JP2016172346A - 繊維強化プラスチックの製造方法及び積層シート - Google Patents

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Abstract

【課題】取り扱い性に優れた積層シートを用いて、スタンピング成形により機械特性に優れた繊維強化プラスチックを低コストに製造する。
【解決手段】一方向に配向した強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のプリプレグが複数枚積層された積層シートをスタンピング成形して繊維強化プラスチックを得る繊維強化プラスチックの製造方法であって、各プリプレグ同士がスポット溶着された積層シートを、赤外線ヒータにより前記積層シートの厚さ方向の中心部の温度が前記熱可塑性樹脂の融点以上となるまで加熱し、前記熱可塑性樹脂の結晶化温度よりも低い温度の金型により、面圧3〜30MPaでスタンピング成形する、繊維強化プラスチックの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、繊維強化プラスチックの製造方法及び積層シートに関する。
航空機部材、自動車部材、風力発電用風車部材、スポーツ用具等の様々な分野において、シート状のプリプレグを積層して一体化した積層シートをスタンピング成形により賦形した繊維強化プラスチックが用いられている。
スタンピング成形に用いられる積層シートは、例えば、一方向に配向した強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸したシート状のプリプレグが複数枚積層された後、前記熱可塑性樹脂の融点以上に加熱された状態で加圧されることにより製造される(特許文献1)。この方法で得られた積層シートは、積層されたプリプレグが加熱加圧されることで一体化されているため、取り扱い性に優れる。また、該積層シートを用いることで、良好な機械特性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
しかし、前記のような方法で得た積層シートを用いる場合、スタンピング成形の前に積層したプリプレグを一体化するための加熱加圧が必要になるため、コストが高く、積層シートが高価になる。
国際公開第2014/142061号
本発明は、取り扱い性に優れた積層シートを用いて、スタンピング成形によって機械特性に優れた繊維強化プラスチックを低コストに製造できる繊維強化プラスチックの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、取り扱い性に優れ、スタンピング成形によって機械特性に優れた繊維強化プラスチックを低コストに製造できる積層シートを提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]一方向に配向した強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のプリプレグが複数枚積層された積層シートをスタンピング成形して繊維強化プラスチックを得る繊維強化プラスチックの製造方法であって、各プリプレグ同士がスポット溶着された積層シートを、赤外線ヒータにより前記積層シートの厚さ方向の中心部の温度が前記熱可塑性樹脂の融点以上となるまで加熱し、前記熱可塑性樹脂の結晶化温度よりも低い温度の金型により、面圧3〜30MPaでスタンピング成形する、繊維強化プラスチックの製造方法。
[2]前記積層シートにおける各プリプレグ同士が、1000cmあたり1〜10箇所スポット溶着されている、[1]に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
[3]前記積層シートを鋸刃で切断加工した後にスタンピング成形する、[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
[4]一方向に配向した強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のプリプレグが複数枚積層され、かつ各プリプレグ同士が、1000cmあたり1〜10箇所スポット溶着された、平面視での大きさが1000cm以上の積層シート。
本発明の繊維強化プラスチックの製造方法によれば、取り扱い性に優れた積層シートを用いて、スタンピング成形により機械特性に優れた繊維強化プラスチックを低コストに製造できる。
また、本発明の積層シートは、取り扱い性に優れ、スタンピング成形によって機械特性に優れた繊維強化プラスチックを低コストに製造できる。
本実施例の積層シートにおける平面視でのスポット溶着の位置を示した模式図である。 本実施例の積層シートにおける平面視でのスポット溶着の位置を示した模式図である。 本実施例の積層シートにおける平面視でのスポット溶着の位置を示した模式図である。 本実施例の積層シートにおける平面視でのスポット溶着の位置を示した模式図である。
本発明において熱可塑性樹脂の融点とは、示差走査熱量計(DSC)を用いた熱分析により得られる昇温融解時の吸熱ピーク温度(Tm)の値を意味する。
