JP7364340B2 - 黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
近年、このような用途に使用される部品において、市場からより薄肉軽量で、かつ、無塗装で使用可能な高外観の黒色成形体を成形できる樹脂材料が要求される場合が少なくない。
更には、成形体を黒色に着色するためにカーボンブラックを配合するが、樹脂組成物中でカーボンブラックの分散性が必ずしも十分ではないため、成形外観の更なる低下や、物性(靱性等)の低下も見られた。
一方、特許文献2に記載の技術は、押出加工時の樹脂の変色を抑制するための技術であり、本願のような黒色組成物における外観改良と靱性の付与に関する技術とは異なるものである。
[1]
末端基及び側鎖基の少なくとも一部がキャッピング化合物でキャッピングされたポリフェニレンエーテル(A)と、ポリスチレン(B)と、結合芳香族ビニル化合物量が62~75質量%の芳香族ビニル化合物と共重合後に水添された共役ジエン化合物とのブロック共重合体(C)と、カーボンブラック(D)とを含有する樹脂組成物であり、
前記キャッピング化合物は、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、ホスホン酸ジオクチル、無水マレイン酸、及びステアリルアクリレートからなる群から選ばれるいずれかであり、
前記(A)、(B)、及び(C)成分の合計質量を100質量%とした場合に、前記(A)成分が30~90質量%、前記(B)成分が4~45質量%、前記(C)成分が6~25質量%であり、前記樹脂組成物を100質量%としたときの前記(D)成分の含有量が0.06~0.40質量%であり、さらに前記樹脂組成物を100質量%とした場合に、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が95質量%以上であることを特徴とする、黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[2]
前記樹脂組成物をISO3167の多目的試験片A型のダンベル成形片に成形して、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minで測定した引張伸度が5%以上である、[1]に記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[3]
前記(A)成分が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記キャッピング化合物が反応した構造のユニットを0.05~10個含有する、[1]又は[2]に記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[4]
前記(D)成分の平均一次粒子径が10~35nmである、[1]~[3]のいずれかに記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[5]
樹脂組成物を100質量%としたときの前記(D)成分の含有量が、0.10~0.30質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[6]
前記樹脂組成物をISO3167の多目的試験片A型のダンベル成形片に成形して、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minで測定した引張伸度が10~50%である、[1]~[5]のいずれかに記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[7]
前記樹脂組成物をISO3167の多目的試験片A型のダンベル成形片に成形して、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minで測定した引張強度が65MPa以上である、[1]~[6]のいずれかに記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
本実施の形態に係る黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、末端基及び側鎖基の少なくとも一部がキャッピング化合物でキャッピングされたポリフェニレンエーテル(A)と、ポリスチレン(B)と、結合芳香族ビニル化合物量が62~75質量%の芳香族ビニル化合物と水添共役ジエン化合物とのブロック共重合体(C)と、カーボンブラック(D)とを含有し、前記(A)、(B)、及び(C)成分の合計質量を100質量%とした場合に、前記(A)成分が30~90質量%、前記(B)成分が4~45質量%、前記(C)成分が6~25質量%であり、前記樹脂組成物を100質量%としたときの前記(D)成分の含有量が0.06~0.40質量%であることを特徴とする、黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、である。
本実施の形態に用いるポリフェニレンエーテル(A)(本明細書において、単に「(A)成分」と称する場合がある)は、ポリフェニレンエーテル鎖の末端基及び側鎖基の少なくとも一部がキャッピング化合物でキャッピングされたポリフェニレンエーテル、具体的には、ポリフェニレンエーテルの末端基及び側鎖基の少なくとも一部にキャッピング化合物が共有結合で付加されたポリフェニレンエーテル、より具体的には、ポリフェニレンエーテルのベンジル位の炭素原子や末端水酸基の酸素原子にキャッピング化合物が共有結合で付加されたポリフェニレンエーテルである。
本実施の形態に用いるポリフェニレンエーテル(A)は、下記式(I)及び/又は(II)で表わされる繰り返し単位(構造のユニット)を有する、単独重合体(ホモポリマー)或いは共重合体(コポリマー)であるポリフェニレンエーテルの末端基及び側鎖基の少なくとも一部をキャッピング化合物でキャッピングすることで得られる。
なお、ポリフェニレンエーテルの末端水酸基濃度は、NMR測定により算出することができ、例えば、実施例に記載の方法が挙げられる。
本実施の形態のポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテルの被酸化部位である末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基を、所定の分子で置換された状態にした後にキャッピング化合物でキャッピングすること等で得られる。キャッピングにより末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基の架橋反応が著しく抑制されることで、高温高せん断条件下での成形における熱架橋物(ゲル)による成形外観の低下が防止されると共に、カーボンブラックとの混和性も改善されることがわかり、従来の黒色樹脂組成物では得られなかった良好な成形外観の成形体が得られることが明らかとなった。ここで、被酸化部位のラジカル発生能は、側鎖メチル基に比べ、末端メチル基、末端水酸基の方が大きいため、キャッピング化合物によるキャッピングは、末端により多く行うことが好ましい。
