JP2014113713A - 繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシート及びその製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートによれば、成形時の流動性に優れ、かつ耐熱性の優れた等方性の成形品を得ることが可能となる繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートを得ることができる。
【解決手段】 熱可塑性樹脂と強化繊維とを含むチョップドストランド・プリプレグからなる繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、チョップドストランド・プリプレグ(A)を10〜70質量%と、チョップドストランド・プリプレグ(B)を30〜90質量%を含み、チョップドストランド・プリプレグ(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、異なる熱可塑性樹脂である繊維強化熱可塑性樹脂シートおよびその製造方法により達成する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂と繊維からなるチョップドストランド・プリプレグを用いた、繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシート及びその製造方法に関する。
近年、熱可塑性樹脂などのマトリックス樹脂を炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等により強化した熱可塑性樹脂材料が、種々の分野・用途に広く利用されている。そのような繊維強化熱可塑性樹脂材料で形成されるシート等の成形体には、熱可塑性樹脂含浸繊維チョップドストランド・プリプレグ(以下、単にチョップドストランド・プリプレグと記す)を用いたものがある。チョップドストランド・プリプレグとは、マトリックスとする熱可塑性樹脂中に、ストランド(繊維束)が一方向に配列している状態で繊維が存在する熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグ(以下、単にプリプレグとも記す)を、例えば25〜50mm程度の繊維長に切断した小片をいう。このチョップドストランド・プリプレグを積層させて加熱・加圧(ホットスタンピング)成形すると、成形時の流動性が良好となるため、種々の複雑な形状に成形することができる。また、成形時にチョップドストランド・プリプレグを繊維方向がランダムになるように積層することにより、そのシートの物性について等方性を付与することができる。そのため、チョップドストランド・プリプレグを用いた繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートは好適な材料とされている。これまでにシートの強度や弾性率の向上を企図して、チョップドストランド・プリプレグの繊維重量含有率(Wf)や繊維長を調整したガラス繊維強化熱可塑性樹脂シート(特許文献1、2)や、チョップドストランド・プリプレグの繊維体積含有率(Vf)、繊維長、厚みを調整した炭素繊維強化熱可塑性樹脂シート(特許文献3、4)が開示されている。
このようなランダムシートに用いられるマトリックス樹脂としては成形性、取扱性、得られる成形品の力学特性に優れた成形材料が要求されるようになり、また工業的にもより高い経済性、生産性が必要になってきた。例えば、繊維強化複合材料により軽量性・経済性が求められるようになり、マトリックス樹脂には軽量なオレフィン系樹脂が使用されることが多くなってきた。ポリオレフィン樹脂を上記ランダムシートに用いることにより、成形性・流動性が良好で軽量なランダムシートを得ることが可能となっている。しかしながら、オレフィン系樹脂は十分な耐熱性を持ち合わせていないため、熱熱性が求められる用途への展開は不十分であった。
特開平7−164439号公報 特開平9−155862号公報 特許第4789940号 特開2007−262360号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、成形時の流動性と耐熱性が両立した等方性の繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートを提供することを課題とする。
本発明は、熱可塑性樹脂と強化繊維とを含むチョップドストランド・プリプレグからなる繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、
チョップドストランド・プリプレグ(A)を10〜70質量%と、チョップドストランド・プリプレグ(B)を30〜90質量%を含み、
