JP2016164861A - 二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂、二次電池負極用炭素材、二次電池負極活物質、二次電池負極、および二次電池 - Google Patents

二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂、二次電池負極用炭素材、二次電池負極活物質、二次電池負極、および二次電池 Download PDF

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小林 義和
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義和 小林
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Abstract

【課題】充放電効率を改善し得る二次電池負極炭素材を生成可能な二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂を提供する。【解決手段】水酸基当量が115g/eq以上であり、この樹脂を窒素雰囲気下550℃焼成により炭素材前駆体を得た後更に窒素雰囲気で1,200℃の焼成によりハードカーボンを主成分とする負極活物質を生成する二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。【効果】前記のように生成した炭素材は、リチウムイオン電池の充放電による電気抵抗の増大抑制効果を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂、二次電池負極用炭素材、二次電池負極活物質、二次電池負極、および二次電池に関する。
近年、携帯電話などの小型電気製品から自動車など大型機械製品まで種々の技術分野で二次電池の利用が検討されている。二次電池としては、電解質として有機電解質等を使用する非水電解液二次電池、または固体電解質を使用する固体電池など種々のタイプが検討されている。いずれのタイプの二次電池においても、二次電池の電荷担体となる化学種(たとえばリチウムイオンなど)が、正極の電極活物質層と負極の電極活物質層とを移動することによって充電および放電が繰り返される。
かかる二次電池において、負極に設けられる電極活物質層には、電極活物質として炭素材が含有されていることが一般的である。上記電極活物質層は、層構造である炭素材の層間に、化学種を吸蔵し、かつ当該層間から吸蔵された活物質を放出することにより、二次電池における充電および放電を可能とする。
上記炭素材としては、従来から、石油を出発物質とするものが汎用されている。たとえば特許文献1には、黒鉛、およびリンと酸素と不可逆不純物とを含んだ非晶質炭素を含む負極活物質(以下、従来技術1ともいう)を備えるリチウム二次電池用負極が開示されている。具体的には、従来技術1は、石油生コークスにリン含有化合物を添加したものを500〜1500℃にて加熱することにより非晶質炭素となし、これに黒鉛を加えて混合してなる負極活物質成分を含むことが説明されている。
特許文献1において、負極活物質成分にリンを含有させる理由は、リチウムイオンの吸蔵量を増大させるためであることが説明されている。特許文献1には、負の電荷を帯び易いリンが、負極活物質成分に添加されることにより、ドナーサイトがコークス内に多数形成され、これがリチウムイオンの吸着サイトとなることが推察されている。同文献には、リンの具体例として、五酸化リン、リン酸、リン酸塩が挙げられている。
一方、上述する従来技術1とは異なり、石油以外の材料を出発物質とした炭素材の検討もいくつか行われている。たとえば、特許文献2には、有機材料が炭素化されてなり、所定範囲の量のリンを含有する炭素質材料を含んでいる電池用負極(以下、従来技術2ともいう)が開示されている。同文献には、従来技術2における出発原料となる有機材料としてフェノール樹脂が例示されている。
具体的には、同文献実施例2において、ノボラック型フェノール樹脂粉末に、リン酸水溶液等を加え、焼成することでリンを含有する炭素質材料を生成し、これを備える従来技術2を作成している。
特許文献1と同様、特許文献2においても、従来技術2にリンを含有させることにより、炭素質材料のリチウムに対するドープ量を大きくするうえで非常に有効であることが説明されている。
特開平10−241690号公報 特開平3−137010号公報
フェノール樹脂は、人工的に合成できる材料であり、使用される技術分野の多様化する二次電池に対応し、負極の設計の自由度を広げることが可能であるため、負極における炭素材料の出発物質として期待される。
本発明者らは、二次電池負極用の炭素材の出発物質としてフェノール樹脂を利用するために鋭意検討した。その結果、従来技術2に用いられているノボラック型フェノール樹脂は、分子構造が単純化され合成容易であるものの、これを出発物質として生成した炭素材は、充分な電池性能を示し難いということがわかった。より具体的には、ノボラック型フェノール樹脂を出発物質として従来の方法で生成された炭素材を含有する電極活物質層を備える負極は、充放電効率が充分でないことがわかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、二次電池負極の充放電効率の改善に貢献可能な変性フェノール性水酸基含有樹脂を提供することを課題とする。
より具体的には、本発明は、上記課題を鑑み、充放電効率を改善し得る二次電池負極炭素材を生成可能な二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂を提供する。
また本発明は、上記変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成された二次電池負極用炭素材を提供する。
また本発明は、上記炭素材を含有する二次電池負極活物質、上記負極活物質を含有する二次電池負極活物質層を備える二次電池負極、および上記負極を備える二次電池を提供する。
本発明の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂は、水酸基当量が115g/eq以上であることを特徴とする。
また、本発明の二次電池負極用炭素材は、本発明の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成されたことを特徴とする。
また本発明の二次電池負極活物質は、本発明の二次電池負極用炭素材を含有することを特徴とする。
また本発明の二次電池負極は、本発明の二次電池負極活物質を含む負極活物質層と、上記負極活物質層が積層された負極集電体と、を有することを特徴とする。
また本発明の二次電池は、本発明の二次電池負極と、電解質と、二次電池用正極と、を備えることを特徴とする。
本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂は、二次電池負極の充放電効率の向上に貢献する。即ち、ノボラック型フェノール樹脂のような分子構造が単純化されたフェノール樹脂を出発物質とした場合に比して、本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂を出発物質とした場合には、これにより生成された炭素材を備える負極の充放電効率を改善可能である。
また、本発明の炭素材および当該炭素材を含有する負極活物質は、二次電池負極の充放電効率の向上に貢献する。
そのため、本発明の負極は、充放電効率に優れ、当該負極を備える本発明の二次電池は、優れた電池性能を示す。
本発明の二次電池の一例であるリチウムイオン二次電池の模式図である。
本発明者らは、二次電池負極用の炭素材の出発物質としてフェノール樹脂を利用し、充放電効率の改善された二次電池負極用炭素材、並びに、これを用いた二次電池負極用電極活物質、二次電池負極、および二次電池を提供するために検討を行った。
上記検討により、ノボラック型フェノール樹脂のように主鎖においてフェノールを多く含み、水酸基当量が小さいフェノール樹脂は、充放電効率が充分でないことがわかった。本発明者らはかかる理由を、以下のとおり推察した。尚、ノボラック型フェノール樹脂の水酸基当量は、105g/eqである。
即ち、水酸基当量の小さいフェノール樹脂を焼成して炭素材を生成するための焼成工程において、当該フェノール樹脂に備わる水酸基の少なくとも一部が分子内または分子間で脱水縮合して架橋することが推察された。当該架橋により、炭素材は、生成時の結晶構造の成長が阻害され、グラフェン様構造を含む望ましい炭素の結晶子が形成され難いという問題があるものと思われた(以下、単に「水酸基の架橋の問題」という場合がある)。この結果、当該炭素材は、リチウムイオン等の化学種の吸蔵放出能が充分ではなく、優れた充放電効率を発揮し難いものと推察された。ここで結晶子とは、単結晶とみなせる最大の集まりをいう。
そこで、本発明者らは鋭意検討により、水酸基当量が所定範囲以上となるよう変性されたフェノール樹脂を用いることで、水酸基の架橋の問題が改善され、この結果、充放電効率を改善することが可能であるとの技術的思想により、本発明を完成させた。
尚、本明細書において「グラフェン様構造」とは、グラフェンにおいて示される六角形格子構造と同様または類似の構造を有するシート構造または積層構造を少なくとも一部に有する構造を意味する。また本明細書において電極活物質とは、電荷担体となる化学種を吸蔵および放出し得る材料をいう。上記化学種は、例えばアルカリ金属イオン二次電池においては、リチウムイオンまたはナトリウムイオンなどを挙げることができる。
