JP2016170482A - 交通信号制御機 - Google Patents

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Abstract

【課題】新たな車群の判定方法を実現し、当該判定結果を用いた新たな交通信号制御を行うこと。【解決手段】交通信号制御機は、自交差点の流入路それぞれについて、到着交通流予測情報に対して、判定期間内に車群が存在するかの個別車群判定を判定期間をずつずらしながら繰り返し、これらの個別車群判定の判定結果を統合して車群を判定する。個別車群判定は、特定車両の到着タイミングに基づく第1の個別車群判定と、到着交通流予測情報に基づく第2の個別車群判定とを含む。判定結果は車群判定テーブルに格納される。そして、この車群の判定結果を用いて、信号制御パラメータを変更する。【選択図】図4

Description

本発明は、信号制御パラメータを用いて交通信号を制御する交通信号制御機に関する。
交差点における交通信号制御の一つとして、複数の車両で構成される車群を検出し、車群が優先的に交差点を通過できるよう、例えば青時間の延長といった信号制御パラメータの変更を行う車群感応制御が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−221690号公報
ところで、車群の検出方法としては、上述の特許文献1に開示されているように、車両感知器によって感知された車両の車頭間隔及び走行速度から判定する方法が一般的であった。しかし、この方法は車両感知器によって感知された車両1台1台に基づいて車群を判定している。このため、車両感知器に全てを依存する交通信号制御であるともいえた。また、従来の車群判定方法は、前後の車両にのみ着目して車群が続いているかを判定する方法であるため、少しでも条件に満たない車両間隔があるとその瞬間で車群が切れてしまい、全体として1つの車群と捉えることができるにも関わらず、車群がぶつ切りとなり、短い車群が連続していると判定される場合もあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、新たな車群の判定手法を実現し、当該判定結果を用いた新たな交通信号制御を行う技術を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明は、
所与の信号制御パラメータを用いて交通信号を制御する交通信号制御機であって、
光ビーコンによる路車間通信の通信結果を用いて検出された中型自動車又は大型自動車である特定車両の自交差点への流入情報を用いて、当該特定車両の自交差点への予測到着タイミングを予測する特定車両到着予測部と、
自交差点への時系列の予測到着台数を示す到着予測交通流情報に基づき、前記予測到着タイミングに続けて車両が到着する可能性のある連続時間範囲を車群の存在位置と判定する第1の車群判定部と、
前記車群の存在位置を用いて前記信号制御パラメータを変更するパラメータ変更部と、
を備えた交通信号制御機である。
この第1の発明によれば、特定車両の自交差点への予測到着タイミングに基づいて車群を判定することができる。特定車両は安全運転を遵守し、加減速が緩やかな傾向にあるため、特定車両の後方に車両が続いている場合が多い。そこで、特定車両を1つの目安として車群を判定する。具体的には、光ビーコンによる路車間通信の通信結果を用いて検出された特定車両の自交差点への予測到着タイミングを予測し、特定車両の自交差点への予測到着タイミングに続けて車両が到着する可能性のある連続時間範囲を、車群の存在位置と判定する。従って、従来手法とは全く異なる新たな車群の判定方法を実現することができる。また、特定車両を車群の先頭として扱うことで、例えば、特定車両に続く一群の車群を優先的に通過させるように交差点の交通信号を制御することが可能となる。
より具体的には、第2の発明として、第1の発明の交通信号制御機であって、
前記第1の車群判定部が、単位期間ごとに車両の到着可能性を判定し、前記予測到着タイミングに対応する単位期間に続けて、車両が到着する可能性のある連続する単位期間の範囲を前記連続時間範囲と判定する、
交通信号制御機を構成しても良い。
第3の発明として、第1又は第2の発明の交通信号制御機であって、
前記到着予測交通流情報に対して所定期間分の判定期間をずらしながら設定して各判定期間内での車群の存在を判定する第2の車群判定部と、
前記第1の車群判定部の判定結果、および、前記第2の車群判定部の判定結果を統合する統合部と、
を更に備えた交通信号制御機を構成しても良い。
この第3の発明によれば、特定車両に続く一群の車群を判定する判定結果とは別のロジックで車群を判定し、それぞれの判定結果を統合して最終的な車群判定を行うことができる。具体的には、到着交通流予測情報に対して、判定期間をずらしながら設定して各判定期間内での車群の存在を判定する別のロジックを追加することができる。
第4の発明として、第3の発明の交通信号制御機であって、
前記判定期間は、3秒以上10秒以下の期間である、
交通信号制御機を構成しても良い。
この第4の発明によれば、判定期間を3秒以上10秒以下の期間とすることができる。判定期間は、その一部が重なるようにずらしながら設定される。そして、各判定期間内での車群の判定結果が統合されて車群が判定される。従って、判定期間をどの程度の長さとするかは、車群の判定に重要な要素となる。第4の発明によれば、判定期間を、短過ぎず長過ぎない好適な長さとすることができる。
