JP6597131B2 - 長繊維強化複合材料の製造方法および長繊維強化複合材料 - Google Patents

長繊維強化複合材料の製造方法および長繊維強化複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、長繊維強化複合材料の製造方法および長繊維強化複合材料に関する。
長繊維強化複合材料は、長繊維材料とマトリックス樹脂を組み合わせたもので、軽量で剛性が高いことから、各種産業に、広く用いられている。マトリック ス樹脂としては、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂のいずれもが用いられている。ここで、マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を利用したものについては、特許文献1〜3に記載がある。
特開昭64−81826号公報 特開昭57−120409号公報 特開2011−102360号公報
ここで、ポリアミド樹脂は、靱性・引っ張り強度に優れ、各種プラスチックの中でも融点が高く、耐薬品性や耐衝撃性等に強く、かつ、強化繊維によって強化可能であることから、長繊維強化複合材料として注目されている。しかしながら、マトリックス樹脂として、ポリアミド樹脂を用いた長繊維強化複合材料を用いた成形品は、近年、より高い機械的強度が求められる傾向にある。
本発明は、かかる課題を解決することを目的としたものであって、より高い機械的強度を有する成形品を提供可能な長繊維強化複合材料の製造方法および長繊維強化複合材料を提供することを目的とする。
上記課題のもと、所定のポリアミド樹脂と、長繊維を、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物を表面に有する金属箔で挟んだ状態で、熱プレスして長繊維強化複合材料を製造することにより、さらに高い機械的強度を有する成形品を達成可能であることを見出した。具体的には、下記<1>により、好ましくは<2>〜<14>により、上記課題を解決しうることを見出した。
<1>ポリアミド樹脂と長繊維を、第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで熱プレスし、前記熱プレス後、第1の金属箔および第2の金属箔を剥離することを含み、
前記第1の金属箔は、前記ポリアミド樹脂または長繊維と接する側の表面に、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物を有し、前記ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、キシリレンジアミンに由来する、長繊維強化複合材料の製造方法。
<2>前記ケイ素原子を含む化合物は、シロキサン結合を含む、<1>に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<3>前記熱プレスは、270〜320℃で行う、<1>または<2>に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<4>前記第2の金属箔の表面に、さらに、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物を有する、<1>〜<3>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<5>前記熱プレスを、1〜6MPaの圧力で10秒〜3分間行う、<1>〜<4>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<6>前記熱プレスは、ポリアミド樹脂フィルムと、シート状の長繊維を、前記第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで行う、<1>〜<5>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<7>前記熱プレスは、2枚以上のポリアミド樹脂フィルムと、2枚以上のシート状の長繊維を交互に積層し、前記第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで行う、<1>〜<5>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<8>前記熱プレスは、ダブルベルトプレス機を用いて行う、<1>〜<7>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<9>前記長繊維強化複合材料の厚さが、30μm〜3mmである、<1>〜<8>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<10>前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、<1>〜<9>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<11>前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、アジピン酸およびセバシン酸の少なくとも一方に由来する、<1>〜<10>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<12>前記長繊維は、炭素繊維およびガラス繊維の少なくとも1種である、<1>〜<11>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
