以下、添加剤の残量検出装置を具体化した一実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。本実施形態の添加剤の残量検出装置は、排気通路を流れる排気に添加剤としての尿素水を添加して、排気を浄化する浄化装置を備えた車載内燃機関に適用される。なお、本実施形態における内燃機関はディーゼルエンジンであり、以下では単に「エンジン」という。
図1に示すように、エンジン1には4つの気筒#1〜#4が設けられている。シリンダヘッド2には4つの燃料噴射弁4a〜4dが取り付けられている。これら燃料噴射弁4a〜4dは対応する気筒#1〜#4の燃焼室に燃料を噴射する。また、シリンダヘッド2には新気を気筒内に導入するための吸気ポートと、燃焼ガスを気筒外へ排出するための排気ポート6a〜6dとが各気筒#1〜#4に対応して設けられている。
燃料噴射弁4a〜4dは、高圧燃料を蓄圧するコモンレール9に接続されている。コモンレール9はサプライポンプ10に接続されている。サプライポンプ10は燃料タンク内の燃料を吸入するとともにコモンレール9に高圧燃料を供給する。コモンレール9に供給された高圧燃料は、各燃料噴射弁4a〜4dの開弁時に同燃料噴射弁4a〜4dから気筒#1〜#4内に噴射される。
吸気ポートにはインテークマニホールド7が接続されている。インテークマニホールド7は吸気通路3に接続されている。この吸気通路3内には吸入空気量を調整するための吸気絞り弁16が設けられている。
排気ポート6a〜6dにはエキゾーストマニホールド8が接続されている。エキゾーストマニホールド8は排気通路26に接続されている。
排気通路26の途中には、排気圧を利用して気筒に導入される吸入空気を過給するターボチャージャ11が設けられている。同ターボチャージャ11の吸気側コンプレッサと吸気絞り弁16との間の吸気通路3にはインタークーラ18が設けられている。このインタークーラ18によって、ターボチャージャ11の過給により温度上昇した吸入空気の冷却が図られる。
また、排気通路26の途中にあって、ターボチャージャ11の排気側タービンの下流には、排気を浄化する第1浄化部材30が設けられている。この第1浄化部材30の内部には、排気の流れ方向に対して直列に酸化触媒31及びDPF触媒32が配設されている。
酸化触媒31には、排気中のHCを酸化処理する触媒が担持されている。また、DPF触媒32は、排気中のPM(粒子状物質)を捕集するフィルタであって多孔質のセラミックで構成されており、更にはPMの酸化を促進させるための触媒が担持されている。排気中のPMは、DPF触媒32の多孔質の壁を通過する際に捕集される。
また、エキゾーストマニホールド8の集合部近傍には、燃料を噴射して酸化触媒31やDPF触媒32に燃料を供給するための燃料添加弁5が設けられている。この燃料添加弁5は、燃料供給管27を介して前記サプライポンプ10に接続されている。なお、燃料添加弁5の配設位置は、排気系にあって第1浄化部材30の上流側であれば適宜変更することも可能である。
また、排気通路26の途中にあって、第1浄化部材30の下流には、排気を浄化する第2浄化部材40が設けられている。第2浄化部材40の内部には、アンモニアを利用して排気中のNOxを還元浄化する排気浄化触媒としての選択還元型NOx触媒(以下、SCR触媒という)41が配設されている。
更に、排気通路26の途中にあって、第2浄化部材40の下流には、排気を浄化する第3浄化部材50が設けられている。第3浄化部材50の内部には、排気中のアンモニアを浄化するアンモニア酸化触媒51が配設されている。
エンジン1には、上記SCR触媒41にアンモニアを供給するために、添加剤である尿素水を排気通路26内に噴射する尿素水供給機構200が設けられている。尿素水供給機構200は、尿素水を貯留するタンク210、排気通路26内に尿素水を噴射添加する尿素添加弁230、尿素添加弁230とタンク210とを接続する供給通路240、尿素水をタンク210から尿素添加弁230に送るポンプ220を備えている。また、タンク210には、貯留されている尿素水の液面の高さを検出するレベルセンサ250が設けられるとともに、貯留されている尿素水の温度を検出する尿素水温センサ260が設けられている。なお、本実施形態では、レベルセンサ250が、液面の高さを所定高さの間隔で段階的に検出可能に構成されている。また、以下では、レベルセンサ250の検出値をレベルセンサ値Lという。本実施形態では、尿素水の残量検出装置が、このレベルセンサ250、後述する制御装置80及び報知部12を備えて構成されている。
尿素添加弁230は、第1浄化部材30と第2浄化部材40との間の排気通路26に設けられており、その噴射孔はSCR触媒41に向けられている。この尿素添加弁230が開弁されると、供給通路240を介して排気通路26内に尿素水が噴射供給される。すなわち、排気通路26内を流れる排気に添加剤として尿素水が添加される。
ポンプ220は電動式のポンプであり、正回転時には、タンク210から尿素添加弁230に向けて尿素水を送液する。一方、逆回転時には、尿素添加弁230からタンク210に向けて尿素水を送液する。つまり、ポンプ220の逆回転時には、尿素添加弁230及び供給通路240から尿素水が回収されてタンク210に戻される。
また、尿素添加弁230とSCR触媒41との間の排気通路26内には、尿素添加弁230から噴射された尿素水を分散させることにより同尿素水の霧化を促進する分散板60が設けられている。
尿素添加弁230から添加された尿素水は、排気熱を利用した加水分解によりアンモニアへと変化する。このアンモニアはSCR触媒41に吸着される。そしてSCR触媒41に吸着されたアンモニアによりNOxが還元浄化される。
