JP2016190355A - 積層基材 - Google Patents

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隼人 小笠原
昌彦 長坂
Masahiko Nagasaka
昌彦 長坂
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Takeshi Ishikawa
健 石川
正雄 冨岡
Masao Tomioka
正雄 冨岡
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Abstract

【課題】 比強度に優れ、スタンピング成形の予熱時のドローダウンを抑制し、複雑形状への成形性に優れた積層基材が求められていた。
【解決手段】 下記(A)層と(B)層とが、(A)層を最外装となるように積層された積層基材。
(A)層:切込みにより10〜50mmに切断された強化繊維Aと、当該プリプレグの強化繊維配向方向のシート幅の50%以上の長さの強化繊維Bを有し、強化繊維Bを含む帯部分の平面視の面積が、プリプレグの平面視の全面積に対して1.4%〜35.0%であり、強化繊維Bの少なくとも一端がプリプレグの端部に位置するプリプレグ。
(B)層:熱可塑性樹脂組成物からなるシート及び/または充填物含有熱可塑性樹脂組成物からなるシート。
【選択図】 図2

Description

本発明は、スタンピング成形における予熱時の寸法安定性に優れ、且つ複雑な形状への賦形性に優れた熱可塑性プリプレグ及びその積層基材に関する。さらに詳しくは、予熱時のドローダウンを抑制し、リブ、ボス等の3次元形状の成形に容易に追随可能な熱可塑性プリプレグ及びその積層基材に関する。
繊維強化熱可塑性プラスチックの成形方法としては、連続した強化繊維に熱可塑性樹脂を含浸せしめたプリプレグを積層して得られる積層基材を、プレス機等で予熱・加熱加圧することにより目的の形状に賦形するスタンピング成形が最も一般的に行われている。これにより得られた繊維強化プラスチックは、連続した強化繊維を用いているので優れた力学物性を有する。また連続した強化繊維は規則的に配列することで、必要とする力学物性に設計することが可能である。しかしながら、連続した強化繊維であるゆえに3次元形状等の複雑な形状を形成することは難しく、主として平面形状に近い部材に限られる。
この問題を解決するために狭い幅のテープ状のプリプレグを一定の長さに切断したチョップドプリプレグを平面上に分散させることにより得られるスタンピング成形性にすぐれた積層基材や、連続繊維と熱可塑性樹脂からなるプリプレグに切込を入れることにより、成形時の優れた賦形性と、賦形後に優れた力学物性を発現するとされる積層基材が開示されている。(例えば特許文献1、2)
一方、高密度・高コストである強化繊維の使用量を低減し、力学物性の異方性や比強度を向上させるために表層に高物性材料を用いたサンドイッチ構造体が知られ、一例として表層側が平均繊維長が1mm以上の強化繊維を含み、材料中央側が強化繊維含有または非含有の高空隙構造をとる、サンドイッチ構造の材料が提案されている。(例えば特許文献3)
しかしながら、特許文献1〜2及び3に記載の積層基材は、スタンピング成形時の予熱工程後の搬送の際に、強化繊維が不連続であることに起因する積層基材の加熱垂れ(ドローダウン)が生じ、形状変化や冷却速度の加速を引き起こすという問題があった。
上述のように予熱・加熱時に、積層基材がドローダウンする点については、積層基材のスキン層に軟化温度の高い表皮材を設け、コア層には従来公知の繊維強化層を設けた積層基材が提案されている(例えば特許文献4)。しかし、表皮材に軟化温度の高い樹脂層を設けることで、予熱時のドローダウンを限定できではあるが抑制可能である。しかしながら、スタンピング成形時に表皮材が強化繊維と樹脂の流動を阻害してしまい、リブ、ボス等の3次元形状の成形を大きく低下させてしまうという問題を有していた。
特開平07−164439号公報 特開2009−286817号公報 特開2011−22487号公報 特開平07−156145号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う課題点を解決しようとするものであって、比強度に優れ、スタンピング成形の予熱時のドローダウンを抑制し、複雑形状への成形性に優れた積層基材を提供することに関する。
本発明等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、最外層にプリプレグの強化繊維配向方向のシート幅の50%以上の長さの強化繊維Bを存在させることにより課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明の要旨は、以下の[1]〜[19]に存する。
[1] 下記(A)層と(B)層とが、(A)層を最外装となるように積層された積層基材。
(A)層:一方向に配向した強化繊維と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、当該プリプレグは、表面から裏面まで貫通する切込を有し、当該切込みにより10〜50mmに切断された強化繊維Aと、当該プリプレグの強化繊維配向方向のシート幅の50%以上の長さの強化繊維Bを有し、前記強化繊維Bを含む帯部分の平面視の面積が、前記プリプレグの平面視の全面積に対して、1.4%〜35.0%であり、前記強化繊維Bの少なくとも一端が、前記強化繊維の配向方向における前記プリプレグの端部に位置するプリプレグ。
(B)層:熱可塑性樹脂組成物からなるシート及び/または充填物含有熱可塑性樹脂組成物からなるシートであって、充填材が繊維状物である場合は、当該繊維状物は一方向に配向していない。
[2] (A)層のプリプレグの前記切断された強化繊維Aからなる帯部分と、前記強化繊維Bからなる帯部分が、プリプレグ全面に渡り、交互に配列されている、上記[1]に記載の積層基材。
[3] (A)層のプリプレグの前記強化繊維Bからなる帯部分の繊維方向と直行する方向の幅Wnが1.0mm以上、8.0mm以下であり、強化繊維Bからなる帯部分のピッチ幅Wpが10mm以上、80mm以下である、上記[1]または[2]に記載の積層基材。
[4] (A)層のプリプレグの強化繊維Bが、当該プリプレグの一辺から他辺までの間切断されていない強化繊維である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の積層基材。
[5] (A)層のプリプレグの前記切込により形成される1mあたりの切込長の総和が、20m以上、150m以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の積層基材。
[6] (A)層のプリプレグの前記切込と強化繊維のなす角度が、30°以上、60°以下である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の積層基材。
[7] (A)層のプリプレグの厚さが、50μm以上、200μm以下である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の積層基材。
[8] (A)層のプリプレグに含まれる強化繊維の体積含有率が20体積%以上、55体積%以下である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の積層基材。
