以下に添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する本発明の実施の形態は、本発明の代表的な形態を示したものに過ぎず、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明は、本発明の骨子を逸脱しない範囲、すなわち、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲で種々変更して実施することができる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成装置30の概略図である。図2は、画像形成装置30に設けられる無端状移動部材検出装置1の構成を説明するための図である。図3は、速度算出手段12の回路の模式図である。図4および図5は、中間転写ベルト2の概略図である。
本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成装置30は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機などとされており、例えば、タンデム方式のフルカラー画像形成装置とされている。また、画像形成装置30は、用紙、記録紙、転写紙、OHP(Overhead projector)シートなどのシート状記録媒体に、トナー像を記録するものである。
図1に示すように、画像形成装置30は、潜像形成手段としての光走査装置31と、潜像担持体としての感光体ドラム33Y〜33Kと、無端状移動部材としての中間転写ベルト2と、一次転写ローラ38Y〜38Kと、二次転写ローラ43と、定着装置47と、を備えている。
光走査装置31は、図示しないコンタクトガラス上の原稿から反射した反射光を受光して電気信号に変換するイメージセンサからの電気信号を画像処理する画像処理手段と、該画像処理手段によって処理された画像情報に基づいてレーザ光を主走査方向にライン走査するレーザ発光装置と、該レーザ発光装置からのレーザ光を集光するとともに主走査方向の走査速度が一定となるように補正するfθレンズと、該fθレンズによって主走査方向の走査速度が一定となったレーザ光を各感光体ドラム33Y〜33K上に照射させる反射ミラーと、を備えている。
レーザ発光装置は、レーザ光を放射する半導体レーザからなる光源と、レーザ光を主走査方向に偏向させる光偏向器と、を備えている。また、光源は、カラー画像の色分解成分であるイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのそれぞれに対応した半導体レーザが設けられている。
光偏向器は、例えば、回転多面鏡(ポリゴンミラー)、ガルバノミラーなど、レーザ光を主走査方向に偏向させることのできる公知のものを採用することができる。
感光体ドラム33Yは、イエローのトナーに対応した帯電手段としての帯電器35Yと現像手段としての現像器36Yとクリーニング装置37Yとを備え、感光体ドラム33Cは、シアンのトナーに対応した帯電器35Cと現像器36Cとクリーニング装置37Cとを備え、感光体ドラム33Mは、マゼンタのトナーに対応した帯電器35Mと現像器36Mとクリーニング装置37Mとを備え、感光体ドラム33Kは、ブラックのトナーに対応した帯電器35Kと現像器36Kとクリーニング装置37Kとを備えている。
なお、感光体ドラム33Y〜33Kと帯電器35Y〜35Kと現像器36Y〜36Kとクリーニング装置37Y〜37Kとから、画像形成装置30に対して着脱可能に形成されたプロセスユニットが構成されている。
また、感光体ドラム33Y〜33Kは、例えば、円筒形状のアルミニウム素管からなり、該アルミニウム素管の外周面に有機感光体層が設けられている。感光体ドラム33Y〜33Kは、画像形成信号に対応して走査されたレーザ光によって前記有機感光体層に静電潜像が形成され、現像器36Y〜36Kの現像剤によって未定着画像としてのトナー像が形成される。
有機感光体層は、例えば、アルミニウム素管の外周面にコーティングされるアンダコート層と、光電変換によってプラスおよびマイナスの双方の電荷を生ずる電荷発生層と、該電荷発生層で生じたプラスの電荷を輸送して表面に帯電されたマイナスの電荷を中和する電荷輸送層と、耐久性を向上させるためのオーバコート層と、を有している。
帯電器35Y〜35Kは、感光体ドラム33Y〜33Kの表面を一様に帯電させるものであって、帯電バイアスを印加することによって感光体ドラム33Y〜33Kの表面を所望の極性および所望の電位に一様に帯電させる帯電部材を備えている。帯電部材は、例えば、弾性体からなる帯電ローラや、ワイヤ電極とグリッド電極とを有するスコロトロン帯電器などを用いることができる。
現像器36Y〜36Kは、各色に対応した現像剤と、感光体ドラム33Y〜33Kに対向配置されて該感光体ドラム33Y〜33K上にトナーを供給する現像ローラと、を備えている。
現像器36Yには、カラー画像の色分解成分のイエローに対応する現像剤が収容され、現像器36Cには、カラー画像の色分解成分のシアンに対応する現像剤が収容され、現像器36Mには、カラー画像の色分解成分のマゼンタに対応する現像剤が収容され、現像器36Kには、カラー画像の色分解成分のブラックに対応する現像剤が収容されている。
現像剤は、例えば、磁性のキャリアと非磁性のトナーとからなる2成分現像剤(添加剤などが添加された場合も含む)が用いられている。キャリアとトナーとは、現像器36Y〜36Kのケーシング内で混合されることによって、キャリアが正極に帯電され、トナーが負極に帯電されている。キャリアは、例えば、鉄、フェライト等の微粉末の表面が有機重合体で被覆されて形成されている。
トナーは、例えば、加熱により溶融する接着剤としての透明な樹脂の微粒子と、シアン(水色)の顔料、マゼンタ(赤紫色)の顔料、イエロー(黄色)の顔料、ブラック(黒色)の顔料のうちのいずれか一つの顔料の微粒子と、加熱により溶融した樹脂のべたつきを抑制させるためのワックスの微粒子と、キャリアとトナーとの摩擦帯電を促進させるための帯電制御剤の微粒子と、粒子同士の付着を抑制させるための添加剤の微粒子と、が分散されて形成されている。
なお、現像剤は、前述の構成に代えて、磁性のトナーを用いることができ、また、この他の公知の現像剤を採用することができる。
現像ローラは、複数の固定磁極を有する円筒形状のマグネットローラと、該マグネットローラに外挿された非磁性の導電性の芯金と、を備えている。芯金は、例えば、中空のアルミニウム素管で構成されている。また、現像ローラは、感光体ドラム33Y〜33Kと対向する領域が現像領域とされている。
このため、現像ローラは、該現像ローラの表面に現像剤を汲み上げて当該表面に担持しながら回転し、担持した現像剤を感光体ドラム33Y〜33Kと対向する現像領域に搬送することができる。
また、現像ローラは、現像バイアス電源から現像バイアスが印加されている。このため、前記現像領域において、現像ローラの表面の電位と感光体ドラム33Y〜33Kの表面の静電潜像部分における電位との間に電位差が生じ、この電位差によって形成される現像電界の作用を受けて、現像剤中のトナーが静電潜像に付着される。
このように、現像ローラから感光体ドラム33Y〜33K上の静電潜像へトナーを付着させることによって、感光体ドラム33Y〜33K上の静電潜像が未定着画像としてのトナー像となる。
クリーニング装置37Y〜37Kは、シート状記録媒体上に転写されずに感光体ドラム33Y〜33Kの表面に残留した転写残トナーを当該感光体ドラム33Y〜33Kの表面から除去するものである。クリーニング装置37Y〜37Kは、前記感光体ドラム33Y〜33Kの表面上の転写残トナーを掻き取って除去するブレード部材を備えている。
ブレード部材は、転写残トナーの他に、シート状記録媒体の紙粉、帯電器35Y〜35Kによって感光体ドラム33Y〜33Kを帯電させた際の放電生成物、現像剤に添加されている添加剤などの不純物等を、感光体ドラム33Y〜33Kから除去するものである。
また、ブレード部材は、例えば、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂で形成されており、感光体ドラム33Y〜33Kの回転方向に対してカウンタ方向となるように設けられ、当該感光体ドラム33Y〜33Kの表面に接触されている。
中間転写ベルト2は、無端状のベルトであって、駆動ローラ39と従動ローラ40とテンションローラ41とに張架されている。また、中間転写ベルト2は、図示しないベルトクリーニング装置を備えている。
中間転写ベルト2は、例えば、フッ化ビニリデン樹脂(PVDF樹脂)、四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂(ETFE樹脂)、ポリイミド樹脂(PI樹脂)、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)などの単層または複数層で構成され、カーボンブラック等の導電性材料が分散されている。
