JP2019123762A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、長期高温暴露後の成形品の機械強度(特に、引張強度)低下が著しく抑制されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。【解決手段】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のモノマーユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)と、縮合型リン酸エステル系化合物(B)とを含有し、前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量%に対して、前記(A)成分の含有割合が70〜99.5質量%、前記(B)成分の含有割合が0.5〜30質量%である、ことを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、機械的物性、電気的特性、耐酸・耐アルカリ性、耐熱性に優れると共に、低比重で、吸水性が低く、且つ寸法安定性が良好である等の多様な特性を有しているため、家電製品、OA機器、事務機、情報機器や自動車などの材料として、幅広く利用されている。近年、プロジェクターや、各種照明器具等に用いられる成形品、薄肉自動車部品用途において、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の検討が行われている。そして、このような用途に使用される部品は、長時間高温に晒された場合に、成形体の機械強度が十分に保持されていることが要求される場合も少なくない。
しかしながら、従来のポリフェニレンエーテル樹脂からなる成形品を高温条件下でエイジング(長時間熱暴露)した場合、引張強度のような機械物性が低下するため、必ずしも十分ではない場合がある。
ポリフェニレンエーテル樹脂組成物のエイジング特性の改良技術として、例えば特許文献1には、特定の芳香族ビニル樹脂を配合することで、ポリフェニレンエーテルの高温エイジング後の酸化劣化による未溶融物の発生を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献2には、ポリフェニレンエーテル樹脂と9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドのような化合物とを含有する樹脂組成物に関する技術が開示されている。特許文献2によれば、押出加工時の熱による変色を抑えることができるとされている。
特開平8−199060号公報 特開平4−117452号公報
しかし、特許文献1、2に記載のような従来の技術では、長期間高温に晒された場合に生じる成形品の機械強度(例えば、引張強度)の低下をまだ十分に抑制することができていなかった。
そこで、本発明は、長期高温暴露後の成形品の機械強度(特に、引張強度)低下が著しく抑制されたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討したところ、特定のポリフェニレンエーテルと、縮合型リン酸エステル系化合物とを、特定割合で含有する樹脂組成物とすることで、高温条件下での長期暴露により生じる機械強度(特に、引張強度)の低下が著しく抑制されることを明らかにして、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1]
下記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のモノマーユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)と、縮合型リン酸エステル系化合物(B)とを含有し、
前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量%に対して、前記(A)成分の含有割合が70〜99.5質量%、前記(B)成分の含有割合が0.5〜30質量%である、ことを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
Figure 2019123762
Figure 2019123762
(化学式(1)及び(2)中、R1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基を表す。)
[2]
前記(A)成分が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの前記化学式(1)及び(2)の群から選ばれる構造のモノマーユニットの合計数が0.05〜10個のポリフェニレンエーテルである、[1]のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[3]
更に、芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットと共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットとを含み結合芳香族ビニル化合物化合物量が60〜99.9質量%であるブロック共重合体(C1)、及び芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットと水添共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットとを含み結合芳香族ビニル化合物量が60〜99.9質量%であるブロック共重合体(C2)からなる群から選ばれる少なくとも一種のブロック共重合体(C)を含有する、[1]又は[2]のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[4]
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中、前記(C)成分を0.5〜30質量%含有する、[3]のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[5]
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分の合計質量が80質量%以上である、[3]又は[4]のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[6]
更に、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中、酸化防止剤(D)を0.005〜5質量%含有する、[1]〜[5]のいずれかのポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[7]
前記(D)成分が、下記化学式(3)で表される構造を分子内に有するホスファイト系酸化防止剤である、[6]のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
Figure 2019123762
[8]
前記(B)成分が、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェートを含有する、[1]〜[7]のいずれかのポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[9]
前記(B)成分が、下記化学式(4)で表される化合物を含有する、[1]〜[8]のいずれかのポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
Figure 2019123762
(化学式(4)中、R1〜R4は、2,6−キシリル基を表し、nは1〜3を表す。)
[10]