熱可塑性樹脂の結晶化温度とは、示差走査熱量計(DSC)を用いた熱分析により得られる降温結晶化時の発熱ピーク温度(Tc)の値を意味する。
[積層シート]
本発明の積層シートは、一方向に配向した強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のプリプレグが複数枚積層され、かつ各プリプレグ同士がスポット溶着された、平面視での大きさが1000cm以上の大判の積層シートである。
本発明の積層シートの平面視での大きさは、1000cm以上であり、1600〜20000cmが好ましく、2000〜15000cmがより好ましい。積層シートの平面視での大きさが前記上限値以下であれば、取扱い性が良好である。
本発明の積層シートの具体例としては、例えば、縦1200mm×横900mmの積層シート、縦1600mm×横900mmの積層シート等が挙げられる。
積層シートの厚さは、0.25〜6.0mmが好ましく、0.4〜6.0mmがより好ましく、0.6〜4.0mmがさらに好ましい。積層シートの厚さが下限値以上であれば、優れた機械特性を有する繊維強化プラスチックが得られやすい。積層シートの厚さが上限値以下であれば、取扱い性が良好である。
積層シートにおけるプリプレグの積層数は、2〜16が好ましく、4〜12がより好ましい。プリプレグの積層数が下限値以上であれば、優れた機械特性を有する繊維強化プラスチックが得られやすい。プリプレグの積層数が上限値以下であれば、積層作業が容易になり、生産性に優れる。
積層シートにおいてプリプレグを積層する際の各プリプレグの繊維軸方向の向きは、特に限定されない。例えば、各プリプレグの強化繊維の繊維軸の方向が揃うように積層してもよく、平面視で各プリプレグの強化繊維の繊維軸の方向が例えば45°ずつずれるように積層してもよい。
積層シートにおけるスポット溶着数は、1000cmあたり1〜10箇所であり、1〜5個が好ましく、1.5〜3個がより好ましい。前記スポット溶着数が前記下限値以上であれば、取り扱い性に優れた積層シートとなる。前記スポット溶着数が前記上限値以下であれば、スポット溶着の手間を低減できる。
スポット溶着は、積層シートの平面視においてできるだけ満遍なく実施することが好ましい。例えば平面視で矩形の積層シートに複数箇所のスポット溶着を行う場合、縦方向と横方向に等間隔にスポット溶着を行うことが好ましい。
積層シートにおける各プリプレグ同士をスポット溶着する方法としては、設備の取扱い性の点から、超音波溶着が好ましい。なお、スポット溶着する方法は、超音波溶着には限定されず、例えば、樹脂の融点以上に温度を保持した熱源を接触させる熱溶着等であってもよい。
(プリプレグ)
プリプレグは、一方向に引き揃えた強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたシート状の材料である。
強化繊維としては、特に限定されず、例えば、無機繊維、有機繊維、金属繊維、又はこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維が使用できる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維が挙げられ、また金属を被覆した炭素繊維でもよい。
強化繊維としては、スタンピング成形で得られた繊維強化プラスチックの曲げ強度等の機械特性が向上する点から、炭素繊維が好ましい。
炭素繊維としては、特に限定されず、ポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、PICH系炭素繊維等が挙げられる。
強化繊維の平均繊維直径は、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、アクリロニトリルとスチレンの共重合体、ナイロン6とナイロン66の共重合体等が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6(融点:215℃、結晶化温度:180℃)、ナイロン66(融点:260℃、結晶化温度:230℃)、ナイロン12(融点:175℃、結晶化温度:140℃)、ナイロンMXD6(融点:237℃、結晶化温度:161℃)等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(融点:95〜130℃)、高密度ポリエチレン(融点:120〜140℃)、ポリプロピレン(融点:168℃)等が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂におけるポリオレフィンを変性する化合物としては、例えば、マレイン酸等の酸が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、変性ポリプロピレン樹脂(融点:160〜165℃、結晶化温度:110〜120℃)等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、強化繊維との接着性、強化繊維への含浸性及び熱可塑性樹脂の原料コストの各々のバランスの点から、ポリオレフィン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂及びポリフェニレンサルファイド樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
