JP2016172887A - 銅合金ターゲット - Google Patents
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Abstract
【課題】合金色やスパッタリング成膜が純銅や純銅成膜のように変色せず、非活性フラックス処理後であっても良好なはんだ接合性を示す、優れたはんだ濡れ性を有する銅合金成膜を安価に形成することができるはんだ接合電極成膜用銅合金、及びはんだ接合電極成膜用銅合金ターゲットを提供する。【解決手段】本発明に係るはんだ接合電極成膜用銅合金は、銅を主成分とし、パラジウムが10質量%を超えて49質量%未満、ニッケル及び錫からなる群から選択される1種以上が0.1質量%以上3質量%以下の割合で含有されてなる。また、銅合金ターゲットは、このような銅合金を用いて形成される。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば電子部品や半導体素子の外部電極等をはんだ接合するために用いる銅合金ターゲットに関し、より詳しくは、電子部品や半導体素子の外部電極等の最外層膜として、はんだ接合するために好適な銅合金膜を形成するために用いるはんだ接合電極用銅合金ターゲットに関する。
一般に、電子部品や半導体素子の外部電極等をはんだ接合する場合の接続先の合金は、はんだとの濡れ性が高まるような状態で行われる。
例えば、接続部品の骨格を構成する合金がFe−42質量%Ni合金(42アロイ)の場合には、接続面に金めっきを施したり、Cu−2.4質量%Fe−0.03質量%P−0.12質量%Zn(アロイ194)の場合には、銀めっき上にさらに錫めっきを施したり、あるいはニッケルめっき上にさらにパラジウムめっきを施したり、いずれもはんだ接合時における溶融はんだとの濡れ性を高める工夫を施している。
ところで、電子部品や半導体素子の外部電極をはんだ接合する場合の接続先の合金においては、電極の外観を重要視する場合があり、電極としては銅のように変色せず、またその色については銀白色にしたいとの要求があるものがある。銀白色を呈する純金属にはパラジウムやニッケル等があるが、パラジウム等の貴金属は非常に高価であるという問題があり、またニッケルについてははんだ付けが容易に行われないという問題がある。また、銅を70質量%含むニッケルとの合金も変色し難く銀白色を呈するが、信頼性の高いはんだ接合は難しい。
また、特許文献1に記載の銅に10質量%未満でパラジウムを添加した合金、例えばCu−1質量%Pdのゼロクロスタイムは5秒を超え、なんとかはんだに濡れる濡れ性は有するものの、外観色は銀白色とはならず銅色であった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、合金色やスパッタリング成膜が純銅や純銅成膜のように変色せず、非活性フラックス処理後であっても良好なはんだ接合性を示す、優れたはんだ濡れ性を有する銅合金成膜を安価に形成することができるはんだ接合電極成膜用銅合金ターゲットを提供することを目的とする。
本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、銅を主成分とする銅合金において、所定の割合でパラジウムを含有させるとともに、所定の割合でニッケル及び/又は錫を含有させることによって、変色を抑制することができ、また優れたはんだ濡れ性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
(1)本発明の第1の発明は、銅を主成分とし、パラジウムが10質量%を超えて49質量%未満、ニッケル及び錫からなる群から選択される1種以上が0.1質量%以上3質量%以下の割合で含有されてなることを特徴とするはんだ接合電極用銅合金ターゲットである。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、浴温245℃のSn−3.5質量Ag−0.5質量%Cuはんだ浴を用いて、JIS C 60068−2−54に準拠した試験方法にて測定された、熱平衡状態で接している該はんだ浴と当該銅合金ターゲットによるスパッタリング成膜との接触角が90度以下となるゼロクロスタイムが5秒以内であることを特徴とするはんだ接合電極成膜用銅合金ターゲットである。
