JP2016176072A - 光反射部品及び自動車ランプ反射部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温条件下での長期暴露によって生じるアルミ蒸着成形品表面の凹み発生が抑制され、従来に無い卓越したアルミ蒸着表面外観を有する成形品を提供する。【解決手段】ポリフェニレンエーテル(A)と、分子内に下記式(I)又は式(II)(式(II)中、Rは炭素数1〜8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の三価の芳香族炭化水素基である。)の化学構造を有する有機リン化合物;前記有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類;モノカルボン酸類;スルホン酸類;及びスルフィン酸類;からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを、前記(A)成分、前記(B)成分の合計100質量%に対して、前記(A)成分95〜99.95質量%、前記(B)成分0.05〜5質量%含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含有してなる、光反射部品。【選択図】なし

Description

本発明は、光反射部品及び自動車ランプ反射部品に関する。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、機械的物性、電気的特性、耐酸・耐アルカリ性、耐熱性に優れると共に、低比重で、吸水性が低く、且つ寸法安定性が良好である等の多様な特性を有しているため、家電製品、OA機器、事務機、情報機器や自動車などの材料として、幅広く利用されている。近年、自動車ヘッドランプ用途や、プロジェクター、各種照明器具等に用いられる光反射成形品用途においてもポリフェニレンエーテル樹脂組成物の検討が行われている。このような用途に使用される部品は、通常表面にアルミ蒸着処理をされて用いられるが、長時間高温条件下に晒された場合に、アルミ蒸着鏡面の表面平滑性が保持されていることが要求される。
しかしながら、従来のポリフェニレンエーテル樹脂からなる成形品表面をアルミ等の金属で蒸着した場合、それを長時間高温条件下に晒したときに表面平滑性が低下することが分かった。これは、一見、アルミ蒸着膜で全体が均一に覆われているように見えるが、成形品表面の所々に、アルミ蒸着膜で覆われていない極めて微細なピンホールのような箇所が存在し、そのような箇所が長期間高温に晒されることで凹みが発生し、やがて目視でも確認できる大きさの凹みが成形品表面に多数生じることが原因であると考えられる。
ここで、例えば特許文献1には、アルミ蒸着後の白斑の発生を抑えた光反射部品が記載されている。
また、特許文献2には、ポリフェニレンエーテル樹脂と9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドのような化合物とを含有する樹脂組成物に関する技術が開示されている。この特許文献に記載の発明によれば、押出加工時の熱による変色を抑えることができるとされている。
特開2014−47343号公報 特開平4−117452号公報
しかし、特許文献1に記載のような従来品では、上記のような長期間高温に晒された場合の凹みの発生を防ぐことができなかった。また、特許文献2の樹脂組成物はイオウ系熱安定剤を必須成分として用いているため、アルミ蒸着を行った際に金属部品の腐食等の不具合を生じる場合があった。
そこで、本発明は、金属部品の腐食等の不具合がなく、長期高温条件下でのアルミ蒸着表面の凹み発生による成形品アルミ蒸着面の外観低下が著しく抑制されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる、光反射部品及び自動車ランプ反射部品を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討したところ、ポリフェニレンエーテルに特定の化合物を特定量で含有する樹脂組成物を光反射部品に用いることで、高温条件下での長期暴露により生じるアルミ蒸着成形品表面の凹み発生が抑制され、その結果、成形品のアルミ蒸着面の外観不良の進行が著しく抑制されることを明らかにして、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1]
ポリフェニレンエーテル(A)と、分子内に下記式(I)又は式(II)(式(II)中、Rは炭素数1〜8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の三価の芳香族炭化水素基である。)の化学構造を有する有機リン化合物;前記有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類;モノカルボン酸類;スルホン酸類;及びスルフィン酸類;からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを、前記(A)成分、前記(B)成分の合計100質量%に対して、前記(A)成分95〜99.95質量%、前記(B)成分0.05〜5質量%含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含有してなる、光反射部品。
Figure 2016176072
[2]
前記(B)成分が、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド又はその誘導体である、[1]に記載の光反射部品。
[3]
前記(A)成分が、下記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルである、[1]又は[2]に記載の光反射部品。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
(化学式(1)及び(2)のXは、
Figure 2016176072
から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
[4]
前記(A)成分が、化学式(3)及び(4)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルである、[3]に記載の光反射部品。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
(化学式(3)及び(4)のR及びRは、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
[5]
前記(A)成分が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記化学式(1)及び(2)に示すいずれかの構造のユニットを0.05〜10個含有するポリフェニレンエーテルである、[3]又は[4]に記載の光反射部品。
[6]
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%において、更に酸化防止剤(C)を0.05〜5質量%含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の光反射部品。
[7]
前記酸化防止剤(C)が、下記化学式(5)の構造を分子内に有するホスファイト系酸化防止剤である、[6]に記載の光反射部品。
Figure 2016176072
[8]
前記樹脂組成物100質量%において、更にスチレン系樹脂を5〜50質量%含有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の光反射部品。
[9]
前記樹脂組成物100質量%において、更にエラストマー成分を1〜15質量%含有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の光反射部品。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載の光反射部品からなる、自動車ランプ反射部品。
[11]
[10]に記載の自動車ランプ反射部品を用いた、自動車ランプリフレクター部品用成形品。
[12]
[10]に記載の自動車ランプ反射部品を用いた、自動車ランプエクステンション部品用成形品。
本発明の光反射部品は、高温条件下での長期暴露によって生じるアルミ蒸着成形品表面の凹み発生が抑制され、従来に無い卓越したアルミ蒸着表面外観を有することから、自動車ランプリフレクターや自動車のランプエクステンション成形体等のような用途に良好に利用可能である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
《樹脂組成物》
本実施の形態に係る光反射部品に用いる樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル(A)と、分子内に下記式(I)又は式(II)(式(II)中、Rは炭素数1〜8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の三価の芳香族炭化水素基である。)の化学構造を有する有機リン化合物、前記有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類;モノカルボン酸類、スルホン酸類、及びスルフィン酸類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを、前記(A)成分、前記(B)成分の合計100質量%に対して、前記(A)成分95〜99.95質量%、前記(B)成分0.05〜5質量%含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物である。
