JP2016122641A - 二次電池負極用炭素材、二次電池負極用活物質、二次電池負極および二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温環境下で使用した場合に充放電時における電気抵抗の増大が抑制され、充分な電池性能を担保し得る二次電池負極用炭素材、上記二次電池負極用炭素材を含んで生成される二次電池負極用活物質、当該二次電池負極用活物質を用いて構成される二次電池負極、および当該二次電池負極を用いる二次電池を提供する。【解決手段】二次電池負極用炭素材は、個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含み、二次電池負極用活物質は、上記二次電池負極用炭素材を含有し、二次電池負極(負極10)は、上記二次電池負極用活物質を含む二次電池負極用活物質層(負極用活物質層12)と、負極用集電体(負極集電体14)と、を有し、二次電池(リチウムイオン二次電池100)は、本発明の二次電池負極(負極10)と、電解層40と、二次電池正極(正極20)と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、二次電池負極用炭素材、二次電池負極用活物質、二次電池負極および二次電池に関する。
近年、携帯電話などの小型電気製品から自動車など大型機械製品まで種々の技術分野で二次電池の利用が検討されている。二次電池としては、電解質として有機電解質液等を使用する非水電解液二次電池、または固体電解質を使用する固体電池など種々のタイプが検討されている。いずれのタイプの二次電池においても、従来の二次電池の負極には、ハードカーボンまたは黒鉛などの炭素材が汎用されている(例えば特許文献1参照)。
中でも、ハードカーボンは高サイクル特性などの点で優れており、二次電池負極の炭素材として期待される。
ところで、二次電池が種々の技術分野に亘り利用されたことにより、新たな課題があることが認識されてきた。即ち、氷点下、特には−10℃以下、より顕著には−20℃以下といった低温環境で二次電池を使用した場合に、充放電時における電気抵抗が増大するという問題があることがわかった。この結果、低温環境下で使用した二次電池は、常温環境下で使用した場合に比べてサイクル特性や出入力特性が低くなる虞があることがわかった。
特に、二次電池負極の炭素材として用いられる一般的なハードカーボンは、黒鉛と比較して挿入脱離するリチウムイオン等の電荷担体となる化学種の内部拡散性に劣ることが知られている。そのため、低温環境下において電池抵抗が上がった場合に充分な電池性能が得られない虞があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、低温環境下で使用した場合に充放電時における電気抵抗の増大が抑制され、充分な電池性能を担保し得る二次電池負極用炭素材を提供する。
また、本発明は、上記二次電池負極用炭素材を含んで生成される二次電池負極用活物質、当該二次電池負極用活物質を用いて構成される二次電池負極、および当該二次電池負極を用いる二次電池を提供する。
また、本発明は、上記二次電池負極用炭素材を含んで生成される二次電池負極用活物質、当該二次電池負極用活物質を用いて構成される二次電池負極、および当該二次電池負極を用いる二次電池を提供する。
本発明の二次電池負極用炭素材は、個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含むことを特徴とする。
また本発明の二次電池負極用活物質は、本発明の二次電池負極用炭素材を含有することを特徴とする。
また本発明の二次電池負極は、本発明の二次電池負極用活物質を含む二次電池負極用活物質層と、上記二次電池負極用活物質層が積層された負極用集電体と、を有することを特徴とする。
また本発明の二次電池は、本発明の二次電池負極と、電解層と、二次電池正極と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、低温環境下において二次電池の充放電時における電気抵抗の増大を抑制可能な二次電池負極用炭素材、二次電池負極用活物質、二次電池負極を提供し、また低温環境下においても電気抵抗の増大が抑制された二次電池を提供し得る。
本発明者らは、低温環境下における二次電池負極の電気特性について検討した。その結果、従来の二次電池負極は、常温時と比較して充放電時における電気抵抗が顕著に増大し電池特性を低下させる可能性があることがわかった。本発明者らは、さらに詳細に検討した結果、低温環境下において使用される二次電池負極には以下の問題があることがわかった。即ち、氷点下、中でも−10℃以下、特には−20℃以下の低温環境下では、電解質が凍結し、あるいは凍結しないまでも粘度が上昇する。その結果、低温環境下では、電解質と負極用活物質とを移動するリチウムイオンなどの化学種の動作が鈍くなり、負極用活物質に対する吸蔵放出が不活発になることが推測された。本発明者らは、負極用活物質の化学種を吸蔵放出する能力を改善し低温環境下でも良好な吸蔵放出を維持することによれば、電気抵抗の増大を抑制することが可能であるという考えに至った。より具体的には、本発明者らは、負極活物質に含まれる炭素粒子の単位体積当たりの表面積を従来よりも有意に増大させることにより上記課題を解決可能であるという技術思想のもと本発明の完成に至った。
以下に本発明の二次電池負極用炭素材(以下、単に炭素材ともいう)、二次電池負極用活物質(以下、単に負極用活物質ともいう)、二次電池負極(以下、単に負極ともいう)、および二次電池について、順に説明する。
以下に本発明の二次電池負極用炭素材(以下、単に炭素材ともいう)、二次電池負極用活物質(以下、単に負極用活物質ともいう)、二次電池負極(以下、単に負極ともいう)、および二次電池について、順に説明する。
尚、本発明の炭素材、負極用活物質、または負極が用いられる二次電池、および本発明の二次電池としては、たとえばリチウムイオン二次電池またはナトリウムイオン二次電池などのアルカリ金属二次電池を挙げることができる。ただし、当該二次電池は、これに限定されず、他の電荷担体を吸蔵放出する形式の二次電池、非水電解液二次電池、または固体二次電池などの種々の形式を包含する。以下の説明では、二次電池として、リチウムイオン二次電池を例に説明する。
<炭素材>
本発明の炭素材は、個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積(以下、単に単位体積当たりの表面積ともいう)が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含む。
本発明の炭素材は、個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積(以下、単に単位体積当たりの表面積ともいう)が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含む。
上記単位体積当たりの表面積の下限は、さらに12000cm−1以上とすることができる。また上記単位体積当たりの表面積の上限は、さらに15500cm−1以下、または14000cm−1以下とすることができる。
本発明の炭素材は、負極用活物質の材料として用いることができる炭素材料である。本発明の炭素材は、低温環境下、二次電池の充放電時における電気抵抗の増大を抑制する効果(以下、電気抵抗抑制効果ともいう)を有する。本発明の炭素材において電気抵抗抑制効果が発揮される理由は明らかではないが、本発明者らは、以下のとおり推察する。即ち、本発明の炭素材は、粒子径が適度に微小であり、単位体積当たりの表面積が充分に大きくなるよう構成されている。そのため本発明の炭素材は、リチウムイオンの吸蔵放出効率が高く、低温環境下においてリチウムイオンの動作が鈍くなった場合でも、スムーズに吸蔵放出が行われるものと推測される。換言すると、本発明の炭素材は、リチウムイオンの吸蔵放出領域である粒子の表面の面積を従来の炭素材より有意に増大させたことによって、低温環境下におけるリチウムイオンの移動性の低下をカバーし電気抵抗の増大を抑制するものと推察される。
具体的には本発明の炭素材は、上記単位体積当たりの表面積が10000cm−1以上であるため、リチウムイオンの吸蔵放出領域である粒子表面の総面積が充分に大きい。これにより本発明の炭素材は、従来の炭素材に比べてリチウムイオンの吸蔵放出能に優れ、低温環境下でも電気抵抗抑制効果を発揮する。
また、本発明の炭素材は、上記単位体積当たりの表面積が、16000cm−1以下の範囲であり、極端に微小な炭素材の粒子が排除されている。炭素材に極端に微小な炭素材の粒子が含まれていると、高温時における自己放電量が増加する傾向にあり、また炭素材を含む材料をスラリー化して集電体に塗工する際、当該スラリーの粘度の著しい上昇により塗工性が低下する傾向にある。そのため、本発明の炭素材は、単位体積当たりの表面積の上限を16000cm−1と特定することにより、上記自己放電の顕著な増加を抑制し、また塗工性を良好に維持する。
また、本発明の炭素材は、上記単位体積当たりの表面積が、16000cm−1以下の範囲であり、極端に微小な炭素材の粒子が排除されている。炭素材に極端に微小な炭素材の粒子が含まれていると、高温時における自己放電量が増加する傾向にあり、また炭素材を含む材料をスラリー化して集電体に塗工する際、当該スラリーの粘度の著しい上昇により塗工性が低下する傾向にある。そのため、本発明の炭素材は、単位体積当たりの表面積の上限を16000cm−1と特定することにより、上記自己放電の顕著な増加を抑制し、また塗工性を良好に維持する。
本発明において、低温環境下における電気抵抗は、所定の低温環境条件(例えば−20℃の環境)下において測定された直流抵抗(DC−IR)の値の大小によって判断することができる。直流抵抗値が相対的に大きい場合には、電気抵抗が相対的に高いと判断される。