以下に、二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂(以下、単に変性フェノール性水酸基含有樹脂ともいう)、二次電池負極用炭素材(以下、単に炭素材ともいう)、二次電池負極活物質(以下、単に負極活物質ともいう)、二次電池負極(以下、単に負極ともいう)、および二次電池について順に説明する。
<二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂>
以下、本発明の樹脂組成物を実施するための形態について詳細に説明する。
本実施形態にかかる二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂は、水酸基当量が115g/eq以上であることを特徴とする。
かかる変性フェノール性水酸基含有樹脂を出発物質として生成される炭素材は、ノボラック型フェノール樹脂のごとく水酸基当量が115g/eq未満の樹脂を用いてなる従来の炭素材と比して充放電効率が改善される。即ち、本実施形態における変性フェノール性水酸基含有樹脂は、電池特性に優れた炭素材を生成する出発物質として有用である。
上述のとおり本実施形態にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂は、水酸基当量が115g/eq以上であり、より好ましくは130g/eq以上であり、さらに好ましくは150g/eq以上である。上記所定値以上の水酸基当量である変性フェノール性水酸基含有樹脂では、水酸基の架橋の問題が有意に改善されると思われる。また、水酸基の架橋を抑制する観点からは、水酸基当量の上限は特に限定されないが、実用的な範囲としては、水酸基当量は、たとえば5000g/eq以下であることが好ましく、3000g/eq以下であることがより好ましく、1000g/eq以下であることが特に好ましい。
ここで水酸基当量とは、フェノール樹脂における水酸基1つに対する分子量を意味する。水酸基当量の測定はJIS K 0070(1992)に規定される中和滴定法に準じて行うことができる。
本実施形態において変性フェノール性水酸基含有樹脂とは、樹脂の出発物質としてフェノールのみを用いて合成されたフェノール樹脂に対し、任意の箇所が変更された構造を備える樹脂であって、分子内にフェノール性水酸基を有する樹脂をいう。
たとえば、変性フェノール性水酸基含有樹脂の例としては、キシレン変性フェノール樹脂などの、フェノールと変性剤である化合物とを反応させて合成された樹脂を挙げることができる。
また変性フェノール性水酸基含有樹脂の他の例としては、m−クレゾール樹脂、キシレノール樹脂、ナフトール樹脂などの、フェノール以外のフェノール類を用いて合成された樹脂を挙げることができる。
また変性フェノール性水酸基含有樹脂の他の例としては、フェノール以外のフェノール類と変性剤である化合物とを反応させて合成された樹脂を例示することができる。
上述する樹脂の合成の反応には、適宜、触媒を用いてもよい。
ここでフェノール類とは、芳香族化合物に水酸基を有する有機化合物を意味する。本実施形態においてフェノール類には、所謂フェノール、およびクレゾール等のベンゼン環に1つの水酸基以外の官能基が設けられた有機化合物を含む。フェノール類の具体的な例としては、たとえば、フェノール;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、またはp−t−ブチルフェノール等のアルキル置換フェノール類;p−フェニルフェノール等の芳香族置換フェノール類;カテコール、またはレゾルシノール等の二価フェノール類;α−ナフトール、またはβ−ナフトール等のナフトール類等が挙げられるがこれに限定されない。
変性剤である化合物については後述する。
変性フェノール性水酸基含有樹脂を生成する場合に用いられる触媒には、以下のようなものが挙げられる。触媒は、大別すると、酸触媒、およびアルカリ触媒の2つのものを挙げることができる。
具体的には、酸触媒としては、塩酸、硫酸、ジエチル硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、またはp−トルエンスルホン酸などの無機酸触媒;ルイス酸触媒などの金属触媒:有機酸触媒;酢酸亜鉛などを挙げることができるがこれに限定されない。
またアルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、または水酸化カリウムなどの塩基性触媒;カルシウム、マグネシウム、またはバリウムなどのアルカリ土類金触媒;アンモニア等のアミン系触媒;酢酸亜鉛を挙げることができるがこれに限定されない。
変性フェノール性水酸基含有樹脂を生成する際に、一種の触媒を単独で使用するか又は二種以上触媒を併用して使用してもよい。
尚、フェノール樹脂を生成する場合には、必要に応じて反応助触媒をさらに用いてもよい。
本実施形態にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂は、たとえば、下記一般式(1)に示される構造を含む化合物である。ただし、一般式(1)中、Pがフェノール性水酸基を含有する構造を表し、AおよびBが変性フェノール性水酸基含有樹脂の主鎖を構成する任意の原子または原子群を表し、Xが任意のアリール基を表し、nは1以上の整数である。
ここで一般式(1)におけるnの上限は特に限定されないが、二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂の実用性の観点からは、nが1000以下の整数であることが好ましい。
本実施形態にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂は、下記一般式(1)に示される構造を繰り返し単位の一部に含むものであってもよいし、下記一般式(1)が実質的に繰り返し単位となって連続する樹脂であってもよい。
Figure 2016164861
一般式(1)におけるPは、具体的には、フェノール性水酸基を含有する構造であれば、ベンゼン核、ナフタレン核、アントラセン核などの一般的に知られるアリール基を例示することができるが、これらに限定されない。
一般式(1)におけるXは、具体的には、ベンゼン核、ナフタレン核、アントラセン核などの一般的に知られるアリール基を例示することができるが、これらに限定されない。
一般式(1)に示される変性フェノール性水酸基含有樹脂は、芳香族環を複数有しているとともに水酸基当量が所定値以上であるため、二次電池用炭素材を生成する出発物質として好ましい。
本実施形態にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂は、上述する一般式(1)において、特に下記一般式(2)に示される化合物であってもよい。
Figure 2016164861
(ただし、一般式(2)中、X1からX4がそれぞれ独立に、ベンゼン核に備わる置換基または水素原子を表す。)
即ち、一般式(2)は、一般式(1)におけるXが、X1からX4を有するベンゼン核として特定されている。
一般式(2)に示される変性フェノール性水酸基含有樹脂は、ベンゼン骨格を複数有しているとともに水酸基当量が所定値以上であるため、二次電池用炭素材を生成する出発物質として好ましい。
一般式(2)に示される変性フェノール性水酸基含有樹脂は、樹脂の繰り返し単位において、フェノール性水酸基を含有する構造(一般式(2)中のP)および上記フェノール性水酸基を含有する構造以外のベンゼン核(以下、単にベンゼン核ともいう)を有しており、水酸基当量は115g/eqを超える。尚、一般式(1)に含まれるベンゼン核とは、芳香族性を有する炭素六員環を意味する。
一般式(1)に表される変性フェノール性水酸基含有樹脂は、フェノール性水酸基を含有する構造とベンゼン核とを有していることから、変性フェノール性水酸基含有樹脂の繰り返し単位に2以上のベンゼン骨格を備える。そのため、本実施形態にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂は、焼成され炭化される工程においてグラフェン様構造を含む望ましい炭素の結晶子が形成され易く、二次電池負極用炭素材の出発物質として好ましい。
本実施形態にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂は、一般式(2)で表される特定の構造が、樹脂の繰り返し単位の一部に含まれている態様であってもよい。
上記繰り返し単位に含まれるフェノール性水酸基を含有する構造とは異なるベンゼン核はX1からX4を有し、これらはそれぞれ独立に、水素または任意の置換基である。また、X1からX4のいずれか2つの置換基(特には、置換位置が隣あういずれか2つの置換基)が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。
一般式(2)におけるX1からX4のいずれか一つ以上は、それぞれが水素原子であってもよいし、いずれか一以上が水素原子であって、他が任意の置換基であってもよい。またX1からX4は、全てが同一置換基であってもよいし、いずれか2以上の置換基が同一の置換基であって他は異なる置換基であってもよい。
一般式(2)におけるX1からX4は、特に限定されないが、たとえばメチル基、ビニル基、またはアリル基などのアルキル基;アミノ基;ビニル基;フェニル基などのアリール基;水酸基といった置換基を例示することができる。これらの置換基を変性フェノール性水酸基含有樹脂の繰り返し単位に含むことにより、当該変性フェノール性水酸基含有樹脂を焼成して炭素材を生成する際に、置換基同士が一時的に結合したり、あるいは置換基が立体障害となったりすることで、フェノール性水酸基を含有する構造における水酸基の脱水縮合による架橋を抑制することが期待される。
本実施例にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂の好適な一例は、一般式(2)中におけるX1からX4のいずれか一つ以上がメチル基である。
