JP2016176215A - 仕口部の接合装置、仕口部の接合構造、及び仕口部の接合方法 - Google Patents

仕口部の接合装置、仕口部の接合構造、及び仕口部の接合方法 Download PDF

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俊夫 前原
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Abstract

【課題】従来よりも施工性に優れた、RC造の柱とS造の梁とが接合された仕口部に関する技術を提供する。【解決手段】垂直方向に延びるRC造の柱と水平方向に延びるH形状のS造の梁とが接合される仕口部を構成する仕口部の接合装置であって、前記S造の梁と、前記S造の梁に接合され、前記仕口部におけるRC造の柱の周囲を囲むアングル状のふさぎ板の一部を構成する支圧板と、垂直方向に延びる端部が前記支圧板の端部に接合されるアングル状のふさぎ板と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、仕口部の接合装置、仕口部の接合構造、及び仕口部の接合方法に関する。
鉄筋コンクリート(RC:reinforced concrete)造、鉄骨(S:steel)造、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC:steel reinforced concrete)造の接合構造、又は接合方法として、種々の技術がある。例えば、特許文献1、2には、RC造の柱(鉄筋コンクリート柱)とS造の梁(鉄骨梁)の接合構造が開示されている。
実開平6−25403号公報 実開平5−81404号公報
構造物における仕口部の接合構造の一例として、RC造の柱(鉄筋コンクリート柱)とS造の梁(鉄骨梁)とを接合する構造がある。ここで、図1は、従来技術に係る仕口部の接合構造の一例の斜視図を示す。図2は、従来技術に係る仕口部の接合構造を一部分解した斜視図を示す。図3は、従来技術に係る仕口部の接合構造の一例の縦断面図を示す。図4は、従来技術に係る仕口部の接合構造の一例の横断面図を示す。
図1から図4に示す従来技術に係る仕口部の接合構造100xは、垂直方向に延びるRC造の柱10xと、水平方向に延びるS造の梁20xとが直交して接合する、所謂仕口の構造の一例である。仕口部30xとは、RC造の柱10xとS造の梁20xとが接合される部分をいう。仕口部30xは、各部材(RC造の柱10x、S造の梁20x)が負担している応力を相互に伝達できる構造とする必要がある。図1から図4に示す従来技術に係る仕口部の接合構造100xでは、S造の梁20xをRC造の柱10xに貫通させている。この場合、S造の梁20xのウェブにRC造の柱10xの帯筋12xを貫通させることが考えられる。しかしながら、このような施工は非常に手間がかかる。そこで、図1から図4に示す従来技術に係る仕口部の接合構造100xでは、施工を容易にするため、仕口部30x内の鉄筋は、主筋11xのみとして帯筋12xを省略し、帯筋12xに代えて、仕口部のRC造の柱10xの周囲を囲うふさぎ板40xが用いられている。ふさぎ板40xは、矩形状の2枚の鋼製の板が直角を成すように連なるアングル状である。また、2枚の鋼製の板の端部のうち、2枚の鋼製の板が連なる接合側の端部の反対側の端部には、H形状のS造の梁20xの2つのフランジとウェブの間に形成される空間に収容するための矩形状の凸部が形成されている。そして、凸部を有する側の端部は、S造の梁20xのフランジとウェブに溶接されている。4つのふさぎ板40xが、仕口部のRC造の柱10xの周囲を囲うように配置されている。
図1から図4に示す仕口部の接合構造100xの施工では、まず、H形状のS造の梁20xが十字形に溶接される。次に、4つのふさぎ板40xが、S造の梁20xのフランジとウェブに溶接される。ふさぎ板40xの溶接は、ふさぎ板40xの両側から隅肉溶接する両面隅肉溶接によって行われる。ここで、現場での施工性を向上するため、仕口部30xをユニット化し、ユニット化した仕口部(十字形に溶接されたS造の梁20xと、S造の梁20xに溶接されたふさぎ板40xを含めて、仕口部の接続装置ともいう)は、工場