本発明において個数基準における粒子径分布とは、レーザー回折・散乱法によって求めた個数基準の粒子径分布を意味する。当該粒子径分布は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置で測定することができる。例えば、株式会社堀場製作所製のLA−920などにより測定することができる。ここで粒子径とは、粒子の直径を意味する。
本発明において個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積とは、任意のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定された個数基準の粒子径分布から得られたデータを用い、下記式(1)により算出することができる。
[数1]
単位体積当たりの面積(cm−1)=総表面積(cm2)/総体積(cm3) (1)
[数1]
単位体積当たりの面積(cm−1)=総表面積(cm2)/総体積(cm3) (1)
ここで「総表面積」は、粒子径分布における各粒子径の粒子を真球に換算した際の表面積に各粒子径における粒子の頻度(%)を乗じた値の総和である。
また「総体積」は、粒子径分布における各粒子径の粒子を真球に換算した際の体積に各粒子径における粒子の頻度(%)を乗じた値の総和である。
また「頻度」とは、測定に供された総粒子数に対する各粒子径における粒子の比率である。
また「総体積」は、粒子径分布における各粒子径の粒子を真球に換算した際の体積に各粒子径における粒子の頻度(%)を乗じた値の総和である。
また「頻度」とは、測定に供された総粒子数に対する各粒子径における粒子の比率である。
本発明において特定する好ましい範囲の単位体積当たりの表面積を有する炭素粒子を含む炭素材を得る方法は特に限定されず、一例としては、炭素材を製造する過程において適宜、粉砕処理を行うことが挙げられる。粉砕処理の詳細は後述する。
本発明の炭素材は、上述する粒子径分布から求めた平均2乗半径(以下、単に平均2乗半径ともいう)が、1μm2以上4μm2以下の範囲であることが好ましい。
即ち、上記平均2乗半径が、1μm2以上であることにより、炭素材に含まれる炭素粒子から著しく微小な粒子径であるものを除外し、高温環境下における自己放電の悪化を防止、また集電体への塗工性を良好に維持する。また、上記平均2乗半径が、4μm2以下であることにより、単位体積当たりの表面積が本発明の特定する好ましい範囲に含まれる炭素粒子を選択しやすい。
即ち、上記平均2乗半径が、1μm2以上であることにより、炭素材に含まれる炭素粒子から著しく微小な粒子径であるものを除外し、高温環境下における自己放電の悪化を防止、また集電体への塗工性を良好に維持する。また、上記平均2乗半径が、4μm2以下であることにより、単位体積当たりの表面積が本発明の特定する好ましい範囲に含まれる炭素粒子を選択しやすい。
本発明の所期の課題を良好に解決するという観点からは、上記平均2乗半径の上限は、3μm2以下とすることがより好ましく、2μm2以下とすることがさらに好ましい。
本発明の好ましい態様における、上記粒子径分布から求めた平均2乗半径とは、個数基準における粒子径分布から求められる。具体的には、任意のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定された個数基準の粒子径分布から得られたデータを用い、下記式(2)により算出することができる。
[数2]
平均2乗半径(μm2)=各粒子の半径の2乗の総和(μm2) (2)
[数2]
平均2乗半径(μm2)=各粒子の半径の2乗の総和(μm2) (2)
ここで「各粒子の半径の2乗の総和(μm2)」とは、粒子径分布における各粒子径の2分の1の値を半径とし、これを2乗した値に各粒子径における粒子の頻度(%)を乗じた値の総和である。
本発明の炭素材の好ましい態様の一つは、炭素材に含まれる炭素粒子の真比重が1.5g/cm3以上1.7g/cm3以下の範囲である。
真比重が1.5g/cm3以上である炭素粒子を選択することにより、充放電容量の値を安定させることできる。また真比重が1.7g/cm3以下である炭素粒子を選択することにより、本発明の炭素材が用いられる二次電池の寿命特性の向上に貢献する。
真比重が1.5g/cm3以上である炭素粒子を選択することにより、充放電容量の値を安定させることできる。また真比重が1.7g/cm3以下である炭素粒子を選択することにより、本発明の炭素材が用いられる二次電池の寿命特性の向上に貢献する。
上記真比重は、ブタノールを用いた真比重測定方法により求めることができる。
本発明の炭素材に含まれる炭素粒子が上記好ましい範囲の真比重になるよう調整する方法は、特に限定されないが、たとえば、炭素材の原料の選定、または炭素材の原料の加熱条件によって、真比重を調整することが可能である。
以下に、本発明の炭素材の主材となる炭素について説明する。
本発明の炭素材は、主材として炭素を含み、必要に応じてさらに炭素以外の成分を含んでいてもよい。ここで炭素が主材であるとは、炭素材を100質量%としたときに、炭素が80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは、95質量%以上含まれていることをいう。本発明における炭素材に含まれる炭素は、実質的に粒状をなす炭素粒子である。本発明における炭素材は、上記炭素粒子と任意の添加剤とを含んでいてもよいし、実質的に炭素粒子のみから構成されていてもよい。
本発明の炭素材は、主材として炭素を含み、必要に応じてさらに炭素以外の成分を含んでいてもよい。ここで炭素が主材であるとは、炭素材を100質量%としたときに、炭素が80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは、95質量%以上含まれていることをいう。本発明における炭素材に含まれる炭素は、実質的に粒状をなす炭素粒子である。本発明における炭素材は、上記炭素粒子と任意の添加剤とを含んでいてもよいし、実質的に炭素粒子のみから構成されていてもよい。
炭素材における炭素以外の含有可能な任意成分は、特に限定されないが、たとえば窒素やリンを挙げることができる。炭素材に窒素が含まれていることによって、窒素の有する電気陰性度により、炭素材(特に、ハードカーボンを含む炭素材)に好適な電気的特性を付与することができる。これにより、炭素材に対するリチウムイオンの吸蔵放出を促進させ、高い充放電特性を付与することができる。また炭素材(特に、ハードカーボンを含む炭素材)にリンが含まれていることによって、当該炭素材を含む負極用活物質におけるリチウムイオンの吸蔵量を増大させることが可能である。また、本発明の炭素材を製造する場合には、炭素材料以外に適宜、硬化剤、添加剤などの任意の添加剤を併せて用いることができ、添加剤の一部が炭素材に残存していることを本発明は除外しない。
主材となる炭素は、負極活物質の材料となり、かつリチウムイオンなどの化学種を吸蔵放出可能な炭素であれば、適宜選択して使用することができる。具体的には、ハードカーボン、黒鉛などを挙げることができるが、これに限定されない。
以下に、本発明の炭素材における炭素粒子が、ハードカーボンを含む態様について説明する。
即ち、本発明の炭素材の好ましい態様の一つとして、当該炭素材に含まれる炭素粒子は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以上であるハードカーボンを含むことができる。
ハードカーボン(難黒鉛化性炭素)とは、グラファイト結晶構造が発達しにくい高分子を焼成して得られる炭素材であって、アモルファス(非晶質)な物質である。換言すると、ハードカーボンは、グラフェン構造を有しない炭素材料またはグラフェン構造を部分的にしか有しない炭素であって、上記特定の平均面間隔d002を有する。ハードカーボンの平均面間隔d002が0.340nm以上、特に0.360nm以上である場合には、リチウムイオンの吸蔵に伴う層間の収縮・膨張が起こり難くなるため、充放電サイクル性の低下を抑制できる。平均面間隔d002の上限は、特に規定されないが、たとえば0.390nm以下とすることができる。上記平均面間隔d002が0.390nm以下、特に0.380nm以下である場合にはリチウムイオンの吸蔵放出が円滑に行われ、充放電効率の低下を抑制できる。
さらに、上記ハードカーボンは、c軸方向((002)面直交方向)の結晶子の大きさLcが0.8nm以上、5nm以下であることが好ましい。
Lcを0.8nm以上、特に0.9nm以上とすることでリチウムイオンを吸蔵放出することができる炭素層間スペースが形成され、十分な充放電容量が得られるという効果があり、5nm以下、特に1.5nm以下とすることでリチウムイオンの吸蔵放出による炭素積層構造の崩壊や、電解液の還元分解を抑制し、充放電効率と充放電サイクル性の低下を抑制できるという効果がある。
Lcは以下のようにして算出される。
X線回折測定から求められるスペクトルにおける002面ピークの半値幅と回折角から次のScherrerの式を用いて決定した。
X線回折測定から求められるスペクトルにおける002面ピークの半値幅と回折角から次のScherrerの式を用いて決定した。
Lc=0.94λ/(βcosθ) (Scherrerの式)
Lc:結晶子の大きさ
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
β:ピークの半値幅(ラジアン)
θ:スペクトルの反射角度
Lc:結晶子の大きさ
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
β:ピークの半値幅(ラジアン)
θ:スペクトルの反射角度
ハードカーボンにおけるX線回折スペクトルは、島津製作所製・X線回折装置「XRD−7000」により測定することができる。ハードカーボンにおける、上記平均面間隔の測定方法は以下の通りである。
ハードカーボンのX線回折測定から求められるスペクトルより、平均面間隔dを以下のBragg式より以下のとおり算出することができる。
