JP2016169373A - プリント配線基板用ポリイミド溶液、プリント配線基板の製造方法およびプリント配線基板 - Google Patents

プリント配線基板用ポリイミド溶液、プリント配線基板の製造方法およびプリント配線基板 Download PDF

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Munenori Yamada
宗紀 山田
健太 柴田
Kenta Shibata
健太 柴田
耕 竹内
Ko Takeuchi
耕 竹内
文子 吉野
Fumiko Yoshino
文子 吉野
睦 松下
Mutsumi Matsushita
睦 松下
朗 繁田
Akira Shigeta
朗 繁田
良彰 越後
Yoshiaki Echigo
良彰 越後
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Abstract

【課題】基材との接着性が良好な微細な気孔を有する多孔質ポリイミド(以下、PI)被膜を基材表面に形成させることができるPI溶液、およびこの被膜が形成されたプリント配線基板とその製造方法を提供する。高周波領域で適応可能な低誘電率のプリント配線基板を提供する。
【解決手段】PIに対する良溶媒と貧溶媒とを含有するPI溶液であって、前記PIが、主鎖中にオキシアルキレンユニットおよび/またはシロキサンユニットを含む、プリント配線基板用PI溶液。前記PI溶液を、基材表面に塗布後、乾燥することにより多孔質PI被膜を形成する工程を含むプリント配線基板の製造方法。基材表面に多孔質PI被膜が積層一体化されている、以下の特徴を有するプリント配線基板。1)前記PIの主鎖中に、オキシアルキレンユニットおよび/またはシロキサンユニットを含む。2)前記多孔質PI被膜の平均気孔径が10nm以上、2000nm以下。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線基板用ポリイミド溶液、プリント配線基板の製造方法およびプリント配線基板に関する。本発明のプリント配線基板用ポリイミド溶液から高周波用のプリント配線基板を得ることができる。
近年、電子機器類では、その小型化や軽量化のため、これに用いられる配線基板は高密度化、多層化する傾向にある。特に通信機器では、その普及に伴い、高周波領域の用途に用いられる高密度のプリント配線基板が要求されている。この用途に用いられるプリント配線基板では、デジタル信号の高速処理に対応するため、低誘電率(ε)の絶縁層が必要となる。このような高周波用配線基板には、銅箔等の基材表面にポリイミド(PI)のような耐熱性と寸法安定性に優れた樹脂被膜を形成させることができる溶液(以下、「PI溶液」と略記することがある)を基材表面に塗布、乾燥することにより、PI被膜を形成した積層体が、プリント配線基板が用いられていた。しかし、高周波領域においてPI被膜の誘電率と誘電損失が大きくなり、絶縁層に要求される性能を十分に満足しうるものではなかった。
そこで、配線基板の絶縁層を多孔質化することで、誘電率と誘電損失とを改善する方法が提案されている。 例えば、特許文献1〜3には、湿式相分離プロセスを用いることにより、基材表面に、多孔質PI被膜が形成された積層体を高周波用のプリント配線基板として用いる方法が開示されている。ここで、湿式相分離プロセスとは、多孔質PI被膜を製造する際に、基材表面にPI溶液を塗布後、これを乾燥する前の塗膜を、PIに対する貧溶媒を含む凝固浴に浸漬して、多孔質化を図るプロセスであり、凝固浴から廃液が発生するため、環境適合性に問題があった。また、特許文献4、5には、特定の気孔形成剤を含むPI溶液を基材表面に塗布、乾燥後、超臨界二酸化炭素等の抽出溶媒を用いて、相分離を起こさせることにより、微細な気孔が形成された多孔質PI被膜を積層したプリント配線基板が提案されている。しかしながら、この方法では、超臨界二酸化炭素のような抽出溶媒を用いる必要があり、工程が複雑となるという問題があった。
前記のようなプロセスに対し、乾式相分離プロセスで多孔質PI被膜を形成させることができるPI溶液を用いる方法が提案されている。(特許文献6〜8) 乾式相分離プロセスは、多孔質PI被膜を製造する際に、銅箔等の基材表面に形成された塗膜を乾燥するのみで多孔質化を図ることができるので、前記湿式相分離プロセスにおける凝固浴を用いる必要がない。そのため、多孔質PI被膜が形成された積層体を製造する際、凝固浴からの廃液が発生しないので、環境適合性の良好な優れた方法である。また、高価な超臨界二酸化炭素発生装置を用いる必要がないので、経済性にも優れた方法である。
特開2001−151929号公報 特開昭62−279936号公報 特開2002−185093号公報 特開2003−26850号公報 特開2015−42718号公報 特開2005−166828号公報 特開2012−101438号公報 特開2015−52061号公報
しかしながら、乾式相分離プロセスにより得られた多孔質PI被膜は、平均気孔径が2000nm超である場合が多く、 平均気孔径を2000nm以下に微細化することは困難であった。そのため、多孔質PI被膜を高気孔率とした場合、基材やその他の面と多孔質PI被膜との界面における充分な接着性を確保することは容易ではなかった。また、多孔質PI被膜の平均気孔径が2000nm超であると、多孔質PI被膜表面の平滑性が損なわれることがあり、良好な高周波特性を得ることは容易ではなかった。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、基材との接着性が良好な微細な気孔を有する多孔質PI被膜を基材表面に形成させることができるプリント配線基板用PI溶液を提供すること、および、高周波領域で適応可能な低誘電率のプリント配線基板を提供することにある。
本発明者らは、PIの化学構造とPI溶液組成とを特定のものとしたPI溶液を用い、これから得られる多孔質PI被膜を基材表面に形成させることにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち本発明は、下記を要旨とするものである。