この他、エンジン1には排気再循環装置(以下、EGR装置という)が備えられている。このEGR装置は、排気の一部を吸入空気に導入することで気筒内の燃焼温度を低下させ、NOxの発生量を低減させる装置である。このEGR装置は、吸気通路3とエキゾーストマニホールド8とを連通するEGR通路13、同EGR通路13に設けられたEGR弁15、及びEGRクーラ14などにより構成されている。EGR弁15の開度が調整されることにより排気通路26から吸気通路3に導入される排気還流量、いわゆる外部EGR量が調量される。また、EGRクーラ14によってEGR通路13内を流れる排気の温度が低下される。
エンジン1には、機関運転状態を検出するための各種センサやスイッチが取り付けられている。例えば、エアフロメータ19は吸気通路3内の吸入空気量GAを検出する。絞り弁開度センサ20は吸気絞り弁16の開度を検出する。機関回転速度センサ21はクランクシャフトの回転速度、すなわち機関回転速度NEを検出する。アクセル操作量センサ22はアクセルペダルの踏み込み量、すなわちアクセル操作量ACCPを検出する。外気温度センサ23は、外気温度THoutを検出する。車速センサ24はエンジン1が搭載された車両の車速SPDを検出する。イグニッションスイッチ150は、車両の運転者により操作され、エンジン1の始動及び停止に伴う車両各部への電源状態を切り換える。また、各種センサとしては、尿素水のタンク210に設けられる上記レベルセンサ250や上記尿素水温センサ260も挙げられる。
また、加速度センサは車両の加速度や路面の傾斜角に応じた信号を出力し、この信号に基づいて車両の加速度や路面の傾斜状態などが算出される。本実施形態では、加速度センサとして、車両前後方向の加速度を検出する加速度センサ25aと、車両左右方向の加速度を検出する加速度センサ25bとの二つを備えている。加速度センサ25aは車両が加速しているときや走行路面が上り勾配のときには、信号(以下、加速度センサ値GSaという)として正の値を出力する。一方、加速度センサ25aは車両が減速しているときや走行路面が下り勾配のときには、加速度センサ値GSaとして負の値を出力する。また、加速度センサ25bは車両が左に旋回しているときや、車両左側が高く、車両右側が低くなるように走行路面が傾いているときには、信号(以下、加速度センサ値GSbという)として正の値を出力する。一方、車両が右に旋回しているときや、車両右側が高く、車両左側が低くなるように走行路面が傾いているときには、加速度センサ値GSbとして負の値を出力する。そのため、車両が勾配の殆どない平坦路を一定の速度で走行しているときや、勾配の殆どない平坦路に停車しているときには、加速度センサ値GSa,GSbはどちらも「0」近傍の値になる。
また、酸化触媒31の上流に設けられた第1排気温度センサ100は、酸化触媒31に流入する前の排気温度である第1排気温度TH1を検出する。差圧センサ110は、DPF触媒32の上流及び下流の排気圧の圧力差ΔPを検出する。
第1浄化部材30と第2浄化部材40との間の排気通路26にあって、尿素添加弁230の上流には、第2排気温度センサ120及び第1NOxセンサ130が設けられている。第2排気温度センサ120は、SCR触媒41に流入する前の排気温度である第2排気温度TH2を検出する。第1NOxセンサ130は、SCR触媒41に流入する前の排気中のNOx濃度である第1NOx濃度N1を検出する。
第3浄化部材50よりも下流の排気通路26には、SCR触媒41を通過した排気中のNOx濃度である第2NOx濃度N2を検出する第2NOxセンサ140が設けられている。
各種センサなどの出力は制御装置80に入力される。この制御装置80は、中央処理制御装置(CPU)、各種プログラムや演算マップなどを予め記憶した読出専用メモリ(ROM)、CPUの演算結果などを一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)、タイマカウンタ、入力インターフェース、出力インターフェースなどを備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。
そして、制御装置80により、例えば燃料噴射弁4a〜4dや燃料添加弁5の燃料噴射量制御・燃料噴射時期制御、サプライポンプ10の吐出圧力制御、吸気絞り弁16を開閉するアクチュエータ17の駆動量制御、EGR弁15の開度制御、排気浄化制御などのエンジン1の各種制御が行われる。
制御装置80は、排気浄化制御の一つとして、上記尿素添加弁230による尿素水の添加制御を行う。この添加制御では、エンジン1から排出されるNOxを還元処理するために必要な尿素添加量の目標値である目標添加量QEが機関運転状態などに基づいて算出される。そして、目標添加量QEに相当する分の尿素水が尿素添加弁230から噴射されるように、尿素添加弁230の開弁状態が制御される。
また、制御装置80は、算出部として、タンク210内の尿素水の残量を算出し、記憶部として、算出された最新の尿素水の残量を記憶する。なお、以下では、尿素水の残量の算出値を「尿素水残量NR」という。次に、制御装置80は、記憶した尿素水残量NRに基づいて尿素水が欠乏しない状況で走行可能な距離を算出する。なお、以下では、尿素水が欠乏しない状況で走行可能な距離の算出値を「走行可能距離X」という。本実施形態では、尿素水1リットルで走行可能な距離dが、予めシミュレーションや実験で一定値として設定されており、走行可能距離Xは、尿素水残量NRに対して距離dを乗算することで算出される。
そして、本実施形態の車両には、制御装置80に接続された報知部12が設けられている。この報知部12は、音や光、又はメーターパネルへの表示などを通じて、タンク210内の尿素水の量が第1の所定量以下となったことを車両の運転者に報知するものである。報知部12は、制御装置80から入力される信号に基づいて、表1に示すように、走行可能距離Xに応じた報知を行う。
表1に示すように、報知部12は、走行可能距離Xが第1の所定距離α以下であるときに、尿素水残量NRが少なくなった旨(以下、「尿素水量少」という)の報知を実行する。第1の所定距離αとしては、法規制などで設定される距離(例えば2400km)が設定される。そして、報知部12は、走行可能距離Xが第1の所定距離α以下である状況から第1の所定距離αを超える状況となると、尿素水量少の報知を解除する。