λ=2dhklsinθ (Bragg式)(dhkl=d002)
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
θ:スペクトルの反射角度
λ:陰極から出力される特性X線Kα1の波長
θ:スペクトルの反射角度
ハードカーボンである炭素粒子は、その表面全体において、リチウムイオンの吸蔵放出が可能であるという特性を有する。そのため、上述する範囲の単位体積当たりの表面積を示すハードカーボンの炭素粒子を含む炭素材は、表面積の増大によりリチウムイオンの吸蔵放出能に優れるという効果が顕著に発揮される。即ち、ハードカーボンである炭素粒子を含む本発明の炭素材は、本発明の構成により生じる作用を充分に享受し、優れた効果を発揮する。
また一般的に、ハードカーボンである炭素粒子は、黒鉛である炭素粒子に比べると、粒子内におけるリチウムイオンの拡散性(移動性)が低いという課題を有している。これに対し、本発明の炭素材に含まれるハードカーボンである炭素粒子は、単位体積当たりの表面積が充分に増大する程度に当該炭素粒子が微粒子化されているため、上記拡散性の不良をカバーすることができる。この観点からも、本発明において、ハードカーボンである炭素粒子は、リチウムイオンの吸蔵放出能の向上が顕著である。
上述のとおり炭素粒子にハードカーボンを含むことにより得られる効果を充分に享受する観点からは、本発明における炭素粒子は、ハードカーボンを90質量%以上含んでいてもよい。
上記ハードカーボンの原材料は、特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂などの樹脂材料を挙げることができる。また上記原材料は、エチレン製造時に副生する石油系のタールまたはピッチ、石炭乾留時に生成するコールタール、コールタールの低沸点成分を蒸留除去した重質成分またはピッチ、および石炭の液化により得られるタールまたはピッチ等の石油系または石炭系の材料、ならびに前述する石油系または石炭系の材料を架橋処理したもの等を挙げることができる。上述するハードカーボンの原材料は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ヤシ殻などの植物材料をハードカーボンの原材料とすることもできる。
上記熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、シアネート樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはウレタン樹脂などを挙げることができる。また炭素材の原料は、これらが種々の成分で変性された変性物であってもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリプロピレン、塩化ビニル、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、またはポリフタルアミドなどが挙げられる。
特にハードカーボンに用いられる主成分となる樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。これにより、ハードカーボンの残炭率をより高めることができる。
熱硬化性樹脂の中でも、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、もしくはアニリン樹脂、またはこれらの変性物から選ばれる樹脂がハードカーボンの主成分となる樹脂として好ましい。これにより、炭素材の設計の自由度が広がり、低価格で製造することができる。また、サイクル時の安定性、および、大電流の入出力特性をさらに高いものとすることができる。
また、熱硬化性樹脂を用いる場合には、その硬化剤を併用することができる。上記硬化剤は、特に限定されず、公知の硬化剤を用いることができる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合はヘキサメチレンテトラミン、レゾール型フェノール樹脂、ポリアセタール、またはパラホルムなどを硬化剤として用いることができる。またエポキシ樹脂の場合は、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミンなどのポリアミン化合物、酸無水物、イミダゾール化合物、ジシアンジアミド、ノボラック型フェノール樹脂、ビスフェノール型フェノール樹脂、またはレゾール型フェノール樹脂などを硬化剤として用いることができる。
炭素材に窒素を含有させる場合には、上述する炭素材の原料とともに、例えば、ヘキサメチレンテトラミン、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ジシアンジアミド、アミン化合物、アンモニウム塩硝酸塩、またはニトロ化合物などを1種類または2種類以上を併用してもよい。
炭素材にリンを含有させる場合には、上述する炭素材の原料とともに、例えば、リン酸、リン酸塩、五酸化リンなどのリン含有化合物、またはリン酸エステルを配合するとよい。上記リン酸エステルとしては、リン酸トリフェニル、クレジルジフェニルホスフェート、もしくはクレジルジ2,6−キシレニルホスフェートなどのリン酸トリエステル、または市販品の芳香族縮合リン酸エステルである大八化学工業株式会社製の難燃剤「商品名:PX−200」などの縮合リン酸エステルを挙げることができる。
次に本発明の炭素材における炭素粒子が、黒鉛を含む態様について説明する。
黒鉛とは、炭素の同素体の1つであり、六炭素環が連なった層からできている層状格子をなす六方晶系、六角板状結晶の物質である。所謂、グラフェン構造を有する。上記黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛を含む。
黒鉛は、放電初期から放電末期まで電圧変化が少ないという望ましい性質を有しており、放電末期まで安定した高い電圧を維持可能である。本発明の炭素材に含まれる炭素粒子の一部または全部が黒鉛から構成されていてもよい。
黒鉛とは、炭素の同素体の1つであり、六炭素環が連なった層からできている層状格子をなす六方晶系、六角板状結晶の物質である。所謂、グラフェン構造を有する。上記黒鉛は、天然黒鉛と人造黒鉛を含む。
黒鉛は、放電初期から放電末期まで電圧変化が少ないという望ましい性質を有しており、放電末期まで安定した高い電圧を維持可能である。本発明の炭素材に含まれる炭素粒子の一部または全部が黒鉛から構成されていてもよい。
ハードカーボンおよび黒鉛の長所をそれぞれ活かし、バランスのよい炭素材を提供するという観点から、本発明の炭素材における炭素粒子は、ハードカーボンおよび黒鉛を含んでいてもよい。
炭素粒子としてハードカーボンおよび黒鉛の両方を含む本発明の態様は、顕微鏡観察において、ハードカーボンの粒子と黒鉛の粒子とが個別独立に観察される場合と、両者が融合または結着し、見かけ上、一体的に観察される場合と、を含む。
炭素粒子としてハードカーボンおよび黒鉛の両方を含む本発明の態様は、顕微鏡観察において、ハードカーボンの粒子と黒鉛の粒子とが個別独立に観察される場合と、両者が融合または結着し、見かけ上、一体的に観察される場合と、を含む。
本発明の炭素材におけるハードカーボンと黒鉛との含有比率は特に限定されない。しかし、単位体積当たりの表面積が所定範囲内であるハードカーボンを多く含むことによって本発明の所期の課題を良好に解決するという観点からは、以下の比率の範囲であることが好ましい。即ち、ハードカーボンと黒鉛とを含む態様の本発明の炭素材において、炭素材における両者の質量比は、ハードカーボン:黒鉛=51質量%:49質量%から95質量%:5質量%の範囲であることが好ましい。
次に、本発明の炭素材の製造方法の例について説明する。ここでは炭素材に含まれる炭素がハードカーボンである態様を例に説明するが、これは本発明を何ら制限するものではない。
本発明の炭素材を製造するために、まず原材料、または原材料を含む組成物を準備する。上記原材料は、上述するハードカーボンの原材料となる樹脂または植物材料等から選択された1種または2種以上である。また上記組成物は、上記原材料および任意の添加材を含む。以下の説明では、組成物を用いて炭素材を製造する方法を具体的に説明するが、後述する硬化処理、硬化物の粉砕処理、および炭化処理は、実質的に原材料だけを用いて炭素材を製造する場合も同様である。
組成物の調製のための装置としては特に限定されないが、例えば、原材料と添加材とを溶融混合する場合には、混練ロール、単軸あるいは二軸ニーダーなどの混練装置を用いることができる。また、原材料と添加材とを溶解混合する場合は、ヘンシェルミキサー、ディスパーザなどの混合装置を用いることができ、また粉砕混合を行う場合には、例えば、ハンマーミル、ジェットミルなどの装置を用いることができる。
尚、製造される炭素材に所望の特性を付与するために、上記組成物の調整の際に、または後述する硬化処理の後であって炭化処理の前に、金属、顔料、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤などの添加材をさらに添加してもよい。
尚、製造される炭素材に所望の特性を付与するために、上記組成物の調整の際に、または後述する硬化処理の後であって炭化処理の前に、金属、顔料、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤などの添加材をさらに添加してもよい。
次に、上述のとおり準備された組成物に対し硬化処理を行う。硬化処理を行うことで、組成物に含まれる原材料を硬化させて不融化させることができる。これによって、炭化処理前に樹脂組成物の粉砕処理を行った場合でも、粉砕後の組成物あるいは樹脂等が炭化処理時に再融着するのを防ぎ、所望の粒子径の炭素粒子を効率的に得ることができる。
