JP7155677B2 - はんだ接合電極およびはんだ接合電極の被膜形成用錫合金ターゲット - Google Patents
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接合部の表面にスパッタリング成膜により被膜を形成する技術に関しては、例えば、特許文献1には、銀を主体とし、希土類元素を0.02~2原子%含有する銀合金系スパッタリングターゲットが開示されている。
ところが、錫の再結晶温度は、不純物濃度によって異なるが、-7℃~25℃と低いため、スパッタリング時の熱によって容易に再結晶化し、さらに粒の成長により粒が粗大化して孤立し、連続した被膜を形成することが難しいという問題がある。
このため、スパッタリング成膜により、酸化し難く、はんだ濡れ性に優れた被膜を形成する錫合金ターゲットの開発が求められていた。
本実施形態のはんだ接合電極に備わる錫合金被膜及び被膜形成用錫合金ターゲット(以下、「錫合金ターゲット」と表記する)は、錫と銀とパラジウムとの三元素で構成された合金であって、錫を主成分として、銀が4.0質量%以上20質量%以下の割合で含有され、パラジウムが0.03質量%以上0.5質量%以下の割合で含有されている。
また、本実施形態のはんだ接合電極のように、錫に銀およびパラジウムを所定の割合で含有させた合金組成は、酸化を抑制する効果が高いことにより、はんだ付け作業において弱活性フラックスによってもはんだ濡れ性の改善効果を一層高める効果も有する。
一方、銀の含有量が20質量%を超えると、はんだ濡れ性の改善効果が飽和してしまい、20質量%以上銀を含有させても、銀の含有量が増える分、原料コストが高くなってしまうだけであるため好ましくない。
図1に、溶融はんだ浴11中に、スパッタリング成膜により表面に形成した被膜10Aを有するはんだ接合電極である試料10を垂直に浸漬したときのはんだ濡れの様子を模式的に示す。
図1(A)に示すように、溶融はんだ浴11の表面が、試料10の表面に形成した錫合金被膜10Aに接する角度θを接触角(θ)とした場合、はんだが試料10の錫合金被膜10Aと接合するためには、図1(A)及び(B)に示すように、試料10の表面に形成した錫合金被膜10Aと溶融はんだ浴11の表面との接触角が90度以下(θ≦90度)の状態になることが必要となる。試料10の表面に形成した錫合金被膜10Aと溶融はんだ浴11の表面との接触角が90度以下となるような、錫合金被膜10Aを形成することにより、はんだ付け作業の品質管理が容易になり、はんだ接合の信頼性が向上する。
なお、本発明の錫合金被膜のはんだ濡れ性は、上記はんだ濡れ性評価に用いるはんだ組成に限られるものではなく、例えば、200℃~300℃に融点を有するはんだに対しても、本実施形態の錫合金ターゲットを用いたスパッタリング成膜により形成された錫合金被膜は、高い濡れ性を示す。
本実施形態の錫合金ターゲット用の錫合金鋳塊は、例えば高周波真空溶解炉等の密閉可能なチャンバー内を真空引きした後に、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガスを導入して、上述した所定の成分となるように金属材料を溶解して錫合金溶湯を作製し、作製した錫合金溶湯を用いて鋳造を行うことによって製造することができる。次に、鋳造処理により得られた錫合金鋳塊を、所望とする直径、厚さの円盤状に切り出すことによって、円盤状の錫合金ターゲットを作製することができる。なお、ターゲットの形状は円盤状に限定されず、板状の直方体形状のものも広く使用されている。
<錫合金ターゲット、純錫ターゲットの試料の製造>
実施例及び比較例の夫々において、錫以外の金属材料である銀とパラジウムの含有量を様々に異ならせて被膜試料を作製するための錫合金ターゲット、純錫ターゲットの試料を製造した。各試料の銀およびパラジウムの含有量を表1に示す。