なお、本実施形態では、尿素水残量NRに距離dを乗算することにより走行可能距離Xが算出されるため、走行可能距離Xが第1の所定距離αとなるときには、尿素水残量NRが第1の残量α/dとなる。したがって、換言すれば、報知部12は、尿素水残量NRが第1の残量α/d以下となると、尿素水量少の報知を実行し、尿素水残量NRが第1の残量α/dを超えたときに、尿素水量少の報知を解除する。すなわち、尿素水量少の報知の実行及びその解除においては、第1の残量α/dが第1の所定量及び第2の所定量に相当する。
また、報知部12は、走行可能距離Xが第1の所定距離αよりも短い第2の所定距離β以下であるときに、走行可能距離Xが短くなった旨(以下、「走行距離少」という)の報知を実行する。この第2の所定距離βとしては、燃料タンクに貯留可能な最大容量の燃料が貯留されている状況で走行可能な距離が設定されている。したがって、この報知は、次回の燃料補給時と同時期かそれ以前に尿素水を補給するように促すためのものである。また、報知部12は、走行可能距離Xが、第2の所定距離β以下であって後述する再始動禁止の報知が実行されていない状況から、走行可能距離Xが第2の所定距離βを超える状況となると、走行距離少の報知を解除する。
なお、本実施形態では、尿素水残量NRに距離dを乗算することにより走行可能距離Xが算出されるため、走行可能距離Xが第2の所定距離βとなるときの尿素水残量NRは、第2の残量β/dとなる。したがって、換言すれば、報知部12は、尿素水残量NRが第2の残量β/d以下となると、走行距離少の報知を実行し、尿素水残量NRが第2の残量β/dを超えたときに、走行距離少の報知を解除する。すなわち、走行距離少の報知の実行及びその解除においては、第2の残量β/dが第1の所定量及び第2の所定量に相当する。
また、報知部12は、走行可能距離Xが第3の所定距離γ以下であるときに、再始動禁止の報知を実行する。第3の所定距離γとしては、0kmに近い値が設定される。そして、制御装置80は、イグニッションスイッチ150がオフ状態からオン状態となったときに、再始動禁止の報知が解除されていない場合には、エンジン1を始動させない。なお、制御装置80は、既にエンジン1が運転されている状況では、この再始動禁止の報知が実行された場合でも、イグニッションスイッチ150がオフ状態とされるまで、エンジン1の運転を継続させる。
そして、報知部12は、走行可能距離Xが、第3の所定距離γ以下である状況から第1の所定距離αを超える状況となると、再始動禁止の報知の実行を解除する。すなわち、第3の所定距離γ以下である状況から第3の所定距離γを超えたとしても、未だ走行可能距離Xが短い可能性もある。そのため、本実施形態では、このような場合には、再始動禁止の報知は解除されず、第1の所定距離αを超える状況となると、再始動禁止の報知を解除することで、走行可能距離Xがある程度長い距離となったと推定される場合に、再始動禁止の報知が解除されることになる。
なお、本実施形態では、尿素水残量NRに距離dを乗算することにより走行可能距離Xが算出されるため、走行可能距離Xが第3の所定距離γとなるときの尿素水残量NRは、第3の残量γ/dとなる。したがって、換言すれば、報知部12は、尿素水残量NRが第3の残量γ/d以下となると、再始動禁止の報知を実行し、尿素水残量NRが第1の残量α/dを超えたときに、再始動禁止の報知を解除する。すなわち、再始動禁止の報知の実行及びその解除においては、第3の残量γ/dが第1の所定量に相当し、第1の残量α/dが第2の所定量に相当する。
以上のようにして、制御装置80は、尿素水残量NRと走行可能距離Xとを算出し、報知部12がこの算出結果に基づいて上記報知を実行したり解除したりする。この制御は、詳細には、図2〜図4のフローチャートに示す処理手順に従って実行される。図2〜図4に示す一連の処理は、イグニッションスイッチ150がオン状態であるときに制御装置80により所定周期毎の割り込み処理として実行される。
図2に示すように、本制御が開始されると、ステップS10において、再始動禁止の報知を実行中であるか否かが判定される。ステップS10では、制御装置80が報知部12へ出力している信号に基づいて判定がなされる。このステップS10において、再始動禁止の報知を実行中であると判定されると(ステップS10:YES)、ステップS11に移り、レベルセンサ値Lが第1のレベルA以上であるか否かが判定される。ここで、本実施形態では、上記の通り、レベルセンサ250が段階的に液面高さを検出している。そのため、レベルセンサ250は、第1の残量α/dに相当する液面高さを直接的には検出することができない。そこで、この第1のレベルAは、レベルセンサ250が検出可能な液面高さのうち、尿素水残量NRが第1の残量α/dを超える液面高さよりも高い最小の液面高さに相当する値に設定されている。
レベルセンサ値Lが第1のレベルA以上であると判定されると(ステップS11:YES)、ステップS12に移り、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRを算出して記憶する。すなわち、上記の通り、再始動禁止の報知が実行されている場合には、走行可能距離Xがある程度長い距離である第1の所定距離αを超える状況となったときに、再始動禁止の報知が解除される。そのため、再始動禁止の報知がなされている状況で、尿素水が補給される場合には、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えるような尿素水残量NRとするための量が補給されると推定することができ、このような場合には、レベルセンサ値Lが第1のレベルA以上となる。したがって、ステップS11で肯定判定された場合には、タンク210内に尿素水が補給された旨が検出されて、ステップS12に移り、レベルセンサ値Lを参照して尿素水残量NRが算出される。このステップS12では、レベルセンサ値Lに所定の係数を乗じることにより尿素水残量NRが算出される。