変性フェノール性水酸基含有樹脂を焼成して炭化する際、メチル基であるX1からX4のいずかが他の炭素を有する置換基と反応して炭素六員環骨格を形成することに貢献し得るからである。これにより、変性フェノール性水酸基含有樹脂は、一般式(2)におけるフェノール性水酸基を含有する構造およびベンゼン核と並んでメチル基由来の炭素を含む炭素六員環を有する炭素材を生成可能である。
上記一般式(2)におけるX1およびX2は、たとえば、下記一般式(3)に示すとおり、X1およびX2が、ベンゼン核の炭素原子を1つ挟んでメタ位に位置することができる。尚、一般式(3)において、X3およびX4はいずれも水素であり、図示省略している。
Figure 2016164861
一般式(2)におけるX1およびX2がいずれもメチル基である変性フェノール性水酸基含有樹脂は本実施形態にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂として好ましい例のひとつである。このとき、X3およびX4はたとえば水素であるが、これに限定されない。
即ち、本実施形態における好ましい変性フェノール性水酸基含有樹脂の例としては、一般式(2)中におけるX1およびX2がいずれもメチル基であり、2つのメチル基は、炭素原子を1つ挟んでメタ位に位置している分子構造(一般式(3)参照)であることが挙げられる。
メチル基が、メタ位に配置されることで、変性フェノール性水酸基含有樹脂を炭化した際、メチル基に含まれる炭素を備えるシクロヘキサンがベンゼン環に隣接して形成され、これにより望ましいグラフェン様構造が形成されることが期待される。
本実施形態において一般式(3)に示される変性フェノール性水酸基含有樹脂の好ましい例としては、以下のようなものが挙げられる。
例えば、AおよびBがメチレン基であり、X1およびX2がメチル基である変性フェノール性水酸基含有樹脂は、本実施形態における変性フェノール性水酸基含有樹脂として好ましい。
また、Aがメチレン基であり、Bが一般式(3)に示されるベンゼン核と結合するメチレン基と、当該メチレン基に結合する他のベンゼン核を少なくとも有する原子群であり、X1およびX2の少なくともいずれかがメチル基である変性フェノール性水酸基含有樹脂は、本実施形態における変性フェノール性水酸基含有樹脂として好ましい。
また、Aがメチレン基(第一メチレン基)であり、Bが一般式(3)に示されるベンゼン核と結合するメチレン基(第二メチレン基)と、当該メチレン基(第二メチレン基)に結合する他のベンゼン核を少なくとも有するとともにBに含まれる上記他のベンゼン核の水素と置換されたメチル基(第一メチル基)を有する原子群であり、かつX1およびX2の少なくともいずれかがメチル基(第二メチル基)である変性フェノール性水酸基含有樹脂は、本実施形態における変性フェノール性水酸基含有樹脂として好ましい。より具体的には、たとえば上記Bに含まれる上記他のベンゼン核が有するメチル基(第一メチル基)は、Bに含まれるメチレン基(第二メチレン基)の結合位置を第一位として、右回り第六位において水素と置換されている。
次に、一般式(1)におけるAおよびBについて説明する。一般式(1)におけるAおよびBは、一般式(1)中のX(アリール基)と結合し、変性フェノール性水酸基含有樹脂の主鎖を構成する任意の原子または原子群である。AおよびBは、同一の原子または同一の原子群であってもよいし、異なる原子または異なる原子群であってもよいし、いずれか一方が原子であり他方が原子群であってもよい。
上記原子としては、酸素などを挙げることができるがこれに限定されない。また上記原子群としてはメチレン基(−CH−)などのアルキル鎖を挙げることができるがこれに限定されず、さらに複雑な分子構造を有していてもよい。
たとえば、一般式(1)におけるAまたはBの分子構造中には、一般式(1)に示すPとは異なるフェノール性水酸基を含有する構造または一般式(1)に示すベンゼン核とは異なるベンゼン核が含まれていてもよい。このように、AまたはBにベンゼン骨格が含まれることにより、当該変性フェノール性水酸基含有樹脂を焼成して炭素化する際に、より良好なグラフェン様構造の形成が期待される。
一般式(1)の好ましい具体的な構造の例としては、以下に示す化学式(4)から化学式(7)を挙げることができる。ただし、これらの具体例は、一般式(1)を何ら限定するものではない。化学式(4)から化学式(7)におけるnは、それぞれ1以上の整数であり、上限は特に限定されないが、実用性の観点からはnは1000以下であることが好ましい。
Figure 2016164861
Figure 2016164861
Figure 2016164861
Figure 2016164861
一般式(1)に示す変性フェノール性水酸基含有樹脂を生成するためには、例えば、フェノール類と、下記一般式(8)で表される変性剤とを反応させることができる。当該反応には適宜触媒が用いられる。但し、一般式(8)は、本実施形態にかかる変性フェノール性水酸基含有樹脂を生成するために用いられる変性剤を限定するものではない。
Figure 2016164861
(ただし、式(8)中、Cは一般式(1)におけるAを含む原子または原子群を表し、Dは一般式(1)におけるBを含む原子または原子群を表し、X1およびX2はそれぞれ独立に、ベンゼン核に備わる置換基または水素原子を表す。)
一般式(8)で示される変性剤は、ベンゼン核、および当該ベンゼン核と反応するフェノール類とを結合する原子または原子群(即ち、一般式(1)におけるAおよびB)を含む原子または原子群(即ち一般式(8)におけるCおよびD)を有する。そのため、一般式(8)に表される変性剤とフェノール類とを反応させてなる変性フェノール性水酸基含有樹脂は、繰り返し単位においてベンゼン骨格を2以上含み、水酸基当量が115g/eq以上となる。
一般式(1)に表される変性フェノール性水酸基含有樹脂の具体的な化合物の一つとしてはフェノールアラルキル樹脂を挙げることができる。
フェノールアラルキル樹脂とは上述するフェノール類と、変性剤であるアラルキル化合物とを反応させて生成された樹脂を意味する。
ここでアラルキル基は、アルキル基の水素原子の1つがフェニル基などのアリール基で置換されたものを意味する。上記アラルキル化合物とは、上記アラルキル基を有する化合物を意味する。
中でも、有機化合物の水素原子の1つとアラルキル基を構成するフェニル基とが置換された化合物であって、当該フェニル基を介して、アラルキル基を構成するアルキル基と上記有機化合物とがパラ位に位置するアラルキル化合物が好ましい。特に、フェニル基を介してパラ位に位置する上記アルキル基と、上記有機化合物の分子構造が同一であるアラルキル化合物がより好ましい。特に好ましいアラルキル化合物の具体例としては、p−キシレングリコールジメチルエーテル、またはp−ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
上述する好ましいアラルキル化合物とフェノール類との反応により生成されたフェノールアラルキル樹脂は、本実施形態における変性フェノール性水酸基含有樹脂として好ましい。
上述する好ましいアラルキル化合物とフェノール類とを反応させてなる変性フェノール性水酸基含有樹脂は、樹脂の繰り返し単位の中にベンゼン骨格を2以上含み、水酸基当量が115g/eqになる直鎖状の樹脂であり取り扱い性が容易であるとともに、焼成して炭化することによって電池特性の優れた炭素材を提供することが可能である。
本実施形態における変性フェノール性水酸基含有樹脂として好ましいフェノールアラルキル樹脂は、たとえば、フェノール類と、p−キシリレングリコールジメチルエーテルとを酸性触媒下で反応させて得られる変性フェノール性水酸基含有樹脂である。上記酸性触媒としては例えばジエチル硫酸を挙げることができるが、これに限定されない。
また異なる態様として、本実施形態における変性フェノール性水酸基含有樹脂として好ましいフェノールアラルキル樹脂は、たとえば、フェノール類と、ジビニルベンゼンとを酸性触媒下で反応させて得られる変性フェノール性水酸基含有樹脂である。上記酸性触媒としては例えばp−トルエンスルホン酸を挙げることができるが、これに限定されない。
一般式(1)に表される変性フェノール性水酸基含有樹脂の異なる具体的な化合物の一つとしては、フェノール類と、キシレンまたはキシレン変性化合物と、を反応させてなるキシレン変性フェノール樹脂を挙げることができる。
キシレン変性フェノール樹脂は、樹脂の繰り返し単位の中にベンゼン骨格を2以上含み、水酸基当量が115g/eqになる樹脂であり、焼成して炭化することによって電池特性の優れた炭素材を提供することが可能である。
キシレンは、o−キシレン、m−キシレン、またはp−キシレンのいずれのものであってもよい。またキシレン変性化合物は、o−キシレン変性化合物、m−キシレン変性化合物、またはp−キシレン変性化合物のいずれのものであってもよい。キシレン変性化合物は、特に限定されないが、たとえば、複数のキシレンがメチル基および/またはエーテル結合によって直鎖状に架橋してなる化合物を挙げることができる。市販品では、フドー株式会社製のキシレン変性化合物(商品名:ニカノール(登録商標))が例示されるが、これに限定されない。
一般的に知られるフェノール樹脂を合成する方法に倣い、フェノール以外のモノマーとホルムアルデヒドなどのアルデヒド類を酸またはアルカリ性の触媒存在下で合成することにより変性フェノール性水酸基含有樹脂を合成することも可能である。
以下、本発明の実施するための形態について、二次電池負極用樹脂組成物、負極用炭素材、負極活物質、二次電池負極、および二次電池の詳細を順に説明する。
<二次電池負極用樹脂組成物>