チョップドストランド・プリプレグ(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、異なる熱可塑性樹脂である繊維強化熱可塑性樹脂シートである。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートによれば、成形時の流動性に優れ、かつ耐熱性の優れた等方性の成形品を得ることが可能となる繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートを得ることができる。
本発明は、熱可塑性樹脂と強化繊維とを含むチョップドストランド・プリプレグからなる繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、チョップドストランド・プリプレグ(A)を10〜70質量%と、チョップドストランド・プリプレグ(B)を30〜90質量%を含み、チョップドストランド・プリプレグ(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、異なる熱可塑性樹脂である繊維強化熱可塑性樹脂シートである。
(チョップドストランド・プリプレグ)
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いることができるチョップドストランド・プリプレグとしては、熱可塑性樹脂をマトリックス樹脂とし、その樹脂中にストランド(繊維束)が一方向に配列している状態で強化繊維が存在する小片をいう。通常は、チョップドストランド・プリプレグは、少なくとも2層の熱可塑性樹脂からなる層と、その層の間に強化繊維のストランドからなる層とを有し、該ストランドに前記熱可塑性樹脂が含浸している態様である。
チョップドストランド・プリプレグに含まれる強化繊維の繊維軸方向の代表長さは1〜100mmであり、好ましくは5〜50mmであり、さらに好ましくは5〜20mmであることが好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いることができるチョップドストランド・プリプレグは、繊維軸直角方向の長さは1〜100mmであり、好ましくは5〜50mmであり、さらに好ましくは10〜30mmであることが好ましい。繊維軸直角方向の長さは、繊維軸方向の代表長さと同じか大きいことが好ましい。チョップドストランド・プリプレグにおける繊維軸直角方向の長さは、繊維軸方向の代表長さの大小関係をこのようにすることにより、シート成形時の流動性をより上げることができる。
チョップドストランド・プリプレグの形状は、特に制限されるものではなく、多角形のものや、辺の一部に曲線を有するものであってもよいが、とりわけ長方形であることが、製造が簡便であり効率が良いことから好ましい。この場合、長方形の一方の辺が繊維軸方向と平行で、他方の辺が繊維軸方向と直角であることがより好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートでは、異なる熱可塑性樹脂を含む2種類以上のチョップドストランド・プリプレグを混用することにより、それぞれの熱可塑性樹脂が持つ物性をバランスよく発現することが可能となる。本発明において用いる少なくとも1種のチョップドストランド・プリプレグに用いる熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が45℃以上の樹脂を用いることが好ましく、更に好ましくはガラス転移温度が80℃以上の樹脂である。このような樹脂を用いることにより、ランダムシートにおいて耐熱性を付与できる。
(熱可塑性樹脂)
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いることができる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、芳香族ナイロン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ABS、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリエステルや、アクリロニトリルとスチレンの共重合体等を用いることができる。また、これらの混合物を用いてもよい。さらに、ナイロン6とナイロン66との共重合ナイロンのように共重合したものであってもよい。この中で、成形性と耐熱性の観点からポリアミドやポリカーボネートを用いることが好ましい。また、得たい成形品の要求特性に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、その他酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー、ゴム成分等を添加しておくこともできる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートにおいては、チョップドストランド・プリプレグのうち、少なくとも1種類はポリオレフィン樹脂からなるチョップドストランド・プリプレグを用いることが、成型性・流動性・耐薬品性が向上し、経済的にも優れたランダムシートが作製できるので好ましい。