JP2017001371A - 繊維強化プラスチック成形板の製造方法 - Google Patents

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厚 高橋
鍋島 泰彦
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Abstract

【課題】高い生産性で外観不良が抑制された繊維強化プラスチック成形板を製造できる繊維強化プラスチック成形板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】強化繊維と熱可塑性樹脂を含有するシート状の基材10を、加熱プレス装置100によって加熱プレスした後に冷却プレスを行って繊維強化プラスチック成形板を製造する方法において、前記加熱プレスの終了時から前記冷却プレスの開始時までの時間を15秒以内として、平面視での面積Sが0.25m以上の繊維強化プラスチック成形板を得る、繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、繊維強化プラスチック成形板の製造方法に関する。
航空機部材、自動車部材、風力発電用風車部材、スポーツ用具等の様々な分野において、繊維強化プラスチック成形板を3次元形状等の複雑な形状にスタンピング成形した構造材が広く用いられている。該繊維強化プラスチック成形板は、いわゆる中間材であり、例えば、強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸したプリプレグ基材が複数枚積層されて一体化されることで形成される。
プリプレグ基材としては、例えば、連続した繊維長の長い強化繊維を一方向に引き揃えたものに、熱可塑性樹脂を含浸してシート状にしたプリプレグ基材が挙げられる。該プリプレグ基材で形成した繊維強化プラスチック成形板を用いることで、優れた機械物性を有する構造材を製造できる。また、プリプレグ基材を積層する際に、各々のプリプレグ基材における強化繊維を規則的に配置することで、機械物性を適宜設計することができる。例えば、各々のプリプレグ基材の強化繊維の繊維軸の方向が平面視で上から0°、45°、90°、−45°等となるように疑似等方に積層することで、機械物性の等方性が良好な繊維強化プラスチック成形板とすることができる。また、積層するプリプレグ基材の強化繊維の繊維軸の方向が平面視で特定の方向に偏るようにすることで、当該方向の機械物性が高い繊維強化プラスチック成形板とすることができる。
一方向に引き揃えた強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させたプリプレグ基材に対して、繊維軸に交差するように切込を入れた切込入りプリプレグ基材を用いる方法も知られている。該切込入りプリプレグ基材を用いた繊維強化プラスチック成形板は、強化繊維が短く分断されていることから賦形時の流動性が良好なため、短時間成形が可能で、3次元形状等の複雑な形状へのスタンピング成形に特に好適に使用できる。
繊維強化プラスチック成形板の製造方法としては、例えば、以下の方法が知られている。
プリプレグ積層体を型に挟んで熱可塑性樹脂の融点以上の温度にて加圧しながら加熱プレスを行った後、冷却プレスを実施し、一体化前のプリプレグ積層体に対する面積比が1.01〜1.10の繊維強化プラスチック成形板を製造する方法(特許文献1)。該方法によれば、得られる繊維強化プラスチック成形体の物性のバラツキを抑制することができる。
特開2015−051630号公報
繊維強化プラスチック成形板を用いた構造材の成形においては、大判の繊維強化プラスチック成形板を用いて一度に成形を行うことが求められることが多い。しかし、特許文献1のような従来の方法では、平面視での面積が0.25m以上の大判の繊維強化プラスチック成形板を製造する際に、表面が白化したり、凹凸(がさつき)が生じたりする等の外観不良が起きることがある。また、大判の繊維強化プラスチック成形板を製造する場合でも、高い生産性を実現することは重要である。
本発明は、高い生産性で外観不良が抑制された繊維強化プラスチック成形板を製造できる繊維強化プラスチック成形板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]強化繊維と熱可塑性樹脂を含有するシート状の基材を、前記熱可塑性樹脂の融点以上、又は融点を有しないときはガラス転移温度以上に加熱された状態でプレスする加熱プレスを行った後、冷却プレスを行って繊維強化プラスチック成形板を製造する方法において、前記加熱プレスの終了時から前記冷却プレスの開始時までの時間を15秒以内として、平面視での面積Sが0.25m以上の繊維強化プラスチック成形板を得る、繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
[2]前記冷却プレスの終了時の繊維強化プラスチック成形板の温度が50℃以下となるように前記冷却プレスを行う、[1]に記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
[3]前記加熱プレス前の基材の平面視での面積Sに対する冷却プレス後の繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sの比(S/S)が1.0以上1.1以下となるように前記加熱プレス及び前記冷却プレスを行う、[1]又は[2]に記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
[4]前記加熱プレス及び前記冷却プレスにおいて、前記基材を一対の金属プレート又は樹脂シートに挟んでプレスする、[1]〜[3]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
[5]前記加熱プレスの際に、加熱開始から60秒以内に、前記基材の厚さ方向の中心温度が融点以上又はガラス転移温度以上になるように前記基材を加熱する、[1]〜[4]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
[6]前記加熱プレスにおけるプレス圧力が0.01〜0.5MPaであり、プレス時間が30〜180秒である、[1]〜[5]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