第5の発明として、第1〜第4の何れかの発明の交通信号制御機であって、
近隣交差点からの流出交通流の情報を取得して前記到着予測交通流情報を予測する予測部、
を更に備えた交通信号制御機を構成しても良い。
この第5の発明によれば、近隣交差点からの流出交通流の情報を取得して到着交通流を予測する、いわゆる自律分散型の交通信号制御機において、第1〜第4の発明と同様の作用効果を奏する新しい車群の判定手法を実現することができる。
交通信号制御機の設置例。 第1の個別車群判定の説明図。 第2の個別車群判定の説明図。 車群判定の説明図。 信号制御パラメータの一例。 停止台数の算出の説明図。 交通信号制御機の機能構成図。 交通信号制御処理のフローチャート。
[システム構成]
図1は、本実施形態の交通信号制御機10の設置例である。図1において、交通信号制御機10が制御対象とする交差点1は、主道路と従道路とが交差して4つの流入路A〜Dを有する十字交差点である。流入路A〜Dそれぞれには、該流入路から交差点1へ進入する車両交通を対象とする車両用信号灯器20と、光ビーコン装置30と、が設置されている。なお、図1は交差点1の一例であり、十字交差点に限らず、例えば三叉路交差点やT字交差点といった他の形状の交差点についても本実施形態を同様に適用可能である。
車両用信号灯器20は、交差点1近傍の路側に設置された柱等の上部に、対象の車両交通に対面するように設置されている。車両用信号灯器20の表示灯色は、交通信号制御機10によって制御される。
光ビーコン装置30は、光ビーコン制御機と、対象の流入路における所定位置に通信対象エリアを定めた投受光器とを有する。光ビーコン装置30は、通信対象エリア内に位置した車両に搭載されている車載機との間で、光信号による路車間通信を行い、車載機から、当該車載機に固有の識別番号である車載機IDを取得する。また、光ビーコン装置30は、電話回線等の通信回線を介して交通管制システムの中央装置50と通信接続されており、取得した車載機IDを、光ビーコン装置30の設置位置を示す情報や取得時刻等と対応付けて、中央装置50へ送信する。
中央装置50は、光ビーコン装置30から取得した車載機IDから、該当する車載機が搭載された車両種別を識別し、識別した車両がいつどの地点を通過したかといった車両通行情報を生成することができる。識別する車両種別には、小型自動車、中型自動車、大型自動車といった道路交通法に基づく車両分類や、バス(乗合自動車)であるか否か、トラック(貨物自動車)であるか否かとった自動車の用途区分が含まれ、これらの情報が車両通行情報に含まれる。
なお、本実施形態では説明の簡明化のため、全ての流入路A〜Dに光ビーコン装置30が設置されていることとして説明するが、主道路のみに設置されるなど、一部の方路にのみ設置される場合も本発明を適用可能である。
交通信号制御機10は、何れかの車両用信号灯器20が取り付けられた柱の下方やその近傍に設置され、車両用信号灯器20、及び、中央装置50それぞれと、有線又は無線によって通信接続されている。交通信号制御機10は、自律分散型の交通信号制御機であり、隣接交差点1B,1B,1B,1Bの交通信号制御機10B,10B,10B,10Bから受信した流出交通流予測情報をもとに、例えば5分以内といった近い将来の自交差点1の到着交通流を予測し、予測した到着交通流をもとに自交差点1の信号制御パラメータを変更する。交通信号制御機10の制御対象の交差点1のことを以下適宜「自交差点」という。
また、交通信号制御機10は、自交差点1への流入路A〜Dに設置された光ビーコン装置30に係る車両通行情報を取得し、取得した車両通行情報から、特定車両が自交差点1へ向かっているかを検出する。そして、特定車両の自交差点1への到着タイミングを予測する。特定車両とは、バスやトラック等の中型自動車又は大型自動車のことである。従って、交通信号制御機10は、光ビーコンによる路車間通信の通信結果を用いて特定車両が自交差点1へ流入する流入情報を検出し、この流入情報を用いて特定車両の自交差点1への到着タイミングを予測する、ともいえる。
また、本実施形態の交通信号制御機10は、到着交通流の予測情報と、特定車両の到着情報と、を用いて車群を判定する。そして、判定した車群の情報を参照して、交差点1における車両の停止台数を少なくするように信号制御パラメータを変更する。
[原理]
本実施形態の原理を説明する。
先ず、自交差点に到着する車群を流入路ごとに判定する。図2〜図4は、車群判定を説明する図であり、ある一つの流入路についての車群判定を示している。車群は、当該流入路の到着交通流予測情報と、特定車両到着情報とをもとに判定する。到着交通流予測情報は、当該流入路から自交差点へ流入する到着交通流を予測した情報であり、停止線の位置を0秒目(図中の「0〜1s」に対応)として、単位時間である1秒毎に区切った単位期間毎の到着車両台数を時系列に示して構成される。この到着交通流予測情報は、上流交差点から自交差点への流出交通流予測情報を、交差点間の旅行時間分だけオフセットした上で、各単位期間内での到着車両台数の和として得られる。また、単位期間内の到着車両台数は、流出交通流予測情報に基づくため、直進右左折といった流出方向別の確率が乗算されて表される。そのため、小数を取り得る。したがって、到着交通流予測情報は、例えば、「0.0」,「0.8」,「0.0」,「0.5」・・・といった単位期間ごとの数値情報となる。