<1>PIに対する良溶媒と貧溶媒とを含有するPI溶液であって、前記PIが、主鎖中にオキシアルキレンユニットおよび/またはシロキサンユニットを含むことを特徴とするプリント配線基板用PI溶液。
<2>前記PI溶液を、基材表面に塗布後、乾燥することにより多孔質PI被膜を形成する工程を含むプリント配線基板の製造方法。
<3>基材表面に多孔質PI被膜が積層一体化されているプリント配線基板であって、以下の特徴を有するプリント配線基板。
1) 前記PIの主鎖中に、オキシアルキレンユニットおよび/またはシロキサンユニットを含む。
2) 前記PI多孔質被膜の平均気孔径が10nm以上、2000nm以下である。
本発明のPI溶液を、基材表面に塗布、乾燥することにより得られる多孔質PI被膜は、耐熱性に優れたPI中に、微細な気孔が多数形成されているので、基材との接着性や表面の平滑性が良好である。従い、高周波領域で適応可能な低誘電率のプリント配線基板として好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明では、PI溶液を用いる。ここで、PIは、主鎖にイミド結合を有する耐熱性高分子またはその前駆体であり、通常、モノマ成分であるジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを重縮合することにより得られる。これらのPIには、通常のPI(可溶性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、非熱可塑性ポリイミド等)以外に、PI変性体であるポリアミドイミド、ポリエステルイミド、PI前駆体等が含まれ、PI前駆体が好ましく用いられる。
PI前駆体とは、100℃以上の温度で加熱することによりイミド結合を生成するものであり、本発明においては、ポリアミック酸(以下「PAA」と略記することがある)が好ましく用いられる。PAAは、溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるものである。なお、PAAは、部分的にイミド化されていてもよい。
PI前駆体(例えばPAA)は、主鎖中にオキシアルキレンユニットおよび/またはシロキサンユニットを含む。このようにすることにより、熱イミド化して得られるPIの主鎖中に、オキシアルキレンユニットおよび/またはシロキサンユニットを含ませることができる。
オキシアルキレンユニットとしては、具体的には、オキシエチレンユニット、オキシプロピレンユニット、オキシブチレンユニット等が挙げられる。 オキシアルキレンユニットを含むPAAは、例えば、オキシアルキレンユニットを有するテトラカルボン酸二無水物(以下、「TA−1」と略記することがある)やオキシアルキレンユニットを有するジアミン(以下、「DA−1」と略記することがある)と、オキシアルキレンユニットを有しないテトラカルボン酸二無水物(以下、「TA」と略記することがある)やオキシアルキレンユニットを有しないジアミン(以下、「DA」と略記することがある)とを共重合させることにより得られる共重合PAA(以下、「PAA−1」と略記することがある)である。
シロキサンユニットを含むPAAは、例えば、シロキサンユニットを有するテトラカルボン酸二無水物(以下、「TA−2」と略記することがある)やシロキサンユニットを有するジアミン(以下、「DA−2」と略記することがある)と、TAやDAとを共重合させることにより得られる共重合PAA(以下、「PAA−2」と略記することがある)である。
PAA−1とPAA−2とは、混合して用いることもできる。
PAA溶液には、溶質であるPAAを溶解する良溶媒と、溶質には貧溶媒となる溶媒とを混合した混合溶媒が含有されている。ここで、良溶媒とは、25℃において、PAAに対する溶解度が1質量%以上の溶媒をいい、貧溶媒とは、25℃において、PAAに対する溶解度が1質量%未満の溶媒をいう。貧溶媒は、良溶媒よりも高沸点であることが好ましい。また、その沸点差は、5℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。
良溶媒としては、アミド系溶媒が好ましく用いられる。アミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP 沸点:202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF 沸点:153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc 沸点:166℃)が挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
貧溶媒としては、エーテル系溶媒が好ましく用いられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:162℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:216℃)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点:275℃)、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、トリエチレングリコール(沸点:287℃)等の溶媒を挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。貧溶媒の配合量は、全溶媒量に対して55〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがより好ましい。このような溶媒組成とすることにより、多孔質PI被膜と基材との強固な接着が得られる。
混合溶媒中におけるエーテル系溶媒の配合量としては、混合溶媒質量に対し、30〜90質量%とすることが好ましく、50〜80質量%とすることがより好ましい。このようにすることにより、基材への塗布後の乾燥工程において、効率よく相分離が起こり、高い気孔率を有する多孔質PI被膜を得ることができる。