次に、ステップS13に移り、ステップS12で記憶した尿素水残量NRに距離dを乗算して走行可能距離Xを算出する。そして、ステップS14に移り、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えているか否かを判定する。ステップS14において、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えていると判定されると(ステップS14:YES)、ステップS15に移り、再始動禁止の報知を解除する指令が出力され、本処理が一旦終了される。これにより、報知部12が、再始動禁止の報知を解除する。
ステップS14において、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えていると判定されない場合は(ステップS14:NO)、本処理が一旦終了される。なお、本実施形態では、上記の通り、第1のレベルAは、尿素水残量NRが第1の残量α/dに相当する液面高さよりも高い液面高さを示しているため、実際には、ステップS14では常に肯定判定がなされる。
ステップS10で、再始動禁止の報知が実行中でないと判定された場合には(ステップS10:NO)、ステップS20に移り、走行距離少の報知が実行中であるか否かが判定される。ステップS20では、制御装置80が報知部12へ出力している信号に基づいて判定がなされる。ステップS20において、走行距離少の報知が実行中であると判定されると(ステップS20:YES)、ステップS21に移り、レベルセンサ値LがレベルB以上であるか否かが判定される。この第2のレベルBは、レベルセンサ250が検出可能な液面高さのうち、尿素水残量NRが第2の残量β/dに相当する液面高さよりも高い最小の液面高さに相当する値に設定されている。
レベルセンサ値Lが第2のレベルB以上であると判定されると(ステップS21:YES)、ステップS22に移り、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出されて記憶される。すなわち、上記の通り、走行距離少の報知が実行されている場合には、走行可能距離Xが第2の所定距離βを超える状況となったときに、走行距離少の報知が解除される。そのため、走行距離少の報知がなされている状況で、尿素水が補給される場合には、少なくとも走行可能距離Xが第2の所定距離βを超えるような尿素水残量NRとするための量が補給されると推定することができ、このような場合には、レベルセンサ値Lが第2のレベルB以上となる。したがって、ステップS21で肯定判定された場合には、タンク210内に尿素水が補給された旨が検出されて、ステップS22に移り、レベルセンサ値Lを参照して尿素水残量NRが算出される。このステップS22では、ステップS12と同様の態様で算出処理がなされる。
次に、ステップS23に移り、ステップS22で記憶した尿素水残量NRに距離dを乗算して走行可能距離Xを算出する。そして、ステップS24に移り、走行可能距離Xが第2の所定距離βを超えているか否かを判定する。ステップS24において、走行可能距離Xが第2の所定距離βを超えていると判定されると(ステップS24:YES)、ステップS25に移り、走行距離少の報知を解除する指令が出力され、本処理が一旦終了される。これにより、報知部12が走行距離少の報知を解除する。
ステップS24において、走行可能距離Xが第2の所定距離βを超えていると判定されない場合は(ステップS24:NO)、本処理が一旦終了される。なお、本実施形態では、上記の通り、第2のレベルBは、尿素水残量NRが第2の残量β/dに相当する液面高さよりも高い液面高さを示しているため、実際には、ステップS24では常に肯定判定がなされる。
ステップS20で、走行距離少の報知が実行中でないと判定された場合には(ステップS20:NO)、ステップS30に移り、尿素水量少の報知が実行中であるか否かが判定される。ステップS30では、制御装置80から報知部12へ出力している信号に基づいて判定がなされる。ステップS30において、尿素水量少の報知が実行中であると判定されると(ステップS30:YES)、ステップS31に移り、レベルセンサ値LがレベルA以上であるか否かが判定される。
レベルセンサ値Lが第1のレベルA以上であると判定されると(ステップS31:YES)、ステップS32に移り、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出されて記憶される。すなわち、上記の通り、尿素水量少の報知が実行されている場合には、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超える状況となったときに、尿素水量少の報知が解除される。そのため、尿素水量少の報知がなされている状況で、尿素水が補給される場合には、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えるような尿素水残量NRとするための量が補給されると推定することができ、このような場合には、レベルセンサ値Lが第1のレベルA以上となる。したがって、ステップS31で肯定判定された場合には、タンク210内に尿素水が補給された旨が検出されて、ステップS32に移り、レベルセンサ値Lを参照した尿素水残量NRが算出される。このステップS32では、ステップS12と同様の態様で算出処理がなされる。
次に、ステップS33に移り、ステップS32で記憶した尿素水残量NRに距離dを乗算して走行可能距離Xを算出する。そして、ステップS34に移り、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えているか否かを判定する。ステップS34において、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えていると判定されると(ステップS34:YES)、ステップS35に移り、尿素水量少の報知を解除する指令が出力され、本処理が一旦終了される。これにより、報知部12が尿素水量少の報知を解除する。