また、特定車両到着情報は、当該流入路から自交差点に到着する特定車両の情報であり、停止線の位置を0秒目として、単位期間毎の特定車両の到着台数を時系列に示して構成される。この特定車両の到着台数は、中央装置50から取得した車両通行情報に基づいて検出した特定車両の自交差点1への流入情報に基づいて判定することができ、「0」,「1」といった整数となる。
また、本実施形態の特徴の1つとして、判定期間という概念を導入する。具体的には、到着交通流予測情報に対してN秒間の判定期間をM秒(N>M)ずつずらしながら設定して、各判定期間内での車群の存在を判定し、各判定期間の判定結果を統合することで車群の全容を判定する。判定期間は、長過ぎず短過ぎない、有る程度の長さの車群と判断できる長さとして、3秒以上10秒以下とする。本実施形態では、判定期間の長さを5秒(=N)、すなわち5つの単位期間で1つの判定期間を構成することとする。また、M秒を1秒、すなわち単位期間1つ分とする。また、各判定期間に係る車群が存在するかの判定を「個別車群判定」と称する。最終的な車群判定の結果は、車群判定テーブルとして生成される。個別車群判定には、第1の個別車群判定と、第2の個別車群判定とがある。
第1の個別車群判定について説明する。
図2は、第1の個別車群判定を説明する図である。図2に示すように、第1の個別車群判定では、特定車両到着情報に基づいて、対象となる判定期間内に特定車両が存在する場合に、当該判定期間内に車群が存在する(車群在り)と判定する。そして、車群在りと判定した判定期間については、当該判定期間内の単位期間のうち、特定車両が存在する最初の単位期間を先頭とし、同じ判定期間について到着交通流予測情報での到着車両台数が所定の台数条件(本実施形態では、0台を超えることを本条件とする。)を満たす最後の単位期間を末尾として、先頭から末尾までの連続する単位期間を、当該判定期間内の車群と判定する。つまり、特定車両に続けて車両が到着する可能性のある連続する単位期間である連続時間範囲を、車群の存在位置と判定する。
図2(a)では、1〜5秒目の判定期間について第1の個別車群判定を行った例を示している。1〜5秒目の判定期間内の1秒目(図中の「1〜2s」)の単位期間に特定車両が存在しており、車群在りと判定する。そして、特定車両が存在する最初の単位期間が1秒目(図中の「1〜2s」)であり、同じ判定期間について到着交通流予測情報では、所定の台数条件を満たした最後の単位期間が5秒目(図中の「5〜6s」)であるため、1〜5秒目の期間を車群と判定する。
また、図2(b)では、5〜9秒目の判定期間について第1の個別車群判定を行った例を示している。5〜9秒目の判定期間内には特定車両が存在しないため、第1の個別車群判定では、この期間は車群無しと判定する。
次に、第2の個別車群判定について説明する。
図3は、第2の個別車群判定を説明する図である。図3に示すように、第2の個別車群判定では、到着交通流予測情報において、対象とする判定期間内の到着車両台数の合計が所定の判定閾値台数(本実施形態では、3台(より正確には3.0台)とする。)以上である場合に、当該判定期間内に車群が存在する(車群在り)と判定する。ここで、到着交通流予測情報における各単位期間の到着車両台数は、上流交差点の流出方向別の確率に基づく「0.8台」といった小数値で表されている。
そして、車群在りと判定した判定期間については、当該判定期間内の単位期間のうち、到着車両台数が所定の台数条件(本実施形態では、0台を超えることを本条件とする。)を満たす最初の単位期間を先頭とし、台数条件を満たす最後の単位期間を末尾として先頭から末尾までの連続する単位期間を当該判定期間内の車群と判定する。
図3(a)では、3〜7秒目の判定期間について第2の個別車群判定を行った例を示している。3〜7秒目の判定期間内の到着車両台数の合計は3.2台であるため、判定閾値台数である3.0台以上の条件を満たし、車群在りと判定する。また、到着車両台数が所定の台数条件を満たした最初の単位期間は3秒目(図中の「3〜4s」)であり、所定の台数条件を満たした最後の単位期間は6秒目(図中の「6〜7s」)であるため、第2の個別車群判定では3〜6秒目の期間を車群と判定する。同様に、図3(b)では、7〜11秒目の判定期間について第2の個別車群判定を行った例を示している。7〜11秒目の判定期間内は、到着車両台数の合計が1.1台であり、判定閾値台数である3.0台以上の条件を満たさないため、第2の個別車群判定では、この判定期間は車群無しと判定する。
このような判定期間毎の第1,第2の個別車群判定を行った後、判定結果を統合し、最終的な車群判定結果とする。その例を図4に示す。図中の左側に到着交通流予測情報、及び、特定車両到着情報を示し、一部重複させながらずらして設定した各判定期間の第1の個別車群判定及び第2の個別車群判定の結果を図の中央に示す。各個別車群判定の結果を、対応する単位期間ごとに通算(OR条件で統計結合処理)し、いずれかの個別車群判定で“車群在り”と判定されていれば、当該単位期間を“車群在り”と判定する。図の右側に最終的な車群判定結果である車群判定テーブルを示す。
車群判定テーブルは、単位期間それぞれについて、各個別車群判定の判定結果を統合した集計結果となるため、停止線の位置を0秒目とした、単位期間である1秒毎に車群が在るか否かを時系列に示す情報となる。
