JP2013155375A - ナノコンポジット、ナノ分散液、その製造方法及び該分散液からなる各種剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式(I)
[式中、Rfはパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキサアルキル基など]で表わされる含フッ素系化合物と一般式(III)
[式中、Xはビニル基、スチリル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、四級アンモニウム基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアナート基、アルコキシ基、スルホ基およびリン酸基からなる群から選ばれる官能基であり、Aは二価の炭化水素基であり、酸素原子、窒素原子、硫黄原子を含んでいてもよく、R1は水酸基であり、R2はアルキル基、アルコキシアルキル基または水素原子であり、mは1または2である。]で表されるシランカップリング剤とを含んでなるナノコンポジット。
【選択図】なし
Description
(1) 一般式(I)
で示される基、Rはアルキル基、アルコキシアルキル基または水素原子、nは2〜100である。]
で表わされる含フッ素系化合物と一般式(III)
で表されるシランカップリング剤とを含んでなるナノコンポジット。
(2) 含フッ素系化合物が式(II)
で表わされるものである前記(1)記載のナノコンポジット。
(3) 前記(1)または(2)に記載のナノコンポジットが溶媒に分散されてなるナノ分散液。
(4) 溶媒が非水性溶媒、疎水性溶媒である前記(3)に記載のナノ分散液。
(5) 前記(1)または(2)に記載の含フッ素系化合物と前記(1)に記載のシランカップリング剤とを溶媒中で混合させることを特徴とする前記(3)または(4)に記載のナノ分散液の製造方法。
(6) 前記(3)または(4)に記載のナノ分散液からなるコーティング剤。
(7) 前記(3)または(4)に記載のナノ分散液からなる添加剤。
本発明のナノコンポジットは、上記式(I)の含フッ素系化合物と上記式(III)のシランカップリング剤とのナノ粒子複合体を含んでなり、好ましくは該ナノ粒子複合体のみからなるものである。
上記含フッ素系化合物としては、特に上記式(II)で表わされるものが好ましい。具体的には、RFで示されるフルオロアルキル基は−CF(CF3)OC3F7で表される基が特に好ましく、Rで示される基はメチル基、つまり−Si(OCH3)3が特に好ましい。
Rf基を含む有機過酸化物としては、上記に例示するような対応するRf基を両末端に有する過酸化物が好ましく、このような過酸化物にはRf−CO−OO−OC−Rfで示される化合物(式中のRf基は、互いに同一でもよいし、また異なっていてもよい)が挙げられる。
含フッ素化合物は、全末端に上記Rf基が導入された化合物とともに、片末端のみに上記Rf基が導入された化合物を含んでいてもよく、さらに、ラジカルの連鎖移動により溶媒などに由来する基や不均化反応によるラジカル停止反応に由来する基が片末端に導入されたものを含んでいてもよい。
本発明のナノコンポジットは、上記式(I)の含フッ素系化合物と上記式(III)のシランカップリング剤を、溶媒中、酸性またはアルカリ性下で混合させ、ナノ分散液を調製し、ナノ分散液から溶媒を除去することによって得ることができる。
この製造法に用いられる溶媒としては水と有機溶媒との混合溶媒が好ましく、このような溶媒は酢酸、塩酸、硫酸、硝酸等の酸などでpHを酸性に、アンモニア、水酸化ナトリウムなどの無機塩基、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機塩基でpHをアルカリ性に調製され、有機溶媒として、好ましくはメタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール系溶媒、エチレングリコールやプロピレングリコールなどのグリコール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、3−メトキシ−3−メチルブタノールなどの親水性溶媒が挙げられるが、操作性、安全性等からpH調製には塩酸、アンモニア水を、有機溶媒にはイソプロピルアルコールを用いるのが好ましい。
なお、上記式(III)のシランカップリング剤は、それ自身が酸性を示すため、酸性下での混合の場合は、上記酸を用いなくてもよい。
溶媒のpHは、酸性側で1〜6、アルカリ性側で8〜14が好ましく、2〜4および9〜12がより好ましい。
水と有機溶媒との混合比率は、任意に変更できるが、水:有機溶媒=0.1:9.9〜5:5が好ましく、含フッ素化合物の溶解性などを考慮すると水:有機溶媒=1:9〜3:7(w/w)がより好ましい。
含フッ素化合物とシランカップリング剤との混合割合は任意に決定できるが、目的の撥油性および親水性を示すためには、シランカップリング剤は含フッ素化合物の2〜100倍重量が好ましく、2〜10倍がより好ましい。
混合は、通常5℃から溶媒の沸点未満の該沸点付近までの温度、好ましくは常温、常圧で行われる。
ナノ分散液から溶媒を除去するには、例えば溶媒を留去したり、蒸発させるなどすればよい。
本発明のナノ分散液は、上記ナノコンポジットの製造法において、溶媒を除去する最終工程の前の段階までで止めることによって得られ、また、ナノコンポジットを溶媒に分散させることによっても調製される。
本発明のナノ分散液は、硬表面、例えばガラス、金属、セラミックス、プラスチック、車体等の塗装板等に撥水・撥油性、親水・撥油性を付与することができ、高い防汚効果を示すコーティング剤等として利用しうる。また、塗料や樹脂へ添加することで、その乾燥表面にナノ物質またはナノコンポジットを配向させることが出来るため、乾燥後の塗膜や樹脂表面に撥水・撥油、親水・撥油性を付与することができ、高い防汚効果を示す添加剤等として利用しうる。