アリール基としては、炭素数6~20、好適には炭素数6~14の;芳香族炭化水素基又は複素芳香族基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等の芳香族炭化水素基;イミダゾール基、ピラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラジン基、ピリジル基、キノリン基、イソキノリン基等の複素芳香族基が挙げられ、フェニル基、ピリジル基が好ましい。
アルコキシ基、エステル基、アミド基としては、炭素数1~50、好適には炭素数1~30の;直鎖状、分岐状、又は環状の、好適には直鎖状、又は環状の;置換又は非置換の炭化水素基を有するものが挙げられる。
式(iv)におけるR1~R3は、これらのうち複数(例えば、2つ、3つ)の基において、それらに含まれる原子が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
また、本実施形態で好適に用いられるポリフェニレンエーテル(A)としては、式(i)及び/又は式(ii)において、Zが、-P(=O)(OR1)(OR2)であり、ここで、R1が、オクチル基であり、R2が、オクチル基であるもの、が挙げられる。
更に、本実施形態で好適に用いられるポリフェニレンエーテル(A)としては、式(i)及び/又は式(ii)において、Zが、-S(=O)(=O)(R1)であり、ここで、R1が、メチル基であるもの、が挙げられる。
更に、本実施形態で好適に用いられるポリフェニレンエーテル(A)としては、式(iii)において、Zが、-C(=O)(R1)であり、ここで、R1が、ピリジル基であるもの、が挙げられる。
更に、本実施形態で好適に用いられるポリフェニレンエーテル(A)としては、式(iii)において、Zが、-S(=O)(=O)(R1)であり、ここで、R1が、フェニル基であるもの、が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6~20、好適には炭素数6~14の;芳香族炭化水素基又は複素芳香族基が挙げられ、具体的には、フェニル基、ナフチル基、ピレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等の芳香族炭化水素基;イミダゾール基、ピラゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、ピラジン基、ピリジル基、キノリン基、イソキノリン基等の複素芳香族基が挙げられ、フェニル基、ピリジル基が好ましい。
アルコキシ基、エステル基、アミド基としては、炭素数1~50、好適には炭素数1~30の;直鎖状、分岐状、又は環状の、好適には鎖状又は環状の;置換又は非置換の炭化水素基を有するものが挙げられる。
式(vii)中のR6又はR7と式(ix)中のR8又はR9は、これらのうち複数(例えば、2つ、3つ、4つ)の基において、それらに含まれる原子が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
本実施形態で好適に用いられるポリフェニレンエーテル(A)としては、式(vii)において、Wが、-C(R10)(R11)-であり、ここで、R4、R5、R6、R7、R10が、水素原子であり、R11が、フェニル基であるもの、が挙げられる。
本実施形態で好適に用いられるポリフェニレンエーテル(A)としては、式(vii)において、Wが、-C(R10)(R11)-であり、ここで、R4、R5、R6、R11が、水素原子であり、R7が、カルボキシル基であり、R10が、カルボキシル基であり、R7とR10とが酸無水物を形成しているもの、が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル(A)は、既に公知の重合方法によって合成された通常のポリフェニレンエーテルの重合粉体を広く用いることが可能である。
中でも、下記の化学式(4)、(5)で表される、末端基及び側鎖基を有する構造のユニットを有する前駆体ポリフェニレンエーテルを用いることが効率の面から好ましい。前駆体ポリフェニレンエーテルが下記の化学式(4)及び/又は(5)の構造のユニットを有することにより、十分に効率よく本実施の形態のポリフェニレンエーテル(A)を得ることができる(具体的には、ポリフェニレンエーテル(A)を製造するにあたって、前駆体ポリフェニレンエーテルを経由することにより、化学式(4)、(5)の構造中のCH2-Y部分が選択的に開裂してキャッピング化合物との置換反応が生じるので、本実施の形態のポリフェニレンエーテル(A)を十分に効率よく得ることができる)。
なお、本実施の形態において、還元粘度は、クロロホルム溶媒を用いて30℃で0.5g/dL溶液で測定し得られた値である。
ここで、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnとは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算分子量から得られるものである。
本実施の形態の樹脂組成物に用いられるポリスチレン(B)(本明細書において、単に「(B)成分」と称する場合がある)は、スチレンを、ゴム質重合体の存在下又は非存在下に重合して得られる重合体である。
ポリスチレン(B)としては、ゴム強化されていないポリスチレンが、成形品の表面外観の観点から好ましい。
本実施の形態に用いられる、結合芳香族ビニル化合物量が62~75質量%の芳香族ビニル化合物と水添共役ジエン化合物とのブロック共重合体(C)(本明細書において、単に「(C)成分」と称する場合がある)について説明する。
A-(B-A)n、A-(B-A)n-B
B-(A-B)n+1、(A-B)n
(上式において、Aは、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックであり、Bは、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックである。ここで、AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは、1以上の整数であり、一般的には1~5である。)で表される線状ブロック共重合体、或いは、下記の一般式:
〔(A-B)k〕m+2-X、〔(A-B)k-A〕m+2-X
〔(B-A)k〕m+2-X、〔(B-A)k-B〕m+2-X
(上式において、A及びBは前記と同じであり、k及びmは、それぞれ1以上の整数であり、一般的には1~5である。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ、エポキシ化大豆油等のポリエポキサイド、ポリハロゲン化炭化水素、カルボン酸エステル、多塩基酸エステル、多塩基酸無水物、多官能イソシアネート、多官能アルデヒド、多官能ケトン、ポリビニル芳香族化合物等のカップリング剤の残基、又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。)で表されるブロック共重合体として得られる。