個別車群判定として第1の個別車群判定と第2の個別車群判定との2種類を行っているため、それぞれの判定結果は異なる場合がある。例えば、0〜4秒目の判定期間での判定結果は、第1の個別車群判定では車群在りであるが、第2の個別車群判定では車群無しである。第1の個別車群判定では、判定期間内に特定車両が存在するかによって車群を判定し、第2の個別車群判定では、判定期間内の予測到着台数が所定の判定閾値台数以上であるかによって車群を判定する。つまり、判定期間内に特定車両が存在する場合には、判定期間内の予測到着台数が判定閾値台数に満たない場合であっても、必ず「車群在り」と判定することになる。特定車両は安全運転を遵守し、加減速が緩やかな傾向にあるため、特定車両の後方に車両が続いている場合が多い。そこで、特定車両を目安に、特定車両が存在する場合には、車群在りと判定するのである。
また、後述するように車群判定結果を用いて信号制御パラメータを変更するため、例えば、車群を優先的に交差点を通過させるような信号制御を実現することができる。車群の先頭が特定車両であるならば、なるべく特定車両を通過させる信号制御とすることによって、当該交差点を含む道路交通全体としての交通流を円滑に促す仕組みとすることができる。
また、本実施形態の車群判定では、単位期間ずつずらした複数の判定期間それぞれに対して個別車群判定を行っている。つまり、最初の0秒目の単位期間などの例外はあるが、基本的に、各単位期間について複数回の個別車群判定が行われることとなる。したがって、ある判定期間では車群在りと判定されない単位期間であっても、別の判定期間では同じ単位期間が車群在りと判定される場合が起こり得る。走行中の車両は、当然、車間をとって走行しているため、その車間の長さを車群が続いていると捉えるか、車群が切れたと捉えるかは判定基準次第となる。しかし、従来の車群判定手法では、その車間のスペースに対して僅か1回しか判定しなかった。これに対して、本実施形態では、各単位期間に対して複数の個別車群判定が行われる。このため、車群と判断される可能性が高まり、全体的に車群と捉える尤度(適合性ともいえる)を向上させることができる。
次に、信号制御パラメータの変更の原理について説明する。
自交差点の交通信号制御機10は、上述した車群判定結果を用いて、信号制御パラメータを変更する。具体的には、複数の信号制御パラメータ候補(仮の信号制御パラメータ)それぞれに従った簡易的な信号制御シミュレーションを行う。そして、1サイクルにおける自交差点の停止台数を選択基準の一つとして、所定の最良条件を満たす信号制御パラメータ候補を選択し、選択した信号制御パラメータ候補に従った信号制御パラメータに変更して自交差点の交通信号を実際に制御する。
順を追って信号制御パラメータの変更手法について説明する。図5(a)は、交通信号制御機10の制御対象である自交差点における現示階梯表の一例を、図5(b)は図5(a)の現示階梯を実現するための制御パラメータの変更範囲の一例を示す。図5(a)によれば、自交差点の交通信号制御として、主道路に通行権を与える現示1φと、従道路に通行権を与える現示2φとを交互に表示するように定められている。現示1φは、主道路青(階梯1)、主道路黄(階梯2)、全赤(階梯3)の3つの階梯(ステップ)で構成され、現示2φは、従道路青(階梯4)、従道路黄(階梯5)、全赤(階梯6)の3つの階梯で構成される。つまり、1サイクルは6つの階梯で構成される。本実施形態では、信号制御パラメータは、サイクル長を固定とし、スプリットを変更可能とする。すなわち、スプリットに係るパラメータを変更することで、信号制御パラメータを変更するとして説明する。スプリットは、青信号である階梯1,4の表示秒数を変更することで変更される。階梯1,4の表示秒数は所定秒数の範囲内で1秒単位で変更することができる。但し、サイクル長を一定とするため、階梯1の表示秒数を長くする場合には、階梯4の表示秒数を短くする。複数の信号制御パラメータ候補は、このようなスプリットに係るパラメータを変更した信号制御パラメータである。
次に、信号制御パラメータ候補それぞれに基づく簡易的な信号制御シミュレーションを行う。信号制御シミュレーションは、自交差点への各流入路について、到着交通流予測情報及び車群判定結果を用いて時系列の滞留台数を予測して行う。但し、車群に係る滞留台数については加重算出する。そして、時系列の滞留台数のうち、通行権が付与される信号になる直前の滞留台数を停止台数として、少なくとも信号サイクル1回分の全流入路の全停止台数を算出する。
車群に係る滞留台数について加重算出する理由は、環境負荷を軽減するためである。ガソリン自動車の排出ガス量は、定速走行時よりも加速走行時の方が多いことが知られている。また、電気自動車やハイブリッド自動車、停止時にアイドリングストップする自動車であったとしても、停止から発進して一定速度に至るまでには、停止せずに通過するよりも多くのエネルギーを消費する必要があるため、環境負荷が高くなる。そこで、総合的な環境負荷を低減させるために、本実施形態では、車群に係る滞留台数については加重することとする。
具体例を挙げて説明する。図6は、停止台数の算出までの処理手順を説明する図である。図6では、ある一つの流入路についての停止台数の算出を示している。到着交通流予測情報と、流出可否テーブルと、車群判定テーブルとに基づいて、単位期間毎に滞留台数を算出する。
流出可否テーブルは、当該流入路に通行権(自交差点への進入権)が与えられている場合を「可」、与えられていない場合を「不可」として、単位期間毎に通行権が付与されているか否かを時系列に示した情報である。流出可否は、信号制御パラメータ候補によって定められ、対応する時刻の現示が青信号ならば流出が可能で「可」、それ以外ならば流出が不可能で「不可」と設定される。
