JP7053137B2 - 積層成形体 - Google Patents
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Description
また、積層成形体の金属表面外観を高めるため、成形品の金型離型性に着目したポリフェニレンスルフィド系樹脂組成物が開示されている(特許文献4参照)。
また、積層成形体の金属表面外観を高めるため、金属蒸着させる成形品を構成する樹脂組成物にオレフィン樹脂を用いることが開示されているが(特許文献5参照)、金属蒸着層と樹脂組成物との密着性については何ら開示されていない。
[1]
樹脂組成物からなる成形品と、金属薄膜層とを含む、積層成形体であり、
該樹脂組成物が、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、脂肪酸金属塩(B)とを含み、
該ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)は、ポリフェニレンエーテル(i)と、分子内に下記式(I)又は式(II)(式(II)中、Rは炭素数1~8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6~12の三価の芳香族炭化水素基である。)の化学構造を有する有機リン化合物、該有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、及びカーボネート類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(ii)とを、該成分(i)、該化合物(ii)の合計100質量%に対して、該成分(i)95~99.95質量%、該化合物(ii)0.05~5質量%含有する原料を押出機で溶融混練して押出したものであることを特徴とする、積層成形体。
前記樹脂組成物が、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)100質量%に対し、前記脂肪酸金属塩(B)0.1~3質量%を含む、[1]に記載の積層成形体。
[3]
前記樹脂組成物が、該樹脂組成物100質量%に対し、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)59~98質量%と、スチレン系樹脂(C)0~30質量%と、エラストマー成分(D)1~35質量%とを含む、[1]又は[2]に記載の積層成形体。
[4]
前記ポリフェニレンエーテル(i)が、下記化学式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の積層成形体。
[5]
前記ポリフェニレンエーテル(i)を構成するモノマーユニット100個当たり、前記化学式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択される1つ以上の構造のユニットを0.01~10.0個含有する、[4]に記載の積層成形体。
[6]
前記化学式(2)に示す構造のユニットに対する前記化学式(1)に示す構造のユニットの割合が、0~30モル%である、[4]又は[5]に記載の積層成形体。
[7]
前記化学式(1)及び/又は(2)に示す構造のユニットと、前記化学式(3)に示す構造のユニットとを含む、[4]~[6]のいずれかに記載の積層成形体。
[8]
前記ポリフェニレンエーテル(i)が、下記化学式(4)、(5)及び(6)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含む、[1]~[7]のいずれかに記載の積層成形体。
[9]
前記脂肪酸金属塩(B)が、炭素数22~28の脂肪酸金属塩である、[1]~[8]のいずれかに記載の積層成形体。
[10]
前記金属薄膜層の厚みが12nm以下である、[1]~[9]のいずれかに記載の積層成形体。
[11]
前記金属薄膜層が、アルミニウムからなる蒸着膜である、[1]~[10]のいずれかに記載の積層成形体。
本発明の実施形態の積層成形体は、樹脂組成物からなる成形品と、金属薄膜層とを含む。前記樹脂組成物からなる成形品は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、脂肪酸金属塩(B)とを含む。この構成とすることにより、高い表面反射率を有し、かつ成形品と金属薄膜層との密着性及び表面外観に優れた積層成形体とすることができ、更には、高温高湿条件曝露後でも高い表面反射率、優れた密着性及び優れた表面外観を維持し得る積層成形体とすることができる。
本実施形態の積層成形体に含まれる成形品は、所望の形体に成形された樹脂組成物からなる。
以下、成形品を構成する樹脂組成物について説明する。
前記成形品を構成する樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、脂肪酸金属塩(B)とを含む。前記樹脂組成物は、任意選択的に、スチレン系樹脂(C)、エラストマー成分(D)、酸化防止剤(E)、その他の材料(F)を含んでもよい。