また、中間転写ベルト2は、トナーの電荷の極性とは逆の極性でバイアスが印加されている。このため、感光体ドラム33Y〜33Kの表面から中間転写ベルト2側にトナーを引き寄せて当該中間転写ベルト2上にトナー像が転写される。
ベルトクリーニング装置は、中間転写ベルト2に当接するウレタンゴムなどの弾性体で構成されたクリーニングブレードを備えている。クリーニングブレードは、揺動可能なブレードホルダに着脱可能に保持されている。
クリーニングブレードは、中間転写ベルト2の周回方向に対してカウンタ方向で当該中間転写ベルト2の表面に接触し、中間転写ベルト2の表面の転写残トナーが堰き止められて除去される。
このように、クリーニングブレードが中間転写ベルト2の表面に接触するので、転写残トナーの他に、シート状記録媒体の紙粉、現像剤に添加されている添加剤などの不純物等が中間転写ベルト2の表面から除去される。中間転写ベルト2から除去された転写残トナーなどは、ベルトクリーニング装置内に設けられている搬送手段によってトナー回収部に回収される。
一次転写ローラ38Y〜38Kは、感光体ドラム33Y〜33Kに対向配置されている。一次転写ローラ38Y〜38Kは、導電性軸体と、該導電性軸体に外挿された導電性弾性体と、を備えている。一次転写ローラ38Y〜38Kは、感光体ドラム33Y〜33Kとの間で一次転写ニップが形成されている。
一次転写ローラ38Y〜38Kは、感光体ドラム33Y〜33K上のトナーの電荷の極性とは逆の極性でバイアスが印加されている。このため、感光体ドラム33Y〜33Kの表面から中間転写ベルト2側にトナーが引き寄せられて当該中間転写ベルト2の表面にトナー像が一次転写される。
導電性軸体は、円柱形状の棒状に形成されており、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属で構成されている。なお、導電性軸体は、炭素繊維、金属繊維、表面に金属めっきが施された樹脂製の棒など、機械的強度の高くて導電性を有する材料を用いることができる。
導電性弾性体は、前記導電性軸体に外挿される円筒形状に形成されており、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)などにカーボンブラック等の導電性材料が添加されたスポンジゴムが用いられている。
二次転写ローラ43は、中間転写ベルト2が張架された対向ローラ42に対して対向配置されており、該対向ローラ42との間に二次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ43は、導電性軸体と、該導電性軸体に外挿された導電性弾性体と、を備えている。
二次転写ローラ43は、中間転写ベルト2上のトナーの電荷の極性とは逆の極性でバイアスが印加されている。このため、中間転写ベルト2の表面から、前記二次転写ニップに狭持されるシート状記録媒体側にトナーが引き寄せられて当該シート状記録媒体上にトナー像が二次転写される。
導電性軸体は、一次転写ローラ38Y〜38Kと同様に、導電性の金属で構成され、また、導電性弾性体は、一次転写ローラ38Y〜38Kと同様に、導電性のスポンジゴムで構成されている。
対向ローラ42は、二次転写ローラ43と同様に、導電性の金属で構成された導電性軸体と、該導電性軸体に外挿されて導電性のスポンジゴムで構成された導電性弾性体と、を備えている。
定着装置47は、シート状記録媒体上の未定着画像としてのトナー像を加熱および加圧して当該シート状記録媒体上に定着させるものである。定着装置47は、定着ローラと、該定着ローラに対向配置されるとともに圧接されて当該定着ローラを回転駆動させる押圧ローラと、を備えている。前記定着ローラと前記押圧ローラとが互いに圧接されて、定着ニップが形成されている。
定着ローラは、例えば、円筒形状に形成された芯金と、該芯金の外周面を被覆する弾性層と、該弾性層の外周面を被覆する離型層と、前記芯金内に設けられた加熱源としてのヒータと、を備えている。
芯金は、例えば、ステンレス鋼や機械構造用炭素鋼鋼管など、機械的強度の高い金属等の公知の材料で構成されている。芯金は、定着ニップを通過するシート状記録媒体よりも幅広(長尺)に形成されている。
弾性層は、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、発泡性シリコーンゴム等の弾性材料で構成されている。離型層は、例えば、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA樹脂)、四フッ化エチレン樹脂(PTFE樹脂)等のフッ素樹脂で構成されている。
ヒータは、セラミックヒータやハロゲンヒータなどの公知の加熱手段が用いられている。ヒータは、温度検知センサによって検知された定着ローラの表面温度に基づいて出力制御され、定着ローラの表面温度が所定の温度に保持されている。
押圧ローラは、定着ローラと同様に、機械的強度の高い金属等で構成された芯金と、弾性材料で構成された弾性層と、フッ素樹脂で構成された離型層と、を備えている。押圧ローラは、モータなどの駆動装置によって回転駆動され、対向配置されて圧接される定着ローラを回転駆動させる。
このように構成された画像形成装置30は、さらに、図2に示すように、無端状移動部材としての中間転写ベルト2の搬送速度および寄り量を検出するための無端状移動部材検出装置1を備えている。
無端状移動部材検出装置1は、コヒーレント光としてのレーザビーム5を中間転写ベルト2の表面に照射する光源4と、中間転写ベルト2の表面を二次元画像として取得可能であるエリアセンサ7と、中間転写ベルト2の移動とともに一定時間間隔で前記エリアセンサ7に結像されるスペックルパターン(図4(B)参照)SPを画像パターン(図7(A)参照)Pとして取得する画像パターン取得手段9と、前記画像パターン取得手段9で取得した画像パターンPを演算することにより中間転写ベルト2の速度を算出する速度算出手段12と、前記中間転写ベルト2のホームポジションに対応してホームポジション信号を生成するホームポジション信号生成手段と、前記ホームポジション信号生成手段からのホームポジション信号に基づいて前記エリアセンサ7によって画像パターンPを取得するための取得タイミングを生成するタイミング生成手段11と、前記画像パターン取得手段9で取得した画像パターンPを演算することにより中間転写ベルト2の搬送方向(図4(A)参照)Xに対して直交である方向(寄り方向Y)の移動量(寄り量)を算出する直交移動算出手段13と、一連の手段を制御するための制御コントローラ14と、駆動ローラ39を回転駆動するモータ17、および、従動ローラ40のステアリングを調整するステアリング調整装置19の双方を駆動するための駆動部(モータドライバ)15と、を備えている。
光源4は、コヒーレント光であるレーザビーム5を出射する半導体レーザ素子と、該半導体レーザ素子から出射されたレーザビーム5を略平行光にするコリメートレンズと、を備えている。なお、半導体レーザ素子は、中間転写ベルト2上にスペックルパターン(図4(B)参照)SPが明瞭に形成される出力に設定されている。
エリアセンサ7は、中間転写ベルト2の表面を二次元画像として取得する固体撮像素子と、中間転写ベルト2の表面に照射されたレーザビーム5によって形成されたスペックルパターンSPを前記固体撮像素子に結像させるための図示しない結像光学系と、を備えている。
また、エリアセンサ7は、中間転写ベルト2の表面の平面に対して平行に配置されている。すなわち、エリアセンサ7の光軸が、中間転写ベルト2の表面の平面に対して直交するように配置されている。また、エリアセンサ7は、図4(A)に示すように、後述するホームポジションマーク(図4(A)参照)3の一部を検出することのできる領域を、前記エリアセンサ7の検出領域としての検知エリアR0としている。
固体撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)またはCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)が用いられている。なお、CMOSイメージセンサでは、画素単位のデータが得られることから画像処理をしやすくなるので、エリアセンサ7の固体撮像素子として好適に用いることができる。
画像パターン取得手段9は、図2に示すように、中間転写ベルト2の移動とともに一定時間間隔でエリアセンサ7の固体撮像素子に結像されるスペックルパターン(図4(B)参照)SPの画像が入力されるようになっている。