そして、単位期間毎に、流出可否が「可」ならば、直前の単位期間の滞留台数に処理対象の単位期間の到着車両台数を加算するとともに、単位時間当たりの所定の流出台数(本実施形態では、1.0台とする)を減算して、処理対象の単位期間の滞留台数を算出する。また、流出可否が「不可」ならば、直前の単位期間の滞留台数に処理対象の単位期間の到着車両台数を加算して、滞留台数を算出する。また、処理対象の単位期間の到着車両台数を加算する際、車群判定テーブルにおいて「車群在り」と判定されている単位期間については、到着車両台数に所定の重み係数k(本実施形態では、k=2とする)を乗じて加重した台数を加算する。重み係数kを“2”としたが、これは一例であり、1より大きい数であれば“1.5”や“3”などでもよい。また、第1の個別車群判定結果と、第2の個別車群判定結果とのどちらで「車群在り」と判定されたかで、重み係数kの値を異なる値としてもよい。例えば、第1の個別車群判定結果で「車群在り」と判定された単位期間については重み係数k1、第2の個別車群判定結果で「車群在り」と判定された単位期間については重み係数k2、両方の判定結果で「車群在り」と判定された単位期間については重み係数k3とする。このとき、k3は、k1とk2のうちの大きい方の値とすることができる。また、k1>k2とすると、第1の個別車群判定結果を重視することができる。
そして、単位期間毎の滞留台数を算出すると、通行権が付与される信号になる直前、すなわち、流出可否が「不可」から「可」に遷移する直前の単位期間の滞留台数を、停止台数とする。図6では、流出可否は、11秒目までは「不可」であり、12秒目に「可」に遷移しているので、11秒目(図6の「11〜12s」)の単位期間の滞留台数が停止台数となる。
この停止台数の算出を全ての流入路それぞれについて行う。そして、流入路別の停止台数の合計を、その1つの信号制御パラメータ候補に係る自交差点の全停止台数とする。これを信号制御パラメータ候補それぞれについて実行する。そして、信号制御パラメータ候補のうち、全停止台数が最小となる信号制御パラメータ候補を、交通信号制御に用いるパラメータとして選択する。
なお、停止台数の算出は、信号サイクル1回分の間の停止台数として説明するが、信号サイクル複数回分の停止台数を求めることとしてもよいことは勿論である。
このように、信号サイクルの整数回数分の全ての流入路に係る停止台数の合計が最も小さくなる信号制御パラメータ候補を、実際の交通信号制御に用いるパラメータとするため、総合的に環境負荷が小さくなる信号制御を実現することができる。車群を途切れさせることなく通過できるような信号制御としたり、主道路に優先的に通行権を付与するような信号制御とするといった、部分的・断片的な信号制御技術とは異なり、交差点に係る交通を総合的に勘案した特異な信号制御を実現することができる。
[機能構成]
図7は、交通信号制御機10の機能構成を示すブロック図である。図7によれば、交通信号制御機10は、機能的に、操作部102と、表示部104と、時計部106と、通信部108と、処理部200と、記憶部300とを備えて構成される。
操作部102は、例えばボタンスイッチやタッチパネル等の入力装置で実現され、交通信号制御機10の管理者の操作に応じた操作信号を処理部200に出力する。表示部104は、例えばLCDやタッチパネル等の表示装置で実現され、処理部200からの表示信号に従った各種表示を行う。なお、操作部102や表示部104は、交通信号制御機10の筐体内に収められており、歩行者等の一般人が操作・視認することはできない。
時計部106は、現在時刻や、指定タイミングからの経過時間の計時を行う。通信部108は、有線或いは無線の通信装置で実現され、外部装置(主に、隣接交差点の交通信号制御機10Bや中央装置50)との間で有線通信又は無線通信を行う。
処理部200は、例えばCPU等の演算装置で実現され、記憶部300に記憶されたプログラムやデータ、隣接交差点の交通信号制御機10Bからの受信情報、中央装置50からの車両通行情報等に基づいて、交通信号制御機10の全体制御を行う。また、処理部200は、到着交通流予測部202と、流出交通流予測部204と、特定車両到着予測部206と、車群判定部208と、パラメータ変更部214と、信号制御部216と、を有する。
到着交通流予測部202は、隣接交差点の交通信号制御機10Bから受信した隣接交差点の流出交通流予測情報304をもとに、自交差点の流入路それぞれについて到着交通流を予測して到着交通流予測情報306を生成する。具体的には、流入路それぞれについて、対応する上流交差点からの流出交通流を交差点間の旅行時間だけ遅らせて到着交通流とする。
流出交通流予測部204は、到着交通流予測部202によって予測された到着交通流(到着交通流予測情報306)と、パラメータ変更部214により変更・設定された信号制御パラメータ(設定信号制御パラメータ330)とをもとに、自交差点から各方路への流出交通流を予測して、流出交通流予測情報308を生成する。具体的には、流出可能な各方路それぞれについて、所定の時間範囲内の単位期間毎に、信号制御パラメータから通行権が与えられているか否かを判断して滞留台数を算出するとともに、予め定められた進行方向別(右左折・直進など)の進行率に従って進行方向別の流出交通流を算出する。生成した流出路別の流出交通流予測情報308は、下流交差点の交通信号制御機10へ送信される。
特定車両到着予測部206は、自交差点の流入路それぞれについて、中央装置50から取得した車両通行情報(光ビーコンによる路車間通信の通信結果ともいえる)をもとに特定車両の自交差点1への流入を検出して、特定車両の自交差点への到着タイミングを予測し、特定車両到着情報310を生成する。
