以下添付図面に基づいて本発明の画像形成装置を詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される電子写真方式を用いたカラー画像形成装置の概略構成図である。本構成図は、接触帯電器で感光体表面を帯電した後、レーザ光線の照射により静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像するゼログラフィエンジンをイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色について備えたタンデム型のカラー電子写真方式の画像形成装置のIOT(イメージアウトプットターミナル:画像出力部)の概要を示している。尚、図中では画像形成装置の画像読取部や画像処理部などは省略している。
この画像形成装置のIOTは、図中矢印Aの方向にて回転する4つの感光体1Y、1M、1C、1Kと、この各感光体の表面を帯電する接触帯電器2Y、2M、2C、2Kと、帯電された各感光体表面を各色の画像情報に基づいて変調された露光光により露光し、各感光体上に静電潜像を形成するROS(レーザ出力部)またはLEDアレイなどの発光素子アレイ3Y、3M、3C、3Kと、各感光体上の静電潜像を各色現像剤で現像して感光体上にトナー像を形成する現像器4Y、4M、4C、4Kと、感光体上の各色トナー像を中間転写体ベルト6に転写する一次転写器5Y、5M、5C、5Kと、中間転写体ベルト6上のトナー像を用紙Pに転写する二次転写器7と、用紙Pに転写されたトナー像を定着する定着器9と、用紙Pを収納する用紙トレイTと、各感光体の表面をクリーニングするクリーナ(図示せず)と、各感光体表面の残留電荷を除去する除電器(図示せず)と、中間転写体ベルト6表面に転写されたマーク像を検出する複数のフォトセンサ10(本図では1個として図示)と、中間転写体ベルト6表面をクリーニングするベルトクリーナ8とから構成されている。
本構成図に示されている画像形成装置における画像形成動作としては、先ず、画像読取部(図示せず)で原稿から読み取られた原画像信号、或いは外部のコンピュータ(図示せず)などで作成された原画像信号は画像処理部(図示せず)に入力される。この入力画像信号は、各色の画像情報に分解された後、ROS(レーザ出力部)またはLEDアレイなどの発光素子アレイ3Y、3M、3C、3Kに入力され、レーザ光線Lが変調される。そして、この変調されたレーザ光線Lは、接触帯電器2Y、2M、2C、2Kにより一様帯電された感光体1Y、1M、1C、1Kの表面に照射される。この各感光体表面にレーザ光線Lがラスタ照射されると、各感光体上にはそれぞれ入力画像信号に対応した静電潜像が形成される。続いて、各色現像器4Y、4M、4C、4Kにより各感光体上の静電潜像がトナーにより現像され、各感光体上にトナー像が形成される。各感光体上に形成されたトナー像は、各一次転写器5Y、5M、5C、5Kにより中間転写体ベルト6に転写される。この中間転写体ベルト6へトナー像の転写が終了した各感光体は、クリーナにより表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、除電器により残留電荷が除去される。
次に、中間転写体ベルト6上のトナー像は、二次転写器7により、用紙トレイから送られてくる用紙P上に転写された後、定着器9により用紙P上に転写されたトナー像が定着され所望の画像が得られる。用紙P上へのトナー像の転写が終了した中間転写体ベルト6は、ベルトクリーナ8により表面に付着した残留トナーなどの付着物がクリーニングされ、一回の画像形成動作が終了する。
電子写真方式のカラー画像形成装置においては、温度・湿度などの環境条件や経時劣化などの影響により、画像濃度変動や、各色トナー像の位置ずれが起こる。そのため、用紙Pへの画像出力前、或いは出力待機中に位置ずれ補正や濃度誤差補正を行う必要がある。その方法としては、まず、中間転写体ベルト6上に、マーク像を形成する。そして、マーク像をフォトセンサ10により検出し、制御部へ出力信号を送る。更に、この出力信号から得られた位置ずれ量や濃度誤差の結果より、必要に応じ、位置ずれ補正及び濃度誤差補正を行っている。
図2は、図1に示されているカラー画像形成装置における、位置ずれ補正及び濃度誤差補正の流れを示しているブロック図である。感光体1を接触帯電器2で帯電し、補正モード制御部11から出力されるマーク像の信号に応じてROS3で感光体1を露光することで静電潜像を形成し、現像器4により現像した後、中間転写体ベルト6にマーク像を転写する。そして、中間転写体ベルト6上に転写されたマーク像を複数のフォトセンサ10(本図では1個として図示)で読み込む。
検出情報抽出部12は、複数のフォトセンサ10から出力される信号より、位置ずれ及び濃度誤差を検出し、判断部13は、検出情報抽出部12から送られる複数のフォトセンサ10から抽出された位置ずれ情報及び濃度誤差情報が補正に有効、或いは無効か判断する。そして、判断部13が、複数のフォトセンサ10のうち、少なくとも1個のフォトセンサ10の位置ずれ情報または/及び濃度誤差情報が無効であると判断した場合、条件補正部14は、無効な情報が抽出されたフォトセンサ10の位置ずれ情報または/及び濃度誤差情報を破棄すると共に、補正に有効な位置ずれ情報及び濃度誤差情報に基づき位置ずれ補正及び濃度誤差補正を行う。具体的には、フォトセンサ10から出力される出力信号に応じて、ROS3のレーザパワーを制御して画像濃度を補正し、ROS3の書き込みタイミングを制御し、画像形成位置を補正する。また、条件補正部14は、各フォトセンサにおいて検出された位置ずれ情報及び濃度誤差情報を記憶させる記憶部15を備えている。
本発明に適用されているマーク像の配列例を示しているのが図3である。分図(a)には、補正モードにおいて中間転写体ベルト上に形成されるマーク像の配列例が示されている。分図(a)においては、シアンを基準色としており、基準色シアンのマーク像(Mc)とその他の比較色とが組合わされ、シアン(Mc)とイエロー(My)の組合せ、シアン(Mc)とマゼンタ(Mm)の組合せ、シアン(Mc)とブラック(Mb)の組合せが順に配列されている。そして、これらマーク像は図中矢印の方向に移動し、マーク像Mcからマーク像Mbまで順次フォトセンサ10の検出視野(図示せず)を通過することにより、位置ずれ及び濃度誤差が検出される構成となっている。尚、マーク像の説明に当たり、全ての組合せをまとめてパターンブロックMとする。
