JP2016176036A - 表面処理剤、表面処理部材および表面処理部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このため、撥水撥油性の要求される表面処理剤の材料として、炭素数の少ないパーフルオロアルキル基を有するポリマーを用いることが検討されている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。
また、本発明は、撥水撥油性に優れた表面を有する表面処理部材およびその製造方法を提供することを課題とする。
[1] 微粒子と、前記微粒子の表面に結合された炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含むフッ素ポリマーとを含む複合微粒子を含むことを特徴とする表面処理剤。
CnF2n+1−X−OCO−CY=CH2 ・・・(1)
但し、上記式(1)において、Xは2価の有機基、nは1〜6の整数、YはHまたは炭素数1〜4のアルキル基である。
CaH2a・・・(2)
SO2N(R)CbH2b・・・(3)
但し、上記式(2)において、aは1〜4の整数である。上記式(3)において、bは1〜4の整数、 RはHまたは炭素数1〜4のアルキル基である。
[5] 前記微粒子が、シリカまたは金属酸化物からなるものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか一項に記載の表面処理剤。
前記撥水撥油処理面が、微粒子と、前記微粒子の表面に結合された炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含むフッ素ポリマーとを含む複合微粒子に由来する凹凸が形成されているものであることを特徴とする表面処理部材。
[8] 前記撥水撥油処理面における複合微粒子の密度が、1×105個/mm2以上であることを特徴とする[7]に記載の表面処理部材。
本実施形態の表面処理剤は、複合微粒子を有機溶媒や水などの溶媒に分散させたものである。表面処理剤は、基材表面に塗布することにより、基材表面に撥水撥油性を付与できるものである。有機溶媒としては、α,α,α−トリフルオロトルエン、α,α,α−トリフルオロ−m−キシレン、α,α,α−トリフルオロ−p−キシレン、1,3−ビストリフルオロメチルベンゼン、1,4−ビストリフルオロメチルベンゼン、ペルフルオロデカン、ペルフルオロオクタン、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロシクロへキサン、ペルフルオロデカリン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ハイドロフルオロエーテルなどのフッ素系溶媒が挙げられる。
本実施形態の複合微粒子は、微粒子と、微粒子の表面に共有結合により化学的に結合されたフッ素ポリマーとを含むものである。
フッ素ポリマーの分子量は、特に限定されないが、1000〜100000であることが好ましい。フッ素ポリマーの分子量が上記範囲内である場合、複合微粒子の製造時にリビングラジカル重合の条件を制御することで容易に製造できるとともに、フッ素ポリマーとしての特性を十分に発揮できる複合微粒子となるため好ましい。
また、フッ素ポリマー分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、1.0〜1.5の範囲であることが好ましい。フッ素ポリマー分子量分布が上記範囲内である場合、品質のばらつきの少ない複合微粒子となるため好ましい。
CnF2n+1−X−OCO−CY=CH2 ・・・(1)
但し、上記式(1)において、Xは2価の有機基、nは1〜6の整数、YはHまたは炭素数1〜4のアルキル基である。
CaH2a・・・(2)
SO2N(R)CbH2b・・・(3)
但し、上記式(2)において、aは1〜4の整数である。上記式(3)において、bは1〜4の整数、 RはHまたは炭素数1〜4のアルキル基である。
グラフト密度が0.1/nm2以上である場合、フッ素ポリマーの特性に基づく機能がより効果的に得られる複合微粒子となる。
次に、本実施形態の複合微粒子の製造方法について説明する。
本実施形態の複合微粒子を製造するには、まず、微粒子と重合開始剤とを反応させて、前記微粒子の表面に重合開始基を導入する(重合開始基付与工程)。
塩基としては、例えば、アンモニアやアミン化合物、第4級アンモニウム塩水酸化物、金属水酸化物などを用いることができる。
本実施形態におけるリビングラジカル重合は、モノマー中に、表面に重合開始基の導入された微粒子を分散させて行ってもよいし、モノマーを溶解させた溶媒中に、表面に重合開始基の導入された微粒子を分散させて行ってもよい。
以上の工程により、微粒子の表面に結合された炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含むフッ素ポリマーが生成される。
次に、本発明の表面処理部材および表面処理部材の製造方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の表面処理部材の一例を説明するための概略図である。図1において、符号10は表面処理部材を示している。表面処理部材10は、基材1の一方の面1aの表面全面が撥水撥油処理面2であるものである。
また、基材1の表面は、フィルター、防塵マスク、燃料電池などの製品の外面であってもよい。
例えば、表面処理剤が、水系塗料や溶媒系塗料などの塗料に複合微粒子を添加したものである場合、基材1を乾燥させる方法は、塗料の種類に応じて決定できる。具体的には、塗料に光硬化性樹脂が含まれている場合には、基材1を乾燥させる際に基材1の表面処理剤の塗布された部分に光を照射して、光硬化性樹脂を硬化させてもよい。また、塗料に熱硬化性樹脂が含まれている場合には、基材1を乾燥させる際に基材1を加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させてもよい。