<13>ポリアミド樹脂が長繊維に含浸している長繊維強化複合材料であって、前記長繊維強化複合材料の表面に、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物からなるエポキシ樹脂層を有し、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、キシリレンジアミンに由来し、エポキシ樹脂層の厚さが、5μm以下である、長繊維強化複合材料。
<14><1>〜<12>のいずれかに記載の長繊維強化複合材料の製造方法にて、長繊維強化複合材料を製造し、前記長繊維強化複合材料を複数枚積層して、加熱加工することを含む、成形品の製造方法。
本発明により、より高い機械的強度を有する成形品を提供可能な長繊維強化複合材料の製造方法および長繊維強化複合材料を提供可能になった。
ダブルベルトプレス機により、長繊維強化複合材料を製造する場合の概略図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の長繊維強化複合材料の製造方法は、ポリアミド樹脂と長繊維を、第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで熱プレスし、前記熱プレス後、第1の金属箔および第2の金属箔を剥離することを含み、前記第1の金属箔は、前記ポリアミド樹脂または長繊維と接する側の表面に、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物(以下、「エポキシ樹脂組成物」ということがある)を有し、前記ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、キシリレンジアミンに由来する(以下、「キシリレン系ポリアミド樹脂という」)ことを特徴とする。
このような製造方法によって、長繊維強化複合材料を製造することにより、より高い機械的強度を有する成形品を提供可能な長繊維強化複合材料が得られる。特に、曲げ弾性率および曲げ強度に優れた成形品を提供可能な長繊維強化複合材料が得られる。このメカニズムは、推定であるが、エポキシ樹脂組成物が熱プレス時に、キシリレン系ポリアミド樹脂と表層部分のみで混合することに寄与していると考えられる。また、本発明における長繊維強化複合材料は、複数枚を積層して成形加工されることが多いが、この場合にも、エポキシ樹脂組成物がそれぞれの長繊維強化複合材料間の層間剥離を抑え、成形品の機械的強度を向上させると推定される。シロキサン結合を含む化合物などの、ケイ素原子を含む化合物は、一般的に離型性があり、層間剥離を引き起こしやすいと考えられていた。しかしながら、本発明では、樹脂として、キシリレン系ポリアミド樹脂を採用することにより、驚くべきことに、高い機械的強度を達成したものである。
特に、後述する実施例で述べるように、代表的なポリアミド樹脂であるポリアミド6を用いても、同様の傾向が認められないことから、本発明の効果は驚くべきものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
<熱プレス>
本発明の製造方法は、キシリレン系ポリアミド樹脂と長繊維を、第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで熱プレスすることを含む。熱プレスにより、キシリレン系ポリアミド樹脂が長繊維中に含浸する。熱プレスは、270〜320℃で行うことが好ましく、280〜310℃で行うことがより好ましい。このような範囲とすることにより、キシリレン系ポリアミド樹脂が適切に溶融し、長繊維中への含浸性が高まると共に、得られる長繊維強化複合材料の黄色化をより効果的に抑制できる。
熱プレスの圧力は、1〜6MPaが好ましく、2〜5MPaがより好ましく、3〜5MPaがさらに好ましい。このような範囲とすることにより、長繊維のキシリレン系ポリアミド樹脂への含浸が促進され、得られる長繊維強化複合材料中のボイドをより減少させることが可能となる。
また、熱プレスの時間は、10秒〜3分間が好ましく、30秒〜2分30秒間がより好ましい。このような範囲とすることにより、得られる長繊維強化複合材料の黄色化を抑えつつ、キシリレン系ポリアミド樹脂を適切に含浸させることができる。
熱プレスは、キシリレン系ポリアミド樹脂と長繊維を、第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで行う。
キシリレン系ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂フィルムが好ましい。ポリアミド樹脂フィルムの厚さとしては、例えば、20〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。フィルム以外には、ペレットや粉状・繊維状のキシリレン系ポリアミド樹脂などを用いてもよい。
長繊維も、その形態等を特に定めるものではないが、シート状の長繊維が好ましい。
キシリレン系ポリアミド樹脂や長繊維として、フィルムやシート状のものを用いる場合、熱プレスは、複数枚のポリアミド樹脂フィルムとシート状の長繊維を、交互に積層した状態で、第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで行うことが好ましい。具体的には、熱プレスは、2枚以上のポリアミド樹脂フィルムと、2枚以上のシート状の長繊維を交互に積層し、第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで行うことが例示され、より好ましくは、熱プレスは、3枚以上のポリアミド樹脂フィルムと2枚以上のシート状の長繊維を交互に積層した状態で、第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで行うことが挙げられる。ポリアミド樹脂フィルムとシート状の長繊維の積層枚数としては、合計で2〜13枚が好ましく、2〜11枚がより好ましく、3〜9枚がさらに好ましい。
