JP6452510B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は炭化珪素単結晶に関するものである。
ワイドギャップ半導体である炭化珪素(SiC)単結晶を用いたパワーデバイスは、小型、低損失、且つ高効率な素子であり、現在主流のシリコン(Si)単結晶を用いたパワーデバイスと比較して大きな省エネルギー効果が得られため、環境保護の観点からも早期開発が期待される。
Siを使った従来のパワー半導体は、Siの物性で決まる理論的な性能限界に近づいており、今後さらなる飛躍的な性能向上を期待することが困難になってきている。一方、SiCは、バンドギャップがSiの3倍、絶縁破壊電界強度がSiの10倍以上という優れた特性を持っている。また、SiCは、高温動作が可能であり、大きな飽和電子ドリフト速度を有するなどの特徴もある。この結果、SiCを使えばパワー半導体のオン抵抗を下げ、電力変換回路の電力損失を大幅に削減することが可能である。各種モータ及びエアコンなどでインバータ化及びインバータのSiCパワーデバイスによる高効率化を推進すると、日本だけで原子力発電所4基分(CO排出量1000万トン)の省エネルギー効果を期待できる。
さらに、太陽電池発電及び風力発電などの再生可能エネルギーを安定的に利用するには、電力網内での需給バランスの最適化調整を実現するとともに、事故及び過負荷などに対する抗堪性を高める、いわゆるスマートグリッドが必要となる。スマートグリッドでは、電力の変換技術が必要不可欠であるが、この電力変換時のロスの少なさが重要であることから、パワー半導体の性能改善が期待されるSiC素子が重要な位置を占める。
ここで、純粋なSiCは真性半導体であり、デバイスとして用いる際は、ドナー元素としてN元素(窒素)又はP元素(リン)をドーピングし、電子をキャリアとするn型半導体、或いは、アクセプタ元素としてB元素(ホウ素)又はAl元素(アルミニウム)をドーピングし、正孔をキャリアとするp型半導体が必要となる。
このうち、p型半導体では、Al元素をドーピングすることが一般的であった。その理由として、B元素は活性化エネルギーがAl元素に比べて高く(B元素:285meV、Al元素:190meV)、高キャリア濃度を得ることが難しいことが挙げられる。
ところで、非特許文献1によれば、SiCのpn接合を作る際、p型ドーパントとして、Al元素ではなくB元素を用いた場合、pn接合部において、n層側にB元素が拡散し、pin接合となるため、逆方向の整流特性が良くなるという報告がある。そのため、用途によってはAl元素ではなく、B元素を用いたp型SiC結晶が求められる。
高品質SiC単結晶の成長法としては、昇華法、化学気相法、溶液法が知られている。昇華法では大型単結晶基板が作製可能であるが、結晶中の欠陥密度が大きいという課題がある。化学気相法はガスによる原料供給を行うため、一般的には薄膜結晶成長の方法であり、バルク単結晶成長法としては多くの課題を残している。溶液法は、黒鉛坩堝中でSi又はSi含有合金を融解し、その融液中に黒鉛坩堝から、もしくは炭化水素ガス供給によって気相から炭素を溶解させ、低温部に設置した単結晶基板上にSiC結晶層を溶液析出によって成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ比較的熱平衡状態に近い条件で結晶成長が進行すると考えられることから、一般的には高品質な単結晶を得る方法としては好都合であることが知られている。上述の理由から、近年、溶液法によるSiC単結晶の成長方法について、成長速度及び結晶品質を高める検討がなされている。
ここで、溶液法(溶液成長法)を用いたp型SiC単結晶の作製方法を開示する文献として、例えば特許文献1及び2を挙げることができる。特許文献1には、原料溶液中にAl元素及びN元素を、Al元素添加量>N元素添加量の関係を満たす量で添加した溶液を用いることを特徴とする溶液法によるp型SiC半導体単結晶の製造方法が開示されている。一方、特許文献2には、原料溶液として、Si融液とCr元素及びAl元素との合計量を基準として、30〜70at%のCr元素と0.1〜20at%のAl元素とをさらに添加した溶液を用いるp型SiC半導体単結晶の製造方法が開示されている。いずれの特許文献でも、p型化のためのアクセプタ元素としてAl元素を用いている。
