JP2016210080A - 成形体およびその製造方法 - Google Patents

成形体およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016210080A
JP2016210080A JP2015095366A JP2015095366A JP2016210080A JP 2016210080 A JP2016210080 A JP 2016210080A JP 2015095366 A JP2015095366 A JP 2015095366A JP 2015095366 A JP2015095366 A JP 2015095366A JP 2016210080 A JP2016210080 A JP 2016210080A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
fiber
thermoplastic resin
molded body
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015095366A
Other languages
English (en)
Inventor
章亘 佐々木
Akinobu Sasaki
章亘 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Rayon Co Ltd filed Critical Mitsubishi Rayon Co Ltd
Priority to JP2015095366A priority Critical patent/JP2016210080A/ja
Publication of JP2016210080A publication Critical patent/JP2016210080A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】繊維強化樹脂からなる第1の部材と、熱可塑性樹脂を含む材料からなる第2の部材とが接合された成形体における両部材の接合強度を向上させる。
【解決手段】樹脂2と強化繊維1を含有する第1の部材4の表面を、樹脂2の融点以上又はガラス転移点以上に加熱することにより、該表面を凹凸状に加工する表面加工工程と、表面温度が樹脂2の融点以上又はガラス転移点以上の、前記加工された面上に、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)を射出成形する接合工程を有する、成形体の製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は繊維強化樹脂からなる部材上に熱可塑性樹脂を含む材料を射出成形して成形体を製造する方法、および該方法で製造された成形体に関する。
強化繊維及び熱可塑性樹脂を含有する繊維強化複合材料は、軽量性や力学特性に優れることから、各種産業用途に幅広く利用されている。繊維強化複合材料を部分的に用いた成形体を製造する方法として、例えば、繊維強化複合材料からなる部材上に熱可塑性樹脂を射出成形して一体化する方法が用いられる。
特許文献1には、繊維強化複合材料からなる部材と、その上に射出成形された部材との接合強度を向上させるために、繊維強化複合材料として、強化繊維からなる不織布の表裏面のうち一方の面は熱可塑性樹脂が含浸されており、他方の面は強化繊維が露出している繊維強化樹脂シートを用いて成形体を製造する方法が記載されている。
この方法では、まず、強化繊維からなる不織布と第1の熱可塑性樹脂からなる樹脂シートを、樹脂シート/不織布/樹脂シート/不織布/樹脂シート/不織布/不織布の順で積層させ、加熱加圧した後に冷却することにより、一方の面で強化繊維が露出している積層一体化物(繊維強化樹脂シート)を製造する。次いで、該繊維強化樹脂シートを金型内に配置し、繊維が露出している面上に第2の熱可塑性樹脂を射出成形して、繊維強化樹脂シートの成形物と第2の熱可塑性樹脂の成形物とが一体化された成形体を得る。
この方法によれば、繊維強化樹脂シートの一面で露出していた繊維に第2の熱可塑性樹脂が含浸した状態で固化するため、繊維によるアンカリング効果が得られ、両者の成形物の接合強度が向上する旨が記載されている。
特開2014−172201号公報
しかし、特許文献1に記載の方法で得られた成形体においても、繊維強化樹脂シートの成形物と、第2の熱可塑性樹脂の成形物との接合強度が充分であるとは言えず、両者の接合強度をさらに向上させることが望まれる。
本発明は、繊維強化樹脂からなる第1の部材と、熱可塑性樹脂を含む材料からなる第2の部材とが接合された成形体における、両部材の接合強度を向上できる成形体の製造方法、および該方法で製造された成形体を提供する。
本発明は、以下の構成を有する。
[1] 樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材と、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)からなる第2の部材とが接合された成形体を製造する方法であって、樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材の表面を、樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上に加熱することにより、該表面を凹凸状に加工する又は該表面において強化繊維(B)を露出させる加工を行う表面加工工程と、表面温度が樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上の、前記加工された面上に、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)を射出成形する接合工程を有する、成形体の製造方法。
[2] 樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材と、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)からなる第2の部材とが接合された成形体を製造する方法であって、樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材の表面を、樹脂(A)の分解温度以上に加熱することにより、該表面を凹凸状に加工する又は該表面において強化繊維(B)を露出させる加工を行う表面加工工程と、表面温度が樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上の、前記加工された面上に、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)を射出成形する接合工程を有する、成形体の製造方法。