ステップS34において、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えていると判定されない場合は(ステップS34:NO)、本処理が一旦終了される。なお、本実施形態では、上記の通り、第1のレベルAは、尿素水残量NRが第1の残量α/dに相当する液面高さよりも高い液面高さを示しているため、実際には、ステップS34では常に肯定判定がなされる。
ステップS11において否定判定がなされた場合(ステップS11:NO)、ステップS21において否定判定がなされた場合(ステップS21:NO)、及びステップS31において否定判定がなされた場合(ステップS31:NO)には、尿素水が補給されていない旨が検出されて、図3のステップS40に移る。また、ステップS30において、尿素水量少の報知が実行されていないと判定される場合においても(ステップS30:NO)、図3のステップS40に移る。
図3に示すように、ステップS40では、尿素水の温度が所定温度を超えているか否かが判定される。ここで、所定温度は、タンク210内に貯留された尿素水の温度が所定温度以下であることによって、尿素水が凍結している可能性が高い状態であることを判定することができる温度であり、本実施形態では、所定温度として尿素水の凝固点が設定されている。ステップS40では、尿素水温センサ260の検出信号に基づいて、タンク210内の尿素水の温度が所定温度を超えているか否かが判定される。尿素水の温度が所定温度を超えていると判定されると(ステップS40:YES)、尿素水が凍結していないと判定することができるため、ステップS41に移る。
ステップS41では、レベルセンサ値Lが安定しているか否かが判定される。ここでは、レベルセンサ値Lの変動幅が所定値H1以下に小さくなっている状態が所定時間T1以上継続している場合に、レベルセンサ値Lが安定していると判定される。なお、それら所定値H1及び所定時間T1は、レベルセンサ値Lが安定していることを判定する上で適切な値が予め設定されている。
ステップS41において、レベルセンサ値Lが安定していないと判定される場合には(ステップS41:NO)、ステップS45に移り、現在のレベルセンサ値Lをなまし処理したなまし処理後レベルセンサ値LNに基づいて今回の処理実行時における尿素水残量NRが算出され、この値が尿素水残量NRとして記憶される。
一方、ステップS41において、レベルセンサ値Lが安定していると判定される場合には(ステップS41:YES)、ステップS42に移り、加速度センサ25a,25bが正常に機能しているか否かが判定される。なお、この判定は、断線判定や異常信号の検出など、一般的な加速度センサの判定手法によって行われる。
ステップS42において、加速度センサ25a,25bが正常に機能していると判定される場合には(ステップS42:YES)、ステップS43に移り、加速度センサ値GSが閾値G1よりも大きく、且つ閾値G2よりも小さいか否かが判定される。閾値G1は負の値であり、閾値G2は正の値に設定されている。そして、閾値G1及び閾値G2の値としては、加速度センサ値GSの値が「0」近傍の値であること、つまり車両が一定の速度で走行している状態、あるいは勾配のほとんど無い平坦路を走行している状態であることを判定することのできる値が設定されている。
そして、ステップS43において、加速度センサ値GSが閾値G1よりも大きく、且つ閾値G2よりも小さいと判定された場合には(ステップS43:YES)、ステップS44に移り、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出されて記憶される。ステップS44での算出処理は、ステップS12と同様の態様で行われる。
一方、ステップS43において、加速度センサ値GSが閾値G1以下のときや、加速度センサ値GSが閾値G2以上以の場合には(ステップS43:NO)、ステップS48の処理が行われる。このステップS48では、前回の制御処理で記憶した尿素水残量NRから積算添加量NSを減算した値が今回の処理実行時における尿素水残量NRとして算出されて、記憶される。積算添加量NSは、前回尿素水残量NRが算出されてから今回尿素水残量NRが算出されるまでの間において添加された尿素水の総量であり、例えば上記目標添加量QEを積算することにより算出される。また、制御処理が実行される毎に、ステップS12,S22,S32,S44,S45,S48のいずれかで尿素水残量NRが算出されると積算添加量NSは「0」にリセットされて、再び尿素水添加量の積算処理が開始される。
上記ステップS42において加速度センサ25a,25bが正常に機能していない、つまり加速度センサ25a,25bに異常が生じており、加速度センサ値GSが誤った値になっていると判断されるときには、ステップS46に移り、車両が停車中であるか否かが判定される。このステップS46では、車速SPDが「0」であるときに、車両が停車中であると判定される。なお、ステップS46での停車判定において、車速SPDが「0」近傍の非常に低い速度であるときには、車両が停車中であるとみなすようにしてよい。
ステップS46において、車両が停車中であると判定された場合には(ステップS46:YES)、ステップS48の処理が実行されて、尿素水残量NRが算出され記憶される。
一方、ステップS46において、車両が走行中であると判定された場合には(ステップS46:NO)、レベルセンサ値Lが長時間安定しているか否かが判定される(ステップS47)。このステップS47では、レベルセンサ値Lの変動幅が所定値H2以下に小さくなっている状態が所定時間T2以上継続している場合に、レベルセンサ値Lが長時間安定していると判定される。なお、それら所定値H2及び所定時間T2は、車両が平坦路を一定の速度で走行していると判断できる程度にレベルセンサ値Lが長時間安定した状態になっていることを判定する上で適切な値が予め設定されている。特に、所定時間T2については、上記所定時間T1よりも長い時間が設定されている。