特開2009−179491号公報 特開2009−184879号公報
T. Kimotoet. al. J. Appl. Phys. 91 (2002) 200.
このように、従来は溶液法においても、p型SiC結晶の製造にはドーパントとしてAl元素が用いられており、ドーパントとしてB元素を用いたキャリア濃度の高いp型SiC結晶についての検討が十分になされていなかった。
本発明は上記背景を鑑み、ホウ素が添加された、実用的なキャリア濃度を有する炭化珪素単結晶を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ホウ素原子を5×1018atoms/cm以上含有する、4H型炭化珪素単結晶を提供する。
上記炭化珪素単結晶は、ホウ素原子を上記所定の範囲で高濃度に含有することにより、ホウ素の高い活性化エネルギーを補うことができ、充分実用的な高いキャリア濃度を得ることができる。また、上記炭化珪素単結晶が4H型の結晶構造を有することにより、この炭化珪素単結晶を用いて、バンドギャップが大きく、高いバルク電子移動度を持つ、パワーデバイスに好適な炭化珪素ウエハを得ることができる。
上記炭化珪素単結晶において、上記ホウ素原子の含有量は1×1019atoms/cm以上であることが好ましく、2×1019atoms/cm以上であることがより好ましい。上記所定の範囲のホウ素原子を含有することにより、炭化珪素単結晶は、より高いキャリア濃度を得ることができる。
なお、上記高濃度のホウ素原子を含有する炭化珪素単結晶は、例えば、溶液法によりホウ素を添加した原料溶液を用いて炭化珪素単結晶を育成することで製造することができる。かかる方法で炭化珪素単結晶を育成することで、育成結晶中に高い活性化率で高濃度のホウ素原子を取り込むことができ、充分実用的な高いキャリア濃度を有する炭化珪素単結晶を得ることができる。
本発明によれば、ホウ素が添加された、実用的なキャリア濃度を有する炭化珪素単結晶を提供することができる。
本実施形態に係る炭化珪素単結晶の製造方法で用いる結晶成長装置の全体構造を示す要部断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本実施形態における圧力単位はゲージ圧である。
[SiC単結晶の製造]
まず、本実施形態に係るSiC単結晶を製造するための製造方法について説明する。SiC単結晶の製造方法は、SiC単結晶を育成する成長工程を少なくとも備える。SiC単結晶の製造方法は、好ましくは、結晶育成準備を行う準備工程、表面研磨したSiC種結晶表面に残留している加工変質層を除去するメルトバック工程、及び、SiC単結晶を育成する成長工程を備える。SiC単結晶の製造にあたっては、抵抗加熱方式の結晶成長装置を用いてもよいし、高周波加熱方式の結晶成長装置を用いてもよい。ここでは、図1に示す高周波加熱方式のSiC単結晶成長装置を例に用いて説明する。
(結晶成長装置の概要)
図1は、本実施形態に係るSiC単結晶の製造方法で用いる結晶成長装置の全体構造を示す要部断面図であり、上記成長工程における結晶成長装置の状態を示している。
図1に示すSiC結晶成長装置は、原料溶液2が充填された黒鉛製原料容器1(炭素源)及びそれを支持する黒鉛製容器支持体8を備え、黒鉛製種結晶支持体4の下方端面に保持されたSiC種結晶3を原料溶液2に浸漬し、高周波加熱コイル6で加熱することによって、SiC成長結晶5を形成する装置である。これらは、保温のために、断熱構造材7で覆われており、さらに全体が、不活性ガス導入口9及びガス排気口10を備える密閉容器本体11に収容されている。さらに、密閉容器本体11の外部には、黒鉛製原料容器1等の温度を測定するための放射温度計12、並びに、電極15に接続された直流電圧印加電源14及び電流計13が備えられている。
本実施形態においては、炭素源として黒鉛製原料容器1を用いているが、他の材料からなる容器を用いてもよい。他の材料とは、成長工程における加熱及び溶液との反応に実質的に耐え得る材料であれば特に制限されず、原料溶液2に炭素を供給できる黒鉛以外の材料でもよく、原料溶液2に炭素を供給しない材料であってもよい。原料溶液2に炭素を供給しない材料からなる容器を用いる場合には、固体の炭素源を容器中に投入する、又は気体の炭素源を原料溶液2に吹き込む若しくは雰囲気ガスに混入させることによって、原料溶液2に炭素を供給することができる。固体の炭素源としては、ブロック状、棒状、顆粒状、粉体状等の黒鉛、金属の炭化物、SiCなどを用いることができる。また、気体の炭素源としては、CH等の炭化水素ガスを用いることができる。