本発明に係る銅合金及びそれを用いた銅合金ターゲットによれば、銅を主成分として、10質量%を超えて49質量%未満の割合でパラジウムを含有し、かつニッケル及び/又は錫を0.1質量%以上3質量%以下の割合で含有するものであることにより、安価で、純銅による成膜に比べて酸化変色がなく、銀白色の良好な外観を有する金属膜を成膜することができる。また、塩素を含まない、いわゆる非活性フラックス処理後であっても。良好なはんだ接合性を示し、優れたはんだ濡れ性を有する。
以下、本発明に係るはんだ接合電極成膜用銅合金ターゲットの具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において種々の変更が可能である。
<1.銅合金ターゲット>
本実施の形態に係るはんだ接合電極成膜用銅合金ターゲット(以下、単に「銅合金ターゲット」ともいう)は、銅を主成分とする銅合金であって、パラジウムと、ニッケル及び/又は錫を、それぞれ所定の割合で添加成分として含有する銅合金を用いて形成される。具体的に、この銅合金ターゲットは、銅が主成分として51質量%以上の割合で含有され、パラジウムが10質量%を超えて49質量%未満の割合で含有され、さらにニッケル及び錫からなる群から選択される1種以上が0.1質量%以上3質量%以下の割合で含有されてなることを特徴としている。
本実施の形態に係るはんだ接合電極成膜用銅合金ターゲット(以下、単に「銅合金ターゲット」ともいう)は、銅を主成分とする銅合金であって、パラジウムと、ニッケル及び/又は錫を、それぞれ所定の割合で添加成分として含有する銅合金を用いて形成される。具体的に、この銅合金ターゲットは、銅が主成分として51質量%以上の割合で含有され、パラジウムが10質量%を超えて49質量%未満の割合で含有され、さらにニッケル及び錫からなる群から選択される1種以上が0.1質量%以上3質量%以下の割合で含有されてなることを特徴としている。
ここで、銅にパラジウムを10質量%を超える割合で添加すると、その合金やその合金を用いたスパッタリング方式による成膜は銀白色を示すようになり、大気中の加熱による変色も穏やかになる。しかしながら、はんだ付け処理を行うにあたっては、塩素を含むいわゆる活性フラックスによる酸化膜除去処理が必要となっていた。
これに対して、本実施の形態に係る銅合金ターゲットによれば、上述したように、所定の割合でパラジウムを含有するとともに、所定の割合でニッケル、錫のうちの少なくとも1種を含有してなる。このことにより、その合金やその合金を用いたスパッタリング成膜は、銀白色の色を呈して、大気中における酸化等による変色を効果的に抑制する優れた外観性能は維持するとともに、はんだ付け処理においては塩素を含まないいわゆる非活性フラックス処理であっても良好にはんだ接合を行うことができる。
パラジウムの含有量に関して、銅合金中のパラジウムの含有量が10質量%以下であると、その合金やスパッタリング成膜の外観色が銀白色ではなく淡い銅色を呈する上、経時変色によってははんだ濡れ性が悪化してしまうことがあり、成膜の変色についての品質管理を徹底しなければならない。一方で、パラジウムの含有量が49質量%以上となると、成膜の変色やはんだ濡れ性には大きな変化はないものの、コスト高になる。
本実施の形態に係る銅合金ターゲットは、上述したように、ニッケル及び錫からなる群から選択される少なくとも1種以上を0.1質量%以上3質量%以下の割合で含有する。この銅合金ターゲットによれば、ニッケル、錫のうち少なくとも1種以上をこのような割合で含有することによって、非活性フラックス処理であっても、純銅や純銅による成膜と同等以上に良好なはんだ濡れ性を維持することができる。
ニッケルや錫の含有量に関して、銅合金中の含有量が0.1質量%未満であると、はんだ付け処理において、非活性フラックス処理でははんだ濡れ性が純銅による成膜と比較して著しく劣り、良好なはんだ接合を行うことができない。
なお、第3元素としては、ニッケルや錫の代わりに亜鉛を添加する方法も考えられる。しかしながら、合金部品やスパッタリング成膜の表面が、保管環境が悪いことに起因して酸化してしまうと、非活性フラック処理でははんだ濡れ性が不良となる場合があり、信頼性の面から好ましくない。