スパッタリング成膜により作成した錫合金被膜、純錫被膜の評価は、作製した錫合金ターゲット、純錫ターゲットの試料を用いてスパッタリング法により銅板の表面に錫合金被膜、純錫被膜を形成した、被膜試料を用いて、それぞれの被膜の成膜状態とはんだ濡れ性の評価で行った。
スパッタリング装置を用いて銅板の表面に錫合金被膜、純錫被膜を形成した。具体的には、チャンバー内の真空度が1×10-3Paに到達した後、アルゴンガスを15SCCMになるように供給しながら、錫合金ターゲット、純錫ターゲットの試料を用いてスパッタリングを行い、0.3mm×5mm×15mmの短冊状銅板の全面に0.5μm厚で成膜し、錫合金被膜、純錫被膜が形成された銅版を被膜試料とした。
被膜の成膜状態の評価は、走査型電子顕微鏡を用いて被膜試料に形成された錫合金被膜、純錫被膜の外観を観察することにより行った。
錫合金被膜の外観については、錫合金からなる第1相21と、錫-銀-パラジウム合金からなる第2相22をそれぞれ個別に評価した。
第1相21の評価では、図2の模式図に示すように、多くの錫合金粒が連続している状態が観察された場合を『良』とし、図3の模式図に示すように、多くの錫合金粒がそれぞれ個別に独立して存在し、十分には連続していない状態が観察された場合を『不良』として評価した。
なお、銀やパラジウムのいずれも含有しない比較例1の場合は、第1相は錫合金相ではなく、錫相となる。そこで、第1相の評価では、多くの錫粒が連続している状態が観察された場合を『良』とし、図3の模式図に示すように、多くの錫粒がそれぞれ個別に独立して存在し、十分連続していない状態が観察された場合を『不良』として評価した。
また第2相22の評価では、図2の模式図に示すように、錫合金相である第1相21の間に、下地の銅板31を隙間なく覆うように広く存在する状態が観察された場合を『良』とし、図3の模式図に示すように、第2相が存在しないか、もしくは存在するとしても錫合金相の第1相21の周囲に限定的に存在するなどして、下地の銅板が露出している箇所を有する状態が観察された場合を『不良』として評価した。
はんだ濡れ性の評価は、ソルダーチェッカを使用して評価した。はんだ濡れ性の試験には、フラックスとして、ロジン25%とイソプロパノール75%とからなる溶液に塩化ジメチルアンモニウムを添加した活性化ロジンフラックスを用いた。また、はんだ浴としては、Sn-3質量%Ag-0.5質量%Cuのはんだ合金を溶解して245℃に保持した溶融はんだ浴を用いた。なお、銅板の全面に錫合金被膜が形成された被膜試料のはんだ浴への浸漬速度は5mm/s、浸漬深さは2mm、浸漬時間は10秒とした。
各評価結果を表1に示す。
10A 被膜
11 溶融はんだ浴
21 第1相(錫合金相)
22 第2相(錫-銀-パラジウム合金相)
31 銅板(下地)
Claims (3)
- 錫と銀とパラジウムとの合金からなり、錫を主成分とし、銀が4.0質量%以上20質量%以下、パラジウムが0.03質量%以上0.5質量%以下の割合で含有されている錫合金被膜を有することを特徴とするはんだ接合電極。
- 錫と銀とパラジウムとの合金からなり、錫を主成分とし、銀が4.0質量%以上20質量%以下、パラジウムが0.03質量%以上0.5質量%以下の割合で含有されていることを特徴とするはんだ接合電極の被膜形成用錫合金ターゲット。
- 前記錫合金被膜は、浴温245℃の錫-3質量%銀-0.5質量%銅はんだ浴を用いて、JIS C 60068-2-54:2009に準拠した試験方法により測定したときの、該はんだ浴に浸漬後、該はんだ浴との接触角が90度以下となるまでのゼロクロスタイムが5.2秒以内となる、はんだ濡れ性を有することを特徴とする請求項1に記載のはんだ接合電極。
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