ステップS47において、レベルセンサ値Lが長時間安定していると判定される場合には(ステップS47:YES)、上記ステップS44の処理が実行されて、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出されて記憶される。
一方、ステップS47において、レベルセンサ値Lが長時間安定していないと判定された場合には(ステップS47:NO)、上記ステップS48の処理が実行される。
また、上記ステップS40において、尿素水の温度が所定温度を超えていないと判定された場合には(ステップS40:NO)、ステップS48に移り、上記した処理が実行される。すなわち、ステップS40において否定判定がなされる場合には、タンク210内の尿素水が所定温度以下であって凍結している可能性が高い。そのため、レベルセンサ値Lを用いて尿素水残量NRを算出した場合に、尿素水残量NRが正確に算出されない可能性がある。そこで、ステップS48において、前回の制御処理で記憶した尿素水残量NRから積算添加量NSを減算した値が今回の処理実行時における尿素水残量NRとして算出され、記憶される。
そして、ステップS44、ステップS45、及びステップS48のいずれかで尿素水残量NRが算出されて記憶されると、ステップS49に移り、記憶された最新の尿素水残量NRに距離dを乗算して走行可能距離Xが算出される。そして、ステップS49からステップS50に移る。
図4に示すように、ステップS50では、ステップS49で算出された走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えているか否かが判定される。ステップS50において、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えていないと判定される場合には(ステップS50:NO)、走行可能距離Xが第1の所定距離α以下であるため、ステップS51に移り、尿素水量少の報知指令が出力される。これにより、報知部12が尿素水量少を報知する。
次に、ステップS52に移り、ステップS49で算出された走行可能距離Xが第2の所定距離βを超えているか否かが判定される。ステップS52において、走行可能距離Xが第2の所定距離βを超えていないと判定される場合には(ステップS52:NO)、走行可能距離Xが第2の所定距離β以下であるため、ステップS53に移り、走行距離少の報知指令が出力される。これにより、報知部12が走行距離少を報知する。
次に、ステップS54に移り、ステップS49で算出された走行可能距離Xが第3の所定距離γを超えているか否かが判定される。ステップS54において、走行可能距離Xが第3の所定距離γを超えていないと判定される場合には(ステップS54:NO)、走行可能距離Xが第3の所定距離γ以下であるため、ステップS55に移り、再始動禁止の報知指令が出力され、本処理が一旦終了される。これにより、報知部12が再始動禁止を報知する。
上記ステップS52において、走行可能距離Xが第2の所定距離βを超えていると判定された場合には(ステップS52:YES)、ステップS56に移り、再始動禁止の報知が実行中であるか否かが判定される。再始動禁止の報知が実行されていないと判定されると(ステップS56:NO)、ステップS64に移り、走行距離少の報知の実行中であるか否かが判定される。走行距離少の報知が実行されていると判定される場合には(ステップS64:YES)、ステップS65に移り、走行距離少の報知を解除する指令が出力され、本処理が一旦終了される。これにより、報知部12は、走行距離少の報知を解除する。また、ステップS64において、走行距離少の報知が実行されていないと判定される場合には(ステップS64:NO)、本処理が一旦終了される。
また、ステップS56において、再始動禁止の報知が実行されていると判定されると(ステップS56:YES)、走行可能距離Xが第2の所定距離βを超えていても、走行可能距離少の解除指令がなされることなく、本処理が一旦終了される。
また、上記ステップS50で、走行可能距離Xが第1の所定距離αを超えていると判定される場合には(ステップS50:YES)、ステップS60に移り、再始動禁止の報知を実行中であるか否かが判定される。ステップS60で再始動禁止の報知が実行中であると判定される場合には(ステップS60:YES)、ステップS61に移り、再始動禁止の報知を解除する指令が出力され、ステップS62に移る。これにより、報知部12は、再始動禁止の報知を解除する。また、ステップS60で、再始動禁止の報知を実行中ではないと判定された場合にも(ステップS60:NO)、ステップS62に移る。
ステップS62では、尿素水量少の報知を実行中であるか否かが判定される。ステップS62で尿素水量少の報知が実行中であると判定される場合には(ステップS62:YES)、ステップS63に移り、尿素水量少の報知を解除する指令が出力され、ステップS64に移る。これにより、報知部12は、尿素水量少の報知を解除する。また、ステップS62で、尿素水量少の報知を実行中ではないと判定された場合にも(ステップS62:NO)、ステップS64に移る。そして、ステップS64では上記した処理が実行される。
なお、制御装置80によって実行される処理のち、上記ステップS11,S21,S31の判定がタンク210内に尿素水が補給されたか否かを検出する補給検出部としての処理に相当する。また、ステップS12,S22,S32,S44,S45,S48の処理が、タンク210内の尿素水残量NRを算出する算出部と、尿素水残量NRを記憶する記憶部としての処理に相当する。
次に、本実施形態の作用を説明する。