Figure 2016176072
本発明者らは、上記の(A)成分と(B)成分とを特定の量比で含有する樹脂組成物により、高温条件下での長期暴露によって生じるアルミ蒸着成形品表面の凹み発生が抑制され、従来に無い卓越したアルミ蒸着表面外観を有する成形品が得られることを見出し、自動車ランプリフレクターや自動車のランプエクステンション成形体等のような光反射部品用成形体に十分に適用可能であることを見出した。以下、上記の樹脂組成物の各構成成分について詳細に説明する。
<ポリフェニレンエーテル(A)>
本実施の形態に用いるポリフェニレンエーテル(A)は、下記式(III)及び/又は(IV)を繰り返し単位とし、構成単位が一般式(III)及び/又は(IV)からなる単独重合体(ホモポリマー)、あるいは共重合体(コポリマー)であることが好ましい。
Figure 2016176072
上記式(III)及び(IV)中、R、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、並びにハロゲン及び水素などの一価の残基であることが好ましい。但し、かかる場合、R及びRが同時に水素である場合を除く。また、前記アルキル基のより好ましい炭素数は1〜3であり、前記アリール基のより好ましい炭素数は6〜8であり、前記一価の残基の中でもより好ましくは水素である。なお、上記式(III)及び(IV)における繰り返し単位数については、ポリフェニレンエーテル(A)の分子量分布により様々であるため、特に制限されることはない。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体としては、以下に制限されないが、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル及びポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられ、中でも原料入手の容易性や加工性の観点からポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
ポリフェニレンエーテル(A)の共重合体としては、以下に制限されないが、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、及び2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体といった、ポリフェニレンエーテル構造を主体とするものが挙げられる。中でも、原料入手の容易性と加工性の観点から2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、物性改良の観点から2,6−ジメチルフェノール90〜70質量%と2,3,6−トリメチルフェノール10〜30質量%との共重合体がより好ましい。
ポリフェニレンエーテル(A)は、下記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むことが好ましい。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
なお、上記の化学式(1)及び(2)のXは、
Figure 2016176072
から選ばれる1つの基であり、X中のR、Rは、各々独立して炭素数1以上の置換基であり、例えば、鎖状または環状アルキル基が挙げられる。
、Rの構造としては、反応性官能基を有さない置換基が好ましい。反応性置換基を有する場合、樹脂組成物が長時間高温にさらされたときに、これらの反応性置換基が架橋反応を起こし、成形品のアルミ蒸着鏡面の外観低下の原因となり得るからである。ここで反応性置換基とはヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、カルボニル基等である。また、R、Rの構造としては、RとRが連結した構造や、構造中に窒素原子、酸素原子を含んでもよい。
ここで、上記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルの作用・効果について説明する。
従来のポリフェニレンエーテルでは、長時間高温にさらされた場合に、末端ユニットにあるメチル基(以下、「末端メチル基」とも称する。)又は中間ユニットにあるメチル基(以下、「側鎖メチル基」とも称する。)が酸化架橋反応を起こすことがあった。本発明者らは、末端メチル基や側鎖メチル基等の酸化架橋反応に着目し、この酸化架橋反応を抑えることでアルミ蒸着表面に凹みを一層抑制したり、凹みが進行してアルミ蒸着鏡面外観が悪くなることを一層抑えたりできる可能性について検討した。末端メチル基や側鎖メチル基では、比較的ラジカルが発生しやすい傾向があり、発生したラジカルが酸化架橋を起こす要因となり得ることが分かった。上記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルでは、被酸化部位である末端メチル基又は側鎖メチル基を、所定の分子で置換された状態にして封止することで、末端メチル基又は側鎖メチル基の架橋反応を抑制することができ、それ故に、光反射部品の長期間高温暴露後のアルミ蒸着鏡面外観を一層改良させることができることを見出した。
ここで、ポリフェニレンエーテル(A)鎖中において、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(1)及び(2)に示すいずれかの構造のユニットを0.05〜10個の範囲で含有することが好ましい。化学式(1)及び(2)に示すいずれかの構造のユニットを、100ユニットあたり0.05個以上にすることにより、十分な長期高温暴露後の成形体のアルミ蒸着表面外観を一層改良でき、10個以下にすることにより、機械物性を保持しやすくなる。100ユニットあたりの、化学式(1)及び(2)に示すいずれかの構造のユニット数は、より好ましくは0.1〜10個の範囲であり、さらに好ましくは0.1〜3.0個の範囲であり、特に好ましくは0.1個〜1.0個の範囲である。
また、ポリフェニレンエーテル(A)は、更なる長期高温暴露後の成形体のアルミ蒸着表面外観の改良の観点から、化学式(3)及び(4)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むことが好ましい。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
なお、化学式(3)及び(4)のR、Rは、各々独立して水素以外の置換基であり、上記と同様に、炭素数1以上の置換基であることが好ましく、炭素数1以上の鎖状または環状アルキル基がより好ましい。
−ポリフェニレンエーテル(A)の合成方法−
ポリフェニレンエーテル(A)は、既に公知の重合方法によって合成された通常のポリフェニレンエーテルの重合粉体を広く用いることが可能である。
中でも、上記化学式(1)及び(2)からなる群選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテルの化学式(1)及び(2)中のメチレン基に化学式(1)、(2)のXとは異なる置換基を持つポリフェニレンエーテルを前駆体として(以下、「前駆体ポリフェニレンエーテル」とも称す)、後述する反応性化合物と反応させて、上記化学式(1)及び(2)からなる群選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルを合成することが好ましい。この方法によれば、上記化学式(1)及び(2)からなる群選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)を、前駆体ポリフェニレンエーテルから合成することにより、ポリフェニレンエーテル(A)の化学式(1)及び(2)中のX部分が水素であるポリフェニレンエーテル(以下、「非置換ポリフェニレンエーテル」とも称す。)から合成する場合よりも効率よく得られるからである。
ここで、前駆体ポリフェニレンエーテルとしては、非置換ポリフェニレンエーテル鎖中に、下記の化学式(7)、(8)で表される、末端基及び側鎖基を有する構造のユニットを有するものを用いることが好ましい。前駆体ポリフェニレンエーテルが下記の化学式(7)及び/又は(8)の構造のユニットを有することにより、十分に効率よく上記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルを得ることができる(具体的には、ポリフェニレンエーテルを製造するにあたって、前駆体ポリフェニレンエーテルを経由することにより、化学式(7)、(8)の構造中のCH−Y部分が選択的に開裂して後述の反応性化合物との置換反応が生じるので、上記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルを十分に効率よく得ることができる)。また、非置換ポリフェニレンエーテルから前駆体ポリフェニレンエーテルを容易に合成することができるので、前駆体ポリフェニレンエーテルを経由した上記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルの合成が効率的であるからである。