[9] (A)層のプリプレグが、当該プリプレグに含有される強化繊維の方向が疑似等方となるように積層されている、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の積層基材。
[10] (A)層のプリプレグが、当該プリプレグ中に含有される強化繊維と近接するプリプレグに含有される強化繊維とが直交するように積層されている、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の積層基材。
[11] (A)層が最外層、(B)層が中層である二種三層構成である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の積層基材。
[12] 前記積層基材が、(A)層と(B)層が厚み方向に交互に積層している、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の積層基材。
[13] (A)層が、更に下記プリプレグ(C)を有する、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の積層基材。
プリプレグ(C):一方向に配向した強化繊維と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、当該プリプレグは、表面から裏面まで貫通する切込を有し、当該切込みにより10〜50mmに切断された強化繊維Aからなり、前記強化繊維Bを含まない。
[14] 前記積層基材を構成する各層同士が接着されている、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の積層基材。
[15] (B)層の充填物含有熱可塑性樹脂組成物が含有する充填物が炭素繊維である、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の積層基材。
[16] (B)層の充填物含有熱可塑性樹脂組成物が含有する充填物がガラス組成物である、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の積層基材。
[17] (B)層の充填物含有熱可塑性樹脂組成物が含有する充填物がリサイクル材炭素繊維である、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の積層基材。
[18] (A)層の強化繊維の平均単繊維繊度が、0.5dtex以上、2.4dtex以下である、上記[1]〜[17]のいずれかに記載の層基材。
[19] (A)層の強化繊維に用いられる繊維束のフィラメント数が、3,000本以上100,000本以下である、上記[1]〜[18]のいずれかに記載の積層基材。
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、比強度に優れ、スタンピング成形の予熱時のドローダウンを抑制し、複雑形状への成形性に優れた積層基材を提供することに関する。
従来のプリプレグを示す図である(比較例1のプリプレグに相当)。 本発明の(A)層の一実施形態であるプリプレグを示す図である。
本発明の積層基材は、下記(A)層と(B)層とが、(A)層を最外装となるように積層された積層基材である。
(A)層:一方向に配向した強化繊維と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、当該プリプレグは、表面から裏面まで貫通する切込を有し、当該切込みにより10〜50mmに切断された強化繊維Aと、当該プリプレグの強化繊維配向方向のシート幅の50%以上の長さの強化繊維Bを有し、前記強化繊維Bを含む帯部分の平面視の面積が、前記プリプレグの平面視の全面積に対して、1.4%〜35.0%であり、前記強化繊維Bの少なくとも一端が、前記強化繊維の配向方向における前記プリプレグの端部に位置するプリプレグ。
(B)層:熱可塑性樹脂組成物からなるシート及び/または充填物含有熱可塑性樹脂組成物からなるシートであって、充填材が繊維状物である場合は、当該繊維状物は一方向に配向していない。
ドローダウン抑制の観点から、(A)層のプリプレグは、強化繊維Aからなる帯部分と、前記強化繊維Bからなる帯部分が、プリプレグ全面に渡って交互に配列されていることが好ましい。更に、(A)層のプリプレグの強化繊維Bが、当該プリプレグの一辺から他辺までの間切断されていない強化繊維であることが好ましい。
本発明の積層基材に含まれる強化繊維Bからなる帯部分の繊維方向と略直交する方向の幅Wnが1.0mm以上、8.0mm以下であることが好ましい。幅Wnが短すぎると、そのような加工を行うことが難しく加工コストが増加したり、スタンピング成形性には優れるがドローダウンの抑制の効果が不十分となる傾向にある。幅Wnが広すぎると、スタンピング成形時に強化繊維Bが流動を阻害してしまい流動性を低下させたり、成形条件範囲を狭くする傾向にある。
本発明の積層基材の強化繊維Bからなる帯部分が繰り替えされた際の、帯部分と帯部分との間隔であるピッチ幅Wpは5mm以上、80mm以下であることが好ましく、10mm以上、80mm以下であることがより好ましい。ピッチ幅Wpが短すぎると、リブ・ボスといった複雑形状への追従性・流動性が不十分となり、ピッチ幅Wpが長すぎると、ドローダウンへ抑制効果が不十分となる。
同一プリプレグ内であっても、幅Wnとピッチ幅Wpは場所毎に適宜変更してもよい。例えば、予めスタンピング成形を行う成形形状が明らかであれば、リブやボスの位置や形状に応じて、プリプレグ内の場所場所で幅Wnやピッチ幅Wpを広くしたり狭くしてもよく、適宜最適な配列を設計することができる。
強化繊維Bは、プリプレグ全面に渡り一定間隔(等間隔でなくてもよい)で存在するこそが好ましい。強化繊維Bが極端に偏って存在するとドローダウンの効果が限定的なったり、一部の箇所でドローダウンが生じると全体的に引っ張られてドローダウンの抑制が不十分になる可能性があり、スタンピング成形性も不足してしまう可能性がある。
それらを勘案して、強化繊維Aからなる帯部分と強化繊維Bからなる帯部分が交互に並んだ配列が量産の観点や設計自由度の観点からも好ましい。その際、上記同様、幅Wnとピッチ幅Wpは固定する必要はなく、繊維軸方向や繊維軸方向と略直交する方向に段階的に変化させてもよく、規則的に変化させてもよい。
プリプレグ中に占める強化繊維Bを含む帯部分の平面視の面積割合は、プリプレグの平面視の全免責に対して1.4%以上、35%以下である必要がある。プリプレグ中に占める強化繊維Bを含む帯部分の平面視の面積割合が小さすぎると、ドローダウンの抑制効果が不十分になる傾向があり、大きすぎるとスタンピング成形性が低下する傾向にある。
なお、面積割合は、Wn/(Wn+Wp)から算出される。
プリプレグの切込加工の際、加工方法によってはプリプレグ周辺に強化繊維が切断されていない耳部分が生じる場合がある。本耳部分はプリプレグに切込加工を行った後除去してもよいし、積層基材を製造する前後で除去してもよい。また、一部の除去に抑えてもよいし、全て残してもよい。本質的には本発明には影響を与えない。また、本耳部分は前記面積割合に含めない。
本発明の積層基材の強化繊維Aの長さは、力学特性と流動性の観点から、5mm以上、50mm以下であればよい。特に十分な力学物性とスタンピング成形時のリブ等の薄肉部への流動を両立させるためには10mm以上、50mm以下がさらに好ましい。同一プリプレグ内の強化繊維Aの繊維長は必ずしも全て同一である必要はなく、一例として繊維長の異なる強化繊維Aからなる帯部分と、強化繊維Bからなる帯部分とを並べるといったように、必要な力学物性、流動性、ドローダウンの抑制を満たすために適宜設計することができる。また、同様に、繊維長の異なる強化繊維Bを複数設けて、ドローダウンの抑制と流動性の観点から設計することもできる。