本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂は、単独で焼成されることによって二次電池負極用の炭素材をなすこともできるが、必要に応じて任意の添加剤とともに二次電池負極用樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう)を構成する場合がある。
たとえば、本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂と、硬化剤と、を含む樹脂組成物を調製し、これを二次電池負極用の炭素材の材料として使用することもできる。焼成して炭化する際に、変性フェノール性水酸基含有樹脂の熱硬化を促進させるためである。
樹脂組成物における硬化剤の配合量は、特に限定されないが、たとえば変性フェノール性水酸基含有樹脂100質量部に対して0.1質量部以上50質量部以下である。
硬化剤以外の添加剤としては、たとえば、有機酸、無機酸、含窒素化合物、含酸素化合物、芳香族化合物、非鉄金属元素などを挙げることができる。これら添加剤は、用いる樹脂の種類や性状などにより、1種または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂組成物の調製方法は特に限定されず、適宜の方法で実施することができる。例えば、変性フェノール性水酸基含有樹脂と、適宜添加される添加剤と、を(1)融解混合する方法、(2)溶媒に溶解して混合する方法、(3)粉砕して混合する方法などにより調製することができる。
樹脂組成物の調製のための装置としては特に限定されないが、例えば、融解混合を行う場合には、混練ロール、単軸あるいは二軸ニーダーなどの混練装置を用いることができる。溶解混合を行う場合は、ヘンシェルミキサー、ディスパーザなどの混合装置を用いることができる。粉砕混合を行う場合には、例えば、ハンマーミル、ジェットミルなどの装置を用いることができる。
このようにして得られた樹脂組成物は、複数種類の成分を物理的に混合しただけのものであってもよいし、樹脂組成物の調製時、混合(攪拌、混練など)に際して付与される機械的エネルギーおよびこれが変換された熱エネルギーにより、その一部を化学的に反応させたものであってもよい。具体的には、機械的エネルギーによるメカノケミカル的反応や、熱エネルギーによる化学反応をさせてもよい。
<二次電池負極用炭素材>
次に、本発明の二次電池用炭素材について説明する。
本発明の炭素材は、上述する本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成された炭素材である。
本発明の炭素材は、ノボラック型フェノール樹脂のごとく水酸基当量が115g/eq未満の樹脂を用いて生成された炭素材と比して充放電効率が改善されており、電池特性に優れる。
特に一般式(1)に示される変性フェノール性水酸基含有樹脂を焼成し炭化してなる炭素材は、充放電効率が良好に改善される。これは、出発物質として用いる変性フェノール性水酸基含有樹脂の繰り返し単位に2以上のベンゼン骨格を有するため、生成された炭素材が、グラフェン様構造を含む望ましい炭素の結晶子を有するためと思われる。
本発明の好ましい態様として、炭素材は、個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積(以下、単に単位体積当たりの表面積ともいう)が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含む。尚、本明細書において「cm−1」と記載する場合には、特段の断りがない場合には、「cm/cm」の単位を意味する。尚、以下の説明において、好ましい炭素粒子を含む炭素材を、単に炭素材と称する場合がある。
上記単位体積当たりの表面積の下限は、さらに12000cm−1以上とすることができる。また上記単位体積当たりの表面積の上限は、さらに15500cm−1以下、または14000cm−1以下とすることができる。
本発明の炭素材は、負極用活物質の材料として用いることができる炭素材料である。単位体積当たりの表面積が上記範囲である炭素粒子を含む炭素材は、低温環境下、二次電池の充放電時における電気抵抗の増大を抑制する効果(以下、電気抵抗抑制効果ともいう)を有する。上記態様の炭素材において電気抵抗抑制効果が発揮される理由は明らかではない。しかし、かかる態様の炭素材は、粒子径が適度に微小であり、単位体積当たりの表面積が充分に大きくなるよう構成されている。そのため、かかる態様の炭素材は、リチウムイオンの吸蔵放出効率が高く、低温環境下においてリチウムイオンの動作が鈍くなった場合でも、スムーズに吸蔵放出が行われるものと推測される。換言すると、かかる態様の炭素材は、リチウムイオンの吸蔵放出領域である粒子の表面の面積を従来の炭素材より有意に増大させたことによって、低温環境下におけるリチウムイオンの移動性の低下をカバーし電気抵抗の増大を抑制するものと推察される。
具体的には上記炭素材は、単位体積当たりの表面積が10000cm−1以上であることにより、リチウムイオンの吸蔵放出領域である粒子表面の総面積が充分に大きい。これにより本発明の炭素材は、従来の炭素材に比べてリチウムイオンの吸蔵放出能に優れ、低温環境下でも電気抵抗抑制効果を発揮する。
また、上記炭素材を、単位体積当たりの表面積が、16000cm−1以下の範囲とすることにより、極端に微小な炭素材の粒子を排除可能である。炭素材に極端に微小な炭素材の粒子が含まれていると、高温時における自己放電量が増加する傾向にあり、また炭素材を含む材料をスラリー化して集電体に塗工する際、当該スラリーの粘度の著しい上昇により塗工性が低下する傾向にある。かかる観点から、炭素材は、単位体積当たりの表面積の上限が16000cm−1であることが好ましい。
本発明の炭素材において、低温環境下における電気抵抗は、所定の低温環境条件下(例えば−20℃の環境)において測定された直流抵抗(DC−IR)の値の大小によって判断することができる。直流抵抗値が相対的に大きい場合には、電気抵抗が相対的に高いと判断される。
本発明の炭素材において、個数基準における粒子径分布とは、レーザー回折・散乱法によって求めた個数基準の粒子径分布を意味する。当該粒子径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定することができる。例えば、株式会社堀場製作所製のLA−920などにより測定することができる。ここで粒子径とは、粒子の直径を意味する。
本発明において個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積とは、任意のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定された個数基準の粒子径分布から得られたデータを用い、下記数式(1)により算出することができる。
[数1]
単位体積当たりの表面積(cm−1)=総表面積(cm)/総体積(cm) (1)
ここで「総表面積」は、粒子径分布における各粒子径の粒子を真球に換算した際の表面積に各粒子径における粒子の頻度(%)を乗じた値の総和である。
また「総体積」は、粒子径分布における各粒子径の粒子を真球に換算した際の体積に各粒子径における粒子の頻度(%)を乗じた値の総和である。
また「頻度」とは、測定に供された総粒子数に対する各粒子径における粒子の比率である。
本発明において特定する好ましい範囲の単位体積当たりの表面積を有する炭素粒子を含む炭素材を得る方法は特に限定されず、一例としては、炭素材を製造する過程において適宜、粉砕処理を行うことが挙げられる。粉砕処理の詳細は後述する。
以下に、本発明の炭素材における炭素粒子が、ハードカーボンを含む態様について説明する。たとえば、本発明の炭素材は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上の下記に説明するハードカーボンを含む。
即ち、本発明の炭素材の好ましい態様の一つとして、当該炭素材に含まれる炭素粒子は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以上であるハードカーボンを含むことができる。
ハードカーボン(難黒鉛化性炭素)とは、グラファイト結晶構造が発達しにくい高分子を焼成して得られる炭素材であって、アモルファス(非晶質)な物質である。換言すると、ハードカーボンは、グラフェン構造を有しない炭素材料またはグラフェン構造を部分的にしか有しない炭素であって、上記特定の平均面間隔d002を有する。ハードカーボンの平均面間隔d002が0.340nm以上、特に0.360nm以上である場合には、リチウムイオンの吸蔵に伴う層間の収縮・膨張が起こり難くなるため、充放電サイクル性の低下を抑制できる。平均面間隔d002の上限は、特に規定されないが、たとえば0.390nm以下とすることができる。上記平均面間隔d002が0.390nm以下、特に0.380nm以下である場合にはリチウムイオンの吸蔵放出が円滑に行われ、充放電効率の低下を抑制できる。
さらに、上記ハードカーボンは、c軸方向((002)面直交方向)の結晶子の大きさLcが0.8nm以上5nm以下であることが好ましい。
Lcを0.8nm以上、特に0.9nm以上とすることでリチウムイオンを吸蔵放出することができる炭素層間スペースが形成され、十分な充放電容量が得られるという効果があり、5nm以下、特に1.5nm以下とすることでリチウムイオンの吸蔵放出による炭素積層構造の崩壊や、電解液の還元分解を抑制し、充放電効率と充放電サイクル性の低下を抑制できるという効果がある。
Lcは以下のようにして算出される。
X線回折測定から求められるスペクトルにおける002面ピークの半値幅と回折角から次のScherrerの式を用いて決定した。
Lc=0.94λ/(βcosθ) (Scherrerの式)
Lc:結晶子の大きさ