さらに、当該前駆体ポリフェニレンエーテルが、ポリフェニレンエーテル鎖中において、当該構造のユニットの合計を、ポリフェニレンエーテル鎖の100ユニット当たり0.05〜10個含有することが好ましく、0.1〜10個含有することがより好ましく、0.1〜3.0個含有することがさらに好ましく、0.1個〜1.0個含有することが特に好ましい。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
(化学式(7)及び(8)のYはN原子又はO原子を表し、Ziは、炭素数が1〜20個の環状若しくは鎖状(直鎖状、分岐状)の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。また、式中のi、nは1から2の整数であり、Z1とZ2は同じでも異なってもよく、連結されていてもよい。)
化学式(7)、(8)の構造のユニットを含有する、前駆体ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合反応時に、アミン類、アルコール類及びモルフォリン等の(a1)化合物を、添加して反応させる方法や、重合した非置換ポリフェニレンエーテルを例えばトルエンなどのポリフェニレンエーテル可溶性溶媒中、例えば20〜60℃で、好ましくは40℃で撹拌し、上記の(a1)化合物を添加して反応させる方法が挙げられる。
(a1)化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的にはn−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン等の1級アミン、およびジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−iso−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の2級アミン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール及びモルフォリン等が挙げられる。
上記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルを得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合の際に後述する反応性化合物を投入し、ポリフェニレンエーテルを重合する方法や、ポリフェニレンエーテルの重合の際に後述する反応性化合物が置換されたモノマーを少量添加してポリフェニレンエーテルを重合する方法や、非置換ポリフェニレンエーテルと反応性化合物を溶融混練して反応させる方法が挙げられる。具体的には、ポリフェニレンエーテルの重合時に上記の(a1)化合物を添加して反応させた後に、後述する反応性化合物を反応させる方法や、ポリフェニレンエーテルの重合時に上記の(a1)化合物が置換された2,6−ジメチルフェノールを少量添加して反応させた後、反応性化合物と溶融混練して反応させる方法や、前駆体ポリフェニレンエーテルを得た後、当該前駆体ポリフェニレンエーテルと反応性化合物とを溶融混練して反応させる方法(すなわち、例えば、前駆体ポリフェニレンエーテルを用いて樹脂組成物を溶融混練して製造する際に、前駆体ポリフェニレンエーテルと反応性化合物とを溶融混練する)が挙げられる。
−−反応性化合物−−
上記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルを得るために用いることができる反応性化合物としては、これに限定されるものではないが、例えば、ホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類等が挙げられる。
上記反応性化合物におけるホスホン酸類としては、例えば、ホスホン酸(亜リン酸)、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、デシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、アミノメチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、プロピルホスホン酸無水物などが挙げられる。
上記反応性化合物におけるホスホン酸エステル類としては、例えば、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ホスホン酸ジオクチル、ホスホン酸ジラウリル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジベンジル、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、メチルホスホン酸ジオクチル、エチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ジオクチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジプロピル、フェニルホスホン酸ジオクチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジエチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジオクチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、(2−ヒドロキシエチル)ホスホン酸ジメチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジオクチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジエチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジオクチル、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸tert−ブチル、ジエチルホスホン酸ジオクチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジエチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジオクチル、シアノホスホン酸ジエチル、シアノメチルホスホン酸ジエチル、シアノホスホン酸ジオクチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクチル、(メチルチオメチル)ホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。
上記反応性化合物におけるホスフィン酸類としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、9、10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及びその誘導体などが挙げられる。
上記反応性化合物におけるホスフィン酸エステル類としては、例えば、ジメチルホスフィン酸メチル、ジメチルホスフィン酸エチル、ジメチルホスフィン酸n−ブチル、ジメチルホスフィン酸シクロヘキシル、ジメチルホスフィン酸ビニル、ジメチルホスフィン酸フェニル、エチルメチルホスフィン酸メチル、エチルメチルホスフィン酸エチル、エチルメチルホスフィン酸n−ブチル、エチルメチルホスフィン酸シクロヘキシル、エチルメチルホスフィン酸ビニル、エチルメチルホスフィン酸フェニル、ジエチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、ジエチルホスフィン酸n−ブチル、ジエチルホスフィン酸シクロヘキシル、ジエチルホスフィン酸ビニル、ジエチルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸エチル、ジフェニルホスフィン酸n−ブチル、ジフェニルホスフィン酸シクロヘキシル、ジフェニルホスフィン酸ビニル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、メチル−n−プロピルホスフィン酸メチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸エチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸n−ブチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸シクロヘキシル、メチル−n−プロピルホスフィン酸ビニル、メチル−n−プロピルホスフィン酸フェニル、ジオレイルホスフィン酸メチル、ジオレイルホスフィン酸エチル、ジオレイルホスフィン酸n−ブチル、ジオレイルホスフィン酸シクロヘキシル、ジオレイルホスフィン酸ビニル、ジオレイルホスフィン酸フェニル等が挙げられる。