本発明の積層基材の強化繊維Bの繊維長は、強化繊維配向方向のシート幅の50%以上である必要がある。好ましくは70%以上である。具体的には以下のように考える。
シートの全端部と強化繊維とが成す角が0°もしくは90°を並行である場合は、強化繊維Bの繊維長は強化繊維が配向している方向のシート幅に対して50%以上の長さが必要である。50%未満であると本発明のドローダウンの抑制を発現しない傾向にある。
シートの全端部と強化繊維が0°もしくは90°以外の角度をなす場合や、シートの端部が円弧を描く場合は、強化繊維Bは、プリプレグ内の強化繊維Aを0.7で除した数値よりも長い未切断強化繊維長に対して、50%以上の長さである必要がある。50%未満であると本発明のドローダウンの抑制を発現しない傾向にある。なお、ここでの未切断強化繊維長とは、プリプレグに切込加工する前の未切断強化繊維のシート片端部からもう片端部にかけての長さを指す。
本発明においては、ドローダウン抑制の観点から、前記強化繊維Bの少なくとも一端が、前記強化繊維の配向方向における前記プリプレグの端部に位置する必要がある。
また、要求するドローダウン抑制度合と成形性から、強化繊維Bをプリプレグの片端部からもう片端部まで切断されていない繊維であってもよい(強化繊維Bが強化繊維配向方向のシート幅の100%に相当)。その場合、経時変化にも強くドローダウンを抑制できる傾向にある。
本発明の積層基材の繊維を切断する切込と強化繊維のなす切込角度θと切込角度に依存する1mあたり(強化繊維Aからなる帯部分のみの1mあたり:以下同様)の切込長lの総和laは、θとlaは小さい程ドローダウンの抑制効果が高く、大きい程ドローダウンの抑制効果が弱くなる傾向にあるが、いずれの範囲であってもドローダウン抑制効果としては必要十分である。中でも、加工難易度や加工性・量産性の観点から、θは2°以上80°以下、laは10m以上600m以下であることが好ましい。θが2°未満であったり、laが10m未満であると、例えばカッティングプロッタ等の設備で加工する場合の加工時間が短く生産速度に優れるが従来公知の加工設備を用いても加工が難しかったり、打ち抜き型等で打ち抜いたとしてもプリプレグの欠損に由来する歩留りの低下が生じる傾向にある。一方、θが80°超であったり、laが600m超であると、カッティングプロッタや打ち抜き型等のいずれの加工設備を用いた際も加工難易度が下がり歩留りに優れるがカッティングプロッタを用い場合の加工時間が長く生産速度の観点から好ましくない。
さらに、スタンピング成形の観点から、θが大きいほど繊維間のせん断力が小さくなるために流動性が高く、laが大きいほどプリプレグ中の切断部分が多いため流動性に優れる傾向にある。平板のスタンピング成形の場合、θは25°以上が好ましく、laは10m以上が好ましい。さらにリブなど複雑形状のスタンピング成形の場合、θは30°以上が好ましく、laは20m以上が好ましい。
一方、曲げ物性等の力学物性は、θのみならずlaにも依存する。θが小さいほど力学物性が高いことが知られており、またlaが小さいほどプリプレグ中の切断部分が少ないために高い力学物性が得られる。例えば自動車の準構造部材に利用するためには、θが70°以下が好ましく、laは200m以下が好ましい。またさらに高い力学強度が求められる構造部材に用いるためには、θは60°以下が好ましく、laは150m以下が好ましい。
前記切込の形状は直線状である必要はない。曲線を用いることで、同一切込角度と同一繊維長でありながら、1mあたりの切込長lの総和laを大きくすることができる。この場合高い力学物性を維持しつつスタンピング成形性の向上が期待できる。
本発明の積層基材(A)層に用いることができる強化繊維としては、強化繊維の種類は特に限定されず、無機繊維、有機繊維、金属繊維、またはこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維が使用できる。無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維などが挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステルなどが挙げられる。金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維を挙げられ、また金属を被覆した炭素繊維でもよい。これらの中では、最終成形物の強度等の機械特性を考慮すると、炭素繊維が好ましい。また、強化繊維の平均繊維直径は、1〜50μmであることが好ましく、4〜20μmであることがさらに好ましい。
炭素繊維には特に制限は無く、ポリアクリロニトリル(PAN)系、石油・石炭ピッチ系、レーヨン系、リグニン系など、何れの炭素繊維も使用することができる。特にPANを原料としたPAN系炭素繊維が、工業規模における生産性及び機械的特性に優れており好ましい。これらは市販品として入手できる。
強化繊維束としては、総繊度は好ましくは200〜7000テックスである。フィラメント数は、1,000〜100,000本が好ましく、3,000〜60,000本であることがさらに好ましい。そして、強化繊維束としての強度は、1〜10GPaが好ましく、5〜8GPaであることがさらに好ましい。また、弾性率は100〜1,000GPaが好ましく、200〜600GPaであることがさらに好ましい。なお、強化繊維束の強度および弾性率とは、JIS−R7608の方法で測定される強度と、弾性率とを言う。
本発明の強化繊維の単繊維繊度は、特に制限はないが、平均単繊維繊度0.5dtex以上2.4dtex以下であることが好ましい。平均短繊維繊度が小さすぎると、炭素繊維同士が細密充填構造を取った際に樹脂の含浸が困難になり、プリプレグの含浸という観点から品質維持が難しくなる傾向にある、平均短繊維繊度が大きすぎると、そのような炭素繊維の製造する際に、繊維中央への熱の伝達に時間がかかり炭素繊維の高コスト化、それに伴うプリプレグの高コスト化を引き起こす可能性がある。
本発明の積層基材(A)層及び(B)層に用いることのできる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステルや、アクリロニトリルとスチレンの共重合体等を用いることができる。また、これらの混合物を用いてもよい。さらに、ナイロン6とナイロン66との共重合ナイロンのように共重合したものであってもよい。
また、得たい成形品の要求特性に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、その他酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等を添加しておくこともできる。
本発明の積層基材(B)層に用いることのできる充填物含有熱可塑性樹脂組成物を構成する充填物としては、前記(A)層に用いることのできる強化繊維を用いることができる。適宜繊維長を調整して使用することができる。また、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂と強化繊維からなるプリプレグの樹脂分を除去した後回収したリサイクル強化繊維(リサイクル材)や、ガラス組成物やカーボン組成物であってバルーン形状、鱗片形状、粒子形状といった種々の形態の材料を充填剤として用いることができる。また、熱可塑性樹脂と強化繊維からなるプリプレグを押出機等に投入して溶融混練して得られるリサイクル材料も用いることができる。ただし、(B)層に強化繊維を一方向に配列させたプリプレグ等の材料を用いと、材料自体が高コスト化してしまう可能性があるため、一方向に配列していない量産性に優れた材料を用いることが好ましい。
