる摺動面を有し、前記摺動面の摺動方向に対して垂直方向に筋状の凹凸部を設けて潤滑油を保持可能な凹部を備える電鋳部品を製造する方法であって、
    基板上に形成された導電膜の上に第1のフォトレジスト層を所定の厚みに塗布する第1の塗布工程と、
    第1のフォトマスクを通して前記第1のフォトレジスト層を部分的に露光する第1の露光工程と、
    前記第1のフォトレジスト層の上に第2のフォトレジスト層を所定の厚みに塗布する第2の塗布工程と、
    第2のフォトマスクを通して前記第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を部分的に露光する第2の露光工程と、
    露光した前記第1のフォトレジスト層及び第2のフォトレジスト層を現像して前記導電膜を露出させると共に、前記電鋳部品の外形形状を有する開口部を備えた電鋳型を形成する現像工程と、
    前記電鋳型をめっき液に浸漬し、通電して前記導電膜上にめっき層を形成するめっき工程と、
    全体を電鋳液に浸漬し、通電して前記めっき層上に金属を析出させると共に、前記開口部を少なくとも完全に塞ぐ金属体となるまで金属を成長させる電鋳工程と、
    前記開口部から溢れた前記金属体を除去すると共に、残った金属体の厚みが前記電鋳部品の厚みとなるように厚み調整を行う厚み調整工程と、
    前記フォトレジスト層及び前記めっき層を除去して電鋳部品を得る除去工程と、を備えることを特徴とする電鋳部品の製造方法。
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