また、分図(b)には、フォトセンサを3個備える画像形成装置の補正モードにおいて中間転写体ベルト(図示せず)上に形成されるパターンブロックMの配列例が示されている。分図(b)においては、中間転写体ベルトの対向位置に3個のフォトセンサが主走査方向に配列されており、各フォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutが示されている。そして、フォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutを通過する位置に、網点カバレッジ:Cin80%の濃度を有するパターンブロックM1と、網点カバレッジ:Cin50%の濃度を有するパターンブロックM2とが形成されており、図中矢印の方向へ中間転写体ベルトが移動するのに伴い、パターンブロックM1、パターンブロックM2の順番で順次検出視野RIn、RCen、ROutを通過するものとなっている。本図においては、網点カバレッジ:Cin80%及びCin50%の濃度を有するパターンブロックM1、M2が示されているが、パターンブロックM1、M2に続き、網点カバレッジ:Cin20%の濃度を有するパターンブロックを検出視野RIn、RCen、ROutを通過する位置に形成し、更に、網点カバレッジ:Cin80%、Cin50%、Cin20%の濃度を有するパターンブロックを形成することにより、3種類の濃度を有するパターンブロックを2セット形成してもよい。補正モードにおいて中間転写体ベルトに形成するパターンブロックの濃度の種類及びセット数は、適宜設定することができる。尚、本発明の説明に係わる画像形成装置は、フォトセンサを3個備えるものを例として説明を進める。
カラー画像形成装置において一般的に補正される画像特性を示しているのが図4であり、分図(a)から分図(e)はそれぞれ位置ずれ補正が、そして、分図(f)は濃度誤差補正が必要となる特性を示している。本図において、一点鎖線rIn、rCen、rOutは、主走査方向に配列されている3個のフォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutの中心位置を示している。分図(a)において、基準線Sは、主走査方向の基準線を、そして、中央線SCenは、基準線Sの主走査方向の中心位置をそれぞれ示している。基準線Sの一点鎖線rInから一点鎖線rCenまで、そして、一点鎖線rCenから一点鎖線rOutまでの長さはそれぞれlIn、lOutであり、lIn=lOutという関係にある。また、直線Eは主走査方向に平行であり、中央線ECenは、直線Eの主走査方向の中心位置を示している。中央線ECenから一点鎖線rInまで、そして、中央線ECenから一点鎖線rOutまでの長さはそれぞれeIn、eOutであり、本図においては、eIn=eOutという関係にある。更に、基準線Sと、直線Eとの長さは、lIn=eIn、lOut=eOutという関係を有することから、基準線Sと、直線Eとの主走査方向の長さは等しいものとなっている。
分図(a)において、直線Eは基準線Sに対し、一点鎖線rIn側(以下単に「In側」という)へ主走査方向にずれ量ωを有している。そして、直線Eは基準線Sに対し、副走査方向にずれ量vを有している。このずれ量ωが主走査マージン、ずれ量vが副走査マージンであり、本図において、直線Eは、基準線Sが主走査マージン及び副走査マージンを有するかの如く示されている。このずれ量ωと、ずれ量vとの方向がそれぞれ本図とは反対方向、即ち、直線Eが一点鎖線rOut側(以下単に「Out側」という)へ主走査方向にずれ量ω、副走査方向へ本図の下方へ向けてずれ量vを有する場合であっても、ずれ量ω及びずれ量vは、それぞれ主走査マージン及び副走査マージンである。このように、直線Eが基準線Sに対し、主走査方向及び副走査方向にずれ量を有している場合には、主走査マージン及び副走査マージンの補正が必要となる。尚、分図(b)から分図(e)までにおいて、基準線Sの説明は省略する。
分図(b)において、直線Eは主走査方向に平行であり、中央線ECenは直線Eの主走査方向の中心位置を示している。中央線ECenからIn側の端部まで、そして、中央線ECenからOut側の端部までの長さはそれぞれeIn、eOutであり、本図においては、eIn=eOutという関係にあり、中央線ECenからIn側、中央線ECenからOut側までは同倍率を有するものとなっている。また、直線Eと、基準線SとのIn側の端部は、一点鎖線rInに合っているものの、中央線ECenと、直線EのOut側の端部とは、それぞれ一点鎖線rCenと、一点鎖線rOutとに合っておらず、直線Eは基準線Sに対し主走査方向に倍率を有するものとなっている。このように、直線Eが基準線Sに対し、主走査方向に倍率を有する状態で縮小、或いは、拡大された状態にある場合には、主走査倍率の補正が必要となる。
分図(c)において、直線Eは主走査方向に平行であり、中央線ECenは直線Eの主走査方向の見掛け上の中心位置を示している。そして、直線EのIn側の端部からOut側の端部までの長さは、基準線Sのそれと等しい。また、中央線ECenからIn側の端部まで、そして中央線ECenからOut側の端部までの長さはそれぞれeIn、eOutであり、本図においては、eIn<eOutという関係にある。従って、直線Eは、基準線Sとその主走査方向の長さは等しいものの、中央線ECenからIn側の端部と、中央線ECenからOut側の端部との倍率が異なるものとなっている。このように、直線Eが基準線Sとその主走査方向の長さが等しく、中央線ECenからIn側の端部までの長さeInと、中央線ECenからOut側の端部までの長さeOutとの間にeIn<eOut、或いは、eIn>eOutという関係があり、中央線ECenのIn側と、Out側とで倍率が異なる場合には、主走査左右倍率バランスの補正を要する。
分図(d)において、直線Eの中央線ECenは、直線Eの長手方向の中心位置を示しており、中央線ECenからIn側の端部まで、そして中央線ECenからOut側の端部までの長さはそれぞれeIn、eOutであり、本図においては、eIn=eOutという関係にある。そして、直線Eと、基準線Sとの長さは、eIn=lIn、eOut=lOutという関係を有し、直線Eと、基準線Sとの長手方向の長さは等しいものとなっている。また、直線Eは、基準線SのIn側の端部S0を中心に、基準線Sに対してθの角度を有するものとなっている。このように、直線Eの長さが基準線Sの長さと等しく、直線Eが基準線Sに対して角度を有している状態にある場合には、副走査スキューの補正が必要となる。