[1]〜[9]のいずれかのポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる成形品。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、高温条件下での長期暴露によって生じる引張強度等の機械強度の低下が抑制され、従来に無い卓越した長期高温エイジング後の引張強度等の機械強度を有することから、高温条件下で使用されるプロジェクターや各種照明器具等の家電OA機器成形品の部品や、電機電子機器、自動車用途、各種工業製品等の加飾成形品の部品等に良好に利用可能である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物]
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、下記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のモノマーユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)と、縮合型リン酸エステル系化合物(B)とを含有し、上記(A)成分と(B)成分との合計質量100質量%に対して、上記(A)成分の含有割合が70〜99.5質量%、上記(B)成分の含有割合が0.5〜30質量%である。
Figure 2019123762
Figure 2019123762
(式(1)及び(2)中、R1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基を表す。)
本発明者は、上記の(A)成分と(B)成分とを特定の量比で含有する樹脂組成物とすることにより、高温条件下(例えば、温度100〜160℃の条件下等)での長期(例えば、500〜5000時間等)暴露によって生じる引張強度の低下が著しく抑制された成形品が得られることを見出し、プロジェクターや各種照明器具等の家電OA機器成形品の部品や、電機電子機器、自動車用途等に用いられる加飾成形品の部品用途に、十分に適用可能であることを見出した。
以下、上記のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の各構成成分について詳細に説明する。
<ポリフェニレンエーテル(A)>
上記ポリフェニレンエーテル(A)は、下記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のモノマーユニットを含むポリフェニレンエーテルである。
ポリフェニレンエーテル(A)は、一種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
Figure 2019123762
Figure 2019123762
(化学式(1)及び(2)中、R1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基を表す。)
上記化学式(1)及び(2)におけるR1及びR2としては、反応性官能基を有さない置換基が好ましい。反応性置換基を有する場合、樹脂組成物が長時間高温にさらされたときに、これらの反応性置換基が架橋反応を起こし、エイジング後の物性低下の原因となり得るからである。ここで反応置換基とは、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、カルボニル基等である。
また、R1、R2の構造としては、R1とR2とが連結した構造(例えば、R1とR2とに含まれる炭素原子が互いに結合した環状構造(但し、芳香環の二重結合以外に炭素−炭素の二重結合を実質的に有さない)や、構造中に窒素原子、酸素原子を含んでもよい。
1、R2としては、例えば、炭素数1〜30の鎖状又は環状アルキル基、アリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
具体的には、構成単位が下記化学式(I)又は(II)で表される繰り返し単位(モノマーユニット)からなる単独重合体(ホモポリマー)、あるいは下記化学式(I)及び/又は(II)で表される繰り返しユニットを含む共重合体(コポリマー)であるポリフェニレンエーテルの末端基および側鎖基の少なくとも一部が、上記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットであるポリフェニレンエーテルが挙げられる。
Figure 2019123762
(化学式(I)及び(II)中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン原子を表す。但し、R3及びR4は同時に水素原子ではない。)
上記単独重合体としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、及びポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
上記共重合体としては、上記化学式(I)及び/又は上記化学式(II)で表される繰り返し単位を主たる繰り返し単位とする共重合体が挙げられ、化学式(I)及び/又は化学式(II)で表される繰り返し単位のみからなる共重合体であってもよい。
上記共重合体としては、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、或いは2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体といった、ポリフェニレンエーテル構造を主体とするものが挙げられる。
中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
上記ポリフェニレンエーテルの末端基又は側鎖基のキャッピングに用いられる化合物(キャッピング化合物)としては、上記単独重合体、上記共重合体等のポリフェニレンエーテル中の少なくとも1つのモノマーユニットを上記化学式(1)又は(2)で表されるモノマーユニットとすることができるものであればよく、特に制限されるものではないが、例えば、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジオレイル等のホスホン酸化合物等が挙げられる。
中でも、ポリフェニレンエーテル末端基、側鎖基との反応性や、十分な性能発現の観点から、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドが特に好ましい。
ここで、末端基および側鎖基の少なくとも一部がキャッピング化合物でキャッピングされたポリフェニレンエーテル(A)の作用・効果について説明する。
通常、ポリフェニレンエーテルは、長時間高温にさらされた場合に、末端ユニットにあるメチル基(以下、「末端メチル基」とも称する。)又は中間ユニットにあるメチル基(以下、「側鎖メチル基」とも称する。)が酸化架橋反応を起こすことがあった。本発明者は、末端メチル基や側鎖メチル基等の酸化架橋反応に着目し、この酸化架橋反応を抑えることで成形品の長期高温エイジング特性の低下を抑制できる可能性について検討した。末端メチル基や側鎖メチル基では、比較的ラジカルが発生しやすい傾向があり、発生したラジカルが酸化架橋を起こす要因となり得ることが分かった。ポリフェニレンエーテル(A)では、被酸化部位である末端メチル基又は側鎖メチル基を、所定の分子で置換された状態にして封止(キャッピング)することで、末端メチル基又は側鎖メチル基の架橋反応を抑制することができる。
ポリフェニレンエーテル(A)鎖中において、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、上記キャッピング化合物が反応した構造のモノマーユニットを(特に、上記化学式(1)及び(2)で表される構造のモノマーユニットを合計で)0.05〜10個含有することが好ましく、より好ましくは0.05〜5個、さらに好ましくは0.05〜2個、特に好ましくは0.08個〜1個である。上記キャッピング化合物が反応した構造のモノマーユニット(特に、上記化学式(1)及び(2)の群から選ばれる構造のモノマーユニットの合計数)を、100個あたり0.05個以上にすることにより、十分な長期高温暴露後の成形体の引張強度低下を一層抑制でき、10個以下にすることにより、機械物性を保持しやすくなる。
ポリフェニレンエーテル(A)において、上記キャッピング化合物が反応した構造のモノマーユニット以外のモノマーユニットは、上記化学式(I)及び/又は(II)で表されるモノマーユニットを含んでいてよく、上記化学式(I)及び/又は(II)で表されるモノマーユニットのみであってもよい。
