JP2006137808A - 回収スチレン系樹脂含有ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 - Google Patents

回収スチレン系樹脂含有ポリフェニレンエーテル樹脂組成物 Download PDF

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剛士 藤沢
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Abstract

【課題】市場から回収されたスチレン系樹脂、特に家電リサイクル法で回収された製品粉砕品であるスチレン系樹脂を商品価値の高い変性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物からなる成形体として活用することを目的としている。
【解決手段】(A)ポリフェニレンエーテル、(B)市場から回収されたスチレン系樹脂であって、ハロゲンの含有量が3重量%以下で、且つアンチモン原子と銅原子の含有量がそれぞれ1重量%以下である回収スチレン系樹脂、(C)スチレン系樹脂からなるポリフェニレンエーテル樹脂組成物および該樹脂組成物を成形してなる成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は、循環型社会に貢献できる、表面外観性および熱安定性に優れた成形体の製造を可能とする回収スチレン系樹脂含有ポリフェニレンエーテル樹脂組成物に関するものである。
スチレン系樹脂は家電やOA分野の外装部分に多く使用されてきた。しかしながら、2000年に入ると家電リサイクル法が施行され、テレビ(以下TVと称することがある)、エアコン、冷蔵庫、及び洗濯機の4種について、製造業者が回収する義務が発生し、これら4家電に使用されている、プラスチック材料を粉砕し、回収ペレットとして利用されることが検討されている。また、最近では、コンピューター、FAXをはじめとするOA機器の回収も義務付けられる動きがある。
TV及びOA機器外装材料からの回収ペレットを用い、未使用の樹脂と溶融混練した場合、回収ペレットを少量用いた場合でも、材料の持つ物性が大幅に低下するという問題があった。特に混練温度の高い(280℃以上)ポリフェニレンエーテル樹脂組成物(以下、変性PPEと呼ぶこともある。)では、この現象が著しく、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物に回収スチレン系樹脂を使用することが難しかった。
特許文献1〜2ではリサイクル樹脂を用いたポリフェニレンエーテル樹脂組成物が記載され、特許文献1にはリサイクルポリスチレン樹脂中に含まれるアンチモンおよび銅が樹脂の物性に及ぼす悪影響について記載も示唆もない。また、該文献には臭素を含有してもよいという記載がある。
特許文献2には、異物を除去するために廃プラスチックの粉砕選別工程や再ペレット化の押し出し溶融混練時に10メッシュ以上のフィルターを用いることが記載されているが、廃プラスチック中のハロゲン、アンチモン、銅の含有量については記載も示唆もない。
すなわち、これらの特許文献に開示の技術によっても、混練温度の高い(280℃以上)ポリフェニレンエーテル樹脂組成物において、回収ポリスチレン系樹脂を用いた場合に物性が低下するという問題の解決までには至っていない。
特開平04−214761号公報 特開2003−49065号公報
本発明は、市場からの回収ポリスチレン系樹脂を含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物、特に家電及びOA機器からの回収ポリスチレン系樹脂を含有するポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を、成形材料として有効に提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、臭素、塩素等のハロゲン、アンチモンおよび銅の単体またはこれらの化合物の混入量の多い回収樹脂、特に家電からの回収樹脂を用いた場合に、樹脂組成物の溶融混練時に物性の著しい低下を引き起こすことを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
[1] (A)ポリフェニレンエーテル、(B)市場から回収されたスチレン系樹脂であって、ハロゲン原子の含有量が3重量%以下で、且つアンチモン原子と銅原子の含有量がそれぞれ1重量%以下である回収スチレン系樹脂、及び(C)スチレン系樹脂を溶融混練してなることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[2] (B)回収スチレン系樹脂が、市場から回収されたスチレン系樹脂であって、且つガラス転移温度の少なくとも1つが−60℃以下であることを特徴とする[1]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[3] (B)回収スチレン系樹脂が、家電およびOA機器から回収されたスチレン系樹脂であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[4] 更に(D)難燃剤として燐化合物を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[5] 更に(E)ゴム状重合体を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[6] (A)ポリフェニレンエーテル+(B)回収スチレン系樹脂+(C)スチレン系樹脂の合計量100重量部に対して、ゴム状重合体(E)0.3〜10重量部を溶融混練してなることを特徴とする[5]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[7] (E)ゴム状重合体が、共役ジエン部の20重量%以上が水素添加され、かつ分子量が30,000〜200,000である芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体(以下、(E−1)成分という場合がある。)