樹脂組成物は、前記成分(A)~(F)の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物100質量%に対して、前記成分(A)が59~98質量%、前記成分(C)が0~30質量%、前記成分(D)が1~35質量%であることが好ましい。より好ましくは、樹脂組成物100質量%に対して、前記成分(A)が59~98質量%、前記成分(C)が0~30質量%、前記成分(D)が1~32質量%であり、更に好ましくは、樹脂組成物100質量%に対して、前記成分(A)が62~98質量%、前記成分(C)が0~30質量%であり、前記成分(D)が1~32質量%である。上記の範囲であれば、高温高湿条件への曝露後の高い表面反射率及び優れた密着性の維持の観点から、自動車用途部品としての、金属薄膜層を有した積層成形体として好適に用いられる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)は、ポリフェニレンエーテル(i)と、分子内に下記式(I)又は式(II)(式(II)中、Rは炭素数1~8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6~12の三価の芳香族炭化水素基である。)の化学構造を有する有機リン化合物、前記有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、及びカーボネート類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(ii)とを、前記(i)成分、前記(ii)成分の合計100質量%に対して、前記(i)成分95~99.95質量%、前記(ii)成分0.05~5質量%含有する。
ポリフェニレンエーテル(i)は、下記式(III)及び/又は(IV)を繰り返し単位とし、構成単位が一般式(III)及び/又は(IV)からなる単独重合体(ホモポリマー)、共重合体(コポリマー)、これらの変性物であることが好ましい。
なお、上記式(III)及び(IV)における繰り返し単位数については、ポリフェニレンエーテル(i)の分子量分布により様々であるため、特に制限されることはない。
なお、PPEの末端OH基濃度は、NMR測定により算出することができ、例えば、PPEを13C-NMRのプロトン逆ゲートデカップリング法(定量測定)で測定し、側鎖中1位の炭素(145.4ppm、151.4ppm)に対する、末端OH基の結合した1位の炭素(146.1ppm)のスペクトル割合を計算することで、末端OH基濃度(PPEを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基数)(個)を算出することができる。
なお、本実施の形態において、還元粘度は、クロロホルム溶媒を用いて30℃で0.5g/dL溶液としてウベローデ型粘度管を用いて測定して得られた値である。
上記式(1)及び上記式(2)の上記X1は、
上記式(1)及び(2)のX1中のR1、R2としては、例えば、炭素数1~30の鎖状又は環状アルキル基、アリール基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
上記式(3)のX2中の、R3、R4の構造としては、芳香環の不飽和二重結合以外に不飽和二重結合を有さないアルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基が好ましく、二つの置換基が連結した構造や、構造中に窒素原子、酸素原子を含んでも良い。
上記式(3)のX2中のR3、R4におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1~30のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
また、上記式(3)のX2中のR3、R4におけるアリール基としては、例えば、炭素数6~30のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ナフチル基、トリチル基等が挙げられる。
また、上記式(3)のX2中のR3、R4におけるアルキルアミノ基におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1~30のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、オクチルアミノ基、ジオクチルアミノ基等が挙げられる。
また、上記式(3)のX2中のR3、R4におけるアリールアミノ基におけるアリール基としては、例えば、上述と同様の基が挙げられ、具体的には、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジメチルフェニルアミノ基、トリメチルフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、トリチルアミノ基等が挙げられる。
芳香環以外の不飽和結合の数は、後述の実施例に記載の条件で測定した1H-NMR法で、3.5~5.5ppmにあらわれる、前駆体ポリフェニレンエーテルとは異なるダブレットピークから測定することができる。なお、ポリフェニレンエーテル(i)を構成するモノマーユニット100個あたり、芳香環以外の不飽和二重結合を0.01個以上有する場合、後述の実施例に記載の条件で測定した1H-NMRにより検出できる。
ここで、「式(3)で表される末端構造ユニットに、芳香環の不飽和二重結合以外に不飽和二重結合を実質的に有さない」とは、後述の実施例に記載の測定条件の1H-NMRの3.5~5.5ppmに、前駆体ポリフェニレンエーテルとは異なるダブレットピークが検出されないことをいう。
ポリフェニレンエーテル(i)を構成するモノマーユニット100個あたりの、式(3)で表される構造のユニット数は、更に好ましくは0.01~3.0個の範囲であり、特に好ましくは0.01~1.0個の範囲である。