上記反応性化合物におけるモノカルボン酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタデセン酸、ドコセン酸、イソオクタデカン酸等のモノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、メチルベンゼンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシオクタデセン酸等のヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸、アルキルチオプロピオン酸等の含イオウ脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
上記反応性化合物におけるスルホン酸類としては、例えば、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。これらのスルホン酸は、モノスルホン酸でもジスルホン酸でもトリスルホン酸でもよい。アルキルスルホン酸の誘導体としては、メタンスルホン酸クロライド等が挙げられる。ベンゼンスルホン酸の誘導体としては、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。アントラキノンスルホン酸の誘導体としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−6−スルホン酸等が挙げられる。
上記反応性化合物におけるスルフィン酸類としては、例えば、エタンスルフィン酸、プロパンスルフィン酸、ヘキサンスルフィン酸、オクタンスルフィン酸、デカンスルフィン酸、ドデカンスルフィン酸などのアルカンスルフィン酸、シクロヘキサンスルフィン酸、シクロオクタンスルフィン酸などの脂環族スルフィン酸;ベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸等が挙げられる。
反応性化合物としては、反応性の観点からリン系化合物が好ましく、具体的にはホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジオクチル、ジフェニルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸等が挙げられ、その中でも、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドがより好ましい。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを用いて得られた上記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルは、長期高温暴露後の成形体のアルミ蒸着表面外観をより良好に改良することができる。
ポリフェニレンエーテル(A)は、一種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
本実施の形態に用いるポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、0.25〜0.55dl/gの範囲が好ましい。より好ましくは0.30〜0.50dl/gで、さらにより好ましくは0.35〜0.45dl/gの範囲である。ポリフェニレンエーテルの還元粘度は、十分な機械物性、特に引張強度保持の観点から0.25dl/g以上が好ましく、成形加工性と成形体の輝度感との観点から0.55dl/g以下が好ましい。なお、本実施の形態において、還元粘度は、クロロホルム溶媒を用いて30℃で0.5g/dl溶液で測定し得られた値である。
本実施の形態に用いるポリフェニレンエーテル(A)の、押出等による加熱加工前(重合粉体性状の)重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn値)は、好ましくは1.2〜3.0であり、より好ましくは1.5〜2.5、さらにより好ましくは1.8〜2.3である。該Mw/Mn値は、樹脂組成物の成形加工性の観点から1.2以上が好ましく、樹脂組成物の機械物性、特に引張強度保持の観点から3.0以下が好ましい。ここで、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnとは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算分子量から得られるものである。
本実施の形態に用いるポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、前記(A)、(B)成分の合計100質量%中において、95〜99.95質量%の範囲内であり、好ましくは95〜99.9質量%、より好ましくは96〜99.9質量%の範囲内である。ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、十分な機械物性保持および成形品外観保持の観点から95質量%以上であり、本願用途で求められる特性の保持およびアルミ蒸着成形品表面の十分な改良の観点から、99.95質量%以下であることが望ましい。
<化合物(B)>
化合物(B)としての、分子内に式(I)又は式(II)の化学構造を有する有機リン化合物;前記有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類;モノカルボン酸類;スルホン酸類;及びスルフィン酸類としては、上述の反応性化合物における、ホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類と同様のものが挙げられる。
本実施の形態に用いられる化合物(B)としては、十分な性能発現による本願目的達成の観点から有機リン化合物が好ましく、分子内に下記式(I)又は式(II)の反応基を有する有機リン化合物がより好ましい。
Figure 2016176072
上記式(II)中、Rは炭素数1〜8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の三価の芳香族炭化水素基である。
本実施の形態に用いられる分子内に下記式(I)又は式(II)の化学構造を有する有機リン化合物は、長期高温暴露後の成形体のアルミ蒸着表面外観をより良好に改良する観点から、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド又はその誘導体、ホスホン酸ジオクチルであることが好ましい。
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの誘導体としては、10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスフェナントレン−10−オキサイドや、ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(10H−9−オキサ−10−ホスファ−10−フェナントリルメチル)サクシネートP−オキシド等が挙げられる。
中でも、十分な耐熱エージング特性改良の観点から、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを用いることがより好ましい。
本発明の形態に用いる(B)成分の含有量は、前記(A)、(B)成分の合計100質量%中において、0.05〜5質量%の範囲内であり、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜4質量%の範囲内である。(B)成分の含有量は、機械的物性保持および成形品外観保持の観点から5質量%以下であり、アルミ蒸着成形品表面の十分な凹み抑制の観点から、0.05質量%以上であることが望ましい。
<酸化防止剤(C)>
本実施の形態に係る光反射部品に用いる樹脂組成物は、さらに酸化防止剤(C)を含んでいてもよい。
上記酸化防止剤(C)は、ラジカル連鎖禁止剤として働く1次酸化防止剤と、過酸化物を分解する効果のある2次酸化防止剤のどちらも使用可能である。すなわち、酸化防止剤を用いることにより、ポリフェニレンエーテルが長時間高温にさらされた際に、末端メチル基又は側鎖メチル基において生じ得るラジカルを捕捉することができ(1次酸化防止剤)、又は当該ラジカルにより末端メチル基又は側鎖メチル基に生じた過酸化物を分解することができ(2次酸化防止剤)、それ故に、ポリフェニレンエーテルの酸化架橋を防止することができる。
1次酸化防止剤としては、主にヒンダードフェノール系酸化防止剤が使用可能であり、具体例は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキレイテッドビスフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシスピロ[5,5]ウンデカン等である。
2次酸化防止剤としては、主にリン系酸化防止剤を使用できる。リン系酸化防止剤の具体例は、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等である。
また、他の酸化防止剤として、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物を上記酸化防止剤と併用して用いることも可能である。
これらのうち、長期高温暴露後の光反射部品のアルミ蒸着表面外観を更に改良させるためには、2次酸化防止剤であるリン系酸化防止剤が好ましく、ホスファイト系酸化防止剤がより好ましく、下記化学式(5)の構造を分子内に有するホスファイト系の酸化防止剤が特に好ましい。