[7]前記基材が、強化繊維に熱可塑性樹脂が含有されたシート状のプリプレグ基材が複数積層されたプリプレグ積層体である、[1]〜[6]のいずれかに記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法によれば、高い生産性で外観不良が抑制された繊維強化プラスチック成形板を製造することができる。
本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法において、基材を一対の金属プレートで挟み込む様子を示した正面図である。 本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法において、基材を加熱プレスする様子を示した正面図である。 本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法において、基材を冷却プレスする様子を示した正面図である。
本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法は、強化繊維と熱可塑性樹脂を含有するシート状の基材に対して加熱プレスを行った後、冷却プレスを行って繊維強化プラスチック成形板を製造する方法である。
[基材]
基材としては、強化繊維に熱可塑性樹脂が含有されたシート状のプリプレグ基材が複数積層されたプリプレグ積層体が好ましい。熱可塑性樹脂は一般的に熱硬化性樹脂よりも靱性値が高いため、該プリプレグ基材を用いることで、強度、特に耐衝撃性に優れた構造材が得られやすくなる。また、熱可塑性樹脂は化学反応を伴うことなく冷却固化により形状が定まるため、該プリプレグ基材を用いる場合は短時間成形が可能となり、生産性に優れる。
(プリプレグ基材)
プリプレグ基材としては、例えば、一方向に引き揃えた強化繊維に熱可塑性樹脂が含浸されたプリプレグ基材を使用することができる。該プリプレグ基材を使用することで、得られる繊維強化プラスチック成形板の機械物性を高めることができる。また、強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸させたプリプレグ基材に、切込を形成した切込入りプリプレグ基材を使用することもできる。切込入りプリプレグ基材を使用することで、得られる繊維強化プラスチック成形板のスタンピング成形時の流動性が高まるため、複雑な形状の構造材をより容易に得ることができる。
強化繊維としては、特に限定されず、例えば、無機繊維、有機繊維、金属繊維、又はこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維が使用できる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維が挙げられ、また金属を被覆した炭素繊維でもよい。これらの中では、最終成形物である構造材の強度等の機械物性を考慮すると、炭素繊維が好ましい。
強化繊維の平均繊維直径は、1〜50μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
強化繊維としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
一方向に引き揃えた強化繊維からなる繊維束における強化繊維の本数は、特に限定されず、20,000本以上のラージトウであってもよく、20,000本未満のレギュラートウであってもよい。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリアミド樹脂(ナイロン6(融点:224℃)、ナイロン66(融点:260℃)、ナイロン12(融点:175℃)、ナイロンMXD6(融点:237℃)等)、ポリオレフィン樹脂(低密度ポリエチレン(融点:95〜130℃)、高密度ポリエチレン(融点:120〜140℃)、ポリプロピレン(融点:168℃)等)、変性ポリオレフィン樹脂(変性ポリプロピレン樹脂(融点:160〜165℃)等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート樹脂(ガラス転移温度:145℃)、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリエステル樹脂、アクリロニトリルとスチレンの共重合体、ナイロン6とナイロン66の共重合体等が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、マレイン酸等の酸によりポリオレフィン樹脂を変性した樹脂等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
熱可塑性樹脂としては、成形性、機械的物性、強化繊維への含浸性、接着性の点から、ポリオレフィン樹脂、変性ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂及びポリカーボネート樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
プリプレグ基材には、目的の構造材の要求特性に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等の添加剤を配合してもよい。
切込入りプリプレグ基材を用いる場合、強化繊維の繊維軸に交差するように、かつ強化繊維を切断する深さの切込を形成する。
一般に強化繊維が長いほど機械物性に優れた構造材が得られるが、特にスタンピング成形時において、流動性が低下するために複雑な3次元形状の構造材が得られにくくなる。切込入りプリプレグ基材では、一方向に引き揃えられた繊維長の長い強化繊維が切込によって分断された状態になっている。これにより、強化繊維が短くなっているため、スタンピング成形時でも強化繊維と熱可塑性樹脂が流動しやすい。そのため、リブやボス等の複雑な3次元形状の構造材を得ることが容易になる。
また、一般にランダム材と呼ばれる、プリプレグ基材から切り出したプリプレグ片を分散させて一体化させることでシート状の繊維強化プラスチック成形板を形成すると、機械物性にばらつきが生じるため、部品設計が困難である。これに対して、切込入りプリプレグ基材を用いれば、ランダム材を用いる場合に比べて機械物性が良好で、そのばらつきも小さくできる。