従来のポリフェニレンエーテルでは、長時間高温にさらされた場合に、末端ユニットにあるメチル基(以下、「末端メチル基」とも称する。)、中間ユニットにあるメチル基(以下、「側鎖メチル基」とも称する。)、末端ユニットにある水酸基(本明細書において、「末端水酸基」とも称する。)が酸化架橋反応を起こすことがあった。本発明者らは、末端メチル基や側鎖メチル基等の酸化架橋反応に着目し、この酸化架橋反応を抑えることで金属薄膜層を形成する成形品表面に凹みを一層抑制したり、凹みが進行して金属薄膜層の鏡面外観が悪くなることを一層抑えたりできる可能性について検討した。末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基では、比較的ラジカルが発生しやすい傾向があり、発生したラジカルが酸化架橋を起こす要因となり得ることが分かった。上記化学式(1)、(2)及び(3)から選択される1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(i)では、被酸化部位(末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基)を、所定の分子で置換された状態にして封止することで、当該被酸化部位(末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基)の架橋反応を抑制することができ、それ故に、前記樹脂組成物からなる成形品の凹みが抑制されて金属薄膜層との密着性が向上すると推察される。
ポリフェニレンエーテル(i)は、既に公知の重合方法によって合成された通常のポリフェニレンエーテルの重合粉体を広く用いることが可能である。
中でも、上記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(i)は、ポリフェニレンエーテル(i)の化学式(1)及び(2)中のメチレン基に化学式(1)、(2)のX1とは異なる置換基を持つポリフェニレンエーテルを前駆体として(以下、「前駆体ポリフェニレンエーテル」とも称す)、後述する反応性化合物と反応させて、上記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(i)を合成することが好ましい。この方法によれば、上記化学式(1)及び(2)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(i)を、前駆体ポリフェニレンエーテルから合成することにより、ポリフェニレンエーテル(i)の化学式(1)及び/又は(2)中のX1部分が水素であるポリフェニレンエーテル(以下、「非置換ポリフェニレンエーテル」とも称す。)から合成する場合よりも効率よく得られるからである。前駆体ポリフェニレンエーテル(「前駆体PPE」とも称する)と反応性化合物との反応は、熱によることが好ましい。
上記化学式(1)~(3)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(i)を得るために用いることができる反応性化合物としては、これに限定されるものではないが、例えば、ホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、カーボネート類等が挙げられる。
化合物(ii)は、分子内に式(I)又は式(II)(式(II)中、Rは炭素数1~8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6~12の三価の芳香族炭化水素基である。)の化学構造を有する有機リン化合物、前記有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、及びカーボネート類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、及びカーボネート類としては、上述の反応性化合物における、ホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、及びカーボネート類と同様のものが挙げられる。
9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイドの誘導体としては、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスフェナントレン-10-オキサイドや、ビス(2-ヒドロキシエチル)2-(10H-9-オキサ-10-ホスファ-10-フェナントリルメチル)サクシネートP-オキシド等が挙げられる。
中でも、十分な金属薄膜層との密着性の観点から、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイドを用いることがより好ましい。
なお、酸素濃度の調節は、原料貯蔵ホッパー内を十分に窒素置換して、原料貯蔵ホッパーから押出機原料投入口までの、フィードライン中での空気の出入りがないように密閉した上で、窒素フィード量の調節、ガス抜き口の開度を調節することで可能である。
本実施形態の樹脂組成物に含まれる脂肪酸金属塩(B)は、具体的には、脂肪族モノカルボン酸金属塩を示す。特に、炭素数16以上の脂肪酸金属塩が好ましく、炭素数16~28の脂肪酸金属塩がより好ましく、22~28の脂肪酸金属塩がより更に好ましい。前記金属塩は、脂肪酸と一緒になって塩を形成する金属元素であり、金属元素としては、元素周期律表の第1族元素(アルカリ金属)、第2族元素(アルカリ土類金属)、第3族元素、亜鉛、アルミニウム、等が挙げられる。
前記金属元素としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属が好ましく、アルミニウムも好適に用いられる。
脂肪酸金属塩(B)としては、炭素数が16~40であるステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸マグネシウム、ベヘン酸カルシウム、ベヘン酸亜鉛が好ましく、炭素数が22~28であるモンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛がさらに好ましい。
これら脂肪酸金属塩(B)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態の樹脂組成物には、耐熱性や成形流動性を調整する目的で、スチレン系樹脂(C)を配合することが可能である。スチレン系樹脂(C)は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、スチレン系化合物の単独重合体や、スチレン系化合物、およびスチレン系化合物と共重合可能な化合物を、ゴム質重合体存在または非存在下に重合して得られる重合体が挙げられる。