Figure 2016176072
酸化防止剤(C)の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%に対して、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%がより好ましく、0.1〜1.5質量%がさらに好ましい。長期高温暴露後の成形体のアルミ蒸着表面外観の更なる改良の観点から、0.05質量%以上が好ましく、アルミ蒸着前の成形品表面外観保持の観点から、5質量%以下の添加が好ましい。
また、酸化防止剤(C)の含有量は、ポリフェニレンエーテル(A)(100質量部)に対して、0.1〜3.0質量部であることが好ましく、0.1〜1.5質量部がさらに好ましい。長期高温暴露後の成形体のアルミ蒸着表面外観の更なる改良の観点から、0.1質量部以上の添加が好ましく、アルミ蒸着前の成形品表面外観保持の観点から3.0質量部以下の添加が好ましい。
本実施形態の光反射部品に含まれるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、アルミ蒸着を行った際の金属部品の腐食を一層抑え、長期高温暴露後の成形体のアルミ蒸着表面外観を一層良好とできる観点から、イオウ系酸化防止剤を含まないことが好ましい。
なお、上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−〔3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート〕、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、等が挙げられる。
<スチレン系樹脂>
本実施の形態の光反射部品に用いる樹脂組成物には、耐熱性や成形流動性を調整する目的で、スチレン系樹脂を配合することが可能である。スチレン系樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、スチレン系化合物の単独重合体や、スチレン系化合物、およびスチレン系化合物と共重合可能な化合物を、ゴム質重合体存在または非存在下に重合して得られる重合体が挙げられる。
スチレン系化合物としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。それらの中でも、原材料の実用性の観点から、スチレンが好ましい。
また、スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。
本実施形態において好ましいスチレン系樹脂は、ポリフェニレンエーテルとの混和性の観点から、ポリスチレンである。中でも成形品外観改良の観点からゼネラルパーパスポリスチレンが好ましい。
本実施の形態に用いることができるスチレン系樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量%中において、0質量%超60質量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%、更により好ましくは10〜40質量%の範囲内である。スチレン系樹脂の含有量は、本樹脂組成物の成形流動性改良の観点から配合すること(換言すれば、0質量%超の配合)が好ましく、また十分な耐熱性保持の観点から、60質量%以下の配合であることが好ましい。
<エラストマー成分>
本実施の形態の光反射部品に用いる樹脂組成物には、耐衝撃性を向上させる観点から、更にエラストマー成分を、配合することが可能である。
エラストマー成分としては、公知のものを用いることができるが、前記(A)成分との混和性および耐熱性の観点から、スチレンブロックと水素添加された共役ジエン化合物ブロックとを有するブロック共重合体(以下、「スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体」とも記す)を含むことが好ましい。
前記共役ジエン化合物ブロックは、熱安定性の観点から、水素添加率50%以上で水素添加されたものが好ましく、より好ましくは80%以上で水素添加されたもの、更に好ましくは95%以上で水素添加されたものである。
前記共役ジエン化合物ブロックとしては、以下に制限されないが、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エチレン・ブチレン)、ポリ(エチレン・プロピレン)及びビニル−ポリイソプレンが挙げられる。前記共役ジエン化合物ブロックは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ブロック共重合体を構成する繰り返し単位の配列の様式は、リニアタイプでもラジアルタイプでもよい。また、ポリスチレンブロック及びゴム中間ブロックにより構成されるブロック構造は二型、三型及び四型のいずれであってもよい。中でも、本実施の形態に所望の効果を十分に発揮し得る観点から、好ましくは、ポリスチレン−ポリ(エチレン・ブチレン)−ポリスチレン構造で構成される三型のリニアタイプのブロック共重合体である。なお、共役ジエン化合物ブロック中に30質量%を超えない範囲でブタジエン単位が含まれてもよい。
本実施の形態に用いることができる前記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体は、耐衝撃性改良の観点から重量平均分子量Mwが50000〜300000の範囲が好ましく、より好ましくは70000〜280000であり、更により好ましくは100000〜250000である。十分な耐衝撃性付与の観点から、前記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体は、50000以上が好ましく、成形体の流動性、外観保持、混和性の観点から、300000以下が好ましい。
本実施の形態に用いることができる前記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体の結合スチレン量は、20〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜60質量%であり、更により好ましくは30〜45質量%の範囲内である。混和性の観点から、前記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体の結合スチレン量は、20質量%以上が好ましく、耐衝撃性付与の観点から80質量%以下が好ましい。
本実施の形態に用いることができるエラストマー成分の含有量は、樹脂組成物100質量%中において、1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜12質量%、更により好ましくは5〜12質量%の範囲内である。エラストマー成分の含有量は、本用途に必要な耐衝撃性付与の観点から1質量%以上であることが好ましく、耐熱性および剛性保持の観点から15質量%以下であることが好ましい。
<その他>
本実施の形態の光反射部品に用いる樹脂組成物には、着色の観点から、更にカーボンブラック、酸化チタン、その他の無機系、有機系の公知の染料、顔料等の着色剤を配合することが可能である。
本実施の形態に使用可能な着色剤としては、本願用途で求められる特性の保持の観点から、カーボンブラックが特に好ましい。樹脂組成物中へのカーボンブラックの配合は、ハンドリング性および樹脂組成物中への分散性改良の観点から、予めポリスチレン中に溶融混練して混ぜ込んだ、所謂マスターバッチを用いることが特に好ましい。
本実施の形態に用いることができる着色剤の含有量は、樹脂組成物の合計100質量部中に対して、0.01〜8質量部の範囲内であり、好ましくは0.1〜5質量部、より好ましくは0.3〜3質量部、特により好ましくは0.4〜2質量部の範囲内である。十分な着色性の観点から0.01質量部以上であり、成形外観保持の観点から8質量部以下であることが望ましい。
本実施の形態の光反射部品に用いる樹脂組成物は、更には、樹脂組成物の耐熱性、機械物性並びに成形品の表面外観及び耐熱エージング特性等を著しく低下させない範囲において、その他の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤等を、樹脂組成物100質量部に対して、0.001〜3質量部の範囲内で含有することが可能であり、より好ましくは0.01〜0.5質量部であり、さらにより好ましくは0.2〜0.5質量部の範囲内である。十分な添加効果発現の観点から、上記のその他の添加剤は、0.001質量部以上の含有が好ましく、十分な成形品外観および物性保持の観点から3質量部以下の含有が好ましい。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施の形態の光反射部品に用いる樹脂組成物は、前記(A)成分、前記(B)成分等の原材料を、溶融混練の条件を適宜調節して、溶融混練することにより製造することができる。前記樹脂組成物を製造するための前記(A)成分、前記(B)成分及びその他の成分の溶融混練の条件については、樹脂組成物中において、特に制限されるものではないが、本実施の形態の所望の効果を十分に発揮し得る樹脂組成物を大量且つ安定的に得るという観点から、スクリュー径25〜90mmの二軸押出機を用いることが好適である。一例として、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270〜330℃、スクリュー回転数150〜700rpm、押出レート150〜600kg/h、及びベント真空度11.0〜1.0kPaの条件で溶融混練する方法が挙げられる。