本発明においては、(A)層が更に下記プリプレグ(C)を有していてもよい。
プリプレグ(C):一方向に配向した強化繊維と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、当該プリプレグは、表面から裏面まで貫通する切込を有し、当該切込みにより10〜50mmに切断された強化繊維Aからなり、前記強化繊維Bを含まない。
上記プリプレグ(C)を構成する強化繊維ならびに熱可塑性樹脂は、(A)層の構成成分として挙げたものと同様のものを用いることができる。また、プリプレグ(C)を構成する強化繊維の長さ、強化繊維を切断する切込と強化繊維のなす切込角度θ、切込角度に依存する1mあたりの切込長lの総和la等は、前述の(A)層の強化繊維Aからなる帯状部分の同様の範囲から選択できる。
本発明の積層基材は、(A)層と(B)層とが積層されており、最外層が(A)層である必要がある。(A)層が最外層に無く、(B)層が最外層にあると得られる積層基材の力学物性、特に曲げ物性が著しく低下することが知られている。また、(A)層には強化繊維Bを含まない従来公知の切込を有するプリプレグを含んでもよい。前記従来公知の切込を有するプリプレグは、上記に従い(A)層を構成する熱可塑性樹脂及び強化繊維から成る。
本発明の積層基材の(A)層は、成形材料の外形寸法、スタンピング成形時の予熱条件、ドローダウンを抑制させたい方向、搬送方法に応じて適宜設計することができる。
本発明の積層基材の(A)層は、複数のプリプレグを強化繊維の方向が擬似等方となるように積層されていることが、プレス時の流動の異方性を小さくする点で好ましい。同様に、(A)層は、プリプレグに含まれる強化繊維の方向が0°であるプリプレグと90°であるプリプレグが交互に積層されていること、即ち、積層基材を構成する複数のプリプレグが、プリプレグ中の強化繊維の方向が隣接するプリプレグ中の強化繊維の方向と直行するように交互に積層されていることが、積層基材の強度の異方性を小さくする点で好ましい。
(A)層に含まれる強化繊維Bの各プリプレグ面内での繊維方向、厚み方向における強化繊維Bの位置等、適宜設計することができる。設計の際に、ドローダウンを抑制したい方向と強化繊維Bの繊維方向とを合わせることが効果的である。
例えば、ある一方向に対してドローダウンを抑制したい場合は、(A)層中の強化繊維Bの方向をドローダウンを抑制したい方向に合わせることが好ましい。その際、ドローダウンの抑制要求が強い場合は、(A)層中に適宜従来公知の切込を有するプリプレグを加えず、抑制要求が弱い場合は、従来公知のプリプレグを加えてもよい。また、ドローダウンを抑制したい方向が複数ある場合は、それらの方向に強化繊維Bの繊維方向を向かせるように厚み方向に複数枚積層することが効果的である。
中でも、積層時の簡便さやドローダウン抑制の汎用性から、(A)層に含まれる強化繊維Bの繊維方向を0°と90°方向及び45°と135°といったように、強化繊維Bの繊維方向が擬似等方的になるように積層することが好ましい。さらに簡便でドローダウン抑制の汎用性の観点から、(A)層に含まれる強化繊維Bの繊維方向を0°と90°になるように積層することが好ましい。これら強化繊維Bが擬似等方的にもしくは直交積層的に存在していれば、多くのケースでのドローダウンを抑制することが可能である。
また、(A)層に従来公知のプリプレグを加える場合は、厚み方向に強化繊維Bが存在するプリプレグ層と従来公知の強化繊維Bが存在しないプリプレグ層とを交互に積層したり、表層側は強化繊維Bが存在するプリプレグ層を中央側は従来公知のプリプレグ層となるように偏らせてもよく、表層側と中央側に強化繊維Bが存在するプリプレグ層と、その間に従来公知のプリプレグ層を配置してもよい。即ち、求めるドローダウン抑制能、成形性、力学物性から強化繊維Bを必要な方向に必要な分だけ配置することができ、設計自由度に富んだ積層基材といえる。
(A)層に含まれる強化繊維Bの繊維長や幅Wnピッチ幅Wpはプリプレグ面内や、積層方向の各層であっても、同一である必要はなく適宜変更してもよい。厚み方向に強化繊維Bが重ならないように配置するといった設計も非常に流動性の観点やバラツキ低減の観点から好ましい。
また、強化繊維Bの繊維長や幅Wnを大きくしたりピッチ幅Wpを小さくしたものは積層基材の中央側、強化繊維Bの繊維長やWnを小さくしたりピッチ幅Wpは大きくしたプリプレグは表層側に設けることで、スタンピング成形の際の流動の阻害が小さくができる傾向にある。
本発明のプリプレグは、繊維繊維の体積含有率Vfが55%以下であれば、十分な流動性を得ることができるので好ましい。Vfの値が低いほど流動性は向上するが、Vfの値が低すぎると構造材に必要な力学特性が得られにくい。流動性と力学特性の関係を鑑みると、Vfの値は20%以上55%以下が好ましい。かかるVf値は、JIS K7075に基づき測定できる。
本発明の積層基材は、プリプレグ及び熱可塑性樹脂からなる層の割合や有無に応じて、繊維体積含有率Vfが55体積%以下であれば、十分な流動性を得ることができるので好ましい。Vfの値が低すぎると構造材に必要な力学特性が得られにくい。流動性と力学特性の関係を鑑みると、Vfの値は15体積%以上55体積%以下が好ましく、さらに好ましくは20体積%以上55体積%以下である。かかるVf値は、JIS K7075に基づき測定できる。
本発明の積層基材は、(A)層と(B)層が積層されており、(A)層が最外層にある必要がある。(A)層が最外層に無いと得られる積層基材の力学物性が不足する。また本発明の積層基材は、最外層に(A)層があればそれ以降(A)層及び(B)層が幾度繰り替えられてもよい((A)層と(B)層が交互に積層していてもよい)。中でも、最外層が(A)層を設け、その(A)層に挟まれる位置に(B)層が存在するサンドイッチ構成品が、軽量化、比強度の向上、製造の簡便さの観点から好ましい。また、前記サンドイッチ構成品である場合、(A)層が有する角度依存性の低減できる点からも好ましい。最も簡単な構成としては、(A)層が最外層、(B)層が中層である二種三層構成である積層基材が挙げられる。
本発明の(A)層を構成するプリプレグは、切込を有するため、分断されるプリプレグの厚みが大きいほど強度が低下する傾向であり、構造材に適用することを前提とするならば、プリプレグの厚さは200μm以下とするのが良い。一方厚みが薄すぎるとプリプレグの取り扱いが難しく積層基材とするために積層するプリプレグの数が非常に多くなるので、生産性が悪化する場合がある。よって生産性の観点からプリプレグの厚みは50μm以上200μm以下であることが好ましい。
本発明の(B)層の厚みは、(B)層の総厚/(A)層の総厚から算出される比率が、0.2以上3以下であることが好ましい。前記比率が小さすぎると、(A)層の角度依存性の低減や比強度の向上、流動性の向上が不十分となる。前記比率が大きすぎると得られる積層基材の力学物性が不十分となったり、スタンピング成形時に(B)層のみが単独で流動するといった流動の不一致が顕著になりやすく、成形条件範囲を狭くする傾向にある。
本発明の積層基材は、プリプレグどうしが接着されていることが、取扱いを容易にする点で好ましい。接着点の大きさは特に限定されず、全面、端部のみ、スポット溶着等適宜用いることができ、複数組み合わせることも可能である。