−ポリフェニレンエーテル(A)の合成方法−
ポリフェニレンエーテル(A)は、既に公知の重合方法によって合成された通常のポリフェニレンエーテルの重合粉体を用いて合成することが可能である。
その中でも、下記の化学式(5)、(6)で表される、末端基及び側鎖基を有する構造のユニットを有する前駆体ポリフェニレンエーテルを用いることが好ましい。前駆体ポリフェニレンエーテルが下記の化学式(5)及び/又は(6)の構造のユニットを有することにより、十分に効率よくポリフェニレンエーテル(A)を得ることができる。具体的には、ポリフェニレンエーテルを製造するにあたって、前駆体ポリフェニレンエーテルを経由することにより、化学式(5)、(6)の構造中のCH2−Y部分が選択的に開裂して後述のキャッピング化合物との置換反応が生じるので、ポリフェニレンエーテル(A)を十分に効率よく得ることができる。
さらに、当該前駆体ポリフェニレンエーテルが、前駆体ポリフェニレンエーテル鎖中において、化学式(5)及び(6)で表される構造のユニットの合計を、前駆体ポリフェニレンエーテル鎖を構成するモノマーユニット100個当たり0.05〜10個含有することが好ましく、0.05〜5個含有することがより好ましく、0.05〜2.00個含有することがさらに好ましく、0.08〜1.00個含有することが特に好ましい。
Figure 2019123762
Figure 2019123762
(化学式(5)及び(6)中、YはN原子又はO原子を表し、Ziは、炭素数が1〜20個の環状若しくは鎖状(直鎖状、分岐状)の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。また、式中のi、nは1または2であり、Z1とZ2は同じでも異なってもよく、連結されていてもよい。)
化学式(5)、(6)の構造のユニットを含有する、前駆体ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合反応時に、アミン類、アルコール類及びモルフォリン等の化合物(a1)を、添加して反応させる方法や、重合した非置換ポリフェニレンエーテルを例えばトルエンなどのポリフェニレンエーテル可溶性溶媒中、例えば20〜60℃で、好ましくは40℃で撹拌し、上記の化合物(a1)を添加して反応させる方法が挙げられる。
化合物(a1)としては、特に限定されるものではないが、具体的には、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン等の1級アミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−iso−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の2級アミン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール及びモルフォリン等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル(A)を得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合の際に上記キャッピング化合物を投入し、ポリフェニレンエーテルを重合する方法や、ポリフェニレンエーテルの重合の際に上記キャッピング化合物が置換されたモノマーを少量添加してポリフェニレンエーテルを重合する方法や、非置換ポリフェニレンエーテルとキャッピング化合物を溶融混練して反応させる方法等が挙げられる。具体的には、ポリフェニレンエーテルの重合時に化合物(a1)を添加して反応させた後に、キャッピング化合物を反応させる方法や、ポリフェニレンエーテルの重合時に化合物(a1)が置換された2,6−ジメチルフェノールを少量添加して反応させた後、キャッピング化合物と溶融混練して反応させる方法や、前駆体ポリフェニレンエーテルを得た後、当該前駆体ポリフェニレンエーテルとキャッピング化合物とを溶融混練して反応させる方法(すなわち、例えば、前駆体ポリフェニレンエーテルを用いて樹脂組成物を溶融混練して製造する際に、前駆体ポリフェニレンエーテルとキャッピング化合物とを溶融混練する)が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、0.25〜0.55dL/gの範囲が好ましく、より好ましくは0.30〜0.50dL/g、さらに好ましくは0.35〜0.45dL/g、特に好ましくは0.36〜0.40dL/gである。ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、十分な機械物性、特に引張強度保持の観点から、0.25dL/g以上が好ましく、成形加工性と成形体の輝度感との観点から、0.55dL/g以下が好ましい。
なお、本明細書において、還元粘度は、クロロホルム溶媒を用いて30℃で0.5g/dL溶液でウベローデ型粘度管を用いて測定し得られた値である。
ポリフェニレンエーテル(A)の、押出等による加熱加工前の(重合粉体性状の)重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn値)は、1.2〜3.0であることが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5、さらにより好ましくは1.8〜2.3である。上記Mw/Mn値は、樹脂組成物の成形加工性の観点から、1.2以上が好ましく、樹脂組成物の機械物性、特に引張強度保持の観点から、3.0以下が好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnとは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算分子量から得られるものである。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物中の(A)成分の含有量は、上記(A)成分と(B)成分との合計質量100質量%に対して、70〜99.5質量%である。好ましくは、80〜99.5質量%であり、より好ましくは90〜99質量%、更に好ましくは95〜99質量%である。十分な耐熱性付与の観点から、70質量%以上であることが望ましく、成形加工性及び十分なエイジング性改良の観点から、99.5質量%以下であることが望ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中の、(A)成分の含有量としては、50〜99.5質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは60〜85質量%である。
<縮合型リン酸エステル系化合物(B)>
縮合型リン酸エステル系化合物(B)としては、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ヒドロキシノンビスフェノールホスフェート、レゾルシノールビスホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート等のトリフェニル置換タイプの芳香族リン酸エステル類、下記化学式(4)で表される化合物等が好適に用いられ、中でも、環境負荷低減および成形品の長期高温エイジング性の観点から、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート、及び/又は下記化学式(4)で表される化合物がより好適に用いられる。
Figure 2019123762
(化学式(4)中、R1〜R4は、2,6−キシリル基を表し、nは1〜3を表す。)