原料溶液2としては、Si融液にB(ホウ素)を溶解した溶液を用いてもよいし、Si融液にTi及びBを溶解した溶液、又はSi融液にCr及びBを溶解した溶液を用いてもよい。原料溶液2の組成をSi100−x(xの単位はmol%(at%))で表すと、xは0<x≦20を満たすことが好ましく、0.1≦x≦10を満たすことがより好ましく、1≦x≦5を満たすことがさらに好ましい。xをこのような範囲にすることにより、得られるSiC単結晶中に含まれるホウ素の濃度を、本発明で規定する濃度範囲に好適に制御することができるとともに、良好な結晶性の維持を好適に行うことができる。なお、原料溶液2がTi又はCr等の他の元素をさらに含む場合であっても、原料溶液2中のBの濃度(xの値)は上記範囲とすることが好ましい。
原料溶液2の調製に用いられる原材料(各元素源)としては、それぞれ例えば下記のものが挙げられる(各元素の炭化物、各元素のシリサイド等を使用できる)。
Si源:Si、SiC、チタンシリサイド、クロムシリサイド、アルミシリサイド。
Ti源:金属Ti、炭化チタン、チタンシリサイド。
Cr源:金属Cr、炭化クロム、クロムシリサイド。
B源:金属B、炭化ホウ素。
SiC種結晶3としては、例えば昇華法又は溶液法により作製されたものであり、表面研磨されているウエハを利用することができる。SiC種結晶3の形状は、円盤形状、六角形平板形状、四角形平板形状等の板状でも、立方体状でもよい。
SiC種結晶3の結晶構造は、目的とするSiC成長結晶の種類に合わせて適宜選択される。すなわち、4H型のSiC成長結晶を得ようとする場合には、4H型のSiC種結晶3を用いることが好ましい。そのため、本実施形態においては、SiC種結晶3として4H型のSiC種結晶3(4H−SiC単結晶ウエハ)を用いることが好ましい。
SiC単結晶はSiとCとが層状に積層した構造であるため、SiC種結晶3は、結晶表面にCが並んだC面が露出しているものと、Siが並んだSi面が露出しているものとが存在する。本実施形態において、どちらのSiC種結晶3も使用可能であるが、C面から結晶育成を開始することで、より表面モフォロジーの良好な結晶を作製することができる。
また、本実施形態において、SiC種結晶3の成長面としては、{0001}面(オンアクシス(on−axis)面)及び{0001}面から傾いた面(オフアクシス(off−axis)面)のいずれを用いてもよい。なお、将来的にSiCデバイスを作製する際、SiC単結晶から作製した基板の上に、SiCエピタキシャル膜を形成し、さらにエピタキシャル膜のキャリア濃度等を調整して素子化する。このエピタキシャル膜の製膜時には、オフ基板が使用されることから、オフアクシス面を用いることが好ましい。これによりエピタキシャル製膜の際に歩留まりを良好にすることができる。
以下、本実施形態のSiC単結晶の製造方法の各工程について、より具体的に説明する。
(準備工程)
まず、黒鉛製原料容器1に原料溶液2の原料を充填し、黒鉛製種結晶支持体4の下方端面に保持されたSiC種結晶3を、原料溶液2の液面から上方に離して配置し、加熱する。加熱温度は、1500〜2000℃とすることが好ましい。また、加熱する際に、密閉容器本体11内を真空引きしてもよい。
その後、成長雰囲気ガスを導入し、密閉容器本体11内の圧力を例えば0.1〜1MPa程度、成長雰囲気ガス流量を例えば0.1〜5L/min程度とし、昇温する。成長雰囲気ガスは、特に制限はないが、SiC結晶及び溶液の酸化を防止するために、He、Ne、Ar等の不活性ガスであることが好ましい。または、該不活性ガスにN、H、CH等のガスを混合したものを成長雰囲気ガスとして用いてもよい。ただし、該不活性ガスにNガスを混合する場合には、SiC単結晶中に取り込まれるN元素の濃度がB元素の濃度より低くなるように、Nガスの分圧を調整することが好ましい。また、ここでの昇温によって、黒鉛製原料容器1内の溶液2の原料が融解し溶液化することが好ましく、例えば1900〜2300℃程度まで昇温する。