および/またはエチレンと炭素数4以上の1−アルケンからなるオレフィン系エラストマー(以下、(E−2)成分という場合がある。)であることを特徴とする[5]または[6]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[8] (E−1)成分の芳香族ビニル構成単位の含有量が、50〜80重量%であることを特徴とする[7]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[9] (E−2)成分のオレフィン系エラストマーが、密度0.85〜0.95g/cmであることを特徴とする[7]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[10] (B)回収スチレン系樹脂が、家電および/またはOA機器ハウジング材を粉砕し、これを押出機にて270℃以下で溶融混練後濾別し、相当直径が0.5mm以上の未溶融異物が0.5重量%以下に調整されて得られた回収スチレン系樹脂であることを特徴とする[1]〜[9]いずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[11] (B)回収スチレン系樹脂が、更に、亜鉛原子、錫原子および/または鉛原子の合計の含有量が0.1重量%以下である回収スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[12] 更に、酸化リチウムおよびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上を、合計で0.01〜2重量%含有することを特徴とする[1]〜[11]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物、
[13] [1]〜[12]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物を成形して得られた成形体、
[14] 成形体が、ブラウン管TV、液晶TV、プラズマTVハウジング、ノート式パソコン外装、デスクトップ型CRT外装、コンピューターキーボード、プリンター外装、下水配管または建築資材である[13]に記載の成形体、
である。
本発明により、市場から回収された、特に家電およびOA機器から回収されたスチレン系樹脂を用いて、表面外観性、リサイクル性、塗装性、耐衝撃性、熱変形性が良好である成形体の製造を可能とする、商品価値の高い樹脂組成物を提供することができる。
本発明について、以下に詳細に説明する。
本発明は市場から回収した回収スチレン系樹脂を未使用のスチレン系樹脂(以下、スチレン系樹脂をPS樹脂という場合もある。)の代わりに有効にポリフェニレンエーテル(以下、PPEという場合もある。)樹脂組成物の材料として使用し、様々な成形体に活用することが可能であって、未使用スチレン系樹脂と同等に使用が可能であることを示している。
本発明における(A)ポリフェニレンエーテル(以下、成分(A)ということもある。)は、下記一般式(1−a)および(1−b)で表される繰り返し単位を有する単独重合体および/または共重合体である。PPEの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる(以下、PPEということもある)。尚、上記PPEにはハロゲンを含有するものも存在するが、ハロゲンは活性金属と反応することからハロゲンを含有しないPPEが好ましい。
Figure 2006137808
Figure 2006137808
(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6は、それぞれ独立に炭素1〜4のアルキル基、アリール基、水素等の一価の残基であり、R5,R6は同時に水素ではない。)
本発明のPPEには、2,6−ジメチルフェノールと、2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと、o−クレゾールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと、2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体をも包含する。中でも好ましいのは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。
本発明で用いるPPEの還元粘度(0.5g/dl,クロロホルム溶液,30℃測定)は0.2〜0.7の範囲であり、好ましくは0.3〜0.6の範囲、さらに好ましくは0.3〜0.5の範囲である。また、本発明で用いるPPEは、上記したPPEのほかに、該PPEと不飽和カルボン酸またはその誘導体(例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハロゲン化マレイン酸などやこれらの酸無水物、エステル、アミド、イミドなど、さらにはアクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。中でも無水マレイン酸が好適である。)、スチレンまたはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性PPEであってもよく、さらに上記したPPEと該変性PPEの任意の割合の混合物であってもかまわない。