硬化処理の条件は特に限定されないが、例えば、組成物に含まれる原料に硬化反応を生じさせ得る温度(たとえば200℃以上600℃以下)で1時間以上10時間以下の加熱を行うことができる。硬化処理において用いられる加熱装置は、特に限定されず、大型連続炉、中型バッチ炉、または小型炉を適宜選択して使用することができる。
次に粉砕処理を行う。粉砕処理は、一般的には上記硬化処理の後、後述する炭化処理の前に行うが、本発明の炭素材の製造は、硬化処理を省略し、原材料または組成物の調製の後、炭化処理の前に粉砕処理を行うこともできる。
粉砕処理における粉砕条件を調整することによって、本発明の特定する所定範囲の単位体積当たりの表面積を備える炭素粒子を含む炭素材を製造することができる。粉砕条件は、用いる原材料等の種類によって適宜変更してよく、所定条件に限定されるものではない。また粉砕処理を行うことで、本発明の炭素材の好ましい態様として説明する平均2乗半径が所定の範囲の炭素粒子を含む炭素材を容易に製造することができる。
粉砕処理における粉砕条件を調整することによって、本発明の特定する所定範囲の単位体積当たりの表面積を備える炭素粒子を含む炭素材を製造することができる。粉砕条件は、用いる原材料等の種類によって適宜変更してよく、所定条件に限定されるものではない。また粉砕処理を行うことで、本発明の炭素材の好ましい態様として説明する平均2乗半径が所定の範囲の炭素粒子を含む炭素材を容易に製造することができる。
粉砕処理における粉砕方法は特に限定されないが、たとえば任意の粉砕装置を用いることができる。上記粉砕装置としては、ボールミル装置、振動ボールミル装置、ロッドミル装置、ビーズミル装置などの衝撃型粉砕装置、またはサイクロンミル装置、ジェットミル装置、乾式気流粉砕装置など気流粉砕装置を挙げることができるがこれに限定されない。粉砕処理において、これらの装置を1種または2種以上使用し、または、1種の装置で複数回粉砕して用いてもよい。また粉砕処理において、これらの装置に加え、篩などを用いて適宜、分級してもよく、また分級機能を有する粉砕装置を用いてもよい。
次に炭化処理について説明する。
ハードカーボンを含む炭素材を製造するために、上記組成物または上記組成物の硬化物を炭化処理する。炭化処理は、1回または2回以上行ってもよい。たとえば比較的に低温(たとえば200℃以上800℃未満)でプレ炭化処理を行い、その後に高温(例えば800℃以上3000℃以下)で炭化処理を行ってもよい。またプレ炭化処理と上述する硬化処理を同時に行ってもよい。
ハードカーボンを含む炭素材を製造するために、上記組成物または上記組成物の硬化物を炭化処理する。炭化処理は、1回または2回以上行ってもよい。たとえば比較的に低温(たとえば200℃以上800℃未満)でプレ炭化処理を行い、その後に高温(例えば800℃以上3000℃以下)で炭化処理を行ってもよい。またプレ炭化処理と上述する硬化処理を同時に行ってもよい。
炭化処理の条件は特に限定されないが、例えば、常温から1℃/時間以上200℃/時間以下の範囲の昇温速度で昇温し、800℃以上3000℃以下の範囲の温度を0.1時間以上50時間以下、好ましくは0.5時間以上10時間以下保持して行うことができる。炭化処理時の雰囲気は特に限定されず、例えば窒素もしくはヘリウムガスなどの不活性ガスを含む不活性ガス雰囲気、上記付加性ガス雰囲気に微量の酸素を含む不活性ガス雰囲気、または水素などの還元ガスを主として含む還元ガス雰囲気を採用することが好ましい。かかるガス雰囲気を選択することによって、樹脂などの原材料の熱分解(酸化分解)を抑制し、所望の炭素粒子を含む炭素材を得ることができる。
以上の製造方法で、ハードカーボンの炭素粒子を含む本発明の炭素材を製造することができる。変形例としては、原料となる組成物に予め黒鉛を配合し、ハードカーボンと黒鉛とを含む本発明の炭素材を製造することができる。また異なる変形例として、上述のとおり得られたハードカーボンの炭素粒子を含む炭素材に、適当な粒子径に粉砕した黒鉛を混合し、これによってハードカーボンと黒鉛とを含む本発明の炭素材を製造することもできる。
以下に、本発明の炭素材を含む本発明の負極用活物質、当該負極用活物質を含む負極用活物質層を備える本発明の二次電池負極、および当該二次電池負極を備える本発明の二次電池について説明する。
<負極用活物質>
本発明の二次電池負極用活物質は、上述する本発明の二次電池負極用炭素材を含有する。
上述する電気抵抗抑制効果を発揮する本発明の炭素材を含有することによって、本発明の負極用活物質は、負極の低温環境下での著しい電気抵抗の増大を抑制し、優れた充放電効率の発揮に貢献する。本発明において負極用活物質とは、二次電池負極において電荷担体となる化学種を吸蔵放出し得る材料をいう。上記化学種は、例えばアルカリ金属イオン二次電池においては、リチウムイオンまたはナトリウムイオンなどを挙げることができる。
本発明の二次電池負極用活物質は、上述する本発明の二次電池負極用炭素材を含有する。
上述する電気抵抗抑制効果を発揮する本発明の炭素材を含有することによって、本発明の負極用活物質は、負極の低温環境下での著しい電気抵抗の増大を抑制し、優れた充放電効率の発揮に貢献する。本発明において負極用活物質とは、二次電池負極において電荷担体となる化学種を吸蔵放出し得る材料をいう。上記化学種は、例えばアルカリ金属イオン二次電池においては、リチウムイオンまたはナトリウムイオンなどを挙げることができる。
以下、本発明の炭素材を含む負極用活物質について説明する。
負極用活物質とは、アルカリ金属イオン電池などの二次電池において、アルカリ金属イオン(例えばリチウムイオンまたはナトリウムイオン)などの化学種を吸蔵および放出することのできる物質である。本明細書において説明する負極用活物質は、本発明の樹脂組成物を用いて生成された炭素材を含有する物質を意味する。
負極用活物質とは、アルカリ金属イオン電池などの二次電池において、アルカリ金属イオン(例えばリチウムイオンまたはナトリウムイオン)などの化学種を吸蔵および放出することのできる物質である。本明細書において説明する負極用活物質は、本発明の樹脂組成物を用いて生成された炭素材を含有する物質を意味する。
負極用活物質は、実質的に本発明の炭素材のみから構成されてもよいが、当該炭素材とは異なる材料をさらに含んでもよい。このような材料としては、例えば、シリコン、一酸化ケイ素、他の黒鉛質材料など一般的に負極材料として公知の材料が挙げられる。
使用する黒鉛質材料の体積基準の粒子径分布における50%累積時の粒径(平均粒子径)は、2μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。
<二次電池負極および二次電池>
以下、本発明の二次電池負極および当該二次電池負極を備える本発明の二次電池について説明する。
以下、本発明の二次電池負極および当該二次電池負極を備える本発明の二次電池について説明する。
本発明の二次電池負極は、上述する本発明の二次電池負極用活物質を含む二次電池負極用活物質層と、二次電池負極用活物質層が積層された負極用集電体と、を有して構成される。
また本発明の二次電池は、上述する本発明の二次電池負極と、電解層と、二次電池正極と、を備えて構成される。
また本発明の二次電池は、上述する本発明の二次電池負極と、電解層と、二次電池正極と、を備えて構成される。
本発明の負極は、本発明の負極用活物質を用いて構成されることにより、低温環境下における電気抵抗抑制効果が発揮される。また、本発明の負極を備える本発明の二次電池は、負極の上記効果が反映され、低温環境下でも電池抵抗の増大が抑制され優れた出入力特性やサイクル特性を発揮可能である。
上記二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池またはナトリウムイオン二次電池などのアルカリ金属二次電池を挙げることができるがこれに限定されるものではない。また上記二次電池は、非水電解液二次電池、および固体二次電池などの異なる電解質を使用する種々の形式を含む。以下の説明では、二次電池として、リチウムイオン二次電池を例に説明する。
以下に、図1を用いて、本発明の炭素材を含むリチウムイオン二次電池の一例を説明する。図1は、本発明の炭素材を含むリチウムイオン二次電池100の一例を示す模式図である。
リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、負極10と、正極20と、セパレータ30と、電解層40とを有している。
リチウムイオン二次電池100は、図1に示すように、負極10と、正極20と、セパレータ30と、電解層40とを有している。
負極10は、図1に示すように、負極用活物質層12と負極集電体14とを有している。
負極用活物質層12は、上述した本発明の炭素材(図示省略)を含有している。
負極集電体14は特に限定されず、負極に用いられ得る集電体を適宜選択して使用することができ、例えば、銅箔またはニッケル箔などを用いることができるがこれに限定されない。
負極用活物質層12は、上述した本発明の炭素材(図示省略)を含有している。
負極集電体14は特に限定されず、負極に用いられ得る集電体を適宜選択して使用することができ、例えば、銅箔またはニッケル箔などを用いることができるがこれに限定されない。
負極10は、例えば、以下のようにして製造することができる。
上述する負極用活物質100質量部に対して、一般的に公知の有機高分子結着剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系高分子、またはスチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴムなどのゴム状高分子など)1質量部以上30質量部以下、および適量の粘度調整用溶剤(N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アルコール、または水など)または水を添加して混練して、負極用スラリーを調製する。