本発明では、ポリアミド樹脂フィルムが、第1の金属箔に接するように積層されることが好ましく、第1の金属箔および第2の金属箔の両方に、ポリアミド樹脂フィルムが接するように積層されることがさらに好ましい。このような構成とすることにより、エポキシ樹脂組成物とキシリレン系ポリアミド樹脂が混合しやすくなり、本発明の効果がより効果的に発揮される。
熱プレスは、ダブルベルトプレス機を用いて行うことが好ましい。ダブルベルトプレス機を用いることにより、長繊維複合強化樹脂材料を連続的にかつ、面厚で均一に加温及び加圧することができる。図1は、ダブルベルトプレス機の構成の概略図を示したものである。図1に示す実施形態では、加熱加圧ユニット1を有するベルトタイプのプレス機の間に、第1の金属箔2と、ポリアミド樹脂フィルム3、シート状の長繊維4、ポリアミド樹脂3、第2の金属箔5を搬送させ、加熱しながらプレスし、その後、冷却加熱ユニット6でプレス(冷却プレス)しながら冷却している。すなわち、本発明の製造方法は、熱プレスの後、冷却することが好ましく、冷却プレスにより冷却することがより好ましい。冷却プレスをすることにより、熱プレスした材料が膨らんで強度が落ちることをより効果的に抑制することが可能になる。冷却プレスの温度は、(熱プレスの温度−200℃)〜(熱プレスの温度−100℃)が好ましい。冷却プレスの圧力は、1〜6MPaが好ましく、2〜5MPaがより好ましく、3〜5MPaがさらに好ましい。冷却プレスの時間としては、5秒〜1.5分が好ましい。熱プレスの後、そのままの圧力で冷却プレスすることが一実施形態として例示される。
再び図1に戻り、図1では、2枚のポリアミド樹脂フィルムと1枚のシート状の長繊維を積層している。さらに、ポリアミド樹脂フィルムの枚数やシート状の長繊維の枚数を増やしてもよい。
本実施形態において、ポリアミド樹脂と長繊維を含む材料の搬送速度は、0.5〜5m/分であることが好ましく、0.8〜2m/分であることがより好ましい。加熱温度および加熱時間は、上記と同様であり、好ましい範囲も同様である。尚、熱プレスは、加熱と加圧を完全に同時に行う場合の他、加熱と加圧の一部が同時に行われる場合も含む趣旨である。
熱プレス時に与える複合材料の目付あたりの熱量は加熱時間と温度、圧力で調整することができる。その熱量は、500(ΔT・t・m2/g)以下であることが好ましく、400(ΔT・t・m2/g)以下であることがより好ましく、300(ΔT・t・m2/g)以下であることがさらに好ましい。このような範囲にすることで得られる長繊維強化複合材料の黄色化をより効果的に抑えることができる。
ここで複合材料の目付あたりの熱量とは、材料が成形開始から終わりまでの温度変化(ΔT)を時間(t)で乗じた値を、目付(g/m2)で除したものである。複合材料の温度変化は、温度センサーをダブルベルトプレス機に通して測定した実測値に基づく。
本発明ではさらに、通常は、熱プレス後、第1の金属箔および第2の金属箔を剥離することを含む。金属箔を剥離後、芯材に巻き取って巻き取り品とすることが好ましい。
<キシリレン系ポリアミド樹脂>
本発明で用いるキシリレン系ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、キシリレンジアミンに由来することを特徴とする。すなわち、ジアミンの70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸と重縮合されたキシリレン系ポリアミド樹脂である。
ジアミン由来の構成単位に占めるキシリレンジアミンに由来する構成単位は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましい。上限については、特に定めるものではないが、例えば、100モル%とすることもできる。また、ジカルボン酸由来の構成単位の好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、一層好ましくは90モル%以上、より一層好ましくは95モル%以上が、炭素原子数が好ましくは4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来することがさらに好ましい。上限については、特に定めるものではないが、例えば、100モル%とすることもできる。
キシリレンジアミンはメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミンの少なくとも1種であることが好ましい。
キシリレン系ポリアミド樹脂の原料ジアミン成分として用いることが出来るメタキシリレンジアミンおよびパラキシリレンジアミン以外のジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン等を例示することができ、1種または2種以上を混合して使用できる。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合、その割合は、ジアミン由来の構成単位の50モル%以下であり、30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%である。
ポリアミド樹脂の原料ジカルボン酸成分として用いるのに好ましい炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸が例示でき、1種又は2種以上を混合して使用できるが、これらの中でもポリアミド樹脂の融点が成形加工するのに適切な範囲となることから、アジピン酸またはセバシン酸が好ましい。
