JP2016172677A - 炭化珪素単結晶及びその製造方法 - Google Patents

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和央 蔵重
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Senguttoban Nachimusu
セングットバン ナチムス
真裕 青嶌
Masahiro Aoshima
真裕 青嶌
藤井 邦治
Kuniharu Fujii
邦治 藤井
武志 三谷
Takeshi Mitani
武志 三谷
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Naoyoshi KOMATSU
直佳 小松
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Tomohisa Kato
智久 加藤
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Abstract

【課題】 原料溶液に特定の添加元素を添加することで、炭化珪素単結晶の成長速度及び結晶品質を高めることができ、且つ、炭化珪素単結晶中に添加元素が高濃度で取り込まれることを抑制することができる、炭化珪素単結晶の製造方法を提供すること。【解決手段】 珪素融液にバナジウムを0.5at%以上溶解した原料溶液と炭素源とを用いて結晶育成を行う、炭化珪素単結晶の製造方法。【選択図】 図1

Description

本発明は炭化珪素単結晶及びその製造方法に関するものである。
ワイドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)単結晶を用いたパワーデバイスは、小型、低損失、且つ高効率な素子であり、現在主流のシリコン(Si)単結晶を用いたパワーデバイスと比較して大きな省エネルギー効果が得られため、環境保護の観点からも早期開発が期待される。
Siを使った従来のパワー半導体は、Siの物性で決まる理論的な性能限界に近づいており、今後さらなる飛躍的な性能向上を期待することが困難になってきている。一方、SiCは、バンドギャップがSiの3倍、絶縁破壊電界強度がSiの10倍以上という優れた特性を持っている。また、SiCは、高温動作が可能であり、大きな飽和電子ドリフト速度を有するなどの特徴もある。この結果、SiCを使えばパワー半導体のオン抵抗を下げ、電力変換回路の電力損失を大幅に削減することが可能である。各種モータ及びエアコンなどでインバータ化及びインバータのSiCパワーデバイスによる高効率化を推進すると、日本だけで原子力発電所4基分(CO排出量1000万トン)の省エネルギー効果を期待できる。
さらに、太陽電池発電及び風力発電などの再生可能エネルギーを安定的に利用するには、電力網内での需給バランスの最適化調整を実現するとともに、事故及び過負荷などに対する抗堪性を高める、いわゆるスマートグリッドが必要となる。スマートグリッドでは、電力の変換技術が必要不可欠であるが、この電力変換時のロスの少なさが重要であることから、パワー半導体の性能改善が期待されるSiC素子が重要な位置を占める。
ところで、高品質SiC単結晶の成長法としては、昇華法、化学気相法、溶液法が知られている。昇華法では大型単結晶基板が作製可能であるが、結晶中の欠陥密度が大きいという課題がある。化学気相法はガスによる原料供給を行うため、一般的には薄膜結晶成長の方法であり、バルク単結晶成長法としては多くの課題を残している。溶液法は、黒鉛坩堝中でSi又はSi含有合金を融解し、その融液中に黒鉛坩堝から、もしくは炭化水素ガス供給によって気相から炭素を溶解させ、低温部に設置した単結晶基板上にSiC結晶層を溶液析出によって成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ比較的熱平衡状態に近い条件で結晶成長が進行すると考えられることから、一般的には高品質な単結晶を得る方法としては好都合であることが知られている。上述の理由から、近年、溶液法によるSiC単結晶の成長方法について、成長速度及び結晶品質を高める検討がなされている。