本実施の形態の金属薄膜層を有する積層成形体における樹脂組成物としては、耐衝撃性を向上させる観点から、エラストマー成分(D)を配合することが可能である。
本実施形態に用いる樹脂組成物は、さらに酸化防止剤(E)を含んでいてもよい。
上記酸化防止剤(E)は、ラジカル連鎖禁止剤として働く1次酸化防止剤と、過酸化物を分解する効果のある2次酸化防止剤のどちらも使用可能である。すなわち、酸化防止剤を用いることにより、ポリフェニレンエーテルが長時間高温にさらされた際に、末端メチル基又は側鎖メチル基において生じ得るラジカルを捕捉することができ(1次酸化防止剤)、又は当該ラジカルにより末端メチル基又は側鎖メチル基に生じた過酸化物を分解することができ(2次酸化防止剤)、それ故に、ポリフェニレンエーテルの酸化架橋を防止することができる。
なお、上記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネート、2-メルカプトベンズイミダゾール、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-〔3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル〕プロピオネート〕、2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、等が挙げられる。
本実施形態の金属積層層を有した積層成形体における樹脂組成物には、着色の観点から、更にカーボンブラック、酸化チタン、その他の無機系、有機系の公知の染料、顔料等の着色剤を配合することが可能である。
本実施形態に用いることができる着色剤の含有量は、前記、樹脂組成物の合計100質量部中に対して、0.01~8質量部の範囲内であり、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.3~3質量部、特により好ましくは0.4~2質量部の範囲内である。十分な着色性の観点から0.01質量部以上であり、成形外観保持の観点から8質量部以下であることが望ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)、脂肪酸金属塩(B)、並びに任意成分としてのスチレン系樹脂(C)、エラストマー成分(D)、酸化防止剤(E)、及びその他の材料(F)等の原材料を、ポリフェニレンエーテル(i)の合成方法における溶融混練と同様にして溶融混練することにより製造することができる。前記樹脂組成物を製造するための前記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)、成分(E)、成分(F)等の溶融混練の条件については、特に制限されるものではないが、本実施の形態の所望の効果を十分に発揮し得る樹脂組成物を大量且つ安定的に得るという観点から、スクリュー径25~90mmの二軸押出機を用いることが好適である。一例として、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270~330℃、スクリュー回転数150~700rpm、押出レート150~600kg/h、及びベント真空度11.0~1.0kPaの条件で溶融混練する方法が挙げられる。
金属薄膜層の金属は、アルミニウム、銀、クロム等が挙げられるが、特にアルミニウムが、軽く、柔軟性、光沢性に富む利点を有するので好ましい。
表面反射率は、JIS-Z8741に準拠して測定することができる。より具体的には、実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施の形態の、金属薄膜層を有した積層成形体は、上述の樹脂組成物を成形して成形品を作製し、更には金属蒸着工程等の金属薄膜層の形成等を経ることにより得ることができる。
前記樹脂組成物の成形方法としては、以下に制限されないが、例えば、射出成形、押出成形、真空成形及び圧空成形が好適に挙げられ、特に成形外観及び輝度感の観点から、射出成形がより好適に用いられる。
前記樹脂組成物の成形時の成形温度は、バレル設定最高温度250~340℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましい範囲は270~330℃であり、更により好ましくは280~320℃である。十分な成形加工性の観点から、成形温度は、250℃以上が好ましく、樹脂の熱劣化抑制の観点から340℃以下が好ましい。
金属薄膜層を設ける手法としては、一般に、金属含有ペーストで塗布する方法、ドライプレーティング、いわゆる乾式金属メッキ法が挙げられる。金属薄膜層を均一に設ける観点からは、真空蒸着法、イオンプレーティング法(イオンメッキ法)や、これらの中間的技術であるスパッタリング法などが好ましく、真空蒸着法、スパッタリング法がより好ましい。
1.アルミ成形体の作製
下記実施例1~13及び16~18並びに比較例1~4で得られた樹脂組成物のペレットを、100℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した後、金型表面を#5000で磨き上げた寸法150mm×150mm×2mm厚みのフィルムゲート鏡面金型を備え付けた射出成形機(IS-80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度320℃、金型温度120℃、射出圧力(ゲージ圧70MPa)、射出速度(パネル設定値)85%で成形して成形平板を得た。