[3] 前記表面加工工程において、前記第1の部材の表面を赤外線ヒーターで加熱する、[1]または[2]に記載の成形体の製造方法。
[4] 前記表面加工工程において、前記第1の部材の表面にレーザ光を照射する、[1]または[2]に記載の成形体の製造方法。
[5] 前記熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)が、さらに強化繊維を含む、[1]〜[4]の何れか一項に記載の成形体の製造方法。
[6] [1]〜[5]の何れか一項に記載の成形体の製造方法で製造され、第1の部材の表面における最大高さが1〜45μmである成形体。
本発明の成形体の製造方法によれば、樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材と、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)からなる第2の部材とを接合した成形体における、第1の部材と第2の部材との接合強度を向上できる。
本発明によれば、樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材と、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)からなる第2の部材とが、高い接合強度で接合された成形体が得られる。
表面加工工程前の第1の部材の例を模式的に示す断面図である。 表面加工工程後の第1の部材の例を模式的に示す断面図である。 表面加工工程後の第1の部材の例を模式的に示す断面図である。 表面加工工程後の第1の部材の例を模式的に示す断面図である。 表面加工工程前の第1の部材の例を模式的に示す断面図である。 表面加工工程後の第1の部材の例を模式的に示す断面図である。 表面加工工程後の第1の部材の例を模式的に示す断面図である。 試験例における表面加工工程を説明するための概略図である。 試験例における接合工程を説明するための概略図である。 実施例における表面加工工程を説明するための概略図である。 実施例における接合工程を説明するための概略図である。 実施例で得られた成形体の斜視図である。 実施例における表面加工工程を説明するための概略図である。
<第1の部材>
第1の部材は樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する繊維強化樹脂からなる。例えば、強化繊維(B)からなる基材に樹脂(A)が含浸されたプリプレグ、該プリプレグが複数枚積層されたプリプレグ積層体、またはこれらを成形した部材が挙げられる。また不連続繊維を樹脂中に混練分散したペレットを用いて成形した部材でもよい。
強化繊維(B)の種類は、特に限定されず、例えば、無機繊維、有機繊維、金属繊維、又はこれらを組み合わせたハイブリッド構成の強化繊維が使用できる。
無機繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイド繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。有機繊維としては、アラミド繊維、高密度ポリエチレン繊維、その他一般のナイロン繊維、ポリエステル繊維等が挙げられる。金属繊維としては、ステンレス、鉄等の繊維が挙げられ、また金属を被覆した炭素繊維でもよい。これらの中では、成形体の強度等の機械物性を考慮すると、炭素繊維が好ましい。
強化繊維(B)の平均繊維直径は、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがさらに好ましい。強化繊維(B)の平均繊維直径が1μm以上であると強化繊維(B)の取り扱い性が向上し、樹脂の含浸性が向上するので好ましい。強化繊維(B)の平均繊維直径の上限は特に限定されないが、製造容易性またはコストの点で50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
強化繊維(B)は、連続繊維であってもよく、不連続繊維であってもよい。
連続繊維を使用すると得られる成形品の剛性や強度といった機械的物性に優れる。
一方、不連続繊維は繊維強化樹脂の良好な流動性が得られやすく、賦型性に優れる。強化繊維(B)が不連続繊維の場合、第1の部材中の不連続繊維は束の形状を保ったままでもよく、モノフィラメント状態でもよく、束とモノフィラメントの両方が混在していてもよい。
強化繊維(B)である連続繊維からなる基材の形態としては、多数の連続繊維を一方向に揃えてUDシート(一方向シート)とする形態、または連続繊維を製織してクロス材(織物)とする形態が好ましい。クロス材の織り方としては、例えば、平織、綾織、朱子織、三軸織等が挙げられる。
UDシート(一方向シート)は1層で使用してもよく、多層に積層してもよい。積層する場合には、各層の強化繊維の方向が同じであってもよく、任意の角度で積層してもよい。例えば、強化繊維の方向が0°及び90°となるように交互に積層した交互直交積層が挙げられる。
強化繊維(B)である不連続繊維からなる基材の形態として、後述の接合工程で射出される材料(D)とのアンカリング構造が形成されやすく、第1の部材と第2の部材との強固な接合が得られやすい点で、チョップされた強化繊維束が分散してなる強化繊維ウエブが好ましい。かかる強化繊維ウエブを製造する方法として、チョップされた強化繊維束を液体中で分散する方法、気相中で分散する方法、またはカーディングやニードルパンチ等の機械を用いる方法が例示される。
強化繊維束を液体中で分散する方法においては、液体中(水など)にチョップされた繊維束を供給し、繊維束をほぐしながら分散させ、スラリー化する。その後、脱水、乾燥することで強化繊維ウエブを得る。必要に応じて、分散させる液体にバインダー樹脂や界面活性剤を含有させてもよい。バインダー樹脂や界面活性剤を使用することで強化繊維ウエブの取り扱い性を向上させることができる。
強化繊維束を気相中で分散する方法においては、チョップされた強化繊維束に空気や窒素などの気体を吹き付ける方法が例示される。
または、強化繊維(B)である不連続繊維からなる基材の形態として、モノフィラメントが分散してなる不織布が好ましい。