ここで、図1に、溶融はんだ浴11中にスパッタリング成膜された試料(銅合金成膜試料)10を浸漬したときの接触角(θ)に基づく、その試料10における銅合金成膜10Aのはんだ濡れ性の様子を模式的に示す。スパッタリング成膜された部品をはんだ接合する場合には、図1(A)及び(B)に示すように、溶融はんだ浴に対して接触角が90度以下(θ≦90度)になることが必要となる。スパッタリング成膜して出荷した後、はんだ付け作業までに曝露される高温高湿といった環境にもかかわらず変色が発生せず、接触角が安定して90度未満となるような材料であれば、はんだ付け作業の品質管理が容易になり、はんだ接合の信頼性が向上する。
なお、図1(B)は、溶融はんだ浴11に対する銅合金成膜10Aの接触角(θ)が90度(θ=90度)となるものであり、この場合、θ<90度の場合に比べては若干劣るものの、はんだ濡れ性は良好となる。一方で、図1(C)は、溶融はんだ浴11に対する銅合金成膜試料10の接触角(θ)が90度を超える(θ>90度)ものであり、この場合には、はんだ濡れ性が不良であると判断される。
また、図2は、スパッタリング成膜された銅合金成膜試料を溶融はんだ浴中に浸漬したときの時間と濡れ力との関係について説明するためのグラフ図である。図2中のゼロクロスタイムや濡れ上がり時間が短いほど、また最大濡れ力が大きいほど、はんだに濡れるまでの時間が短く、また良好なはんだ接合が得られる。ここで、ゼロクロスタイムとは、はんだ浴と成膜との接触角が90度以下となるまでの時間をいう。
本実施の形態に係る銅合金ターゲットによれば、そのターゲットにより得られる銅合金成膜のゼロクロスタイムは、純度99.99%の純銅からなる銅ターゲットによる成膜のゼロクロスタイムと同等かそれよりも速く、優れたはんだ濡れ性を有する。したがって、このような銅合金成膜によれば、良好にはんだ接合を行うことができる。
具体的には、この銅合金ターゲットによる銅合金成膜は、浴温245℃のSn−3.5質量Ag−0.5質量%Cuのはんだ浴を用いて、JIS C 60068−2−54(IEC 60068−2−54)に準拠したはんだ付け性試験方法(はんだ槽平衡法)にて測定された、熱平衡状態で接しているそのはんだ浴と当該銅合金成膜との接触角(θ)が90度以下である。すなわち、銅合金成膜試料の鉛直方向に働く浮力Bと表面張力の鉛直方向成分Sとの差である濡れ力F(F=S−B)の最大値(Fmax)がゼロ以上である。
また、同様のはんだ浴を用いてJIS C 60068−2−54に準拠した試験方法にて測定された、熱平衡状態で接しているそのはんだ浴と当該銅合金成膜との接触角が90度以下となるゼロクロスタイムが5秒以内である。
このような高いはんだ濡れ性を有する銅合金成膜によれば、はんだ接合作業における品質管理が極めて容易となり、はんだ接合の信頼性を高めることができる。また、はんだ接合を短時間で効率的に行うことができる。
なお、本実施の形態に係る銅合金ターゲットによるスパッタリング成膜の溶融はんだに対する高い濡れ性は、上述したような、245℃で溶融するSn−3.5質量Ag−0.5質量%Cuのはんだ浴に限られるものではなく、例えば、200℃から300℃に融点を有するはんだ浴であれば同様に高い濡れ性を示す。
<2.銅合金ターゲットの製造方法>
本実施の形態に係る銅合金ターゲットは、例えば高周波真空溶解炉等の密閉可能なチャンバー内を真空引きした後に、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを導入して、上述した所定の成分組成となるように金属材料を溶解して銅合金溶湯を作製し、作製した銅合金溶湯を用いて鋳造を行うことによって製造することができる。なお、鋳造処理により得られた鋳塊を、所望とする直径、厚さの円盤状に切り出すことによって、円盤状の銅合金ターゲットを作製することができる。なお、ターゲットの形状は円盤状に限定されない。
本実施の形態に係る銅合金ターゲットは、例えば高周波真空溶解炉等の密閉可能なチャンバー内を真空引きした後に、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを導入して、上述した所定の成分組成となるように金属材料を溶解して銅合金溶湯を作製し、作製した銅合金溶湯を用いて鋳造を行うことによって製造することができる。なお、鋳造処理により得られた鋳塊を、所望とする直径、厚さの円盤状に切り出すことによって、円盤状の銅合金ターゲットを作製することができる。なお、ターゲットの形状は円盤状に限定されない。
このとき、溶解及び鋳造作業を行うに際して、密閉可能なチャンバー内を0.01Pa以下まで真空引きした後に、不活性ガスを導入してチャンバー内の圧力を1Pa以上90,000Pa以下として作業することが好ましい。