本発明の(B)回収スチレン系樹脂としては、例えば、延伸ポリスチレンシート(OPS)、発泡スチロールを熱減容したものを粉砕したもの、発泡ポリスチレンシート(PSP)を熱減容したものを粉砕したもの(例えば、スチレン系樹脂組成物などを発泡させたもので、スーパーで生鮮食料品をパッケージするPSP−平皿、若しく即席麺の容器に使用される丼容器)、CDケース、TVハウジング筐体、デスクトップ型CRTハウジング、プリンター、複写機外装材、自動車部品材などに用いられる、ジェネラルパーパスポリスチレン(GPPS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、シンディオタクティックポリスチレン、スチレン無水マレイン酸共重合体、芳香族ビニル共役ジエンブロック共重合体(SBS)とHIPS単独、若しくはHIPS、或いはGPPSの樹脂組成物、HIPSと芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水添体(SEBS)などの何れか一つ若しくは複数の組み合わせが挙げられる。
本発明においては、衝撃性の確保から成分(B)の回収スチレン系樹脂はガラス転移温度の少なくとも1つが−60℃以下に存在することが好ましい。このような衝撃性の確保及びPPEとの相溶性の観点から、HIPS、GPPS、HIPSとSBSの組成物、或いはHIPSとSEBSとの組成物からなる回収スチレン系樹脂が好ましい。これらのスチレン系樹脂は、家電及びOA機器の材料として用いられていることが多いことから、(B)回収ポリスチレン系樹脂としては、家電およびOA機器、特にこれらのハウジングや外装材から得られる回収スチレン系樹脂が好ましい。ここでいうガラス転移温度とは、レオメトリックス社製、RD−2で−120℃から2℃/minの温度上昇速度で測定される値をいう。
本発明で用いる(B)回収スチレン系樹脂は、ハロゲンの含有量が3重量%以下であることが必要であり、好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。ハロゲンの混入量が3重量%以下であれば、成型加工時に、後述する残留金属と反応し、樹脂組成物の物性を著しく劣化させということもない。ここで、ハロゲンとは主に塩素および臭素を言い、ハロゲンの含有量とは、主に化合物として含まれている塩素および臭素の合計の含有量を言う。
(B)回収スチレン系樹脂に含まれる、アンチモン原子及び銅原子の含有量は、それぞれ1重量%以下であることが必要である。これは、難燃助剤として使用する三酸化二アンチモンは樹脂温度が280℃以上で樹脂と反応し、樹脂の分子量を著しく低下させ、銅原子(原子価は0〜+2価)は更にその効果を助長することによると推測している。金属アンチモンと銅の共存状態では、更に物性低下を促進させる上、有毒なスチビンガス、ハロゲン化水素ガスを発生させることから、作業環境上好ましくない。また、銅は燃焼を促進する活性点としての働きもあり、難燃性を持たせる材料には好ましくない。本発明においてアンチモン原子、銅原子とは、単体として存在するものおよび化合物として存在するものの両者を包含することを意味している。
また、耐薬品性という観点から、0.5g/100mlのトルエン溶液で測定される還元粘度が0.50dl/g以上のものが良い。なお、(B)回収スチレン系樹脂のトルエン還元粘度は、(B)回収スチレン系樹脂をトルエンに溶解し、10000回転/毎秒の超遠心分離を10分間実施した後の、上澄みを濾別した濾過液の粘度を測定したものをいう。この時、トルエン未溶解物を差し引き、0.5g/100mlに換算する。
更に、(B)回収スチレン系樹脂においては、相当直径0.50mm以上の未溶解異物の含有量は、出来上がる成形品の表面外観の観点から(B)回収スチレン系樹脂全体に対して0.5重量%以下が好ましく、より好ましくは0.2重量%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。ここでいう相当直径とは、樹脂5gを500mlのテトラヒドロフラン溶剤に溶解し、未溶解物を採取した後、目開き32メッシュ(線番0.29mm、目開き0.50mm、)のフィルターを二枚重ねした場合の濾別残渣の重量%をいう。
家電リサイクル法によって回収される家電樹脂には、ハロゲン、アンチモン、銅等が混入し、これらが樹脂組成物の溶融混練時に物性の著しい低下を引き起こすことを本発明者らは見出し、本発明に至ったことは先に記載したが、これら以外にも、亜鉛屑、半田屑、錫屑などが混入していることが多く、ハロゲン、アンチモン、銅ほどではないが、加工時、化学反応を引き起こし、出来上がる成形体の強度を著しく低下させることを本発明者らは見出した。
その理由ははっきりしないが、亜鉛屑、半田屑、錫屑などは280℃以上の温度で樹脂と反応し、樹脂を分解しながら、揮発性の高いアルキル亜鉛、スタナン及び炭化水素ガスを発生しやすく、仕上がる成形品の外観及び強度を著しく低下させてしまうと推測している。塩化ビニール被覆材や、臭素系難燃剤が一部混入すると、アンチモン原子ほどではないが、有害ガスを発生する。これが回収材料を用いた樹脂組成物の物性を低下させ、難燃性能を落とす原因となると推測している。上記金属が、樹脂中で反応してしまうと、樹脂内部に細かく分散してしまい、濾別除去が極めて困難になってしまう。この様に、市場から回収された、リサイクル材料を有効に使用する為には、特にハロゲン、アンチモン、銅、更には亜鉛、錫、鉛等をも有効に除去することが肝要である。