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートを構成するチョップドストランド・プリプレグに用いることができるポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、及びエチレン−プロピレン−ブテン共重合体から選ばれる少なくとも1種を主鎖としたものが挙げられる。これらの中でポリプロピレンを用いることが成型性などの観点から好ましい。また上記ポリオレフィンは酸変性されていることが好ましい。変性成分としてはフェノール、シラン、カルボン酸などが上げられるが、繊維との接着性を高める上ではカルボン酸であることが好ましい。これらのカルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられ、その無水物としては、ナジック酸(エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸)、無水マレイン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。この中で繊維との接着性を高める上では無水マレイン酸を用いることが好ましい。このように変性ポリオレフィンをチョップド・プリプレグに用いることにより、繊維との接着性だけでなく、チョップド・プリプレグ(A)との接着性も高めることが可能となり、ランダムシートの物性向上につながる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートを構成するチョップドストランド・プリプレグとしては、ガラス転移温度が45℃以上の熱可塑性樹脂を含むチョップドストランド・プリプレグ(A)とポリオレフィン樹脂を含むチョップド・プリプレグ(B)の割合を変化させることができる。好ましい割合としては、(A)10〜70質量%、(B)30〜90質量%である。(A)の割合が70質量%を超えると、より耐熱性は向上するものの、流動性などポリオレフィン樹脂の持つ特徴が失われ、好ましくない。また、(A)が10質量%より小さくなると、耐熱性向上にはならないため好ましくない。このような観点からより好ましい範囲は(A)10〜40質量%、(B)60〜90質量%である。
また、ガラス転移温度が45℃以上の樹脂を用いた複数種類のチョップド・プリプレグ(A)を上記割合の範囲内にて用いることが可能である。
更に、チョップド・プリプレグ(B)は、未変性のポリオレフィンを含むチョップド・プリプレグと変性したポリオレフィンを含むチョップド・プリプレグの両方を用いることができる。また、未変性ポリオレフィンと変性ポリオレフィンを混合した樹脂を用いたチョップド・プリプレグを用いることも可能である。比率に関しては、用いるチョップド・プリプレグの合計が上記範囲内であれば、特に限定されない。
本発明においてはチョップド・プリプレグ(A)、(B)に加えて、これらとは異なる熱可塑性樹脂を含むチョップド・プリプレグ(C)を用いることも可能である。チョップド・プリプレグ(C)に含まれる熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が45℃未満で、ポリオレフィン系樹脂ではない樹脂などが挙げられる。そのような樹脂としては、シリコーンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンなどが考えられる。
(耐熱性の評価)
耐熱性向上の指標としては例えば、25℃におけるランダムシートの曲げ物性Aと高温時におけるランダムシートの曲げ物性Bの比率(B/A×100)を物性保持率として表すことができる。ポリオレフィン樹脂を用いたランダムシートの場合、ポリオレフィン樹脂のガラス転移温度が室温以下と低い為、上記保持率が低くなり耐熱性が課題となる。そのため、ガラス転移温度が高い樹脂を用いたチョップド・プリプレグを、ポリオレフィン樹脂を用いたチョップド・プリプレグと共にランダムシートに用いることで、ポリオレフィンの持つ、優れた成型性・流動性等を損なうことなく、耐熱性を付与することが可能となる。本発明において好ましい物性保持率は0.5以上であり、より好ましくは0.6以上である。
(強化繊維)
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いることができる強化繊維としては、特に限定されないが、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維が挙げられる。望ましくはPAN系炭素繊維である。炭素繊維は、1種類のものを使用してもよいし、複数種類のものを使用してもかまわない。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂シートに用いることができる炭素繊維の繊維径は特に限定されないが、得られる繊維強化複合材料の樹脂の含浸性や力学特性と1〜20μmの範囲内であることが好ましく、5〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
(繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートの製造方法)