なお、実施例、比較例における平均粒径は、ダイナミック光散乱光度計(大塚電子株式会社製「DLS−7000H」)を用いて測定した。
実施例1〜3において、含フッ素系化合物をトリフルオロプロピルトリメトキシシランに代えて同様の操作を行った。
上記実施例および比較例の透明分散液に、表面をイソプロパノールで脱脂したプレパラート(76mm×26mm)をディップ処理したのち、室温で1日乾燥させ、水およびドデカンに対する接触角を、協和界面科学社製のDM700型全自動接触角計を用い測定した。
測定結果を表1に示す。
実施例1から3において、透明分散液について、その中の微細粒子の平均粒径を動的光散乱法によって測定した。その結果、該平均粒径は約180〜670nmであり、含フッ素系化合物のナノ粒子の生成が確認された。
このナノコンポジット分散液でコーティング処理されたガラスに対する拡張・収縮法による水の接触角の測定写真(収縮後)を図1に示す。
これより、一旦基材表面に水滴を作成しておき、シリンジから水を吸い上げたときに、基材表面が親水性であるため、表面が濡れている状態を呈することが分かる。
実施例4において、シランカップリング剤の添加分をイソプロパノールに置き換えて同様の操作を行った。
得られた分散液でコーティング処理されたガラスに対する拡張・収縮法による水の接触角の測定写真(収縮後)を図2に示す。
これより、基材表面が撥水性であるため、シリンジから水を吸い上げても表面が濡れていない状態を呈することが分かる。
上記実施例および比較例の透明分散液に、表面をイソプロパノールで脱脂したプレパラート(76mm×26mm)をディップ処理したのち、室温で1日乾燥させ、ドデカンに対する接触角を、協和界面科学社製のDM700型全自動接触角計を用い測定した。また、水に対する接触角を拡張・収縮法により測定した。
測定結果を表2に示す。
実施例4の透明分散液について、その中の微細粒子の平均粒径を動的光散乱法によって測定した。その結果、該平均粒径は約225nmであり、含フッ素系化合物ナノコンポジットの生成が確認された。
実施例5においてナノコンポジット1gをイソプロパノール1gに置き換えて同様の操作を行った。
上記実施例および比較例で得られた乾燥塗膜表面の水およびドデカンに対する接触角を、協和界面科学社製のDM700型全自動接触角計を用い測定した。また、乾燥塗膜をセロテープでポリプロピレン樹脂から剥がし、プレート側(乾燥塗膜裏面)についても同様に水およびドデカンの接触角を測定した。
実施例7においてナノコンポジット1gをイソプロパノール1gに置き換えて同様の操作を行った。
上記実施例および比較例で得られた樹脂被膜表面のドデカンに対する接触角を、協和界面科学社製のDM700型全自動接触角計を用い測定した。また、樹脂被膜をセロテープでポリプロピレン樹脂から剥がし、プレート側(樹脂被膜裏面)についても同様にドデカンの接触角を測定した。水に対する接触角は拡張・収縮法により測定した。
また、本発明に係る含フッ素系化合物を用いてなる実施例1〜3の分散液は、ドデカンに対する接触角が比較例1〜3のそれよりも遥かに高く、撥油性に優れるうえに、水に対する接触角も高く、撥水性にも優れることが分かる。
また、上記含フッ素系化合物とシランカップリング剤とのナノコンポジットを用いてなる実施例4の分散液においては、親水性を付加させることが可能であることが分かる。さらに、本シランカップリング剤はスルホ基を有すため、例えばナトリウムイオン等を含む水溶液を用いてそのコーティング表面を処理することで、イオン交換が生じ親水性能をさらに向上させることができる。
これらより、本発明のナノ物質またはナノコンポジットを用いてなる分散液は、それで表面処理することで、硬表面、例えばガラス、金属、セラミックス、プラスチック、車体等の塗装板等に撥水・撥油性、親水・撥油性を付与することができ、高い防汚効果を奏することが分かる。
一方、実施例5および6において乾燥塗膜表面は裏面よりも撥油効果が高く、その効果は比較例5よりも遥かに高い。さらに、水に対しては実施例5では親水性、実施例6では撥水性を示している。よって、ナノ物質またはナノコンポジットは塗膜表面側に効率よく配向していることが分かる。また、同様に実施例7および8において樹脂表面は裏面よりも撥油効果が高く、その効果は比較例6よりも遥かに高い。さらに、水に対しては実施例7で親水性、実施例8で撥水性を示している。よって、樹脂中においてもナノ物質またはナノコンポジットは表面側により多く配向している。
これらより、本発明のナノ物質またはナノコンポジットを用いてなる分散液は、塗料や樹脂等および骨再生・修復材料や歯科材料に添加することによって、それら乾燥被膜表面に撥水・撥油性、親水・撥油性を付与することが出来、高い防汚効果を奏することが分かる。
Claims (7)
- 一般式(I)
で示される基、Rはアルキル基、アルコキシアルキル基または水素原子、nは2〜100である。]
で表わされる含フッ素系化合物と一般式(III)
で表されるシランカップリング剤とを含んでなるナノコンポジット。 - 含フッ素系化合物が式(II)
で表わされるものである請求項1記載のナノコンポジット。 - 請求項1または2に記載のナノコンポジットが溶媒に分散されてなるナノ分散液。
- 溶媒が非水性溶媒、疎水性溶媒である請求項3に記載のナノ分散液。
- 請求項1または2に記載の含フッ素系化合物と請求項1に記載のシランカップリング剤とを溶媒中で混合させることを特徴とする請求項3または4に記載のナノ分散液の製造方法。
- 請求項3または4に記載のナノ分散液からなるコーティング剤。
- 請求項3または4に記載のナノ分散液からなる添加剤。
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