また、上述する負極用活物質に対し、必要に応じてさらに導電材を添加してもよい。導電材としては、たとえばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維などのいずれかまたは組み合わせを用いることができる。導電材の配合量は、特に限定されないが、たとえば負極用活物質100質量部に対して、2質量部以上10質量部以下が好ましく、さらに好ましくは3質量部以上7質量部以下である。これらの範囲外でも用いることができるが、導電剤の配合量が多すぎると電極中に存在する負極用活物質量が必要以上に減少するおそれがあり、負極の電気容量が低下する虞がある。
上述する負極用活物質100質量部に対して、一般的に公知の有機高分子結着剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系高分子、またはスチレン・ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴムなどのゴム状高分子など)1質量部以上30質量部以下、および適量の粘度調整用溶剤(N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アルコール、または水など)または水を添加して混練して、負極用スラリーを調製する。
また、上述する負極用活物質に対し、必要に応じてさらに導電材を添加してもよい。導電材としては、たとえばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相法炭素繊維などのいずれかまたは組み合わせを用いることができる。導電材の配合量は、特に限定されないが、たとえば負極用活物質100質量部に対して、2質量部以上10質量部以下が好ましく、さらに好ましくは3質量部以上7質量部以下である。これらの範囲外でも用いることができるが、導電剤の配合量が多すぎると電極中に存在する負極用活物質量が必要以上に減少するおそれがあり、負極の電気容量が低下する虞がある。
得られたスラリーを圧縮成形、ロール成形などによりシート状、ペレット状などに成形して、負極用活物質層12を得ることができる。そして、このようにして得られた負極用活物質層12と負極集電体14とを積層することにより、負極10を得ることができる。
また、得られた負極スラリーを負極集電体14に塗布して乾燥することにより、負極10を製造することもできる。
また、得られた負極スラリーを負極集電体14に塗布して乾燥することにより、負極10を製造することもできる。
電解層40は、正極20と負極10との間を満たすものであり、充放電によってリチウムイオンが移動する層である。
電解層40は特に、限定されず、一般的に公知の電解物を満たして構成することができる。電解物としては、例えば、非水系溶媒に電解質となるリチウム塩を溶解した非水電解液が用いられる。
この非水系溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状エステル類;ジメトキシエタンなどの鎖状エーテル類;あるいはこれらの混合物などを用いることができる。
電解質としては特に限定されず、一般的に公知の電解質を用いることができ、例えば、LiClO4、LiPF6などのリチウム金属塩を用いることができる。
また非水電解液二次電池以外の態様の二次電池の場合、電解層40は、たとえばポリエチレンオキサイドまたはポリアクリロニトリルなどの高分子材料を含むゲル状のポリマー電解質を有する態様、またはジルコニアなどの固体電解質を有する態様が挙げられる。
セパレータ30は特に限定されず、リチウムイオンなどの化学種を透過可能な部材であって一般的に公知のセパレータを用いることができ、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどを用いて構成される多孔質フィルム、不織布などを挙げることができる。
正極20は、図1に示すように、正極活物質層22と正極集電体24とを有している。
正極活物質層22としては特に限定されず、一般的に公知の正極活物質により形成することができる。正極活物質としては特に限定されず、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)などの複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子;などを用いることができる。
正極活物質は、上述する負極用活物質と同様に、有機高分子結着剤および導電材が含有される。正極活物質における有機高分子結着剤および導電材の配合量は、特に限定されず、負極用活物質と同等にしてもよく、また負極用活物質とは異なる量を配合してもよい。
正極活物質層22としては特に限定されず、一般的に公知の正極活物質により形成することができる。正極活物質としては特に限定されず、例えば、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMn2O4)などの複合酸化物;ポリアニリン、ポリピロールなどの導電性高分子;などを用いることができる。
正極活物質は、上述する負極用活物質と同様に、有機高分子結着剤および導電材が含有される。正極活物質における有機高分子結着剤および導電材の配合量は、特に限定されず、負極用活物質と同等にしてもよく、また負極用活物質とは異なる量を配合してもよい。
正極集電体24としては特に限定されず、一般的に公知の正極集電体を用いることができ、例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔、ニッケル箔、銅箔などを用いることができる。本実施形態における正極20は、一般的に公知の正極の製造方法により製造することができる。
以上にリチウムイオン二次電池100を例に説明したが、上述は本発明の炭素材、負極用活物質、および負極がリチウムイオン二次電池以外の二次電池に用いられることを除外するものではない。本発明の炭素材は、たとえばナトリウムイオンなどのリチウムイオン以外のアルカリイオンを化学種とする二次電池に用いることも可能である。このとき各アルカリイオン二次電池は、上述するリチウムイオン二次電池100に用いられる部材と同様の部材を用いて構成されてもよいし、異なる部材を用いて構成されてもよい。たとえば、ナトリウムイオン二次電池における負極集電体には、上述にて例示される負極集電体の他、アルミニウム箔を選択することもできる。
二次電池は、負極10、正極20、セパレータ30、および電解層40を二次電池に適応するケースに適切に配置して形成することができる。二次電池の型は、特定されないが、例えば円筒型、コイン型、角型、またはフィルム型などを挙げることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。たとえば、図1では、負極集電体14の一方側の面に負極用活物質層12が形成され、また正極集電体24の一方側の面に正極活物質層22が形成された例を示した。変形例として、負極集電体14の両面に負極用活物質層12を形成し、正極集電体24の両面に正極活物質層22を形成し、これらをセパレータ30および電解層40を介して対向させて二次電池を構成してもよい。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
また、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例および比較例に限定されるものではない。尚、実施例では、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
<二次電池負極用炭素材の調製>
実施例または比較例に用いる二次電池負極用炭素材(以下、炭素材という)を以下のとおり調製した。まず、炭素材を生成するために用いられる樹脂組成物に配合される樹脂(炭素材原料)を以下の通り準備した。
(アニリン樹脂の合成)
アニリン100部と37%ホルムアルデヒド水溶液697部、蓚酸2部を攪拌装置及び冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、100℃で3時間反応後、脱水し、アニリン樹脂110部を得た。
(ノボラック型フェノール樹脂の合成)
フェノール100部、37%ホルムアルデヒド水溶液64.5部、および蓚酸3部を攪拌機および冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、100℃で3時間反応後、昇温脱水し、ノボラック型フェノール樹脂90部を得た。
実施例または比較例に用いる二次電池負極用炭素材(以下、炭素材という)を以下のとおり調製した。まず、炭素材を生成するために用いられる樹脂組成物に配合される樹脂(炭素材原料)を以下の通り準備した。
(アニリン樹脂の合成)
アニリン100部と37%ホルムアルデヒド水溶液697部、蓚酸2部を攪拌装置及び冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、100℃で3時間反応後、脱水し、アニリン樹脂110部を得た。
(ノボラック型フェノール樹脂の合成)
フェノール100部、37%ホルムアルデヒド水溶液64.5部、および蓚酸3部を攪拌機および冷却管を備えた3つ口フラスコに入れ、100℃で3時間反応後、昇温脱水し、ノボラック型フェノール樹脂90部を得た。
上述のとおり得たアニリン樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、またはヤシガラを用い、以下第一焼成条件で焼成して硬化処理を行い、一次炭化物を得た。
(第一焼成条件)
実施例1:上記アニリン樹脂100部に対して、ヘキサメチレンテトラミン10部を配合し、振動ボールミルにて粉砕混合し得られた樹脂組成物を、大型連続炉を用い窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて昇温し、550℃に到達後、焼成状態を1.5時間保持して硬化処理を行った。
実施例2:実施例1と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