溶液法(溶液成長法)を用いたSiC単結晶の作製方法に関し、例えば、特許文献1には、Si、Ti、C溶液、又はSi、Cr、C溶液にAlを添加した溶液を用いることで、結晶成長速度を向上する技術が開示されている。
特開2009−184879号公報
しかしながら、AlはSiC中ではアクセプタとなる元素であり、また、イオン半径もSiと近いことから、Alを添加した溶液から育成したSiC単結晶には、不純物としてAlが高濃度で取り込まれることとなる。Alのような添加元素が高濃度で取り込まれると、p型半導体になりやすく、n型半導体になりにくいという問題が生じる。そのため、溶液中に添加することでSiC単結晶の成長速度及び結晶品質を高めることができ、且つ、SiC単結晶中には高濃度で取り込まれない添加元素が望まれている。
本発明は上記背景を鑑み、原料溶液に特定の添加元素を添加することで、炭化珪素単結晶の成長速度及び結晶品質を高めることができ、且つ、炭化珪素単結晶中に添加元素が高濃度で取り込まれることを抑制することができる、炭化珪素単結晶の製造方法、及び、その製造方法によって得られる炭化珪素単結晶を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、珪素融液にバナジウムを0.5at%以上溶解した原料溶液と炭素源とを用いて結晶育成を行う、炭化珪素単結晶の製造方法を提供する。
記炭化珪素単結晶の製造方法によれば、原料溶液に添加元素としてバナジウムを所定量添加することにより、炭化珪素単結晶の成長速度及び結晶品質を高めることができ、且つ、炭化珪素単結晶中にバナジウムが高濃度で取り込まれることを抑制することができる。かかる効果が得られるのは、バナジウムを原料溶液に添加することで、成長界面の巨大ステップバンチングの発生を抑えることができるためであると考えられる。
上記炭化珪素単結晶の製造方法においては、上記原料溶液として、珪素融液にバナジウムを1.0at%以上溶解した原料溶液を用いることが好ましく、珪素融液にバナジウムを2.0at%以上溶解した原料溶液を用いることがより好ましい。バナジウムの添加量を上記範囲とすることにより、炭化珪素単結晶の成長速度及び結晶品質をより高めることができる。また、炭化珪素単結晶中のバナジウム濃度をより低減する観点から、上記原料溶液として、珪素融液にバナジウムを20at%以下溶解した原料溶液を用いることが好ましい。
本発明はまた、上記本発明の製造方法により製造された炭化珪素単結晶を提供する。かかる炭化珪素単結晶は、上記本発明の製造方法により製造されているため、結晶品質が高く、且つ、バナジウムが高濃度で取り込まれることが抑制されたものとなる。
本発明によれば、原料溶液に特定の添加元素を添加することで、炭化珪素単結晶の成長速度及び結晶品質を高めることができ、且つ、炭化珪素単結晶中に添加元素が高濃度で取り込まれることを抑制することができる、炭化珪素単結晶の製造方法、及び、その製造方法によって得られる炭化珪素単結晶を提供することができる。
本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法で用いる結晶成長装置の全体構造を示す要部断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本実施形態における圧力単位はゲージ圧である。
[SiC単結晶の製造]
本実施形態に係るSiC単結晶の製造方法は、珪素融液にバナジウムを0.5at%以上溶解した原料溶液と炭素源とを用いてSiC単結晶を育成する成長工程を少なくとも備える。SiC単結晶の製造方法は、好ましくは、結晶育成準備を行う準備工程、表面研磨したSiC種結晶表面に残留している加工変質層を除去するメルトバック工程、及び、上記成長工程を備える。SiC単結晶の製造にあたっては、抵抗加熱方式の結晶成長装置を用いてもよいし、高周波加熱方式の結晶成長装置を用いてもよい。ここでは、図1に示す高周波加熱方式のSiC結晶成長装置を例に用いて説明する。
(結晶成長装置の概要)
図1は、本実施形態に係るSiC単結晶の製造方法で用いる結晶成長装置例の全体構造を示す要部断面図であり、上記成長工程における結晶成長装置の状態を示している。