また、画像パターン取得手段9は、前記エリアセンサ7の固体撮像素子に対して、中間転写ベルト2の移動とともに一定時間間隔でスペックルパターンSPの画像を結像(すなわち露光)させるために、エリアセンサ7に設けられた図示しないシャッター装置の電子シャッターの開閉を制御する制御信号が出力されるようになっている。
また、画像パターン取得手段9は、中間転写ベルト2の搬送速度、固体撮像素子の感度、光源4から照射されるレーザビーム5の強度などに応じて、中間転写ベルト2上のスペックルパターンSPを固体撮像素子で明瞭に読み取ることのできる露光時間となるように制御している。
また、画像パターン取得手段9は、中間転写ベルト2の移動とともに一定時間間隔で取得したスペックルパターンSPの画像を画像パターン(図7(A)または図7(B)参照)Pとして速度算出手段12と直交移動算出手段13とのそれぞれに出力するようになっている。
速度算出手段12は、図3に示すように、後述するタイミング生成手段11からの取得タイミングに基づいて画像パターン取得手段9から一定時間間隔で出力された二次元画像である画像パターンPをフーリエ変換する高速フーリエ変換部21と、該高速フーリエ変換部21で変換した結果のうち、スペックルパターンSPの相関演算には必要としない画像のバックグランドである空間周波数の低周波数の領域を削除して記憶するメモリ22と、該メモリ22に記憶された結果を読み出して、記憶時に削除された部分を0で置き換えた後に共役複素数に変換する共役複素数変換部23と、該共役複素数変換部23の結果および当該共役複素数変換部23の結果に対応する時間間隔が隣接する画像パターンPを前記高速フーリエ変換部21で変換した結果の双方を掛け合わせる複素乗算部24と、該複素乗算部24の結果を逆フーリエ変換する逆高速フーリエ変換部25と、該逆高速フーリエ変換部25の結果をサブピクセル処理して相関ピークを導出するピーク位置検知部26と、該ピーク位置検知部26の導出した相関ピークを中間転写ベルト2の搬送方向(X方向)および寄り方向(Y方向)に関してベクトル分解して当該中間転写ベルト2の搬送速度と変位(斜行)とを出力するベクトル分解部27と、を備えている。
また、速度算出手段12は、メモリ22に記憶された画像パターン(図7(A)参照)P1の画像情報と、タイミング生成手段からの取得タイミングに基づいて取得された中間転写ベルト2上のホームポジションにおける画像パターン(図7(B)参照)P2の画像情報と、を比較して当該中間転写ベルト2の搬送方向Yの移動速度を算出するように構成されている。
本実施例では、詳しくは、速度算出手段12は、周回する中間転写ベルト2上のホームポジションマーク3をホームポジション信号生成手段が検知した際に、前記中間転写ベルト2の回転が一回転目であるときにはメモリ22に、一回転目の画像パターン(図7(A)参照)P1の画像情報を記憶させ、また、前記中間転写ベルト2の回転が二回転目(および二回転目以降)であるときには、二回転目(および二回転目以降)の画像パターン(図7(B)参照)P2の画像情報と、前記メモリ22に記憶された一回転目の画像パターンP1の画像情報とを相関演算して比較するようになっている。
なお、画像パターンPの画像情報が入力される直交移動算出手段13における一定時間間隔とは異なる別途の時間間隔で、エリアセンサ7で撮像された画像パターンPの画像情報を速度算出手段12に入力するようにしてもよい。
例えば、速度算出手段12の時間間隔は、時間間隔の隣接する画像パターンP同士を相関演算した際に、スペックルパターンSPの変化(搬送方向Xの変位および寄り方向Yの変位)を比較できる程度の時間間隔であって、直交移動算出手段13の時間間隔に比べて相対的に短い時間間隔に設定されている。
また、速度算出手段12は、時間間隔の隣接する画像パターンPの画像情報を順次比較し、画像パターンPの位置ズレを相関ピーク位置として求めるように構成されている。
さらに、速度算出手段12は、スペックルパターンSPの相関演算には必要としない画像のバックグランドである空間周波数の低周波数の領域を削除してメモリ22に記憶させることによって、記憶容量を削減させることができ、また、削除せずに記憶させる場合に比べて、フーリエ変換の実行回数を減らすことができて算出効率を向上させることができる。
また、図8に示すように、速度算出手段12においては、搬送方向Xに対して画像パターンP上の画像情報が十分に得られるように、搬送方向Xに長尺となる矩形状の搬送方向エリアHを画像情報として処理するようになっている。
すなわち、速度算出手段12は、搬送方向Xの画像情報を十分に確保することによって正確に搬送速度を算出することができるとともに、寄り方向Yの画像情報を削減することによって相関演算処理の負荷を軽減させることができる。
速度算出手段12のメモリ(図3参照)22は、例えば、電源の供給がなくても画像パターン(図7(A)参照)Pの画像情報の記憶を保持することができ、記憶内容の一部を選択的に消去することができるとともに再書き込みが可能であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリが用いられている。
このように、速度算出手段12のメモリ22として不揮発性メモリが用いられているので、例えば、移動部材検出装置1が再起動された際に、画像パターンPの画像情報を記憶させるためのステップを省略することができ、実動作に早く移行することができる。
なお、ベクトル分解部(図3参照)27からは、中間転写ベルト2の搬送速度のみに関する情報が後述する制御コントローラ(図2参照)14に入力されるようになっている。
ホームポジション信号生成手段は、図2および図4に示すように、中間転写ベルト2の表面に設けられたホームポジションマーク3と、該ホームポジションマーク3を検出するホームポジションセンサ10と、を備えている。
ホームポジションマーク3は、例えば、図5(A)に示すように、搬送方向Xにおける前方側から後方側に向かって延在される一対の延在部3a,3bを備えている。ホームポジションマーク3は、数学記号である不等号の>形状に形成されている。
一対の延在部3a,3bは、搬送方向Xにおける前方側から後方側に向かって互いに徐々に離間して形成されている。一対の延在部3a,3bは、例えば、公知のレジストマークと同様の方法で中間転写ベルト2上に形成されている。
すなわち、ホームポジションマーク3は、図5(A)に示すように、エリアセンサ7の検知エリアR内において、中間転写ベルト2の寄り方向Yに対して、その形状が変化するように形成されている。
詳しくは、図5(B)ないし図5(D)に示すように、エリアセンサ7の検知エリアR内におけるホームポジションマーク3のパターン6が、中間転写ベルト2の寄り方向Yに対して異なるように形成されている。
このため、図5(B)ないし図5(D)に示すように、中間転写ベルト2の寄り方向Yに対して、ホームポジションマーク3の異なるパターン6が得られるので、パターンマッチング処理やエッジ検出処理などによって、中間転写ベルト2の寄り方向Yのおおよその位置を検知することができる。
なお、ホームポジションマーク3は、中間転写ベルト2の寄り方向Yに対して、ホームポジションマーク3の異なるパターン6が得られる形状であればよいので、数学記号である不等号の>形状に限定されることなく、種々の形状を採用することができる。
ホームポジションセンサ(図2参照)10は、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の発光素子が設けられて前記中間転写ベルト2上に光を投光する投光器と、フォトトランジスタ等の受光素子が設けられて前記中間転写ベルト2上から反射された光を受光する受光器と、を備えた、いわゆる反射型フォトセンサが用いられている。
また、ホームポジションセンサ10は、例えば、受光器の受光素子の受光量に応じた電圧を出力するアンプユニットを備えている。前記アンプユニットから出力される電圧が、ホームポジション信号生成手段におけるホームポジション信号とされている。
ホームポジションセンサ10から出力されるホームポジション信号は、後述するタイミング生成手段(図2参照)11に受信されるようになっている。
なお、ホームポジションセンサ10は、ホームポジションマーク3を検知するとともに、ホームポジション信号をタイミング生成手段11に対して出力するものであればよいので、公知のフォトインタラプタなどを採用することができる。
タイミング生成手段11(図2参照)は、例えば、一定時間周期の周期信号を生成する発振回路部と、該発振回路部の周期信号をカウントするカウンタ部と、該カウンタ部のカウントをリセットさせるリセット部と、前記カウンタ部のカウントと前記ホームポジション信号と前記周期信号とに基づいて前記エリアセンサ7によって画像パターンPを一定時間間隔で取得させるための取得タイミングが一定時間間隔で生成されるタイミング生成部と、を備えている。