第1の部材中に不連続繊維がモノフィラメント状態で分散していると、前述の強化繊維ウエブの場合以上に、後述の接合工程で射出される材料(D)とのアンカリング構造が形成されやすくなり、第1の部材と第2の部材との強固な接合が得られやすい点で好ましい。
強化繊維(B)である不連続繊維の重量平均繊維長は、1mm以上であることが好ましい。強化繊維の重量平均繊維長が1mm以上であると、第1の部材または第1の部材を備えた成形体における強度や剛性の向上効果が充分に得られる。強化繊維(B)の重量平均繊維長の上限は、金型内での流動性や金型追従性の点で100mm以下が好ましい。
該不連続繊維の重量平均繊維長は2〜80mmがより好ましく、3〜60mmさらに好ましい。
樹脂(A)は熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。
樹脂(A)である熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロン等)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、変性ポリオレフィン樹脂(変性ポリプロピレン樹脂等)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、液晶ポリエステル樹脂や、アクリロニトリルとスチレンの共重合体、ナイロン6とナイロン66の共重合体等が挙げられる。
変性ポリオレフィン樹脂としては、例えば、マレイン酸等の酸によりポリオレフィン樹脂を変性した酸変性ポリオレフィン樹脂(酸変性ポリプロピレン樹脂等)等が挙げられる。
樹脂(A)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特に成形加工性の点で、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。また、機械的物性や耐熱性の点で、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、およびポリエーテルイミド樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
樹脂(A)が熱硬化性樹脂である場合、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、および不飽和ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
第1の部材は、目的の成形体の要求特性に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等の添加剤を含有してもよい。
第1の部材の繊維体積含有率(Vf)は5〜60%が好ましく、10〜55%がより好ましく、15〜50%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると第1の部材の強度や剛性が高く、上限値以下であると強化繊維(B)への樹脂(A)の含浸性が良好である。
本明細書において、繊維体積含有率(Vf)は、JIS K7075に準拠する測定方法で得られる値である。
<第2の部材>
第2の部材は熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)からなる。
熱可塑性樹脂(C)としては、特に限定されず、例えば、樹脂(A)である熱可塑性樹脂と同じものが挙げられる。熱可塑性樹脂(C)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
特に成形加工性の点で、ポリプロピレン樹脂、酸変性ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、およびポリエステル樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。また、機械的物性や耐熱性の点で、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、およびポリエーテルイミド樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
互いに接合される第1の部材の樹脂(A)と第2の部材の熱可塑性樹脂(C)とが同じ種類の樹脂であると、両部材の接合強度が高くなりやすい点で好ましい。
材料(D)は強化繊維を含んでもよい。材料(D)に強化繊維を含有させると、第2の部材の剛性、強度といった機械的物性が向上するため、第1の部材と第2の部材が接合された成形体の物性も向上させることができる。材料(D)に含有させる強化繊維の種類は、上記強化繊維(B)と、好ましい態様も含めて同様である。
射出前の材料(D)に含有させる強化繊維の平均繊維直径および繊維長は、材料(D)を射出成形できる範囲で設定できる。
射出前の材料(D)中の強化繊維の重量平均繊維長は、機械的物性の向上効果が充分に得られやすい点で1mm以上が好ましく、1.3mm以上がより好ましく、1.5mm以上がさらに好ましい。上限は材料(D)の流動性や金型追従性の点で25mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。
材料(D)を射出成形することで、含まれる強化繊維の長さは短くなる。機械的物性向上の効果が十分得られやすい点で、第2の部材における重量平均繊維長は0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましい。上限は材料(D)中の強化繊維の分散性の点で15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましい。
材料(D)中の強化繊維の平均繊維直径は、射出後の残存繊維長が長くなりやすい点から1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。上限は射出成形性の点から50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
材料(D)は、目的の成形体の要求特性に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等の添加剤を含有してもよい。