得られた成形平板を真空状態下の蒸着装置内に設置し、不活性ガスと酸素を導入し、チャンバー内をプラズマ状態にして、成形平板表面を活性化させるプラズマ処理を行なった後、真空下の蒸着装置内でアルミニウム蒸着を行い、アルミニウム蒸着層(金属薄膜層)を有した積層成形体を得た。この金属薄膜層の厚みは10nmであった。
なお、実施例14は、実施例1と同様に成形品を得た後、金属薄膜層を14nmとした以外は同様とし、実施例15は、実施例8と同様に成形品を得た後、金属薄膜層を14nmとした以外は同様とした。
下記実施例及び比較例で作製した積層成形体について、金属薄膜層の表面の表面反射率を、東京電色社製の反射率測定器TR-1100AD/Sを用いて、JIS-Z8741に準拠して測定した。金属薄膜層表面における測定箇所は、フラット形状でかつ、突起物がない部分を3箇所選定し、測定を行った。この測定は常温下で行い、前記3箇所の測定結果の平均値を表面反射率とした。
下記実施例及び比較例で作製した積層成形体について、JIS-K5600に準拠したクロスカット法で、金属薄膜層と樹脂組成物からなる成形品との密着性を評価した。
積層成形体を、23℃、24時間放置した後、金属薄膜層の表面に1mm間隔で100マスになるように、刃で、成形品に達する深さのキズを入れた。キズを入れた金属薄膜層表面にニチバンの粘着テープ(CT-18)を密着させ、斜め30度の角度方向に、瞬時に引き剥がして、金属薄膜層を剥離させた。剥離した金属薄膜層のマスの個数で、以下のように判定した。100マス中の剥離数が50マス未満、すなわち、密着性の評価が○又は◎の場合、金属薄膜層と成形品との密着性が良好である。
◎(非常に良好):100マス中、剥離数が0マス(完全密着)以上20マス未満
○(良好) :100マス中、剥離数が20マス以上50マス未満
△(やや不良) :100マス中、剥離数が50マス以上80マス未満
×(不良) :100マス中、剥離数が80マス以上100マス以下
下記実施例及び比較例で作製した積層成形体を、60℃(±5℃)、90%RH(±5%RH)環境下で、金属薄膜層の表面が他の積層成形体と接触しないようにして固定した。100時間経過後、該積層成形体を取り出して、23℃で24時間放置した後に、上述する方法で表面反射率及び密着性を評価した。
<ポリフェニレンエーテル(i)>
(i-1)
還元粘度(ηsp/c値)0.42dL/g、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たりの末端OH基の数は0.50個、ポリフェニレンエーテルを構成するこのマーユニット100個に対するN、N-ジブチルアミノメチル基の数は0.86個、のポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルを用いた。
(i-2)
還元粘度(ηsp/c値)0.31dL/g、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たりの末端OH基の数は0.73個、ポリフェニレンエーテルを構成するこのマーユニット100個に対するN、N-ジブチルアミノメチル基の数は0.40個、のポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレン)エーテルを用いた。
なお、本実施例において、ポリフェニレンエーテル(i)の還元粘度(ηsp/c値)は、ポリフェニレンエーテル(i)を、0.5g/dLのクロロホルム溶液として、ウベローデ型粘度管を用いて、30℃で測定した。還元粘度の単位はdL/gである。
(ii)
有機リン酸化合物(化学名:9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド。商品名:HCA〔登録商標〕、三光社製)を用いた。
(B-1)
モンタン酸カルシウム;酸価0.8mg/g、融点120℃、を用いた。
(B-2)
モンタン酸亜鉛;酸価3.0mg/g、融点110℃、を用いた。
(B-3)
ベヘン酸カルシウム;酸価1.0mg/g、融点142℃、を用いた。
(PEP-36)
リン系酸化防止剤(化学名:3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン。アデカ社製、商品名:アデカスタブPEP-36〔登録商標〕)を用いた(以下、「PEP-36」とする)。
(GPPS)
ゼネラルパーパスポリスチレン。商品名:ポリスチレン680[登録商標]、PSジャパン(株)社製を用いた(以下、「GPPS」とする)。
(SEBS)
重量平均分子量71200、結合スチレン量32質量%の、ポリスチレンブロックと水素添加率98%の水添ブタジエンブロックとを有する三型タイプの水添ブロック共重合体を用いた(以下、「SEBS」とする)。
(i-1)70質量部、(ii)0.7質量部をタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練ペレットを得た。このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P-NMR(single plus法)及び1H-NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H-NMRの2.8~3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0~7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(9)、(10)の構造ユニットを合わせて0.30個含むことを確認した。
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31P
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
1H-NMR 測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :1H