分図(e)において、曲線Eの中央線ECenは一点鎖線rCen上にあり、曲線Eの主走査方向における中心位置を示している。そして、曲線EのIn側及びOut側の端部は、それぞれ基準線SのIn側及びOut側の端部に合わさっているが、中央線ECen(一点鎖線rCen)の位置においては副走査方向にずれ量vを有しており、曲線Eは弓なり状に曲がっている。このように、曲線Eと、基準線SとのIn側及びOut側の端部が合わさっているものの、曲線Eの主走査方向の中心位置(中央線ECen)において基準線Sに対し副走査方向にずれ量を有している状態にある場合には、BOW(ボウ)の補正が必要となる。
分図(f)において、図下方のグラフの横軸は、画像領域における主走査方向の位置を示しており、分図(a)から分図(e)までのフォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutと、その中心位置を示す一点鎖線rIn、rCen、rOutとに対応している。そして、縦軸は、画像領域における画像の濃度と、ROSにより感光体へラスタ照射されるレーザ光線の光量とを示している。このグラフに示されているように、一般的に電子写真方式の画像形成装置において、ROSにより感光体へラスタ照射されるレーザ光線の光量(点線)は、画像領域の中央部では低いのに対し、画像領域のIn側及びOut側では高い光量分布の設定となっている。一方、画像の濃度(実線)は、画像領域の中央部では高いのに対し、画像領域のIn側及びOut側では低く、濃度分布が左右対称となる設定になっている。このように、予め設定されている濃度分布に対して、フォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutの位置における濃度に誤差がある場合には、In/Center/Out濃度分布の補正が必要となる。また、In側と、Out側との濃度に差がある場合には、In/Out濃度差の補正を要する。
分図(a)から分図(f)に説明した位置ずれ補正及び濃度誤差補正が必要となる画像特性は、補正モードにおいて、中間転写体ベルト上でフォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutを通過する位置に形成されるパターンブロック(図3分図(b)参照)を読込むことにより検出される。例えば、分図(a)から分図(e)の画像特性であれば、主走査方向に配列されている同色の各マーク像(図3分図(b)における移動方向先頭のシアン)の基準位置(分図(a)から分図(f)における基準線S)からのずれ量を検出することにより、どの特性を有するかが特定される。また、分図(f)の画像特性であれば、主走査方向に配列されている同色のマーク像の濃度を検出することにより、In/Out濃度差及びIn/Center/Out濃度分布が把握される。更に、基準色(シアン)に対する比較色(イエロー、マゼンタ、ブラック)の位置ずれ及び濃度誤差を検出することにより、画像全体として補正されることになる。
本発明が適用されているカラー画像形成装置におけるフォトセンサ10の概略構成図を示しているのが図5である。このフォトセンサ10は、照明手段と、受光光学系と、受光素子とから構成されている。この照明手段は、2つのLED10a、10bから成る。そして、受光光学系は、レンズ10cと、マスク10eとから構成されている。本図において、左右方向が主走査方向である。また、図6は、フォトダイオード10dからの出力信号が検出情報抽出部12で処理される流れを示すブロック図であり、AMPと、ピーク検出回路と、アンダーピーク検出回路と、2つのサンプル&ホールド回路とから構成され、各回路からの出力信号は、図2における判断部13へ送られる。
フォトセンサ10で位置ずれ及び濃度誤差を検知するためには、図3に示されているパターンブロックを照明手段により照射する必要がある。従って、シアン、イエロー、シアン、マゼンタ、シアン、ブラックの順に並ぶマーク像から成るパターンブロックMを照明手段により照射する。
パターンブロックを照射する際には、LED10a、10bの2種類の光源の1つを選択して使用し、受光光学系のレンズ10cは、パターンブロックを構成するマーク像からの反射光をフォトダイオード10dの受光面上に結像させられるような配置となっている。フォトダイオード10dの直前には、フォトダイオード10d受光面の検出視野を規制するマスク10eが設けられている。そして、このマスク10eは、迷光防止のため、黒色としている。
マーク像からの反射光がフォトダイオード10dの受光面上に投影されると、フォトダイオード10dはこの反射光量、すなわちマーク像の濃淡に応じた電流を出力する。図6に示すように、フォトダイオード10dから出力された電流は、AMP20で電流電圧変換/増幅された後、センサ出力信号として判断部(図示せず)、ピーク検出回路21、アンダーピーク検出回路23、及び、2つのサンプル&ホールド回路22、24に供給される。
ピーク検出回路21では、センサ出力信号の最大位置を検出し、ピーク検出信号としてサンプル&ホールド回路22に供給するとともに、判断部に出力される。このピーク検出回路21を用い、センサ出力信号の最大位置を検出することで、マーク像の太さ方向における中心位置の検出が可能となる。そして、判断部では、このピーク検出信号が各色マーク像の位置ずれ情報として位置ずれ補正に有効、或いは無効か判断し、位置ずれ補正に無効な位置ずれ情報が検出されたフォトセンサを特定している。
サンプル&ホールド回路22では、ピーク検出回路21から出力されるピーク検出信号をトリガとして、AMP20から出力されるセンサ出力信号をホールドする。これにより、センサ出力信号の最大値がホールドされ、ピークホールド信号として、判断部に出力される。そして、判断部では、出力信号の最大値のホールド信号がシアン、イエロー、マゼンタ各色マーク像の濃度誤差情報として濃度誤差補正に有効、或いは無効か判断し、濃度誤差補正に無効な濃度誤差情報が検出されたフォトセンサを特定している。
アンダーピーク検出回路23では、センサ出力信号の最小位置を検出し、アンダーピーク検出信号としてサンプル&ホールド回路24に供給する。サンプル&ホールド回路24では、アンダーピーク検出回路23から出力されるアンダーピーク検出信号をトリガとして、AMP20から出力されるセンサ出力信号をホールドする。これにより、センサ出力信号の最小値がホールドされ、アンダーピークホールド信号として、判断部に出力される。そして、判断部では、この最小値のホールド信号がブラックのマーク像の濃度誤差情報として濃度誤差に有効、或いは無効か判断し、濃度誤差補正に無効な濃度誤差情報が検出されたフォトセンサを特定している。尚、AMP20、ピーク検出回路21、アンダーピーク検出回路23、サンプル&ホールド回路22、24は、一般的な電気回路を適用すればよく、それらの説明は省略する。