したがって、撥水撥油処理面2は、複合微粒子3に含まれるフッ素ポリマーによる撥水撥油機能だけでなく、複合微粒子3に由来する凹凸による撥水撥油機能が得られるものであり、これら両方の撥水撥油機能に基づく優れた撥水撥油性を有するものである。よって、本実施形態の表面処理部材10は、優れた撥水撥油性を有するものとなる。
以下に示す方法により、実施例1〜実施例3、比較例1〜比較例4の表面処理部材を製造し、 以下に示す方法により撥水撥油性を評価した。
基材として、スライドガラスを用意した。また、表面処理剤として、表1に示す微粒子とフッ素ポリマーとを含み、以下に示す方法により製造された複合微粒子を含むものを用意し、トリフルオロトルエン中に複合微粒子の濃度が1質量%となるように分散させて使用した。
そして、基材の一方の面の表面全面に、キャスト法により表面処理剤を塗布し、大気中に放置することにより乾燥させて、実施例1の表面処理部材を得た。
粒径290nmのシリカからなる微粒子(商品名:シーホスターKE−E30、日本触媒社製)と、上記式(5)で示される重合開始剤とを反応させて、微粒子の表面に重合開始基を導入した(重合開始基付与工程)。
以上の工程により、実施例1の複合微粒子を得た。
モノマーとして下記式(7)で表されるモノマーを用いたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理部材を得た。
複合微粒子として、シリカからなる微粒子の粒径を130nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして製造した複合微粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理部材を得た。
トリフルオロトルエン中に複合微粒子に代えて表1に示す微粒子のみを分散させたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理部材を得た。
トリフルオロトルエン中に複合微粒子に代えて表1に示すフッ素ポリマーのみを分散させたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理部材を得た。
トリフルオロトルエン中に複合微粒子に代えて表1に示すフッ素ポリマーのみを分散させたこと以外は、実施例2と同様にして表面処理部材を得た。
トリフルオロトルエン中に複合微粒子に代えて、実施例1において用いた複合微粒子の材料である表1に示す微粒子とフッ素ポリマーとを反応させずに分散させたこと以外は、実施例1と同様にして表面処理部材を得た。
水またはヘキサデカンと、表面処理部材の表面との接触角を測定することにより、評価した。接触角の測定には、協和界面科学(株)のCA−A型接触角計を使用した。水およびヘキサデカンの液滴量は20μlとし、表面処理部材上の任意の5点で接触角を測定し、その平均値を算出した。その結果を表2に示す。
σ=(w/Mn)Av/(πdc2) ・・・(1)
但し、上記数式(1)において、wは複合微粒子中のフッ素ポリマーの重量、Mnはフッ素ポリマーの数平均分子量、Avはアボガドロ数(6、0×1023)、dcは微粒子の直径である。
Claims (8)
- 微粒子と、前記微粒子の表面に結合された炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含むフッ素ポリマーとを含む複合微粒子を含むことを特徴とする表面処理剤。
- 前記フッ素ポリマーが下記式(1)で表されるパーフルオロアルキル基を有するモノマーの重合物であることを特徴とする表面処理剤。
CnF2n+1−X−OCO−CY=CH2 ・・・(1)
但し、上記式(1)において、Xは2価の有機基、nは1〜6の整数、YはHまたは炭素数1〜4のアルキル基である。 - 上記式(1)において、Xが下記式(2)または下記式(3)で表される有機基であることを特徴とする請求項2に記載の表面処理剤。
CaH2a・・・(2)
SO2N(R)CbH2b・・・(3)
但し、上記式(2)において、aは1〜4の整数である。上記式(3)において、bは1〜4の整数、 RはHまたは炭素数1〜4のアルキル基である。 - 前記微粒子上における前記フッ素ポリマーのグラフト密度が0.1/nm2以上であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の表面処理剤。
- 前記微粒子が、シリカまたは金属酸化物からなるものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の表面処理剤。
- 基材表面の少なくとも一部に撥水撥油処理面を有する表面処理部材の製造方法であって、
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の表面処理剤を、前記基材表面の少なくとも一部に塗布する工程を含むことを特徴とする表面処理部材の製造方法。 - 基材表面の少なくとも一部に撥水撥油処理面を有する表面処理部材であって、
前記撥水撥油処理面が、微粒子と、前記微粒子の表面に結合された炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基を含むフッ素ポリマーとを含む複合微粒子に由来する凹凸が形成されているものであることを特徴とする表面処理部材。 - 前記撥水撥油処理面における複合微粒子の密度が、1×105個/mm2以上であることを特徴とする請求項7に記載の表面処理部材。
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