で製作することが好ましい。また、ユニット化した仕口部30xを工場で製作する場合には、品質を確保する上では、手溶接よりもロボット溶接の方が好ましい。しかしながら、ふさぎ板40xの内側の隅肉溶接は、手溶接で行うしかなく、ロボット溶接は困難である。また、手溶接による、ふさぎ板40xの内側隅肉溶接は、労力を有し、高い技術が要求される。また、作業の手元が遠い状態での溶接や仕口部の天地方向を変更しての溶接が必要とされるなど、効率が悪いことが懸念される。
本発明は、上記の問題に鑑み、従来よりも施工性に優れた、RC造の柱とS造の梁とが接合された仕口部に関する技術を提供することを課題とする。
本発明では、上記課題を解決するため、RC造の柱とS造の梁とが接合される仕口部におけるRC造の柱の周囲をふさぎ板で囲むにあたり、ふさぎ板の一部を構成する支圧板を、S造の梁に予め接合し、ふさぎ板と支圧板を接合することとした。
詳細には、本発明は、垂直方向に延びるRC造の柱と水平方向に延びるH形状のS造の梁とが接合される仕口部を構成する仕口部の接合装置であって、前記S造の梁と、前記S造の梁に接合され、前記仕口部におけるRC造の柱の周囲を囲むアングル状のふさぎ板の一部を構成する支圧板と、垂直方向に延びる端部が前記支圧板の端部に接合されるアングル状のふさぎ板と、を備える。
本発明に係る仕口部の接合装置では、アングル状のふさぎ板の一部を構成する支圧板が、S造の梁に接合されている。そのため、アングル状のふさぎ板は、垂直方向に延びる端部(以下、単にアングル状のふさぎ板の端部という)を支圧板に接合すればよく、従来のように、アングル状のふさぎ板の端部をS造のフランジ間に挿入して溶接する必要がない。したがって、アングル状のふさぎ板の端部の両側から両面隅肉溶接する必要がない。その結果、施工性が向上する。また、本発明に係る仕口部の接続装置では、RC造の柱、及びS造の梁が負担している応力が相互に伝達されており、少なくとも従来と同様の強度を確保することができる。
ここで、アングル状のふさぎ板の端部には、開先が形成されていてもよい。開先を形成することで、アングル状のふさぎ板の端部と支圧板との接合を、例えば、仕口部の接合装置の外側から行う部分溶け込み溶接とすることができる。これにより、本発明に係る仕口部の接合装置は、仕口部の接合装置の外側からの溶接作業のみで行うことができ、より施工性が向上する。なお、支圧板の板厚をアングル状のふさぎ板の板厚よりも厚くすることで、支圧効果を増大することができる。また、S造の梁と支圧板との接合は、両面隅肉溶接又は部分溶け込み溶接にて行うことができる。また、仕口部の接合装置は、工場で製作するとよい。工場で製作することで、現場での施工性がより向上する。また、仕口部の接合装置を工場で製作する場合、アングル状のふさぎ板の端部と支圧板との接合と、S造の梁と支圧板との接合とのうち少なくとも何れか一方の接合は、ロボット溶接とすることが好ましい。ロボット溶接とすることで、一定の品質を容易に確保することができる。
ここで、本発明に係る仕口部の接合装置は、前記支圧板と前記アングル状のふさぎ板とにラップして、当該支圧板と当該アングル状のふさぎ板とを接合する継手プレートと、前記支圧板と前記継手プレートとを固定し、前記アングル状のふさぎ板と前記継手プレートとを固定する固定部材と、を更に備える構成としてもよい。
継手プレートと固定部材を用いることで、溶接個所を削減することができる。その結果、天候に左右されず、工期の短縮を図ることができる。また、溶接工といった資格を有する作業者に代えて、資格を有しない通常の作業者で作業を行うことができる。その結果、
人件費を削減することができる。
また、本発明に係る仕口部の接合装置は、前記仕口部の接合装置の上部と下部とのうちの少なくとも何れか一方に設けられ、前記RC造の柱の周囲を囲むバンドプレートを更に備え、前記バンドプレートは、前記アングル状のふさぎ板が前記S造の梁を越えて延出する領域からなる第1バンドプレート部と、隣接する第1バンドプレート部間、かつ、前記S造の梁のフランジに接合される第2バンドプレート部とを含むようにしてもよい。
バンドプレートを設けることで、仕口部の強度を飛躍的に向上することができる。なお、バンドプレートを設け、かつ、バンドプレートを設けない場合と同様の強度を確保する上では、仕口部の高さの低減、仕口部の接合装置に充填されるコンクリートの強度の低減、アングル状のふさぎ板の板厚の低減等を行うことができる。換言すると、設計の自由度を向上できる。