切込入りプリプレグ基材における、切込によって分断された強化繊維の長さLは、5〜100mmが好ましく、10〜50mmがより好ましい。前記強化繊維の長さLが下限値以上であれば、充分な機械物性を有する繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。前記強化繊維の長さLが上限値以下であれば、成形時に強化繊維と熱可塑性樹脂が流動しやすくなるため、得られた繊維強化プラスチック成形板をリブ等の複雑な3次元形状を有する構造材に成形することが容易になる。
切込入りプリプレグ基材における平均切込長Lは、10〜50mmが好ましく、15〜30mmがより好ましい。平均切込長Lが下限値以上であれば、充分な機械物性を有する繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。平均切込長Lが上限値以下であれば、流動性が良く、複雑な3次元形状を有する構造材に成形することが容易になる。
切込入りプリプレグ基材における、1mあたりの切込長の総和Lは、10m以上が好ましく、20m以上がより好ましい。前記総和Lが下限値以上であれば、流動性がより良好となり、リブ等の複雑形状へのスタンピング成形が容易になる。
前記総和Lは、200m以下が好ましく、150m以下がより好ましい。前記総和Lが上限値以下であれば、機械物性に優れた繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。また、切込を入れる加工が容易になるため、プリプレグ基材に裂け目が生じたり、隣接する切込間で強化繊維及び熱可塑性樹脂が欠落したりすることを抑制しやすく、製造コストの面でも有利である。
プリプレグ基材に形成する切込の形状は、特に限定されず、例えば、直線状でもよく、曲線状でもよく、折れ線状でもよい。切込の形状を曲線状とすることで、直線状とする場合に比べて前記総和Lを大きくしやすくなる。
また、切込を曲線状とする場合は、直線状の中心線に沿った曲線であって、かつ曲線を該中心線に投影した際に重なりがない、いわゆる波線状が好ましい。
プリプレグ基材に形成する切込の強化繊維の繊維軸に対する角度θは、特に限定されない。角度θが大きいほど、繊維間のせん断力が小さくなるために流動性が高くなり、リブ等の複雑形状のスタンピング成形が容易になる。角度θが小さいほど、機械物性が高い繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。
プリプレグ基材における繊維体積含有率(Vf)は、20〜55体積%が好ましい。Vfが下限値以上であれば、充分な機械物性を有する構造材が得られやすい。Vfが上限値以下であれば、賦形時に良好な流動性が得られやすい。
なお、Vf値は、JIS K7075に基づいて測定された値を意味する。
プリプレグ基材の厚みは、50〜200μmが好ましい。プリプレグ基材の厚みが下限値以上であれば、プリプレグ基材の取り扱いが容易になり、またプリプレグ基材の積層枚数が多くなりすぎることを抑制できるため、生産性が高まる。プリプレグ基材の厚みが上限値以下であれば、強化繊維への熱可塑性樹脂の含浸性が良好となる。
本発明では、プリプレグ基材の厚みが最終的に得られる構造材の強度に与える影響は小さい。
プリプレグ基材の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を採用できる。プリプレグ基材としては、市販のプリプレグ基材を用いてもよい。
プリプレグ基材の製造方法としては、例えば、強化繊維をシート状に並べた強化繊維シートを2枚の熱可塑性樹脂フィルムで挟み、加熱及び加圧を行うことで熱可塑性樹脂を含浸させる方法が挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムは1種のみを使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
プリプレグ基材の製造において加熱及び加圧する方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、2個以上の熱ロールを利用する方法、予熱装置と熱ロールを複数組み合わせる等の多段階の工程を有する方法が挙げられる。
プリプレグ基材の製造時の加熱温度は、熱可塑性樹脂の種類に応じて設定すればよく、100〜400℃が好ましい。プリプレグ基材の製造時の加圧時の圧力は、0.1〜10MPaが好ましい。加熱温度及び圧力が前記範囲であれば、強化繊維の間に熱可塑性樹脂を含浸させることが容易になる。
プリプレグ基材への切込の形成方法としては、例えば、レーザーマーカー、カッティングプロッタ、抜型等を用いる方法が挙げられる。レーザーマーカーを用いる方法は、曲線状やジグザグ線状等の複雑な形状の切込でも高速で加工できる点で好ましい。カッティングプロッタを用いる方法は、2m以上の大判のプリプレグ基材でも加工が容易な点で好ましい。抜型を用いる方法は、高速で加工できる点で好ましい。
(積層の態様)
プリプレグ積層体におけるプリプレグ基材の積層態様は特に限定されない。プリプレグ積層体においては、強化繊維の種類、熱可塑性樹脂の種類、切込の有無、前記強化繊維の長さL、平均切込長L、総和L、切込と強化繊維の軸方向とのなす角度θ等が異なる2種以上のプリプレグ基材を積層してもよい。
プリプレグ積層体において、スタンピング成形時にボスやリブ等の3次元形状を形成する部分は、角度θが大きく、かつ総和Lが大きくなるようにプリプレグ基材を積層することが好ましい。また、プリプレグ積層体において、流動が二次元的で流動長が小さく、高い力学物性を必要とする部分には、角度θが小さく、かつ総和Lが小さくなるようにプリプレグ基材を積層することが好ましい。
プリプレグ積層体は、複数のプリプレグ基材が強化繊維の方向が擬似等方となるように各プリプレグ基材が積層されていることが好ましい。これにより、プレス時の流動の異方性が小さくなり、得られる繊維強化プラスチック成形体の強度の異方性が小さくなる。プリプレグ積層体においては、プリプレグ基材間の強化繊維の繊維軸の方向が異なっているものと、揃っているものが混在していてもよい。
例えば、平面視で強化繊維の方向が0°であるプリプレグ基材と、90°であるプリプレグ基材とが交互に積層されたプリプレグ積層体が挙げられる。また、平面視で繊維軸の方向が0°、45°、90°、−45°(ただし、反時計回りを正とする。)となる順に複数のプリプレグ基材が積層されたプリプレグ積層体でもよい。
プリプレグ積層体においては、取り扱い性に優れる点から、積層される各プリプレグ基材同士がスポット溶着等で接着されていることが好ましい。