また、タイミング生成手段11は、画像パターン取得手段9に取得タイミングが入力されるように、タイミング生成部で生成された取得タイミングを一定時間間隔で出力するように構成されている。
このため、タイミング生成手段11から出力された取得タイミングが画像パターン取得手段9に一定時間間隔で入力され、前記シャッター装置の電子シャッターの一定時間間隔での開閉を制御するための制御信号が画像パターン取得手段9から出力される。
すなわち、タイミング生成手段11から一定時間間隔で出力される取得タイミングに基づいて、画像パターン取得手段9から一定時間間隔で前記シャッター装置の電子シャッターの開閉が制御されるので、エリアセンサ7に一定時間間隔で中間転写ベルト2上の画像パターンPを撮像することができる。
直交移動算出手段13は、図3に示すように、速度算出手段12と同様に、タイミング生成手段からの取得タイミングに基づいて前記画像パターン取得手段9から一定時間間隔で出力された二次元画像である画像パターンPをフーリエ変換する高速フーリエ変換部21と、該高速フーリエ変換部21で変換した結果のうち、スペックルパターンSPの相関演算には必要としない画像のバックグランドである空間周波数の低周波数の領域を削除して記憶するメモリ22と、該メモリ22に記憶された結果を読み出して、記憶時に削除された部分を0で置き換えた後に共役複素数に変換する共役複素数変換部23と、該共役複素数変換部23の結果および当該共役複素数変換部23の結果に対応する時間間隔が隣接する画像パターンPを前記高速フーリエ変換部21で変換した結果の双方を掛け合わせる複素乗算部24と、該複素乗算部24の結果を逆フーリエ変換する逆高速フーリエ変換部25と、該逆高速フーリエ変換部25の結果をサブピクセル処理して相関ピークを導出するピーク位置検知部26と、該ピーク位置検知部26の導出した相関ピークを中間転写ベルト2の搬送方向(X方向)および寄り方向(Y方向)に関してベクトル分解して当該中間転写ベルト2の搬送速度と変位(斜行)とを出力するベクトル分解部27と、を備えている。
また、直交移動算出手段13は、メモリ22に記憶された画像パターン(図7(A)参照)P1の画像情報と、前記タイミング生成手段11からの取得タイミングに基づいて取得された中間転写ベルト2上のホームポジションにおける画像パターン(図7(B)参照)P2の画像情報と、を比較して当該無端状移動部材の搬送方向に対して直交である方向(寄り方向Y)の移動量(寄り量)を算出するように構成されている。
本実施例では、直交移動算出手段13は、周回する中間転写ベルト2上のホームポジションマーク3をホームポジション信号生成手段が検知した際に、前記中間転写ベルト2の回転が一回転目であるときにはメモリ22に、一回転目の画像パターン(図7(A)参照)P1の画像情報を記憶させ、また、前記中間転写ベルト2の回転が二回転目(および二回転目以降)であるときには、二回転目(および二回転目以降)の画像パターン(図7(B)参照)P2の画像情報と、前記メモリ22に記憶された一回転目の画像パターンP1の画像情報とを相関演算して比較するようになっている。
すなわち、直交移動算出手段13は、一回転目の画像パターンP1の画像情報と、周回する中間転写ベルト2上のホームポジションマーク3をホームポジション信号生成手段が検知することによって取得された二回転目以降の画像パターンP2の画像情報と、を順次比較するように構成されている。また、直交移動算出手段13は、画像パターンPの位置ズレを相関ピーク位置として求めるように構成されている。
さらに、直交移動算出手段13は、スペックルパターンSPの相関演算には必要としない画像のバックグランドである空間周波数の低周波数の領域を削除してメモリ22に記憶させることによって、記憶容量を削減させることができ、また、削除せずに記憶させる場合に比べて、フーリエ変換の実行回数を減らすことができて算出効率を向上させることができる。
また、図8に示すように、直交移動算出手段13においては、寄り方向Yに対して画像パターンP上の画像情報が十分に得られるように、寄り方向Yに長尺となる矩形状の寄り方向エリアVを画像情報として処理するようになっている。
すなわち、直交移動算出手段13は、寄り方向Yの画像情報を十分に確保することによって正確に変位(斜行)を算出することができるとともに、搬送方向Xの画像情報を削減することによって相関演算処理の負荷を軽減させることができる。
直交移動算出手段13のメモリ22は、例えば、電源の供給がなくても一回転目の画像パターンP1の画像情報の記憶を保持することができ、記憶内容の一部を選択的に消去することができるとともに再書き込みが可能であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリが用いられている。
このように、直交移動算出手段13のメモリ22として不揮発性メモリが用いられているので、例えば、移動部材検出装置1が再起動された際に、一回転目の画像パターンP1の画像情報を記憶させるためのステップを省略することができ、実動作に早く移行することができる。
なお、ベクトル分解部27からは、中間転写ベルト2の変位(斜行)のみに関する情報が後述する制御コントローラ14に入力されるようになっている。
制御コントローラ14は、図2に示すように、例えば、タイミング生成手段11を制御するための制御信号が出力され、速度算出手段12から中間転写ベルト2の搬送速度の情報が入力され、直交移動算出手段13から中間転写ベルト2の変位(斜行)の情報が入力され、後述する駆動部15を制御するための制御信号が出力されるI/O回路と、前記搬送速度の情報と変位(斜行)の情報とに基づいて前記タイミング生成手段11および前記駆動部15の双方の制御を決定する集積回路(Integrated Circuit:IC)と、を備えている。
駆動部15は、例えば、前記中間転写ベルト2の搬送速度の情報と変位(斜行)の情報とに基づいて前記制御コントローラ14から出力された制御信号によって、中間転写ベルト2を回転駆動させるモータ17の駆動と、中間転写ベルト2が張架される従動ローラ40のステアリング調整装置19の駆動と、を制御するための電力を出力するように構成されている。
このため、直交移動算出手段13からの変位(斜行)の情報に基づいて、制御コントローラ14によって前記中間転写ベルト2の斜行(張架姿勢の傾き)が発生していると判断された場合、または、中間転写ベルト2の寄り方向Yへの変位が発生していると判断された場合には、図2に示すように、制御コントローラ14から制御信号が出力され、中間転写ベルト2が張架される従動ローラ40のステアリングを調整するためのステアリング調整装置19と、中間転写ベルト2を周回駆動させる駆動ローラ39を駆動するためのモータ17とが駆動部15によって駆動され、中間転写ベルト2の斜行または変位、あるいは、中間転写ベルト2の斜行および変位を解消することができる。
なお、ステアリング調整装置19は、中間転写ベルト2に対して従動ローラ40のステアリングを調整することのできるステアリング機構やステアリング装置などの公知のものを採用することができる。また、画像パターン取得手段9と速度算出手段12と直交移動算出手段13と制御コントローラ14と駆動部15とは、例えば、ワンチップマイコンで構成してもよい。
次に、上述の如く構成された本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成装置30における動作および処理について説明する。
図1に示すように、画像形成装置30の操作部のスタートキーが押下され、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に対応した感光体ドラム33Y〜33Kが回転駆動され、この各色に対応した感光体ドラム33Y〜33Kの表面が帯電器35Y〜35Kによって所定の極性に一様に帯電される。
また、図示しない画像読み取り装置によってコンタクトガラス上の原稿の画像情報が副走査方向にライン走査されて読み取られ、光走査装置31に送られる。
光走査装置31に送られた画像情報は、フルカラー画像である画像情報を画像処理手段によってイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックのそれぞれの色情報に分解した単色の画像情報とされ、各色に対応した単色の画像情報に基づいてレーザ光が主走査方向にライン走査され、各色に対応した感光体ドラム33Y〜33K上にレーザ光が照射される。
光走査装置31から照射されたレーザ光によって、感光体ドラム33Y〜33K上には、原稿の単色の画像情報に対応した静電潜像が形成され、各色に対応した現像器36Y〜36Kから各色に対応した現像剤が感光体ドラム33Y〜33K上に供給され、静電潜像から未定着のトナー像が形成される。