共重合体ブロック中の芳香族ビニル化合物は、均一に分布していても、又はテーパー状に分布していてもよい。又、該共重合体部分は芳香族ビニル化合物が均一に分布している部分、及び/又は、芳香族ビニル化合物がテーパー状に分布している部分が、それぞれ複数個共存していてもよい。
本発明の水添反応の水添率(水素添加率)は、任意に選択することができるが、耐熱劣化性及び耐候性向上の観点から、共役ジエンに基づく脂肪族二重結合を、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上水添することである。
尚、水添率は核磁気共鳴装置等により測定できる。
具体的な方法としては特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報に記載された方法、好ましくは特公昭63-4841号公報及び特公昭63-5401号公報に記載された方法により、不活性触媒中で水素添加反応触媒の存在下で水素添加して水添重合体溶液を得る方法が挙げられる。
本実施の形態の樹脂組成物に用いられるカーボンブラック(D)(本明細書において、単に「(D)成分」と称する場合がある)は、本実施の形態の樹脂組成物に黒色の着色(漆黒性、遮光性)を付与すると共に、薄肉成形時に成形品ウェルド部に生じる樹脂本来の色むらの隠蔽、更には、成形品の靱性を改良するための成分として配合される。
尚、カーボンブラック(D)の平均一次粒子径は、ASTM D3849(カーボンブラックの標準試験法-電子顕微鏡法による形態的特徴付け)に記載の手順によりアグリゲート拡大画像を取得し、このアグリゲート画像から単位構成粒子として3000個の粒子径を測定して、算術平均して得られるである。
本実施の形態の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、更には、樹脂組成物の耐熱性、機械物性並びに成形品の表面外観等を著しく低下させない範囲において、その他の樹脂を含有してもよい。
その他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-オクテン共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルメタクリレート共重合体等のポリオレフィン系共重合体や、ポリアミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン等が挙げられる。
その他の樹脂の合計含有量は、十分な成形品外観及び物性保持の観点から、樹脂組成物100質量%に対して5質量%未満であることが好ましい。その他の樹脂成分の合計含有量の上限は、例えば、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%のいずれであってもよく、下限は、0質量%、0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%のいずれであってもよい。
本実施の形態の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、更には、樹脂組成物の耐熱性及び機械物性、並びに成形品の表面外観等を著しく低下させない範囲において、上記その他の樹脂以外のその他の添加剤として、酸化防止剤、滑剤、離型剤等を含有してもよい。
その他の添加剤の、各々の含有量としては、樹脂組成物100質量%に対して、0.001~2質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01~1質量部%であり、更に好ましくは0.05~0.5質量%である。十分な添加効果発現の観点から、上記のその他の添加剤は、0.001質量%以上の含有が好ましく、十分な成形品外観及び物性保持の観点から2質量%以下の含有が好ましい。
本実施の形態の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ISO1133に準拠して、温度280℃、荷重10kgで測定したメルトフローインデックス(MI)の値が、10~80g/10minであることが好ましい。十分な成形流動性の観点から10g/10min以上であることが好ましく、十分な靱性、耐衝撃性、機械物性保持の観点から、80g/10min以下であることが好ましい。
本実施の形態の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、前記(A)、(B)、(C)、(D)成分、及びその他の樹脂等の原材料を、溶融混練の条件を適宜調節して、溶融混練することにより製造することができる。
前記樹脂組成物を製造するための前記(A)、(B)、(C)、(D)成分、及びその他の樹脂等の溶融混練の条件については、樹脂組成物中において、特に制限されるものではないが、本実施の形態の所望の効果を十分に発揮し得る樹脂組成物を大量且つ安定的に得るという観点から、スクリュー径25~90mmの二軸押出機を用いることが好適である。
ここで、前記(B)成分の供給位置は、押出機のバレル全長を100%として、最上流の原料投入口(第一原料供給口)から40~80%離れた位置であることが好ましく、45~75%の位置がより好ましく、50~70%の位置が更に好ましい。上記供給位置は、前記(B)成分の熱劣化抑制の観点から、40%以上が好ましく、前記(A)成分と前記(B)成分との十分な溶融混練の観点から、80%以下であることが好ましい。
本実施の形態の、黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物からなる成形品は、上述の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
後述の実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを、120℃の熱風乾燥機中で4時間乾燥した後、金型表面を#5000で磨き上げた寸法120mm×120mm×1mm厚みの両端フィルムゲート鏡面金型を備え付けた射出成形機(IS-100GN、東芝機械社製)により、シリンダー温度330℃、金型温度120℃、射出圧力(ゲージ圧)100MPa、射出速度(パネル設定値)90%で成形して外観評価用平板を得た。
1.ウェルド部の色むらの評価(目視判定)
上記で得られた外観評価用平板を、蛍光灯照明下で、1.5メートル離れた距離から観察して、ウェルド部色むら評価を目視で判定した。ウェルド部の色むらが認められたものを×、認められなかったものを○と判定した。
評価基準としては、○であるものが、成形ウェルド部の色むらが隠蔽されて目立ちにくく外観が良好で、本願樹脂組成物として好適に使用可能と評価した。
上記で得られた外観評価用平板を、光照射中のプロジェクター(機種:インテリジェントプロジェクタiP-750〔日本アビオニクス社製〕、最大輝度4500ルーメン)の照射光レンズ前面を覆うように設置して、光の透過の有無を目視で判定した。平板から透けて光が認められるものを×、光の透過が認められないものを○と判定した。