プリプレグ積層体におけるプリプレグ基材の積層数は、4〜96が好ましく、8〜48がより好ましい。プリプレグ基材の積層数が下限値以上であれば、充分な機械物性を有する繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。プリプレグ基材の積層数が上限値以下であれば、積層作業が容易になり、生産性に優れる。
プリプレグ積層体においては、プリプレグ基材の間に、熱可塑性樹脂からなる層を積層することが、プレス時の流動性が向上する点で好ましい。
熱可塑性樹脂層を形成する熱可塑性樹脂としては、例えば、プリプレグ基材で挙げた熱可塑性樹脂と同じものが挙げられる。プリプレグ基材における熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂層における熱可塑性樹脂は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
[繊維強化プラスチック成形板の製造方法]
以下、本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法の一例を示して説明する。
本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法は、例えば、下記の加熱プレス工程及び冷却プレス工程を有する方法が挙げられる。
加熱プレス工程:強化繊維と熱可塑性樹脂を含有するシート状の基材を、熱可塑性樹脂の融点以上、又は融点を有しないときはガラス転移温度以上(以下、熱可塑性樹脂の融点及びガラス転移温度をまとめてTsと記す。)に加熱された状態でプレスする工程。
冷却プレス工程:加熱プレス後の基材を冷却プレスし、平面視での面積Sが0.25m以上の繊維強化プラスチック成形板を得る工程。
本発明では、加熱プレス前の基材の平面視での面積Sに対する冷却プレス後の繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sの比(S/S)が1.0以上1.1以下となるように加熱プレス及び冷却プレスを行うことが好ましい。これにより、得られる繊維強化プラスチック成形板の表面において樹脂が乱れて凹凸(がさつき)が生じる等の外観不良が生じることが抑制されやすくなる。
比(S/S)は、1.0以上1.1以下が好ましく、1.0以上1.05以下がより好ましい。
比(S/S)は、加熱プレスにおけるプレス圧力及びプレス時間、冷却プレスにおけるプレス圧力及びプレス時間等を調節することにより調節できる。
本発明では、基材の取り扱い性に優れ、基材を移動させることが容易になる点から、加熱プレス及び冷却プレスにおいて、基材を一対の金属プレート又は樹脂シートで挟み込んだ状態でプレスすることが好ましい。
金属プレートとしては、例えば、鉄板、アルミニウム板、ステンレス板(SUS板)が挙げられる。金属プレートの厚みは、0.1〜5mmが好ましい。
樹脂シートとしては、例えば、樹脂が含浸されたガラスクロスが挙げられる。樹脂シートに用いる樹脂としては、例えば、フッ素樹脂等が挙げられる。樹脂シートの厚みは、0.1〜5mmが好ましい。
本発明では、基材における両面側に何も配置せずにそのままの状態で加熱プレス及び冷却プレスを行ってもよい。具体的には、基材をそのまま加熱プレス装置に設置して加熱プレスを行い、さらにそのまま冷却プレス装置に移動させて冷却プレスしてもよい。この態様は、加熱プレス及び冷却プレスに要する時間を短縮できるため、生産性の点で有利である。
なお、本発明では、基材を一対の上型及び下型を備える金型で挟んだ状態で、加熱プレス装置や冷却プレス装置に設置して加熱プレス及び冷却プレスを行ってもよい。
(加熱プレス工程)
例えば、加熱プレス装置により、強化繊維と熱可塑性樹脂を含有するシート状の基材を、熱可塑性樹脂のTs(℃)以上に加熱された状態でプレスする。この加熱プレスにおいては、基材をプレスしつつTs以上に加熱してもよく、基材をTs(℃)以上に加熱した後にプレスしてもよい。
なお、基材が2種以上の熱可塑性樹脂を含む場合、それらの熱可塑性樹脂のTsのうち、最も高いTs以上に基材を加熱する。
本発明では、平面視での面積Sが0.25m以上の繊維強化プラスチック成形板を得ることができるサイズの基材を使用する。使用する基材の平面視での面積Sは、0.25m以上であることが好ましい。
加熱プレス装置としては、特に限定されず、例えば、電気ヒーター、遠赤外線ヒーター、近赤外線ヒーター等の加熱機構を備えるプレス機、盤面を加熱する加熱機構を備えるプレス機等が挙げられる。また、加熱プレス装置としては、電気ヒーター加熱装置、遠赤外線ヒーター加熱装置、近赤外線ヒーター加熱装置等の加熱装置と、加熱機構を備えていないプレス機とを組み合わせて用いてもよい。
加熱プレスにおける基材の温度Th(℃)は、Ts+10≦Th≦Ts+100が好ましく、Ts+15(℃)≦Th≦Ts+95(℃)がより好ましく、Ts+20(℃)≦Th≦Ts+90(℃)がさらに好ましい。基材の温度Thが下限値以上であれば、熱可塑性樹脂を充分に溶融させやすく、基材を成形しやすい。基材の温度Thが上限値以下であれば、熱可塑性樹脂の劣化を抑制しやすく、また基材から熱可塑性樹脂が漏れ出すことを抑制しやすい。
なお、基材の温度Th(℃)とは、加熱プレス時の基材の厚さ方向の中心温度の最大値を意味する。
基材の厚さ方向の中心温度としては、例えば、基材としてプリプレグ積層体を用いる場合、該プリプレグ積層体の厚さ方向の中心から、厚さ方向に最も近いプリプレグ基材間において熱電対等で測定した温度を採用するものとする。
具体的には、同じ厚さのプリプレグ基材を偶数枚積層してプリプレグ積層体とした場合は、測定位置よりも上側のプリプレグ基材の枚数と下側のプリプレグ基材の枚数が同数となるプリプレグ基材間で測定した温度を厚さ方向の中心温度とする。同じ厚さのプリプレグ基材を奇数枚積層してプリプレグ積層体とした場合は、厚さ方向の中心のプリプレグ基材と、該プリプレグ基材の上側又は下側に隣接するプリプレグ基材との間で測定した温度を厚さ方向の中心温度とする。厚さの異なるプリプレグ基材を複数枚積層した場合は、厚さ方向の中心に対応するプリプレグ基材と、該プリプレグ基材の上側又は下側に隣接するプリプレグ基材との間のうち、厚さ方向の中心に近い側で測定した温度を厚さ方向の中心温度とする。