以下に本発明のプリプレグの製造方法の一態様を説明するが、本発明はこれによって特に制限されるものではない。
本発明の積層基材に用いることができるプリプレグは、例えばフィルム状とした熱可塑性樹脂を二枚準備し、その二枚の間に強化繊維をシート状に並べた強化繊維シートを挟み込み、加熱及び加圧を行うことにより得ることができる。より具体的には、熱可塑性樹脂からなるフィルムを送り出す機構を有するロールを2系統有し、それらから二枚のフィルムを個々に送り出すとともに、強化繊維シートを送り出すロールから供給される強化繊維シートを二枚のフィルムの間に挟み込ませた後に、加熱及び加圧する。加熱及び加圧する手段としては、公知のものを用いることができ、二個以上の熱ロールを利用したり、予熱装置と熱ロールの対を複数使用したりするなどの多段階の工程を要するものであってもよい。ここで、フィルムを構成する熱可塑性樹脂は一種類ある必要はなく、異なる種類の熱可塑性樹脂からなるフィルムを、重ねて供給してもよい。また、個別の供給ロールから別々に供給して、強化繊維シートと積層するという機構でもよい。
上記加熱温度は、熱可塑性樹脂の種類にもよるが、通常、100〜400℃であることが好ましい。一方、加圧時の圧力は、通常0.1〜10MPaであることが好ましい。この範囲であれば、プリプレグに含まれる強化繊維の間に、熱可塑性樹脂を含浸させることができるので好ましい。また、本発明の積層基材に用いることができるプリプレグは、市販されているプリプレグを用いることもできる。
本発明のプリプレグは、レーザーマーカー、カッティングプロッタや抜型等を利用して切込を入れることにより得ることができるが、前記切込がレーザーマーカーを用いて施されたものであると、曲線やジグザグ線など複雑な切込を高速に加工できるという効果があるので好ましく、また、前記切込がカッティングプロッタを用いて施されたものであると、2m以上の大判のプリプレグ層を加工できるという効果があるので好ましい。さらに、前記切込が抜型を用いて施されたものであると、高速に加工が可能であるという効果があるので好ましい。
次工程では、上記のようにして得られたプリプレグを強化繊維の方向が疑似等方、または交互積層になるよう積層して積層基材を作成する。この際取扱いの容易さから超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して積層基材とすることもできる。また、本発明の積層基材は、プリプレグをスキン層の片面あたり4〜48層となるように積層することが好ましい。
次工程では、上記のようにして得られた積層基材を加熱及び冷却プレス工程により一体化する。この工程は、通常の装置、例えば加熱プレス機及び冷却プレス機、加熱冷却多段プレス機等を用いて行うことができる。また、加熱工程は従来公知の赤外線ヒーターや熱風加熱機、熱板加熱機、IH加熱機等により加熱し、冷却工程は冷却プレスを用いることも可能である。中でも、例えば前記積層基材を金型内に配置して、加熱プレス・冷却プレスすることにより行うことが設備の汎用性の観点から好ましい。
前記加熱プレス工程における加熱温度は、積層基材に含まれる熱可塑性樹脂の種類にもよるが、100〜400℃で加熱することが好ましく、さらに好ましくは150〜350℃で加熱することが好ましい。また、前記加熱に先立って、予備加熱を行ってもよく、異なる種類の加熱設備を連続で用いて加熱してもよい。
前記加熱加プレス工程における圧力は、実質的に0MPaでもよいが、好ましくは0.1〜10MPaであり、より好ましくは0.2〜8MPaである。ここでの圧力とは、プレス力を積層基材の面積で除した値とする。前記加熱プレス工程における工程時間は、0.1〜30分間であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜15分間である。
前記冷却プレス工程における冷却温度は、積層基材に含まれる熱可塑性樹脂の種類にもよるが、10〜200℃で加熱することが好ましく、さらに好ましくは30〜180℃で加熱することが好ましい。
前記冷却プレス工程における圧力は、好ましくは0.3〜10MPaであり、積層基材の厚み斑を低減するために、より好ましくは0.5〜8MPaである。ここでの圧力は、プレス力を積層基材の面積で除した値とする。
前記冷却プレス工程におけるプレス工程時間は、0.1〜30分間であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜15分間である。
これらの工程を経て一体化した積層基材の厚さは、0.5〜10mmであることが好ましい。
なお、前記加熱プレス工程と冷却プレス工程は、金型と上記積層基材との間に潤滑剤が存在する条件下で行ってもよい。潤滑剤の作用により、前記加熱プレス工程の際に上記積層基材を構成するプリプレグに含まれる強化繊維の流動性が高まるため、強化繊維の間への熱可塑性樹脂の含浸を高まるとともに、得られる積層基材において強化繊維の間及び強化繊維と熱可塑性樹脂の間におけるボイドを低減させることができるからである。
前記潤滑剤としては、例えばシリコーン系潤滑剤やフッ素系潤滑剤を用いることができる。また、これらの混合物を用いてもよい。シリコーン系潤滑剤としては、高温環境で用いることができる耐熱性のものが好ましく用いられる。より具体的には、メチルフェニルシリコーンオイルやジメチルシリコーンオイルのようなシリコーンオイルを挙げることができ、市販されているものを好ましく用いることができる。フッ素系潤滑剤としては、高温環境で用いることができる耐熱性のものが好ましく用いられる。そのようなものの具体例としては、パーフルオロポリエーテルオイルや三フッ化塩化エチレンの低重合物(重量平均分子量500〜1300)のようなフッ素オイルを用いることができる。
上記潤滑剤は、上記積層基材の片側若しくは両側の表面上、前記金型の片側もしくは両側の表面上または上記積層基材及び金型の双方の片側若しくは両側の表面上に、潤滑剤塗布装置などの適当な手段によって供給されてもよいし、予め金型の表面上に塗布しておいてもよい。中でも積層基材の両側の表面に潤滑剤が供給される態様が好ましい。
本発明の積層基材を用いた成形体の製造方法は、予熱工程とスタンピング成形の2工程を少なくとも経由して成形体となる。
予熱方法は、従来公知の方法により行うことができる。例えば、熱風式乾燥方式、蒸気乾燥方式、誘導加熱方式、赤外線ヒータ方式、熱板加熱方式等、適宜選択して使用することができる。中でも、均一照射と昇温効果の高い赤外線ヒータ方式が好ましい。また、積層基材の厚み等により、適宜予熱設備を同種・異種1つ以上組み合わせてもよい。
予熱時の予熱温度は、用いる熱可塑性樹脂にもよるが、下限温度は150℃以上に加熱することが好ましく、より好ましくは180℃以上である。上限温度は、400℃以下で加熱することが好ましく、より好ましくは350℃以下である。予熱温度を上昇させることで、スタンピング成形時により複雑形状への追従性が向上するが、用いる熱可塑性樹脂の種類によっては分解が生じる可能性があるので適切な温度範囲で成形することが好ましい。さらに、予熱温度を高く設定しすぎると、過剰な過熱となり成形性の向上以上にハンドリング性の低下が生じる可能性がある。
また、空気中では熱分解が促進され、空気遮断することで熱分解が低減される熱可塑性樹脂もある。その場合は、適宜耐熱のフィルムやシートで積層基材を覆ってもよい。また、予熱設備を不活性ガス等の無酸素・低酸素濃度環境を構築して乾燥してもよい。