熱可塑性樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
プリプレグには、目的の構造材の要求特性に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等の添加剤を配合してもよい。
プリプレグには、繊維軸に交差するように切込みが形成されていてもよい。プリプレグに切込みが形成されていることで、一方向に引き揃えられた強化繊維が分断され、繊維長が短くなる。これにより、スタンピング成形時に強化繊維や熱可塑性樹脂が流動しやすく、リブやボス等の複雑な3次元形状への賦形が容易になる。
プリプレグに形成する切込みの形状は、特に限定されず、例えば、直線状でもよく、曲線状でもよく、折れ線状でもよい。
プリプレグに形成する切込みの強化繊維の繊維軸に対する角度も、特に限定されない。
プリプレグにおける、切込みによって切断された強化繊維の長さは、1〜100mmが好ましく、3〜70mmがより好ましく、5〜50mmがさらに好ましく、10〜50mmが特に好ましく、10〜35mmが最も好ましい。強化繊維の長さが前記下限値以上であれば、優れた機械特性を有する繊維強化プラスチックが得られやすい。強化繊維の長さが前記上限値以下であれば、スタンピング成形によってリブ等の複雑な3次元形状を有する繊維強化プラスチックを製造することが容易になる。
プリプレグにおける繊維体積含有率(Vf)は、10〜70体積%が好ましく、20〜60体積%がより好ましく、30〜50体積%がさらに好ましい。Vfが下限値以上であれば、優れた機械特性を有する繊維強化プラスチックが得られやすい。Vfが上限値以下であれば、スタンピング成形時に強化繊維や熱可塑性樹脂が良好に流動しやすい。
なお、プリプレグのVf値は、プリプレグにおける強化繊維、熱可塑性樹脂、及びボイド(気体)を除く添加剤等のその他の成分の合計体積に対する強化繊維の体積の割合を意味する。JIS K7075に基づいて測定されたVf値はプリプレグ中のボイドの存在量により変動する値であるため、本発明においてはボイドの存在量に依存しない繊維体積含有率を採用する。
プリプレグの厚さは、50〜500μmが好ましい。プリプレグの厚さが下限値以上であれば、プリプレグの取り扱いが容易になる。また、プリプレグの積層枚数が多くなりすぎることを抑制できるため、生産性が高まる。プリプレグの厚さが上限値以下であれば、プリプレグの製造時に発生するプリプレグ内部のボイド(空孔)を抑制することができ、優れた機械特性を有する繊維強化プラスチックが得られやすい。
プリプレグの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。プリプレグとしては、市販のプリプレグを用いてもよい。
プリプレグへの切込みの形成方法としては、例えば、レーザーマーカー、カッティングプロッタ、抜型等を用いる方法が挙げられる。レーザーマーカーを用いる方法は、曲線状やジグザグ線状等の複雑な形状の切込みでも高速で加工できる点で好ましい。カッティングプロッタを用いる方法は、2m以上の大判のプリプレグでも加工が容易な点で好ましい。抜型を用いる方法は、高速で加工できる点で好ましい。
以上説明した本発明の積層シートは、各プリプレグ同士がスポット溶着されているため、取り扱い性に優れている。また、本発明の積層シートは、加熱加圧によって各プリプレグを一体化させる場合に比べて廉価である。そのため、本発明の積層シートを用いてスタンピング成形を行うことにより、繊維強化プラスチックを低コストに製造できる。
[強化繊維プラスチックの製造方法]
本発明の強化繊維プラスチックの製造方法は、一方向に配向した強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のプリプレグが複数枚積層され、各プリプレグ同士がスポット溶着された積層シートをスタンピング成形して繊維強化プラスチックを製造する方法である。
積層シートとしては、前記した本発明の積層シートを用いることができる。
本発明の強化繊維プラスチックの製造方法においては、積層シートの厚さ方向の中心部の温度(T)が、積層シートにおけるプリプレグの熱可塑性樹脂の融点(Tm)以上となるまで、赤外線ヒータにより積層シートを加熱する。そして、積層シートにおけるプリプレグの熱可塑性樹脂の結晶化温度(Tc)よりも低い温度(T)の金型により、Tm≦Tに加熱された積層シートを面圧3〜30MPaでスタンピング成形する。
なお、前記の積層シートにおけるプリプレグの熱可塑性樹脂の融点(Tm)とは、積層シートに2種以上の熱可塑性樹脂が組み合わせて用いられている場合は、それら熱可塑性樹脂の融点のうち、最も高い融点を意味するものとする。