ここで、本発明は、上述した仕口部の接合装置を含む仕口部の接合構造として特定することができる。具体的には、本発明は、垂直方向に延びるRC造の柱と水平方向に延びるH形状のS造の梁とが接合される仕口部の接合構造であって、前記RC造の柱と、前記RC造の柱の上部に接続される、仕口部の接合装置であって、前記S造の梁に接合され、前記仕口部におけるRC造の柱の周囲を囲むアングル状のふさぎ板の一部を構成する支圧板と、垂直方向に延びる端部が前記支圧板の端部に接合されるアングル状のふさぎ板と、を含む仕口部の接合装置と、を備える。
本発明に係る仕口部の接合構造によれば、施工性を向上することができる。また、本発明に係る仕口部の接続構造では、RC造の柱、及びS造の梁が負担している応力が相互に伝達されており、従来と少なくとも同様の強度を確保することができる。
また、本発明は、仕口部の接合方法として特定することができる。具体的には、本発明は、垂直方向に延びるRC造の柱と水平方向に延びるH形状のS造の梁とが接合される仕口部の接合方法であって、前記RC造の柱を構築する柱の構築工程と、前記RC造の柱の上部に仕口部の接合装置を構築する仕口部の接合装置の構築工程と、前記仕口部の接合装置の内部にコンクリートを打設するコンクリートの打設工程と、を含み、前記仕口部の接合装置は、前記S造の梁に接合され、前記仕口部におけるRC造の柱の周囲を囲むアングル状のふさぎ板の一部を構成する支圧板と、垂直方向に延びる端部が前記支圧板の端部に接合されるアングル状のふさぎ板と、を有する。
本発明に係る仕口部の接合方法によれば、従来よりも効率よく仕口部の接合構造を構築することができる。
本発明によれば、従来よりも施工性に優れた、RC造の柱とS造の梁とが接合された仕口部に関する技術を提供することができる。
図1は、従来技術に係る仕口部の接合構造の一例の斜視図を示す。 図2は、従来技術に係る仕口部の接合構造を一部分解した斜視図を示す。 図3は、従来技術に係る仕口部の接合構造の一例の縦断面図を示す。 図4は、従来技術に係る仕口部の接合構造の一例の横断面図を示す。 図5は、第1実施形態に係る仕口部の接合構造の斜視図を示す。 図6は、第1実施形態に係る仕口部の接合構造の立面図を示す。 図7は、第1実施形態に係る仕口部の接合構造の平面図を示す。 図8は、第1実施形態に係る仕口部の接合装置の横断面の拡大図を示す。 図9は、第1実施形態に係る仕口部の接合方法のフローを示す。 図10は、第1実施形態に係るS造の梁と支圧板の分解斜視図を示す。 図11は、第1実施形態に係る仕口部の接合装置の分解斜視図を示す。 図12は、第1実施形態に係る仕口部の接合構造の分解斜視図を示す。 図13は、第2実施形態に係る仕口部の接合装置の立面図を示す。 図14は、第2実施形態に係る仕口部の接合装置の横断面図を示す。
次に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、一例として、RC造の柱とS造の梁とが接続される仕口部の接合構造について説明する。以下の説明は例示であり、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
<第1実施形態>
<<仕口部の接合構造>>
図5は、第1実施形態に係る仕口部の接合構造の斜視図を示す。図6は、第1実施形態に係る仕口部の接合構造の立面図を示す。図7は、第1実施形態に係る仕口部の接合構造の平面図を示す。図8は、第1実施形態に係る仕口部の接合装置の横断面の拡大図を示す。
第1実施形態に係る仕口部の接合構造100は、垂直方向に延びるRC造の柱10、水平方向に延びるH形状のS造の梁20、仕口部の接合装置30、を備える構成である。仕口部とは、RC造の柱10とS造の梁20とが接合される部分であり、第1実施形態ではユニット化された仕口部の接続装置30が相当する。
RC造の柱10は、横断面視において矩形であり、コンクリート内に、四隅に3本ずつ(合計12本)、垂直方向に延びる主筋11が配置されている。また、主筋11と接続される帯筋12が垂直方向において間隔を空けて配置されている。
S造の梁20は、H形状の鋼製部材からなり、S造の梁20がRC造の柱10に貫通している。具体的には、S造の梁20は、十字形に溶接されている。なお、S造の梁20のうち、十字形に溶接された部分は、工場で予め接合され、仕口部の接合装置30の一部を構成する。この十字形の部分は、他と区別するため、十字形のS造の梁21と言う。
仕口部の接合装置30は、工場にて製作される。但し、仕口部の接合装置30は、現場にて製作してもよい。仕口部の接合装置30は、十字形のS造の梁21、支圧板25、アングル状のふさぎ板40、バンドプレート50、継手プレート60、高力ボルト・ナット70、を備える構成である。