車群判定部208は、第1の車群判定部210と、第2の車群判定部212と、を有する。
第1の車群判定部210は、流入路それぞれについて、到着交通流予測部202によって予測された到着交通流(到着交通流予測情報306)と、特定車両到着予測部206によって予測された特定車両(特定車両到着情報310)とに基づいて車群を判定する。具体的には、到着交通流予測情報306、及び、特定車両到着情報310に対して、判定期間内に車群が存在するかを判定する第1の個別車群判定を、判定期間を単位期間である1秒ずつずらしながら繰り返し行う。第1の個別車群判定では、特定車両到着情報310において、判定期間内に特定車両が存在するか否かによって、当該判定期間内の車群の在り/無しを判定し、車群在りと判定した場合には、判定期間内の単位期間のうち、特定車両が存在する最初の単位期間から、到着交通流予測情報306において到着車両台数が所定の台数条件を満たす最後の単位期間までの期間を、車群と判定する(図2参照)。
第2の車群判定部212は、流入路それぞれについて、到着交通流予測部202によって予測された到着交通流(到着交通流予測情報306)に基づいて車群を判定する。具体的には、到着交通流予測情報306に対して、判定期間内に車群が存在するかを判定する第2の個別車群判定を、判定期間を単位期間である1秒ずつずらしながら繰り返し行う。第2の個別車群判定では、到着交通流予測情報306において、判定期間における到着車両台数の合計が所定の判定閾値台数以上であるか否かによって、当該判定期間内の車群の在り/無しを判定し、車群在りと判定した場合には、判定期間内の単位期間のうち、到着車両台数が所定の台数条件を満たす最初の単位期間から、所定の台数条件を満たす最後の単位期間までの期間を、車群と判定する(図3参照)。
そして、車群判定部208は、第1の車群判定部210による第1の個別車群判定の判定結果と、第2の車群判定部212による第2の個別車群判定の判定結果と、を統合して、最終的な車群判定である車群判定テーブル312を生成する(図4参照)。
パラメータ変更部214は、流入路別の到着交通流予測情報306、及び、車群判定テーブル312に基づいて、自交差点に係る交通信号制御パラメータを変更する。具体的には、先ず、信号制御パラメータの値を所定範囲内で変更して、複数の信号制御パラメータ候補を生成する。信号制御パラメータのうち、変更可能なパラメータの種類やその変更範囲は、パラメータ設定範囲情報316として記憶されている。本実施形態では、サイクル長を固定とし、青信号の表示時間を変更してスプリットを変更することとする(図5参照)。
そして、これらの信号制御パラメータ候補それぞれについて、自交差点での1サイクルにおける全停止台数を算出する。すなわち、流入路それぞれについて、信号制御パラメータ候補に従って単位期間ごとに流出可否を判定して流出可否テーブル322を生成し、到着交通流予測情報306と、車群判定テーブル312と、流出可否テーブル322とをもとに、単位期間毎の滞留台数を算出する。このとき、車群と判定されている単位期間については、到着車両台数に所定の重み係数kを乗じて滞留台数に加算する。そして、全ての流入路それぞれの停止台数の合計を、自交差点の全停止台数とする。全ての信号制御パラメータ候補について全停止台数を算出すると、全停止台数が最小となる信号制御パラメータ候補を、交通信号制御に用いる信号制御パラメータとして選択・設定する。設定した信号制御パラメータは、設定信号制御パラメータ330として記憶される。
信号制御部216は、パラメータ変更部214によって変更・設定された設定信号制御パラメータ330に従って、自交差点の車両用信号灯器20を制御する。
記憶部300は、ROMやRAM、ハードディスク等の記憶装置で実現され、処理部200が交通信号制御機10を統合的に制御するためのシステムプログラムや、各機能を実現するためのプログラムやデータ等を記憶している。また、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果や、通信部108を介して受信したデータ等が一時的に格納される。本実施形態では、記憶部300には、交通信号制御プログラム302と、隣接交差点の流出交通流予測情報304と、到着交通流予測情報306と、流出交通流予測情報308と、特定車両到着情報310と、車群判定テーブル312と、現示階梯表314と、パラメータ設定範囲情報316と、パラメータ候補情報318と、設定信号制御パラメータ330と、が記憶される。
パラメータ候補情報318は、パラメータ変更部214が生成した信号制御パラメータ候補に関する情報であり、信号制御パラメータ候補320それぞれについて、流出可否テーブル322と、滞留台数情報324と、停止台数326と、全停止台数328と、を対応付けて格納している。
[処理の流れ]
図8は、交通信号制御処理の流れを説明するフローチャートである。この処理は、処理部200が交通信号制御プログラム302に従って実行する処理であり、所定時間毎(例えば、5秒毎でも良いし、10秒毎でも良い)に、繰り返し実行される。
先ず、到着交通流予測部202が、自交差点の流入路それぞれについて、隣接交差点の流出交通流予測情報304に基づいて到着交通流を予測して到着交通流予測情報306を生成する(ステップS1)。また、特定車両到着予測部206が、流入路それぞれについて、中央装置50から取得した車両通行情報に基づいて特定車両の到着タイミングを予測して特定車両到着情報310を生成する(ステップS3)。