押出樹脂温度は250〜380℃の範囲内で行なうことが好ましい。押出樹脂温度のより好ましい範囲は270〜360℃であり、更により好ましい範囲は300〜350℃である。押出樹脂温度は、本願用途で求められる効果の十分な発現と押出性の観点から250℃以上が好ましく、十分な機械物性保持と押出性の観点から380℃以下が好ましい。
本実施の形態に用いる樹脂組成物を、大型(スクリュー径40〜90mm)の二軸押出機を用いて製造する際に注意すべきは、押出樹脂ペレット中に押出時に生じた、前記(A)成分から生じるゲルや炭化物が混入することで、成形品の表面外観や輝度感を低下させる原因となる場合もある。そこで、前記(A)成分を最上流(トップフィード)の原料投入口から投入して、最上流投入口におけるシューター内部の酸素濃度を15容量%以下に設定しておくことが好ましく、より好ましくは8容量%以下であり、更により好ましくは1容量%以下である。
酸素濃度の調節は、原料貯蔵ホッパー内を十分に窒素置換して、原料貯蔵ホッパーから押出機原料投入口までの、フィードライン中での空気の出入りがないように密閉した上で、窒素フィード量の調節、ガス抜き口の開度を調節することで可能である。
本実施の形態の光反射部品に用いる樹脂組成物の製造において、前記(A)成分と前記(B)成分との反応率を高めることを目的として、予め前記(A)成分と前記(B)成分とをブレンドして、押出機で溶融混練して押出したペレットを原料として用いることが可能である。その際、予めブレンドする、前記(A)成分と前記(B)成分とのブレンド比(質量比)は、前記(A)成分と前記(B)成分とのブレンド物100質量%中において、前記(B)成分の比率が0.05〜10質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%の範囲内であり、更により好ましくは0.3〜3質量%の範囲内である。十分な性能改良の観点から、前記(B)成分の比率は、0.05質量%以上のブレンドが好ましく、押出加工時の安定性保持の観点から10質量%以下のブレンドが好ましい。
[成形品]
本実施の形態の、樹脂組成物からなる光反射部品及び自動車ランプ反射部品は、上述の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
前記樹脂組成物の成形方法としては、以下に制限されないが、例えば、射出成形、押出成形、真空成形及び圧空成形が好適に挙げられ、特に成形外観及び輝度感の観点から、射出成形がより好適に用いられる。
前記樹脂組成物の成形時の成形温度は、バレル設定最高温度250〜340℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましい範囲は270〜330℃であり、更により好ましくは280〜320℃である。十分な成形加工性の観点から、成形温度は、250℃以上が好ましく、樹脂の熱劣化抑制の観点から340℃以下が好ましい。
前記樹脂組成物の成形時の金型温度は、40〜170℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましくは80〜150℃であり、更により好ましくは80〜130℃の範囲内である。十分な成形品外観保持の観点から、金型温度は、40℃以上が好ましく、成形安定性の観点から170℃以下であることが好ましい。
本実施の形態における好適な光反射部品(成形品)及び自動車ランプ反射部品としては、高温条件下での長期暴露によって生じるアルミ蒸着成形品表面の凹み発生が抑制され、従来に無い卓越したアルミ蒸着表面外観を有することから、特に、自動車のランプリフレクター成形体やランプエクステンション成形体が好適である。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに制限されるものではない。実施例及び比較例に用いた物性の測定方法及び原材料を以下に示す。
[アルミ蒸着成形品の作製および物性の測定方法]
1.アルミ蒸着成形品の作製
下記の実施例1〜19及び比較例1〜8で得られた樹脂組成物のペレットを、100℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、金型表面を#5000で磨き上げた寸法100mm×100mm×2mm厚みのフィルムゲート鏡面金型を備え付けた射出成形機(IS−80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度320℃、金型温度120℃、射出圧力(ゲージ圧70MPa)、射出速度(パネル設定値)85%で成形して成形平板を得た。さらにこの得られた成形平板を真空状態下の蒸着装置内に不活性ガスと酸素を導入し、チャンバー内をプラズマ状態にして、成形平板表面を活性化させるプラズマ処理を行ない、真空下の蒸着装置内でアルミニウム蒸着を行なった。さらに、アルミニウム蒸着面の保護膜として、プラズマ重合処理を行ない、二酸化珪素重合膜を形成させた。アルミニウム膜厚は80nm、二酸化珪素膜厚は50nmであった。
2.エージング試験の実施方法
得られたアルミ蒸着平板成形品のアルミ蒸着面側から照明の光を当てると、アルミ膜で被覆されていない、微細な点の箇所(ここでは「ピンホール」と呼ぶ)が光を通して透けて見える。この各サンプルのアルミ蒸着平板成形品1枚の中に存在するピンホール部をランダムに5か所抽出して、アルミ蒸着裏面からマジックで印を付けた後、各サンプルのアルミ蒸着平板成形品1枚ずつを、150℃に設定した熱風オーブン中に入れて、500時間または1000時間経過するまで放置した。
3.エージング後のアルミ蒸着成形品の外観評価(目視判定)
1000時間経過後、熱風オーブンから取り出して、23℃で24時間放置した各サンプルのアルミ蒸着平板成形品のアルミ蒸着面の外観を目視で判定した。凹みが目立たず、エージング前と差が認め難いものを○、凹みは目立たないが曇りがあるものを△、エージング前と比べて明らかに凹みが認められ外観の低下が明らかで許容できないものを×と判定した。評価基準としては、○の判定のものが本用途の成形品として好適である。
4.エージング後に生じたアルミ蒸着面凹み部分の最深部深さの測定
500時間および1000時間経過後の、各サンプルのアルミ蒸着平板成形品の予めマジックで印を付けたピンホール部5か所に生じた凹み部分の最深部深さを、レーザーマイコロスコープVR−3000(キーエンス社製)で測定して、5か所の測定値の平均値を求めた。
尚、エージング前の各サンプルの5か所の測定値はいずれも0μmであった。
評価基準としては、最深部深さが小さい値であるほど、凹みが目立ち難く、外観が良好なため、本用途の成形品として有利であると判定した。
[原材料]
<ポリフェニレンエーテル(A)>
(A−1)
還元粘度(クロロホルム溶媒を用いて30℃で測定)0.38dl/gのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルを用いた(以下、「A−1」ということもある)。
(A−2)
還元粘度0.38dl/g(0.5g/dlクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ粘度計で測定)、数平均分子量15300、100ユニットあたりの末端OH基:0.72個、100ユニットあたりのN,N−ジブチルアミノメチル基:0.43個のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)紛体(PPE−1)を溶液重合により作製した。
上記の(PPE−1)を99.5質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)0.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練してペレット(A−2)を得た(以下、「A−2」ということもある)。
このA−2をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(9)、(10)の構造を合わせて0.13個含むことを確認した。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
31P−NMR 測定条件
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
H−NMR 測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single−Plus
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
以下、ポリフェニレンエーテルの31P−NMR及びH−NMRの測定は、上記の条件で行った。
(A−3)