本発明で用いられる(B)回収スチレン系樹脂は、該樹脂中に含まれる亜鉛、錫および鉛の含有量の合計量が、0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、更に好ましくは0.01重量%以下であることが好ましい。
本発明者らは、270℃以下で加熱溶融させると、半田などの低融点合金は、異物である銅線、あるいは亜鉛金属などと合金化し、銅線などの表面に被覆され、フィルターで容易に除去することができることを見出した。しかしながら、280℃以上の温度では、回収樹脂中に含まれる銅、亜鉛金属、錫、錫−鉛合金(半田)は樹脂成分と反応し、回収樹脂中に非常に細かく分散すると同時に成分(B)の回収スチレン系樹脂を劣化させてしまう。
本発明において使用する(B)回収スチレン系樹脂としては、市場から回収されたスチレン系樹脂の破砕ペレットを押出機で220〜270℃、好ましくは220〜250℃で熱溶融し、20〜120メッシュ(目開き:0.700〜0.132mm)のフィルター、好ましくは20〜40メッシュ(目開き:0.700〜0.415mm)/60〜120メッシュ(目開き:0.303〜0.122mm)の二枚を重ねのフィルター、更に好ましくは20〜40メッシュ(0.230〜0.415mm)/60〜120メッシュ(目開き0.303〜0.122mm)/20〜40メッシュ(0.230〜0.415mm)の3枚重ねフィルターを通して濾別調製し、ハロゲン、アンチモン、銅の含有量を低減させたものを用いる。該フィルターを通すことにより、上記の回収スチレン系樹脂の物性を悪化させる金属の含有量を低下させることができる。フィルター処理を一回行うことでハロゲン、アンチモン、銅の含有量が所望の含有量にならない場合は、さらにフィルター処理を行うことも、更に小さな目開きのフィルター処理を行い所望の含有量にすることも可能である。
また、用いるフィルターのメッシュの織り型は、強度と開口率が良好である、平織り、綾織が好ましい。尚、フィルターの材質はステンレス鋼SUS304など、耐腐食性のものであれば特に限定されない。
また、(B)回収スチレン系樹脂中に0.5mm以上の未溶融物が0.5重量%以上存在する場合には、出来上がる成形品の表面外観が悪くなるが、上記フィルター処理を行った成分(B)は0.5mm以上の未溶融物は非常に少なく好ましい。
このように調製された(B)回収スチレン系樹脂は、原材料として好適に使用できる。またこのように調製された成分(B)は一度溶融し、φ1〜2mm×2〜3程度のペレットに造粒されるので、回収スチレン樹脂系の工程管理がしやすい。
(C)スチレン系樹脂は未使用のGPPSもしくはHIPS、または両者の混合体をいう。HIPSのゲルゴム種は、熱安定性の高い、1,4結合を有する共役ポリブタジエンが好ましい。この(C)スチレン系樹脂のマトリックスとなるポリスチレンは0.5g/100mlトルエン溶剤還元粘度が0.5〜0.85dl/gのものが好ましい。得られる樹脂組成物の流動性の確保という観点から、0.5〜0.75dl/gのものが更に好ましい。
なお、(B)回収スチレン系樹脂と(C)スチレン系樹脂の配合割合は、(B)/(C)が3/1(重量比)〜1/1が好ましく、より好ましくは3/1〜2/1である。
樹脂の流動性、或いは成形性と、耐熱性のバランスを取る為には、PPE(A)+回収スチレン系樹脂(B)+スチレン系樹脂(C)=100重量部に対して、PPE(A)/[回収スチレン系樹脂(B)+スチレン系樹脂(C)]の割合は、(10〜60重量部)/(90〜40重量部)が好ましく、より好ましくは(15〜50重量部)/(85〜50重量部)である。
成分(D)である難燃剤は環境性の配慮から、ハロゲンを含まない燐化合物が用いられる。この燐化合物とは、赤燐、黒燐、燐酸トリアリール、下記(2−a)或いは(2−b)で代表される燐酸エステル系化合物などがある。
Figure 2006137808
Figure 2006137808
(式中、Q1、Q2、Q3、Q4は、独立に炭素数0から6のアルキル基を表す。R1、R2は、水素若しくはメチル基を表す。R3、R4は、独立に水素またはメチル基を表す。)
熱安定性、耐加水分解性の観点から、より好ましくは式(2−a)に示される燐酸エステルが好適である。
一般式(2−a)においてn1、n2が0で、R3、R4がメチル基であることが好ましい。また、一般式(2−a)においてm1、m2、m3、m4が0か1である。つまり、末端のフェニル基へのアルキル基の置換がないか、またはQ1、Q2、Q3、Q4が、メチル基である。(2−a)で示されるリン酸エステル化合物は特定の二官能フェノールによる結合構造と、特定の単官能フェノールによる末端構造を有す。二官能フェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称ビスフェノールA〕、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのビスフェノール類が挙げられるが、特にビスフェノールAが好ましい。単官能フェノールとしては、無置換フェノール、モノアルキルフェノール、ジアルキルフェノール、トリアルキルフェノールを単独又は2種以上の混合物として使用できる。特にフェノール、クレゾール、ジメチルフェノール(混合キシレノール)、2,6−ジメチルフェノール、トリメチルフェノールが好ましい。(2−a)で表されるリン酸エステル化合物は、熱安定性、耐加水分解性にも優れている。また、ポリフェニレンエーテル樹脂との間で反応を起こしてゲル化するような問題を起こすこともなく、ポリフェニレンエーテル樹脂の分解を促進することもないし、成形加工機の内部金属部分や金型等を腐食させることがなく、好適に用いられる。
