JP2016176119A - フェライト系耐熱鋼 - Google Patents
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Description
本実施形態によるフェライト系耐熱鋼は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
炭素(C)は、炭化物を生成し、析出強化によって高温強度を高めるとともに、フェライトの生成を抑制する。0.05%未満では、炭化物の析出量が不足し充分な強度が得られず、また、フェライト量が多くなるので、0.05%以上とする。好ましくは、0.06%以上であり、より好ましくは0.07%以上である。一方、0.15%を超えると、高温で炭化物が粗大化し、高温強度が低下するので、0.15%以下とする。650℃におけるクリープ強度の低下を防止する点で、0.12%以下が好ましい。より好ましくは0.10%以下である。
シリコン(Si)は、脱酸剤であり、特に下限の規定を要しないが、脱酸の効果を確実に得るためには、0.05%以上が好ましい。より好ましくは0.10%以上である。Siは、耐水蒸気酸化特性を高める元素でもあるので、この点で0.20%以上が好ましい。一方、0.70%を超えると、鋼の靱性及び加工性が低下するので、0.70%以下とする。好ましくは0.50%以下である。
マンガン(Mn)は、鋼の焼入れ性を高める。Mnはまた、ベイナイト及び/又はマルテンサイトの生成に寄与する。この効果を得るため、0.30%以上とする。また、Mnは、Sを固定して熱間加工性を改善し、組織の安定化にも寄与するので、この点で0.40%以上が好ましい。一方、0.70%を超えると、加工性や溶接性が低下するので、0.70%以下とする。Mnは、焼戻し脆化感受性を高める元素でもあるため、0.60%以下が好ましい。
クロム(Cr)は、クリープ強度、耐酸化性に寄与する。耐熱鋼として必要な性能を確保するために、0.30%以上とする。耐酸化性や耐食性の点から、0.50%以上が好ましい。一方、11.50%を超えるとCrを主成分とする炭化物の粗大化、粗大な窒化物の析出を促進し、クリープ強度及び靱性が低下するので、11.50%以下とする。好ましくは10.00%以下である。
コバルト(Co)は、クリープ強度を損なわずにオーステナイトを安定化させ、δフェライトの析出を抑制し、ベイナイト及び/又はマルテンサイトの生成を促進する。この効果を得るため、0.05%以上とする。高温強度を高める点で、0.80%以上が好ましい。一方、3.00%を超えると、溶接性や加工性が低下するので、3.00%以下とする。好ましくは2.90%以下である。
窒素(N)は、MX型化合物、M2X型化合物を形成し、高温強度の上昇に寄与する。この効果を得るため、0.02%以上とする。好ましくは0.025%以上である。一方、Nを過剰に含有させると、粗大なMX型化合物、M2X型化合物が生成し、靱性が低下するので、0.05%以下とする。好ましくは0.045%以下である。
硼素(B)は、本実施形態において最も重要な元素であり、微量でも鋼の焼入れ性を顕著に高める。この効果を得るため、0.0003%以上とする。炭化物を分散、安定化させ、クリープ強度を高める点で、0.003%以上が好ましく、0.005%以上がより好ましい。一方、過剰に含有させると、溶接性や加工性が低下する。さらに粗大なBNを形成し、クリープ強度を損なうため0.020%以下とする。好ましくは0.018%以下であり、より好ましくは0.008%以下である。
燐(P)は、不純物であり、鋼の靱性、加工性、及び溶接性を損なうので、0.03%以下に制限する。好ましくは0.01%以下であり、より好ましくは0.005%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.001%が実質的な下限である。
硫黄(S)は、不純物であり、鋼の靱性、加工性、及び溶接性を損なうので、0.015%以下に制限する。好ましくは0.003%以下であり、より好ましくは0.001%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.0001%が実質的な下限である。
アルミニウム(Al)は、脱酸剤として機能する。しかし、0.03%を超えると、クリープ強度の低下を招くので、0.03%以下とする。好ましくは0.02%以下である。下限は特に規定しないが、実用鋼のコストの点から、0.001%が実質的な下限である。
銅(Cu)は、スクラップ等の原料から混入し、鋼のクリープ強度を低下させる。Cu含有量が0.10%を超えると、クリープ強度の低下を招くので、0.10%以下とする。好ましくは0.05%以下であり、より好ましくは0.01%以下である。なお、下限は0%を含む。
ニッケル(Ni)は、スクラップ等の原料から混入し、鋼のクリープ強度を低下させる。Ni含有量が0.10%を超えると、クリープ強度の低下を招くので、0.10%以下とする。好ましくは0.05%以下であり、より好ましくは0.01%以下である。なお、下限は0%を含む。