図1に示すSiC結晶成長装置は、原料溶液2が充填された黒鉛製原料容器1(炭素源)及びそれを支持する黒鉛製容器支持体8を備え、黒鉛製種結晶支持体4の下方端面に保持されたSiC種結晶3を原料溶液2に浸漬し、高周波加熱コイル6で加熱することによって、SiC成長結晶5を形成する装置である。これらは、保温のために、断熱構造材7で覆われており、さらに全体が、不活性ガス導入口9及びガス排気口10を備える密閉容器本体11に収容されている。さらに、密閉容器本体11の外部には、黒鉛製原料容器1等の温度を測定するための放射温度計12、並びに、電極15に接続された直流電圧印加電源14及び電流計13が備えられている。
本実施形態においては、炭素源として黒鉛製原料容器1を用いているが、他の材料からなる容器を用いてもよい。他の材料とは、成長工程における加熱及び溶液との反応に実質的に耐え得る材料であれば特に制限されず、原料溶液2に炭素を供給できる黒鉛以外の材料でもよく、原料溶液2に炭素を供給しない材料であってもよい。原料溶液2に炭素を供給しない材料からなる容器を用いる場合には、固体の炭素源を容器中に投入する、又は気体の炭素源を原料溶液2に吹き込む若しくは雰囲気ガスに混入させることによって、原料溶液2に炭素を供給することができる。固体の炭素源としては、ブロック状、棒状、顆粒状、粉体状等の黒鉛、金属の炭化物、SiCなどを用いることができる。また、気体の炭素源としては、CH等の炭化水素ガスを用いることができる。
原料溶液2としては、Si(珪素)融液にV(バナジウム)を溶解した溶液を用いてもよいし、Si融液にTi及びVを溶解した溶液、又はSi融液にCr及びVを溶解した溶液を用いてもよい。
原料溶液2の組成をSi100−x(xの単位はmol%(at%))で表すと、xは0.5≦xを満たし、1.0≦xを満たすことが好ましく、2.0≦xを満たすことがより好ましい。xをこのような範囲にすることにより、炭化珪素単結晶の成長速度及び結晶品質を高めることができる。また、バナジウムはAlに比べ、Si及びCとのイオン半径の差が大きいため、アルミニウム等の添加元素と比較してSiC単結晶に取り込まれ難く、xを上記範囲にした場合であっても、バナジウムがSiC単結晶に不純物として高濃度で取り込まれることを抑制することができる。SiC単結晶中のバナジウム濃度をより低減する観点から、xはx≦20を満たすことが好ましく、x≦10を満たすことがより好ましく、x≦5.0を満たすことがさらに好ましい。なお、原料溶液2がTi又はCr等の他の元素をさらに含む場合であっても、原料溶液2中のVの濃度(xの値)は上記範囲とすることが好ましい。
原料溶液2の調製に用いられる原材料(各元素源)としては、それぞれ例えば下記のものが挙げられる(各元素の炭化物、各元素のシリサイド等を使用できる)。
Si源:Si、SiC、チタンシリサイド、クロムシリサイド、アルミシリサイド。
Ti源:金属Ti、炭化チタン、チタンシリサイド。
Cr源:金属Cr、炭化クロム、クロムシリサイド。
V源:金属V、炭化バナジウム、バナジウムシリサイド。
SiC種結晶3としては、例えば昇華法又は溶液法により作製されたものであり、表面研磨されているウエハを利用することができる。SiC種結晶3の形状は、円盤形状、六角形平板形状、四角形平板等の板状でも、立方体状でもよい。
SiC種結晶3の結晶構造は、目的とするSiC成長結晶の種類に合わせて適宜選択でき、例えば2H型、3C型、4H型、6H型等を用いることができる。例えば、2H型のSiC成長結晶を得ようとする場合には、2H型のSiC種結晶3を用いることが好ましい。なお、本実施形態においては、SiC種結晶3として4H型のSiC種結晶3(4H−SiC単結晶ウエハ)を用いることが好ましい。
SiC単結晶はSiとCとが層状に積層した構造であるため、SiC種結晶3は、結晶表面にCが並んだC面が露出しているものと、Siが並んだSi面が露出しているものとが存在する。本実施形態において、どちらのSiC種結晶3も使用可能であるが、C面から結晶育成を開始することで、より表面モフォロジーの良好な結晶を作製することができる。