外装材料もしくは筐体材料等に用いる樹脂組成物は難燃性能が特に要求され、UL94:V−1/3mm以上の条件を満たす必要がある。この条件を満たす為には、難燃剤として、例えば式(2−a)で示される難燃剤を用いる場合、本発明の樹脂組成物1kgに含まれる、PPEの酸素原子と、難燃剤のリン原子のモル積が1.1以上の条件が推奨される。この難燃レベルを保つ為の条件は、式(2−a)の難燃剤を用いた場合、(A)+(B)+(C)+(D)=100重量部に対してPPE(A)/難燃剤(D)=(10〜60重量部)/(46.6〜7.6重量部)、好ましくは(15〜50重量部)/(30〜10重量部)、更に好ましくは(20〜40重量部)/(25〜11.4重量部)である。
(E)ゴム状重合体としては、天然ゴム(ポリイソプレン)、未架橋ブタジエン、芳香族−共役ジエンブロック共重合体および該ブロック共重合体の水素添加物、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状ポリエチレン(LL−PE)高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合などのエチレン−1−アルケン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレン、酢酸ビニル(PVA)、ポリビニールアルコール等が挙げられる。
本発明のゴム状重合体としては、中でもポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体などの芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(E−1)、およびポリエチレンと炭素数4以上の1−アルケンからなる共重合体であるオレフィン系エラストマー(E−2)が好ましい。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(E−1)は熱安定性が良いという観点から共役ジエン部が水素添加されている水素添加物が好ましい。この水素添加物は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体であり、例えばA−B、A−B−A’、B−A−B’−A’、A−B−A’−B’、A−B−A’−B’、及びA−B−A’−B’−A”等の構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加物である。芳香族ビニル部を示すA、A’、A’’は同一の分子構造或いは、異なる分子構造でもよく、水素添加された共役ジエン部を示すB、B’、は同一、或いは異なる分子構造でも良い。
また、これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中の共役ジエン化合物またはビニル芳香族化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組み合わせでなっていてもよい。
このブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。そして、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックは、そのブロックにおけるミクロ構造を任意に選ぶことができ、例えば、ブタジエンを主体とする重合体ブロックにおいては、水素添加前の結合構造の1,2−ビニル結合が2〜60%ユニット共役ジエン部、好ましくは8〜40%ユニット共役ジエン部である。更に共役ジエン部の水素添加率は好ましくは20%ユニット共役ジエン部以上、更に好ましくは80%ユニット共役ジエン部以上である。尚、水素添加率の算出は、重クロロフォルム溶剤を溶媒として、測定される水素FT−NMRから算出される、メチレン基及びメチル基由来のケミカルシフトピークの積算値より、求められる。(E−1)の芳香族ビニル構成単位の含有量は特に限定はされないが、好ましくは50〜80重量%、更に好ましくは55〜75重量%がよい。(E−1)の重量平均分子量は30000〜200000、好ましくは50000〜150000、更に好ましくは65000〜120000である。ここでいう重量平均分子量とはスチレン換算の重量平均分子量をいう。芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(E−1)の構造はA−B−A’の3型、A−B−A’−B’’などの4型のものが挙げられるが、好ましくは4型である。
本発明において好ましく用いられるゴム状重合体のポリエチレンと炭素数4以上の1−アルケンからなるオレフィン系エラストマー(E−2)は、ポリエチレンと炭素数が4以上の1−アルケンからなる共重合体、即ちエチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体の何れか1つ、若しくはこの両者のくみあわせであり、その密度が0.85〜0.95g/cmである範囲である。これは、(エチレン)/(1−アルケン)の重合モル比=(95〜80)/(5〜20)に相当し、MFRがJIS K7210 190℃、2.16kg荷重で測定時、0.3〜10g/10min、好ましくは0.8〜8g/10minの範囲である。
本発明のゴム状重合体の(E−1)成分と(E−2)成分は、それぞれ単独あるいは組み合わせて使用することができる。
本発明の樹脂組成物から得られる成形体の実用衝撃特性(特に3mm以下の厚み部位の靭性)を向上させ、塗装後の仕上がりを良好にする為には、(E−1)及び(E−2)の組み合わせが好ましい。この2成分の組み合わせが、成形体の実用強度を高め、表面の仕上がりを良くする。加えて、塗装を施した時に塗膜の表面接着強度を良くし、仕上がりも美しい。成形体の衝撃性を向上させる為に、(E)ゴム状重合体を含有することが好ましい。(E)ゴム状重合体の添加量は、(A)+(B)+(C)成分の合計量100重量部に対し、耐衝撃特性の向上効果の発現の観点から0.3重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。また、成形材料の剛性の観点から10重量部以下が好ましく、5重量部以下がより好ましい。