縮合型リン酸エステル系化合物(B)は、一種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分との合計質量100質量%に対して、0.5〜30質量%であり、好ましくは、0.5〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%である。十分な長期高温エイジング性の観点から0.5質量%以上であることが望ましく、耐熱性保持の観点から30質量%以下であることが望ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中の、(B)成分の含有量としては、0.5〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜7質量%である。
<ブロック共重合体(C)>
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、さらに、結合芳香族ビニル化合物量が60〜99.9質量%の芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットと共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットとを含むブロック共重合体(C1)、及び結合芳香族ビニル化合物量が60〜99.9質量%の芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットと水添共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットとを含むブロック共重合体(C2)からなる群から選ばれる少なくとも一種のブロック共重合体(C)を含むことが好ましい。
上記(C)成分は、(C1)成分単独でもよいし、(C2)成分単独で用いてもよいし、(C1)成分と(C2)成分とを併用して用いてもよい。中でも、高温条件下で成形加工する場合は、熱安定性の観点から、上記(C2)成分を単独で使用することが好ましい。
ブロック共重合体(C)は、一種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記ブロック共重合体(C)は、各ブロックの配列の様式が線状であってもよいし分岐状であってもよい。また、各ブロック中のモノマーユニットの配列の様式は、線状であってもよいし分岐状であってもよい。
上記ブロック共重合体(C)は、芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットを含む芳香族ビニル化合物ブロック、及び共役ジエン化合物又は水添共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットを含む共役ジエン化合物ブロック、を含むことが好ましい。
ブロック共重合体(C)のブロック構造は、二型(Aを芳香族ビニル化合物ブロック、Bを共役ジエン化合物ブロックとした場合にA−B等の一般式で表されるブロック構造)、三型(A−B−A等の一般式で表されるブロック構造)及び四型(A−B−A−B等の一般式で表されるブロック構造)のいずれであってもよい。中でも、長期高温にさらされた後の機械強度に一層優れる観点から、三型の線状ブロック共重合体が好ましく、ポリスチレン−ポリ(エチレン・ブチレン)−ポリスチレン構造で構成される三型の線状のブロック共重合体である。
上記ブロック共重合体(C)としては、例えば、以下の一般式
A−(B−A)n
A−(B−A)n−B
B−(A−B)n+1
A−B
(上記一般式において、Aは芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットを主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物又は水添共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットを主体とする重合体ブロックを表す。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは1以上の整数、一般的には1〜5である。)のいずれかで表される線状ブロック共重合体、又は以下の一般式
〔(A−B)km+2−X
〔(A−B)k−A〕m+2−X
〔(B−A)km+2−X
〔(B−A)k−B〕m+2−X
(上記一般式において、Aは芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットを主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエン化合物又は水添共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットを主体とする重合体ブロックを表す。k及びmは1以上の整数、一般的には1〜5である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油などのポリエポキサイド、ポリハロゲン化炭化水素、カルボン酸エステル、多塩基酸エステル、多塩基酸無水物、多官能イソシアネート、多官能アルデヒド、多官能ケトン、ポリビニル芳香族化合物等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)のいずれかで表される分岐状ブロック共重合体等も挙げられる。
尚、上記一般式において、芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットを主体とする重合体ブロックとは、重合体ブロック全量100質量%に対して芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットを90質量%以上含有する芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物若しくは水添共役ジエン化合物との共重合体ブロック、及び/又は芳香族ビニル化合物の単独重合体ブロックを示す。また、共役ジエン化合物又は水添共役ジエンに由来するモノマーユニットを主体とする重合体ブロックとは、重合体ブロック全量100質量%に対して共役ジエン化合物又は水添共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットを50質量%越含有する共役ジエン化合物又は水添共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体ブロック、及び/又は共役ジエン化合物若しくは水添共役ジエン化合物の重合体ブロックを示す。
共重合体ブロック中の芳香族ビニル化合物は均一に分布していてもよいし、テーパー状に分布していてもよい。また、共重合体ブロックは芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個共存していてもよい。
上記(C1)成分、(C2)成分において、上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
上記(C1)成分、(C2)成分において、上記共役ジエン化合物としては、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。上記(C2)成分は、共役ジエン化合物ブロック中の少なくとも一部が水添された共重合体であってよい。
これらは1種のみならず2種以上混合使用してもよい。
上記ブロック共重合体(C)の具体的な製造方法としては、例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11446号公報に記載された方法等が挙げられる。
上記(C1)成分の製造方法としては、例えば、共役ジエン化合物、及び芳香族ビニル化合物を不活性な炭化水素溶媒中で有機リチウム化合物を開始剤としてアニオン重合することによって重合体溶液として製造する方法等が挙げられる。
上記(C2)成分の製造方法としては、例えば、水添反応(水素添加反応)により、上記(C1)成分の共役ジエン化合物ブロックを、部分的に又は選択的に水添する方法等が挙げられる。