加熱プレスにおいては、生産性の点から、加熱開始から60秒以内に、基材の厚さ方向の中心温度がTs(℃)以上になるように基材を加熱することが好ましい。例えば、加熱プレスにおいて、加熱プレスの際に上型と下型を備える金型を用いずに、平板状で厚みの薄い金属プレート又は樹脂シートで基材を挟んで用いるか、基材をそのまま用いることで、加熱プレスにおける基材の加熱時間を短縮できる。この場合、質量の重い金型を用いる場合に比べて基材の移動が容易になることも生産性の観点で有利である。
加熱プレスにおけるプレス圧力(圧力P)は、0.01〜0.5MPaが好ましく、0.05〜0.4MPaがより好ましい。圧力Pが下限値以上であれば、物性の優れた繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。圧力Pが上限値以下であれば、熱可塑性樹脂が過度に流動しにくくなる。そのため、比(S/S)を前記範囲内に制御しやすく、得られる繊維強化プラスチック成形板の表面に凹凸等の外観不良が生じにくくなる。
なお、本発明において、プレス圧力とは、基材に加えるプレス力を該基材の平面視での面積で除した値を意味する。
加熱プレスにおけるプレス時間(時間t)は、30〜180秒が好ましく、60〜120秒がより好ましい。時間tが下限値以上であれば、良好な機械物性を持つ繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。時間tが上限値以下であれば、熱可塑性樹脂が過度に流動しにくくなる。そのため、比(S/S)を前記範囲内に制御しやすく、得られる繊維強化プラスチック成形板の表面に凹凸等の外観不良が生じにくくなる。
(冷却プレス工程)
例えば、加熱プレス後の基材を冷却プレス装置に移動させ、該基材を冷却プレスし、平面視での面積Sが0.25m以上の繊維強化プラスチック成形板を得る。
冷却プレス装置としては、特に限定されず、例えば、冷媒や熱媒を循環させる機構を備えるプレス機や、電気ヒーター等の加熱機構を備えるプレス機が挙げられる。
本発明では、加熱プレスの終了時から冷却プレスの開始時までの時間(時間t)を15秒以内とする。時間tが上限値以下であれば、生産性が高くなるうえ、平面視での面積が0.25m以上の大判の場合でも優れた外観の繊維強化プラスチック成形板が得られる。
時間tは、15秒以内であり、10秒以内がより好ましい。
なお、加熱プレスの終了時とは、加熱プレスにおけるプレスの終了時を意味する。また、冷却プレスの開始時とは、冷却プレスにおけるプレスの開始時を意味する。
冷却プレスの終了時の繊維強化プラスチック成形板の温度Tは、50℃以下が好ましく、25〜50℃がより好ましく、35〜50℃がさらに好ましい。温度Tが上限値以下であれば、優れた外観の繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。温度Tが下限値以上であれば、繊維強化プラスチック成形板を容易に取り出すことができる。
冷却プレスにおけるプレス圧力(圧力P)は、0.1〜3.0MPaが好ましく、0.2〜2.0MPaがより好ましい。圧力Pが下限値以上であれば、機械的物性の優れた繊維強化プラスチック成形板が得られやすい。圧力Pが上限値以下であれば、比(S/S)を前記範囲内に制御しやすく、得られる繊維強化プラスチック成形板の表面に凹凸等の外観不良が生じにくくなる。
冷却プレスにおけるプレス時間(時間t)は、冷却プレスの終了時の繊維強化プラスチック成形板の温度Tが50℃以下となる範囲がよく、水冷式の冷却プレスの場合、30〜300秒が好ましく、60〜180秒がより好ましい。時間tが下限値以上であれば、繊維強化プラスチック成形板を容易に取り出すことができる。時間tが上限値以下であれば、比(S/S)を前記範囲内に制御しやすく、得られる繊維強化プラスチック成形板の表面に凹凸等の外観不良が生じにくくなる。
本発明では、生産性の点から、基材をSUS板又は樹脂シートで挟んでから、冷却プレス後に炭素維強化プラスチック成形板を取り出すまでの時間t(成形サイクル)は、350秒未満が好ましく、300秒未満がより好ましい。
このようにして製造した繊維強化プラスチック成形板の厚さTは、0.3〜8mmが好ましく、0.5〜4mmがより好ましく、0.5〜3mmがさらに好ましい。厚さTが下限値以上であれば、最終部材を構成する際に必要な物性を保証できる充分な厚さを確保しやすい。厚さTが上限値以下であれば、最終部材として加熱してプレス成形を行う際に、成形性を確保しやすい。
[具体的な実施態様]
以下、本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法の具体的な実施態様の一例として、加熱プレス装置100と冷却プレス装置200を用いる方法について図1〜3に基づいて説明する。
加熱プレス装置100は、図2に示すように、下側プレス体110と上側プレス体120とを備える。下側プレス体110は、下側本体部112と、基材10を下面側から加熱する下側加熱盤114とを備える。上側プレス体120は、上側本体部122と、基材10を上面側から加熱する上側加熱盤124とを備える。
冷却プレス装置200は、図3に示すように、下側プレス体210と上側プレス体220とを備える。下側プレス体210は、下側本体部212と、基材10を下面側から冷却する下側冷却盤214とを備える。上側プレス体220は、上側本体部222と、基材10を上面側から冷却する上側冷却盤224とを備える。
加熱プレス工程では、例えば、図1に示すように、基材10を両面側から一対の金属プレート20で挟み込む。次いで、図2に示すように、加熱プレス装置100における下側プレス体110の下側加熱盤114上に、一対の金属プレート20で挟み込んだ状態の基材10を配置し、上側プレス体120の上側加熱盤124を降下させて基材10を加熱プレスする。加熱プレス装置100における基材10の加熱は、盤面温度が基材10に含まれる熱可塑性樹脂のTs以上に加熱された下側加熱盤114と上側加熱盤124により実施される。
加熱プレスにおいては、基材10をプレスしつつTs以上に加熱してもよく、上側加熱盤124が上側の金属プレート20に接触した状態で上側加熱盤124の下降を一旦止め、基材10をプレスせずにTs以上に加熱した後にプレスを開始してもよい。
次いで、移送装置等を用いて、基材10を一対の金属プレート20で挟み込んだまま加熱プレス装置100から冷却プレス装置200へと移動させる。
冷却プレス工程では、冷却プレス装置200における下側プレス体210の下側冷却盤214上に、一対の金属プレート20で挟み込んだ状態の基材10を配置し、上側プレス体220の上側冷却盤224を降下させて基材10を冷却プレスする。これにより、繊維強化プラスチック成形板が得られる。