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
β:ピークの半値幅(ラジアン)
θ:スペクトルの反射角度
ハードカーボンにおけるX線回折スペクトルは、株式会社島津製作所製・X線回折装置「XRD−7000」により測定することができる。ハードカーボンにおける、上記平均面間隔の測定方法は以下の通りである。
ハードカーボンのX線回折測定から求められるスペクトルより、平均面間隔dを以下のBragg式より以下のとおり算出することができる。
λ=2dhklsinθ (Bragg式)(dhkl=d002
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
θ:スペクトルの反射角度
ハードカーボンである炭素粒子は、その表面全体において、リチウムイオンの吸蔵放出が可能であるという特性を有する。そのため、上述する範囲の単位体積当たりの表面積を示すハードカーボンの炭素粒子を含む炭素材は、表面積の増大によりリチウムイオンの吸蔵放出能に優れるという効果が顕著に発揮される。即ち、ハードカーボンである炭素粒子を含む本発明の炭素材は、本発明の構成により生じる作用を充分に享受し、優れた効果を発揮する。
また一般的に、ハードカーボンである炭素粒子は、黒鉛である炭素粒子に比べると、粒子内におけるリチウムイオンの拡散性(移動性)が低いという課題を有している。これに対し、本発明の炭素材に含まれるハードカーボンである炭素粒子は、単位体積当たりの表面積が上述する好ましい範囲であることにより、炭素粒子が充分に微粒子化されているため、上述する拡散性の不良をカバーすることができる。この観点からも、本発明において、ハードカーボンである炭素粒子は、単位体積当たりの表面積が上述する好ましい範囲を満たすことにより、リチウムイオンの吸蔵放出能の向上が顕著である。
上述のとおり炭素粒子にハードカーボンを含むことにより得られる効果を充分に享受する観点からは、本発明における炭素粒子は、ハードカーボンを90質量%以上含んでいてもよい。
ただし、本発明の炭素材は、黒鉛が含まれる態様を除外するものではない。ここで黒鉛とは、炭素の同素体の1つであり、六炭素環が連なった層からできている層状格子をなす六方晶系、六角板状結晶の物質である。上記黒鉛は、所謂、グラフェン構造を有する。上記黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛を含む。
黒鉛は、放電初期から放電末期まで電圧変化が少ないという望ましい性質を有しており、放電末期まで安定した高い電圧を維持可能である。本発明の炭素材に含まれる炭素粒子の一部または全部が黒鉛から構成されていてもよい。
ハードカーボンおよび黒鉛の長所をそれぞれ活かし、バランスのよい炭素材を提供するという観点から、本発明の炭素材における炭素粒子は、ハードカーボンおよび黒鉛を含んでいてもよい。
炭素粒子としてハードカーボンおよび黒鉛の両方を含む本発明の態様は、顕微鏡観察において、ハードカーボンの粒子と黒鉛の粒子とが個別独立に観察される場合と、両者が融合または結着し、見かけ上、一体的に観察される場合と、を含む。
本発明の炭素材におけるハードカーボンと黒鉛との含有比率は特に限定されない。しかし、単位体積当たりの表面積が所定範囲内であるハードカーボンを多く含むことによって上述する電気抵抗抑制効果が発揮され得るという観点からは、以下の比率の範囲であることが好ましい。即ち、ハードカーボンと黒鉛とを含む態様の本発明の炭素材において、炭素材における両者の質量比は、ハードカーボン:黒鉛=51質量%:49質量%から95質量%:5質量%の範囲であることが好ましい。
以上に説明する本発明の炭素材は、実質的に炭素粒子のみから構成されてもよいし、任意の他の材料を含んでいてもよい。例えば本発明の炭素材は、上述する炭素粒子を90質量%以上含み、好ましくは95質量%以上含む。
本発明の炭素材の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の製造方法により好適に製造することができる。
即ち、本発明の炭素材は、第一焼成工程と、第二焼成工程と、を有する製造方法により製造することができる。
第一焼成工程は、変性フェノール性水酸基含有樹脂または変性フェノール性水酸基含有樹脂を含む樹脂組成物(以下、変性フェノール性水酸基含有樹脂等という場合がある)を焼成時の最高温度が1000℃未満である焼成条件で焼成して炭素材前駆体を生成する工程である。
第二焼成工程は、第一焼成工程において生成された炭素材前駆体を焼成時の最高温度が1000℃以上の温度である焼成条件で焼成することによって炭素材を生成する工程である。
第一焼成工程および第二焼成工程は、連続的に実施してもよいし、分けて実施してもよい。
第一工程と第二工程とを分けて実施する態様の例として、たとえば第一焼成工程と第二焼成工程との間に、第一焼成工程にて得られた炭素材前駆体を粉砕する粉砕工程を設けることができる。第二焼成工程における炭素材前駆体の熱履歴を均一にするという観点からは、上記粉砕工程を実施することは好ましい。上記粉砕工程において得られる炭素材前駆体の粉砕物の粒径は特に限定されないが、1μm以上20μm以下、より好ましくは5μm以上15μm以下である。上記粉砕物の粒径が上記数値範囲の下限値以上であることにより、粉砕物の取り扱い性が良好である。また、上記粉砕物の粒径が上記数位範囲の上限値以下であることにより、第二焼成工程における炭素材の熱履歴の均一化を良好に図ることができる。
上記粉砕物の粒径は、体積基準の累積分布における50%累積時の粒径(D50、平均粒径)を意味する。
また上記粉砕工程における粉砕条件を調整することによって、好ましい範囲の単位体積当たりの表面積を示す炭素粒子を含む炭素材を製造することが可能である。
上記粉砕工程における粉砕方法は特に限定されないが、たとえば任意の粉砕装置を用いることができる。上記粉砕装置としては、ボールミル装置、振動ボールミル装置、ロッドミル装置、ビーズミル装置などの衝撃型粉砕装置、またはサイクロンミル装置、ジェットミル装置、乾式気流粉砕装置など気流粉砕装置を挙げることができるがこれに限定されない。粉砕処理において、これらの装置を1種または2種以上使用し、または、1種の装置で複数回粉砕して用いてもよい。また粉砕処理において、これらの装置に加え、篩などを用いて適宜、分級してもよく、また分級機能を有する粉砕装置を用いてもよい。
上述する第一焼成工程および第二焼成工程のガス雰囲気は特に限定されないが、たとえば不活性ガス雰囲気で行うことができる。上記不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどが挙げられる。これらの中でも、窒素ガスが特に好ましい。
第一焼成工程および第二焼成工程のガス雰囲気は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第一焼成工程および第二焼成工程における昇温速度、焼成温度、焼成時間などの条件は、生成される炭素材の使用が予定される負極の特性を最適なものにするため適宜調整することができる。
以上の製造方法により本発明の炭素材を得ることができるが、当該製造方法は、炭素材を製造する方法の一例である。本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成される炭素材は、上述する製造方法とは異なる他の製造方法で製造されたものであってもよい。
以下に、本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂等を用いてなる炭素材を含む本発明の負極活物質、本発明の負極活物質を含む本発明の負極、および当該負極を備える本発明の二次電池について説明する。
<二次電池負極活物質>
次に、本発明の二次電池負極活物質について、説明する。
本発明の負極活物質は、上述する本発明の炭素材を含有する。上述するとおり、本発明の炭素材は、充放電効率の改善が図られているため、これを含む本発明の負極活物質の充放電効率も改善される。
負極活物質とは、アルカリ金属イオン電池などの二次電池において、アルカリ金属イオン(例えばリチウムイオンまたはナトリウムイオン)などの化学種を吸蔵および放出することのできる物質である。
本発明の負極活物質は、実質的に本発明の炭素材のみからなるものであってもよいし、本発明の炭素材とは異なる材料をさらに含んでもよい。このような材料としては、例えば、シリコン、一酸化ケイ素、黒鉛質材料など一般的に負極材料として公知の材料が挙げられる。
これらの中でも、本発明の負極活物質は、本発明の炭素材に加え、黒鉛質材料を含むことが好ましい。これにより、アルカリ金属イオン電池などの二次電池の充放電容量を向上させることができる。本発明の樹脂組成物を用いて生成された炭素材は、充放電効率が改善されているため、黒鉛質材料を添加したことによる充電容量の向上が充放電効率の向上に反映され望ましい。
使用する黒鉛質材料の体積基準の累積分布における50%累積時の粒径(平均粒径)は、2μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。
<二次電池負極および二次電池>
次に本発明の二次電池負極および二次電池について説明する。
本発明の負極は、上述する本発明の負極活物質を含む負極活物質層と、当該負極活物質層が積層された負極集電体と、を有する。
本発明の二次電池は、本発明の負極と、電解質と、二次電池用正極と、を備える。
本発明の負極は、充放電効率の改善された負極活物質を含む負極活物質層を備え、優れた電池特性を示す。したがって本発明の負極を備える本発明の二次電池は、電池特性に優れ、種々の分野での使用が期待される。