十字形のS造の梁21の端部には、接合ブラケット80、ボルト・ナット81によって、S造の梁20と接続するための貫通孔29が設けられている(図10参照)。なお、継手プレート60、高力ボルト・ナット70と接合ブラケット80、ボルト・ナット81は、説明の便宜上区別して説明するが、同様の部材で構成することができる。
支圧板25は、矩形状であり、十字形のS造の梁21の上側のフランジ22と下側のフランジ22との間に接合されている。支圧板25には、高力ボルト・ナット70の高力ボルトを通す孔が複数形成されている。支圧板25は、両面隅肉溶接によって、S造の梁21に接合されている。なお、支圧板25の端部に開先を形成し、部分溶け込み溶接によって接合してもよい。
アングル状のふさぎ板40は、矩形状の2枚の鋼製の板が直角を成すように連なるアングル状であり、RC造の柱10の角部に4つ配置されている。アングル状のふさぎ板40の端部のうち、角部の反対側に位置する垂直方向に延びる端部には、高力ボルト・ナット70の高力ボルトを通す孔が複数形成されている。アングル状のふさぎ板40の角部は、R形状である。アングル状のふさぎ板40の垂直方向の長さは、S造の梁20の垂直方向の長さよりも長く設計されている。S造の梁20を超えて延出する上部の領域と下部の領域は、バンドプレート50の一部を構成し、アングル状のふさぎ板40の他の領域と区別するため、第1バンドプレート部51と言う。
バンドプレート50は、仕口部の接合装置100の上部と下部に設けられ、RC造の柱10の周囲を囲む。バンドプレート50は、筒状であり、第1バンドプレート部51と第2バンドプレート部52によって構成されている。第1バンドプレート部51は、上述したように、アングル状のふさぎ板40のうち、S造の梁20を超えて延出する領域によって構成されている。第2バンドプレート部52は、矩形状の鋼製の板によって構成されており、隣接する第1バンドプレート部51の端部間に配置され、各端部と十字形のS造の梁21のフランジ22に接合されている。なお、第1バンドプレート部51の端部と第2バンドプレート部52の端部は、突合せ溶接にて接合されている。また、第2バンドプレート部52とS造の梁のフランジ22とは、仕口部の接合装置100の外側から、片側隅肉溶接によって接合されている。
継手プレート60は、支圧板25とアングル状のふさぎ板40とにラップして、支圧板25とアングル状のふさぎ板40とを接合する。より詳細には、継手プレート60は、矩形状の鋼製の板によって構成され、高力ボルト・ナット70の高力ボルトを通す孔が複数形成されている。支圧板25の孔と継手プレート60の孔の位置、及びアングル状のふさぎ板40の孔と継手プレート60の孔の位置は、夫々対応している。したがって、2枚の継手プレート60で支圧板25とアングル状のふさぎ板40とを挟み込むようにし、かつ、これらの孔を位置合わせし、高力ボルト・ナット70の高力ボルトの頭部が内側に位置するようにして高力ボルトを孔に通し、外側からナットで締めることで、支圧板25と継手プレート60、及びアングル状のふさぎ板40と継手プレート60とを、固定することができる。なお、高力ボルトの頭部は、ナットを締める際に供回りしないよう、内側の継手プレート60に点付け溶接や接着剤によって仮付けするようにしてもよい。
<<仕口部の接合方法>>
図9は、第1実施形態に係る仕口部の接合方法のフローを示す。ステップS01では、RC造の柱10が構築される。主筋11及び帯筋12の組み立て、型枠の組み立てを経て、コンクリートが打設される。
次に、ステップS02では、構築された、RC造の柱10の上部に仕口部の接合装置30が構築される。仕口部の接合装置30は、工場にて予め製作され、仕口部の接合構造100を含む構造物(建物)が構築される現場まで搬送される。ここで、図10は、第1実施形態に係るS造の梁と支圧板の分解斜視図を示す。まず、十字形のS造の梁21が構築される。十字形のS造の梁21は、1本の長いS造の梁211の側面に短いS造の梁212が接合されることで構成される。長いS造の梁211の中央に補強リブ24が両面隅肉溶接によって接合される。この補強リブ24と短いS造の梁212のウェブと、長いS造の梁のフランジと短いS造の梁212のフランジがつき合わされ、突合せ溶接によって、長いS造の梁211と短いS造の梁212が接合される。十字形のS造の梁21の端部には、接合ブラケット80、ボルト・ナット81によって、S造の梁20と接続するための貫通孔29が形成される。更に、十字形のS造の梁21には、両面隅肉溶接によって、高力ボルト・ナット70で固定するための孔が形成された支圧板25が接合される。具体的には、上側のフランジ22と下側のフランジ22との間に矩形状の支圧板25が両面隅肉