実施例3:上記ノボラック型フェノール樹脂100部に対して、リン酸トリフェニル(大八化学工業株式会社製、商品名:TPP)10部、およびヘキサメチレンテトラミン3部を配合し、振動ボールミルにて粉砕混合し得られた樹脂組成物を、中型バッチ炉を用い窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて昇温し、550℃に到達後、焼成状態を1.5時間保持して硬化処理を行った。
実施例4:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
実施例5:ヤシガラに不融化処理を行った後、中型バッチ炉を用い窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて昇温し、550℃に到達後、焼成状態を1.5時間保持して硬化処理を行った。
比較例1:実施例1と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例2:実施例1と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例3:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例4:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例5:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例6:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例7:実施例5と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
(第一焼成条件)
実施例1:上記アニリン樹脂100部に対して、ヘキサメチレンテトラミン10部を配合し、振動ボールミルにて粉砕混合し得られた樹脂組成物を、大型連続炉を用い窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて昇温し、550℃に到達後、焼成状態を1.5時間保持して硬化処理を行った。
実施例2:実施例1と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
実施例3:上記ノボラック型フェノール樹脂100部に対して、リン酸トリフェニル(大八化学工業株式会社製、商品名:TPP)10部、およびヘキサメチレンテトラミン3部を配合し、振動ボールミルにて粉砕混合し得られた樹脂組成物を、中型バッチ炉を用い窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて昇温し、550℃に到達後、焼成状態を1.5時間保持して硬化処理を行った。
実施例4:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
実施例5:ヤシガラに不融化処理を行った後、中型バッチ炉を用い窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて昇温し、550℃に到達後、焼成状態を1.5時間保持して硬化処理を行った。
比較例1:実施例1と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例2:実施例1と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例3:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例4:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例5:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例6:実施例3と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
比較例7:実施例5と同様の第一焼成条件にて硬化処理を行った。
上述により得た一次炭化物を、以下の条件で粉砕し、粉砕物を調製した。
(粉砕条件)
実施例1:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕し、さらにジェットミルを用いて、粉砕供給量80g/min、粉砕圧0.8MPa、繰り返し回数2Passの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
実施例2:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕し、さらにジェットミルを用いて、粉砕供給量80g/min、粉砕圧0.8MPa、繰り返し回数2Passの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
実施例3:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量50g/min、風量0.5m3/min、第1粉砕インペラ回転数15000rpm、第2粉砕インペラ回転数15000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
実施例4:ボールミル粉砕装置にて、φ15mmのアルミナボール5000gとφ10mmのアルミナボール900gを入れた容器の中に粉体を入れ処理して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
実施例5:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕し、さらにジェットミルを用いて、粉砕供給量80g/min、粉砕圧0.8MPa、繰り返し回数2Passの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例1:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例2:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例3:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量30g/min、風量0.8m3/min、第1粉砕インペラ回転数13000rpm、第2粉砕インペラ回転数13000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例4:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量30g/min、風量0.8m3/min、第1粉砕インペラ回転数13000rpm、第2粉砕インペラ回転数13000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例5:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量30g/min、風量0.8m3/min、第1粉砕インペラ回転数13000rpm、第2粉砕インペラ回転数13000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例6:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量30g/min、風量0.8m3/min、第1粉砕インペラ回転数13000rpm、第2粉砕インペラ回転数13000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例7:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕し、さらにサイクロン分級機を用いて微粒子をカットした粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
(粉砕条件)
実施例1:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕し、さらにジェットミルを用いて、粉砕供給量80g/min、粉砕圧0.8MPa、繰り返し回数2Passの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
実施例2:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕し、さらにジェットミルを用いて、粉砕供給量80g/min、粉砕圧0.8MPa、繰り返し回数2Passの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
実施例3:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量50g/min、風量0.5m3/min、第1粉砕インペラ回転数15000rpm、第2粉砕インペラ回転数15000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
実施例4:ボールミル粉砕装置にて、φ15mmのアルミナボール5000gとφ10mmのアルミナボール900gを入れた容器の中に粉体を入れ処理して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