評価基準としては、○の判定のものが、漆黒性が良好で、本願樹脂組成物として好適に使用可能と評価した。
上記で得られた外観評価用平板のウェルド部周辺の微細なブツの有無を、水銀灯照明下で、目視で判定した。微細なブツが認められるものを×、認められないものを○と判定した。
評価基準としては、○の判定のものが、外観が良好で、本願樹脂組成物として好適に使用可能と評価した。
実施例及び比較例で得られた樹脂組成物のペレットを、120℃の熱風乾燥機中で4時間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物を、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度320℃、金型温度120℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片を成形した。得られたダンベル成形片について、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minの条件で、引張伸度(引張呼び歪み)(%)を23℃で測定した。ダンベル成形片5本について測定し、その平均値を求めた。
評価基準としては、引張伸度が高い値であるほど靱性に優れていると判定し、測定値が5%以上の場合に、本願樹脂組成物として好ましいと評価した。
上記の4.と同様に成形して得られたダンベル成形片について、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minの条件で、引張強度(MPa)を23℃で測定した。ダンベル成形片5本について測定し、その平均値を求めた。
評価基準としては、引張強度の測定値が65MPa以上の場合に、本願樹脂組成物として好ましいと評価した。
<ポリフェニレンエーテル(A)>
(A-1)
還元粘度0.38dL/g(0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ粘度計で測定)、数平均分子量15300、100ユニットあたりの末端OH基:0.72個、100ユニットあたりのN,N-ジブチルアミノメチル基:0.43個のポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)粉体(PPE-1)を溶液重合により作製した。
上記の(PPE-1)を99.5質量部と、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(株式会社三光製)0.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して、ペレット(A-1)を得た(以下、「A-1」ということもある)。
この(A-1)をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテル(A-1)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P-NMR(single plus法)及び1H-NMRにて同定することができ、キャッピング化合物のメチル基への付加量は、1H-NMRの2.8~3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0~7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(6)、(7)の構造を合わせて0.13個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基にキャッピング化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(8)の構造を0.03個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのキャッピング化合物の付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])}・・・(2)
また、化学式(7)に対する化学式(6)の割合は、31P-NMRにて、化学式(7)由来の38~42ppmのピークの積分値に対する、化学式(6)由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することにより求められ、27モル%であることが分かった。
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31P
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
1H-NMR 測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :1H
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single-Plus
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
装置 :Bruker Biospin Avance 600
観測核 :13C
観測周波数 :150.9MHz
測定法 :逆ゲートデカップリング法
パルス幅 :30°
待ち時間 :10秒
積算回数 :2,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:TMS 0ppm
以下、ポリフェニレンエーテルの31P-NMR、1H-NMR、13C-NMRの測定は、上記の条件で行った。
上記の(PPE-1)を99.0質量部と、ホスホン酸ジオクチル(城北化学製)1.0質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して、ペレット(A-2)を得た(以下、「A-2」ということもある)。
この(A-2)をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテル(A-2)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P-NMR(single plus法)及び1H-NMRで同定することができ、キャッピング化合物の付加量は、1H-NMRの2.8~3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0~7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、13C-NMRにて同定することができ、キャッピング化合物の付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基にキャッピング化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(11)の構造を0.25個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(10)に対する化学式(9)の割合は、31P-NMRにて、化学式(10)由来の38~42ppmのピークの積分値に対する、化学式(9)由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することにより求められ、25モル%であることが分かった。