本発明の二次電池は、例えば、リチウムイオン二次電池またはナトリウムイオン二次電池などのアルカリ金属二次電池を挙げることができるがこれに限定されるものではない。また本発明の二次電池は、非水電解液二次電池、および固体二次電池などの異なる電解質を使用する種々の形式を含む。以下の説明では、二次電池として、リチウムイオン二次電池を例に説明する。
以下、本発明の負極および当該負極を備える本発明の二次電池について説明する。図1は、本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成された炭素材を含むリチウムイオン二次電池の一例を示す模式図である。
図1は、本発明の二次電池の一例であるリチウムイオン二次電池100の模式図である。
リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、負極10と、正極20と、セパレータ30と、電解液40とを有している。
負極10は、図1に示すように、負極活物質層12と負極集電体14とを有している。
負極活物質層12は、上述した本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂を出発物質として生成された本発明の炭素材を含有している。
負極集電体14は特に限定されず、一般的に公知の負極用集電体を用いることができ、例えば、銅箔またはニッケル箔などを用いることができる。
負極10は、例えば、以下のようにして製造することができる。
上述する負極活物質100質量部に対して、一般的に公知の有機高分子結着剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系高分子;スチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴムなどのゴム状高分子;など)1質量部以上30質量部以下、および適量の粘度調整用溶剤(N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アルコール、水など)または水を添加して混練して、負極スラリーを調製する。
また、上述する負極活物質に対し、必要に応じてさらに導電材を添加してもよい。導電材としては、たとえばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維などのいずれかまたは組み合わせを用いることができる。導電材の配合量は、特に限定されないが、たとえば負極活物質100質量%において、2質量%以上10質量%以下が好ましく、さらに好ましくは3質量%以上7質量%以下である。これらの範囲外でも用いることができるが、導電剤の配合量が多すぎると電極中に存在する負極活物質量が必要以上に減少するおそれがあり、負極の体積容量が低下するおそれがある。
得られたスラリーを圧縮成形、ロール成形などによりシート状、ペレット状などに成形して、負極活物質層12を得ることができる。そして、このようにして得られた負極活物質層12と負極集電体14とを積層することにより、負極10を得ることができる。
また、得られた負極スラリーを負極集電体14に塗布して乾燥することにより、負極10を製造することもできる。
電解液40は、正極20と負極10との間を満たすものであり、充放電によってリチウムイオンが移動する層である。
電解液40としては特に限定されず、一般的に公知の電解液を用いることができ、例えば、非水系溶媒に電解質となるリチウム塩を溶解した非水電解液が用いられる。
この非水系溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの鎖状エステル類;ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル類;あるいはこれらの混合物などを用いることができる。
電解質としては特に限定されず、一般的に公知の電解質を用いることができ、例えば、LiClO、LiPFなどのリチウム金属塩を用いることができる。また、上記塩類をポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリルなどに混合し、固体電解質として用いることもできる。
セパレータ30としては特に限定されず、一般的に公知のセパレータを用いることができ、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどを用いて構成される多孔質フィルム、不織布などを用いることができる。
正極20は、図1に示すように、正極活物質層22と正極集電体24とを有している。
正極活物質層22としては特に限定されず、一般的に公知の正極活物質により形成することができる。正極活物質としては特に限定されず、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNiCoMn、x+y+z=1)などの複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子;などを用いることができる。
正極活物質は、上述する負極活物質と同様に、有機高分子結着剤および導電材が含有される。正極活物質における有機高分子結着剤および導電材の配合量は、特に限定されず、負極活物質と同等にしてもよく、また負極活物質とは異なる量を配合してもよい。
正極集電体24としては特に限定されず、一般的に公知の正極集電体を用いることができ、例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、ニッケル箔、銅箔などを用いることができる。
そして、本実施形態における正極20は、一般的に公知の正極の製造方法により製造することができる。
以上に本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池100を例に説明したが、これは本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成された炭素材がリチウムイオン二次電池以外の二次電池に用いられることを除外するものではない。本発明の変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成された炭素材は、たとえばナトリウムイオンなどのリチウムイオン以外のアルカリイオンを化学種とする二次電池に用いることも可能である。このとき各アルカリイオン二次電池は、上述するリチウムイオン二次電池100に用いられる部材と同様の部材を用いて構成されてもよいし、異なる部材を用いて構成されてもよい。たとえば、ナトリウムイオン二次電池における負極集電体には、上述にて例示される負極集電体の他、アルミニウム箔を選択することもできる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、図1では、負極集電体14の一方側の面に負極活物質層12が形成され、また正極集電体24の一方側の面に正極活物質層22が形成された例を示した。変形例として、負極集電体14の両面に負極活物質層12を形成し、正極集電体24の両面に正極活物質層22を形成し、これらをセパレータ30および電解液40を介して対向させて二次電池を構成してもよい。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
二次電池は、負極10、正極20、セパレータ30、および電解液40を二次電池に適応するケースに適切に配置して形成することができる。二次電池の型は、特定されないが、例えば円筒型、コイン型、角型、またはフィルム型などを挙げることができる。
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例および比較例に限定されるものではない。尚、実施例では、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
<実施例1>
フェノール100部、p−キシリレングリコールジメチルエーテル100部、およびジエチル硫酸0.1部を攪拌機および冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、140℃以上160℃以下の範囲で3時間脱水反応し、水酸化カルシウムを添加し中和した。その後、昇温脱水し、変性フェノール性水酸基含有樹脂であるフェノールアラルキル樹脂120部を得た。
上述のとおり得られたフェノールアラルキル樹脂の水酸基当量を、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に準じて測定したところ、175g/eqであった。
上述のとおり得られたフェノールアラルキル樹脂を、窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて昇温し、550℃に到達後、焼成状態を1.5時間保持して炭化処理を行った(第一焼成工程)。その後に、粉砕工程を実施し、炭素材前駆体を得た。
上述のとおり得られた炭素材前駆体204gを、炉内容積24L(縦40cm、幅30cm、高さ20cm)の熱処理炉内に、できる限り薄い厚みとなるように広げて静置し、窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて焼成し1200℃に到達後、焼成状態を2時間保持して炭化処理を行った(第二焼成工程)。以上により得られた二次電池用炭素材を実施例1とした。
尚、実施例1における上記粉砕工程の粉砕条件は、後述する。他の実施例および比較例も第一焼成工程および第二焼成工程の間に後述する粉砕条件で粉砕工程を行った。
<実施例2>
フェノール樹脂100部、キシレン系樹脂であるニカノールH(フドー株式会社製)70部、および25%硫酸1部を攪拌機および冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、還流温度で2時間反応させた。続いて37%ホルマリン水溶液48部を逐次添加し、2時間反応させた。その後、水酸化カルシウムを添加して中和し、昇温脱水し、変性フェノール性水酸基含有樹脂であるキシレン変性フェノール樹脂160部を得た。