加熱プレス装置100による加熱プレス及び冷却プレス装置200による冷却プレスは、前述のように、加熱プレスの終了時から冷却プレスの開始時までの時間(時間t)が15秒以内となるように実施する。
[作用効果]
以上説明した本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法においては、加熱プレスの終了時から冷却プレスの開始時までの時間が15秒以内となるように加熱プレス及び冷却プレスを行う。これにより、製造する繊維強化プラスチック成形板が面積0.25m以上の大判でも、その表面において、樹脂が白化したり、樹脂が乱れて凹凸(がさつき)が生じることを抑制できる。このように、本発明の繊維強化プラスチック成形板の製造方法よれば、優れた外観を有する大判の繊維強化プラスチック成形板を製造することができる。
また、本発明では、基材を加熱プレスした後に冷却プレスするため、繊維強化プラスチック成形板を連続して製造する場合でも加熱プレス装置と冷却プレス装置の盤面温度等を大きく上昇させたり下降させたりする必要がない。そのため、本発明は、加熱型プレス成形機により加熱プレスした後に型を開かずにそのまま冷却して繊維強化プラスチック成形板を製造する方法に比べて、成形時間を短縮でき、高い生産性で繊維強化プラスチック成形板を製造することができる。
なお、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法は、前記した方法には限定されない。
例えば、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法では、加熱プレスにおいて、電気ヒーター等により基材を熱可塑性樹脂のTs以上に加熱した状態でプレス機でプレスしてもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[外観評価]
各例で得た繊維強化プラスチック成形板の外観を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:表面の白化及び表面の凹凸(がさつき)の両方が抑制されている。
△:表面の白化がわずかに見られるか、又は表面の凹凸(がさつき)がわずかに見られるが、実用上問題ない範囲である。
×:表面の白化及び表面の凹凸(がさつき)の両方が見られる。
[生産性評価]
基材をSUS板又は樹脂シートで挟んでから、冷却プレス後に炭素維強化プラスチック成形板を取り出すまでの時間を成形サイクルとして計測し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:成形サイクルが300秒未満である。
△:成形サイクルが300秒以上350秒未満である。
×:成形サイクルが350秒以上である。
[総合評価]
総合評価は、以下の基準に従って行った。
◎:外観評価及び生産性評価がいずれも「○」である。
○:外観評価及び生産性評価がいずれも「△」以上であり、かつ少なくとも一方が「△」である。
×:外観評価及び生産性評価のいずれか一方が「×」である。
[製造例1]
炭素繊維(三菱レイヨン社製、製品名:パイロフィルTR−50S15L)を、炭素繊維の方向が一方向となるように平面状に引き揃えて目付が100.0g/mである連続した炭素繊維シートとした。2枚の熱可塑性樹脂フィルム(ナイロン6(融点:224℃)、宇部興産社製、製品名:1013B、目付:34.0g/m)で前記炭素繊維シートを両面側から挟み、カレンダロールに通して、熱可塑性樹脂を炭素繊維シートに含浸させ、繊維体積含有率(Vf)が48体積%、厚さが0.14mm、幅が100cmの帯状の連続プリプレグ基材を得た。
得られた連続プリプレグから、縦930mm×横1650mmのプリプレグ基材を16枚切り出した。16枚のプリプレグ基材を、それらの繊維軸方向が平面視で上から0°/45°/90°/−45°/−45°/90°/45°/0°/0°/45°/90°/−45°/−45°/90°/45°/0°となるように積層した。次いで、それら積層したプリプレグ基材を超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して、積層構成が厚さ方向に対称で、強化繊維方向が疑似等方([0°/45°/90°/−45°]s2)となっている16層のプリプレグ積層体からなる基材−1を得た。基材−1の平面視での面積Sは1.53mであった。
[製造例2]
製造例1と同様にして帯状の連続プリプレグを得た。
カッティングプロッタ(レザック社製、製品名:L−2500)を用いて、前記連続プリプレグに一定間隔で切込を入れた。このときの切込加工は、連続プリプレグの側縁から5mmの部分を除く領域に、分断された強化繊維の長さLが25.0mm、平均切込長Lが42.4mm、切込と強化繊維の繊維軸とのなす角度θが45°となるように実施した。
次いで、切込を入れた連続プリプレグを用いた以外は、製造例1と同様にして16層のプリプレグ積層体からなる基材−2を得た。基材−2の平面視での面積Sは1.53mであった。
[実施例1]
製造例1で得た基材−1を2枚の平らなSUS板(1800mm×1000mm、厚さ0.6mm、質量8.4g)に挟み、盤面を250℃に加熱したプレス機(小林機械社製)に設置し、加熱プレスを行った。加熱プレスの条件としては、プレス圧力(圧力P)を0.3MPa、プレス時間(時間t)を60秒とした。また、加熱プレスにおける加熱開始からプレス開始までの時間(時間t)を0秒とした。すなわち、プレス機の盤面がSUS板に接触すると同時に基材−1のプレスを開始した。加熱開始(プレス機の盤面がSUS板に接触した時点)から60秒後の基材−1の厚さ方向の中心温度(温度Th60)を熱電対で測定したところ、240℃であった。また、加熱プレスにおける基材の中心温度Th(最高温度)は、プレス機の盤面温度と同じ250℃になった。
加熱プレス終了後、基材−1をSUS板で挟んだ状態のまま盤面が30℃の別の冷却用プレス機に移動させ、冷却プレスを行って繊維強化プラスチック成形板を得た。加熱プレス終了時から冷却プレス開始時までの時間(移動時間、時間t)は、10秒であった。冷却プレスの条件としては、プレス圧力(圧力P)を0.8MPa、プレス時間(時間t)を120秒とした。冷却プレス終了時の繊維強化プラスチック成形板の温度(温度T)は40℃であった。成形サイクル(時間t)は230秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.56mであり、比(S/S)は1.02であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は良好であった。