バナジウム(V)は、微細なMX型化合物を析出させてクリープ強度を高める。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.15%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.18%以上、さらに好ましくは0.20%以上である。一方、Vを過剰に含有させると、析出物によって靱性が低下するので、0.30%以下とする。好ましくは0.25%以下である。
ニオブ(Nb)は、微細なMX型化合物を形成してクリープ強度を高める。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.03%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.045%以上である。一方、Nbを過剰に含有させると、粗大な炭化物が生成し、靱性が低下するので、0.06%以下とする。好ましくは0.055%以下である。
モリブデン(Mo)は、固溶強化及び析出強化によって、クリープ強度を顕著に向上させる。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.01%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.30%以上である。一方、Moを過剰に含有させると、Moを主成分とする炭化物が粗大化して、靱性及びクリープ強度が低下するので、2.00%以下とする。好ましくは1.50%以下である。
タングステン(W)は、Moと同様の効果を奏する元素である。Wを含有させることで、クリープ強度を顕著に向上させることができる。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには1.50%以上とすることが好ましい。より好ましくは1.70%以上である。一方、Wを過剰に含有させると、溶接性や加工性が低下するので、2.50%以下とする。650℃以上におけるクリープ強度を確保する点で、2.40%以下とすることが好ましい。
チタン(Ti)は、脱酸剤として機能する。また、Tiは強力な炭化物、窒化物生成元素であり、組織の微細化、並びに炭化物及び窒化物の安定化に寄与する。微量でもこれらの効果は得られるが、より確実に得るためには0.015%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.040%以上である。一方、Tiを過剰に含有させると、粗大なTiNが生成し、靱性が低下するので、0.10%以下とする。好ましくは0.09%以下である。
ジルコニウム(Zr)は、Tiと同様に、強力な炭化物、窒化物生成元素であり、組織の微細化、並びに炭化物及び窒化物の安定化に寄与する。微量でもこの効果は得られるが、より確実に得るためには0.001%以上とすることが好ましい。一方、Zrを過剰に含有させると、粗大なZrNが生成し、靱性が低下するので、0.010%以下とする。好ましくは0.005%以下である。
本実施形態によるフェライト系耐熱鋼は、ベイナイト及び/又はマルテンサイト組織を有する。ここで、「ベイナイト及び/又はマルテンサイト組織」の用語には、ベイナイト組織、マルテンサイト組織、及びベイナイトとマルテンサイトとの混合組織が含まれる。また、「ベイナイト組織」の用語には焼戻しベイナイトが含まれ、「マルテンサイト組織」の用語には焼戻しマルテンサイトが含まれる。
本実施形態によるフェライト系耐熱鋼は、ベイナイト及び/又はマルテンサイト組織の境界面に析出した析出物の平均粒径が100nm未満である。ベイナイト及び/又はマルテンサイト組織の境界面とは、ラス、ブロック、パケット等の粒界である。
次に、本実施形態によるフェライト系耐熱鋼の製造方法の一例を説明する。
Claims (3)
- 化学組成が、質量%で、
C :0.05〜0.15%、
Si:0.70%以下、
Mn:0.30〜0.70%、
Cr:0.30〜11.50%、
Co:0.05〜3.00%、
N :0.02〜0.05%、
B :0.0003〜0.020%、
P :0.03%以下、
S :0.015%以下、
Al:0.03%以下、
Cu:0.10%以下、
Ni:0.10%以下、
V :0〜0.30%、
Nb:0〜0.06%、
Mo:0〜2.00%、
W :0〜2.50%、
Ti:0〜0.10%、
Zr:0〜0.010%、
残部:Fe及び不純物であり、
ベイナイト及び/又はマルテンサイト組織を有し、
前記ベイナイト及び/又はマルテンサイト組織の境界面に析出した析出物の平均粒径が100nm未満であり、
前記析出物は、Bを含有した析出物の個数が、全析出物の個数の95%以上である、フェライト系耐熱鋼。 - 請求項1に記載のフェライト系耐熱鋼であって、
前記化学組成が、質量%で、
V :0.15〜0.30%、
Nb:0.03〜0.06%、
Mo:0.01〜2.00%、及び
W :1.50〜2.50%、
からなる群から選択される1又は2以上の元素を含有する、フェライト系耐熱鋼。 - 請求項1又は2に記載のフェライト系耐熱鋼であって、
前記化学組成が、質量%で、
Ti:0.015〜0.10%、及び
Zr:0.001〜0.010%、
からなる群から選択される1又は2の元素を含有する、フェライト系耐熱鋼。
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