次いで、車群判定部208が、流入路それぞれについて、到着交通流予測情報306、及び、特定車両到着情報310をもとに、車群を判定して車群判定テーブル312を生成する。すなわち、第1の車群判定部210が、流入路それぞれについて、到着交通流予測情報306、及び、特定車両到着情報310に対して、判定期間内に特定車両が存在するか否かによって当該判定区間内の車群の在り/無しを判定する第1の個別車群判定を、判定期間をずらしながら繰り返し行う(ステップS5)。また、第2の車群判定部212が、流入路それぞれについて、到着交通流予測情報306に対して、判定期間における到着車両台数の合計が所定の判定閾値台数以上であるか否かによって当該判定区間内の車群の在り/無しを判定する第2の個別車群判定を、判定期間をずらしながら繰り返し行う(ステップS7)。そして、車群判定部208が、第1の個別車群判定の判定結果と、第2の個別車群判定の判定結果とを統合して、最終的な車群判定である車群判定テーブル312を生成する(ステップS9)。
続いて、パラメータ変更部214が、青時間を変更して、複数の信号制御パラメータ候補を生成する(ステップS11)。そして、これらの信号制御パラメータ候補それぞれを対象としたループAの処理を行う。
ループAでは、自交差点の流入路それぞれを対象としたループBの処理を行う、ループBでは、対象の信号制御パラメータ候補に従って、対象の流入路の単位期間毎の流出可否を判定して流出可否テーブル322を生成する(ステップS13)。次いで、対象の流入路の到着交通流予測情報306、及び、車群判定テーブル312をもとに、単位期間毎に、到着車両台数に車群在り/無しに応じた重み係数kを乗じて滞留台数を算出して、滞留台数情報324を生成する(ステップS15)。またこのとき、流出可否テーブル322に従って、流出が「可」の単位期間については、流出台数分減算して滞留台数を算出する。そして、生成した滞留台数情報324において通行権が付与される直前の滞留台数を、停止台数として算出する(ステップS17)。
全ての流入路を対象としたループBの処理を行うと、算出した流入路それぞれの停止台数の合計を、自交差点の全停止台数として算出する(ステップS19)。全ての信号制御パラメータ候補を対象としたループAの処理を行うと、全停止台数が最小となる信号制御パラメータ候補を選択し、交通信号制御に用いる信号制御パラメータとして設定する(ステップS21)。以上の処理を行うと、交通信号制御処理は終了となる。
[作用効果]
このように、本実施形態の交通信号制御機10は、自交差点の流入路それぞれについて、判定期間内に車群が存在するかの個別車群判定を判定期間を1秒ずつずらしながら繰り返し、これらの個別車群判定の判定結果を統合して車群を判定する。個別車群判定は、特定車両の到着タイミングに基づく第1の個別車群判定と、到着交通流予測情報に基づく第2の個別車群判定とを含む。これにより、自交差点の到着交通流予測情報に対して、判定期間を一部が重なるようにずらしながら設定して各判定期間内での車群の存在を判定し、各判定期間の判定結果を統合することで車群を判定するといった、新しい車群の判定手法が実現される。
特に、第1の個別車群判定では、特定車両の自交差点への予測到着タイミングに基づいて車群を判定することができる。特定車両は安全運転を遵守し、加減速が緩やかな傾向にあるため、特定車両の後方に車両が続いている場合が多い。そのため、第1の個別車群判定では、特定車両を1つの目安として車群を判定することができる。また、特定車両を車群の先頭として扱うことで、例えば、特定車両に続く一群の車群を優先的に通過させるように交差点の交通信号を制御することが可能となる。
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
(A)第1の個別車群判定
上述の実施形態では、判定期間を1秒ずつずらして設定して第1の個別車群判定を行うこととしたが(図4参照)、これを、先頭の単位期間に特定車両が存在する場合にのみ判定期間を設定して、第1の個別車群判定を行うこととしても良い。例えば、図2(b)に示す5〜9秒目の期間は、先頭の単位期間である5秒目の単位期間には特定車両が存在しないため、判定期間を設定せず、第1の個別車群判定を行わない。これにより、処理負荷の軽減が図れる。
(B)第2の個別車群判定
また、第2の個別車群判定についても同様に、先頭の単位期間の到着車両台数が所定の台数条件(本実施形態では、0台を超えること、すなわちゼロでないことを条件とする。)を満たす場合にのみ判定期間を設定して、第2の個別車群判定を行うこととしても良い。例えば、図3(b)に示す7〜11秒目の期間は、最初の単位期間である7秒目の単位期間の到着車両台数が0台で台数条件を満たさないため、判定期間を設定せず、第2の個別車群判定を行わない。これにより、処理負荷の軽減が図れる。ただし、到着車両台数が台数条件を満たす単位期期間については必ず1回以上個別車群判定が行われるとともに、車両が連なっている部分についてはより多くの回数の個別車群判定が行われるため、全体として車群判定の精度を高く保つことができる。
(C)選択基準
上述の実施形態では、複数の信号制御パラメータ候補のうちから、交通信号制御に用いる信号制御パラメータを選択する基準として、全停止台数を用いることにしたが、この選択基準として、更に遅れコストを導入することにしても良い。遅れコストとは、交差点において停止した各車両の停止時間(滞留時間)と台数との積の総和である。例えば、2台の車両が10秒停止した場合、遅れコストは20[台・秒]となる。この場合、全停止台数が所定条件を満たし、且つ、遅れコストが所定条件を満たすことを最良条件として信号制御パラメータを選択・設定することとなる。