このとき、中間転写ベルト2および一次転写ローラ38Y〜38Kは、感光体ドラム33Y〜33K上の未定着のトナー像のトナーの帯電極性とは逆極性のバイアスが印加され、感光体ドラム33Y〜33Kと中間転写ベルト2との間で転写電界が形成される。
中間転写ベルト2が矢印b方向(図面上では、時計回り)に周回され、感光体ドラム33Y〜33K上のトナー像が前記転写電界によって中間転写ベルト2上に順次重ね合わされて転写され、中間転写ベルト2上にフルカラーのトナー像が形成される。
図示しない用紙カセットから一枚のシート状記録媒体が給送され、レジストローラによってタイミングが計られて二次転写ローラ43の転写ニップに送り出される(矢印a)。
このとき、二次転写ローラ43には、中間転写ベルト2上のフルカラーのトナー像のトナーの帯電極性とは逆極性のバイアスが印加され、中間転写ベルト2と二次転写ローラ43との間に転写電界が形成される。
前記転写電界によって、中間転写ベルト2上のフルカラーのトナー像が、二次転写ローラ43の転写ニップに狭持されたシート状記録媒体上に一括で転写される。
このとき、感光体ドラム33Y〜33Kの表面に残留する転写残トナーなどは、クリーニング装置37Y〜37Kによって感光体ドラム33Y〜33Kの表面から除去される。また、感光体ドラム33Y〜33Kの表面は、除電装置から除電作用を受けて、その表面電位が初期化されて次の画像形成に備えられる。
また、中間転写ベルト2の表面に残留する転写残トナーなどは、ベルトクリーニング装置によって中間転写ベルト2の表面から除去される。
フルカラーのトナー像が転写されたシート状記録媒体は、搬送装置45によって定着装置47に搬送され、当該シート状記録媒体に熱と圧力とが加えられてフルカラーのトナー像が定着される。
フルカラーのトナー像が定着されたシート状記録媒体は、画像形成装置30の図示しない排紙トレイに排紙され、該排紙トレイ上にスタックされる。
このとき、中間転写ベルト2は、図2に示す無端状移動部材検出装置1によってその搬送速度と変位(斜行)とが検出される。図4(A)に示すように、中間転写ベルト2上の検知エリアR0に光源4からレーザビーム(図2参照)5が照射され、図4(B)に示すように、中間転写ベルト2の表面に前記レーザビーム5の散乱光であるスペックルパターンSPが形成される。
検知エリアR0内に形成されたスペックルパターンSPは、ホームポジションマーク3を検知したタイミング生成手段11からの取得タイミングに基づいて、画像パターン取得手段9による制御で前記中間転写ベルト2の一回転ごとにエリアセンサ7の固体撮像素子に撮影され、画像パターンPとして画像パターン取得手段9に出力される(ステップS1、S2)。
詳しくは、速度算出手段12には、直交移動算出手段13における一定時間間隔とは異なる別途の時間間隔となる中間転写ベルト2の画像パターンPが入力される。
また、直交移動算出手段13には、中間転写ベルト2の一回転目の画像パターン(図7(A)参照)P1、および、中間転写ベルト2の二回転目以降の画像パターン(図7(B)参照)P2のそれぞれが入力される。
なお、図7(A)および図7(B)では、6画素×6画素の解像度を有する固体撮像素子の捉えた画像パターンP1を模式的に表したものであって、これに限定されるものではない。
速度算出手段12では、直交移動算出手段13における一定時間間隔とは異なる別途の時間間隔で取得された画像パターンPの画像情報がメモリ22に記憶されるとともに、該メモリ22に記憶された画像情報よりも新しい画像パターンPの画像情報と、前記メモリ22に記憶された画像情報とが相関演算処理されて比較され、中間転写ベルト2の搬送速度が検出される。
また、速度算出手段12では、順次取得された画像パターンPの画像情報がメモリ22に順次記憶されるとともに、順次取得されて前記メモリ22に順次記憶された画像情報よりも新しい画像パターンPの画像情報と、前記メモリ22に順次記憶された画像情報とが相関演算処理されて比較されるので、中間転写ベルト2の搬送速度をリアルタイムに検出することができる。
直交移動算出手段13では、一回目の画像パターンP1の画像情報がメモリ22に記憶されるとともに、二回目以降の画像パターンP2の画像情報と、前記メモリ22に記憶された一回目の画像パターンP1の画像情報とが相関演算処理されて比較され、中間転写ベルト2の一回転ごとの変位(斜行)が検出される(ステップS3:NO、ステップS5ないしステップS7)。
具体的には、例えば、図7(A)および図7(B)に示すような一回目の画像パターンP1および二回目以降の画像パターンP2が得られた場合には、一回目の画像パターンP1に対して、二回目以降の画像パターンP2におけるスペックルパターンSPの変位が矢印eで示すベクトルで表される。
すなわち、図7(A)および図7(B)に示すような画像パターンPが得られた場合には、スペックルパターンSPの矢印eで示されるベクトルの寄り方向Yの成分によって、中間転写ベルト2に寄りが発生していると判断することができる。
また、スペックルパターンSPの矢印eで示されるベクトルの寄り方向Yの変位が、画像パターンP2上における1画素分であることから、該1画素分に対応する移動量(寄り量)を算出することができる。
なお、中間転写ベルト2の一回転ごと(すなわち二回転目以降)のホームポジションにおける画像パターンP2と、一回転目のホームポジションにおける画像パターンP1とを相関演算処理して比較するので、たとえエリアセンサ7の取付位置が傾いていたとしても、寄りの発生していない状態で中間転写ベルト2が周回されている場合には、一回転目の画像パターンP1と二回転目以降の画像パターンP2におけるスペックルパターンSPの寄り方向Yの変位が検出されない。このため、中間転写ベルト2の不要な調整を行ってしまうことを防止することができる。
また、エリアセンサ7の取付位置が傾いており、寄りの発生している状態で中間転写ベルト2が周回されている場合には、二回転目以降の画像パターンP2上のスペックルパターンSPの寄り方向Yの変位を検出できるとともに寄り量を検出できるので、中間転写ベルト2を適切に調整することができる。
このように、一回転目の中間転写ベルト2のホームポジションにおける画像パターンP1と、二回転目以降の中間転写ベルト2のホームポジションにおける画像パターンP2とを相関演算処理して比較することによって、中間転写ベルト2の寄り方向の変位(斜行)と移動量(寄り量)とを検出することができるので、各色のトナー像の重ね合わせ(色重ね)に対して誤差成分となる張架姿勢を検出し、該張架姿勢を制御したり、出力画像の調整をしたりすることによって、色ズレのない高精度なフルカラー画像を得ることができる。
また、検出された寄り方向Yと寄り量とに基づいてステアリング制御を行うことができるので、寄り方向Yに関して中間転写ベルト2の搬送位置を一定に保つように制御することができる。
したがって、中間転写ベルト2の寄り方向Yの位置が変化しないように制御することによって、中間転写ベルト2上においては位置ズレや色ズレのない高品質なフルカラーのトナー像を担持させることができ、画像形成装置30から出力される出力画像の高精度化を図ることができる。
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、周回する中間転写ベルト2に対してレーザビーム5を照射させるための光源4と、二次元画像を取得可能なエリアセンサ7と、前記光源4からレーザビーム5が前記中間転写ベルト2に対して照射された際のスペックルパターンSPを前記エリアセンサ7に結像させる結像光学系と、前記中間転写ベルト2の移動とともに一定時間間隔で前記エリアセンサ7に結像される前記スペックルパターンSPを画像パターンPとして取得する画像パターン取得手段9と、前記画像パターン取得手段9で取得した画像パターンPを演算することにより前記中間転写ベルト2の速度を算出する速度算出手段12と、を有する無端状移動部材検出装置1であって、前記中間転写ベルト2のホームポジションに対応してホームポジション信号を生成するホームポジション信号生成手段と、該ホームポジション信号生成手段からのホームポジション信号に基づいて前記エリアセンサ7によって画像パターンPを取得するための取得タイミングを生成するタイミング生成手段11と、前記画像パターン取得手段9で取得した画像パターンPを演算することにより前記中間転写ベルト2の搬送方向Yに対して直交である方向(寄り方向Y)の移動量(寄り量)を算出する直交移動算出手段13と、を備え、前記タイミング生成手段11からの取得タイミングに基づいて取得された前記中間転写ベルト2のホームポジションにおける画像パターンPの画像情報がメモリ22に記憶され、前記直交移動算出手段13が、前記メモリ22に記憶された画像パターンPの画像情報と、前記タイミング生成手段11からの取得タイミングに基づいて取得された前記中間転写ベルト2のホームポジションにおける画像パターンPの画像情報と、を比較して当該中間転写ベルト2の搬送方向Xに対して直交である方向(寄り方向Y)の移動量(寄り量)を算出することを特徴とするものである。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、直交移動算出手段13が、タイミング生成手段11からの最初の取得タイミングに基づいて取得された前記中間転写ベルト2のホームポジションにおける一回転目の画像パターンP1の画像情報をメモリ22に記憶させるとともに、前記タイミング生成手段11からの二回目以降の取得タイミングに基づいて取得された前記中間転写ベルト2のホームポジションにおける二回転目以降の画像パターンP2の画像情報と、前記メモリ22に記憶させた一回転目の画像パターンP1の画像情報と、を比較して当該中間転写ベルト2の搬送方向Xに対して直交である方向(寄り方向Y)の移動量(寄り量)を算出することを特徴とするものである。