水添反応に使用される触媒としては、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等の担体に担持させた担持型不均一系触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機塩又はアセチルアセトン塩と有機Al等の還元剤とを用いるいわゆるチーグラー型触媒、又はRu、Rh等の有機金属化合物等のいわゆる有機錯触媒等の均一触媒、等が知られている。具体的な方法としては特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報に記載された方法、好ましくは特公昭63−4841号公報及び特公昭63−5401号公報に記載された方法により、不活性触媒中で、水素添加触媒の存在下に水素添加して水添重合体溶液を得ることができる。
上記(C2)成分の水添率は、耐熱劣化性及び耐候性向上の観点から、共役ジエンに基づく脂肪族二重結合を80%以上水添することが好ましく、90%以上水添することがより好ましく、95%以上水添することが更に好ましい。
なお、水添率は核磁気共鳴装置等により測定できる。
上記(C1)成分中の結合芳香族ビニル化合物量は、60〜99.9質量%であり、好ましくは70〜99質量%、より好ましくは75〜98質量%である。
上記(C2)成分中の結合芳香族ビニル化合物量は、60〜99.9質量%であり、好ましくは60〜85質量%、より好ましくは65〜80質量%である。
上記結合芳香族ビニル化合物量は、紫外分光光度計により測定することができる。
ブロック共重合体(C)として、(C1)成分と(C2)成分とを併用して用いる場合、(C1)成分と(C2)成分との質量割合は、(C1)成分と(C2)成分の合計量100質量%に対して、(C1)成分の質量割合は1〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜70質量%、更に好ましくは10〜50質量%である。成形外観改良の観点から、1質量%以上の配合が好ましく、熱安定性の観点から80質量%以下の配合が好ましい。
ブロック共重合体(C)のISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローインデックスとしては、5〜15g/10minであることが好ましく、より好ましくは6〜14g/10min、更に好ましくは7〜13g/10minである。樹脂組成物の十分な成形流動性及び、長期高温エイジング性の観点から、5g/10min以上が好ましく、成形体の成形性、靱性保持の観点から、15g/10min以下が好ましい。
ブロック共重合体(C)の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の質量100質量%に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは5〜20質量%である。長期高温エイジング性及び、十分な成形流動性、靱性付与の観点から、0.5質量%以上であることが好ましく、十分な耐熱性および剛性保持の観点から、30質量%以下であることが好ましい。
また、樹脂組成物が(C)成分を含む場合、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計質量は、高温条件下での長期暴露によって生じる引張強度の低下がより抑制される観点から、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。また、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の合計質量は、100質量%であってもよい。
<酸化防止剤(D)>
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、さらに酸化防止剤(D)を含んでいてもよい。
酸化防止剤(D)は、一種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
上記酸化防止剤(D)は、ラジカル連鎖禁止剤として働く1次酸化防止剤と、過酸化物を分解する効果のある2次酸化防止剤のどちらも使用可能である。すなわち、酸化防止剤を用いることにより、ポリフェニレンエーテルが長時間高温にさらされた際に、末端メチル基又は側鎖メチル基において生じ得るラジカルを捕捉することができ(1次酸化防止剤)、又は当該ラジカルにより末端メチル基又は側鎖メチル基に生じた過酸化物を分解することができ(2次酸化防止剤)、それ故に、ポリフェニレンエーテルの酸化架橋を防止することができる。
1次酸化防止剤としては、主にヒンダードフェノール系酸化防止剤が使用可能であり、具体例は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキレイテッドビスフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシスピロ[5,5]ウンデカン等である。
2次酸化防止剤としては、主にリン系酸化防止剤を使用できる。リン系酸化防止剤の具体例は、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等のホスファイト系の酸化防止剤である。
また、他の酸化防止剤として、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物を上記酸化防止剤と併用して用いることも可能である。
これらのうち、長期高温暴露後のエイジング特性の更なる改良の観点から、2次酸化防止剤であるリン系酸化防止剤が好ましく、ホスファイト系酸化防止剤がより好ましく、下記化学式(3)で表される構造を分子内に有するホスファイト系の酸化防止剤が特に好ましい。
Figure 2019123762
酸化防止剤(D)の含有量としては、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%に対して、0.005〜5質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜3.0質量%、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%である。長期高温エイジング性の更なる改良の観点から、0.005質量%以上であることが好ましく、成形品表面外観保持の観点から、5質量%以下であることが好ましい。
<その他>
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、成形流動性改良の観点から、長期高温エイジング特性を著しく低下させない範囲において、ゼネラルパーパスポリスチレンや耐衝撃ポリスチレン、AS樹脂等のスチレン系樹脂や、(C)成分以外のスチレン系熱可塑性エラストマー、フェノールテルペン樹脂等を含有することが可能である。
これらの成分の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%に対して、1〜30質量%であることが好ましい。当該含有量は、より好ましくは1〜20質量%、更に好ましくは1〜15質量%の範囲である。十分な添加効果発現の観点から1質量%以上の含有が好ましく、十分な長期高温エイジング特性保持の観点から20質量%以下の含有が好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、着色の観点から、更にカーボンブラック、酸化チタン、その他の無機系、有機系の公知の染料、顔料等の着色剤を配合することが可能である。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に使用可能な着色剤としては、本願用途で求められる特性の保持の観点から、カーボンブラックが特に好ましい。樹脂組成物中へのカーボンブラックの配合は、ハンドリング性および樹脂組成物中への分散性改良の観点から、予めポリスチレン中に溶融混練して混ぜ込んだ、所謂マスターバッチを用いることが特に好ましい。