チャンバー内を0.01Pa以下まで真空引きすることによって、そのチャンバー内の酸素を可能な限り除去することができ、得られる銅合金ターゲット内の含有酸素量(含有酸素濃度)や含有水素量(含有水素濃度)を低下させることができる。
また、真空引きした後に、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを導入してチャンバー内の圧力を1Pa以上90,000Pa以下とし、その圧力下で溶解及び鋳造を行うことによって、チャンバー内で銅を蒸発させることなく、銅合金内に含まれる水素や酸素等のガス成分を除去することができ、鋳造後の鋳塊に発生する巣(鋳造内部欠陥である空洞)の発生を抑制し、銅合金ターゲットを用いたスパッタリング時における異常放電を防止することができる。
不活性ガス導入後のチャンバー内の圧力を1Pa未満とすると、金属材料を溶解していつ間に、銅がチャンバー内で蒸発して覗窓を曇らせてしまうため作業性が悪くなり、また発振コイルや電極端子等のあらゆる部分に銅が蒸着してしまう可能性があり、銅の歩留まりが低下して生産性が悪化する。一方で、チャンバー内の圧力が90,000Paを超えると、溶解及び鋳造時に銅合金に含まれるガス成分がほとんど除去されず、鋳塊の内部、すなわち銅合金ターゲット内部に巣が多数発生してしまい、スパッタリング時において異常放電が頻発するようになる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
≪実施例及び比較例≫
<銅合金ターゲットの製造>
実施例及び比較例において、下記表1に示すような成分組成となるようにして銅合金溶湯を調製して銅合金試料を製造した。なお、表1に示すように、添加成分としては、パラジウム、ニッケル、錫をそれぞれ所定の割合で含有する。
<銅合金ターゲットの製造>
実施例及び比較例において、下記表1に示すような成分組成となるようにして銅合金溶湯を調製して銅合金試料を製造した。なお、表1に示すように、添加成分としては、パラジウム、ニッケル、錫をそれぞれ所定の割合で含有する。
具体的には、高周波真空溶解炉を用いて、チャンバー内を0.009Pa以下まで真空引きした後、アルゴンガスを500Paまで導入し、下記表1に示される成分組成を有する銅合金溶湯を作製し、その圧力下で10分間保持した後に黒鉛鋳型に鋳込んで鋳塊を作製した。そして、作製した鋳塊を、厚さ5mm、直径75mmの円盤状に切り出して銅合金ターゲットとし、以下に示す評価に供した。
<評価>
スパッタリング成膜による評価では、作製した銅合金ターゲットを用いてモネル板(Ni−34質量%Cu)にスパッタリング法により成膜し、はんだ濡れ性及びスパッタリング成膜の変色の評価を行った。
スパッタリング成膜による評価では、作製した銅合金ターゲットを用いてモネル板(Ni−34質量%Cu)にスパッタリング法により成膜し、はんだ濡れ性及びスパッタリング成膜の変色の評価を行った。
成膜は、芝浦メカトロニクス株式会社製のスパッタリング装置(型式:CFS−4ES−2)を用いて行った。具体的には、チャンバー内の真空度が1×10−3Paに到達した後、アルゴンを15SCCMになるように供給しながらスパッタリングを行った。5mm×0.3mm×15mmの短冊状モネル板をターゲットに対向する基板ホルダーへ直立させて固定し、基板ホルダーを公転させてモネル板の全面に0.5μm厚で成膜した。
銅、パラジウム、ニッケル、錫は、任意の組成で混合可能ないわゆる全率可溶型であり、この系についてはアーク溶解炉を用いて、チャンバー内を0.009Pa以下まで真空引きした後、アルゴンガスを40,000Paまで導入し、下記表1に示される成分組成を有する直径約30mmで、厚みが約6mmの銅合金鋳塊を、銅ハース上にて作製した。そして、作製した鋳塊からを、幅5mm、厚さ0.3mm、長さ15mmの短冊状に切り出して銅合金試料とし、以下に示す評価に供した。
はんだ濡れ性の評価は、株式会社レスカ製のソルダーチェッカ(SAT−5200)を使用して評価した。はんだ濡れ性の試験では、フラックスとして、ロジン25%とイソプロパノール75%とからなる非活性化ロジンフラックスを用いた。また、はんだ浴としては、Sn−3質量%Ag−0.5質量%Cuを溶解して245℃に保持した溶融はんだ浴を用いた。なお、銅合金成膜試料のはんだ浴への浸漬速度は5mm/s、浸漬深さは2mm、浸漬時間は15秒とした。