このように、メモリ22に記憶された画像パターンPの画像情報と、タイミング生成手段11からの取得タイミングに基づいて取得された画像パターンPの画像情報とを直交移動算出手段13で比較演算させ、中間転写ベルト2の搬送方向Xに対して直交である方向(寄り方向Y)の移動量(寄り量)を算出させるので、たとえエリアセンサ7の取付姿勢が傾いていたとしても、中間転写ベルト2の寄りが発生していない場合には、スペックルパターンSPの寄り方向Yの変化が検出されない。このため、中間転写ベルト2の位置が不適切に調整されてしまうことを防止することができる。
また、エリアセンサ7の取付姿勢が傾いており、中間転写ベルト2の寄りが発生している場合には、スペックルパターンSPの寄り方向Yの寄り量を検出できるので、前記中間転写ベルト2の位置を適切に調整することができる。
また、中間転写ベルト2の張架姿勢が傾いているとともに当該中間転写ベルト2の寄りが発生していない場合には、スペックルパターンSPの寄り方向Yの変化が検出されず、また、中間転写ベルト2の張架姿勢が傾いているとともに当該中間転写ベルト2の寄りが発生している場合には、スペックルパターンSPの寄り方向の変化を検出できるので、前記中間転写ベルト2の位置を適切に調整することができる。
すなわち、中間転写ベルト2の搬送方向Xに対して同一化させた箇所(すなわちホームポジション)を比較演算することによって、中間転写ベルト2の張架姿勢の傾き、および、エリアセンサ7の取付姿勢の傾きの双方に影響されることなく、中間転写ベルト2の寄り方向YのスペックルパターンSPの移動を正確に検出し、安定した寄り制御を行うことができる。
また、スペックルパターンSPは十分に微細であり、このスペックルパターンSPの変位から中間転写ベルト2の寄り方向の寄り量を検出するので、中間転写ベルト2の寄り量を高精細に検知することができる。
したがって、中間転写ベルト2の寄り量の誤検知による当該中間転写ベルト2の脱落や破損の虞を回避し、中間転写ベルト2の蛇行を高精度に制御することができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、メモリ22が、不揮発性メモリであるので、電源を供給しなくても画像パターンP(P1)の画像情報の記憶を保持することができることから、移動部材検出装置1が再起動された際に、画像パターンP(P1)の画像情報を記憶させるためのステップを省略することができ、実動作に早く移行することができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、ホームポジション信号生成手段が、中間転写ベルト2の表面に設けられるホームポジションマーク3を備え、前記ホームポジションマーク3が、前記中間転写ベルト2の寄り方向に対してパターンが異なるように形成されているので、中間転写ベルト2の寄りが発生している状態では、エリアセンサ7に撮像される画像パターンPにおける前記中間転写ベルト2の寄り方向Yに対して、ホームポジションマーク3の異なるパターン6が得られる。このため、パターンマッチング処理やエッジ検出処理などによって、中間転写ベルト2の寄り方向Yのおおよその位置を検知することができる。
すなわち、ホームポジションマーク3における絶対位置をエリアセンサ7によって検出可能となるので、中間転写ベルト2の変位の検出範囲を拡大することができるとともに、直交移動算出手段13の演算処理の負荷の低減を図ることができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、画像パターン取得手段9で取得した画像パターンPの画像情報のうち、中間転写ベルト2の搬送方向Xの画像情報を抽出した搬送方向エリアHが速度算出手段12で演算されるとともに、前記中間転写ベルト2の寄り方向Yの画像情報を抽出した寄り方向エリアVが直交移動算出手段13で演算されるので、寄り方向Yの画像情報を削減することによって速度算出手段12における相関演算処理の負荷を軽減させることができるとともに、搬送方向Xの画像情報を削減することによって直交移動算出手段13における相関演算処理の負荷を軽減させることができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、画像パターンPをフーリエ変換したデータをメモリ22に記憶させるようにしているので、メモリ22に画像パターンPを保存させる場合よりも、当該メモリ22の容量を減らすことができる。
また、本発明の第1の実施の形態にかかる画像形成装置30は、静電潜像が担持される感光体ドラム33Y〜33Kと、該感光体ドラム33Y〜33Kを帯電させる帯電器35Y〜35Kと、前記感光体ドラム33Y〜33K上に静電潜像を形成する光走査装置31と、前記静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像器36Y〜36Kと、前記トナー像が転写される中間転写ベルト2と、該中間転写ベルト2の搬送速度および変位を検出する無端状移動部材検出装置1と、を有するので、中間転写ベルト2の脱落や破損の虞を回避し、当該中間転写ベルト2の蛇行を高精度に制御することができるので、画像位置精度や位置合わせ精度の高い高品質な画像を形成することができる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1について説明する。なお、前述した第1の実施の形態と同一部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、中間転写ベルト2のホームポジションを基準とし、該基準から一定時間周期で当該中間転写ベルト2の一回転分の画像パターンPを順次取得させるとともに当該画像パターンPの画像情報をメモリ22に記憶させ、該メモリ22に記憶させた一回転分の画像パターンPの画像情報と、エリアセンサ7で撮像された画像パターンPの画像情報とを相関演算処理させることによって、中間転写ベルト2の一回転内の寄り変化を検出できるようにしたことが第1の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1とは異なっている。
すなわち、中間転写ベルト2の一回転分の画像パターンPの画像情報をリファレンスとしてメモリ22に記憶させ、該メモリ22に記憶させた画像情報の取得位置に対応した位置で撮像されたエリアセンサ7の画像パターンPの画像情報と、前記メモリ22に記憶させた前記取得位置に対応した画像情報とを相関演算するようになっている。
詳しくは、図2に示すように、タイミング生成手段11が、ホームポジションセンサ10によるホームポジションマーク(図4(A)参照)3の検知時から一定時間ごとに、エリアセンサ7によって画像パターンPを取得するための取得タイミングが生成するように構成されている。また、タイミング生成手段11の生成する取得タイミングが、中間転写ベルト2の一回転内で複数回となるようになっている。
このため、中間転写ベルト2の二回転目以降にエリアセンサ7で撮像された画像パターンPとの相関演算を行うことができ、中間転写ベルト2の一回転内の寄り変化を観測することができる。
また、中間転写ベルト2上の同一箇所を撮像して相関演算できるように、ホームポジション信号および取得タイミングをカウント管理するようになっている。