また、前記の積層シートにおけるプリプレグの熱可塑性樹脂の結晶化温度(Tc)とは、積層シートに2種以上の熱可塑性樹脂が組み合わせて用いられている場合は、それら熱可塑性樹脂の結晶化温度のうち、最も低い結晶化温度を意味するものとする。
スタンピング成形時に加熱される積層シートの厚さ方向の中心部の温度(T)とは、積層シートの厚さ方向の中心から、厚さ方向に最も近いプリプレグ間において熱電対等で測定した温度を意味するものとする。
例えば、同じ厚さのプリプレグを偶数枚積層して積層シートとした場合は、測定位置よりも上側のプリプレグの枚数と下側のプリプレグの枚数が同数となるプリプレグ間で測定した温度を温度Tとする。同じ厚さのプリプレグを奇数枚積層して積層シートとした場合は、厚さ方向の中心のプリプレグと、該プリプレグの上側又は下側に隣接するプリプレグとの間で測定した温度を温度Tとする。厚さの異なるプリプレグを複数枚積層した場合は、厚さ方向の中心に対応するプリプレグと、該プリプレグの上側又は下側に隣接するプリプレグとの間のうち、厚さ方向の中心に近い側で測定した温度を温度Tとする。
スタンピング成形時に加熱される積層シートの厚さ方向の中心部の温度(T)は、Tm≦Tであり、Tm+3(℃)≦T≦Tm+150(℃)が好ましく、Tm+50(℃)≦T≦Tm+130(℃)がより好ましい。温度Tが下限値以上であれば、曲げ強度等の機械特性に優れた繊維強化プラスチックが得られる。温度Tが上限値以下であれば、機械特性と外観に優れた繊維強化プラスチックが得られやすい。
スタンピング成形時の金型温度(T)は、T<Tcであり、Tc−130(℃)≦T≦Tc−5(℃)が好ましく、Tc−50(℃)≦T≦Tc−10(℃)がより好ましい。温度Tが下限値以上であれば、成形性に優れた繊維強化プラスチックが得られやすい。温度Tが上限値未満であれば、寸法安定性と離型性に優れた繊維強化プラスチックが得られる。
スタンピング成形時の面圧は、3〜30MPaであり、5〜30MPaが好ましく、10〜20MPaがより好ましい。スタンピング成形時の面圧が下限値以上であれば、機械特性と外観に優れた繊維強化プラスチックが得られやすい。スタンピング成形時の面圧が上限値以下であれば、より安価なプレス機にてスタンピング成形が可能な繊維強化プラスチックが得られる。
積層シートを切断加工した後にスタンピング成形を行う場合は、鋸刃により積層シートを切断加工することが好ましい。鋸刃を用いることで、積層シートの切断加工時に発生する熱により、切断部分においてプリプレグ同士が溶着する。そのため、切断加工後の積層シートの取り扱い性も優れたものとなる。
スタンピング成形に用いる積層シートにおいては、各プリプレグ同士が、1000cmあたり1〜10箇所スポット溶着されていることが好ましい。これにより、スタンピング成形時の積層シートの取り扱い性が優れたものとなる。また、積層シートを切断加工した後にスタンピング成形を行う場合に、切断加工後の積層シートの取り扱い性も優れたものとなる。
積層したプリプレグ同士をスポット溶着した積層シートを用いたスタンピング成形では、得られる繊維強化プラスチックの機械特性が劣ることがある。この点について本発明者等が検討したところ、プリプレグ同士をスポット溶着した積層シートは、プリプレグ間に空気が存在しているため、加熱加圧してプリプレグ同士を一体化させた場合に比べて内部の温度が上がりにくいことがわかった。積層シートの表面近傍の温度が充分に高くなったとしても、厚さ方向の中心部の温度が充分に上がっていないと、得られる繊維強化プラスチックの機械特性が低下する。
これに対して、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法においては、積層シートの厚さ方向の中心部の温度(T)がプリプレグの熱可塑性樹脂の融点(Tm)以上となるまで積層シートを加熱した状態で、金型温度と面圧を特定の範囲に制御してスタンピング成形を行う。そのため、プリプレグ同士をスポット溶着した積層シートを用いても、優れた機械特性を有する繊維強化プラスチックを得ることができる。
また、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法においては、プリプレグ同士をスポット溶着した積層シートを用いるため、加熱加圧してプリプレグ同士を一体化させた積層シートを用いる場合に比べて、コスト面でも有利である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[製造例1]
炭素繊維(商品名「パイロフィル(登録商標)TR−50S15L」、三菱レイヨン社製、炭素繊維直径7μm)を一方向に、かつ平面状に引き揃えて目付が100g/mである繊維シートとした。ナイロン6(PA6、商品名「1013B」、宇部興産社製、融点Tm:215℃、結晶化温度Tc:180℃)からなる目付が34g/mのフィルムによって、前記繊維シートを両面から挟んだ。これらをカレンダロールに複数回通して加熱と加圧を行い、樹脂を繊維シートに含浸させ、繊維体積含有率(Vf)が48体積%、厚さ115μmのプリプレグを作製した。