(メルトバック工程)
次いで、黒鉛製種結晶支持体4及びSiC種結晶3を、原料溶液2表面に向けてゆっくり降下させ、原料溶液2に浸漬させる。
その後、育成温度まで昇温させることで、SiC種結晶3の表面を含む一部が溶融される。育成温度Tは、状態図における液相線がliquid相とliquid+SiC相の境界となっている温度において適宜設定すればよいが、1800〜2200℃であることが好ましく、1900〜2100℃であることがより好ましい。なお、本実施形態における育成温度は、黒鉛製原料容器1底部の下方表面の温度を意味し、放射温度計12により測定される。なお、所望の育成温度において結晶育成を行うには、原料溶液2中の炭素濃度が飽和濃度に達していることが必須である。したがって、所望の育成温度に達した後、結晶育成を開始するまでには、原料溶液2中の炭素濃度が飽和濃度に達するまで待つことが好ましい。
なお、SiC種結晶3を原料溶液2に接触させた後、結晶育成を開始する前に、エッチバック工程を設けることが好ましい。これは、結晶成長開始時に種結晶の成長面が汚染されていると、成長した結晶の品質が著しく低下するためである。これにより、表面研磨したSiC種結晶3の表面に残留している加工変質層を除去することができる。
(成長工程)
溶液成長法では、種結晶近傍が原料溶液に比べて温度が低くなるように温度勾配を形成することで過飽和状態を作り出し結晶成長させる方法(温度勾配法)が、長時間安定に結晶成長を行えるため一般的である。本実施形態においても温度勾配法により実施することが好ましい。なお、別の方法として、種結晶を浸漬した溶液全体の温度を下げることで過飽和状態を形成し、結晶成長を行う方法(徐冷法)も挙げられる。徐冷法では加熱と冷却とを繰り返し行うことで結晶成長させるが、成長中に温度が変化して育成条件が安定しないため、高品質結晶の作製には好ましくない。
原料溶液2に浸漬したSiC種結晶3を、例えば50μm/h程度の速度で上方に引き上げながら、必要なSiC成長結晶5の厚さに応じた時間だけ、SiC種結晶3上にSiC成長結晶5を形成し、その後、SiC種結晶3を原料溶液2から切り離す。以上により、SiC単結晶が得られる。なお、溶液成長法では、一般に結晶育成時に種結晶及び坩堝を回転させながら行う。この回転の回転軸は、種結晶保持軸及びそれに平行な坩堝保持軸に対して平行な回転軸となっている。種結晶及び坩堝の回転方向は同じでもよいし逆になってもよい。また、その回転数は、例えば1〜100rpm程度の範囲で一定にしてもよく、周期的に変化させてもよい。
[SiC単結晶]
本実施形態のSiC単結晶は、インゴット状又はウエハ状のSiC単結晶である。インゴット状のSiC単結晶は、上述の製造法により得られる円柱状のSiC成長結晶5をSiC種結晶3から切り離すことにより得ることができる。SiC種結晶3からSiC成長結晶5を切り離す際には、例えばSiC種結晶3とSiC成長結晶5との界面からSiC成長結晶5側に約0.3mmの位置で切り離すことができる。また、ウエハ状のSiC単結晶は、得られるインゴット状のSiC単結晶を、所望の厚さにスライスすることにより得ることができる。
本実施形態のSiC単結晶の直径は、0.1cm以上が好ましく、0.5cm以上がより好ましく、1cm以上がさらに好ましい。直径の好ましい上限は特に制限されるものでなく、例えば10cmとすることができる。
本実施形態のSiC単結晶は、4H型の結晶構造である。SiC単結晶が4H型の結晶構造であることにより、バンドギャップが大きく、高いバルク電子移動度を持つ、パワーデバイスに好適なSiCウエハを得ることができる。
本実施形態のSiC単結晶において、ホウ素原子の含有量(ホウ素濃度)は、5×1018atoms/cm以上であり、1×1019atoms/cm以上であることが好ましく、2×1019atoms/cm以上であることがより好ましい。また、ホウ素濃度は、2×1021atoms/cm以下であることが好ましく、1×1021atoms/cm以下であることがより好ましく、5×1020atoms/cm以下であることがさらに好ましい。ホウ素濃度が5×1018atoms/cm以上であることにより、SiC単結晶は、充分実用的な高いキャリア濃度を得ることができる。一方、ホウ素濃度が2×1021atoms/cm以下であることにより、元素置換による歪が引き起こす積層欠陥を抑えることができる傾向がある。なお、結晶中のN元素及びP元素の濃度の合計は、B元素の濃度未満であることが望ましい。これは、結晶中のN元素及びP元素の濃度の合計がB元素の濃度を超えると、p型半導体ではなく、n型半導体となってしまうためである。