上記炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、オルソフタル酸等のフタル酸化合物、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸といった異性体等のナフタレンジカルボン酸等を例示することができ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
ジカルボン酸成分として、炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いる場合は、成形加工性、バリア性の点から、テレフタル酸、イソフタル酸を用いることが好ましい。テレフタル酸、イソフタル酸を用いる場合、その割合は、好ましくはジカルボン酸由来の構成単位の30モル%以下であり、より好ましくは1〜30モル%、特に好ましくは5〜20モル%の範囲である。
さらに、ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、キシリレン系ポリアミド樹脂を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として使用できる。
キシリレン系ポリアミド樹脂として、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂、ポリメタキシリレンセバカミド樹脂、ポリパラキシリレンセバカミド樹脂、及び、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合キシリレンジアミンをセバシン酸と重縮合してなるポリメタキシリレン/パラキシリレン混合セバカミド樹脂が好ましく、より好ましいものは、ポリメタキシリレンセバカミド樹脂、ポリパラキシリレンセバカミド樹脂、及び、メタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの混合キシリレンジアミンをセバシン酸と重縮合してなるポリメタキシリレン/パラキシリレン混合セバカミド樹脂である。これらのポリアミド樹脂は成形加工性が特に良好となる傾向にある。
キシリレン系ポリアミド樹脂のガラス転移点は、40〜180℃であることが好ましく、60〜130℃であることがより好ましい。
キシリレン系ポリアミド樹脂の数平均分子量は、5000〜45000であることが好ましく、10000〜25000であることがより好ましい。
キシリレン系ポリアミド樹脂の融点は、190〜340℃であることが好ましく、200〜340℃であることがより好ましく、200〜320℃であることがさらに好ましい。
融点とは、DSC(示差走査熱量測定)法により観測される昇温時の吸熱ピークのピークトップの温度である。また、ガラス転移点とは、試料を一度加熱溶融させ熱履歴による結晶性への影響をなくした後、再度昇温して測定されるガラス転移点をいう。測定には、例えば、島津製作所社(SHIMADZU CORPORATION)製「DSC−60」を用い、試料量は約5mgとし、雰囲気ガスとしては窒素を30ml/分で流し、昇温速度は10℃/分の条件で室温から予想される融点以上の温度まで加熱し溶融させた際に観測される吸熱ピークのピークトップの温度から融点を求めることができる。次いで、溶融したポリアミド樹脂を、ドライアイスで急冷し、10℃/分の速度で融点以上の温度まで再度昇温し、ガラス転移点を求めることができる。
キシリレン系ポリアミド樹脂の製造方法は、特開2015−098669号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
さらに、本発明の目的・効果を損なわない範囲で、本発明で用いるキシリレン系ポリアミド樹脂には、他のポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂以外の樹脂やエラストマー、酸化防止剤、熱安定剤等の安定剤、耐加水分解性改良剤、耐候安定剤、艶消剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、分散剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤、着色剤、離型剤等の添加剤等を加えることができる。これらの詳細は、特許第4894982号公報の段落番号0130〜0155の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
他のポリアミド樹脂の例としては、ラクタムの重縮合物、ジアミンと炭素数8以下の脂肪族ジカルボン酸との重縮合物、ジアミンと、芳香族ジカルボン酸との重縮合物、ω−アミノカルボン酸の重縮合物等の各種ポリアミド樹脂、または、これらの共重合ポリアミド樹脂が例示される。
本発明で用いるキシリレン系ポリアミド樹脂に、他のポリアミド樹脂を配合する場合、その含有量は、ポリアミド樹脂全量の10〜50重量%が好ましく、10〜20重量%が好ましい。
一方、本発明で用いるキシリレン系ポリアミド樹脂は、他のポリアミド樹脂を実質的に配合しない構成としてもよく、例えば、他のポリアミド樹脂を、ポリアミド樹脂全量の5重量%以下とすることもできる。
ポリアミド樹脂以外の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。これらの成分の配合量は、キシリレン系ポリアミド樹脂の5重量%以下であることが好ましい。
<長繊維>