また、本実施形態において、SiC種結晶3の成長面としては、{0001}面(オンアクシス(on−axis)面)及び{0001}面から傾いた面(オフアクシス(off−axis)面)のいずれを用いてもよい。なお、将来的にSiCデバイスを作製する際、SiC単結晶から作製した基板の上に、SiCエピタキシャル膜を形成し、さらにエピタキシャル膜のキャリア密度等を調整して素子化する。このエピタキシャル膜の製膜時には、オフ基板が使用されることから、オフアクシス面を用いることが好ましい。これによりエピタキシャル製膜の際に歩留まりを良好にすることができる。
以下、本実施形態のSiC単結晶の製造方法の各工程について、より具体的に説明する。
(準備工程)
まず、黒鉛製原料容器1に原料溶液2の原料を充填し、黒鉛製種結晶支持体4の下方端面に保持されたSiC種結晶3を、原料溶液2の液面から上方に離して配置し、加熱する。加熱温度は、1500〜2000℃とすることが好ましい。また、加熱する際に、密閉容器本体11内を真空引きしてもよい。
その後、成長雰囲気ガスを導入し、密閉容器本体11内の圧力を例えば0.1〜1MPa程度、成長雰囲気ガス流量を例えば0.1〜5L/min程度とし、昇温する。成長雰囲気ガスは、特に制限はないが、SiC結晶及び溶液の酸化を防止するために、He、Ne、Ar等の不活性ガスであることが好ましい。または、該不活性ガスにN、H、CH等のガスを混合したものを成長雰囲気ガスとして用いてもよい。
(メルトバック工程)
次いで、黒鉛製種結晶支持体4及びSiC種結晶3を、原料溶液2表面に向けてゆっくり降下させ、原料溶液2に浸漬させる。
その後、育成温度まで昇温させることで、SiC種結晶3の表面を含む一部が溶融される。育成温度Tは、状態図における液相線がliquid相とliquid+SiC相の境界となっている温度において適宜設定すればよいが、1800〜2200℃であることが好ましく、1900〜2100℃であることがより好ましい。なお、本実施形態における育成温度は、黒鉛製原料容器1底部の下方表面の温度を意味し、放射温度計12により測定される。なお、所望の育成温度において結晶育成を行うには、原料溶液2中の炭素濃度が飽和濃度に達していることが必須である。したがって、所望の育成温度に達した後、結晶育成を開始するまでには、原料溶液2中の炭素濃度が飽和濃度に達するまで待つことが好ましい。
なお、SiC種結晶3を原料溶液2に接触させた後、結晶育成を開始する前にエッチバック工程を設けることが好ましい。これは、結晶成長開始時に種結晶の成長面が汚染されていると、成長した結晶の品質が著しく低下するためである。これにより、表面研磨したSiC種結晶3の表面に残留している加工変質層を除去することができる。
(成長工程)
溶液成長法では、種結晶近傍が原料溶液に比べて温度が低くなるように温度勾配を形成することで過飽和状態を作り出し結晶成長させる方法(温度勾配法)が、長時間安定に結晶成長を行えるため一般的である。本実施形態においても温度勾配法により実施することが好ましい。なお、別の方法として、種結晶を浸漬した溶液全体の温度を下げることで過飽和状態を形成し、結晶成長を行う方法(徐冷法)も挙げられる。徐冷法では加熱と冷却とを繰り返し行うことで結晶成長させるが、成長中に温度が変化して育成条件が安定しないため、高品質結晶の作製には好ましくない。
本実施形態において、結晶成長のメカニズムは以下のように説明される。すなわち、SiC種結晶3近傍の原料溶液2の熱が、SiC種結晶3及び黒鉛製種結晶支持体4を介して外部に伝達されるので、SiC種結晶3近傍の原料溶液2の温度が低下する。このため、SiC種結晶3近傍の原料溶液2内には温度勾配が生じる。そして、温度が低い領域では、原料溶液2中の炭素が過飽和状態となるため、SiC種結晶3の表面にSiC成長結晶5が析出する。
ここで、本実施形態における温度勾配とは、より具体的には、黒鉛製原料容器1底部の下方表面(「点A」とする)における温度をT(℃)、融液表面(「点B」とする)における温度をT(℃)として、以下のように定義される。
温度勾配(℃/cm)=(T−T)/(点A−B間の距離(cm))
なお、上記T及びTは、放射温度計及び熱伝対(成長中は測定しておらず別実験を行い測定)によって測定することができる。