SiC単結晶中のホウ素濃度は、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析、又は、ICP(Inductively Coupled Plasma)分析により、容易に測定することができる。
本実施形態のSiC単結晶において、ホウ素濃度の制御は、上述のSiC単結晶の製造法において使用する原料溶液2において、B源の配合量を調整することにより行うことができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[SiC単結晶の作製]
(実施例1)
図1に示すSiC結晶成長装置を用いて、4H−SiC単結晶を育成した。
原料溶液の初期組成がSi:B=(100−x):x(単位はat%)となるように、原料としてSi(珪素単体)及び金属ホウ素(ホウ素単体)を黒鉛製原料容器(円筒型るつぼ、内径50mm、外径70mm、高さ100mm)に充填した。なお、実施例1におけるxの値、すなわちホウ素原子の割合(以下、「C」とも言う)は表1に示す通りとした。また、炭素は結晶成長中に黒鉛製原料容器から溶液内に供給した。この黒鉛製原料容器を結晶成長装置内に設置し、黒鉛製種結晶支持体の下方端面に存在する4H−SiC種結晶(円盤形状、直径22mm、厚さ0.5mm、成長面:{000−1}面(オンアクシス面))を溶液液面から10cm上方に保持した。この状態で、装置内を真空排気しながら所定の温度まで昇温した。その後、成長雰囲気ガスとしてHeガスを、装置内の圧力が0.9MPaとなるように装置内に導入した。この時点で黒鉛製原料容器内の溶液原料は融解し溶液化した。
その後、種結晶を溶液液面に向けてゆっくり下降させ浸漬させた後、1時間ほどそのまま保持することで、種結晶の表面を薄く溶かすメルトバック工程を行った。次いで、種結晶を50μm/hの速度で上方に引き上げることで単結晶の育成を開始した。育成温度は2000℃とした。また、育成中、種結晶は回転数15〜30rpmで回転させた。上記条件で種結晶を原料溶液から引き上げ、4H−SiC単結晶を作製した。得られた単結晶の成長厚さは1mmであった。
[SiC単結晶の評価]
成長後のSiC単結晶表面に付着した原料溶液固化物を酸によって除去した後に、SiC単結晶表面側からラマン分光測定を行った。測定したラマンスペクトルの縦光学フォノンモードに対してフィッティング計算を行うことにより、キャリア濃度を算出した。また、原料溶液固化物を除去した後のSiC単結晶中のホウ素(B)濃度を、SIMS分析により測定した。それらの結果を表1に示す。
Figure 0006452510
1…黒鉛製原料容器、2…原料溶液、3…炭化珪素(SiC)種結晶、4…黒鉛製種結晶支持体、5…炭化珪素(SiC)成長結晶、6…黒鉛製ヒーター、7…断熱構造材、8…黒鉛製容器支持体、9…不活性ガス導入口、10…ガス排気口、11…密閉容器本体、12…放射温度計、13…電流計、14…直流電圧印加電源、15…電極。

Claims (1)

  1. 密閉容器本体内に収容された黒鉛製原料容器に少なくともSi源及びホウ素源を含む原料を充填する工程と、
    前記密閉容器本体にNガスを含む成長雰囲気ガスを導入するとともに前記黒鉛製原料容器を昇温し、原料溶液を準備する工程と、
    前記原料溶液に炭化珪素種結晶を浸漬した後に上方に引き上げることで炭化珪素単結晶を育成する工程と、を備え、
    前記原料を充填する工程において、前記炭化珪素単結晶にホウ素原子が5×1018atoms/cm以上含有されるよう前記ホウ素源を充填し、
    前記原料溶液を準備する工程において、前記炭化珪素単結晶中に取り込まれるN元素の濃度がホウ素の濃度より低くなるように、前記成長雰囲気ガスにおけるNガスの分圧を調整する、p型の炭化珪素単結晶の製造方法。
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