フォトダイオード10dからの出力信号によりパターンブロックの濃度を検出するには、基準となる出力信号とパターンブロックより検出される出力信号とを比較しなければならない。そのため、基準光をフォトダイオード10dへ入射させる場合とパターンブロックからの反射光を入射させる場合とで切換えが可能な手段が必要となる。そこで、フォトセンサ10には、図7に示されているようなシャッター10fが、中間転写体ベルト6に対面するフォトセンサ10の筐体に摺動可能な状態で取り付けられている(図5)。本図は、シャッター10fをLED側から見た平面図である。このシャッター10fには、測定用窓10gと、センサの出力電圧の基準を得るための基準板10hが設けられている。そして、フォトダイオード10dへ入射させる反射光に応じ、図中の矢印方向に駆動装置(図示せず)により移動する機構を備えている。シャッター10fは、通常閉じた状態において基準板10hが受光系光軸上に配置されるような位置にあり、パターンブロック測定時のみシャッター10fが開き測定用窓10gが受光系光軸上に配置されるように移動する。
図8は、中間転写体ベルト6上に形成されたマーク像mとフォトセンサ10の中間転写体ベルト6上における検出視野Rとの位置関係を時経過に沿って示しているものであり、下方のグラフ(a)はフォトセンサ10の検出視野Rの位置に応じたセンサ出力信号の波形を示すものである。また、最下段のグラフ(b)は前記ピーク検知回路から出力されるマーク像mのピーク検知信号を時経過と対応させて示したものである。ここで、マーク像はその各辺m1、m2の太さtが検出視野Rの直径d(1mm)と同一より僅かに小さく形成されている。
中間転写体ベルト6上に一次転写されたマーク像mは、かかる中間転写体ベルト6の回転に伴ってフォトセンサ10の前面を通過し、フォトセンサ10の検出視野Rを横切ることになる。マーク像mが中間転写体ベルト6と共に移動し、フォトセンサ10の検出視野Rが図7に示される中間転写体ベルト上のA点に差し掛かると、かかる検出視野R内にマーク像mの一辺m1が進入してくることになるので、センサ出力信号が変化を開始する。更にマーク像mが移動すると、検出視野Rに含まれるマーク像mの面積、すなわち検出視野Rとマーク像mの一辺m1との重複面積が拡大するので、センサ出力信号は徐々に上昇し、検出視野Rがマーク像mによって略覆われるB点においてセンサ出力信号は最大となる。
前述の如く、マーク像mの各辺m1、m2の太さtはフォトセンサ10の検出視野Rの直径dよりも僅かに小さく形成されていることから、マーク像mがB点を過ぎると、今度は検出視野Rに含まれるマーク像mの面積、すなわち検出視野Rとマーク像mとの重複面積が減少していくので、センサ出力信号は徐々に下降し、マーク像mがフォトセンサ10の検出視野Rから完全に脱した時点でセンサ出力信号は最小となる(C点)。
このように図8に示した例では、マーク像mの一辺m1がフォトセンサ10の検出視野Rを通過する際に(A点からB点の間)、かかる検出視野Rとマーク像mとの重複面積が中間転写体ベルト6の進行に伴って連続的に変化しており、同じ強度のセンサ出力信号が継続してフォトセンサ10から出力されることがないように構成されている。すなわち、センサ出力信号には瞬間的に最大値が発生することになる。このようなセンサ出力信号の波形は、フォトセンサ10の検出視野Rを円形状に形成すると共に、マーク像mの太さを検出視野Rの直径と同一よりもやや小さくすることで得ることができる。
図8に示すようにセンサ出力信号の波形に瞬間的な最大値が発生する場合、その最大値はマーク像mの一辺m1の太さ方向の中心位置(重心位置)がフォトセンサ10の検出視野Rの中心位置に合致した場合に発生する。従って、前記ピーク検知回路でセンサ出力信号の最大値(ピーク)を検知し、図8(b)に示すように、この最大値に合わせてパルス状のピーク検知信号を出力するように構成すれば、かかるピーク検知信号の立ち上がりエッジ部分がマーク像mの一辺m1の中心位置(重心位置)を示していることになり、かかるm1の位置を正確に検出することができる。
また、図8に示したマーク像mは、中間転写体ベルト6の移動方向に対して異なる方向へ略45度に傾斜した2辺m1、m2を有してV字状に形成されていることから、このマーク像mの一つを本実施例のフォトセンサ10で検出することにより、主走査方向と副走査方向の位置ずれ量を一度に把握することができるようになっている。具体的には、m1とm2の間隔から主走査方向の位置ずれ量、m1とm2の中心位置の他の色との関係から副走査方向の位置ずれ量が判る。
V字状のマーク像mをフォトセンサ10で読み込むと、図8(b)に示すように、マーク像mの各辺m1、m2太さ方向の中心位置(重心位置)が検出視野Rの中心位置と重なったB点及びE点に対応して、一対のパルス状ピーク検知信号がピーク検知回路から出力される結果となる。
続いて、本発明の補正モードにおける位置ずれ情報及び濃度誤差情報の有効無効が判断される流れについて図9のフローチャートを用いて説明する。前述の通り、3個のフォトセンサを備える画像形成装置の例として説明を進める。先ず、図3に示したパターンブロックMを中間転写体ベルト上に形成する(ステップS1)。そして、フォトセンサによりパターンブロックを測定し(ステップS2)、その後、全てのフォトセンサについて、フォトダイオードの出力信号を基に判断部13で各色マーク像からの出力信号が位置ずれ情報及び濃度誤差情報として補正に有効、或いは無効か判断される(ステップS3)。ここで、全てのフォトセンサについて、その位置ずれ情報及び濃度誤差情報が補正に有効な場合には、位置ずれ補正及び濃度誤差補正が行われる(ステップS4)。一方、フォトセンサの位置ずれ情報または/及び濃度誤差情報が補正に無効な場合には、無効と判断されたフォトセンサの数に応じ場合分けがなされる(ステップS11)。
無効と判断されたフォトセンサの数が1個である場合には、位置ずれ情報と濃度誤差情報のどちらが無効か判断される(ステップS12)。そして、濃度誤差情報が無効であると判断された場合には、条件補正部14により無効と判断されたフォトセンサの濃度誤差情報が直ちに破棄され(ステップS13a)、判断部13により当該フォトセンサの位置ずれ情報の有効無効が判断される(ステップS14a)。一方、位置ずれ情報が無効であると判断された場合には、条件補正部14により無効と判断されたフォトセンサの位置ずれ情報が直ちに破棄され(ステップS13b)、判断部13により当該フォトセンサの濃度ずれ情報の有効無効が判断される(ステップS14b)。