温度勾配は0.1〜10℃/cmであることが好ましく、0.1〜5℃/cmであることがより好ましく、0.1〜1℃/cmであることがさらに好ましい。温度勾配を上記範囲内にすることによって、結晶成長面を比較的高品質に保ちつつ長時間の結晶育成を行うことができる。温度勾配は、例えばヒーターの上下出力比を変えることによって制御することができる。
原料溶液2に浸漬したSiC種結晶3を、例えば50μm/h程度の速度で上方に引き上げながら、必要なSiC成長結晶5の厚さに応じた時間だけ、SiC種結晶3上にSiC成長結晶5を形成し、その後、SiC種結晶3を原料溶液2から切り離す。以上により、SiC単結晶が得られる。なお、溶液成長法では、一般に結晶育成時に種結晶及び坩堝を回転させながら行う。この回転の回転軸は、種結晶保持軸及びそれに平行な坩堝保持軸に対して平行な回転軸となっている。種結晶及び坩堝の回転方向は同じでもよいし逆になってもよい。また、その回転数は、例えば1〜100rpm程度の範囲で一定にしてもよく、周期的に変化させてもよい。
[SiC単結晶]
本実施形態のSiC単結晶は、インゴット状又はウエハ状のSiC単結晶である。インゴット状のSiC単結晶は、上述の製造法により得られる円柱状のSiC成長結晶5をSiC種結晶3から切り離すことにより得ることができる。SiC種結晶3からSiC成長結晶5を切り離す際には、例えばSiC種結晶3とSiC成長結晶5との界面からSiC成長結晶5側に約0.3mmの位置で切り離すことができる。また、ウエハ状のSiC単結晶は、得られるインゴット状のSiC単結晶を、所望の厚さにスライスすることにより得ることができる。
本実施形態のSiC単結晶の直径は、0.1cm以上が好ましく、0.5cm以上がより好ましく、1cm以上がさらに好ましい。直径の好ましい上限は特に制限されるものでなく、例えば10cmとすることができる。
本実施形態のSiC単結晶の結晶構造は特に限定されず、例えば2H型、3C型、4H型、6H型等の結晶構造とすることができる。これらの中でも、本実施形態のSiC単結晶は4H型のSiC単結晶であることが好ましい。
本実施形態のSiC単結晶において、バナジウム原子の含有量(バナジウム濃度)は、1×1017atoms/cm以上であることが好ましく3×1017atoms/cm以上であることがより好ましく、1×1018atoms/cm以上であることがさらに好ましい。また、バナジウム濃度は、1×1020atoms/cm以下であることが好ましく、3×1019atoms/cm以下であることがより好ましく、1×1019atoms/cm以下であることがさらに好ましい。バナジウム濃度が1×1017atoms/cm以上であることにより、効果的に炭化珪素単結晶の成長速度及び結晶品質を高めることができる。一方、バナジウム濃度が1×1020atoms/cm以下であることにより、不純物によりデバイス性能が劣化することを抑えることができる。
SiC単結晶中のバナジウム濃度は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析、又は、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析により、容易に測定することができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[SiC単結晶の作製]
(実施例1および2)
図1に示すSiC結晶成長装置を用いて、SiC単結晶を育成した。
原料溶液の初期組成がSi:V=(100−x):x(単位はat%)となるように、原料としてSi(珪素単体)及び金属バナジウム(バナジウム単体)を黒鉛製原料容器(円筒型るつぼ、内径50mm、外径70mm、高さ100mm)に充填した。なお、実施例1および2におけるxの値、すなわちバナジウム原子の割合(以下、「C」とも言う)は表1に示す通りとした。また、炭素は結晶成長中に黒鉛製原料容器から溶液内に供給した。この黒鉛製原料容器を結晶成長装置内に設置し、黒鉛製種結晶支持体の下方端面に存在するSiC種結晶(円盤形状、直径22mm、厚さ0.5mm、成長面:(000−1)面(オンアクシス面))を溶液液面から10cm上方に保持した。この状態で、装置内を真空排気しながら所定の温度まで昇温した。その後、成長雰囲気ガスとしてHeガスを、装置内の圧力が0.9MPaとなるように装置内に導入した。この時点で黒鉛製原料容器内の溶液原料は融解し溶液化した。