[実施例2]
加熱プレスにおけるプレス時間(時間t)を120秒とした以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形板を製造した。
製造における成形サイクル(時間t)は290秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.60mであり、比(S/S)は1.05であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は良好であった。
[実施例3]
基材−1の代わりに製造例2で得た基材−2を用い、加熱プレスにおいてプレス機(小林機械製)の一対のプレス板の間に厚さ3.5mmのスペーサーを設置してプレス圧力(圧力P)を0.06MPaとし、プレス時間(時間t)を120秒とした以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形板を製造した。
製造における成形サイクル(時間t)は290秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.65mであり、比(S/S)は1.08であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は良好であった。
[実施例4]
SUS板の代わりに樹脂シート(テフロン(登録商標)含浸ガラスクロスシート、日東電工社製、製品名:ニトフロン9700UL、厚さ0.18mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形板を製造した。加熱開始(プレス機の盤面が樹脂シートに接触した時点)から60秒後の基材−1の厚さ方向の中心温度(温度Th60)を熱電対で測定したところ、230℃であった。
製造における成形サイクル(時間t)は290秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.60mであり、比(S/S)は1.05であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は良好であった。
[実施例5]
加熱プレスにおいて、プレス機の盤面がSUS板に接触したときにその状態で止め、基材−1をプレスせずに60秒間加熱した後にプレスを開始する以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形板を製造した。
製造における成形サイクル(時間t)は290秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.60mであり、比(S/S)は1.05であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は良好であった。
[実施例6]
加熱プレスにおけるプレス圧力(圧力P)を0.6MPaとし、プレス時間(時間t)を120秒とした以外は実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形板を製造した。
製造における成形サイクル(時間t)は290秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.72mであり、比(S/S)は1.12であった。得られた繊維強化プラスチックの外観はおおむね良好であった。
[実施例7]
基材−1の代わりに製造例2で得た基材−2を用い、加熱プレスにおいてプレス機(小林機械製)の一対のプレス板の間に厚さ3.5mmのスペーサーを設置してプレス圧力(圧力P)を0.06MPaとし、プレス時間(時間t)を120秒とした以外は、実施例1と同様にして加熱プレスを行った。
加熱プレス終了後、冷却用プレス機の盤面温度を100℃に変更した以外は、実施例1と同様にして冷却プレスを行って繊維強化プラスチック成形板を製造した。冷却プレス終了時の繊維強化プラスチック成形板の温度(温度T)は100℃であった。
製造における成形サイクル(時間t)は290秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.65mであり、比(S/S)は1.08であった。得られた繊維強化プラスチックの外観はおおむね良好であった。
[比較例1]
基材−1の代わりに製造例2で得た基材−2を用い、加熱プレスにおいてプレス機(小林機械製)の一対のプレス板の間に厚さ3.5mmのスペーサーを設置してプレス圧力(圧力P)を0.08MPaとし、プレス時間(時間t)を200秒とし、加熱プレス終了時から冷却プレス開始時までの時間(移動時間、t)を20秒とした以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形板を製造した。
製造における成形サイクルは370秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.75mであり、比(S/S)は1.14であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は不良であった。
[比較例2]
基材−1の代わりに製造例2で得た基材−2を用い、加熱プレスにおいてプレス機(小林機械製)の一対のプレス板の間に厚さ3.5mmのスペーサーを設置してプレス圧力(圧力P)を0.06MPaとし、プレス時間(時間t)を120秒とした以外は、実施例1と同様にして加熱プレスを行った。
加熱プレス終了後、冷却用プレス機の盤面温度を100℃に変更し、加熱プレス終了時から冷却プレス開始時までの時間(移動時間、t)を20秒とした以外は、実施例1と同様にして冷却プレスを行って繊維強化プラスチック成形板を製造した。冷却プレス終了時の繊維強化プラスチック成形板の温度(温度T)は100℃であった。
製造における成形サイクル(時間t)は300秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.65mであり、比(S/S)は1.08であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は不良であった。