第2の部材が強化繊維を含む場合の繊維体積含有率(Vf)は5〜60%が好ましく、10〜55%がより好ましく、15〜50%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると材料(D)の強度や剛性が高く、上限値以下であると材料(D)中での強化繊維の分散性が良好である。
<成形体の製造方法>
本発明の成形体の製造方法は、第1の部材の表面を加熱して凹凸状に加工する又は該表面において強化繊維(B)を露出させる加工を行う表面加工工程と、該加工された面上に、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)を射出成形する接合工程を有する。
[表面加工工程]
(第1の態様)
表面加工工程の第1の態様では、第1の部材の表面を、樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上に加熱する。
加熱手段は特に限定されないが、赤外線ヒーター、プレートヒーター、熱風ヒーター、通電加熱装置、レーザー照射装置等が例示される。これらの中でも、赤外線ヒーターまたはレーザー照射装置が好ましい。
赤外線ヒーターは非接触で均一に加熱できる点で好ましい。赤外線ヒーターの種類として、加熱の均一性を重視する場合には遠赤外線ヒーターが好ましく、短時間加熱を重視する場合には近赤外線ヒーターが好ましい。
レーザ光の照射は局所的に加熱できる点で好ましい。レーザ光の種類としてとしては、炭酸ガスレーザーやエキシマレーザーなどの気体レーザー、YAGレーザーやYVOレーザーなどの固体レーザー及びファイバーレーザーなどが使用できる。
第1の部材の表面を加熱する際の加熱温度は、加熱された領域の表面温度が、樹脂(A)の融点(Tm℃)以上となるように設定する。該表面温度は、第1の部材の表面を加工しやすい点で、Tm+10℃以上が好ましく、Tm+20℃以上がより好ましい。
樹脂(A)が融点を有さない場合の加熱温度は、加熱された領域の表面温度が、樹脂(A)のガラス転移温度(Tg℃)以上となるように設定する。該表面温度は、第1の部材の表面を加工しやすい点で、Tg+10℃以上が好ましく、Tg+20℃以上がより好ましい。
本態様において、第1の部材の加熱された領域の表面温度の上限は、樹脂(A)の分解温度未満である。
本明細書における融点、ガラス転移温度、分解温度は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量測定(DSC)法により測定される値を意味する。
(第2の態様)
表面加工工程の第2の態様では、第1の部材の表面を、樹脂(A)の分解温度以上に加熱する。
加熱手段としてはレーザー照射装置、赤外線ヒーターが好ましい。微細な領域の加熱の点でレーザー照射装置が好ましい。レーザ光の種類としてとしては、炭酸ガスレーザーやエキシマレーザーなどの気体レーザー、YAGレーザーやYVOレーザーなどの固体レーザー及びファイバーレーザーなどが使用できる。
本態様において、第1の部材の表面の加熱された領域の表面温度は樹脂(A)の分解温度以上であり、強化繊維(B)の分解温度以上であってもよい。該表面温度の上限は、樹脂(A)の分解温度または強化繊維(B)の分解温度のいずれか高い方の温度をTd℃とすると、Td+200℃以下が好ましく、Td+100℃以下がより好ましい。
本態様は、第1の態様よりも短時間で第1の部材の表面を加工することができ、特に強化繊維(B)を露出させるのに適している。
(第1の態様および第2の態様共通)
表面加工工程において加熱される前の第1の部材は、目的の形状に予め成形されたものでもよく、成形前のものでもよい。
樹脂(A)が熱硬化性樹脂である場合、樹脂(A)は加熱される時点で既に硬化していてもよいし、半硬化であってもよいし、未硬化であってもよい。
第1の部材の表面を加熱する際の加熱時間は、例えば図2、4、6に示されるように、第1の部材の表面に凸凹形状が形成されるように、または例えば図3、7に示されるように、第1の部材の表面において強化繊維(B)が露出されるように設定される。
図1〜4は、連続繊維である強化繊維1を一方向にそろえた強化繊維シートに、樹脂2を含浸させた第1の部材の、繊維方向に垂直な断面を模式的に示した断面図である。
図1は表面加工工程で加熱される前の第1の部材3を示し、図2は、表面に凹凸形状が形成されるように加熱された第1の部材4を示し、図3は表面において強化繊維1が露出するまで加熱された第1の部材5を示す。図4は、表面にレーザ光を照射することにより規則的な凹凸形状が形成された第1の部材6を示す。
図5〜7は、不連続繊維である強化繊維11が樹脂12中に分散している第1の部材の断面図である。
図5は表面加工工程で加熱される前の第1の部材7を示し、図6は、表面に凹凸形状が形成されるように加熱された第1の部材8を示し、図7は表面において強化繊維11が露出するまで加熱された第1の部材9を示す。
表面加工により凹凸(強化繊維の露出による凹凸も含む)が形成された第1の部材の表面において、図2または図4に例示するように、厚さ方向における最も高い凸部の頂部と最も深い凹部の底部との差を最大高さ(dmax)とする。厚さ方向とは、表面加工工程で加熱される前の表面に対して垂直な方向を意味する。
本発明の成形体において、第1の部材の表面における最大高さ(dmax)は、1〜45μmの範囲内であることが好ましい。すなわち、後述の接合工程で第2の部材と接合された後の断面における最大高さ(dmax)が1〜45μmの範囲内であることが好ましい。
該最大高さ(dmax)が1μm以上であると、アンカー効果による接合強度の向上効果が得られやすい。45μm以下であると、接合部に空隙部分ができることを抑制することができる。該最大高さ(dmax)は5〜40μmがより好ましく、10〜30μmがさらに好ましい。
表面加工工程では、接合工程での最大高さ(dmax)の変化も加味して、成形体における最大高さ(dmax)が上記の範囲内となるように、第1の部材の表面に対する加熱条件を設定することが好ましい。
[接合工程]
接合工程では、表面加工工程において表面が加工された第1の部材の表面(加工された面)上に、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)を射出成形する。
例えば、予め成形された第1の部材を成形型内に配置し、表面加工工程を行った後、第1の部材の表面(加工された面)上に材料(D)を射出し成形型内で第2の部材を成形することにより、第1の部材と第2の部材とが接合された成形品が得られる。