(E−1)/(E−2)添加量比は、(A)成分+(B)成分+(C)成分=100重量部に対して、(10〜0重量部)/(0〜10重量部)、好ましくは(0.3〜5重量部)/(0.3〜5重量部)、更に好ましくは(0.5〜3重量部)/(0.5〜3重量部)である。
樹脂中に含まれる上記金属との反応を抑える目的として、酸化リチウム、アルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上を、合計で含有割合が0.01〜2重量%となるように更に添加してもよい。中でもリチウム、マグネシウム、カルシウムの酸化物が好ましく、より好ましくはマグネシウム酸化物である。
成形時、成形体を金型から容易に離型させ、成形品の表面外観を良好にする為に、エチレン−プロピレン共重合体(EP)を、本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜2重量部、更に好ましくは0.3〜0.7重量部添加してもよい。このエチレン−プロピレン共重合体は密度が0.85〜0.90g/cm、メルトフローレート(MFR)がJIS K7210、230℃、2.16kg荷重で測定時、0.5〜0.9g/10minのものが適している。
上記の様にして得られた樹脂組成物に熱安定剤及び着色顔料、流動性改質剤(例えば、数平均分子量が150〜500の流動パラフィン、特開平8−12831号公報に開示されている低級炭化水素石油樹脂、ステアリン酸、パルメチン酸などの油脂及びその亜鉛、またはアルカリ土類金属塩など)、耐光剤として、本発明の樹脂組成物99.9〜98重量%に対してヒドロキシベンゾトリアゾール類0.1〜2重量%、ヒンダードアミン類0.1〜2重量部の両者、若しくは何れか1つを選択したもの、熱安定剤として、例えばペンタエリスリトール型燐酸化合物、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジフォスファイトを、本発明の樹脂組成物99.99〜98重量%に対して0.01〜2重量%添加、滴下防止の為に、テトラフルオロエチレン、グラファイト、超高分子ポリエチレン(数平均分子量が50万以上)を本発明の樹脂組成物99.99〜99重量%に対して0.01〜1重量%添加した成形体であってもよい。また、成形品の強度を増す為に、チョップドグラスファイバー、カオリンクレー、タルク、マイカ、ワラストナイト、滑石紛、フライアッシュ(火力発電所から出る、石炭飛灰)、など、無機鉱物粉体などから選ばれる材料の1種或いは複数を添加し混練してもよい。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂組成物の製造方法の代表例を記載すれば、二軸押出機で溶融混練される。押出機のL/Dは35〜46がよい。PPEパウダー、PPEパウダーとスチレン系樹脂の一部(PPE/スチレン系樹脂の比率は100/0〜90/10)および添加するゴム成分(E)を押出機のホッパーから投入する。ホッパーからL/D=15の所からHIPS及び回収スチレン系樹脂(B)を投入後、L/D=35の位置から燐化合物を液注入し、調整する。PPEとスチレン系樹脂、或いはPPEとスチレン系樹脂と難燃剤を予め混練し、径および長さが2〜3mm程度のペレットに造粒したものに回収されたスチレン系樹脂を押出機で混練してもよい。
この様にして得られた樹脂組成物は、家電、OA機材、自動車部品、建材、土木建材、日用品、玩具、ゲーム機、雑貨、情報通信機器、情報電子部品の基材などの成形材量として好適に用いられる。中でも家電、OA機器である、TV筐体(ブラウン管TV、液晶TV、プラズマTV及びプロジェクションTV)、偏向ヨーク、プリンター筐体、パソコンモニター筐体、複写機筐体、携帯電話筐体およびアダプター外装に特に好適に用いられる。
また硬質塩ビ代替材としても望ましく、下水配管(パイプ)、造園資材、住宅建材、発泡断熱材にも好適に用いられる。
以下に実施例を用いて更に本発明を説明する
(1)ポリフェニレンエーテル(PPE)の調製
低部に酸素の吹き込み口を有する反応器を良く窒素置換させた後、臭化銅(II)53.6g、ジ−n−ブチルアミン1110g、トルエン20L、n−ブタノール4L、の混合溶液中に2、6−キシレノール16L、メタノール4Lを仕込む。攪拌し反応液をよく混合後、酸素を攪拌しながら360分酸化重合させる。この間反応器は30℃に維持した。重合終了後、析出した樹脂体を濾別し、固形分を更にメタノール/塩化水素水混合溶液にて洗浄/濯ぎを繰り返し、未反応物や副生成物及び反応触媒残渣を取り除き調製した。この様にして得られた樹脂体(粉)を使用する。反応時間によりポリマーの重合度を替え、CHCl溶液での還元粘度が0.41のものを用いた。
(2)回収スチレン系樹脂の調製
・回収HIPS−1
家電リサイクルセンターから回収されたものを、単軸押出機を用い、260℃で加熱溶融し、網忠金網商店製、平織り金網、鋼材SUS304、40メッシュ(線番:0.22mm、目開き:0.415mm、開孔率:42.7%)/80メッシュ(線番:0.1mm、目開き:0.218mm、開孔率:46.9%)/40メッシュ(線番:0.22mm、目開き:0.415mm、開孔率42.7%)のフィルターを三枚重ねさせ、これで濾別したものを、造粒した。表1に含有する金属量、臭素、塩素含有量、その物性を示す。
・回収HIPS−2