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single-Plus
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
以下、ポリフェニレンエーテルの31P-NMR及び1H-NMRの測定は、上記の条件で行った。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピーク積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(1)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たり、下記の化学式(11)の構造ユニットを0.02個含むことを確認した。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの反応性化合物の付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])}・・・(1)
また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
装置 :Bruker Biospin Avance 600
観測核 :13C
観測周波数 :150.9MHz
測定法 :逆ゲートデカップリング法
パルス幅 :30°
待ち時間 :10秒
積算回数 :2,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:TMS 0ppm
以下、ポリフェニレンエーテルの13C-NMRの測定は、上記の条件で行った。
化学式(10)の構造ユニットに対する化学式(9)の構造ユニットの割合は、31P-NMRにて、化学式(10)の構造ユニット由来の38~42ppmのピーク積分値に対する、化学式(9)の構造ユニット由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することで求められ、25モル%であった。
得られたペレット、及びスチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)、酸化防止剤(PEP-36)、脂肪酸金属塩(B-1)を用いて、表1及び2に示した配合比で、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。
(i-2)70質量部、(ii)0.7質量部を混合したものを実施例1と同様に溶融混練しペレットを得た。得られたペレットをポリフェニレンパウダーとして、反応性化合物の付加量を実施例1と同様に定量したところ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造ユニットを合わせて0.26個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピーク積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(1)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たり、化学式(11)の構造ユニットを0.04個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
化学式(10)の構造ユニットに対する化学式(9)の構造ユニットの割合は、31P-NMRにて、化学式(10)の構造ユニット由来の38~42ppmのピーク積分値に対する、化学式(9)の構造ユニット由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することで求められ、27モル%であった。
得られたペレット、及びスチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)、酸化防止剤(PEP-36)、脂肪酸金属塩(B-1)を用いて、表1に示した配合比で、溶融混練して樹脂組成物を得た。
(i-1)40質量部、(i-2)30質量部、(ii)0.7質量部を混合したものを実施例1と同様に溶融混練しペレットを得た。得られたペレットをポリフェニレンパウダーとして、反応性化合物の付加量を実施例1と同様に定量したところ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造ユニットを合わせて0.28個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピーク積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(1)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たり、化学式(11)の構造ユニットを0.03個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
化学式(10)の構造ユニットに対する化学式(9)の構造ユニットの割合は、31P-NMRにて、化学式(10)の構造ユニット由来の38~42ppmのピーク積分値に対する、化学式(9)の構造ユニット由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することで求められ、26モル%であった。
得られたペレット、及びスチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)、脂肪酸金属塩(B-1)~(B-3)を用いて、表1及び2に示した配合比で、溶融混練して樹脂組成物を得た。