本発明で用いる長繊維は、その形態等特にさだめるものではなく、キシリレン系ポリアミド樹脂と共に熱プレス可能なものであればよい。長繊維とは、長さが0.5cm以上、好ましくは1m〜10000mの繊維をいう。
長繊維の実施形態の一例としては、シート状の長繊維が例示される。
シート状の長繊維の一例として、ロービング状の長繊維を開繊したものが挙げられる。本発明におけるロービング状の長繊維は、ロービング状の長繊維を開繊したものを同一方向に複数並列して引き揃えたものであり、等間隔に隙間なく配列していることが好ましい。用いられる長繊維の繊度は、そのフィラメント数3000〜60000であることが好ましく、6000〜50000であることがより好ましく、12000〜24000であることがさらに好ましい。
また、シート状の長繊維の他の一例として、長繊維が一方向または二方向以上に分散・配列等してシートを形成しているものが挙げられる。具体的には、長繊維がシート面内で、不織布のようにランダムに分散しているものや、織物や編み物のように規則的に配列しているものが例示される。
シート状の長繊維は、その目付が10〜1000g/m2であることが好ましく、50〜500g/m2であることがより好ましく、60〜400g/m2であることがさらに好ましく、60〜150g/m2が特に好ましい。また、長繊維は、単層であってもよいし、積層構造であってもよい。
本発明では、ロービング状の長繊維を開繊したもの、および、織物や編み物のように規則的に配列しているものが好ましく、ロービング状の長繊維を開繊したものがさらに好ましい。
シート状の長繊維の厚さは、0.1mm〜5mmとすることが好ましく、0.1〜3mmがより好ましい。
長繊維としては、植物繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、アラミド繊維等が例示され、炭素繊維およびガラス繊維から選択されることが好ましい。炭素繊維はポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維を好ましく用いることができる。また、リグニンやセルロースなど、植物由来原料の炭素繊維も用いることができる。
本発明の一実施形態として、複数枚のシート状の繊維を用いる場合、シート状の炭素繊維とシート状のガラス繊維を併用することが挙げられる。例えば、ポリアミド樹脂フィルム/シート状の炭素繊維/ポリアミド樹脂フィルム/シート状のガラス繊維/ポリアミド樹脂フィルム/シート状の炭素繊維/ポリアミド樹脂フィルムの順に積層して熱プレスすることが例示される。このように、表層に近い層にシート状の炭素繊維を用い、内側にシート状のガラス繊維を用いることにより、高い強度を維持しつつ生産コストを低減することができる。
また、本発明で用いる長繊維は、表面処理剤または集束剤で処理されていてもよい。
本発明では、長繊維強化複合材料のうち、30体積%以上が長繊維となるように調整されることが好ましく、35〜60体積%が長繊維となるように調整されることがさらに好ましい。
<第1の金属箔と第2の金属箔>
第1の金属箔と第2の金属箔は、ポリアミド樹脂と長繊維を熱プレスするのに用いられる。第1の金属箔は、前記ポリアミド樹脂および長繊維の少なくとも一方と接する側の表面に、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物を有する。このような組成のエポキシ樹脂組成物を用い、熱プレスすることにより、前記組成物等とポリアミド樹脂の表層での混合をより促進し、組成物とポリアミド樹脂の高い密着性を達成することができる。
金属箔の表面にエポキシ樹脂組成物を有するとは、例えば、エポキシ樹脂組成物が薄層状に、金属箔の表面に存在していることをいう。
尚、上述の図1では、第1の金属箔のダブルベルトプレス機の加熱加圧ユニットと接する側と反対側の表面にエポキシ樹脂組成物を有する。
本発明では、第2の金属箔も、その表面に、さらに、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物を有することが好ましい。このような構成とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。第2の金属箔が表面にエポキシ樹脂組成物を有さない場合、第2の金属箔のうち、ポリアミド樹脂と接触する側の表面に、離型剤等を有することが好ましい。このような構成とすることにより、ポリアミド樹脂と第2の金属箔の剥離を容易にすることができる。
第1の金属箔および第2の金属箔は、それぞれ、アルミ箔、ステンレス箔、マグネシウム箔、チタン箔、ニッケル箔、亜鉛箔、銅箔等が挙げられる。本発明で用いる金属箔は、熱収縮率が小さいものが好ましい。
第1の金属箔および第2の金属箔の厚さは、特に定めるものではないが、通常10〜100μmであり、好ましくは10〜50μmである。
<<エポキシ樹脂組成物>>
本発明で用いるエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種のみでも、2種以上であってもよい。
エポキシ樹脂の数平均分子量は2000〜3000であることが好ましい。
本発明で用いるエポキシ樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の量は、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましい。
ケイ素原子を含む化合物は、シロキサン結合を含むことが好ましい。ケイ素原子を含む化合物は、低分子であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよいが、ポリマー(シリコーン樹脂)が好ましい。また、ケイ素原子を含む化合物中のケイ素原子の割合は、5〜50重量%であることが好ましい。シリコーン樹脂は、変性剤で変性された、いわゆる、変性シリコーン樹脂であってもよい。