PAA−1溶液としては、モノマであるテトラカルボン酸二無水物(TA−1およびTAの混合物、またはTAのみ)とジアミン(DA−1およびDAの混合物、またはDAのみ)とを略等モルで配合し、それを前記混合溶媒中、10〜70℃の温度で重合反応させて得られる溶液を用いることができる。ここで、TA−1またはDA−1の使用量としては、0.5〜20モル%とすることが好ましく、1〜10モル%とすることがより好ましい。前記モル%は、以下の式に従って算出された値をいう。
TA−1の使用量(モル%)=(TA−1のモル数/(TA−1のモル数+TAのモル数))*100
DA−1の使用量(モル%)=(DA−1のモル数/(DA−1のモル数+DAのモル数))*100
TA−1の具体例としては、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート(TMEG)、ジエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、トリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、テトラエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、ジエチレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、トリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、テトラエチレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、ポリエチレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ジプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、トリプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、テトラプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、ポリプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、ジプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、トリプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、テトラプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド、ポリプロピレングリコールビスアンヒドロトリメリットアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、TMEGが好ましい。
TAの具体例としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、及び3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、PMDAおよびBPDAが好ましい。
DA−1の具体例としては、エチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、プロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ジプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、トリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、テトラプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、ポリエチレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテルが好ましい。これらの化合物は市販品を利用することができる。
DAの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルメタン3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。 これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、DADE、BAPPが好ましい。
PAA−2溶液としては、モノマであるテトラカルボン酸二無水物(TA−2およびTAの混合物、またはTAのみ)とジアミン(DA−2およびDAの混合物、またはDAのみ)とを略等モルで配合し、それを前記混合溶媒中、10〜70℃の温度で重合反応させて得られる溶液を用いることができる。ここで、TA−2またはDA−2の使用量としては、0.5〜20モル%とすることが好ましく、1〜10モル%とすることがより好ましい。前記モル%は、以下の式に従って算出された値をいう。
TA−2の使用量(モル%)=(TA−1のモル数/(TA−2のモル数+TAのモル数))*100
DA−2の使用量(モル%)=(DA−1のモル数/(DA−2のモル数+DAのモル数))*100
TA−2の具体例としては、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルシロキサン二無水物、ポリ(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラメチルシロキサン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)テトラエチルシロキサン二無水物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