または、最終の形状に成形されていない第1の部材を成形型内に配置し、表面加工工程を行った後、第1の部材の表面(加工された面)上に材料(D1)を射出し成形型内で第1の部材を賦形しつつ第2の部材を成形することにより、第1の部材と第2の部材とが接合された成形品が得られる。
接合工程において、第1の部材の表面(加工された面)上に材料(D)を射出する際の、該第1の部材の表面の温度は樹脂(A)の融点以上、又は樹脂(A)が融点を有しない場合はガラス転移点以上である。
第1の部材の表面の温度は、非接触温度センサにより測定される温度である。非接触温度センサとして、赤外線サーモグラフィカメラが例示される。加熱手段として広範囲を加熱できる赤外線ヒーターの場合は加熱面の温度はほぼ均一であるので、その温度を表面温度とする。加熱手段として微細領域を加熱するレーザー照射装置の場合は、該加熱された微細領域の温度を表面温度とする。
表面加工工程において、第1の部材の表面を、樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上に加熱して加工した後、該表面の温度を樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上に保った状態で、材料(D)を射出することが好ましい。
または、表面加工工程を終えた第1の部材の表面温度が、樹脂(A)の融点又はガラス転移点よりも低くなった場合には、該表面の温度が樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上となるように再加熱した後、材料(D)を射出する。
材料(D)と接触する直前の第1の部材の表面温度の上限は樹脂(A)の分解温度(Td)である。表面加工工程で形成された表面形状が保たれやすく、樹脂(A)と材料(D)中の樹脂が混ざりやすい点で、樹脂(A)の融点(Tm℃)以上かつTm+200℃以下が好ましく、Tm+30℃以上かつTm+100℃以下がより好ましい。
樹脂(A)が融点を有さない場合は、樹脂(A)のガラス転移温度(Tg℃)以上、かつTg+200℃以下が好ましく、Tg+30℃以上かつTg+100℃以下がより好ましい。
第1の部材の表面上に材料(D)が射出される際の、材料(D)の温度(射出成形温度)が、該材料(D)と接触する直前の第1の部材の表面温度より高い場合、その差の絶対値は100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。また、該材料(D)の温度(射出成形温度)が、該材料(D)と接触する直前の第1の部材の表面温度より低い場合、その差の絶対値は100℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。これらの差の絶対値が小さいほど材料(D)が第1の部材の凸凹形状部あるいは強化繊維が露出した部分に充填されやすく、接合部に空隙部分が生じ難い。該接合部に空隙部分が生じると、第1の部材と材料(D)とからなる成形品に反りが生じる原因となり得る。
このようにして得られる成形体にあっては、第1の部材の表面を加工したことによるアンカー効果に加えて、第1の部材の表面温度が高い状態で、該表面上に材料(D)を射出して第2の部材を成形することにより、第1の部材の表面の樹脂と、材料(D)中の樹脂とが、流動性が高い状態で混ざり合うため、第1の部材と第2の部材との接合強度がより向上する。
本発明の方法で製造された成形品は高い機械的物性を有しており、例えば航空機部材、自動車部材、スポーツ用具等に好適に用いられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<最大高さ(dmax)の測定方法>
成形体の厚み方向に沿う断面が観察面となるように研磨された試料を用意し、顕微鏡で観察した。視野中の第1の部材の表面(第1の部材と第2の部材との界面)の凹凸のうち、最も深い凹部の底部と最も高い凸部の頂部との差(最大高さ)を測定した。視野を変えて30回の測定を行い、平均値を最大高さ(dmax)とした。
なお、第1の部材と第2の部材との界面を判別しやすいように、必要に応じて、第1の部材中の樹脂と第2の部材中の樹脂のいずれかを、物性に影響しない範囲で予め着色してもよい。
<引張試験方法>
引張試験装置(製品名:オートグラフAG−X、島津製作所社製)を用い、タブ間距離120mm、試験速度2mm/分の条件で引張試験を行い、最大試験応力の値を記録した。
最大試験応力(単位:kN)を接合面積で割って、1mm当たりの引張せん断強度(単位:MPa)の値を求めた。
<原材料>
炭素繊維(1):三菱レイヨン社製、製品名:パイロフィルTR−50S15L、分解温度600℃、平均繊維直径7μmの連続繊維。
熱可塑性樹脂フィルム(A1):(酸変性ポリプロピレン樹脂:三菱化学製、製品名:モディックP958、融点165℃、分解温度400℃、目付:36.4g/m
繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1):炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂、三菱レイヨン社製、製品名:パイロフィルペレット PP−C−30A。樹脂の融点:170℃、炭素繊維の分解温度:600℃、平均繊維直径:7μm、重量平均繊維長:1.5mm、繊維体積含有率(Vf)18%。
(製造例1:プリプレグ(1)の作成)
炭素繊維(1)を、強化繊維の方向が一方向となるように平面状に引き揃えて、目付が72.0g/mである、連続した長尺の強化繊維シート(一方向シート)とした。
この強化繊維シートの両面を、熱可塑性樹脂フィルム(A1)で挟み、カレンダロールを通して、熱可塑性樹脂を強化繊維シートに含浸し、繊維体積含有率(Vf)が33%、厚さが0.12mmのプリプレグ(1)を得た。
(製造例2:シート状物(第1の部材)の作成)
製造例1で得たプリプレグ(1)を縦30cm、横30cmの大きさに切断した正方形シートを17枚、繊維方向が互いに同一となるように積層し、プレス成形して、厚さが約2mmのシート状物を得た。プレス成形の条件は、圧力0.3MPa、200℃で3分間加熱加圧した後、続いて圧力1MPa、50℃で3分間加熱加圧する条件とした。
(製造例3:シート状物(第1の部材)の作成)
製造例1で得たプリプレグ(1)を縦30cm、横30cmの大きさに切断した正方形シートを5枚、隣接するプリプレグ(1)の繊維方向が互いに直交するように積層し、プレス成形して、厚さが約0.6mmのシート状物を得た。プレス成形の条件は製造例2と同じとした。