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートは、熱可塑性樹脂と強化繊維からなり、チョップドストランド・プリプレグを作製する工程と、前記チョップドストランド・プリプレグを前記繊維方向がランダムになるように積層して積層物を作製する工程と、前記積層物を加熱及び加圧してシートを成形する工程とによって製造することができる。
チョップドストランド・プリプレグの作製する工程は、はじめから所望の大きさに成形してもよいし、大きく成形したプリプレグのシートを裁断して所望の大きさの小片としてもよいが、後者のほうが製造効率の観点と繊維束の均一性の観点とから好ましい。
チョップドストランド・プリプレグは、例えば、直接溶融した熱可塑性樹脂に強化繊維のストランドを含浸させる方法、粉体状またはフィルム状の熱可塑性樹脂を溶融してこれに強化繊維のストランドを含浸させる方法など、周知の方法を適宜採用して製造することができる。
以下に、大きく成形したプリプレグのシートの製造方法及び、それからチョップドストランド・プリプレグを得る方法の一態様を説明するが、本発明はこれによって特に制限されるものではない。
まず、上述した熱可塑性樹脂の形態として例えば前述したフィルム状のものを二層分準備し、その二層の間に強化繊維束で構成される強化繊維シートを挟み込み、加熱及び加圧を行う工程を経て積層体とする。より具体的には、対を形成する熱可塑性樹脂フィルムを送り出す2つのロールから二層分のフィルムを送り出すとともに、強化繊維シートのロールから供給される強化繊維シートをその層間に挟み込ませ、熱可塑性樹脂フィルム−強化繊維シート−熱可塑性樹脂フィルムの三層構造、いわゆるサンドイッチ構造が構成された後に、加熱及び加圧する。加熱及び加圧する手段としては、公知のものを用いることができ、二個以上の熱ロールを利用したり、予熱装置と熱ロールの対を複数使用したりするなどの多段階の工程を要するものであってもよい。
上記加熱温度は、熱可塑性樹脂の種類にもよるが、通常、100〜400℃とする。一方、加圧時の圧力は、通常0.1〜10MPaとすることが好ましい。
上記のような操作を経ることで、強化繊維が一方向に配列している状態で、熱可塑性樹脂が含浸し、プリプレグとなる。
熱可塑性樹脂を含むプリプレグとしては、市販されているものを用いてもよい。厚さは、取り扱いやすく高強度を維持する観点から、通常、厚さは50〜500μmとすることが好ましい。引き続き、例えばペレタイザー、ギロチン方式、コダック方式等のカッターを利用して裁断し、チョップド・プリプレグを得ることができる。この際に、チョップド・プリプレグの大きさ、形状、繊維束の配向を上述のようにする。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートに用いることができるチョップド・プリプレグの繊維体積含有率(Vf)は、ランダムシートの破壊強度を大きくする観点から20〜50%であることが好ましく、より好ましくは40〜50%である。かかるVf値は、JIS K7075に基づき測定できる。また、本発明にかかるチョップド・プリプレグにおいて繊維重量含有率(Wf)は、ランダムシートの破壊強度を大きくする観点から、30〜60%であることが好ましい。かかるWf値は、JIS K7052に基づき測定できる。
本発明の繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートに用いることができるチョップド・プリプレグ(A)および(B)は複数種類作製することが好ましい。これらのチョップド・プリプレグはあらかじめ十分に混ぜておく事が好ましいが、混合方法は特に限定されない。
次工程では、得られたチョップドストランド・プリプレグを繊維方向がランダムになるように積層して積層物を作製する。繊維方向をランダムにすることにより、得られる積層物に等方性が付与される。繊維方向がランダムになるようにチョップド・プリプレグを積層させる方法としては、例えば、チョップド・プリプレグを高い位置から自然落下させて、ベルトコンベアー上を流れる容器や金型のダイに堆積させる方法や、落下経路にエアーを吹き込んで気流を生じさせる方法や、落下経路に邪魔板を取り付ける方法、蓄積したチョップド・プリプレグを攪拌した後にダイ上に配置する方法などを適宜採用できる。上記積層物においては、チョップド・プリプレグの積層数が2〜100層となることが好ましい。
次工程では、得られたチョップドストランド・プリプレグの積層物を加熱及び加圧(ホットスタンピング)してシートを成形する。この工程は、通常の装置、例えば加熱プレス機を用いて行うことができ、その際に用いるダイについては、所望の形状を有するものを用いることができる。ダイの材質についても、繊維強化熱可塑性樹脂シートのホットスタンピング成形で通常用いられるものを採用することができ、金属製のいわゆる金型を用いることができる。具体的に本工程は、例えば前記積層物を金型内に配置して、加熱及び加圧することにより行うことができる。