予熱工程及びスタンピング工程への移行時、ハンドリング性を向上させるために、金属枠を設けその枠から積層基材を例えば金属バネ等の弾性体で繋ぐことで積層基材にテンションを掛け宙吊りにした後、その金属枠ごと予熱しスタンピング成形を行う手法がある。このような手法では、予熱工程からスタンピング工程の移行の際、金属枠ごとスタンピング工程に移行できるため、予熱工程からスタンピング工程への移行を効率的に行うことができる。また、スタンピング工程の際に金型上に材料が長時間接触し過度に冷却されることを防ぎ、さらに金属枠により宙吊りとなった積層基材に上型と下型とが近いタイミングで接触することで成形性及び成形外観も向上させることができる。その他、産業用ロボットを用いて、予熱工程からスタンピング工程へ搬送する際も、針状・ナイフ状・吸盤状・ワイヤー状といった先端ユニットを適宜用いることで搬送することができる。
スタンピング成型時の金型温度は、用いる熱可塑性樹脂にもよるが、下限温度は30℃以上であることが好ましく、より好ましくは50℃以上である。上限温度は、300℃以下であることが好ましく、より好ましくは200℃以下である。金型温度の下限温度が低すぎると、成形金型上にチャージしたした際に急激に冷却されてしまい、リブ・ボスへの複雑形状への追従性を著しく欠く可能性がある。一方、金型温度が高すぎると、リブ・ボスへの複雑形状への追従性に富むが、使用する熱可塑性樹脂にもよるが結晶化時間が長くなりすぎて成型外観の悪化や場合によっては未硬化になる可能性があり、また成形品が非対称な形状をしている多場合反りが大きくなる傾向にある。
スタンピング成形時のチャージ率は、20%以上、150%以下であることが好ましい。20%未満であるとそのようなチャージ率を達成するためには積層基材を複層にして嵩高く積み上げる必要があり、予熱時に重ねる場合は昇温速度が遅くなり、個々に予熱してチャージする際に積み上げる場合であっても放熱しないようにそのような操作を行うのは非常に煩雑である。
チャージ率が150%超である場合は、材料の大幅なロスが生じる傾向にあるため好ましくない。また、非食切り型の場合等チャージ率を100%以上150%未満とすることで、成形品の最表面の目視外観であったり凹凸であったりをほぼ同一にすることができるため、非常に有用である。
なお、ここでのチャージ率は、チャージ材料の面積を金型下型の開口面積で除すことで算出される。
一方、予熱時の積層基材が重ねて得られる総厚は、ハンドリング性や電熱挙動の観点から、0.5mm以上、10mm以下に留めることが好ましい。0.5mm超となるとそのような薄い材料はその材料の持ち熱容量が低すぎて金型へのチャージに至る前に放熱してしまう傾向にあり、10mm超である場合は、予熱の際に目的の温度に達するための時間がかかりすぎる傾向にあり好ましくない。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<評価方法>
(繊維体積含有率の測定)
プリプレグの密度はJIS K7112に準じた方法にて測定を行った。その後、炭素繊維及び樹脂フィルムの密度から繊維体積含有率(Vf)を算出した。
(ドローダウン)
本発明の積層基材を150mm×300mmの大きさの試験片を切り出し、内寸260mm×260mmの枠を用いて長軸方向の両末端を固定した。その後、三鈴エリー社製垂れ試験機を用いて、ヒーターが上下に配列してある試験機内の加熱炉に導いて、照射・昇温開始から50〜60秒後に積層基材表面の温度が180℃になる条件で評価を行った。
なお、加熱開始からのサンプル中央部の変位をレーザー光線により逐次測定した。初期変位(0mm)に対して、加熱とともにシートは垂れ下がるため変位はマイナス方向へ進む。加熱開始から80〜90秒後に積層基材表面の温度が230℃〜250℃に達した際の変位を取得し、その絶対値を元に以下の基準を元に判定した。
「◎」 0≦|変位値|≦5
「○」 5<|変位値|≦10
「△」 10<|変位値|≦15
「×」 15<|変位値|
(リブ流動性) Nyサンド
ヒーター温度を360℃に設定した遠赤外線ヒーター式加熱装置(NGKキルンテック株式会社製、製品名:H7GS−71289)を用いて、幅200mm、奥行き100mmに裁断した積層基材を6分間加熱し予熱した。裏面に、幅70mm〜60mm、高さ60mm、厚み3mm〜2mm、幅方向の中央部に直径6mmのエジェクタピン用の円柱部が埋め込まれたリブを有する金型を備えた金型投影面積が140×240mmの成形金型を使用した300tプレス機(川崎油工株式会社製)を用いて、成形金型の下型に予熱した積層基材を全て重ねた状態で配置し、チャージ時間25s、金型温度145℃、成形圧力18MPa、成形時間1分でプレス成形を行い第1成形体を得た。同様の条件で金型温度のみを90℃に変更して第2成形体を得た。
なお、予熱の際は厚みが1mmの材料は3枚重ねたものを2セット準備し、互い重ならないように加熱した。厚みが2mmの材料は重ねずに互いが重ならないように3点加熱した。厚みが1.5mmの材料は2枚重ねたものを2セット準備し、互いが重ならないように加熱した。
得られた第1及び第2成形体を、以下の基準で成形性の判定を行った。
「◎」 リブ充填率100%
「○」 リブ充填率が80%以上100%未満
「△」 リブ充填率が50%以上80%未満
「×」 リブ充填率が50%未満
なお、リブ充填率は、(得られた成形体のリブ部の体積の総和)/(金型形状から算出されるリブ部の体積の総和)[%]である。
(リブ流動性)PPサンド
ヒーター温度を360℃に設定した遠赤外線ヒーター式加熱装置(NGKキルンテック株式会社製、製品名:H7GS−71289)を用いて、幅200mm、奥行き100mmに裁断した積層基材を6分間加熱し予熱した。裏面に、幅70mm〜60mm、高さ60mm、厚み3mm〜2mm、幅方向の中央部に直径6mmのエジェクタピン用の円柱部が埋め込まれたリブを有する金型を備えた金型投影面積が140×240mmの成形金型を使用した300tプレス機(川崎油工株式会社製)を用いて、成形金型の下型に予熱した積層基材を全て重ねた状態で配置し、チャージ時間25s、金型温度130℃、成形圧力18MPa、成形時間1分でプレス成形を行い第1成形体を得た。
なお、予熱の際は。厚みが1.5mmの材料は2枚重ねたものを2セット準備し、互いが重ならないように加熱した。
得られた第1及成形体を、以下の基準で成形性の判定を行った。
「◎」 リブ充填率100%
「○」 リブ充填率が80%以上100%未満
「△」 リブ充填率が50%以上80%未満
「×」 リブ充填率が50%未満
なお、リブ充填率は、(得られた成形体のリブ部の体積の総和)/(金型形状から算出されるリブ部の体積の総和)[%]である。
(曲げ試験 - 異方性、比強度)
積層基材から、長さ100mm、幅25mmの試験片を切り出した。試験片として、試験片の長手方向と表層の繊維方向とがなす角度が0°、45°、90°、135°である4種類の試験片を準備した。その後、JIS K−7074に規定する試験方法に従い、標点間距離を80mmとし、クロスヘッド速度5.0mm/分で3点曲げ試験を行った。試験機としてはインストロン万能試験機4465型を用いた。測定した試験片の数はn=3とし、その各試験片毎の実測値の全平均値を各強度とした。
その後、各材料の0°、45°、90°、135°値を各材料の0°値で割り相対値を算出した。算出した相対値の中から最小の相対値を元に、以下のように曲げ強度異方性を評価した。相対値が小さい程異方性が大きいことを示す。
異方性評価
「◎」 0.8≦最小相対値≦1.0
「○」 0.6≦最小相対値<0.8
「△」 0.4≦最小相対値<0.6
「×」 最小相対値<0.4
次に、各材料の0°、45°、90°、135°値を各材料の密度で除した比強度を算出した後、それらを平均して材料としての平均比強度を算出し、以下のように評価した。