ここで、ソルダーチェッカは、銅合金成膜試料に働く浮力Bと表面張力Sとの差を濡れ力F(F=S−B)とし、その濡れ力Fを経時観測するものである。そこで、スパッタリング成膜試料(銅合金成膜試料)のはんだ濡れ性については、JIS C 60068−2−54に準拠した試験方法にて、はんだ浴と銅合金成膜との接触角が90度以下となるまでの時間、いわゆるゼロクロスタイムで評価し、純度99.99%の銅ターゲットによる成膜のゼロクロスタイムと同等の5秒以内の場合を『良』、5秒を超え10秒以内の場合を『劣』、10秒を超える場合を『不良』として評価した。括弧内にはゼロクロスタイム(秒)を記し、15秒を超えても接触角が90度とならない場合は『X』と記した。
なお、図2のグラフ図に示したように、ゼロクロスタイムとは、はんだ浴と銅合金成膜との接触角が90度以下となるまでの時間をいい、このゼロクロスタイムが短いほど、濡れ性が良好であって、またはんだ接合を短時間で行うことができることを意味する。
変色の評価は、肉眼により行った。加熱前においては、どちらかというとパラジウムに近い色を銀白色、どちらかというと酸化していない4N純度銅に近い色を銅色とした。また、大気中150℃の温度で10分間加熱した後の外観色(加熱後外観色)については、加熱前と比べてどのように変化したかを評価した。
<結果>
下記表1に、はんだ濡れ性の評価結果及び変色の評価結果を示す。なお、表1には、上述したように、各実施例、比較例における銅合金の成分組成についても併せて示す。また、2014年の平均金属価格として銅を0.73円/g、65.4円/g、ニッケルを1.79円/g、錫を2.3円/gとして計算した1gあたりの合金価格を示した。
下記表1に、はんだ濡れ性の評価結果及び変色の評価結果を示す。なお、表1には、上述したように、各実施例、比較例における銅合金の成分組成についても併せて示す。また、2014年の平均金属価格として銅を0.73円/g、65.4円/g、ニッケルを1.79円/g、錫を2.3円/gとして計算した1gあたりの合金価格を示した。
表1の結果に示すように、実施例1〜4では、はんだ濡れ性が良好で、加熱後の変色も見られず、合金価格は601円/g以下であった。また、実施例3にて製造した銅合金ターゲットについては、合金色及びスパッタリング成膜の色は銀白色を示し、加熱後においても変化が無く、特に良好な結果を示した。
一方で、比較例2、3、4は、合金価格は601円/g未満であったものの、はんだ濡れ性は不良であった。また、比較例9では、はんだ濡れ性は良好であったものの、合金価格は1500円/gと高額であった。
本実施の形態に係るはんだ接合電極成膜用銅合金ターゲットによれば、例えば150℃程度に加熱されても外観色の変化を効果的に抑制することができ、視覚的に良好な外観を有する成膜を形成することができ、外観が重要視される場合のはんだ接合電極用銅合金ターゲットとして特に好ましい。また、加熱前後のはんだ濡れ性が高く維持されるため、はんだ接合の作業性が容易で、信頼性も高くなる。さらに、白金やパラジウムよりも金属価格が安価であり、電子部品業界での利用価値は極めて大きい。
10 (銅合金成膜)試料
10A 成膜(銅合金成膜)
11 溶融はんだ浴
10A 成膜(銅合金成膜)
11 溶融はんだ浴
Claims (2)
- 銅を主成分とし、
パラジウムが10質量%を超えて49質量%未満、ニッケル及び錫からなる群から選択される1種以上が0.1質量%以上3質量%以下の割合で含有されてなる
ことを特徴とするはんだ接合電極用銅合金ターゲット。 - 浴温245℃のSn−3.5質量Ag−0.5質量%Cuはんだ浴を用いて、JIS C 60068−2−54に準拠した試験方法にて測定された、熱平衡状態で接している該はんだ浴と当該銅合金ターゲットによるスパッタリング成膜との接触角が90度以下となるゼロクロスタイムが5秒以内であることを特徴とする請求項1に記載のはんだ接合電極成膜用銅合金ターゲット。
Priority Applications (1)
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2015
- 2015-03-16 JP JP2015052389A patent/JP2016172887A/ja active Pending
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