上記の(PPE-1)97質量部と、無水マレイン酸3質量部とを、タンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK25押出機)の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpm、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して、ペレット(A-3)を得た(以下、「A-3」ということもある)。
この(A-3)をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテル(A-3)のパウダーを得た。得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、1H-NMRで同定することができ、1H-NMRの2.5~4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0~7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニット当たり、化学式(12)の構造を0.3個有することを確認した。
上記の(PPE-1)98.5質量部と、ステアリルアクリレート(東京化成社製)1.5質量部とを、タンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製ZSK25押出機)の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpm、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して、ペレット(A-4)を得た(以下、「A-4」ということもある)。
この(A-4)をクロロホルムに溶解した後、精製水を添加し、分液操作で有機層と水層とに分離して、有機層を回収した。この有機層をメタノールで再沈して、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテル(A-4)のパウダーを得た。得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、1H-NMRで同定することができ、1H-NMRの2.5~4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0~7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニット当たり、化学式(13)の構造を0.4個有することを確認した。
(B-1)
ISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローインデックスが7.0g/10minのゼネラルパーパスポリスチレン(以下、「B-1」ということもある)を用いた。
(C-1)
結合スチレン量67質量%で、ポリブタジエンブロック部分の水素添加率が98%の、ポリスチレンブロック-水添ポリブタジエンブロック-ポリスチレンブロックの構造を有して、ISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローインデックスが8.3g/10minの、三型タイプの水添ブロック共重合体(C-1)(以下、「C-1」ということもある)を用いた。
(C-2)
結合スチレン量62質量%で、ポリブタジエンブロック部分の水素添加率が98%の、ポリスチレンブロック-水添ポリブタジエンブロック-ポリスチレンブロック-水添ポリブタジエンブロックの構造を有して、ISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローインデックスが4.2g/10minの、四型タイプの水添ブロック共重合体(C-2)(以下、「C-2」ということもある)を用いた。
(C-3)
結合スチレン量75質量%で、ポリブタジエンブロック部分の水素添加率が98%の、ポリスチレンブロック-水添ポリブタジエンブロック-ポリスチレンブロック-水添ポリブタジエンブロックの構造を有して、ISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローインデックスが10.5g/10minの、四型タイプの水添ブロック共重合体(C-3)(以下、「C-3」ということもある)を用いた。
(D-1)
平均一次粒子径16nmのカーボンブラック(以下、「D-1」ということもある)を用いた。
(D-2)
平均一次粒子径30nmのカーボンブラック(以下、「D-2」ということもある)を用いた。
(SEBS-1)
結合スチレン量60質量%で、ポリブタジエンブロック部分の水素添加率が98%の、ポリスチレンブロック-水添ポリブタジエンブロック-ポリスチレンブロックの構造を有して、ISO1133に準拠し、温度200℃、荷重5kgで測定したメルトフローインデックスが8.3g/10minの、三型タイプの水添ブロック共重合体(SEBS-1)(以下、「SEBS-1」ということもある)を用いた。
(PPE-1)68質量%と、(C-1)12質量%と、(D-1)0.3質量%とを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、(B-1)19.7質量%を、バレル8に設置した第二原料供給口(サイドフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度3.8容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度330℃、の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
前記(PPE-1)を(A-1)に置き換えた以外は、比較例1と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
前記(D-1)を(D-2)に置き換えて、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度が3.6容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が328℃であった以外は、実施例1と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
前記(A-1)を(A-2)に置き換えて、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度が3.7容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が328℃であった以外は、実施例1と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