前記加熱においては、用いる熱可塑性樹脂のうち、成形温度の高いものに合わせることが好ましい。前記熱可塑性樹脂の種類にもよるが、通常100〜400℃、好ましくは150〜350℃で加熱する。前記加熱に先立って、予備加熱を行ってもよい。予備加熱については、前記プリプレグに用いられている熱可塑性樹脂の種類にもよるが、通常150〜400℃、好ましくは200〜380℃で加熱する。
前記加圧において積層物にかける圧力としては、好ましくは0.1〜10MPaであり、より好ましくは0.2〜2MPaである。この圧力については、プレス力をチョップド・プリプレグの積層物の初期面積で除した値とする。
上記加熱及び加圧する時間は、通常0.1〜30分間、好ましくは0.5〜10分間である。また、加熱及び加圧の後に設ける冷却時間は、通常0.5〜30分間である。上記ホットスタンピング成形を経た本発明にかかる繊維強化熱可塑性樹脂シートの厚さは、通常0.5〜10mmとなる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例においては、原材料として下記のものを用いた。
<PAN系炭素繊維:CF>
PAN系炭素繊維1:(三菱レイヨン社製、商品名:TR50S、単繊維繊度:0.67dtex、ストランド強度:4900MPa、ストランド弾性率:240GPa、真円度:0.99)。
<原料樹脂>
樹脂−1: 変性ポリプロピレン(三菱化学社製、モディック(登録商標)P958)
樹脂−2: プロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製、ノバテック(登録商標)PP SA06A)
樹脂−3: ナイロン6(宇部興産製、製品名:1013B)
樹脂−4: ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、ノバレックス(登録商標)M7020))
(製造例1)
<熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグの作製>
炭素繊維(三菱レイヨン社製、製品名:TR50S−15L−AD)からなる長繊維を一方向に配向した目付け98g/mの炭素繊維ストランドのシート状物の両面に、樹脂−1からなるフィルムを配置し、シート状物をフィルムで挟んだサンドイッチ状の積層体を得た。この積層体を260℃に加熱した金属ロールを通すことにより1MPaの圧力をかけて、フィルムをシート状物に溶融含浸させた。得られた熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグ1の厚さは0.11〜0.13mmであった。繊維体積含有率は47%であった。
(製造例2)
樹脂−2からなるフィルムを用いた以外は製造例1と同様の方法にて熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグ2を得た。得られた熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグ2の厚さは0.11〜0.13mmであった。繊維体積含有率は47%であった。
(製造例3)
樹脂−3からなるフィルムを用いた以外は製造例1と同様の方法にて熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグ3を得た。得られた熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグ3の厚さは0.11〜0.13mmであった。繊維体積含有率は47%であった。
(製造例4)
樹脂−4のフィルムを用いた以外は製造例1と同様の方法にて熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグ4を得た。得られた熱可塑性樹脂含浸繊維プリプレグ4の厚さは0.11〜0.13mmであった。繊維体積含有率は47%であった。
(製造例5)
<チョップド・プリプレグの作製>
製造例1から4で得られたプリプレグ1から4をそれぞれ、幅15mmで繊維方向にスリットした後、ロータリー式のカッターを用いて、繊維方向の長さ25mmにカットしてチョップド・プリプレグ1から4を得た。
(製造例5)
<ランダムシートの作製>
製造例1から4で得られたチョップド・プリプレグを各実施例、比較例に示した質量比で混合した後、120mm角の金型内に繊維方向がランダムになるように積層した。その金型を各実施例、比較例に示した温度にて加熱した小型加熱プレス(ミニテストプレスMP−2FH、東洋精機社製)に挟んで5分間予備加熱を行った後に、油圧2MPaでプレスし7分間保持した。その後30℃に保持した小型プレス(ミニテストプレス、東洋精機社製)に金型を挟み、油圧2MPaで5分間保持し、厚さ2mmの繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートを得た。なお、上記圧力は、プレス力をチョップドストランド・プリプレグの積層物の初期面積で除した値である。
<繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートの物性評価>