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、中間転写ベルト2のホームポジションを基準とした一定時間周期で当該中間転写ベルト2の一回転分の画像パターンPを取得するとともに当該画像パターンPの画像情報をメモリ22に記憶させるので、中間転写ベルト2の一回転内の寄り変化を検出することができる。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1について、図9ないし図12を参照して説明する。図9は、ホームポジションセンサ10と画像取得クロックとのタイミングチャートである。図10は、画像取得クロックに基づいて取得された画像パターンPを示す図である。図11および図12は、中間転写ベルト2の寄り成分の積算を示す図である。なお、前述した第1の実施の形態と同一部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、中間転写ベルト2のホームポジションを基準とし、該基準から一定時間周期で画像パターンPを順次取得させることによって、中間転写ベルト2の寄り量(寄り方向Yの移動量)を一定時間周期で順次積算し、中間転写ベルト2の寄り方向Yの位置を検出できるようにしたことが第1および第2の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1とは異なっている。
詳しくは、図9に示すように、タイミング生成手段11が、ホームポジションセンサ10によるホームポジションマーク3の検知時から一定時間となる待ち時間(ディレイタイム)Tdの後に、一定時間周期となるサンプリングタイムTsを生成するように構成されている。
サンプリングタイムTsは、該サンプリングタイムTsに基づいて取得される時間間隔の隣接する画像パターンP同士を相関演算した際に、スペックルパターンSPの変化(搬送方向Xの変位および寄り方向Yの変位)を比較することのできる程度の周期に設定されている。
すなわち、サンプリングタイムTsは、時間間隔の隣接する画像パターンP同士のスペックルパターンSPの重なりがでるような時間間隔となっている。
このように構成された本発明の第3の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1においては、図10(A)および図10(B)に示すように、待ち時間Tdの経過時に1サンプル目の画像パターンP1が取得され、前記1サンプル目の画像パターンP1の取得後の最初のサンプリングタイムTsの経過時に2サンプル目の画像パターンP2が取得される。
このとき、エリアセンサ7のシャッター装置の電子シャッターがタイミング生成手段11で生成された画像取得クロックに基づいて切られ、設定された蓄積時間の後に各画素のデータが画像パターン取得手段9に転送される。
また、1サンプル目の画像パターンP1を取得した後、次の2サンプル目の画像パターンP2が取得されるまでのあいだに、中間転写ベルト2は搬送方向Xに移動するため、図10(B)中のX方向に移動する。これと同時に、中間転写ベルト2にY方向の移動が生じていると、寄り方向Yの成分も加算されるため、X方向とY方向とを合わせたベクトル方向eに移動が生じる。
直交移動算出手段13によって、取得された1サンプル目の画像パターンP1と2サンプル目の画像パターンP2との相関演算が行われ、前記最初のサンプリングタイムTsでの前記中間転写ベルト2の単位時間当りの寄り量(寄り方向Yの移動量)が算出される。
また、相関演算によって得られたベクトルをX方向とY方向とに分解することによって、中間転写ベルト2の搬送速度と寄り方向Yの移動とが得られる。
前記2サンプル目の画像パターンP2の取得後の2回目のサンプリングタイム2Tsの経過時に3サンプル目の画像パターン(不図示)が取得され、直交移動算出手段13によって、2サンプル目の画像パターンP2と3サンプル目の画像パターンとの相関演算が行われ、前記2回目のサンプリングタイム2Tsでの前記中間転写ベルト2の単位時間当りの寄り量(寄り方向Yの移動量)が算出される。
このようにして、一定時間周期のサンプリングタイムTsで画像パターンPが順次取得され、時間間隔の隣接する画像パターンP同士の相関演算によって中間転写ベルト2の寄り量が順次算出される。
順次算出された寄り量は、図11に示すように、順次積算される。図11では、一定周期のサンプリングタイムTsを横軸にとり、Y方向変位(寄り量)を縦軸にとっている。なお、図中の破線で示す直線は、Y方向変位の積算値Ysumに対して線形回帰させて得られたものである。
また、一定間隔のサンプリングでは、単位時間当りの搬送方向Xの移動量が算出されることから、中間転写ベルト2の搬送速度を得ることができる。
また、中間転写ベルト2の寄り制御の場合には、当該中間転写ベルト2の位置情報が必要なため、各サンプリングで得られたY方向のデータを、サンプリング周期を掛けて積算していくことによって、中間転写ベルト2の寄り方向位置を求めることができる。
すなわち、第2の実施の形態のように中間転写ベルト2の一回転分の画像パターンPを保存していなくても、中間転写ベルト2の一回転内の寄り変化を観測することができ、メモリ22の節約をすることができる。
また、Y方向ベクトルは、中間転写ベルト2の傾きやエリアセンサ7の傾きなどの誤差を含むため、積算されたY方向変位の積算値Ysumには、前記誤差も積算され、中間転写ベルト2のホームポジションで観測される正しい寄り位置とは異なる値になる虞がある。
すなわち、図12(A)に示すように、中間転写ベルト2の複数回の周回によって積算されるY方向変位の積算値Ysumには、Y方向の位置ズレを前記中間転写ベルト2の一回転ごとに積算した積算値Yhpが含まれている。
このようなことから、中間転写ベルト2の一回転ごとのホームポジションにおけるY方向の位置ズレをYhp、サンプリングごとにY方向成分を積算した値をYsum、とすると、実際の寄りではない中間転写ベルト2の傾き成分とエリアセンサ7の傾き成分との和Yerrは、以下の式1によって求められる。
Yerr = Ysum − Yhp ・・・(式1)
また、中間転写ベルト2のホームポジションからサンプリングまでの時間をt、中間転写ベルト2の一回転の周期をT、とすると、正しい寄りデータとしての一回転内のY方向の変化Yadjは、以下の式2によって求められる。
Yadj = Ysum − Yerr ×(t/T) ・・・(式2)
このようにして、図12(B)に示すように、中間転写ベルト2のホームポジションの正しい寄り位置が求められるので、補正された正しいY方向変位(寄り量)に基づいて、中間転写ベルト2のY方向の位置ズレを正確に修正することができる。
なお、図12(A)および図12(B)では、中間転写ベルト2の回転数(一回転目T、二回転目2T、三回転目3T)を横軸にとり、Y方向変位(寄り量)を縦軸にとっている。
以上に説明したように、本発明の第3の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、中間転写ベルト2のホームポジションを基準とした一定時間周期で当該中間転写ベルト2の寄り方向Yの移動量(寄り量)を検出し、該移動量の積算値Ysumによって前記中間転写ベルト2の寄り量を計測するので、中間転写ベルト2の一回転分(とくに前周分)の画像パターンPを保存していなくても、中間転写ベルト2の一回転内の寄り変化を観測することができ、メモリ22の節約をすることができる。
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1について、図13を参照して説明する。図13は、中間転写ベルト2上の検知エリアR0〜R3を示す図である。なお、前述した第1の実施の形態と同一部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、ホームポジション信号を発生させるためのホームポジションマーク3が設けられた中間転写ベルト2の一回転ごとにエリアセンサ7に検知される検知エリアR0と、該検知エリアR0から第4検知エリアR3に亘って予め記憶させたスペックルパターンSPとを比較させることによって、中間転写ベルト2の寄り方向(Y方向)における広範囲のスペックルパターンSPに基づいて当該中間転写ベルト2の寄り方向を調整するようにしたことが第1の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1とは異なっている。
詳しくは、図13(A)に示すように、ホームポジションマーク3によって一回転ごとに搬送方向Xに対して同一箇所となる中間転写ベルト2のホームポジションの端部2aが検出領域に含まれる検知エリアR0のスペックルパターンSPと、該検知エリアR0の上方に隣接された第2検知エリアR1のスペックルパターンSPと、該第2検知エリアR1の上方に隣接された第3検知エリアR2のスペックルパターンSPと、該第3検知エリアR2の上方に隣接された第4検知エリアR3のスペックルパターンSPとが、速度算出手段12および直交移動算出手段13の双方のメモリ(図2参照)22に予め記憶されている。