実施例5:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕し、さらにジェットミルを用いて、粉砕供給量80g/min、粉砕圧0.8MPa、繰り返し回数2Passの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例1:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例2:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例3:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量30g/min、風量0.8m3/min、第1粉砕インペラ回転数13000rpm、第2粉砕インペラ回転数13000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例4:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量30g/min、風量0.8m3/min、第1粉砕インペラ回転数13000rpm、第2粉砕インペラ回転数13000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例5:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量30g/min、風量0.8m3/min、第1粉砕インペラ回転数13000rpm、第2粉砕インペラ回転数13000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例6:サイクロンミル粉砕装置を用い粉体供給量30g/min、風量0.8m3/min、第1粉砕インペラ回転数13000rpm、第2粉砕インペラ回転数13000rpmの条件にて粉砕して得た粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
比較例7:ACM粉砕装置を用い、粉体供給量1000g/min、風量20m3/min、粉砕ローター回転数6500rpm、分級ローター回転数4500rpmの条件にて粉砕し、さらにサイクロン分級機を用いて微粒子をカットした粉砕中間物を、目開き75μmの篩を通して粗大粒子が取り除かれた粉砕物を得た。
尚、上述する粉砕処理にて用いた粉砕装置は以下のとおりである。
ACM粉砕装置は、衝撃型分級機内蔵粉砕機(ACMパルベライザ(ACM30HC)、ホソカワミクロン製)を用いた。
ジェットミル粉砕装置は、ナノジェットマイザー(NJ−300型、アイシンナノテクノロジーズ製)を用いた。
サイクロンミル粉砕装置は、乾式粉砕機(150BMW型サイクロンミル、静岡プラント製)を用いた。
ボールミル粉砕装置は、回転式ボールミル(1段式―B、入江商会製)を用いた。
ACM粉砕装置は、衝撃型分級機内蔵粉砕機(ACMパルベライザ(ACM30HC)、ホソカワミクロン製)を用いた。
ジェットミル粉砕装置は、ナノジェットマイザー(NJ−300型、アイシンナノテクノロジーズ製)を用いた。
サイクロンミル粉砕装置は、乾式粉砕機(150BMW型サイクロンミル、静岡プラント製)を用いた。
ボールミル粉砕装置は、回転式ボールミル(1段式―B、入江商会製)を用いた。
上述により得た粉砕物を、以下の焼成条件で焼成して炭化処理を行い、炭素材を得た。
(焼成条件)
実施例1:大型連続炉にて、窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて焼成し1200℃に到達後、焼成状態を2時間保持して炭化処理を行い、実施例1を得た。
実施例2:実施例1と同様の焼成条件で炭化処理を行い、実施例2を得た。
実施例3:大型連続炉から小型連続炉に変更したこと以外は実施例1と同様の焼成条件で炭化処理を行い、実施例3を得た。
実施例4:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、実施例4を得た。
実施例5:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、実施例5を得た。
比較例1:実施例1と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例1を得た。
比較例2:実施例1と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例2を得た。
比較例3:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例3を得た。
比較例4:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例4を得た。
比較例5:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例5を得た。
比較例6:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例6を得た。
比較例7:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例7を得た。
(焼成条件)
実施例1:大型連続炉にて、窒素雰囲気下にて室温から100℃/時間の昇温速度にて焼成し1200℃に到達後、焼成状態を2時間保持して炭化処理を行い、実施例1を得た。
実施例2:実施例1と同様の焼成条件で炭化処理を行い、実施例2を得た。
実施例3:大型連続炉から小型連続炉に変更したこと以外は実施例1と同様の焼成条件で炭化処理を行い、実施例3を得た。
実施例4:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、実施例4を得た。
実施例5:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、実施例5を得た。
比較例1:実施例1と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例1を得た。
比較例2:実施例1と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例2を得た。
比較例3:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例3を得た。
比較例4:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例4を得た。
比較例5:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例5を得た。
比較例6:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例6を得た。
比較例7:実施例3と同様の焼成条件で炭化処理を行い、比較例7を得た。
<ハーフセル型リチウムイオン二次電池の製造>
上述のとおり得られた実施例および比較例の初回充放電特性評価を行うために、ハーフセル型リチウムイオン二次電池の作成を行った。各実施例、各比較例で得られた炭素材100部に対して、カルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製、CMCダイセル2200)1.5部、スチレン・ブタジエンゴム(JSR株式会社製、TRDー2001)1.5部、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック)2部、および、蒸留水100部を加え、自転・公転ミキサーで撹拌・混合し、スラリー状の負極混合物を調製した。
上述のとおり得られた実施例および比較例の初回充放電特性評価を行うために、ハーフセル型リチウムイオン二次電池の作成を行った。各実施例、各比較例で得られた炭素材100部に対して、カルボキシメチルセルロース(ダイセルファインケム株式会社製、CMCダイセル2200)1.5部、スチレン・ブタジエンゴム(JSR株式会社製、TRDー2001)1.5部、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社製、デンカブラック)2部、および、蒸留水100部を加え、自転・公転ミキサーで撹拌・混合し、スラリー状の負極混合物を調製した。
上記負極混合物を厚み14μmの銅箔(古河電気工業株式会社製、NC−WS)の片面に塗布し、その後、60℃で2時間空気中で予備乾燥を行い、次に、120℃で15時間真空乾燥した。真空乾燥後、ロールプレスによって電極を加圧成形した。これを直径13mmの円盤状として切り出し負極を作製した。負極材層の厚さは50μmであった。
作用極として厚さ1mmのリチウム金属を準備した。
セパレータとして、ポリオレフィンの多孔質膜(セルガード社製、商品名;セルガード2400)を用いた。
上記の負極、作用極、セパレータを用い、電解液としてエチレンカーボネートと、ジエチルカーボネートと、を体積比で3:7で混合した混合溶媒に1mol/dm3の割合で六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を加えたものを用いて、アルゴン雰囲気下のグローブボックス内で、2032型コインセル形状のハーフセル型リチウムイオン二次電池を製造した。
<フルセル型リチウムイオン二次電池の作成>
上述のとおり得られた実施例および比較例の低温環境における電池特性を評価するために、フルセル型リチウムイオン二次電池の作成を行った。
作成方法は上述のハーフセル型リチウムイオン二次電池の作成方法における、作用極を正極に変更したこと以外は、同様の方法で行った。
正極として、LiCoO2を活物質とし、集電体上に塗布して作製したものを用い、正極の集電体として、アルミ箔を用いた単層シート(パイオニクス株式会社製、商品名;ピオクセル C−100)を直径12mmの円盤状に形成したものを用いた。
上述のとおり得られた実施例および比較例の低温環境における電池特性を評価するために、フルセル型リチウムイオン二次電池の作成を行った。
作成方法は上述のハーフセル型リチウムイオン二次電池の作成方法における、作用極を正極に変更したこと以外は、同様の方法で行った。