(製造例4:プリプレグ(2)の作成)
炭素繊維(1)6.5gを長さ5mmに切断(チョップ)した。攪拌機を備えた一辺が30cmの直方体形状の撹拌釜に水10Lをいれた。攪拌機を回転させながらチョップした炭素繊維を投入し分散させた。攪拌機を止めて撹拌釜の下部より水を排出し、炭素繊維のマット状物を得た。それを80℃に保たれた真空加熱機で3時間乾燥し、一辺が30cmの正方形の目付が約72g/mの不織布を得た。製造例1と同様に、この不織布の両面を、熱可塑性樹脂フィルム(A1)で挟み、カレンダロールを通して、熱可塑性樹脂を不織布に含浸し、繊維体積含有率(Vf)が33%、厚さが0.15mmのプリプレグ(2)を得た。プリプレグ(2)は空隙を含むため、プリプレグ(1)より厚かった。
(製造例5:シート状物(第1の部材)の作成)
製造例4で得た一辺が30cmの正方形プリプレグ(2)を17枚積層し、プレス成形して、厚さが約2mmのシート状物を得た。プレス成形の条件は、圧力0.5MPa、200℃で3分間加熱加圧した後、続いて圧力1.5MPa、50℃で3分間加熱加圧する条件とした。製造例2よりも圧力を高くすることで、プリプレグ中の空隙を除去し、シート厚みを製造例2と同じにした。
以下の試験例1、2、5、7、8は本発明の製造方法を用いた例であり、試験例3、4、6、9、10は比較試験例である。
(試験例1)
製造例2で得たシート状物(厚さ約2mm)の繊維方向を長さ方向として、長さ方向120mm、幅方向25mmの短冊状の試験片(第1の部材)を切り出した。図8に示すように、該試験片21の片面の一端部の、幅方向25mm×長さ方向12.5mmの被加熱領域21aに、ヒーター表面温度500℃に設定した赤外線ヒーター22(日本ガイシ社製、製品名:インフラスタインヒーター)を対向させ、1分間加熱した。なお、被加熱領域21a以外の部分が加熱されないように、赤外線ヒーター22と試験片21との間に遮蔽板23を設置した。こうして、試験片21の被加熱領域21aの表面温度を200℃とした。表面温度は赤外線サーモグラフィカメラ(アビオニクス社製、製品名:G120EX)を使用した。被加熱領域21aの表面は軟化し、図2に示すような凹凸状になった。
続いて図9に示すように、被加熱領域21aの表面温度を保ちながら、直ちに該被加熱領域21a上に、射出成形機を用いて繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)を射出し、長さ方向120mm、幅方向25mmの短冊状の部材24(第2の部材)を成形した。射出成形時の繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)の温度(射出成形温度)は230℃とした。こうして図9に示すような、試験片21の一端部の被加熱領域21a上に、繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)からなる部材24(第2の部材)が接合された成形体25を得た。
得られた成形体25について、上記の方法で引張試験を行い引張せん断強度を求めた。また上記の方法で第1の部材と第2部材との接合面における、第1の部材の最大高さを測定した。これらの結果および主な製造条件を表1に示す(以下、同様)。
(試験例2)
試験例1において、試験片21(第1の部材)の被加熱領域21aに対する加熱時間を5分間に変更し、表面温度を220℃とした。それ以外は試験例1と同様にして成形体を製造した。
(試験例3)
試験例1において、試験片21(第1の部材)に対して表面加工工程を行わない以外は、試験例1と同様にして成形体を製造した。
(試験例4)
試験例1において、試験片21(第1の部材)の被加熱領域21aを加熱した後、表面温度が25℃になるまで冷却した後に、該被加熱領域21a上に繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)を射出して第2の部材24を形成した以外は、試験例1と同様にして成形体を製造した。
(試験例5)
本例は第1の部材21の被加熱領域21aを樹脂の分解以上に加熱した例である。
すなわち試験例1において、赤外線ヒーターに代えてレーザー照射装置(SUNX社製、製品名:LP−Z250、レーザー種類:ファイバーレーザー、波長:1060nm)を用いた。試験片21(第1の部材)の被加熱領域21aにレーザ光を照射し、幅30μm、深さ20μmの凹部を、格子状で150μm間隔で形成して、該被加熱領域に規則的な凹凸形状を賦与した。このとき該被加熱領域21aの表面温度は650℃になった。そして該領域の温度が250℃になるまで待って、該被加熱領域21a上に繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)を射出した。それ以外は試験例1と同様にして成形体を製造した。
得られた成形体の第1の部材と第2部材との接合面において、第1の部材に形成された凹部には繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)の樹脂が充填されていた。
(試験例6)
試験例5において、試験片21(第1の部材)の被加熱領域21aにレーザ光を照射して加熱した後、表面温度が25℃になるまで冷却した後に、該被加熱領域21a上に繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)を射出した以外は試験例5と同様にして成形体を製造した。
(試験例7)
本例は、製造例5で得たシート状物(厚さ約2mm)を用い、赤外線ヒーターを用いて加熱した例である。
製造例5で得たシート状物(厚さ約2mm)から長さ方向120mm、幅方向25mmの短冊状の試験片(第1の部材)を切り出した。この試験片を用いたほかは試験例1と同様にして成形体を製造した。
表面加工工程において、表面温度200℃に加熱された被加熱領域21aは、表面が軟化し、図6に示すような凹凸状になった。
(試験例8)
本例は、製造例5で得たシート状物(厚さ約2mm)を用い、レーザ光を照射して加熱した例である。
試験例7と同じ試験片を用いたほかは試験例5と同様にして成形体を製造した。本例において、表面加工工程で形成された凹部においては部分的に炭素繊維が突き出るように露出していた。
得られた成形体の第1の部材と第2部材との接合面において、第1の部材に形成された凹部には繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)の樹脂が充填されていた。