(i-1)70質量部、(ii)0.35質量部を混合したものを実施例1と同様に溶融混練しペレットを得た。得られたペレットをポリフェニレンパウダーとして、反応性化合物の付加量を実施例1と同様に定量したところ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造ユニットを合わせて0.14個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピーク積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(1)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たり、化学式(11)の構造ユニットを0.01個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
化学式(10)の構造ユニットに対する化学式(9)の構造ユニットの割合は、31P-NMRにて、化学式(10)の構造ユニット由来の38~42ppmのピーク積分値に対する、化学式(9)の構造ユニット由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することで求められ、23モル%であった。
得られたペレット、スチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)、酸化防止剤(PEP-36)、脂肪酸金属塩(B-1)を用いて、表1に示した配合比で、溶融混練して樹脂組成物を得た。
(i-2)70質量部、(ii)0.35質量部を混合したものを実施例1と同様に溶融混練しペレットを得た。得られたペレットをポリフェニレンパウダーとして、反応性化合物の付加量を実施例1と同様に定量したところ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造ユニットを合わせて0.13個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピーク積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(1)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たり、化学式(11)の構造ユニットを0.01個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
化学式(10)の構造ユニットに対する化学式(9)の構造ユニットの割合は、31P-NMRにて、化学式(10)の構造ユニット由来の38~42ppmのピーク積分値に対する、化学式(9)の構造ユニット由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することで求められ、24モル%であった。
得られたペレット、及びスチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)、酸化防止剤(PEP-36)、脂肪酸金属塩(B-1)を用いて、表1に示した配合比で、溶融混練して樹脂組成物を得た。
(i-1)40質量部、(i-2)30質量部、(ii)0.35質量部を混合したものを実施例1と同様に溶融混練しペレットを得た。得られたペレットをポリフェニレンパウダーとして、反応性化合物の付加量を実施例1と同様に定量したところ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造ユニットを合わせて0.14個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピーク積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(1)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たり、化学式(11)の構造ユニットを0.02個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
化学式(10)の構造ユニットに対する化学式(9)の構造ユニットの割合は、31P-NMRにて、化学式(10)の構造ユニット由来の38~42ppmのピーク積分値に対する、化学式(9)の構造ユニット由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することで求められ、24モル%であった。
得られたペレット、及びスチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)、酸化防止剤(PEP-36)、脂肪酸金属塩(B-1)を用いて、表2に示した配合比で、溶融混練して樹脂組成物を得た。
ポリフェニレンエーテル(i-1)及び/又は(i-2)、スチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)を用いて、表2に示した配合比で、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53);ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た。
(i-2)70質量部、(ii)3質量部を混合したものを実施例1と同様に溶融混練しペレットを得た。得られたペレットをポリフェニレンパウダーとして、反応性化合物の付加量を実施例1と同様に定量したところ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造ユニットを合わせて2.1個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピーク積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(1)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たり、化学式(11)の構造ユニットを0.82個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