ここで、位置ずれ及び濃度誤差情報の有効無効を判断する基準について説明する。位置ずれ情報及び濃度誤差情報の有効無効を判断する基準を示しているのが図10である。分図(a)には、複数のパターンブロックのうち各パターンブロックのマーク像Mc、Mmが検出視野Rの中心位置(一点鎖線r)を通過した際におけるシアンのマーク像Mcに対するマゼンタのマーク像Mmの主走査方向の位置変動が示されている。分図(a)上方には、複数のパターンブロックのうち、1つのパターンブロックのマーク像Mc、Mmが検出視野Rを通過する様子が示されている。そして、分図(a)下方のグラフには複数のパターンブロック(本分図では6つ)のうち各パターンブロックにおけるマーク像Mcに対するマーク像Mmの主走査方向の位置変動が示されており、説明の便宜上、各パターンブロックにおいて基準となるマーク像Mcの位置(本分図グラフ内の一点鎖線)に対するマーク像Mmの主走査方向の位置が、検知視野Rを通過するパターンブロックの順番に左から右へずらされて6つの黒い点で示されている。分図(a)に示されているように、各パターンブロックのマーク像Mcに対するマーク像Mmの主走査方向の位置は変動しており、その振幅が変動幅hとなる。
図10分図(b)も同図分図(a)と同様に、複数のパターンブロックのうち各パターンブロックのマーク像Mc、Mmが検出視野Rの中心位置(一点鎖線r)を通過した際におけるシアンのマーク像Mcに対するマゼンタのマーク像Mmの主走査方向の位置変動が示されている。分図(b)上方には、複数のパターンブロックのうち、1つのパターンブロックのマーク像Mc、Mmが検出視野Rを通過する様子が示されている。そして、分図(b)下方のグラフには複数のパターンブロック(本分図では6つ)のうち各パターンブロックにおけるマーク像Mcに対するマーク像Mmの主走査方向の位置変動が示されており、説明の便宜上、各パターンブロックにおいて基準となるマーク像Mcの位置(本分図グラフ内の一点鎖線)に対するマーク像Mmの主走査方向の位置が、検知視野Rを通過するパターンブロックの順番に左から右へずらされて6つの黒い点で示されている。分図(b)においても、各パターンブロックのマーク像Mcに対するマーク像Mmの主走査方向の位置は大きく変動しており、グラフ内の一点鎖線からそれぞれ反対方向に最も離れたマーク像Mcに対するマーク像Mmの主走査方向の位置の和がその変動幅hとなる。
判断部13により濃度誤差情報が無効と判断されたフォトセンサの位置ずれ情報の有効無効が判断される際(図9、ステップS14a)には、分図(a)及び分図(b)において示されている変動幅hが基準となる。判断にあたっては、無効と判断されたフォトセンサの位置ずれ情報の変動幅をh0、その他のフォトセンサ(2個)の位置ずれ情報の変動幅をh1、h2とし、(1)無効と判断されたフォトセンサの変動幅h0が予め設定されている閾値以下、つまり、位置ずれ補正に無効な大きい変動幅を有するか、そして、(2)無効と判断されたフォトセンサの変動幅h0と、その他の各フォトセンサの変動幅h1、h2との差Δh1=h0−h1、Δh2=h0−h2を求め、このΔh1、Δh2の値が予め設定されている閾値以下であるか判断される。そして、(1)または(2)の何れかに該当する場合と、(1)及び(2)の両方に該当する場合に、濃度誤差情報が無効であると判断されたフォトセンサの位置ずれ情報が位置ずれ補正に適すると判断される。
図10分図(c)には、1つのパターンブロックMと、センサ出力信号とが示されている。分図(c)上方には、1つのパターンブロックMが検出視野Rを通過する様子が示されている。分図(c)下方には、パターンブロックMを構成するマーク像Mc、My、Mc、Mm、Mc、Mbが検出視野Rを通過した際の各マーク像のセンサ出力信号が示されている。そして、マーク像Mc、My、Mc、Mm、Mc、Mbのセンサ出力信号の出力値のうち、マーク像Myの各辺の出力値の平均値が出力値uとして示されている。
判断部13により位置ずれ情報が無効と判断されたフォトセンサの濃度誤差情報の有効無効が判断される際(図9、ステップS14b)には、各マーク像のセンサ出力信号の出力値が基準となる。判断にあたっては、無効と判断されたフォトセンサの各マーク像のセンサ出力信号の出力値と、その他のフォトセンサ(2個)の各マーク像のセンサ出力信号の出力値との差が予め設定されている閾値の範囲内にある場合限り、位置ずれ情報が無効であると判断されたフォトセンサの濃度誤差情報が濃度誤差補正に適すると判断される。例えば、図10分図(c)におけるマーク像Myであれば、無効と判断されたフォトセンサにおけるマーク像Myの出力値をu0、その他の各フォトセンサにおけるマーク像Myの出力値をu1、u2とし、それらの差Δu1=u0−u1、Δu2=u0−u2が求められ、Δu1、Δu2の値が予め設定されている閾値の範囲内にあるか判断される。そして、パターンブロックMを構成する他のマーク像についても同様にして各マーク像毎に出力値の差が求められ、有効無効が判断される。
このように、判断部13により無効と判断されたフォトセンサの位置ずれ情報及び濃度誤差情報が位置ずれ補正及び濃度誤差補正に有効、或いは無効か判断され、無効と判断されたフォトセンサにおける位置ずれ補正及び濃度誤差補正に適する位置ずれ情報及び濃度誤差情報と、その他のフォトセンサにおける位置ずれ情報及び濃度誤差情報とから位置ずれ補正及び濃度誤差補正が行われる(図9、ステップS4)。
次に、3個のフォトセンサのうち、無効と判断されたフォトセンサの数が2個である場合には、残り1個のフォトセンサの位置ずれ情報及び濃度誤差情報、そして、2個の無効と判断されたフォトセンサの位置ずれ補正及び濃度誤差補正に適する位置ずれ情報及び濃度誤差情報から位置ずれ補正及び濃度誤差補正を実施するかが判断される(図9、ステップS21)。無効と判断されたフォトセンサにおける位置ずれ情報及び濃度誤差情報の判断は、図10において説明した方法と同様に行うため、その説明は省略する。そして、位置ずれ補正または/及び濃度誤差補正を実施すると判断した場合には補正が実施され(図9、ステップS4)、位置ずれ補正及び濃度誤差補正を実施しないと判断した場合には補正モードは終了される(図9、ステップS22)。
位置ずれ補正及び濃度誤差補正における使用可能なフォトセンサの数と、補正される画像特性とを表に示しているのが図11である。本表の左欄には、位置ずれ補正に属する画像特性(主走査マージン、副走査マージン、主走査倍率、主走査左右倍率バランス、副走査スキュー、BOW)と、濃度誤差補正に属する画像特性(In/Out濃度差、In/Center/Out濃度分布、濃度補正)とが列挙されている。そして、その右側の3列の欄には、3個のフォトセンサのうち使用可能なフォトセンサが3個、2個、1個のそれぞれの場合において、各画像特性が「補正可能」、「条件付きで補正可能」、「補正せず」の何れかが「○」、「△」、「×」でそれぞれ示されている。尚、本表における「使用可能センサ」というのは、「位置ずれ情報及び濃度誤差情報が補正に有効なフォトセンサ」ということである。