[比較例3]
加熱プレスにおけるプレス時間(時間t)を120秒とし、加熱プレス終了時から冷却プレス開始時までの時間(移動時間、時間t)を20秒とした以外は、実施例1と同様にして繊維強化プラスチック成形板を製造した。
製造における成形サイクル(時間t)は300秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.60mであり、比(S/S)は1.05であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は不良であった。
[比較例4]
SUS板の代わりに、上型と下型からなるアルミニウム製の印籠型(金型、質量50kg、凹面を持つ下型の平面視サイズ:970mm×1100mm)を用い、プレス時間(時間t)を180秒とした以外は、実施例1と同様にして加熱プレスを行った。次いで、加熱プレス終了後、基材−1を印籠型で挟んだ状態のまま盤面が30℃の別の冷却用プレス機に移動させ、実施例1と同様にして冷却プレスを行って繊維強化プラスチック成形板を得た。加熱プレス終了時から冷却プレス開始時までの時間(移動時間、時間t)は、印籠型の質量が重いために20秒を要した。
製造における成形サイクル(時間t)は390秒であった。
得られた繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sを測定したところ、1.60mであり、比(S/S)は1.05であった。得られた繊維強化プラスチックの外観は不良であった。
実施例及び比較例における各評価結果を表1に示す。
Figure 2017001371
なお、表1における略号は以下の意味を示す。
Ny6:ナイロン6。
樹脂シート:テフロン(登録商標)含浸ガラスクロスシート(日東電工社製、ニトフロン9700UL、厚さ0.18mm)。
時間t:加熱プレスにおける加熱開始からプレス開始までの時間。すなわち、プレス機の盤面が金属プレート又は樹脂シートに接触してから基材がプレスされるまでの時間。時間tが0秒とは、プレス機の盤面が金属プレート又は樹脂シートに接触すると同時に基材のプレスを開始することを意味する。
圧力P:加熱プレスにおけるプレス圧力。
時間t:加熱プレスにおけるプレス時間。
温度Th60:加熱プレスにおける加熱開始から60秒後の基材の中心温度。
温度Th:加熱プレス時の基材の中心温度(最高温度)。
時間t:加熱プレス終了時から冷却プレス開始時までの時間(移動時間)。
圧力P:冷却プレスにおけるプレス圧力。
時間t:冷却プレスにおけるプレス時間。
時間t:基材をSUS板又は樹脂シートで挟んでから、冷却プレス後に炭素維強化プラスチック成形板を取り出すまでの時間(成形サイクル)。
温度T:冷却プレス終了時の炭素繊維強化プラスチック成形板の温度。
面積S:加熱プレス前の基材の平面視での面積。
面積S:冷却プレス後の炭素繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積。
表1に示すように、加熱プレス終了時から冷却プレス開始時までの時間t(移動時間)が15秒以内となるように加熱プレス及び冷却プレスを行った実施例1〜7では、繊維強化プラスチック成形板の外観不良が抑制されており、生産性も高かった。
加熱プレス終了時から冷却プレス開始時までの時間t(移動時間)が15秒を超える比較例1〜4では、繊維強化プラスチック成形板の表面において樹脂が白化している部分があり、外観が不良であった。また比較例1〜4では、実施例1〜7に比べて生産性も悪かった。
10 基材
20 金属プレート
100 加熱プレス装置
110 下側プレス体
112 下側本体部
114 下側加熱盤
120 上側プレス体
122 上側本体部
124 上側加熱盤
200 冷却プレス装置
210 下側プレス体
212 下側本体部
214 下側冷却盤
220 上側プレス体
222 上側本体部
224 上側冷却盤

Claims (7)

  1. 強化繊維と熱可塑性樹脂を含有するシート状の基材を、前記熱可塑性樹脂の融点以上、又は融点を有しないときはガラス転移温度以上に加熱された状態でプレスする加熱プレスを行った後、冷却プレスを行って繊維強化プラスチック成形板を製造する方法において、
    前記加熱プレスの終了時から前記冷却プレスの開始時までの時間を15秒以内として、平面視での面積Sが0.25m以上の繊維強化プラスチック成形板を得る、繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
  2. 前記冷却プレスの終了時の繊維強化プラスチック成形板の温度が50℃以下となるように前記冷却プレスを行う、請求項1に記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
  3. 前記加熱プレス前の基材の平面視での面積Sに対する冷却プレス後の繊維強化プラスチック成形板の平面視での面積Sの比(S/S)が1.0以上1.1以下となるように前記加熱プレス及び前記冷却プレスを行う、請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
  4. 前記加熱プレス及び前記冷却プレスにおいて、前記基材を一対の金属プレート又は樹脂シートに挟んでプレスする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
  5. 前記加熱プレスの際に、加熱開始から60秒以内に、前記基材の厚さ方向の中心温度が融点以上又はガラス転移温度以上になるように前記基材を加熱する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
  6. 前記加熱プレスにおけるプレス圧力が0.01〜0.5MPaであり、プレス時間が30〜180秒である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
  7. 前記基材が、強化繊維に熱可塑性樹脂が含有されたシート状のプリプレグ基材が複数積層されたプリプレグ積層体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の繊維強化プラスチック成形板の製造方法。
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