具体的には、車群の在り/無しに応じて重み付けを行って算出した滞留台数情報(図6参照)をもとに、1信号サイクル期間における流入路別の遅れコストを算出し、これらを合計して自交差点の全体の遅れコスト(「第1の遅れコスト」という)を算出する。また、同様に、信号制御パラメータ候補それぞれについて、車群の在り/無しによる重み付けを行わない場合の滞留台数を算出し、この滞留台数をもとに、1信号サイクル期間における自交差点の全体の遅れコスト(「第2の遅れコスト」という)を算出する。車群の在り/無しに応じて重み付けしているため、第1の遅れコストは第2の遅れコスト以上となる。
そして、複数の信号制御パラメータ候補のうちから、全停止台数が最小となる信号制御パラメータ候補を選択した後、選択した信号制御パラメータ候補の第1の遅れコストと第2の遅れコストとの差を算出する。このコスト差が所定値以下ならば、選択した信号制御パラメータ候補を、交通信号制御に用いるとして設定する。一方、コスト差が所定値を超えるならば、信号制御パラメータ候補のうちから、第2の遅れコストが最小となる信号制御パラメータ候補を選択し、これを、交通信号制御に用いるとして設定する。
(D)信号制御パラメータ候補
また、上述した実施形態では、信号制御パラメータ候補320を生成することとして説明したが、予め信号制御パラメータ候補320を記憶しておくこととしてもよい。その場合、図8のステップS11を省略することができる。
(E)単位期間及び判定期間
また、上述した実施形態では、単位期間の長さを1秒とし、判定期間の長さを単位期間5つ分、すなわち5秒として説明したが、これは一例であり、他の長さとしてよいことは勿論である。但し、判定期間を一部重複させつつずらして設定する必要があるため、N秒間の判定期間をM秒(N>M。N,Mは0より大きく、小数を含んでもよい。)ずつずらして設定できる必要がある。
(F)光ビーコン
上述した実施形態では、交通信号制御機10が、中央装置50から車両通行情報を取得して、特定車両の自交差点1への流入を検出することとして説明した。しかし、車載機IDに車両種別を示す情報が含まれている場合には、交通信号制御部10は、光ビーコン装置30から、光ビーコン装置30が取得した車載機ID(或いは車載機IDに含まれる車両情報を示す情報)を受信して、特定車両の自交差点1への流入を検出することとしてもよい。何れにせよ、交通信号制御機10は、光ビーコンによる路車間通信の通信結果を用いて特定車両の自交差点1への流入を検出し、この流入情報を用いて、当該特定車両の自交差点1への予測到着タイミングを予測することとなる。
10 交通信号制御機
102 操作部、104 表示部、106 時計部、108 通信部
200 処理部
202 到着交通流予測部、204 流出交通流予測部
206 特定車両到着予測部
208 車群判定部、210 第1の車群判定部、212 第2の車群判定部
214 パラメータ変更部、216 信号制御部
300 記憶部
302 交通信号制御プログラム
304 隣接交差点の流出交通流予測情報
306 到着交通流予測情報、308 流出交通流予測情報
310 特定車両到着情報、312車群判定テーブル
314 現示階梯表、316 パラメータ設定範囲情報、
318 パラメータ候補情報
320 信号制御パラメータ候補、322 流出可否テーブル
324 滞留台数情報、326 停止台数、328 全停止台数
330 設定信号制御パラメータ
20 車両用信号灯器
30 光ビーコン装置
50 中央装置

Claims (5)

  1. 所与の信号制御パラメータを用いて交通信号を制御する交通信号制御機であって、
    光ビーコンによる路車間通信の通信結果を用いて検出された中型車又は大型車である特定車両の自交差点への流入情報を用いて、当該特定車両の自交差点への予測到着タイミングを予測する特定車両到着予測部と、
    自交差点への時系列の予測到着台数を示す到着予測交通流情報に基づき、前記予測到着タイミングに続けて車両が到着する可能性のある連続時間範囲を車群の存在位置と判定する第1の車群判定部と、
    前記車群の存在位置を用いて前記信号制御パラメータを変更するパラメータ変更部と、
    を備えた交通信号制御機。
  2. 前記第1の車群判定部は、単位期間ごとに車両の到着可能性を判定し、前記予測到着タイミングに対応する単位期間に続けて、車両が到着する可能性のある連続する単位期間の範囲を前記連続時間範囲と判定する、
    請求項1に記載の交通信号制御機。
  3. 前記到着予測交通流情報に対して所定期間分の判定期間をずらしながら設定して各判定期間内での車群の存在を判定する第2の車群判定部と、
    前記第1の車群判定部の判定結果、および、前記第2の車群判定部の判定結果を統合する統合部と、
    を更に備えた請求項1又は2に記載の交通信号制御機。
  4. 前記判定期間は、3秒以上10秒以下の期間である、
    請求項3に記載の交通信号制御機。
  5. 近隣交差点からの流出交通流の情報を取得して前記到着予測交通流情報を予測する予測部、
    を更に備えた請求項1〜4の何れか一項に記載の交通信号制御機。
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