シリコーン樹脂としては、メチルフェニルポリシロキサン樹脂、メチルハイドロポリシロキサン樹脂、ジメチルポリシロキサン樹脂、変性ジメチルポリシロキサン樹脂、これらの混合物等が挙げられる。ここで、変性とは、例えば、エポキシ変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、フッ素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシポリエーテル変性、ポリエーテル変性、アルキル高級アルコールエステル変性、ポリエステル変性、アシロキシアルキル変性、ハロゲン化アルキルアシロキシアルキル変性、ハロゲン化アルキル変性、アミノグリコール変性、メルカプト変性、水酸基含有ポリエステル変性等が挙げられる。
本発明で用いるエポキシ樹脂組成物における、ケイ素原子を含む化合物の量は、エポキシ樹脂100重量部に対し、1〜30重量部含み、1〜10重量部がより好ましい。
本発明で用いるエポキシ樹脂組成物には、上記の他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、エポキシ樹脂の硬化剤が例示される。
硬化剤としては、メラミン樹脂、イミダゾール類、BF3錯体、3級アミン類、トリフェニルホスフィン等が挙げられ、メラミン樹脂が好ましい。
メラミン樹脂としては、メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチル化尿素メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、ブチルアルコール変性メラミン樹脂等が挙げられる。メラミン樹脂の数平均分子量は500〜1000であることが好ましい。
メラミン樹脂を含む場合、エポキシ樹脂組成物におけるその配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対し、30〜70重量部であることが好ましく、40〜60重量部であることがより好ましい。
本発明で用いるエポキシ樹脂組成物は、実質的にフッ素原子を含まないことが好ましい。実質的にフッ素原子を含まないとは、エポキシ樹脂組成物中のフッ素原子の割合が、例えば、0.1重量%以下であることをいい、さらには0.01重量%以下であることをいう。このような構成とすることにより、本発明の製造方法で得られる長繊維強化複合材料を積層して成形する場合に、層間剥離をより引き起こしにくくできる。
また、本発明で用いるエポキシ樹脂組成物は、キシリレン系ポリアミド樹脂よりも第1の金属箔との結合性に優れる基を実質的に含まないことが好ましい。このような構成とすることにより、本発明で用いるエポキシ樹脂組成物を、キシリレン系ポリアミド樹脂の表面に容易に結合させることができる。
<長繊維強化複合材料>
本発明では、また、上記長繊維強化複合材料の製造方法によって製造された長繊維強化複合材料を開示する。
また、本発明の長繊維強化複合材料は、ポリアミド樹脂が長繊維に含浸している長繊維強化複合材料であって、前記長繊維強化複合材料の表面に、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物からなるエポキシ樹脂層を有し、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、キシリレンジアミンに由来し、エポキシ樹脂層の厚さが、5μm以下である、長繊維強化複合材料である。下限値は、エポキシ樹脂が存在していれば、すなわち、0μmを超えればよく、例えば、1nm以上とすることができる。また、完全に層状をしている必要はなく、長繊維強化複合材料の表面にまだらにエポキシ樹脂が存在している状態でもよい。
本発明の長繊維強化複合材料は厚さが、30μm〜3mmであることが好ましく、50μm〜1mmであることがより好ましく、50μm〜300μmがさらに好ましい。
<長繊維強化複合材料の用途>
本発明の長繊維強化複合材料は、プリプレグとして好ましく用いることができる。また、本発明の長繊維強化複合材料は、そのまま加工成形してもよいし、何層かを積層して、加工成形してもよい。
一例として、本発明の長繊維強化複合材料の製造方法にて、長繊維強化複合材料を製造し、前記長繊維強化複合材料を複数枚積層して、加熱加工することを含む、成形品の製造方法、ならびに、前記成形品の製造方法により得られる成形品が例示される。このような成形品の最薄肉部の厚さとしては、用途等に応じて適宜定めることができるが、例えば、1mm〜10mmとすることができる。
本発明の長繊維強化複合材料の利用分野については特に定めるものではなく、自動車等輸送機部品、一般機械部品、精密機械部品、電子・電気機器部品、OA機器部品、建材・住設関連部品、医療装置、レジャースポーツ用品、遊戯具、医療品、食品包装用フィルム等の日用品、防衛および航空宇宙製品等に広く用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<キシリレン系ポリアミド樹脂(1):ポリアミド樹脂MPXD10の合成>