比強度評価
「◎」 300≦平均比強度
「○」 250≦平均比強度<300
「△」 200≦平均比強度<250
「×」 平均比強度<200
[製造例1]Ny6プリプレグ1
炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、製品名:TR50S15L、12000本、密度1.82g/cm)を一方向平面状に目付けが72.0g/mになるように配列させた炭素繊維シートとした。この炭素繊維シートの両面に、目付け45.6g/mの樹脂フィルム(ナイロン6、宇部興産株式会社製、製品名:UBE1013B)を積層させて積層基材を得た。この積層基材を200〜280℃に加熱したカレンダーロールに複数回と通して、樹脂フィルムを炭素繊維シートに溶融含浸させプリプレグ1を得た。
得られたプリプレグ1の厚みは120μm、目付けは145.0g/m、繊維堆積含有率(Vf)は33.0%であった。
[製造例2]PP プリプレグ2
炭素繊維(三菱レイヨン株式会社製、製品名:TR50S15L、12000本、密度1.82g/cm)を一方向平面状に目付けが72.0g/mになるように配列させた炭素繊維シートとした。この炭素繊維シートの両面に、目付け36.4g/m2の樹脂フィルム(酸変性ポリプロピレン、三菱化学株式会社製、製品名:モディックP958)を積層させて積層体を得た。この積層体を200〜220℃に加熱したカレンダーロールに複数回と通して、樹脂フィルムを炭素繊維シートに溶融含浸させプリプレグ2を得た。
得られたプリプレグ2の厚みは120μm、目付けは145.0g/m、繊維堆積含有率(Vf)は33.0%であった。
[比較例1]NyスリットPPG 切込プリプレグ21
製造例1で得られたプリプレグ1を、1240mm×940mmに切り出し、カッティングプロッタ(レザック製、製品名:L−2500)を用いて、図1に示すように一定間隔で切込を入れ切込プリプレグ21を得た。その際、シートの端部より10mm内側部分を除き、強化繊維の長さL=25.0mm一定、繊維を切断する切込と強化繊維のなす角度θ=45°の切込加工を施し、この際1m2あたりの切込長の総和la=56.6mであった。
前記切込プリプレグ21を8層、繊維軸方向が[0/45/90/−45]sであり、切込みの方向が[−45/0/45/90]sとなる様に積層した後、4層と5層の間に500μmの樹脂シート(ナイロン6、宇部興産株式会社製、製品名:UBE1013B)を挿入し超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して積層物21を得た。
得られた積層物21を印籠金型内に配置して、加熱盤を250℃に予熱した多段プレス機に投入し、圧力0.30MPaで10分間加熱・加圧を行い、続いて圧力4.0MPaで1分間冷却・加圧プレスを行い積層基材21を得た。
得られた積層基材21は、繊維蛇行や樹脂抜け等の欠陥や反りがなく、良好な外観と平滑性を保っていた。得られた積層基材をドローダウン評価、リブ流動性評価、曲げ試験を行った。評価結果は表1に示すが、リブ流動性及び曲げ試験異方性・平均比強度に優れたが、ドローダウンが生じた。
[実施例1]Nyサンドイッチドローダウン
製造例1で得られたプリプレグ1を、1240mm×940mmに切り出し、カッティングプロッタ(レザック製、製品名:L−2500)を用いて、図2に示す通りシートの端部より10mm内側部分(耳部分)を除いた部位に、強化繊維Bの繊維長、強化繊維Bからなる帯部分のピッチ幅Wp、プリプレグの面積あたりの強化繊維Bの比率(面積比率)、強化繊維Aの繊維長、繊維を切断する切込と強化繊維のなす角度θ、1mあたりの切込長の総和laが各々表1に記載の数値になるように切込を入れ、切込プリプレグ11を得た。なお強化繊維Bは強化繊維配向方向のシート幅に対して70%以上であった。
前記切込プリプレグ11を8層、繊維軸方向が[0/45/90/−45]sであり、切込みの方向が[−45/0/45/90]sとなる様に積層した後、4層と5層の間に500μmの樹脂シート(ナイロン6、宇部興産株式会社製、製品名:UBE1013B)を挿入し超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して積層物11を得た。
得られた積層物11を印籠金型内に配置して、加熱盤を250℃に予熱した多段プレス機に投入し、圧力0.30MPaで10分間加熱・加圧を行い、続いて圧力4.0MPaで1分間冷却・加圧プレスを行い積層基材11を得た。得られた積層基材11は、繊維蛇行や樹脂抜け等の欠陥や反りがなく、良好な外観と平滑性を保っていた。
得られた積層基材をドローダウン評価、リブ流動性評価、曲げ試験を行った。評価結果は表1に示すが、リブ流動性及び曲げ試験異方性・平均比強度に優れドローダウンも生じなかった。
[比較例2]NyスリットPPG 8plyスリットシート
実施例1記載の切込プリプレグ11を8層、繊維軸方向が[0/45/90/−45]sであり、切込みの方向が[−45/0/45/90]sとなる様に積層した後、超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して積層物22を得た。
得られた積層物22を印籠金型内に配置して、加熱盤を250℃に予熱した多段プレス機に投入し、圧力0.30MPaで10分間加熱・加圧を行い、続いて圧力4.0MPaで1分間冷却・加圧プレスを行い積層基材22を得た。得られた積層基材22は、繊維蛇行や樹脂抜け等の欠陥や反りがなく、良好な外観と平滑性を保っていた。
得られた積層基材をドローダウン評価、リブ流動性評価、曲げ試験を行った。評価結果は表1に示すが、曲げ試験平均比強度とドローダウンに優れるも、リブ流動性が一部不良が生じ、曲げ試験異方性も不十分であった。
[比較例3]NyスリットPPG 16plyスリットシート
切込プリプレグ11の積層枚数を16層、繊維軸方向が[0/45/90/−45]s2であり、切込みの方向が[−45/0/45/90]s2となる様に変更した以外、比較例2に記載の方法で積層物23を得て、続いて積層基材23を得た。得られた積層基材23は、繊維蛇行や樹脂抜け等の欠陥や反りがなく、良好な外観と平滑性を保っていた。
得られた積層基材をドローダウン評価、リブ流動性評価、曲げ試験を行った。評価結果は表1に示すが、曲げ試験平均比強度とドローダウンに優れるも、リブ流動性が一部不良が生じた。
[比較例4]PPサンドイッチ
製造例2で得られたプリプレグ2を、1240mm×940mmに切り出し、カッティングプロッタ(レザック製、製品名:L−2500)を用いて、図2に示す通りシートの端部より10mm内側部分(耳部分)を除いた部位に、強化繊維Bの繊維長、強化繊維Bからなる帯部分のピッチ幅Wp、プリプレグの面積あたりの強化繊維Bの比率(面積比率)、強化繊維Aの繊維長、繊維を切断する切込と強化繊維のなす角度θ、1mあたりの切込長の総和laが各々表1に記載の数値になるように切込を入れ、切込プリプレグ22を得た。なお強化繊維Bは強化繊維配向方向のシート幅に対して70%以上であった。
前記切込プリプレグ22を8層、繊維軸方向が[0/45/90/−45]sであり、切込みの方向が[−45/0/45/90]sとなる様に積層した後、4層と5層の間に500μmの樹脂シート(酸変性ポリプロピレン、三菱化学株式会社製、製品名:モディックP958)を挿入し超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して積層物22を得た。