(試験例9)
試験例7と同じ試験片を用いたほかは試験例4と同様にして成形体を製造した。
(試験例10)
試験例7と同じ試験片を用いたほかは試験例6と同様にして成形体を製造した。
Figure 2016210080
表1の結果に示されるように、第1の部材の表面を加熱して表面加工工程を行い、かつ該第1の部材の表面温度が高い状態で第2の部材を射出して接合工程を行った試験例1、2、5、7、8では、第1の部材と第2の部材の接合強度が高い成形体が得られた。
これに対して、表面加工工程を行わなかった試験例3、表面加工工程を行ったものの、第1の部材の表面温度が低い状態で第2の部材を射出して接合工程を行った試験例4、6は、第1の部材と第2の部材の接合強度が劣っていた。
(実施例1:成形体の製造)
本例では、図10に示す表面加工工程および、図11に示す接合工程を経て、図12に示す成形体を製造した。
予め、製造例3で得たシート状物(厚さ約0.6mm)から、長さ方向40cm、幅方向5cmの短冊状のインサート部材31(第1の部材)を切り出した。なお、該インサート部材31の最表層および最裏層の繊維方向は同一であり、この方向を長さ方向とした。図10のように、成形型の下型32内にインサート部材31を配置し、その上面に、ヒーター表面温度600℃に設定した赤外線ヒーター33(日本ガイシ社製、製品名:インフラスタインヒーター)を対向させた。該赤外線ヒーター33でインサート部材31を3分間加熱し、インサート部材31の上面の表面温度を230℃とした。
その直後に、図11に示すように、成形型の上型34を閉じ、上型34内に設けられた樹脂供給路35から、下型32と上型34で形成される空間内に、繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)を射出した。射出成形温度は230℃とし、下型32と上型34の内面の表面温度(成形型温度)は50℃とした。成形型温度は、維強化熱可塑性樹脂材料(D1)中の樹脂の融点より低いため、射出された維強化熱可塑性樹脂材料(D1)は成形型内で冷却されて固化し、第2の部材36が形成された。維強化熱可塑性樹脂材料(D1)の射出を終えてから15秒後に成形型を開き、図12に示す成形体を取り出した。
得られた成形体のインサート部材31(第1の部材)と第2の部材36との接合面における、第1の部材31の最大高さは25μmであった。
(比較例1)
実施例1において、インサート部材31(第1の部材)に対する加熱時間を30秒に変更したところ、加熱後のインサート部材の上面の表面温度は130℃であり、該上面に凹凸は形成されず、平滑面のままであった。それ以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。
得られた成形体のインサート部材31(第1の部材)と第2の部材36との接合面における、第1の部材31の最大高さはゼロであった。
(実施例2:成形体の製造)
実施例1では赤外線ヒーターを用いたが、本例では、試験例5と同じレーザー照射装置37を用いた。
実施例1と同じインサート部材31を、図13のように、成形型の下型32内に配置し、その上面にレーザ光を照射し、幅30μm、深さ20μmの凹部を、格子状で150μm間隔で形成して、該被加熱領域に凹凸形状を賦与した。このときインサート部材31の上面の表面温度は650℃になった。そして該領域の温度が250℃になるまで待って、繊維強化熱可塑性樹脂材料(D1)を射出した。それ以外は実施例1と同様にして成形体を製造した。
得られた成形体のインサート部材31(第1の部材)と第2の部材36との接合面における、第1の部材31の最大高さは20μmであった。
1、11 強化繊維
2、12 樹脂
3、4、5、6、7、8、9 第1の部材
21 試験片(第1の部材)
21a 被加熱領域
22 赤外線ヒーター
23 遮蔽板
24 部材(第2の部材)
25 成形体
31 インサート部材(第1の部材)
32 下型
33 赤外線ヒーター
34 上型
35 樹脂供給路
36 第2の部材
37 レーザー照射装置

Claims (6)

  1. 樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材と、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)からなる第2の部材とが接合された成形体を製造する方法であって、
    樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材の表面を、樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上に加熱することにより、該表面を凹凸状に加工する又は該表面において強化繊維(B)を露出させる加工を行う表面加工工程と、
    表面温度が樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上の、前記加工された面上に、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)を射出成形する接合工程を有する、成形体の製造方法。
  2. 樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材と、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)からなる第2の部材とが接合された成形体を製造する方法であって、
    樹脂(A)と強化繊維(B)を含有する第1の部材の表面を、樹脂(A)の分解温度以上に加熱することにより、該表面を凹凸状に加工する又は該表面において強化繊維(B)を露出させる加工を行う表面加工工程と、
    表面温度が樹脂(A)の融点以上又はガラス転移点以上の、前記加工された面上に、熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)を射出成形する接合工程を有する、成形体の製造方法。
  3. 前記表面加工工程において、前記第1の部材の表面を赤外線ヒーターで加熱する、請求項1または2に記載の成形体の製造方法。
  4. 前記表面加工工程において、前記第1の部材の表面にレーザ光を照射する、請求項1または2に記載の成形体の製造方法。