撹拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置及び窒素導入管、ストランドダイを備えた内容積50リットルの反応容器に、精秤したセバシン酸8950g(44.25mol)、次亜リン酸カルシウム12.54g(0.074mol)、酢酸ナトリウム6.45g(0.079mol)を秤量して仕込んだ。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素で0.4MPaに加圧し、撹拌しながら20℃から190℃に昇温して55分間でセバシン酸を均一に溶融した。次いでメタキシリレンジアミン4172g(30.63mol)とパラキシリレンジアミン1788g(13.13mol)の混合ジアミンを撹拌下で滴下した。この間、反応容器内温は293℃まで連続的に上昇させた。滴下工程では圧力を0.42MPaに制御し、生成水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。分縮器の温度は145〜147℃の範囲に制御した。混合ジアミン滴下終了後、反応容器内圧力0.42MPaにて20分間重縮合反応を継続した。この間、反応容器内温は296℃まで上昇させた。その後、30分間で反応容器内圧力を0.42MPaから0.12MPaまで減圧した。この間に内温は298℃まで昇温した。その後0.002MPa/分の速度で減圧し、20分間で0.08MPaまで減圧し、分子量1,000以下の成分量を調整した。減圧完了時の反応容器内の温度は301℃であった。その後、系内を窒素で加圧し、反応容器内温度301℃、樹脂温度301℃で、ストランドダイからポリマーをストランド状に取出して20℃の冷却水にて冷却し、これをペレット化し、約13kgのポリアミド樹脂を得た。融点は213℃であった。
<その他のポリアミド樹脂>
キシリレン系ポリアミド樹脂(2):ポリアミド樹脂MXD6、(三菱ガス化学製、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂、グレード MXナイロン S6001、融点:237℃)
ポリアミド6:宇部興産製、グレード1022B、融点:224℃
<ポリアミド樹脂フィルムの製造>
上記キシリレン系ポリアミド樹脂(1)、キシリレン系ポリアミド樹脂(2)およびポリアミド6を用いて、それぞれ、以下の方法により、フィルムを製造した。
真空乾燥機により乾燥したポリアミド樹脂を、直径30mmのスクリューを有する単軸押出機にて溶融押出しし、500mm幅のTダイを介して押出成形し、表面に凹凸状シボを設けたステンレス製の対ロールにより、ロール温度70℃、ロール圧0.4MPaで加圧し、フィルム表面にシボを有するフィルムを成形した。
得られたキシリレン系ポリアミド樹脂(1)フィルムの平均厚さは50μmであった。
得られたキシリレン系ポリアミド樹脂(2)フィルムの平均厚さは30μmであった。
得られたポリアミド6フィルムの平均厚さは50μmであった。
熱離型樹脂を塗工した金属箔:東洋アルミ千葉製、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部の範囲で含み、そのケイ素原子が主にシロキサン結合を成す熱離型樹脂
シート状の長繊維(1):炭素繊維(三菱レイヨン製、TR50S、12K)を開繊して一方向に引き揃えた巻取体、目付130g/m2、一層あたりの厚さ約0.4mm
シート状の長繊維(2):炭素繊維織物、三菱レイヨン製、TR3110M、目付200g/m2、1枚当たりの厚さ1mm
シート状の長繊維(3):ガラス繊維織物、日東紡績製、KS1210 1080S−935N、目付90g/m2、1枚当たりの厚さ0.08mm
<実施例1>
<<長繊維強化複合材料の製造>>
2枚の上記熱離型樹脂を塗工した金属箔の間に、上記キシリレン系ポリアミド樹脂フィルム(1)、上記シート状の長繊維(1)および上記キシリレン系ポリアミド樹脂フィルム(1)を前記順に、かつ、熱離型樹脂が内側となるように挟み、搬送速度1.0分/mでHELD社製のダブルベルトプレス機のスチールベルト間に投入し、300℃、4MPaの圧力で2分間連続熱プレスし、キシリレン系ポリアミド樹脂フィルム(1)をシート状の長繊維(1)に含浸させ、連続して4MPaに加圧したまま140℃で1分間冷却した。その後、金属箔を剥がし、長繊維強化複合材料を得た。得られた長繊維強化複合材料の厚さは、130μmであった。
<<曲げ試験>>
上記で得られた長繊維強化複合材料を7枚、繊維方向が交互に略0度/90度になるように積層し、250℃、3MPaの圧力で、3分間プレスした。厚さ1.0mmの試験片が得られた。得られた試験片について、JIS K7171に従い、曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
また、得られた長繊維強化複合材料の表面をアセトンで洗浄した後、上記と同様に、長繊維強化複合材料7枚を積層して熱プレスし、上記と同様に曲げ強度および曲げ弾性率を測定した。
<実施例2>
シート状の長繊維(1)を上記シート状の長繊維(2)に変え、熱プレス温度を305℃に変えて得た厚さ200μmの長繊維強化複合材料を、4枚同方向に積層してプレスした他は実施例1と同様に行った。得られた試験片の厚さは、0.8mmであった。
<実施例3>
シート状の長繊維(1)を上記シート状の長繊維(3)に変え、キシリレン系ポリアミド樹脂フィルム(1)を、キシリレン系ポリアミド樹脂フィルム(2)に変え、熱プレス温度を320℃に変えて得た厚さ70μmの長繊維強化複合材料を、12枚同方向に積層し、積層体のプレス温度を260℃にした他は実施例1と同様に行った。得られた試験片の厚さは、0.8mmであった。
<比較例1>
実施例1において、キシリレン系ポリアミド樹脂フィルム(1)をポリアミド6フィルムに変えた他は実施例1と同様に行った。得られた試験片について、実施例1と同様に評価した。得られた試験片の厚さは、1.0mmであった。
<参考例1>
上記キシリレン系ポリアミド樹脂フィルム(1)と上記シート状長繊維(1)とを、熱離型樹脂を塗工した金属箔を用いずに、ニップロールで貼り合わせて得た長繊維強化複合材料を用いた他は実施例1と同様に行った。得られた試験片の厚さは、1.0mmであった。