DA−2の具体例としては、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビス(4−アミノフェノキシ)ジメチルシラン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等、および下記一般式(1)で表されるものが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのなかで、下記一般式(1)において、R1およびR2がトリメチレン基、R3、R4、R5およびR6がメチル基、nは3〜100であるもの(以下、「DASM」と略記することがある)が好ましく、これらの中で、数平均分子量が、300〜5000のものがより好ましい。 これらのDASMは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、DASMは市販品を用いることができる。

(ただし、式中nは1以上の整数を示す。また、R1およびR2は、それぞれ同一または異なった、低級アルキレン基またはフェニレン基を示し、R3、R4、R5およびR6は、それぞれ同一または異なった、低級アルキル基、フェニル基またはフェノキシ基を示す。)
以上、PAAの例について述べたが、PAA以外のPI、例えば可溶性PIやポリアミドイミド等についても、PAAと同様の方法を用いることができる。
PI溶液は、良溶媒中で重合反応して溶液を得た後、これに貧溶媒を加える方法や、貧溶媒中で重合反応して懸濁液を得た後、これに良溶媒を加える方法で得ることもできる。
PI溶液におけるPIの濃度は、3〜45質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
PI溶液の30℃における粘度は0.01〜100Pa・sの範囲が好ましく、0.1〜50Pa・sがより好ましい。
PI溶液には、必要に応じて、各種界面活性剤やシランカップリング剤のような公知の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。また、必要に応じて、PI溶液に、PI以外の他の高分子を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
PI溶液を、基材表面に塗布し、乾燥を行うことにより、多孔質PI被膜を形成させることができ、基材とこの多孔質PI被膜とが積層一体化される。
基材へのPI溶液の塗布方法としては、ロールツーロールにより連続的に塗布する方法、枚様で塗布する方法が採用でき、いずれの方法でもよい。塗布装置としては、ダイコータ、多層ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、ドクタブレードコータ等を用いる公知の方法で行うことができる。
PI溶液として、PI前駆体溶液を用いた場合は、前記乾燥工程には、塗膜に含まれる溶媒を揮発させることにより相分離を誘起させて多孔質PAA被膜を形成させる工程1と前記多孔質PAA被膜を熱イミド化して多孔質PI被膜とする工程2とが含まれる。 工程1の温度としては、100〜200℃程度が好ましく、工程2の温度としては、350℃未満の温度、例えば250〜320℃で行うことが好ましい。なお、可溶性ポリイミド、ポリアミドイミド等、PI前駆体以外のPIを用いた場合は、前記工程2は不要となる。また、前記工程2において、共重合PAAは100%イミド化されている必要はなく、イミド化されていない共重合PAA成分が残留していてもよい。 ここで、イミド化比率は、乾燥条件、熱イミド化条件等を選ぶことによって、調整することができる。
本発明で用いられるPIは、Tgが150℃以上であることが好ましく、200℃以上がより好ましい。このようにすることにより、良好な耐熱性を確保することができる。 なお、Tgは、DSC(示差熱分析)で測定した値を用いることができる。
多孔質PI被膜の平均気孔径は、10nm以上、2000nm以下であり、20nm以上、2000nm以下がより好ましい。平均気孔径をこのようにすることにより、良好な表面平滑性と、基材との強固な接着性を確保することができる。 なお、平均気孔径は、多孔質PI被膜の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)像を倍率5000〜20000倍で取得し、市販の画像処理ソフトにより、気孔部とPI部分とに分離して解析することにより確認することができる。
多孔質PI被膜と基材との層間の接着特性は、JIS K6854−2に基づく180°剥離強度を測定することにより評価することができる。 本発明のプリント配線基板の剥離強度は、1N/cm以上とすることが好ましく、2N/cm以上とすることがより好ましい。 このような高い接着強度が、プリント配線基板の信頼性の向上に大きく寄与する。
多孔質PI被膜の気孔率は、30〜90体積%であることが好ましく、40〜85体積%であることがより好ましく、45〜80体積%であることがさらに好ましい。気孔率をこのように設定することにより、PI被膜の低誘電率化を図ることができ、高周波領域での良好な誘電特性を確保することができる。なお、多孔質PI被膜の気孔率は、多孔質PI被膜の見掛け密度と、被膜を構成するPIの真密度(比重)とから算出される値である。詳細には、気孔率(体積%)は、PI被膜の見掛け密度がA(g/cm)、PIの真密度がB(g/cm)の場合、次式により算出される。
気孔率(体積%) = 100−A*(100/B)
多孔質PI被膜の厚さは1〜100μmが好ましく、2〜50μmがより好ましい。
本発明のプリント配線基板に用いられる基材としては、例えば、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔、アルミ箔等導電性を有する金属箔を用いることができる。これら金属箔の表面は、粗面化処理や防錆処理がされていてもよい。また、金属箔表面に、非多孔質のPI層が形成されたものや、シランカップリング処理等公知のプライマ処理がされたものも、本発明のプリント配線基板用基材として用いることができる。
基材の厚みに制限はないが、通常5〜200μm程度である。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