上記で得られた各繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートについて、流動性及び曲げ強度を評価した。
流動性の評価は、52mm角に切り出した厚み2mmのランダムシートを2枚重ね、あらかじめ230℃に加温したヒーター内(比較例4および5は260℃)で5分間保持し、その後すぐに145℃に加熱した小型プレス(ミニテストプレスMP−2FH、東洋精機社製)に移して挟み、油圧2MPaで30秒プレスした。そしてプレス前の厚みをプレス後の厚みで除した値を流動性の指標とし、2段階(○:2以上、×:2未満)で評価した。
曲げ強度の測定はJIS K7017に従い、各サンプルについて5点の測定数とした。
各サンプルについて25℃および80℃での物性評価を実施し、物性保持率は25℃におけるランダムシートの曲げ物性Aと高温時におけるランダムシートの曲げ物性Bの比率(B/A)として表した。物性保持率の指標は0.55以上を○、それ以下を×として評価した。
(実施例1)
チョップド・プリプレグ1を80質量%、チョップド・プリプレグ3を20質量%含むランダムシートを作製し、評価を実施した。その結果、流動性、物性保持率共に高いランダムシートを作製できた。
(実施例2)
チョップド・プリプレグ1を80質量%、チョップド・プリプレグ4を20質量%含むランダムシートを作製し、評価を実施した。その結果、流動性、物性保持率共に高いランダムシートを作製できた。
(比較例1)
チョップド・プリプレグ1を10質量%、チョップド・プリプレグ2を90質量%含むランダムシートを作製し、評価を実施した。その結果、流動性は良好であるが、物性保持率が低く耐熱性が不十分であった。
(比較例2)
チョップド・プリプレグ1を100質量%のランダムシートを作製し、評価を実施した。その結果、流動性は良好であるが、物性保持率が低く耐熱性が不十分であった。
(比較例3)
チョップド・プリプレグ1を95質量%、チョップド・プリプレグ3を5質量%含むランダムシートを作製し、評価を実施した。その結果、流動性は良好であるが、物性保持率が低く耐熱性が不十分であった。
(比較例4)
チョップド・プリプレグ3が100質量%であるランダムシートを作製し、評価を実施した。その結果、物性保持率は高いものの、流動性が不十分であった。
(比較例5)
チョップド・プリプレグ4が100質量%であるランダムシートを作製し、評価を実施した。その結果、物性保持率は高いものの、流動性が不十分であった。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂と強化繊維とを含むチョップドストランド・プリプレグからなる繊維強化熱可塑性樹脂シートであって、
    チョップドストランド・プリプレグ(A)を10〜70質量%と、チョップドストランド・プリプレグ(B)を30〜90質量%を含み、
    チョップドストランド・プリプレグ(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、異なる熱可塑性樹脂である繊維強化熱可塑性樹脂シート。
  2. さらにチョップドストランド・プリプレグ(A)、(B)に含まれる熱可塑性樹脂とは異なる熱可塑性樹脂を含むチョップドストランド・プリプレグ(C)を含む請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
  3. 前記チョップドストランド・プリプレグ(A)に含まれる熱可塑性樹脂が、ガラス転移温度が45℃以上の熱可塑性樹脂である請求項1または2いずれか一項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
  4. 前記チョップドストランド・プリプレグ(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン樹脂である請求項1または2のいずれか一項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
  5. 前記チョップドストランド・プリプレグ(B)に含まれる熱可塑性樹脂が、変性ポリオレフィン樹脂を含む請求項4記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
  6. 前記強化繊維が炭素繊維である請求項1から5のいずれか一項に記載の繊維強化熱可塑性樹脂シート。
  7. 繊維強化熱可塑性樹脂ランダムシートの製造方法であって、
    熱可塑性樹脂と繊維からなり、チョップドストランド・プリプレグ(A)を作製する工程と、チョップドストランド・プリプレグ(B)を作製する工程と、チョップドストランド・プリプレグ(C)を作製する工程と、
    前記チョップドストランド・プリプレグを前記繊維方向がランダムになるように積層して積層物を作製する工程と、
    前記積層物を加熱及び加圧してシートを成形する工程とを含む方法。
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