すなわち、互いに隣接する検知エリアR0から第4検知エリアR3までの範囲が、中間転写ベルト2の寄り検知範囲Wとなり、図13(B)に示すように、該寄り検知範囲Wにおける中間転写ベルト2上のスペックルパターンSPがメモリ22に記憶されている。
このため、中間転写ベルト2上の寄り検知範囲WでのスペックルパターンSPと、当該中間転写ベルト2の一回転ごとに検知される検知エリアR0のスペックルパターンSPとを相関演算させることによって、中間転写ベルト2の変位を検出することができる。
このように、寄り検知範囲WでのスペックルパターンSPと検知エリアR0のスペックルパターンSPとを相関演算とを相関演算させ、中間転写ベルト2の変位を検出することができるので、検知エリアR0のみをメモリ22に記憶させた場合よりも、検出領域を拡大することができる。
このようなことから、エリアセンサ7の画素数を増やして検出領域を拡大させた場合には、画素数の増加に伴ってメモリの記憶領域が増大してしまうという問題があったが、本発明の第4の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1によって記憶領域の増大を抑制させることができる。
また、エリアセンサ7の結像光学系の結像倍率を下げて検出領域を拡大した場合には、検出分解能が低下してしまうという問題があったが、本発明の第4の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1によって検出分解の低下を防止させることができる。
また、例えば、A3プリンタのように大判のシート状記録媒体に画像を形成する画像装置においては、周長が1メートル程度、寄り方向Yの幅が350ミリメートル程度の中間転写ベルト2が使用されることが多く、また、プロダクション用の画像形成装置や電子写真装置においては、周長が2メートルを超える中間転写ベルト2が使用されることがある。
このような大きさの中間転写ベルト2を画像形成装置30内に設置する際には、精密な位置合わせが困難であり、±5ミリメートル程度の位置ズレが見込まれる。一方、画像に要求される色ズレの精度は20ないし30マイクロメートル程度であり、中間転写ベルト2の寄り制御をしようとした場合に、2ないし3マイクロメートル(色ズレ精度の1/10)の位置ズレ検出の分解能が必要とされる。
また、2ないし3マイクロメートルの位置ズレ検出の分解能を得ようとすると、非常に大きな画素サイズのエリアセンサ7を必要とし、相関演算の演算量が膨大になる。しかしながら、本発明の第4の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1では、比較的に小さな画素サイズのエリアセンサ7を用いることができるので、記憶領域および演算量を抑制することができる。
なお、中間転写ベルト2上の寄り検知範囲WのスペックルパターンSPをリファレンス画像として取得する際には、例えば、中間転写ベルト2の端部2aが含まれる検知エリアR0のスペックルパターンSPを取得後、ステアリング調整装置19によって所望の寄りを中間転写ベルト2に発生させ、第2検知エリアR1のスペックルパターンSP、第3検知エリアR2のスペックルパターンSP、第4検知エリアR3のスペックルパターンSPを順次取得する。
このとき、図13(A)に示すように、検知エリアR0と第2検知エリアR1との重なり部B1が形成され、第2検知エリアR1と第3検知エリアR2との重なり部B2が形成され、第3検知エリアR3と第4検知エリアR4との重なり部B3が形成されるように、互いに検出領域の一部分が重なるようにエリアセンサ7に撮像される。
検知エリアR0から第4検知エリアR3までの各スペックルパターンSPを取り込み終えたら、画像形成のための実動作に移行させ、ステアリング調整装置19によって中間転写ベルト2の寄りが発生しないように調整する。
実動作において、例えば、エリアセンサ7で撮像された検知エリアR0のスペックルパターンSPと、メモリ22に記憶させられた検知エリアR0のスペックルパターンSPとを比較して相関がない場合には、第2検知エリアR1のスペックルパターンSP、第3検知エリアR2のスペックルパターンSP、第4検知エリアR3のスペックルパターンSPとの相関を順次行い、中間転写ベルト2の寄り位置を特定する。
寄り位置が特定されたら、特定された検知エリアR1〜R3におけるスペックルパターンSPと、エリアセンサ7で撮像された検知エリアR0のスペックルパターンSPとを一致させるようにステアリング調整装置19によって中間転写ベルト2の寄りを調整する。
このように、複数枚のリファレンス画像として各エリアR0〜R4のスペックルパターンSPを記憶させておくことによって、検出分解能の低下や演算処理の負荷の増加を抑制することができ、寄り検知範囲Wを任意の大きさに拡大することができる。
なお、寄り検知範囲Wは、検知エリアR0ないし第4検知エリアR3の範囲よりも拡大することができるものであって、図示例に限定されるものではない。
以上に説明したように、本発明の第4の実施の形態にかかる無端状移動部材検出装置1は、中間転写ベルト2のホームポジションの画像パターンの画像情報として、当該中間転写ベルト2の寄り方向Yに対して複数枚の画像パターンPを取得するとともに当該複数枚の画像パターンPの画像情報をメモリ22に記憶させるので、エリアセンサ7の分解能の低下を防止することができ、相関演算処理の負荷を増やすことなく、中間転写ベルト2の寄り検知範囲Wを任意の大きさに拡大させることができる。
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態にかかる画像形成装置30について、図14を参照して説明する。図14は、画像形成装置30の概略構成図である。なお、前述した第1の実施の形態と同一部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例では、移動部材として転写ベルト2Aを用いて、該転写ベルト2Aによって搬送されるシート状記録媒体上に感光体ドラム33Y〜33Kから順次トナー像が重ね合わされることが第1の実施の形態にかかる画像形成装置30とは異なっている。
詳しくは、図14に示すように、駆動ローラ39と従動ローラ40とに張架されて周回される転写ベルト2Aは、無端状のベルトであって、前述した第1ないし第4の実施の形態における無端状移動部材検出装置1によって寄り位置が調整されている。
転写ベルト2Aは、前述した中間転写ベルト2と同様に、PVDF樹脂、ETFE樹脂、PI樹脂、PC樹脂などの単層または複数層で構成され、カーボンブラック等の導電性材料が分散されている。転写ベルト2Aは、図示しないベルトクリーニング装置によってその表面がクリーニングされている。
また、転写ベルト2Aは、トナーの電荷の極性とは逆の極性でバイアスが印加されている。このため、感光体ドラム33Y〜33Kの表面から転写ベルト2A側にトナーを引き寄せて当該転写ベルト2Aで搬送されるシート状記録媒体上にトナー像が転写される。
このように、画像形成装置30は、感光体ドラム33Y〜33Kから転写ベルト2Aで搬送されるシート状記録媒体上にトナー像が転写される、いわゆる直接転写方式となっている。
以上に説明したように、本発明の第4の実施の形態にかかる画像形成装置30は、直接転写方式の画像形成装置において、転写ベルト2Aが、前述した無端状移動部材検出装置1によってその寄り位置が調整されているので、転写ベルト2Aの搬送速度および変位の双方を高精度に検知することができる。
また、転写ベルト2Aの搬送速度および変位の双方を高精度に検知することによって、転写ベルト2Aが高精細に制御可能となり、精度の高い高品質な画像を形成することができる。
なお、前述した画像形成装置30は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色を一つの感光体ドラムでシート状記録媒体に転写する4サイクル方式のフルカラー画像形成装置であってもよい。
また、画像形成装置30の基本的動作は、シート状記録媒体上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作であって、各色に対応する感光体ドラム33Y〜33Kの一つを使用して単色画像を形成したり、二つまたは三つの感光体ドラム33Y〜33Kを使用して二色または三色の画像を形成したりしてもよい。
また、画像形成装置30は、本発明の適用が可能な画像形成装置として、例えば、複写装置、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の様々な画像形成装置に適用することができる。
また、無端状移動部材検出装置1は、無端状移動部材として、中間転写ベルト2または転写ベルト2Aについて説明したが、無端ベルト状部材やドラム状部材を採用することができる。