[実施例1]
製造例1で得たプリプレグから、繊維方向が0°/45°/90°/−45°の縦1600mm×横900mmで大きさ14400cmの矩形のプリプレグ片を切り出し、カッティングプロッタ(レザック社製、製品名:L−2500)を用いて、一定間隔で直線状の切込みを入れて切込入りプリプレグを得た。切込み加工は、プリプレグにおける周縁から5mmの部分よりも内側の部分に、炭素繊維の繊維長が25.0mm、切込みの長さが28.3mm、炭素繊維の繊維軸と切込みとのなす角度が45°となるように施した。
繊維方向が異なる切込入りプリプレグ各4枚(計16枚)を、各切込入りプリプレグの繊維方向が、上から0°/45°/90°/−45°/−45°/90°/45°/0°/0°/45°/90°/−45°/−45°/90°/45°/0°となるように積層した。積層した切込入りプリプレグ同士を、超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して、平面視での大きさが14400cmの疑似等方([0/45/90/−45]s2)の積層シートを作製した。スポット溶着は、図3に示す(a)〜(x)の位置に全体で24箇所実施し、1000cmあたりのスポット溶着数を1.7箇所とした。
次いで、前記積層シートを鋸刃で切断加工し、縦300mm×横300mmで、平面視の大きさが900cmの短形の切断加工シートを15枚切り出した。
得られた切断加工シートを、該切断加工シートの厚さ方向の中心部の温度Tがナイロン6の融点Tm(215℃)以上である220℃となるまで、赤外線ヒータにより加熱した。このときの積層シートの表面温度は264℃であった。切断加工シートの温度は熱電対により測定した。その後、金型温度Tが、ナイロン6の結晶化温度Tc(180℃)よりも低い160℃の金型により、前記の温度に加熱された切断加工シートを面圧5MPaでスタンピング成形して、繊維強化プラスチックを得た。金型としては、310mm×310mmの平板の印籠型を用いた。
[実施例2〜4]
スタンピング成形時に加熱する積層シートの厚さ方向の中心部の温度(T)、面圧等の条件を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。
[実施例5〜8]
プリプレグに切込みを入れない以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。該積層シートを用いて、スタンピング成形時に加熱する積層シートの厚さ方向の中心部の温度(T)、面圧等の条件を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。
[比較例1]
スタンピング成形時に加熱する積層シートの厚さ方向の中心部の温度(T)を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。
[比較例2]
プリプレグに切込みを入れない以外は、実施例1と同様にして積層シートを得た。該積層シートを用いて、スタンピング成形時に加熱する積層シートの厚さ方向の中心部の温度(T)を表1に示すとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチックを得た。
[曲げ強度及び曲げ弾性率の測定]
得られた繊維強化プラスチックから、鋸刃で切断加工し、長さ100mm、幅25mmの曲げ試験片を切り出し、23℃において、JIS K7074に規定する試験方法に従って3点曲げ試験を行い、曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。試験機としてはインストロン万能試験機4465型を用いた。測定した試験片の数はそれぞれn=6とし、曲げ強度及び曲げ弾性率はそれらの平均値として算出した。
[層間せん断強度(ILSS)の測定]
各例で得た繊維強化プラスチックから試験片を切り出し、JIS K7078に準拠し、環境温度23℃において試験片の層間せん断強度を測定した。
実施例1〜8及び比較例1、2の成形条件及び評価結果を表1に示す。
Figure 2016172346
表1に示すように、本発明に規定する条件で製造した実施例1〜8の繊維強化プラスチックは、曲げ強度、曲げ弾性率及び層間せん断強度が高く、優れた機械特性を有していた。
成形時における積層シートの厚さ方向の中心部の温度Tが、プリプレグ中の熱可塑性樹脂の融点Tmよりも低い比較例1、2では、得られた繊維強化プラスチックの曲げ強度及び曲げ弾性率が実施例に比べて低く、機械特性が劣っていた。
[実施例9]
製造例1で得たプリプレグから、繊維方向が0°/45°/90°/−45°の縦350mm×横350mmで大きさ1225cmの矩形のプリプレグ片を各4枚(計16枚)切り出した。それら16枚のプリプレグ片を、各プリプレグ片の繊維方向が、上から0°/45°/90°/−45°/−45°/90°/45°/0°/0°/45°/90°/−45°/−45°/90°/45°/0°となるように積層した。積層したプリプレグ同士を、超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して、平面視での大きさが1225cmの疑似等方([0/45/90/−45]s2)の積層シートを作製した。スポット溶着は、図1に示す(a)〜(i)の位置に全体で9箇所実施し、1000cmあたりのスポット溶着数を7.3箇所とした。