<実施例1>
ガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、DADE:0.97モル、ポリプロピレングリコールビス(2−アミノエチル)エーテル:0.03モル (分子量2000)、DMAcおよびテトラグライムからなる混合溶媒(DMAc/テトラグライムの混合比率は質量比で3/7とした)を投入して攪拌し、ジアミン成分を溶解した。この溶液をジャケットで30℃以下に冷却しながら、PMDA:1.01モルを徐々に加えた後、40℃で5時間重合反応させ、オキシプロピレンユニットを導入した共重合PAA溶液(S−1)を得た。この溶液の固形分濃度は18質量%であった。 S−1を、電解銅箔(古河電工社製F2−WS:厚み:18μm)の粗化面上に、ドクターブレードを用いて塗布し、130℃で10分乾燥し共重合PAAの塗膜を得た。 続いて、窒素気流中、120分かけて300℃まで昇温し、300℃で60分追加乾燥して共重合PAAをイミド化し、銅箔上に厚み30μmの多孔質PI被膜が形成された積層体(P−1)を得た。この多孔質PI被膜の気孔率および平均気孔径を前記した方法で測定した結果を表1に示す。 また、この積層体の基材と多孔質PI被膜との層間の接着特性を、JIS K6854−2に基づく180°剥離強度を測定することにより評価した結果を表1に示す。 なお、表1では、剥離強度が、2N/cm以上の場合、「◎」、1N/cm以上、2N/cm未満の場合、「○」、1N/cm未満の場合、「×」と表記した。
<実施例2>
混合溶媒として、DMAc/テトラグライムの混合比率を質量比で5/5とした混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、共重合PAA溶液(S−2)を作成し、実施例1と同様にして銅箔上に積層された厚み30μmの多孔質PI被膜(P−2)を得た。P−2の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<実施例3>
ジアミンとして、「DADE:0.97モル、DASM:0.03モル (分子量860)」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、共重合PAA溶液(S−3)を作成し、実施例1と同様にして銅箔上に積層された厚み25μmの多孔質PI被膜(P−3)を得た。P−3の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<実施例4>
テトラカルボン酸二無水物として、「BPDA:1.0モル」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、共重合PAA溶液(S−4)を作成し、実施例1と同様にして銅箔上に積層された厚み20μmの多孔質PI被膜(P−4)を得た。P−4の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<実施例5>
テトラカルボン酸二無水物として、「PMDA:0.8モル、BPDA:0.2モル」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、共重合PAA溶液(S−5)を作成し、実施例1と同様にして銅箔上に積層された厚み20μmの多孔質PI被膜(P−5)を得た。P−5の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<比較例1>
ジアミンとして、「DADE:1モル」を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAA溶液(S−6)を作成し、実施例1と同様にして銅箔上に積層された厚み20μmの多孔質PI被膜(P−6)を得た。P−6の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<比較例2>
溶媒として、DMAcのみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、共重合PAA溶液(S−7)を作成し、実施例1と同様にして銅箔上に積層された厚み30μmの多孔質PI被膜(P−7)を得た。このPI被膜にはほとんど気孔が形成されていなかった。P−7の特性を実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<比較例3>
溶媒として、テトラグライムのみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、共重合PAA溶液を作成しようとしたが、均一な溶液は得られなかった。
実施例で示した様に、本発明の積層体における多孔質PI被膜は、平均気孔径が2000nm以下の微細な気孔が形成されており、そのため、多孔質PI被膜と基材間の接着性に優れることが判る。
本発明のPI溶液を用いて得られる積層体は、基材表面のPI被膜に微細な気孔が多数形成されているので、高周波特性に優れた低誘電率プリント配線基板として用いることができる。

Claims (3)

  1. ポリイミドに対する良溶媒と貧溶媒とを含有するポリイミド溶液であって、前記ポリイミドが、主鎖中にオキシアルキレンユニットおよび/またはシロキサンユニットを含むことを特徴とするプリント配線基板用ポリイミド溶液。
  2. 請求項1記載のポリイミド溶液を、基材表面に塗布後、乾燥することにより多孔質ポリイミド被膜を形成する工程を含むプリント配線基板の製造方法。
  3. 基材表面に多孔質ポリイミド被膜が積層一体化されているプリント配線基板であって、以下の特徴を有するプリント配線基板。
    1) 前記ポリイミドの主鎖中に、オキシアルキレンユニットおよび/またはシロキサンユニットを含む。
    2) 前記多孔質ポリイミド被膜の平均気孔径が10nm以上、2000nm以下である。
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