還元粘度0.47dl/g(0.5g/dlクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ粘度計で測定)、数平均分子量17000、100ユニットあたりの末端OH基:0.51個、100ユニットあたりのN,N−ジブチルアミノメチル基:3.77個のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)紛体(PPE−2)を溶液重合により作製した。
上記の(PPE−2)を95.0質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)5.0質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練してペレット(A−3)を得た(以下、「A−3」ということもある)。
このA−3をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、前記の化学式(9)、(10)の構造を合わせて3.12個含むことを確認した。
(A−4)
上記の(PPE−1)を99.0質量部と、ホスホン酸ジオクチル(城北化学製)1.0質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練してペレット(A−4)を得た(以下、「A−4」ということもある)。
このA−4をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(11)、(12)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
(A−5)
上記の(PPE−1)98.5質量部と、N−ヒドロキシフタルイミド(東京化成製)0.1質量部、トリエチルアミン(東京化成製)0.5質量部、メタンスルホン酸クロライド(東京化成製)1.0質量部をクロロホルム10L中に溶解し、60℃で5時間撹拌した。得られた反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、分液操作を行うことで有機層を得た。得られた有機層に、メタノールを徐々に添加し、PPE成分を析出させ、ろ過、乾燥を行うことで、ポリフェニレンエーテル成分(A−5)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−5)のパウダーを得た(以下、「A−5」ということもある)。
得られた(A−5)は、H−NMRおよび13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(13)、(14)の構造を合わせて0.3個含むことを確認した。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
13C−NMR 測定条件
装置 :Bruker Biospin Avance 600
観測核 :13
観測周波数 :150.9MHz
測定法 :逆ゲートデカップリング法
パルス幅 :30°
待ち時間 :10秒
積算回数 :2,000回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:TMS 0ppm
<化合物(B)>
(B−1)
化学名:9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド。商品名:HCA〔登録商標〕、三光社製を用いた(以下、「B−1」ということもある)。
(B−2)
化学名:10−(2,5−ジヒドロキシフェニル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド。商品名:HCA−HQ〔登録商標〕、三光社製を用いた(以下、「B−2」ということもある)。
(B−3)
化学名:ホスホン酸ジオクチル。城北化学社製を用いた(以下、「B−3」ということもある)。
<酸化防止剤(C)>
(C−1)
リン系酸化防止剤(化学名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン。アデカ社製、商品名:アデカスタブPEP−36〔登録商標〕)(以下、「C−1」ということもある)。
(C−2)
リン系酸化防止剤(化学名:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト。BASF社製、商品名:Irgafos168〔登録商標〕)(以下、「C−2」ということもある)。
<スチレン系樹脂>
(GPPS)ゼネラルパーパスポリスチレン。商品名:ポリスチレン680[登録商標]、旭化成ケミカルズ社製を用いた(以下、「GPPS」ということもある)。
<エラストマー成分>
(エラストマー)重量平均分子量71200、結合スチレン量32質量%の、ポリスチレンブロックと水素添加率98%の水添ブタジエンブロックとを有する三型タイプの水添ブロック共重合体を用いた(以下、「エラストマー」ということもある)。
[比較例1]
(A−1)100質量%を、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[比較例2]
(A−1)99.97質量%と、(B−1)0.03質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例1]
(A−1)99.95質量%と、(B−1)0.05質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例2]
(A−1)99.9質量%と、(B−1)0.1質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例3]
(A−1)99.7質量%と、(B−1)0.3質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例4]
(A−1)99.5質量%と、(B−1)0.5質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
また、得られた成形品をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(9)、(10)の構造を合わせて0.13個含むことを確認した。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
[実施例5]
(A−1)99質量%と、(B−1)1質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例6]
(A−1)98質量%と、(B−1)2質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例7]
(A−1)95質量%と、(B−1)5質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
また、得られた成形品をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、前記の化学式(9)、(10)の構造を合わせて3.12個含むことを確認した。
[比較例3]
(A−1)93質量%と、(B−1)7質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例8]
(B−1)を、(B−2)に置き換えた以外は、実施例5の場合と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例9]
(A−1)99質量%と、(B−3)1質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
また、得られた成形品をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(11)、(12)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
[実施例10]
(A−2)99.9質量%と、(B−1)0.1質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例11]
(A−3)99.95質量%と、(B−1)0.05質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例12]
(A−4)99.5質量%と、(B−2)0.5質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例13]
(A−5)99.5質量%と、(B−2)0.5質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[実施例14]
(A−1)99質量%と、(B−1)0.5質量%と、(C−1)0.5質量%とを事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[比較例4]
(B−1)を、無水マレイン酸(製品名:無水マレイン酸〔登録商標〕、三菱化学社製)に置き換えた以外は、実施例5の場合と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[比較例5]
(B−1)を、ステアリルアクリレート(製品名:STA〔登録商標〕、大阪有機化学工業社製)に置き換えた以外は、実施例5の場合と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[比較例6]