図11に示されているように、3個のフォトセンサのうち使用可能なフォトセンサが3個の場合、全ての画像特性が補正可能である。そして、使用可能なフォトセンサが2個の場合、主走査マージン、副走査マージン、主走査倍率については補正可能であり、副走査スキュー及びIn/Out濃度差については条件付きで補正可能であり、主走査左右倍率バランス、BOW、In/Center/Out濃度分布については2個のフォトセンサでは検出できないため、補正が行われない。また、使用可能なフォトセンサが1個の場合において、補正モードを実施するのであれば、使用可能なフォトセンサの配置位置における濃度補正が実施可能であり、主走査マージン及び副走査マージンについては条件付きで補正可能である。一方、補正モードを実施しないのであれば、当然全ての画像特性について補正は行われない。このように、補正に適する位置ずれ情報及び濃度誤差情報が抽出されたフォトセンサの数に応じ、位置ずれ補正及び濃度誤差補正(図9、ステップS4)において補正する画像特性が決定されている。
図9のステップS4において、判断部13により補正に適すると判断された位置ずれ情報及び濃度誤差情報に基づき行われる位置ずれ補正及び濃度誤差補正について、位置ずれ補正及び濃度誤差補正に関するフローチャートを示している図12及びマーク像測定時のタイミングチャートを示している図13で説明する。先ず、位置ずれ補正では、フォトダイオード10dの出力信号をもとに検出情報抽出部12にてピーク検出回路21から出力されたピーク検出信号より、基準色シアンの主走査方向の目標値に対する絶対値位置ずれ量、基準色シアンに対する、イエロー、マゼンタの相対位置ずれ量の測定および計算を条件補正部14で行うものとなっている(図12、ステップS31)。
マーク像の位置ずれ量は、図13に示されているマーク像測定時のタイミングチャートから計算して求められている。図13において、上からフォトセンサ10のシャッター10fの動作信号、フォトセンサ10のLED10a、10bの点灯信号、センサ出力信号、ピーク検知信号、ピークホールド信号、アンダーピーク検知信号、アンダーピークホールド信号の波形が示されている。
図13中に示されているように、補正モードでは、先ず、シャッター10fを閉じた状態でLED10bを点灯させ、濃度誤差補正のため基準板10hの反射光を測定する。その後、中間転写体ベルト6の移動方向に対し先頭に配列されているマーク像がフォトセンサ10の検出視野を通過する前にシャッター10fを開き、フォトダイオード10dへマーク像からの反射光を入射できる状態にする。この時、センサ出力信号は、0Vとなっている。これは、本実施例で使用されている中間転写体ベルト6は、表面が黒色で鏡面または光沢を持ったものであり、中間転写体ベルト6表面の非画像部では、LED照明光をほとんど拡散しないため、センサ出力信号は0Vとなるのである。
センサの出力信号は、シャッター10fが開いた状態のまま、シアンのマーク像の1辺が通過することにより、シアンのトナー量に対応したパルス状の波形となる。この際、図6に示されているように、ピーク検出回路21で、センサ出力信号の最大値を検出し、ピーク検出信号が出力される。ここで、位置ずれ測定開始からピーク検出信号が出力されるまでの時刻をtA1とする。そして、マーク像の残り1辺の通過に伴い、ピーク検出回路21で検出されるピーク検出信号が出力されるまでの時刻をtA2とする。以後、同様にして、イエロー、シアン、マゼンタ、シアン、ブラックのマーク像の通過に伴い、ピーク検出信号が出力されるまでの時刻tT1、tT2、tB1、tB2を順次測定する。
前述の通り、ブラックのマーク像の反射光は、シアン、イエロー、マゼンタのマーク像の反射光と種類が異なるため、ブラックのマーク像の通過に合わせLED10bを消灯すると同時にLED10aを点灯させる。この時、センサ出力信号は中間転写体ベルト6からの反射光に応じた電圧値にて出力される。そして、ブラックのマーク像の通過により、センサの出力電圧は、ブラックのトナー量に対応して減少するパルス状の波形となる。ここで、図6に示されているように、アンダーピーク検出回路23により、センサ出力信号の最小値が検出され、このアンダーピーク検出信号が出力されるまでの時刻tU1、tU2を測定する。尚、図13においては、シアン、イエロー、シアン、そして一部省略し、ブラックのマーク像、つまり1つのパターンブロックMがフォトセンサ10の検出視野を通過するまでの状態が示されている。しかし、通常の補正モードにおいては、3個のフォトセンサ10の検出視野に対向する位置に濃度の異なる複数のパターンブロックMが連続して中間転写体ベルト6上に形成される。
位置ずれ量の計算は、基準色シアンの主走査方向の目標値に対する絶対値位置ずれ量、基準色シアンに対する、イエロー、マゼンタの相対位置ずれ量を求めることにより行っている。先ず、基準色シアンの主走査方向絶対値位置ずれ量は、
主走査方向絶対値位置ずれ量 ={(tA2−tA1)−目標値}/2
で求められ、基準色シアンに対する、イエローの相対位置ずれは、
副走査方向位置ずれ=[(tT2+tT1)/2−((tA2+tA1)/2+(tB2+tB1)/2)/2]×PS
= [(tT2+tT1)/2−(tA2+tA1)/4−(tB2+tB1)/4]×PS
主走査方向位置ずれ = [((tB1+tA1)/2−tT1+副走査方向誤差
+tT2−(tB2+tA2)/2−副走査方向誤差)/2]×PS
= [((tB1+tA1)/2−tT1+tT2−(tB2+tA2)/2)/2]×PS
で求めることができる。ここで、tA1、tA2、tT1、tT2、tB1、tB2は、位置ずれ測定開始からピーク検出信号が出力されるまでの時刻(μs)、PSは、プロセス速度(mm/s)である。基準色シアンに対する、マゼンタ、ブラックの相対位置ずれ量も同様に計算する。
この計算は、図12のステップS31に該当し、条件補正部14で、位置ずれ量の測定および計算終了後、出力画像形成時の画像形成位置、すなわちROSによる主走査方向、および副走査方向の露光タイミングを設定する(図12、ステップS32)。これら一連の動作により補正モードにおける1回の位置ずれ補正が行われている。