走行可能距離Xが第1の所定距離α以下となる場合、すなわち尿素水残量NRが第1の残量α/d以下となった場合には、報知部12により、尿素水量少の報知が実行される。また、走行可能距離Xが第2の所定距離β以下となる場合、すなわち尿素水残量NRが第2の残量β/d以下となった場合には、報知部12により、走行距離少の報知が実行される。また、走行可能距離Xが第3の所定距離γ以下となる場合、すなわち尿素水残量NRが第3の残量γ/d以下となった場合には、報知部12により、再始動禁止の報知が実行される。
本実施形態では、これらのいずれかの報知の実行中であって、尿素水が補給されていないと検出されるときに(ステップS11,S21,S31:NO)、尿素水の温度が所定温度以下であるときには(ステップS40:NO)、ステップS48の処理が実行される。すなわち、前回の処理で記憶した尿素水残量NRからその後に添加された尿素水の積算添加量NSを減算して尿素水残量NRが算出される。したがって、尿素水が凍結しており、レベルセンサ値Lが正確でない可能性がある状況では、レベルセンサ値Lを用いることなく尿素水残量NRが算出される。
ここで、上記のいずれかの報知が実行されたことによって尿素水を補給した後に、初めて尿素水残量NRが算出される際、尿素水の温度が所定温度以下である場合がある。このような場合、尿素水の温度が所定温度以下であることによって、前回の処理で記憶した尿素水残量NRからその後に添加された尿素水の積算添加量NSを減算して尿素水残量NRを算出すると、尿素水の残量として、尿素水の補給量が加味されていない量が算出される。そのため、尿素水の残量を適切に算出することができず、尿素水を補給したにもかかわらず、未だ尿素水の残量が少ないままであると判断されて、報知が解除されないといった事態が生じうる。
これに対して、本実施形態では、再始動禁止の報知の実行中であって(ステップS10:YES)、尿素水が補給されたと検出されたときには(ステップS11:YES)、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出される(ステップS13)。また、走行距離少の報知の実行中であって(ステップS20:YES)、尿素水が補給されたと検出されたときには(ステップS21:YES)、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出される(ステップS23)。また、尿素水量少の報知の実行中であって(ステップS30:YES)、尿素水が補給されたと検出されたときには(ステップS31:YES)、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出される(ステップS33)。したがって、再始動禁止、走行距離少及び尿素水量少の少なくともいずれかの報知の実行中に、尿素水が補給されたことが検出された場合には、尿素水の温度が所定温度以下であっても、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出される。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、報知部12による報知の実行中であって、尿素水が補給されていないと検出されるときに、尿素水の温度が所定温度以下であるときには、前回の処理で記憶された尿素水残量NRと前回尿素水残量NRを算出した後の尿素水の積算添加量NSとの差を尿素水残量NRとして算出する。そのため、尿素水が凍結している場合においても、尿素水の残量を適切に算出することができる。また、報知部12による報知の実行中であって尿素水が補給されたと検出されるときには、尿素水の温度が所定温度以下である場合であっても、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRが算出される。したがって、レベルセンサ値Lを用いて尿素水の補給量が加味された尿素水残量NRを算出することができるため、尿素水の補給によって尿素水残量NRが第2の所定量を超えた場合には、尿素水の残量が第1の所定量以下である旨の報知を速やかに解除することができる。すなわち、尿素水が補給されたにもかかわらず、尿素水の補給量が加味されることなく残量が算出されることに起因して、尿素水の残量が第1の所定量以下である旨の報知が解除されないといった事態が生じることを抑制することができる。
このようにして、本実施形態では、尿素水が凍結している場合であっても、尿素水の残量が第1の所定量以下である旨を示す報知及びその解除を実行することができる。
なお、上記実施形態は、上記に例示した構成に限定されるものではなく、これを適宜変更した例えば次のような形態として実施することができる。また、以下の変形例において組み合わせ可能なものは、適宜組み合わせて上記実施形態に適用することもできる。
・上記実施形態のレベルセンサ250は液面高さを所定間隔で段階的に検出可能なものであったが、レベルセンサは、液面高さを連続的に検出可能なものであってもよい。
・上記実施形態では、タンク210内の尿素水残量NRに応じて、尿素水量少、走行距離少、再始動禁止の3段階の報知を実行するように構成されている。しかしながら、尿素水の残量検出装置は、尿素水残量NRに応じて4段階以上の報知を実行するように構成されていてもよいし、2段階以下の報知を実行するように構成されていてもよい。
また、複数種類の報知処理が行われる場合に、補給検出がなされるのは、少なくとも1つの報知が実行されている場合のみであってもよい。すなわち、たとえば、再始動禁止の報知が実行されている場合には、尿素水の補給検出結果に応じて、尿素水の温度が所定温度以下の場合に尿素水残量NRの算出態様を変更する。一方、再始動禁止の報知以外の報知が実行されている場合には、補給検出を行うことなく、尿素水の温度が所定温度以下の場合には、レベルセンサ値Lを用いることなく演算で尿素水残量NRを算出するようにしてもよい。このような場合であっても、1種類の報知内容、すなわち再始動禁止については、尿素水の補給に応じた報知の解除を行うことはできる。