上述のとおり得られたキシレン変性フェノール樹脂の水酸基当量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、155g/eqであった。
上述のとおり得られたキシレン変性フェノール樹脂を用いたこと以外は上述する実施例1と同様に、第一焼成工程および第二焼成工程を実施し、炭化処理を行った。以上により得られた二次電池用炭素材を実施例2とした。
<比較例1>
フェノール100部、37%ホルムアルデヒド水溶液64.5部、およびシュウ酸3部を攪拌機および冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、100℃で3時間反応後、昇温脱水し、ノボラック型フェノール樹脂90部を得た。
上述のとおり得られたノボラック型フェノール樹脂の水酸基当量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、105g/eqであった。
上述のとおり得られたノボラック型フェノール樹脂を用いたこと以外は上述する実施例1と同様に、第一焼成工程および第二焼成工程を実施し、炭化処理を行った。以上により得られた二次電池用炭素材を比較例1とした。
<比較例2>
比較例1と同様に得たノボラック型フェノール樹脂100部に対し、リン酸トリフェニル10部、ヘキサメチレンテトラミン3部を添加したこと以外は、上述する実施例1と同様に、第一焼成工程および第二焼成工程を実施し、炭化処理を行った。以上により得られた二次電池用炭素材を比較例2とした。
尚、各実施例および各比較例における粉砕工程は、第一焼成工程により得られた焼成物を用い、以下の粉砕条件で行った。粉砕工程により得た炭素前駆体を第二焼成工程に供した。
実施例1:第一焼成工程を実施して得られた中間物を室温まで自然放冷し、ボールミル粉砕装置にて、φ15mmのアルミナボール5000gとφ10mmのアルミナボール900gを入れた容器の中に入れ処理し、粉砕中間物を得た。次いで上記粉砕中間物を、目開き75μmの篩に通して粗大粒子を取り除き、粉砕物(炭素材前駆体)を得た。
実施例2:実施例1と同様の条件で粉砕工程を行い、粉砕物(炭素材前駆体)を得た。
比較例1:実施例1と同様の条件で粉砕工程を行い、粉砕物(炭素材前駆体)を得た。
比較例2:第一焼成工程を実施して得られた中間物を室温まで自然放冷し、サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量50g/min、風量0.5m/min、第1粉砕インペラ回転数15000rpm、第2粉砕インペラ回転数15000rpmの条件にて粉砕して粉砕中間物を得た。次いで上記粉砕中間物を、目開き75μmの篩に通して粗大粒子を取り除き粉砕物(炭素材前駆体)を得た。
尚、上述する粉砕処理にて用いた粉砕装置は以下のとおりである。
ボールミル粉砕装置は、回転式ボールミル(1段式―B、株式会社入江商会提供)を用いた。
サイクロンミル粉砕装置は、乾式粉砕機(150BMW型サイクロンミル、株式会社静岡プラント製)を用いた。
[表面積の測定]
粒度分布測定装置(粒度分布測定装置LA−920、株式会社堀場製作所製)を用い、各実施例炭素材および各比較例炭素材の個数基準における粒子径分布を以下の手順により測定した。
上述のとおり得た炭素材20mg、約1wt%に希釈した界面活性剤(ツイーン20、キシダ化学株式会社製)1ml、および蒸留水約5mlを一つのポリ容器に入れ、超音波洗浄機内に設置し、1分間ポリスポイトで混ぜながら超音波をかけて分散させて分散物を得た。上記分散物を上述の粒度分布測定装置に供し、相対屈折率1.5の設定にて粒子径分布の測定を行った。
上記粒子径分布測定により得られたデータを用い、上記数式(1)により単位体積当たりの表面積を算出した。算出された値は、表1に示す。
<ハーフセル型リチウムイオン二次電池の作成>
(負極の作成)
上述のとおり得られた実施例および比較例の電池特性を評価するために、以下のとおり負極を作成した。
各実施例および比較例それぞれ100%に対し、結着剤としてスチレン・ブタジエンゴム3%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース1.5%、導電材としてアセチレンブラック2%の割合で配合し、純水を適量加えて希釈混合し、スラリー状の負極用混合物を得た。
上述で得たスラリー状の負極用混合物を厚さ10μmの銅箔(集電体)に同量ずつ塗布し、110℃で1時間、真空乾燥した。次いで、ロールプレスによって60μmの厚みに加圧成形したものを所定形状に打ち抜き、直径13mm、電極活物質層(集電体を除いた部分)の厚さ50μmである円盤状のリチウムイオン二次電池用の負極を作成した。
(作用極の作成)
作用極として厚さ1mmのリチウム金属を準備した。
(電解液の調製)
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合液(体積比3:7)に六フッ化リン酸リチウムを1モル/リットルの濃度で溶解させて、電解液を調製した。
(リチウムイオン二次電池の作成)
上述のとおり得た負極、作用極、電解液を用い、以下のとおりリチウムイオン二次電池を作成した。
負極、セパレータ(ポリプロピレン製多孔質フィルム:厚さ25μm)、作用極の順に、宝泉株式会社製二極セルの所定の位置に配置し、電解液を注液し、リチウムイオン二次電池を作成した。
[初回充放電特性評価]
上述のとおり作成したハーフセル型リチウムイオン二次電池を用い、以下のとおり測定条件を変更した2通りの評価方法により、電池特性を評価した。
尚、本初回充放電特性評価において、「充電」とは、電圧の印加により、金属リチウムで構成された作用極から炭素材を用いて構成された負極にリチウムイオンを移動させることをいう。また「放電」とは、炭素材を用いて構成された負極から、金属リチウムで構成された作用極にリチウムイオンが移動する現象のことをいう。
(電池特性評価1)
測定温度を25℃とし、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vを保持して定電圧充電を行い、電流密度が2.5mA/gになるまで充電した電気量を初回充電容量とした。
次いで、放電時の電流密度を25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vに達した時点の電気量を初回放電容量とした。
下記数式(2)に示すとおり、初回充電容量で初回放電容量を除した値に100を乗じて初回充放電効率を算出した。尚、初回充放電特性評価の結果は、表1に示す。
[数2]
初回充放電効率(%)=初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g)×100 (2)
(電池特性評価2)
測定温度を25℃とし、充電時の電流密度を40mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vを保持して定電圧充電を行い、電流密度が4.0mA/gになるまで充電した電気量を初回充電容量とした。
次いで、放電時の電流密度を4.0mA/gとして定電流放電を行い、電位が1.5Vに達した時点の電気量を初回放電容量とした。
上述する数式(2)を用いて、電池特性評価2における初回充放電効率を算出した。尚、初回充放電特性評価の結果は、表1に示す。
<フルセル型リチウムイオン二次電池の作成>
上述のとおり得られた実施例および比較例の低温環境における電池特性を評価するために、フルセル型リチウムイオン二次電池の作成を行った。
作成方法は上述のハーフセル型リチウムイオン二次電池の作成方法における、作用極を正極に変更したこと以外は、同様の方法で行った。
正極としては、LiCoOを活物質とし、集電体上に塗布して作製したものを用い、正極の集電体として、アルミ箔を用いた単層シート(パイオニクス株式会社製、商品名;ピオクセル C−100)を直径12mmの円盤状に形成したものを用いた。
[低温環境試験]
上述の通り作製した、フルセル型リチウムイオン二次電池を用い、以下の通りに測定を行った。
測定温度を25℃とし、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が4.2Vに達した時点から、4.2Vを保持して定電圧充電を行い、電流密度が2.5mA/gに達するまで充電し、次いで、放電時の電流密度を25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vに達するまで放電した。さらに同様の条件で充電および放電を行い合計5サイクルの充放電を実施してエージング処理を行った。
エージング処理後、各リチウムイオン二次電池を、25℃の温度環境下、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、その後、4.2Vの定電圧で電流値が0.02Cに減衰するまで充電した。次に、0.2Cの定電流で放電を行い、SOC(State of Charge)50%となるよう調整し、25℃で1時間放置した。続いて、各リチウムイオン二次電池を−20℃の温度環境下で1時間放置し、下記「低温環境充放電処理」を3サイクル行った。
即ち、低温環境放電処理は、リチウムイオン二次電池を−20℃の温度環境下に設置し、所定の電流値で10秒間充電した際の電圧を測定し、次いで10分間放置した後、所定の電流値で10秒間だけ放電した際の電圧を測定し、その後10分間放置するものである。上記所定の電流値とは、具体的には、1サイクル目から3サイクル目まで、順に、1/3C、0.5C、1Cである。上記低温環境放電処理において、上限電圧を4.2V、下限電圧を2.5Vとした。