次に、濃度誤差補正では、フォトダイオード10dの検出信号をもとに検出情報抽出部12にてサンプル&ホールド回路から出力されたホールド信号から、マーク像の濃度誤差を条件補正部14で計算する(図12、ステップS41)。
マーク像の濃度誤差は、図13に示されているマーク像測定時のタイミングチャートから計算して求められている。前述の通り、補正モードでは、先ず、シャッター10fを閉じた状態でLED10bを点灯させる。これにより、センサ出力信号は、シャッター10fの基準板10hからの反射光に対応した電圧値が出力され、これをセンサの基準板出力電圧(Vref)として測定する。そして、中間転写体ベルト6の移動方向に対し先頭に配列されているマーク像がセンサの測定位置を通過する前にシャッター10fを開き、フォトダイオード10dへマーク像からの反射光を入射できる状態にする。
センサの出力信号は、シャッター10fを開いた後、シアンのマーク像の通過により、シアンのトナー量に対応したパルス状の波形となる。この際、ピーク検出回路21により、センサ出力信号の最大値が検出され、ピーク検出信号が出力される。サンプル&ホールド回路22では、ピーク検出回路21から出力されるピーク検出信号の立上がりパルスをトリガとして、シアンのトナー量に対応したセンサ出力信号の最大値をホールドすることにより、シアンの濃度電圧(Vc)が測定される。以後、同様にして、イエロー、シアン、マゼンタ(図中省略)、シアン(図中省略)のマーク像の通過により、イエローの濃度電圧(Vy)、マゼンタの濃度電圧(Vm)を測定する。
次に、ブラックのマーク像の通過に合わせLED10bを消灯すると同時にLED10aを点灯させる。この時、センサ出力信号は中間転写体ベルト6からの反射光に応じた電圧値にて出力される。そして、ブラックのマーク像の通過により、センサの出力電圧は、ブラックのトナー量に対応して減少するパルス状の波形となる。ここで、図6に示されているように、アンダーピーク検出回路23により、センサ出力信号の最小値が検出され、アンダーピーク検出信号が出力される。サンプル&ホールド回路24では、アンダーピーク検出回路23から出力されるアンダーピーク検出信号の立上がりパルスをトリガとして、ブラックのトナー量に対応したセンサ出力信号の最小値をホールドすることにより、ブラックの濃度電圧(Vk)が測定される。次に、ブラックのマーク像通過後、センサ出力信号は、再び、中間転写体ベルト6からの正反射光に応じた電圧値を示すこととなり、この値をベルト面電圧(Vbelt)として測定する。そして、このベルト面電圧測定後、LED10aを消灯すると共に、LED10bを点灯することにより、センサ出力信号は0Vとなる。
画像濃度の計算は、ブラックと、カラー(CYM)でその計算方法が異なる。ブラックの画像濃度は、中間転写体ベルト6の非画像面に対する相対値を
画像濃度:Dk= Vk / Vbelt
と定義し、計算する。それに対し、カラー(CYM)の画像濃度は、基準板10hの出力に対する相対値を
画像濃度:Dn=(( Vn平均値 ) / Vref )
ただし、n=トナー色(c、y、m)
と定義し、計算する。
このように、画像濃度として中間転写体ベルト6面、或いは基準板10hの出力に対する相対値を用いる理由は、センサの汚れや、経時変化、温度変化によりLED光量やPD感度などの変動が生じても、パターンブロックの濃度を高精度に測定するためである。このようにして、パターンブロックの画像濃度が計算され(図12、ステップS41)、予め決められている濃度目標値と、計算された画像濃度との誤差が計算される(図12、ステップS42)。
次に、レーザーパワーの補正量が計算されるが(図12、ステップS43)、その演算における、ROSレーザーパワーの補正量:ΔLPは、
レーザーパワーの補正量:ΔLP=ΔDn / An
ただし、n=トナー色(k、c、y、m)
で求められる。ここで、ΔDnは濃度誤差の計算(図12、ステップS42)において求めた、パターンブロックの濃度誤差、Anはレーザーパワーとパターンブロックの画像濃度との対応関係を示す係数である。この係数は、予め実験などにより求めておく。
その後、パターンブロック形成時のレーザーパワーから、レーザーパワーの補正量の計算(図12、ステップS43)において求めたレーザーパワーの補正量:ΔLPを減じることにより、レーザーパワーの設定値を補正する(図12、ステップS44)。この際得られたレーザーパワー設定値は、出力画像形成時のレーザーパワーとしてROS3に供給される。
以上説明したとおり、補正モードでは、中間転写体ベルト6上に形成された複数のパターンブロックにおいて主走査方向に配列されている同色のマーク像を3個のフォトセンサにより測定し、各フォトセンサの相対的な位置ずれ量を把握することにより、位置ずれに関する画像特性が補正されている。また、同様にして各フォトセンサの相対的な濃度誤差を把握することにより、濃度誤差に関する画像特性が補正されている。そして、これら補正を定期的に繰り返すことにより、画像形成位置及び出力画像濃度が一定に保たれている。
使用可能なフォトセンサが2個の場合における主走査左右倍率バランスずれの誤差分配の一例を示しているのが図14である。本図において、一点鎖線rIn、rCen、rOutは、主走査方向に配列されている3個のフォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutの中心位置を示している。そして、一点鎖線rIn、rCen、rOut上には、副走査方向に平行な基準線SIn、SCen、SOutが示されている。また、中央に配置されているフォトセンサは、その位置ずれ情報が無効と判断されたフォトセンサ、或いは、故障しているフォトセンサであり、その状態が検出視野RCenに「×」で示されている(以下単に「異常フォトセンサ」という)。更に、副走査線FIn、FCen、FOutは、副走査方向に平行であり、副走査線FCenから副走査線FInまでの距離fInと、副走査線FCenから副走査線FOutまでの距離fOutとは主走査倍率を示している(分図(a))。ここで、説明の便宜上、中央に配置されているフォトセンサが異常フォトセンサとなる前のIn側及びOut側の主走査倍率をfIn、fOutとする。