家電リサイクルセンターから回収されたものを、単軸押出機を用い、230℃で加熱溶融し、網忠金網商店製、平織り金網、鋼材SUS304、40メッシュ(線番:0.22mm、目開き:0.415mm、開孔率:42.7%)/100メッシュ(線番:0.11mm、目開き:0.144mm、開孔率:31.2%)/40メッシュ(線番:0.22mm、目開き:0.415mm、開孔率42.7%)のフィルターを三枚重ねさせ、これで濾別したものを、造粒した。表1に含有する金属量、臭素、塩素含有量、その物性を示す。
・回収HIPS−3
家電リサイクルセンターから回収されたものを、単軸押出機を用い、230℃で加熱溶融し、フィルターを通さずに造粒した。表1に含有する金属量、臭素、塩素含有量、その物性を示す。
Figure 2006137808
(3)未使用スチレン系樹脂の調製
・未使用HIPS
ゴムの粒子径が平均1.5μm、ゴム含有量が10重量%、MFRがISO R1133 5kg荷重、200℃でのメルトフローが10g/10min、マトリックスの重量平均分子量が175,000、ゲル含有量は22.8重量%、ゴム含有量が10重量%のものを用いる。HIPSのゴム粒子径はDMF(ジメチルスルフォキシド)溶媒中、コールターカウンター法、23℃で測定される。
・未使用GPPS
Vicat軟化温度がASTM−D1525で106℃、メルトフローが7.0g/10minものを用いる。
(4)燐化合物
下記化学式3で示される大八化学(株)製、商品名 CR741(ビスフェノールA−ビスジフェニルフォスフェート)を用いる。
Figure 2006137808
(5)ゴム状重合体
・SEBS(E−1)
スチレンブタジエン系ブロック共重合体は特許2797015号公報に記載の方法にて調整し、以下のエラストマーは調整される。この調整法とはシクロヘキサン溶剤中にスチレンモノマーを入れ、少量のテトラメチルジアミン及びブチルリチウム存在下、窒素雰囲気下70℃でスチレンを重合させた後、ブタジエンガスを導入して70℃にて更に重合をさせる。この過程で得られるスチレン−ブタジエンブロック共重合体にさらに、水素ガスを同伴し、ブタジエン部の二重結合を水素水素飽和させる。尚、結合スチレン量は、NMR法(1H−NMR CDCl溶媒中TMS0.03%)で算出し、計算させる。尚ここでいうスチレン部分の分子量とは4型エラストマーの場合、A1−B1−A2−B2のA1+A2を意味する。実施例に用いたSEBSは結合スチレン量が60重量%、分子量が85,000で、ポリブタジエンのブタジエン成分の水素添加率が99.6%の4型ブロック共重合体である。
・エチレン−1アルケン共重合体(E−2)
三井化学(株)製、商品名タフマー、A4070)を使用する。(JIS K7210 190℃、2.16kg荷重測定時、MFR3.6g/10min、密度:0.870g/cm/23℃)
・エチレン−プロピレン共重合体(EP)
実施例で使用されているアルファオレフィン系共重合体は三井化学(株)製、タフマーP680−Jを用いる。(MFR:JIS K7210 230℃、2.16kg荷重測定時、0.7g/10min、密度:0.87g/cm/23℃)を用いる。
以下に評価方法を説明する。
(a)回収HIPS−1、2及び3の異物量測定
回収HIPSのペレット5gをテトラヒドロフラン溶剤100mlに溶解後、32メッシュ(線番0.29mm、目開き0.50mm、)フィルターを二枚重ねしたもので濾別し、風乾後、固形異物(濾過残渣)を取り出して、重量を測定した。
(b)回収HIPS−1、2及び3のハロゲン、金属分析
尚、回収HIPSのペレットの金属分析は蛍光X線分析装置 SXF−1100を用い、Rh管球 40kV 40mAの条件で定量分析を実施した。ハロゲンの分析は、ペレット50mgを重量分析用濾紙(ADVANTEC社製、5B濾紙)に包んだものを白金籠に入れ、純酸素で置換した1.5リットルの燃焼フラスコ中で完全燃焼させ、ガス成分を100mlの純水に吸収させて、イオンクロマトグラフで測定する。
(c)Izod衝撃値
表1及び実施例、比較例の表に記載のIzod衝撃値はASTM−D−256に記載の方法で、試験片の厚み6.32mmの試験片を用いて測定する。
(d)Dart衝撃値
実施例、比較例の表に記載のDart衝撃値は、Rosand社製、衝撃試験測定機、型式IFW80にて測定された。表に表記のDart 2−1mmは厚み2mmと1mmの段差がある成形品を得、厚み2mmの部位を固定し(片持梁)、1mmの所に落錘させた時、2mmと1mmの境が応力集中によって破壊された時の破壊エネルギーを示す。尚、この時のサンプル形状は30×50mm、Dart衝撃値の落錘の重量と落錘高さは2mm及び1mm厚みの時が3.2kg、0.7m、2mm−1mm段差がある応力集中破壊試験の時が3.2kg、0.3mである。
(e)表面外観
図1に示す、縦×横×厚み=72×135×10.2cmの5面箱型成形品を射出成形によって得る。72×135cmの面には51×91cmの切り抜きが施されている。この製品の厚みは側4面が1.5mm、切り抜きのある面が2mmである。なお、射出成形のゲートは各側4面の縁の中心に設け、4ヶ所としたものである。金型キャビティーのテーパーは2°である。射出成形の樹脂温度は280℃で実施する。
このようにして得られた成形筐体の表面を目視で観察する。外観の判定はフローマーク、シルバー、ショートショットの3点で判定した。非常に良好を◎、良好を○、良好ではないを×、非常に悪いを×でしめした。
(f)筐体の熱変形
(d)で得られた成形体を恒温槽内部に60℃、3時間放置し、目視で変形を測定した。全く変形が認められないものを○、変形が著しいものを×で示した。
(g)塗装評価