上記着色剤の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%に対して、0.01〜8質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.3〜3質量%、特に好ましくは0.4〜2質量%である。十分な着色性の観点から0.01質量%以上であることが好ましく、成形外観保持の観点から、8質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、更には、樹脂組成物の耐熱性、機械物性並びに成形品の表面外観等を著しく低下させない範囲において、その他の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤等を含有することが可能である。これらの成分の含有量は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%に対して、0.001〜3質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5質量%、さらに好ましくは0.2〜0.5質量%である。上記のその他の添加剤は、十分な添加効果発現の観点から、0.001質量%以上の含有が好ましく、十分な成形品外観および物性保持の観点から、3質量%以下が好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ISO1133に準拠して、温度280℃、荷重5kgで測定したメルトフローインデックス(MI)が、0.5〜50g/10minであることが好ましく、より好ましくは1.0〜40g/10min、更に好ましくは2.0〜30g/10minである。十分な成形流動性の観点から、0.5g/10min以上であることが好ましく、十分な靱性、耐衝撃性、機械物性保持の観点から、50g/10min以下であることが好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、荷重たわみ温度が、150〜210℃であることが好ましく、より好ましくは150〜200℃、さらに好ましくは155〜180℃である。
なお、荷重たわみ温度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、長期高温暴露後の引張強度に優れる。例えば、温度150℃で3000時間のエイジング処理後の引張強度が、60〜100MPaであることが好ましく、より好ましくは65〜95MPaである。
また、エイジング処理前の引張強度に対するエイジング処理後の引張強度の割合(引張強度保持率)(エイジング処理後の引張強度/エイジング処理前の引張強度×100)が、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
なお、エイジング処理前の引張強度、エーシング処理後の引張強度は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、上記(A)成分、上記(B)成分等の原材料を、溶融混練の条件を適宜調節して、溶融混練することにより製造することができる。ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を製造するための上記(A)成分、上記(B)成分及びその他の成分の溶融混練の条件については、樹脂組成物中において、特に制限されるものではないが、本実施形態の所望の効果を十分に発揮し得る樹脂組成物を大量且つ安定的に得るという観点から、スクリュー径25〜90mmの二軸押出機を用いることが好適である。一例として、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270〜330℃、スクリュー回転数150〜700rpm、押出レート150〜600kg/h、及びベント真空度11.0〜1.0kPaの条件で溶融混練する方法が挙げられる。
押出樹脂温度は300〜350℃の範囲内で行なうことが好ましい。押出樹脂温度のより好ましい範囲は300〜340℃であり、更により好ましい範囲は310〜335℃である。押出樹脂温度は、本願用途で求められる効果の十分な発現と押出性の観点から300℃以上が好ましく、350℃以下が好ましい。
本実施の形態に用いるポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を、大型(スクリュー径40〜90mm)の二軸押出機を用いて製造する際に注意すべきは、押出樹脂ペレット中に押出時に生じた、上記(A)成分から生じるゲルや炭化物が混入することで、成形品の表面外観や輝度感を低下させる原因となる場合もある。そこで、上記(A)成分を最上流(トップフィード)の原料投入口から投入して、最上流投入口におけるシューター内部の酸素濃度を8容量%以下に設定しておくことが好ましく、より好ましくは5容量%以下であり、更により好ましくは1容量%以下である。
酸素濃度の調節は、原料貯蔵ホッパー内を十分に窒素置換して、原料貯蔵ホッパーから押出機原料投入口までの、フィードライン中での空気の出入りがないように密閉した上で、窒素フィード量の調節、ガス抜き口の開度を調節することで可能である。
本実施の形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造において、上記(B)成分は、上記(A)成分及び/又はその他の添加剤等の原材料と共に押出機最上流部(トップフィード)から供給されることが好ましい。即ち上記(A)成分及び/又はその他の添加剤等の原材料と共に上記(B)成分が押出機最上流部(トップフィード)から供給されて溶融混練されることで溶融樹脂組成物の溶融粘度が低下すると共に、上記(B)成分の分散性が向上するため、樹脂成分の熱劣化抑制と本願用途で求められる効果の十分な発現の観点から好ましい。
また、本実施の形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の製造において、上記(B)と、上記(A)成分及び/又はその他の添加剤等の原材料とは、事前に高速回転ミキサー等で予め十分に予備混合した後、押出機最上流部(トップフィード)から供給して溶融混練することが本願用途で求められる効果の十分な発現の観点から好ましい。
[成形品]
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる成形品は、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
上記成形品は、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含むことが好ましく、本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物のみからなることがより好ましい。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の成形方法としては、以下に制限されないが、例えば、射出成形、押出成形、真空成形及び圧空成形が好適に挙げられ、特に成形外観及び輝度感の観点から、射出成形がより好適に用いられる。
上記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の成形時の成形温度は、バレル設定最高温度250〜340℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましい範囲は270〜330℃であり、更により好ましくは280〜320℃である。十分な成形加工性の観点から、成形温度は、250℃以上が好ましく、樹脂の熱劣化抑制の観点から、340℃以下が好ましい。
成形時の金型温度は、40〜170℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましくは80〜150℃であり、更により好ましくは80〜130℃の範囲内である。十分な成形品外観保持の観点から、金型温度は、40℃以上が好ましく、成形安定性の観点から170℃以下であることが好ましい。
本実施形態の成形品は、高温条件下での長期暴露によって生じる引張強度の低下が従来に無いレベルで抑制されることから、高温条件下で使用されるプロジェクターや各種証明器具等の家電OA機器部品や、電機電子機器、自動車用途、各種工業用製品等に使用される加飾成形部品等に好適に用いることができる。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに制限されるものではない。実施例及び比較例に用いた物性の測定方法及び原材料を以下に示す。