化学式(10)の構造ユニットに対する化学式(9)の構造ユニットの割合は、31P-NMRにて、化学式(10)の構造ユニット由来の38~42ppmのピーク積分値に対する、化学式(9)の構造ユニット由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することで求められ、23モル%であった。
得られたペレット、及びスチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)を用いて、表2に示した配合比で、溶融混練して樹脂組成物を得た。
(i-1)58質量部、(ii)0.35質量部を混合したものを実施例1と同様に溶融混練しペレットを得た。得られたペレットをポリフェニレンパウダーとして、反応性化合物の付加量を実施例1と同様に定量したところ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、化学式(9)、(10)の構造ユニットを合わせて0.15個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C-NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピーク積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(1)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個当たり、化学式(11)の構造ユニットを0.03個含むことを確認した。また、1H-NMRにて、3.5~5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
化学式(10)の構造ユニットに対する化学式(9)の構造ユニットの割合は、31P-NMRにて、化学式(10)の構造ユニット由来の38~42ppmのピーク積分値に対する、化学式(9)の構造ユニット由来の34~36ppmのピークの積分値の割合を計算することで求められ、23モル%であった。
得られたペレット、及びスチレン系樹脂(GPPS)、エラストマー成分(SEBS)、酸化防止剤(PEP-36)、脂肪酸金属塩(B-1)を用いて、表2に示した配合比で、溶融混練して樹脂組成物を得た。
Claims (11)
- 樹脂組成物からなる成形品と、金属薄膜層とを含む、積層成形体であり、
該樹脂組成物が、ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)と、脂肪酸金属塩(B)とを含み、
該ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)は、ポリフェニレンエーテル(i)と、分子内に下記式(I)又は式(II)(式(II)中、Rは炭素数1~8の三価の飽和炭化水素基又は炭素数6~12の三価の芳香族炭化水素基である。)の化学構造を有する有機リン化合物、該有機リン化合物以外のホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、及びカーボネート類からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物(ii)とを、該成分(i)、該化合物(ii)の合計100質量%に対して、該成分(i)95~99.95質量%、該化合物(ii)0.05~5質量%含有する原料を押出機で溶融混練して押出したものであることを特徴とする、積層成形体。
- 前記樹脂組成物が、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)100質量%に対し、前記脂肪酸金属塩(B)0.1~3質量%を含む、請求項1に記載の積層成形体。
- 前記樹脂組成物が、該樹脂組成物100質量%に対し、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂(A)59~98質量%と、スチレン系樹脂(C)0~30質量%と、エラストマー成分(D)1~35質量%とを含む、請求項1又は2に記載の積層成形体。
- 前記ポリフェニレンエーテル(i)が、下記化学式(1)、(2)及び(3)からなる群から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層成形体。
- 前記ポリフェニレンエーテル(i)を構成するモノマーユニット100個当たり、前記化学式(1)、(2)及び(3)からなる群から選択される1つ以上の構造のユニットを0.01~10.0個含有する、請求項4に記載の積層成形体。
- 前記化学式(2)に示す構造のユニットに対する前記化学式(1)に示す構造のユニットの割合が、0~30モル%である、請求項4又は5に記載の積層成形体。
- 前記化学式(1)及び/又は(2)に示す構造のユニットと、前記化学式(3)に示す構造のユニットとを含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の積層成形体。
- 前記脂肪酸金属塩(B)が、炭素数22~28の脂肪酸金属塩である、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層成形体。
- 前記金属薄膜層の厚みが12nm以下である、請求項1~9のいずれか一項に記載の積層成形体。
- 前記金属薄膜層が、アルミニウムからなる蒸着膜である、請求項1~10のいずれか一項に記載の積層成形体。
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