Figure 0006597131
上記実施例1と参考例1の結果から明らかなとおり、本発明の製造方法で得られた長繊維複合強化材料は、従来の方法で製造された長繊維複合強化材料よりも、曲げ弾性率および曲げ強度が向上していることが分かった。
また、実施例1のアセトン洗浄前後の長繊維強化複合材料について、FT−IR ATR分析により、確認したところ、アセトン洗浄前のものは、離型樹脂を検出した。これに対し、アセトン洗浄後のものは、離型樹脂を検出しなかった。これらの結果から、熱離型樹脂を塗工した金属箔の離型樹脂が、長繊維強化複合材料に転写されていることが確認された。また、離型樹脂の存在が成形品の曲げ弾性率および曲げ強度を向上させていることが分かった。尚、ポリアミド樹脂は耐薬品性に優れた樹脂であり、アセトン洗浄によって、ポリアミド樹脂がダメージを受けることはない。
また、ポリアミド6を用いた場合、金属箔を剥離した際に離型樹脂は転写されず、アセトン洗浄前後で、曲げ弾性率および曲げ強度に違いが認められなかった。
<実施例4>
3枚のキシリレン系ポリアミド樹脂フィルム(1)と2枚のシート状の長繊維(1)を交互に積層して、2枚の熱離型樹脂を塗工した金属箔の離型樹脂を塗工した金属箔に、離型樹脂が内側となるように挟んだ。305℃、4MPaの圧力で120秒間プレスした。その後、金属箔を剥がし、長繊維強化複合材料を得た。
1 加熱加圧ユニット
2 第1の金属箔
3 ポリアミド樹脂フィルム
4 シート状の長繊維
5 第2の金属箔
6 冷却加圧ユニット

Claims (14)

  1. ポリアミド樹脂と長繊維を、第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで熱プレスし、前記熱プレス後、第1の金属箔および第2の金属箔を剥離することを含み、
    前記第1の金属箔は、前記ポリアミド樹脂または長繊維と接する側の表面に、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物を有し、前記ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、キシリレンジアミンに由来する、長繊維強化複合材料の製造方法。
  2. 前記ケイ素原子を含む化合物は、シロキサン結合を含む、請求項1に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  3. 前記熱プレスは、270〜320℃で行う、請求項1または2に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  4. 前記第2の金属箔の表面に、さらに、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 前記熱プレスを、1〜6MPaの圧力で10秒〜3分間行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  6. 前記熱プレスは、ポリアミド樹脂フィルムと、シート状の長繊維を、前記第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  7. 前記熱プレスは、2枚以上のポリアミド樹脂フィルムと、2枚以上のシート状の長繊維を交互に積層し、前記第1の金属箔と第2の金属箔で挟んで行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  8. 前記熱プレスは、ダブルベルトプレス機を用いて行う、請求項1〜7のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 前記長繊維強化複合材料の厚さが、30μm〜3mmである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  10. 前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、炭素数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸に由来する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  11. 前記ジカルボン酸由来の構成単位の70モル%以上が、アジピン酸およびセバシン酸の少なくとも一方に由来する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  12. 前記長繊維は、炭素繊維およびガラス繊維の少なくとも1種である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法。
  13. ポリアミド樹脂が長繊維に含浸している長繊維強化複合材料であって、前記長繊維強化複合材料の表面に、エポキシ樹脂100重量部に対し、ケイ素原子を含む化合物1〜30重量部を含む組成物からなるエポキシ樹脂層を有し、前記ポリアミド樹脂は、ジアミン由来の構成単位とジカルボン酸由来の構成単位から構成され、前記ジアミン由来の構成単位の70モル%以上が、キシリレンジアミンに由来し、エポキシ樹脂層の厚さが、5μm以下である、長繊維強化複合材料。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の長繊維強化複合材料の製造方法にて、長繊維強化複合材料を製造し、前記長繊維強化複合材料を複数枚積層して、加熱加工することを含む、成形品の製造方法。
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