(d)で得られた成形筐体を(株)SGIクレオス社製、Mr.カラースプレー 品番J8(グレー色)を塗布し、乾燥後、その表面状態を目視観察する。塗装の仕上がりが良好なものを○、悪いものを×示した。
[実施例1〜2、比較例1〜2]
表2に記載の組成で、ワーナー&フライドラー社製、ZSK25二軸押出機(L/D:46)を用いて樹脂組成物を調製した。PPEパウダーとGPPS、SEBS、エチレン−1アルケン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体を投入し295℃で溶解させ、ホッパーからL/D=15の所から回収HIPSと未使用HIPSをブレンド後、投入する。このL/D:15のところの設定温度は260℃に設定する。更に、L/D=35の位置から燐化合物を液注入し、調製した。
実施例1と比較例1はアンチモン原子および銅原子の存在による効果を見たものである。アンチモン及び銅が1重量%以上回収HIPSに含まれていると、物性及び燃焼性が悪いことが判る。比較例2でアルカリ土類金属、酸化マグネシウムを添加しているが、効果があまりないことが判る。
[実施例3〜8、比較例3〜4]
表3に記載の組成で、実施例1と同様にして調製した。
実施例3〜8、比較例3〜4は、更に亜鉛、錫、鉛の含有量の低い回収HIPS−2を用いた時の効果を見たものである。
Figure 2006137808
Figure 2006137808
資源の有効活用を目的として、変性ポリフェニレンエーテルに本発明は活用できうるものである。本発明の成形体はブラウン管TV、液晶TV、及びプラズマTVハウジング、ノート式パソコン外装、デスクトップ型CRT外装、コンピューターキーボード、プリンター外装、下水配管、建築資材等に適している。
実施例、比較例の表面外観、熱変形および塗装評価に用いた成形筐体の斜視図である。

Claims (14)

  1. (A)ポリフェニレンエーテル、(B)市場から回収されたスチレン系樹脂であって、ハロゲン原子の含有量が3重量%以下で、且つアンチモン原子と銅原子の含有量がそれぞれ1重量%以下である回収スチレン系樹脂及び(C)スチレン系樹脂を溶融混練してなることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  2. (B)回収スチレン系樹脂が、市場から回収されたスチレン系樹脂であって、且つガラス転移温度の少なくとも1つが−60℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  3. (B)回収スチレン系樹脂が、家電およびOA機器から回収されたスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  4. 更に(D)難燃剤として燐化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  5. 更に(E)ゴム状重合体を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  6. (A)ポリフェニレンエーテル+(B)回収スチレン系樹脂+(C)スチレン系樹脂の合計量100重量部に対して、ゴム状重合体(E)0.3〜10重量部を溶融混練してなることを特徴とする請求項5記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  7. (E)ゴム状重合体が、共役ジエン部の20重量%以上が水素添加され、かつ分子量が30,000〜200,000である芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体(以下、(E−1)成分という場合がある。)および/またはエチレンと炭素数4以上の1−アルケンからなるオレフィン系エラストマー(以下、(E−2)成分という場合がある。)であることを特徴とする請求項5または6に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  8. (E−1)成分の芳香族ビニル構成単位の含有量が、50〜80重量%であることを特徴とする請求項7に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  9. (E−2)成分のオレフィン系エラストマーが、密度0.85〜0.95g/cmであることを特徴とする請求項7に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  10. (B)回収スチレン系樹脂が、家電および/またはOA機器ハウジング材を粉砕し、これを押出機にて270℃以下で溶融混練後濾別し、相当直径が0.5mm以上の未溶融異物が0.5重量%以下に調整されて得られた回収スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  11. (B)回収スチレン系樹脂が、更に、亜鉛原子、錫原子および/または鉛原子の合計の含有量が0.1重量%以下である回収スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  12. 更に、酸化リチウムおよびアルカリ土類金属酸化物から選ばれる1種または2種以上を、合計で0.01〜2重量%含有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂組成物を成形して得られた成形体。
  14. 成形体が、ブラウン管TV、液晶TV、プラズマTVハウジング、ノート式パソコン外装、デスクトップ型CRT外装、コンピューターキーボード、プリンター外装、下水配管または建築資材である請求項13に記載の成形体。
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