・また、報知するための尿素水残量NRの基準となる第1の所定量や報知を解除するための尿素水残量NRの基準となる第2の所定量は、法規制やレベルセンサの仕様などによって、上記実施形態と異なる量に適宜変更するようにしてもよい。
・上記実施形態では、レベルセンサ値Lが第1のレベルA又は第2のレベルB以上であることによって尿素水が補給されている旨を検出するようにしているが、尿素水が補給されたことを検出する方法としては、この態様に限定されない。例えば、レベルセンサ値Lを用いて検出する他の態様としては、レベルセンサ値Lが安定している状況で、検出されるレベルセンサ値Lが、記憶した最新の尿素水残量NRに対応する液面高さに対して所定値以上上昇したことを条件に、尿素水が補給された旨を検出するようにしてもよい。また、レベルセンサ値Lを用いることなく、尿素水のタンク210の蓋やタンク210に連通した通路の注入弁などの開閉が検出されたことや、車両の位置情報に基づいて尿素水の補給場所で所定時間停車されたことが検出されたことなどを条件に、尿素水が補給されたことを検出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ステップS12,S22,S32,S44において、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRを算出するにあたって、レベルセンサ値Lに所定の係数を乗じることにより尿素水残量NRを算出するようにしている。しかしながら、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRを算出する方法はこの態様に限定されない。例えば、レベルセンサ値Lを引数としてマップから尿素水残量を読み出したりするなどして尿素水残量NRを算出する構成を採用してもよい。また、検出されたレベルセンサ値Lから算出される尿素水残量に種々の補正を加えて尿素水残量NRを算出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、報知が実行されており且つ尿素水の補給が検出されていないときに、尿素水の温度が所定温度以下であるときには、前回の制御処理で算出された尿素水残量NRから積算添加量NSを減算して尿素水残量NRを算出するようにしている。この場合の算出態様としては、記憶された尿素水の残量と記憶された尿素水の残量が算出された後に添加された尿素水の総量との差に基づいて尿素水残量NRを算出すればよい。したがって、例えば、前回の処理よりも以前に記憶した尿素水の残量とその記憶された尿素水の残量が算出された後の積算添加量との差を尿素水残量NRとしてもよいし、記憶した尿素水の残量と積算添加量との差に種々の補正を加えて尿素水残量NRを算出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、尿素水1リットルで走行可能な距離dが一定値として予め設定されており、走行可能距離Xは、尿素水残量NRに対して距離dを乗算することで算出される。しかしながら、尿素水1リットルで走行可能な距離は変動する。したがって、車両走行履歴などに基づいて、尿素水1リットルで走行可能な距離dを算出し、尿素水残量NRに算出された距離dを乗算することで走行可能距離Xを算出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、所定温度を尿素水の凝固点に設定している。しかしながら、所定温度は尿素水の温度が所定温度以下であることによって、尿素水が凍結している可能性が高い状態であることを判定できる温度であればよい。したがって、例えば、尿素水の凝固ではないものの、凝固点近傍の温度を採用することもできる。また、尿素水が所定温度以下であるか否かを検出するにあたっては、尿素水のタンク210内の温度を尿素水温センサ260で検出する態様以外に、外気温センサや車両の運転状態(機関始動時からの経過時間)などに基づいて尿素水の温度を推定することにより行うようにしてもよい。
・上記実施形態において、図2〜図4に示した制御処理や、各ステップの処理は適宜変更可能である。
例えば、制御処理が開始されると、まず、ステップS41と同様の処理を行って、レベルセンサ値Lが安定しているか否かを判定するようにしてもよい。そして、安定していると判定される場合には、ステップS10に移り、安定していないと判定される場合には、ステップS40に移るようにしてもよい。これにより、レベルセンサ値Lが安定している場合にのみ、レベルセンサ値Lに基づく尿素水の補給検出がなされることになり、レベルセンサ値が不安定な場合に、尿素水が補給された旨の誤検出がなされることが抑制される。
また、加速度センサ25a,25bに異常が生じているときに、ステップS46以降の処理を行うようにした。この他、加速度センサ25a,25bが設けられていない車両の場合には、ステップS42及びステップS42の各処理を省略した処理手順にて、タンク210内の尿素水残量NRを算出して、記憶するようにしてもよい。
また、ステップS41の処理は、レベルセンサ値Lが、同センサ値Lに基づく尿素水残量NRの検出に適した状態になっているかどうかを判定するための処理であるため、ステップS40の直後ではなく、ステップS44の尿素水残量NRの算出処理の直前に実行されるようにしてもよい。そして、否定判定された場合には、ステップS45のなまし処理を行うようにしてもよい。
さらに、ステップS40において、尿素水の温度が所定温度を超えていると判定された場合には、ステップS41〜S43及びS45〜S47の処理を行うことなく、ステップS44に移り、レベルセンサ値Lに基づいて尿素水残量NRを算出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、タンク210に貯留された尿素水の残量を検出するようにしたが、この他の添加剤の残量を検出するようにしてもよい。