尚、ここで「1C」は1時間で放電が終了する電流密度を意味する。
上記低温環境放電処理に関し、横軸に電流値、縦軸に10秒間充電または放電した後の電圧をプロットし、その近似直線の傾きの絶対値から電池内の充電時および放電時の直流抵抗(DC−IR)を求め、その値から以下のとおり低温環境特性を評価した。DC−IRが低いことは電気抵抗が小さく出力特性が良好であることを意味する。
充電時の直流抵抗が195Ω以下、および/または放電時の直流抵抗が215Ω以下であった・・・・・◎
充電時の直流抵抗が195Ωを上回り210Ω以下、および放電時の直流抵抗が215Ωを超えて220Ω以下であった・・・・・○
充電時の直流抵抗が210Ωを上回り、および/または、放電時の直流抵抗が220Ωを上回った・・・・・△
表1に示すとおり、実施例1、2は、比較例1と比較して、2つの条件における電池特性評価のいずれにおいても充放電効率の改善が確認された。実施例1、2は、より高電流である評価2においても充放電効率の改善が顕著に確認され、本発明の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂が、高電流のデバイスにも好適に態様可能であることが示された。
また、フェノールアラルキル樹脂を用いた実施例1は、充放電容量も適度な値を示し、かつ充放電効率が高く、バランスのとれた電池性能を備える負極を提供可能であることが示された。
また、キシレン変性フェノール樹脂を用いた実施例2は、充放電効率の改善が顕著であることが確認された。
各実施例の炭素材は、いずれも単位体積当たりの表面積が10000cm/cm以上16000cm/cm以上の範囲であり、特に優れた低温特性を示した。比較例2は、炭素材を生成するにあたり添加剤を加えて条件を好適化させたため、電池特性評価1、2における充放電効率は比較例1よりも向上したが、低温特性評価の点で優れた評価が得られなかった。これに対し実施例はいずれも、充放電効率および低温特性評価のいずれにおいても望ましい評価が示され、常温環境および低温環境においてバランスのとれた電池性能が示された。
Figure 2016164861
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)水酸基当量が115g/eq以上であることを特徴とする二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
(2)下記一般式(1)に示される構造を含む上記(1)に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂、
Figure 2016164861
(ただし、一般式(1)中、Pがフェノール性水酸基を含有する構造を表し、AおよびBが変性フェノール性水酸基含有樹脂の主鎖を構成する任意の原子または原子群を表し、Xが任意のアリール基を表し、nは1以上の整数である)。
(3)前記一般式(1)が、下記一般式(2)である上記(2)に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂、
Figure 2016164861
(ただし、一般式(2)中、X1からX4がそれぞれ独立に、ベンゼン核に備わる置換基または水素原子を表す)。
(4)前記一般式(2)中における前記X1から前記X4のいずれか一つ以上が、メチル基である上記(3)に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
(5)前記一般式(2)中における前記X1および前記X2がいずれもメチル基であり、2つの前記メチル基は、炭素原子を1つ挟んでメタ位に位置している上記(4)に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
(6)前記二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂が、フェノールアラルキル樹脂である上記(1)から(5)のいずれか一項に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
(7)前記二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂が、フェノール類と、キシレンまたはキシレン変性化合物と、を反応させてなるキシレン変性フェノール樹脂である上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
(8)上記(1)から(7)のいずれか一項に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成されたことを特徴とする二次電池負極用炭素材。
(9)個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含む上記(8)に記載の二次電池負極用炭素材。
(10)前記炭素粒子は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以上であるハードカーボンを含む上記(9)に記載の二次電池負極用炭素材。
(11)前記炭素粒子は、前記ハードカーボンを90質量%以上含む上記(10)に記載の二次電池負極用炭素材。
(12)前記炭素粒子が、前記ハードカーボンおよび黒鉛を含む上記(10)または(11)に記載の二次電池負極用炭素材。
(13)上記(8)から(12)のいずれか一項に記載の二次電池負極用炭素材を含有することを特徴とする二次電池負極活物質。
(14)上記(13)に記載の二次電池負極活物質を含む負極活物質層と、前記負極活物質層が積層された負極集電体と、を有することを特徴とする二次電池負極。
(15)上記(14)に記載された二次電池負極と、電解質と、二次電池用正極と、を備えることを特徴とする二次電池。
10・・・負極
12・・・負極活物質層
14・・・負極集電体
20・・・正極
22・・・正極活物質層
24・・・正極集電体
30・・・セパレータ
40・・・電解液
100・・・リチウムイオン二次電池

Claims (15)

  1. 水酸基当量が115g/eq以上であることを特徴とする二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
  2. 下記一般式(1)に示される構造を含む請求項1に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂、
    Figure 2016164861
    (ただし、一般式(1)中、Pがフェノール性水酸基を含有する構造を表し、AおよびBが変性フェノール性水酸基含有樹脂の主鎖を構成する任意の原子または原子群を表し、Xが任意のアリール基を表し、nは1以上の整数である)。
  3. 前記一般式(1)が、下記一般式(2)である請求項2に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂、
    Figure 2016164861
    (ただし、一般式(2)中、X1からX4がそれぞれ独立に、ベンゼン核に備わる置換基または水素原子を表す)。
  4. 前記一般式(2)中における前記X1から前記X4のいずれか一つ以上が、メチル基である請求項3に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
  5. 前記一般式(2)中における前記X1および前記X2がいずれもメチル基であり、2つの前記メチル基は、炭素原子を1つ挟んでメタ位に位置している請求項4に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
  6. 前記二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂が、フェノールアラルキル樹脂である請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
  7. 前記二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂が、フェノール類と、キシレンまたはキシレン変性化合物と、を反応させてなるキシレン変性フェノール樹脂である請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の二次電池負極用変性フェノール性水酸基含有樹脂を用いて生成されたことを特徴とする二次電池負極用炭素材。
  9. 個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含む請求項8に記載の二次電池負極用炭素材。
  10. 前記炭素粒子は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以上であるハードカーボンを含む請求項9に記載の二次電池負極用炭素材。
  11. 前記炭素粒子は、前記ハードカーボンを90質量%以上含む請求項10に記載の二次電池負極用炭素材。
  12. 前記炭素粒子が、前記ハードカーボンおよび黒鉛を含む請求項10または11に記載の二次電池負極用炭素材。
  13. 請求項8から12のいずれか一項に記載の二次電池負極用炭素材を含有することを特徴とする二次電池負極活物質。
  14. 請求項13に記載の二次電池負極活物質を含む負極活物質層と、前記負極活物質層が積層された負極集電体と、を有することを特徴とする二次電池負極。
  15. 請求項14に記載された二次電池負極と、電解質と、二次電池用正極と、を備えることを特徴とする二次電池。
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