得られた積層物22を印籠金型内に配置して、加熱盤を200℃に予熱した多段プレス機に投入し、圧力0.30MPaで10分間加熱・加圧を行い、続いて圧力4.0MPaで1分間冷却・加圧プレスを行い積層基材22を得た。得られた積層基材11は、繊維蛇行や樹脂抜け等の欠陥や反りがなく、良好な外観と平滑性を保っていた。
得られた積層基材をドローダウン評価、リブ流動性評価を行った。評価結果は表1に示すが、リブ流動性に優れたが、ドローダウンが生じた。
[実施例2〜4]PPサンドイッチドローダウン
製造例2で得られたプリプレグ2を、1240mm×940mmに切り出し、カッティングプロッタ(レザック製、製品名:L−2500)を用いて、図2に示す通りシートの端部より10mm内側部分(耳部分)を除いた部位に、強化繊維Bの繊維長、強化繊維Bからなる帯部分のピッチ幅Wp、プリプレグの面積あたりの強化繊維Bの比率(面積比率)、強化繊維Aの繊維長、繊維を切断する切込と強化繊維のなす角度θ、1mあたりの切込長の総和laが各々表1に記載の数値になるように切込を入れ、切込プリプレグ12〜14を得た。なお強化繊維Bは強化繊維配向方向のシート幅に対して70%以上であった。
前記切込プリプレグ12〜14を8層、繊維軸方向が[0/45/90/−45]sであり、切込みの方向が[−45/0/45/90]sとなる様に積層した後、4層と5層の間に500μmの樹脂シート(酸変性ポリプロピレン、三菱化学株式会社製、製品名:モディックP958)を挿入し超音波溶着機(日本エマソン社製、製品名:2000LPt)でスポット溶接して積層物12〜14を得た。
得られた積層物12〜14を印籠金型内に配置して、加熱盤を200℃に予熱した多段プレス機に投入し、圧力0.30MPaで10分間加熱・加圧を行い、続いて圧力4.0MPaで1分間冷却・加圧プレスを行い積層基材12〜14を得た。得られた積層基材12〜14は、繊維蛇行や樹脂抜け等の欠陥や反りがなく、良好な外観と平滑性を保っていた。得られた積層基材をドローダウン評価、リブ流動性評価。評価結果は表1に示すが、リブ流動性及に優れドローダウンも生じなかった。
1:切込み
2:シート状のプリプレグの一辺から他辺までの間において切断されていない強化繊維
3:強化繊維Bを含む帯部分
4:切込みにより切断された強化繊維Aからなる帯部分
L:切込みによって切断された強化繊維の長さ
l:切込み長
θ:平面視における切込みと強化繊維のなす角度
Wp:平面視における、シート状のプリプレグの一辺から他辺までの間において切断されていない強化繊維を含む帯部分のピッチ幅
Wn:平面視における、シート状のプリプレグの一辺から他辺までの間において切断されていない強化繊維を含む帯部分の繊維方向と直行する方向の幅
Ws:平面視における強化繊維の垂直方向に投影した、切込みの投影長さ

Claims (19)

  1. 下記(A)層と(B)層とが、(A)層を最外装となるように積層された積層基材。
    (A)層:一方向に配向した強化繊維と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、当該プリプレグは、表面から裏面まで貫通する切込を有し、当該切込みにより10〜50mmに切断された強化繊維Aと、当該プリプレグの強化繊維配向方向のシート幅の50%以上の長さの強化繊維Bを有し、前記強化繊維Bを含む帯部分の平面視の面積が、前記プリプレグの平面視の全面積に対して、1.4%〜35.0%であり、前記強化繊維Bの少なくとも一端が、前記強化繊維の配向方向における前記プリプレグの端部に位置するプリプレグ。
    (B)層:熱可塑性樹脂組成物からなるシート及び/または充填物含有熱可塑性樹脂組成物からなるシートであって、充填材が繊維状物である場合は、当該繊維状物は一方向に配向していない。
  2. (A)層のプリプレグの前記切断された強化繊維Aからなる帯部分と、前記強化繊維Bからなる帯部分が、プリプレグ全面に渡り、交互に配列されている、請求項1に記載の積層基材。
  3. (A)層のプリプレグの前記強化繊維Bからなる帯部分の繊維方向と直行する方向の幅Wnが1.0mm以上、8.0mm以下であり、強化繊維Bからなる帯部分のピッチ幅Wpが10mm以上、80mm以下である、請求項1または2に記載の積層基材。
  4. (A)層のプリプレグの強化繊維Bが、当該プリプレグの一辺から他辺までの間切断されていない強化繊維である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層基材。
  5. (A)層のプリプレグの前記切込により形成される1mあたりの切込長の総和が、20m以上、150m以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層基材。
  6. (A)層のプリプレグの前記切込と強化繊維のなす角度が、30°以上、60°以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の積層基材。
  7. (A)層のプリプレグの厚さが、50μm以上、200μm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の積層基材。
  8. (A)層のプリプレグに含まれる強化繊維の体積含有率が20体積%以上、55体積%以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の積層基材。
  9. (A)層のプリプレグが、当該プリプレグに含有される強化繊維の方向が疑似等方となるように積層されている、請求項1〜8のいずれかに記載の積層基材。
  10. (A)層のプリプレグが、当該プリプレグ中に含有される強化繊維と近接するプリプレグに含有される強化繊維とが直交するように積層されている、請求項1〜8のいずれかに記載の積層基材。
  11. (A)層が最外層、(B)層が中層である二種三層構成である、請求項1〜10のいずれかに記載の積層基材。
  12. 前記積層基材が、(A)層と(B)層が厚み方向に交互に積層している、請求項1〜10のいずれかに記載の積層基材。
  13. (A)層が、更に下記プリプレグ(C)を有する、請求項1〜12のいずれかに記載の積層基材。
    プリプレグ(C):一方向に配向した強化繊維と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、当該プリプレグは、表面から裏面まで貫通する切込を有し、当該切込みにより10〜50mmに切断された強化繊維Aからなり、前記強化繊維Bを含まない。
  14. 前記積層基材を構成する各層同士が接着されている、請求項1〜13のいずれかに記載の積層基材。
  15. (B)層の充填物含有熱可塑性樹脂組成物が含有する充填物が炭素繊維である、請求項1から14のいずれかに記載の積層基材。
  16. (B)層の充填物含有熱可塑性樹脂組成物が含有する充填物がガラス組成物である、請求項1から14のいずれかに記載の積層基材。
  17. (B)層の充填物含有熱可塑性樹脂組成物が含有する充填物がリサイクル材炭素繊維である、請求項1から14のいずれかに記載の積層基材。
  18. (A)層の強化繊維の平均単繊維繊度が、0.5dtex以上、2.4dtex以下である、請求項1〜17のいずれかに記載の層基材。
  19. (A)層の強化繊維に用いられる繊維束のフィラメント数が、3,000本以上100,000本以下である、請求項1〜18のいずれかに記載の積層基材。
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