  5. 前記熱可塑性樹脂(C)を含む材料(D)が、さらに強化繊維を含む、請求項1〜4の何れか一項に記載の成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の成形体の製造方法で製造され、第1の部材の表面における最大高さが1〜45μmである成形体。
JP2015095366A 2015-05-08 2015-05-08 成形体およびその製造方法 Pending JP2016210080A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015095366A JP2016210080A (ja) 2015-05-08 2015-05-08 成形体およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015095366A JP2016210080A (ja) 2015-05-08 2015-05-08 成形体およびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016210080A true JP2016210080A (ja) 2016-12-15

Family

ID=57550919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015095366A Pending JP2016210080A (ja) 2015-05-08 2015-05-08 成形体およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2016210080A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019171575A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 パナソニックIpマネジメント株式会社 繊維強化樹脂成形体
JP2020055252A (ja) * 2018-10-03 2020-04-09 キヤノン株式会社 樹脂部品、樹脂部品の製造方法、鏡筒部品、および光学機器
CN112208172A (zh) * 2019-07-12 2021-01-12 大赛璐美华株式会社 复合成型体及其制造方法
JP2021120194A (ja) * 2020-01-30 2021-08-19 オムロン株式会社 複合成形体
WO2024018687A1 (ja) * 2022-07-22 2024-01-25 株式会社日立製作所 射出成形品及び射出成形品の製造方法
WO2024089807A1 (ja) * 2022-10-26 2024-05-02 株式会社ジェイテクト 複合材の成形金型及び製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019171575A (ja) * 2018-03-27 2019-10-10 パナソニックIpマネジメント株式会社 繊維強化樹脂成形体
JP2020055252A (ja) * 2018-10-03 2020-04-09 キヤノン株式会社 樹脂部品、樹脂部品の製造方法、鏡筒部品、および光学機器
JP7134820B2 (ja) 2018-10-03 2022-09-12 キヤノン株式会社 樹脂部品、樹脂部品の製造方法、機器、および光学機器
CN112208172A (zh) * 2019-07-12 2021-01-12 大赛璐美华株式会社 复合成型体及其制造方法
JP2021120194A (ja) * 2020-01-30 2021-08-19 オムロン株式会社 複合成形体
JP7404899B2 (ja) 2020-01-30 2023-12-26 オムロン株式会社 複合成形体
WO2024018687A1 (ja) * 2022-07-22 2024-01-25 株式会社日立製作所 射出成形品及び射出成形品の製造方法
WO2024089807A1 (ja) * 2022-10-26 2024-05-02 株式会社ジェイテクト 複合材の成形金型及び製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016210080A (ja) 成形体およびその製造方法
JP6432615B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形用複合材及び繊維強化プラスチック成形体
JP5915780B2 (ja) 繊維強化熱可塑性プラスチックを用いた積層基材
KR101787627B1 (ko) 열가소성 프리프레그 및 적층체
KR101643114B1 (ko) 적층 기재 및 그의 제조 방법
CA2775053A1 (en) Thermoplastic composites and methods of making and using same
JP2014004797A (ja) 成形用複合材及びその製造方法
JP2020062893A (ja) 繊維強化樹脂成形品および繊維強化樹脂成形品の製造方法
JP2013208725A (ja) 炭素繊維強化熱可塑性樹脂積層体及びその製造法
JP2015063018A (ja) ポリオレフィン系積層シート及びその製造方法
JP5909062B2 (ja) 賦形成形方法
JP2015166130A (ja) 繊維強化プラスチックの製造方法
CN111886119A (zh) 纤维增强树脂的制造方法
JP2012213946A (ja) 成形品の製造方法および成形品
CN107002365B (zh) 碳纤维毡、坯料、片材料和成型品
JP6305714B2 (ja) 熱可塑性積層シート及びその製造方法
JP6093131B2 (ja) プレス成形用熱可塑性樹脂系繊維強化複合材料の製造方法
JP5809484B2 (ja) 賦形成形方法
JP5712038B2 (ja) 賦形成形方法
TW202019707A (zh) 強化纖維帶材料及其製造方法、使用強化纖維帶材料之強化纖維積層體及纖維強化樹脂成形體
JP2017164970A (ja) 繊維強化複合体およびその製造方法
JP6131779B2 (ja) 熱可塑性プリプレグ及び熱可塑性プリプレグの製造方法
JP5762694B2 (ja) 賦形成形方法及び繊維強化樹脂成形品
JP2016190355A (ja) 積層基材
US20240059031A1 (en) Prepreg laminate, composite structure, and method for manufacturing composite structure