溶接によって接合される。なお、支圧板25の端部に開先を形成し、部分溶け込み溶接によって接合してもよい。
次に、十字形のS造の梁21にアングル状のふさぎ板40が接合される。図11は、第1実施形態に係る仕口部の接合装置の分解斜視図を示す。アングル状のふさぎ板40の端部のうち、角部の反対側に位置する垂直方向に延びる端部には、高力ボルト・ナット70の高力ボルトを通す孔が複数形成される。孔が形成されたアングル状のふさぎ板40は、RC造の柱10の4つの角部に夫々配置される。2枚の継手プレート60で支圧板25とアングル状のふさぎ板40とを挟み込むようにし、かつ、これらの孔が位置合わせされ、高力ボルト・ナット70の高力ボルトの頭部が内側に位置するようにして高力ボルトを孔に通し、外側からナットで締めることで、支圧板25と継手プレート60、及びアングル状のふさぎ板40と継手プレート60とが、固定される。なお、高力ボルトの頭部は、ナットを締める際に供回りしないよう、内側の継手プレート60に点付け溶接や接着剤によって仮付けするようにしてもよい。これにより作業性が向上する。
また、第2バンドプレート部52は、隣接する第1バンドプレート部51の端部間に配置され、第1バンドプレート部51の端部と第2バンドプレート部52の端部が、突合せ溶接にて接合される。また、第2バンドプレート部52と十字形のS造の梁21のフランジ22とは、仕口部の接合装置100の外側から、片側隅肉溶接によって接合される。これにより、バンドプレート50が構築される。
図12は、第1実施形態に係る仕口部の接合構造の分解斜視図を示す。工場にて製作された仕口部の接合装置30は、搬送後、クレーン等の重機で吊り上げられ、十字形のS造の梁21とアングル状のふさぎ板40との間に形成される隙間に主筋11を通すようにして降下され、RC造の柱10の上部に接続される。
ステップS03では、S造の梁20が接合される。具体的には、十字形のS造の梁21の端部に、接合ブラケット80、ボルト・ナット81によって、S造の梁20が接合される(図12参照)。
ステップS04では、仕口部の接合装置30内にコンクリートが打設(充填)される。仕口部の接合装置30内のコンクリートの打設は、十字形のS造の梁21とアングル状のふさぎ板40との間に形成される隙間を介して行われる。以上により、仕口部の接続構造100が完成する(図5参照)。なお、構造物が複数の仕口部の接続構造100を有する場合には、ステップS01からステップS04の工程が適宜繰り返される。
<<作用効果>>
第1実施形態に係る仕口部の接合装置100では、アングル状のふさぎ板40の一部を構成する支圧板25が、十字形のS造の梁21に予め接合されている。そのため、アングル状のふさぎ板40は、支圧板25に接合すればよく、従来のように、ふさぎ板の端部をS造のフランジ間に挿入して溶接する必要がない。したがって、アングル状のふさぎ板の端部の両側から両面隅肉溶接する必要がない。第1実施形態に係る仕口部の接合装置100では、2枚の継手プレート60で支圧板25とアングル状のふさぎ板40とを挟み込むようにし、かつ、これらの孔が位置合わせされ、高力ボルト・ナット70によって、支圧板25と継手プレート60、及びアングル状のふさぎ板40と継手プレート60とが、固定される。支圧板25と継手プレート60、及びアングル状のふさぎ板40と継手プレート60との固定は、仕口部の接合装置30の外側からの溶接作業のみで行うことができるため、施工性が向上する。また、仕口部の接合装置30は、工場で製作されるため、現場での施工性がより向上する。また、仕口部の接合装置30を工場で製作する場合、十字形のS造の梁21を構成する長いS造の梁211と短いS造の梁212との接合、支圧板2
5と十字形のS造の梁21との接合は、ロボット溶接で行うことができる。そのため、一定の品質を容易に確保することができる。更に、継手プレート60と高力ボルト・ナット70を用いることで、溶接個所を削減することができる。その結果、工期の短縮を図ることができる。