(評価)
1.メルトフローインデックス
実施例3〜8及び比較例3〜6で得られた樹脂組成物のペレットを90℃の熱風乾燥機内で3時間乾燥後、ISO1133に準拠し、設定温度280℃、荷重5kgの条件でメルトフローインデックス(g/10min)を測定した。
2.荷重たわみ温度
実施例1〜8及び比較例1〜6で得られた樹脂組成物のペレットを、100℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(IS−80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度320℃、金型温度90℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片(エイジング引張試験用)を成形した。更に、得られた多目的試験片A型のダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの成形片(DTUL測定試験用)を作製した。
上記で得られたDTUL測定用試験片を用いて、ISO75に準拠し、フラットワイズ法、0.45MPaで荷重たわみ温度(DTUL)(℃)を測定した。
3.150℃エイジング後の引張強度
上記で得られた多目的試験片A型のダンベル成形片5本をエイジング前の試料(ブランク、0hr)とした。また、別に、5本を150℃に設定した熱風オーブン中に入れて、3000時間経過した後に取り出して、いずれも温度23℃、湿度50%の環境下で24時間放置し、3000時間エイジング後の試験片とした。ISO527に準拠し、各試験片の引張強度(MPa)を測定した。
評価基準としては、ブランクの測定値に対して、3000時間エイジング後における測定値の低下の度合が小さいほど、エイジング特性に優れていると判定した。特に3000時間後の引張強度保持率が90%以上の場合に本実施形態の樹脂組成物として望ましく、95%以上の場合、特に望ましいと判定した。
[原材料]
<ポリフェニレンエーテル(A)>
(A−1)
還元粘度0.38dL/g(0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度計で測定)、数平均分子量15300、100ユニットあたりの末端OH基:0.72個、100ユニットあたりのN,N−ジブチルアミノメチル基:0.43個のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)粉体(PPE−1)を溶液重合により作製した。
上記の粉体を99.5質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)0.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練してペレット(A−1)を得た(以下、「A−1」ということもある)。
この(A−1)をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRにて同定することができ、キャッピング化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(7)、(8)の構造を合わせて0.13個含むことを確認した。
Figure 2019123762
Figure 2019123762
ポリフェニレンエーテルの31P−NMR及び1H−NMRの測定は、上記の条件で行った。
31P−NMR 測定条件
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
1H−NMR 測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :1
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single−Plus
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
(A−2)
上記の(PPE−1)を99.0質量部と、ホスホン酸ジオクチル(城北化学製)1.0質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練してペレット(A−2)を得た(以下、「A−2」ということもある)。
この(A−2)をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRで同定することができ、キャッピング化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
Figure 2019123762
Figure 2019123762
<縮合型リン酸エステル系化合物(B)>
(B−1)
ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート(常温(23℃)で液体性状。商品名:CR741〔登録商標〕、大八化学社製)(以下、「B−1」ということもある)を用いた。
(B−2)
下記の化学式(11)で表される化合物(常温(23℃)で固体性状。商品名:PX−200〔登録商標〕、大八化学社製)(以下、「B−2」ということもある)を用いた。
Figure 2019123762
<ブロック共重合体(C)>
(C−1)
結合スチレン量98質量%の、三型タイプのポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロックのブロック共重合体(C−1)(以下、「C−1」ということもある)を用いた。ISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgの条件でメルトフローインデックスを測定したところ、9.1g/10minであった。
(C−2)
結合スチレン量65質量%で、ポリブタジエンブロック部分の水素添加率が98%の、四型タイプのポリスチレンブロック−水添ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロック−水添ポリブタジエンブロックの水添ブロック共重合体(C−2)(以下、「C−2」ということもある)を用いた。ISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgの条件でメルトフローインデックスを測定したところ、8.3g/10minであった。
<酸化防止剤(D)>
(D−1)
リン系酸化防止剤(化学名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、アデカ社製、商品名:アデカスタブPEP−36〔登録商標〕)(以下、「D−1」ということもある)を用いた。
<その他の原材料>
(GPPS)
ISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローインデックスが8.3g/10minのゼネラルパーパスポリスチレン(以下、「GPPS」ということもある)を用いた。
(HIPS)
ペトロケミカルズ社製の耐衝撃ポリスチレン、CT60(以下、「HIPS」ということもある)を用いた。
[比較例1]
(A−1)100質量部からなる樹脂組成物を作製した。物性評価結果を下記表1に示す。
[比較例2]
上記(A−1)の作製に用いた、還元粘度0.38dL/g(0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度計で測定)、数平均分子量15300、100ユニットあたりの末端OH基:0.72個、100ユニットあたりのN,N−ジブチルアミノメチル基:0.43個のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)粉体(PPE−1)99質量部と(B−1)1質量部とを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[実施例1]