次いで、前記積層シートを鋸刃で切断加工し、縦300mm×横300mmで、平面視での大きさが900cmの矩形の切断加工シートを1枚得た。
[実施例10]
製造例1で得たプリプレグから、繊維方向が0°/45°/90°/−45°の縦500mm×横500mmで大きさ2500cmの短形のプリプレグ片を各4枚(計16枚)切り出し、実施例1と同様の順で積層して平面視での大きさが2500cmの積層シートを作成した。スポット溶着は、図1に示す(a)〜(i)の位置に全体で9箇所実施し、1000cmあたりのスポット溶着数を3.6箇所とした。
次いで、前記積層シートを鋸刃で切断加工し、縦300mm×横300mmで、平面視での大きさが900cmの矩形の切断加工シートを1枚得た。
[実施例11]
製造例1で得たプリプレグから、繊維方向が0°/45°/90°/−45°の縦1200mm×横900mmで大きさ10800cmの短形のプリプレグ片を各4枚(計16枚)切り出し、実施例1と同様の順で積層して平面視での大きさが10800cmの積層シートを作成した。スポット溶着は、図2に示す(a)〜(t)の位置に全体で20箇所実施し、1000cmあたりのスポット溶着数を1.9箇所とした。
次いで、前記積層シートを鋸刃で切断加工し、縦300mm×横300mmで、平面視での大きさが900cmの矩形の切断加工シートを12枚得た。
[実施例12]
製造例1で得たプリプレグから、繊維方向が0°/45°/90°/−45°の縦1600mm×横900mmで大きさ14400cmの短形のプリプレグ片各4枚(計16枚)を切り出し、実施例1と同様の順で積層して平面視での大きさが14400cmの積層シートを作成した。スポット溶着は、図3に示す(a)〜(x)の位置に全体で24箇所実施し、1000cmあたりのスポット溶着数を1.7箇所とした。
次いで、前記積層シートを鋸刃で切断加工し、縦300mm×横300mmで、平面視での大きさが900cmの矩形の切断加工シートを16枚得た。
[比較例3]
実施例12の積層シートのスポット溶着は、図4に示す(a)〜(d)の位置に全体で4箇所実施し、1000cmあたりのスポット溶着数を0.3箇所とする以外は実施例12と同様の方法で、切断加工シートを得た。
[比較例4]
切断加工の際に、鋸刃の代わりにせん断刃を用いた以外は、実施例9と同様にして切断加工シートを得た。
[取り扱い性の評価]
各例で得た切断加工シートの取り扱い性を以下の基準で評価した。
○:取り扱い時に各プリプレグがばらばらにならない。
×:取り扱い時に各プリプレグの一部がばらける。
各例の製造条件及び評価結果を表2に示す。
Figure 2016172346
表2に示すように、1000cmあたり1〜10箇所スポット溶着された積層シートを鋸刃で切断加工した実施例9〜12では、切断加工後の切断加工シートの取り扱い性にも優れていた。
1000cmあたりのスポット溶着数が1未満の積層シートを鋸刃で切断加工した比較例3では、切断加工後の切断加工シートの取り扱い性が劣っていた。
1000cmあたり1〜10箇所スポット溶着された積層シートをせん断刃により切断加工した比較例4でも、切断加工後の切断加工シートの取り扱い性が劣っていた。

Claims (4)

  1. 一方向に配向した強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のプリプレグが複数枚積層された積層シートをスタンピング成形して繊維強化プラスチックを得る繊維強化プラスチックの製造方法であって、
    各プリプレグ同士がスポット溶着された積層シートを、赤外線ヒータにより前記積層シートの厚さ方向の中心部の温度が前記熱可塑性樹脂の融点以上となるまで加熱し、前記熱可塑性樹脂の結晶化温度よりも低い温度の金型により、面圧3〜30MPaでスタンピング成形する、繊維強化プラスチックの製造方法。
  2. 前記積層シートにおける各プリプレグ同士が、1000cmあたり1〜10箇所スポット溶着されている、請求項1に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  3. 前記積層シートを鋸刃で切断加工した後にスタンピング成形する、請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  4. 一方向に配向した強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたシート状のプリプレグが複数枚積層され、かつ各プリプレグ同士が、1000cmあたり1〜10箇所スポット溶着された、平面視での大きさが1000cm以上の積層シート。
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