また、第1実施形態に係る仕口部の接合装置100では、RC造の柱10、及びS造の梁20が負担している応力が相互に伝達されており、少なくとも従来と同様の強度を確保することができる。また、第1実施形態に係る仕口部の接合装置100では、仕口部の接合装置100の上部と下部にバンドプレート50が設けられている。そのため、仕口部の強度を飛躍的に向上することができる。
<第2実施形態>
図13は、第2実施形態に係る仕口部の接合装置の縦断面図を示す。図14は、第2実施形態に係る仕口部の接合装置の横断面図を示す。第2実施形態に係る仕口部の接合装置30は、アングル状のふさぎ板40の端部に、開先41が形成されている。開先41を形成することで、アングル状のふさぎ板40の端部と支圧板25の端部との接合を、仕口部の接合装置100の外側から行う部分溶け込み溶接によって行うことができる。これにより、第2実施形態に係る仕口部の接合装置100は、仕口部の接合装置100の外側からの溶接作業のみで行うことができ、より施工性が向上する。なお、第1実施形態に係る仕口部の接合装置100と同様の構成については、同一符号を付し、説明は割愛する。
第2実施形態に係る仕口部の接合装置100よっても、仕口部の接合装置100の外側からの溶接作業のみで行うことができ、施工性を向上することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、可能な限り実施形態を組み合わせて実施することができる。
10・・・RC造の柱
11・・・主筋
12・・・帯筋
20・・・S造の梁
21・・・十字形のS造の梁
25・・・支圧板
30・・・仕口部の接合装置
40・・・アングル状のふさぎ板
50・・・バンドプレート
51・・・第1バンドプレート
52・・・第2バンドプレート
60・・・継手プレート
70・・・高力ボルト・ナット
80・・・接合ブラケット
81・・・ボルト・ナット
100・・・仕口部の接合構造

Claims (5)

  1. 垂直方向に延びるRC造の柱と水平方向に延びるH形状のS造の梁とが接合される仕口部を構成する仕口部の接合装置であって、
    前記S造の梁と、
    前記S造の梁に接合され、前記仕口部におけるRC造の柱の周囲を囲むアングル状のふさぎ板の一部を構成する支圧板と、
    垂直方向に延びる端部が前記支圧板の端部に接合されるアングル状のふさぎ板と、を備える仕口部の接合装置。
  2. 前記支圧板と前記アングル状のふさぎ板とにラップして、当該支圧板と当該アングル状のふさぎ板とを接合する継手プレートと、
    前記支圧板と前記継手プレートとを固定し、前記アングル状のふさぎ板と前記継手プレートとを固定する固定部材と、を更に備える、請求項1に記載の仕口部の接合装置。
  3. 前記仕口部の接合装置の上部と下部とのうちの少なくとも何れか一方に設けられ、前記RC造の柱の周囲を囲むバンドプレートを更に備え、
    前記バンドプレートは、前記アングル状のふさぎ板が前記S造の梁を越えて延出する領域からなる第1バンドプレート部と、隣接する第1バンドプレート部間、かつ、前記S造の梁のフランジに接合される第2バンドプレート部とを含む、請求項1又は2に記載の仕口部の接合装置。
  4. 垂直方向に延びるRC造の柱と水平方向に延びるH形状のS造の梁とが接合される仕口部の接合構造であって、
    前記RC造の柱と、
    前記RC造の柱の上部に接続される、仕口部の接合装置であって、前記S造の梁に接合され、前記仕口部におけるRC造の柱の周囲を囲むアングル状のふさぎ板の一部を構成する支圧板と、垂直方向に延びる端部が前記支圧板の端部に接合されるアングル状のふさぎ板と、を含む仕口部の接合装置と、を備える、仕口部の接合構造。
  5. 垂直方向に延びるRC造の柱と水平方向に延びるH形状のS造の梁とが接合される仕口部の接合方法であって、
    前記RC造の柱を構築する柱の構築工程と、
    前記RC造の柱の上部に仕口部の接合装置を構築する仕口部の接合装置の構築工程と、
    前記仕口部の接合装置の内部にコンクリートを打設するコンクリートの打設工程と、を含み、
    前記仕口部の接合装置は、
    前記S造の梁に接合され、前記仕口部におけるRC造の柱の周囲を囲むアングル状のふさぎ板の一部を構成する支圧板と、
    垂直方向に延びる端部が前記支圧板の端部に接合されるアングル状のふさぎ板と、を有する、仕口部の接合方法。
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