前記(A-1)を(A-3)に置き換えて、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度が3.5容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が332℃であった以外は、実施例1と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
前記(A-1)を(A-4)に置き換えて、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度が3.5容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が332℃であった以外は、実施例1と同様の条件で樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
(A-3)92質量%と、(B-1)2.7質量%と、(C-1)5質量%と、(D-1)0.3質量%とを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度3.8容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度346℃、の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
(A-3)25質量%と、(C-1)25質量%と、(D-1)0.3質量%とを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、(B-1)49.7質量%を、バレル8に設置した第二原料供給口(サイドフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度2.7容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度284℃、の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
(A-1)82質量%と、(C-1)7質量%と、(D-2)0.2質量%とを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、(B-1)10.8質量%を、バレル8に設置した第二原料供給口(サイドフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度4.0容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度336℃、の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
実施例6の、(B-1)10.8質量%を10.9質量%に増やし、(D-2)0.2質量%を0.1質量%に減らし、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が335℃であった以外は、実施例6と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
実施例6の、(B-1)10.8質量%を10.95質量%に増やし、(D-2)0.2質量%を0.05質量%に減らし、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が335℃であった以外は、実施例6と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
実施例6の、(B-1)10.8質量%を11質量%に増やし、(D-2)0.2質量%を抜き、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度が3.9容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が332℃であった以外は、実施例6と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
実施例6の、(B-1)10.8質量%を10.5質量%に減らし、(D-2)0.2質量%を0.5質量%に増やし、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度が3.9容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が332℃であった以外は、実施例6と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
(A-1)45質量%と、(C-1)22質量%と、(D-1)0.4質量%とを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、(B-1)32.6質量%を、バレル8に設置した第二原料供給口(サイドフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度2.3容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度310℃、の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
実施例8の、(B-1)32.6質量%を26.6質量%に減らし、(C-1)22質量%を28質量%に増やし、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度が2.2容量%であった以外は、実施例8と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
実施例8の、(B-1)32.6質量%を49.6質量%に増やし、(C-1)22質量%を5質量%に減らし、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度が2.2容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が304℃であった以外は、実施例8と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
(A-1)68質量%と、(C-2)12質量%と、(D-2)0.3質量%とを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、(B-1)19.7質量%を、バレル8に設置した第二原料供給口(サイドフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度3.7容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度328℃、の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