その後、種結晶を溶液液面に向けてゆっくり下降させ浸漬させた後、1時間ほどそのまま保持することで、種結晶の表面を薄く溶かすメルトバック工程を行った。次いで、種結晶を50μm/hの速度で上方に引き上げることで単結晶の育成を開始した。育成温度は2000℃とした。育成中は、種結晶近傍の温度勾配を0.38℃/cm、成長雰囲気ガス流量を0.5L/minとした。また、種結晶と原料容器は互いに逆方向に回転させており、種結晶の回転数を50rpm、原料容器の回転数を10rpmとした。上記条件で種結晶を原料溶液から引き上げ、単結晶を作製した。得られた単結晶の成長厚さは1mmであった。
(比較例1)
原料溶液の初期組成がSiのみとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして、SiC単結晶を作製した。
(比較例2)
原料溶液の初期組成がSi:Al=(100−x):y(単位はat%)となるように、原料としてSi(珪素単体)及び金属アルミニウム(アルミニウム単体)を黒鉛製原料容器(円筒型るつぼ、内径50mm、外径70mm、高さ100mm)に充填した。なお、比較例2におけるyの値、すなわちアルミニウム原子の割合(以下、「CAl」とも言う)は表1に示す通りとした。上記原料溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、SiC単結晶を作製した。
[SiC単結晶の評価]
成長後のSiC単結晶表面を顕微鏡により観察し、その反射像を観測することで結晶性の評価を行った。そして、結晶表面にアイランド構造及びトレンチ構造がいずれも確認されなかったものをA評価とし、アイランド構造及びトレンチ構造のいずれかが確認されたものをB評価とした。ここで、アイランド構造とは、結晶成長界面に二次元核が形成され、それが島状に成長した構造を意味し、トレンチ構造とは、結晶成長界面の一部がなんらかの原因で成長が遅れ、溝状に成長が遅い部分が発生した構造を意味する。アイランド構造及びトレンチ構造が存在しない場合、SiC単結晶の結晶性が良好であると判断することができる。また、成長後のSiC単結晶中の添加元素(V又はAl)濃度を、SIMS(Secondary IonMass Spectrometry)分析により測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 2016172677
1…黒鉛製原料容器、2…原料溶液、3…炭化珪素(SiC)種結晶、4…黒鉛製種結晶支持体、5…炭化珪素(SiC)成長結晶、6…黒鉛製ヒーター、7…断熱構造材、8…黒鉛製容器支持体、9…不活性ガス導入口、10…ガス排気口、11…密閉容器本体、12…放射温度計、13…電流計、14…直流電圧印加電源、15…電極。

Claims (5)

  1. 珪素融液にバナジウムを0.5at%以上溶解した原料溶液と炭素源とを用いて結晶育成を行う、炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記原料溶液として、珪素融液にバナジウムを1.0at%以上溶解した原料溶液を用いる、請求項1記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記原料溶液として、珪素融液にバナジウムを2.0at%以上溶解した原料溶液を用いる、請求項1又は2記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記原料溶液として、珪素融液にバナジウムを20at%以下溶解した原料溶液を用いる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法により製造された炭化珪素単結晶。
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