分図(a)において、副走査線FIn、FOutは、使用可能なフォトセンサにより位置ずれ補正が行われるため、検出視野RIn、ROutの位置で一点鎖線rIn、rOut上に形成されており、位置ずれは発生していない。そのため、副走査線FIn、FOutは、基準線SIn、SOutと主走査方向の位置が合っている。しかし、異常フォトセンサの検出視野RCenの位置では、位置ずれ補正が行われないため、副走査線FCenは、主走査方向のIn側へずれ量ω0を依然として有しており、画像領域中央部における位置ずれ量は大きくなってしまう。そこで、中央に配置されているフォトセンサが異常フォトセンサとなる前の主走査倍率fIn、fOutを補正モードにおいて条件補正部14に備えられている記憶部15に予め記憶させ、記憶部15に記憶された主走査倍率fIn、fOutに基づき主走査左右倍率バランスずれの誤差分配を行うとよい。これにより、ずれ量ω0をIn側及びOut側へ分配することができ、画像領域全域におけるずれをずれ量ω1へ抑えることができる(分図(b)参照)。尚、ずれ量の分配前後(分図(a)及び分図(b))におけるIn側及びOut側の主走査倍率fn、fOutは変動していない。これは、左右倍率バランスの経時変動が小さい場合に限り有効である。
使用可能なフォトセンサが2個の場合におけるBOWずれの誤差分配の一例を示しているのが図15である。本図において、一点鎖線rIn、rCen、rOutは、主走査方向に配列されている3個のフォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutの中心位置を示している。そして、基準線Sは、主走査方向の基準線を示している。また、中央に配置されているフォトセンサは異常フォトセンサであり、その状態が検出視野RCenに「×」で示されている。更に、分図(a)において、曲線Bは、基準線Sに対しBOWを有している。ここで、中央に配置されているフォトセンサが異常フォトセンサとなる前の一点鎖線rCenにおける副走査方向の誤差をv0とする(分図(a))。
BOWの変化が少ない画像形成装置の場合、分図(a)に示されている中央のフォトセンサが異常フォトセンサとなる前の一点鎖線rCenにおける副走査方向の誤差v0を条件補正部14に備えられている記憶部15に予め記憶させるとよい。そして、記憶された誤差v0に基づき使用可能なフォトセンサが配置されるIn側及びOut側へ誤差分配するとよい。これにより、使用可能なフォトセンサが2個となっても、副走査方向の誤差をv1まで抑え補正することができる(分図(b)参照)。これはBOWずれの経時変動が小さい場合に限り有効である。
使用可能なフォトセンサが2個の場合におけるスキューを有する走査線の補正の一例を示しているのが図16である。本図において、一点鎖線rIn、rCen、rOutは、主走査方向に配列されている3個のフォトセンサの検出視野RIn、RCen、ROutの中心位置を示している。そして、In側に配置されているフォトセンサは異常フォトセンサであり、その状態が検出視野RInに「×」で示されている。また、基準線Sは、主走査方向の基準線を示している。更に、曲線Kは、湾曲を有する走査線であり、BOW及び副走査スキューの両画像特性を有するものとなっている。
本図に示されているように、曲線Kの副走査スキュー量はk0である。しかし、使用可能な中央及びOut側のフォトセンサにより曲線Kの副走査スキュー量を検出する場合、一点鎖線rCen及び一点鎖線rOutの位置における基準線Sに対する曲線Kのずれ量から検出されるため、副走査スキュー量は、誤った副走査スキュー量k1として検出される。この誤って検出された副走査スキュー量k1に基づき位置ずれ補正を行った場合、位置ずれは解消されない。そこで、In側のフォトセンサが異常フォトセンサとなる前における曲線Kの副走査BOW量を条件補正部14に備えられている記憶部15に予め記憶させ、曲線Kの傾向を把握させておくとよい。これにより、副走査BOWが比較的変動し難い画像形成装置においては、誤って検出された副走査スキュー量k1を真の副走査スキュー量k0へ修正することが可能である。
更に、使用可能なフォトセンサが1個の場合においては、条件補正部14に備えられている記憶部15に副走査スキューの副走査スキュー量及びBOWのずれ量を予め記憶させ、これら画像特性の傾向を把握させておくとよい。これにより、副走査スキュー及びBOWが比較的変動し難い画像形成装置においては、これら画像特性の傾向を考慮した上で1個の使用可能なフォトセンサの配置位置における副走査スキュー量及びBOWのずれ量から、これらのずれを誤差分配して副走査マージンを補正できる。
更に、主走査倍率、主走査左右倍率バランス、副走査スキュー及びBOWが変動し難い画像形成装置の場合、使用可能なフォトセンサが1個の場合であっても、上記のずれを効果的に誤差分配し、最適な主走査マージン及び副走査マージンの補正が可能である。
濃度誤差補正については、使用可能なフォトセンサが2個の場合においてIn/Out濃度差の補正が可能であることは、図11に示されている通りである。濃度誤差補正においても条件補正部14に備えられている記憶部15に予め各フォトセンサの配置位置における濃度を記憶させることにより、In/Out濃度差及びIn/Center/Out濃度分布の傾向を把握させておくとよい。これにより、使用可能なフォトセンサが2個の場合であっても、In/Out濃度差について見込み補正を行うことができる。更に、使用可能なフォトセンサが1個の場合においては、使用可能なフォトセンサの配置位置における濃度を記憶部15に予め記憶された各フォトセンサの配置位置における濃度、つまり、In/Out濃度差、或いは、In/Center/Out濃度分布の傾向から補正し、補正の精度を向上させることが可能となる。
記憶部15に記憶される各画像特性の傾向については、複数種類の傾向が検出される場合がある。そこで、画像特性毎に傾向の種類を分類させた上で記憶部15に記憶させるとよい。これにより、使用可能なフォトセンサの数が減った場合であっても、最低限の精度を確保しつつ画像特性の補正を行うことができる。
最後に、本発明の説明に係わる画像形成装置は、フォトセンサを3個備えるものを例としているが、フォトセンサを5個備える画像形成装置についても使用可能なフォトセンサの数に応じ、補正を行う画像特性を適宜設定することができる。この設定については、使用可能なフォトセンサの数が2個、即ち、異常フォトセンサの数が3個となった場合は、特定の画像特性のみを補正する、或いは、補正モードを実施しない設定とするのがよい。そして、条件補正部14に備えられている記憶部15に各フォトセンサの配置位置におけるずれ量や副走査スキュー量を記憶させ、各画像特性の傾向を記憶させることにより、使用可能なフォトセンサの数が3個までに減った場合であっても、全ての画像特性について補正が可能な構成とすることができる。
1・・・感光体、2・・・帯電器、3・・・ROS(レーザ出力部)またはLEDアレイなどの発光素子アレイ、4・・・現像器、6・・・中間転写体ベルト、10・・・フォトセンサ、12・・・検出情報抽出部、13・・・判断部、14・・・条件補正部、15・・・記憶部