(A-1)68質量%と、(C-3)12質量%と、(D-2)0.3質量%とを、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流の第一原料供給口(トップフィード)から供給して、(B-1)19.7質量%を、バレル8に設置した第二原料供給口(サイドフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数450rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)、トップフィード部集合ホッパー内部の酸素濃度3.7容量%、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度326℃、の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
前記(C-3)を(SEBS-1)に置き換えて、押出機ノズル出口で測定した押出樹脂温度が330℃であった以外は、実施例10と同様の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を含有してなる成形品の評価結果を下記表1に示す。
実施例1~10の樹脂組成物は、いずれも(A)成分及び(B)成分の組成が本願の請求範囲内であるため、成形品ウェルド部周辺のブツが著しく抑制されて、色むら隠蔽性と遮光性も十分に付与されており、また靱性も良好な結果であることから本願において十分良好に使用可能である。
比較例2の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の組成が本願の請求範囲外であり、特に、(A)成分の配合量が本願規定の上限を超えるため、押出時の樹脂温度が高めになったためか、成形品のウェルド部周辺のブツが認められ、本願での使用は困難であると判定された。
比較例3の樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分の組成が本願の請求範囲外であり、(A)成分の配合量が本願規定の下限を下回り、(B)成分の配合量が本願規定の上限を超えるため、結果として成形品ウェルド部周辺の色むらが十分に隠蔽されず、また靱性も十分ではなく、本願における使用は困難であると判定された。
比較例4の樹脂組成物は、(D)成分の含有量が本願の請求範囲の下限値を下回るため、成形品ウェルド部周辺の色むら隠蔽と漆黒性(遮光性)が十分ではなく、本願における使用は困難であると判定された。
比較例5の樹脂組成物は、(D)成分が配合されていないため、成形品ウェルド部周辺の色むら隠蔽と漆黒性(遮光性)が十分ではなく、更に靱性も十分で無いため、本願における使用は困難であると判定された。
比較例6の樹脂組成物は、(D)成分の含有量が本願の請求範囲の上限を上回っているため、結果として成形品ウェルド部周辺のブツが認められて、本願における使用は困難であると判定された。
比較例7の樹脂組成物は、(C)成分の配合量が本願の請求範囲の上限を上回っているため、結果として成形品ウェルド部周辺の色むら隠蔽が十分で無く、本願における使用は困難であると判定された。
比較例8の樹脂組成物は、(B)成分の配合量が本願の請求範囲の上限を上回り、(C)成分の配合量が本願の請求範囲の下限を下回っているため、結果として靱性が十分で無く、本願における使用は困難であると判定された。
比較例9の樹脂組成物は、ブロック共重合体成分の結合スチレン量が(C)成分の請求範囲の下限を下回る水添ブロック共重合体を使用したため、成形品ウェルド部周辺のブツが認められて、本願における使用は困難であると判定された。
Claims (7)
- 末端基及び側鎖基の少なくとも一部がキャッピング化合物でキャッピングされたポリフェニレンエーテル(A)と、ポリスチレン(B)と、結合芳香族ビニル化合物量が62~75質量%の芳香族ビニル化合物と共重合後に水添された共役ジエン化合物とのブロック共重合体(C)と、カーボンブラック(D)とを含有する樹脂組成物であり、
前記キャッピング化合物は、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、ホスホン酸ジオクチル、無水マレイン酸、及びステアリルアクリレートからなる群から選ばれるいずれかであり、
前記(A)、(B)、及び(C)成分の合計質量を100質量%とした場合に、前記(A)成分が30~90質量%、前記(B)成分が4~45質量%、前記(C)成分が6~25質量%であり、前記樹脂組成物を100質量%としたときの前記(D)成分の含有量が0.06~0.40質量%であり、さらに前記樹脂組成物を100質量%とした場合に、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が95質量%以上であることを特徴とする、黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。 - 前記樹脂組成物をISO3167の多目的試験片A型のダンベル成形片に成形して、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minで測定した引張伸度が5%以上である、請求項1に記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 前記(A)成分が、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記キャッピング化合物が反応した構造のユニットを0.05~10個含有する、請求項1又は2に記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 前記(D)成分の平均一次粒子径が10~35nmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 樹脂組成物を100質量%としたときの前記(D)成分の含有量が、0.10~0.30質量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物をISO3167の多目的試験片A型のダンベル成形片に成形して、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minで測定した引張伸度が10~50%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
- 前記樹脂組成物をISO3167の多目的試験片A型のダンベル成形片に成形して、ISO527に準拠し、引張速度5mm/minで測定した引張強度が65MPa以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の黒色ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
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