(A−1)99質量部と(B−1)1質量部とを、比較例2に記載の二軸押出機の最上流部(トップフィード)から供給して、比較例2と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[実施例2]
上記(B−1)を(B−2)に置き換えた以外は、実施例1と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[実施例3]
上記(A−1)98質量部、(B−2)2質量部に組成を変えた以外は、実施例2と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[比較例3]
(A−1)82質量部と、(GPPS)10質量部と、(HIPS)8質量部とを、比較例2に記載の二軸押出機の最上流部(トップフィード)から供給して、比較例2と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[比較例4]
(A−1)82質量部と、(C−1)10質量部と、(C−2)8質量部とを、比較例2に記載の二軸押出機の最上流部(トップフィード)から供給して、比較例2と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[実施例4]
(A−1)86.5質量部と、(B−2)3.5質量部と、(C−1)5質量部と、(C−2)5質量部とを、比較例2に記載の二軸押出機の最上流部(トップフィード)から供給して、比較例2と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[実施例5]
上記(C−1)5質量部の内の0.5質量部を(D−1)に置き換えた以外は、実施例4と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[実施例6]
上記(A−1)を(A−2)に置き換えた以外は、実施例5と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[比較例5]
上記(A−2)を(PPE−1)に置き換えた以外は、実施例6と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[実施例7]
(A−1)67.5質量部と、(B−2)5質量部と、(C−1)20質量部と、(D−1)0.5質量部と、(GPPS)7質量部とを、比較例2に記載の二軸押出機の最上流部(トップフィード)から供給して、比較例2と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[実施例8]
上記(C−1)を(C−2)に置き換えた以外は、実施例7と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
[比較例6]
(A−1)65質量部と、(C−1)20質量部と、(D−1)0.5質量部と、(GPPS)14.5質量部とを、比較例2に記載の二軸押出機の最上流部(トップフィード)から供給して、比較例2と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性評価結果を下記表1に示す。
Figure 2019123762
表1に示すように、比較例1〜6の樹脂組成物は、いずれも本願のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物とは組成が異なるため、エイジング後の引張強度が低下した。
一方、実施例1〜8の樹脂組成物は、エイジング後の引張強度が良好であった。
本発明の樹脂組成物は、高温条件下での長期暴露(エイジング)によって生じる引張強度の低下が抑制され、従来に無い卓越した長期高温エイジング後の引張強度を有することから、高温条件下で使用されるプロジェクターや各種照明器具等の家電OA機器成形品の部品や、電機電子機器、自動車用途、各種工業製品等の加飾成形品の部品等に良好に利用可能である。

Claims (10)

  1. 下記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のモノマーユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)と、縮合型リン酸エステル系化合物(B)とを含有し、
    前記(A)成分と前記(B)成分との合計質量100質量%に対して、前記(A)成分の含有割合が70〜99.5質量%、前記(B)成分の含有割合が0.5〜30質量%である、ことを特徴とするポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    Figure 2019123762
    Figure 2019123762
    (化学式(1)及び(2)中、R1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基を表す。)
  2. 前記(A)成分が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの前記化学式(1)及び(2)で表される構造のモノマーユニットの合計数が0.05〜10個のポリフェニレンエーテルである、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  3. 更に、芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットと共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットとを含み結合芳香族ビニル化合物化合物量が60〜99.9質量%であるブロック共重合体(C1)、及び芳香族ビニル化合物に由来するモノマーユニットと水添共役ジエン化合物に由来するモノマーユニットとを含み結合芳香族ビニル化合物量が60〜99.9質量%であるブロック共重合体(C2)からなる群から選ばれる少なくとも一種のブロック共重合体(C)を含有する、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  4. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中、前記(C)成分を0.5〜30質量%含有する、請求項3に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  5. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分の合計質量が80質量%以上である、請求項3又は4に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  6. 更に、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物100質量%中、酸化防止剤(D)を0.005〜5質量%含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  7. 前記(D)成分が、下記化学式(3)で表される構造を分子内に有するホスファイト系酸化防止剤である、請求項6に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    Figure 2019123762
  8. 前記(B)成分が、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェートを含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  9. 前記(B)成分が、下記化学式(4)で表される化合物を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    Figure 2019123762
    (化学式(4)中、R1〜R4は、2,6−キシリル基を表し、nは1〜3を表す。)
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる成形品。
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