(A−1)98.5質量%と、ステアリルアクリレート(製品名:STA〔登録商標〕、大阪有機化学工業社製)1質量%と、(C−1)0.5質量%とを、事前に混合したものを、比較例1と同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
[比較例7]
(A−1)70質量%と、(GPPS)25質量%と、(エラストマー)5質量%とを事前に混合したものを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表2に示す。
[実施例15]
(A−1)70質量%と、(B−1)0.7質量%と、(GPPS)24.3質量%と、(エラストマー)5質量%とを事前に混合したものを、比較例7の場合と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表2に示す。
[実施例16]
(A−1)70質量%と、(B−1)0.35質量%と、(C−1)0.35質量%と、(GPPS)24.3質量%と、(エラストマー)5質量%とを事前に混合したものを、比較例7の場合と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表2に示す。
[実施例17]
(A−1)70質量%と、(B−2)0.7質量%と、(GPPS)24.3質量%と、(エラストマー)5質量%とを事前に混合したものを、比較例7の場合と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表2に示す。
[比較例8]
(A−1)60質量%と、(GPPS)32質量%と、(エラストマー)8質量%とを事前に混合したものを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表2に示す。
[実施例18]
(A−1)60質量%と、(B−1)0.6質量%と、(GPPS)31.4質量%と、(エラストマー)8質量%とを事前に混合したものを、比較例7の場合と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表2に示す。
[実施例19]
(A−1)60質量%と、(B−1)0.3質量%と、(C−2)0.3質量%と、(GPPS)31.4質量%と、(エラストマー)8質量%とを事前に混合したものを、比較例7の場合と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表2に示す。
Figure 2016176072
Figure 2016176072
表1に示すように、実施例1〜14の樹脂組成物からなる成形品は、いずれも(A)成分、(B)成分の組成が本願の請求範囲内であるため、長期高温暴露後のアルミ蒸着面の凹み発生が抑制されて、成形品のアルミ蒸着外観が良好であり、本願の用途の成形品として十分良好に使用可能である。
比較例1と2の樹脂組成物からなる成形品は、いずれも(A)成分、(B)成分の組成が本願の請求範囲外であるため、長期高温暴露後のアルミ蒸着面の凹み発生が十分に抑制されず、成形品のアルミ蒸着外観が十分ではなく、本願の用途への使用は困難であると判定された。
比較例3の樹脂組成物からなる成形品は、(A)成分、(B)成分の組成が本願の請求範囲外であり、(B)成分の配合量が本願規定量の上限を超えているため、エージング後の成形品のアルミ蒸着面に曇りの発生が認められ、アルミ蒸着外観が十分ではなく、本願の用途への使用は困難であると判定された。
比較例4と5の樹脂組成物からなる成形品も、(A)成分に、本願の(B)成分とは異なる成分が配合されており、組成が本願の請求範囲外であるため、やはり長期高温暴露後のアルミ蒸着面の凹み発生が十分に抑制されず、成形品のアルミ蒸着外観が十分ではなく、本願の用途への使用は困難であると判定された。
比較例6の樹脂組成物からなる成形品も、本願の(B)成分とは異なる成分が配合されており、組成が本願請求項範囲外であるため、本願(C)成分であるリン系酸化防止剤を配合しても、長期高温暴露後のアルミ蒸着面の凹み発生が十分に抑制されず、成形品のアルミ蒸着外観が十分ではなく、本願の用途への使用は困難であると判定された。
表2に示すように、実施例15〜19の樹脂組成物からなる成形品は、いずれも(A)成分、(B)成分の組成が本願の請求範囲内であるため、長期高温暴露後のアルミ蒸着面の凹み発生が抑制されて、成形品のアルミ蒸着外観が良好であり、本願の用途の成形品として十分良好に使用可能である。一方、比較例6および7の樹脂組成物からなる成形品は、本願(B)成分を含まないため、やはり長期高温暴露後のアルミ蒸着面の凹み発生が十分に抑制されず、成形品のアルミ蒸着外観が十分ではなく、本願の用途への使用は困難であると判定された。
本発明の樹脂組成物からなる成形品は、高温条件下での長期暴露によって生じるアルミ蒸着成形品表面の凹み発生が抑制され、従来に無い卓越したアルミ蒸着表面外観を有することから、自動車ランプリフレクターや自動車のランプエクステンション成形体等のような光反射部品用成形体に良好に利用可能である。

Claims (12)

  1. ポリフェニレンエーテル(A)と、
    分子内に下記式(I)又は式(II)(式(II)中、Rは炭素数1〜8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6〜12の三価の芳香族炭化水素基である。)の化学構造を有する有機リン化合物;前記有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類;モノカルボン酸類;スルホン酸類;及びスルフィン酸類;からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(B)とを、
    前記(A)成分、前記(B)成分の合計100質量%に対して、前記(A)成分95〜99.95質量%、前記(B)成分0.05〜5質量%含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含有してなる、光反射部品。
    Figure 2016176072
  2. 前記(B)成分が、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド又はその誘導体である、請求項1に記載の光反射部品。
  3. 前記(A)成分が、下記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルである、請求項1又は2に記載の光反射部品。
    Figure 2016176072
    Figure 2016176072
    (化学式(1)及び(2)のXは、
    Figure 2016176072
    から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
  4. 前記(A)成分が、化学式(3)及び(4)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテルである、請求項3に記載の光反射部品。
    Figure 2016176072
    Figure 2016176072
    (化学式(3)及び(4)のR及びRは、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
  5. 前記(A)成分が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記化学式(1)及び(2)に示すいずれかの構造のユニットを0.05〜10個含有するポリフェニレンエーテルである、請求項3又は4に記載の光反射部品。
  6. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%において、更に酸化防止剤(C)を0.05〜5質量%含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光反射部品。
  7. 前記酸化防止剤(C)が、下記化学式(5)の構造を分子内に有するホスファイト系酸化防止剤である、請求項6に記載の光反射部品。
    Figure 2016176072
  8. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%において、更にスチレン系樹脂を5〜50質量%含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光反射部品。
  9. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%において、更にエラストマー成分を1〜15質量%含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光反射部品。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の光反射部品からなる、自動車ランプ反射部品。
  11. 請求項10に記載の自動車ランプ反射部品を用いた、自動車ランプリフレクター部品用成形品。
  12. 請求項10に記載の自動車ランプ反射部品を用いた、自動車ランプエクステンション部品用成形品。
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