正極として、LiCoO2を活物質とし、集電体上に塗布して作製したものを用い、正極の集電体として、アルミ箔を用いた単層シート(パイオニクス株式会社製、商品名;ピオクセル C−100)を直径12mmの円盤状に形成したものを用いた。
以上のとおり得られた各実施例、各比較例、ならびに各実施例および各比較例を用いて作成したリチウムイオン二次電池を用いて以下のとおり評価した。
[真比重の測定]
上述のとおり得た各実施例および各比較例について、ブタノールを用いた真比重測定方法により真比重を測定した。測定結果は、表1に示す。
上述のとおり得た各実施例および各比較例について、ブタノールを用いた真比重測定方法により真比重を測定した。測定結果は、表1に示す。
[表面積の測定]
粒度分布測定装置(粒度分布測定装置LA−920、株式会社堀場製作所製)を用い、各実施例および各比較例の個数基準における粒子径分布を以下の手順により測定した。
上述のとおり得た各実施例および各比較例の炭素材約20mg、約1wt%に希釈した界面活性剤(ツイーン20、キシダ化学株式会社製)1ml、蒸留水約5mlを一つのポリ容器に入れ、超音波洗浄機内において約1分間ポリスポイトで混ぜながら超音波をかけて分散させて分散物を得た。以上のとおり得た各分散物の粒子径分布を、上述の粒度分布測定装置を用い、相対屈折率1.5の設定にて測定を行った。
上記粒子径分布測定により得られたデータを用い、上記式(1)により単位体積当たりの表面積を算出した。算出された値は、表1に示す。
粒度分布測定装置(粒度分布測定装置LA−920、株式会社堀場製作所製)を用い、各実施例および各比較例の個数基準における粒子径分布を以下の手順により測定した。
上述のとおり得た各実施例および各比較例の炭素材約20mg、約1wt%に希釈した界面活性剤(ツイーン20、キシダ化学株式会社製)1ml、蒸留水約5mlを一つのポリ容器に入れ、超音波洗浄機内において約1分間ポリスポイトで混ぜながら超音波をかけて分散させて分散物を得た。以上のとおり得た各分散物の粒子径分布を、上述の粒度分布測定装置を用い、相対屈折率1.5の設定にて測定を行った。
上記粒子径分布測定により得られたデータを用い、上記式(1)により単位体積当たりの表面積を算出した。算出された値は、表1に示す。
[平均2乗半径の算出]
上述する粒子径分布測定により得られたデータを用い、上記式(2)により平均2乗半径を算出した。算出された値は、表1に示す。
上述する粒子径分布測定により得られたデータを用い、上記式(2)により平均2乗半径を算出した。算出された値は、表1に示す。
[初回充放電特性評価]
各実施例または各比較例を用いて上述のとおり作成したハーフセル型リチウムイオン二次電池を用いて以下のとおり電池特性を評価した。
測定温度を25℃とし、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vを保持して定電圧充電を行い、電流密度が2.5mA/gになるまで充電した電気量を初回充電容量とした。
次いで、放電時の電流密度を25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vに達した時点の電気量を初回放電容量とした。
下記数式(3)に示すとおり、初回充電容量で初回放電容量を除した値に100を乗じて初回充放電効率を算出した。尚、初回充放電特性評価の結果は、表1に示す。
[数3]
初回充放電効率(%)=初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g)×100 (3)
尚、上記充放電特性評価において、「充電」とは、電圧の印加により、正極から炭素材を用いて構成された負極にリチウムイオンを移動させることをいう。また「放電」とは、炭素材を用いて構成された負極から、正極にリチウムイオンが移動する現象のことをいう。
上述で得られた初回放電容量および初回充放電効率を、いずれも表1に示す。
各実施例または各比較例を用いて上述のとおり作成したハーフセル型リチウムイオン二次電池を用いて以下のとおり電池特性を評価した。
測定温度を25℃とし、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が0Vに達した時点から、0Vを保持して定電圧充電を行い、電流密度が2.5mA/gになるまで充電した電気量を初回充電容量とした。
次いで、放電時の電流密度を25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vに達した時点の電気量を初回放電容量とした。
下記数式(3)に示すとおり、初回充電容量で初回放電容量を除した値に100を乗じて初回充放電効率を算出した。尚、初回充放電特性評価の結果は、表1に示す。
[数3]
初回充放電効率(%)=初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g)×100 (3)
尚、上記充放電特性評価において、「充電」とは、電圧の印加により、正極から炭素材を用いて構成された負極にリチウムイオンを移動させることをいう。また「放電」とは、炭素材を用いて構成された負極から、正極にリチウムイオンが移動する現象のことをいう。
上述で得られた初回放電容量および初回充放電効率を、いずれも表1に示す。
[低温環境試験]
上述の通り作製した、フルセル型リチウムイオン二次電池を用い、以下の通りに測定を行った。
測定温度を25℃とし、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が4.2Vに達した時点から、4.2Vを保持して定電圧充電を行い、電流密度が2.5mA/gに達するまで充電し、次いで、放電時の電流密度を25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vに達するまで放電した。さらに同様の条件で充電および放電を行い合計5サイクルの充放電を実施してエージング処理を行った。
エージング処理後、各リチウムイオン二次電池を、25℃の温度環境下、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、その後、4.2Vの定電圧で電流値が0.02Cに減衰するまで充電した。次に、0.2Cの定電流で放電を行い、SOC(State of Charge)50%となるよう調整し、25℃で1時間放置した。続いて、各フルセル型リチウムイオン二次電池を−20℃の温度環境下で1時間放置し、下記「低温環境充放電処理」を3サイクル行った。
即ち、低温環境放電処理は、フルセル型リチウムイオン二次電池を−20℃の温度環境下に設置し、所定の電流値で10秒間充電した際の電圧を測定し、次いで10分間放置した後、所定の電流値で10秒間だけ放電した際の電圧を測定し、その後10分間放置するものである。上記所定の電流値とは、具体的には、1サイクル目から3サイクル目まで、順に、1/3C、0.5C、1Cである。上記低温環境放電処理において、上限電圧を4.2V、下限電圧を2.5Vとした。
尚、ここで「1C」は1時間で放電が終了する電流密度を意味する。
上述の通り作製した、フルセル型リチウムイオン二次電池を用い、以下の通りに測定を行った。
測定温度を25℃とし、充電時の電流密度を25mA/gとして定電流充電を行い、電位が4.2Vに達した時点から、4.2Vを保持して定電圧充電を行い、電流密度が2.5mA/gに達するまで充電し、次いで、放電時の電流密度を25mA/gとして定電流放電を行い、電位が2.5Vに達するまで放電した。さらに同様の条件で充電および放電を行い合計5サイクルの充放電を実施してエージング処理を行った。
エージング処理後、各リチウムイオン二次電池を、25℃の温度環境下、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、その後、4.2Vの定電圧で電流値が0.02Cに減衰するまで充電した。次に、0.2Cの定電流で放電を行い、SOC(State of Charge)50%となるよう調整し、25℃で1時間放置した。続いて、各フルセル型リチウムイオン二次電池を−20℃の温度環境下で1時間放置し、下記「低温環境充放電処理」を3サイクル行った。
即ち、低温環境放電処理は、フルセル型リチウムイオン二次電池を−20℃の温度環境下に設置し、所定の電流値で10秒間充電した際の電圧を測定し、次いで10分間放置した後、所定の電流値で10秒間だけ放電した際の電圧を測定し、その後10分間放置するものである。上記所定の電流値とは、具体的には、1サイクル目から3サイクル目まで、順に、1/3C、0.5C、1Cである。上記低温環境放電処理において、上限電圧を4.2V、下限電圧を2.5Vとした。
尚、ここで「1C」は1時間で放電が終了する電流密度を意味する。
上記低温環境放電処理に関し、横軸に電流値、縦軸に10秒間充電または放電した後の電圧をプロットし、その近似直線の傾きの絶対値から電池内の充電時および放電時の直流抵抗(DC−IR)を求めた。DC−IRが低いことは電気抵抗が小さく出力特性が良好であることを意味する。
表1に示すとおり、いずれの実施例も、単位体積当たりの表面積が本発明で特定する所定の範囲を満たすことが確認された。これに対し、いずれの比較例も、単位体積当たりの表面積が上記所定の範囲を外れていることが確認された。
実施例はいずれも、25℃における初回充放電効率は84%以上と高い値を示し、また−20℃における充電時および放電時のDC−IRが低い傾向にあった。
たとえば、実施例1、2と、実施例1、2と同材料を用いてなる比較例1、2と、を対比した場合、表面積の違いにより、低温環境下における充放電時のDC−IRに有意に差異が生じていた。即ち、実施例1、2は、比較例1、2に比べて、表面積が大きく、充放電時におけるDC−IRが低くかった。同様の傾向が、実施例3、4および比較例3から6、ならびに実施例5および比較例7においても確認された。
以上の結果から、各実施例は、表面積が所定範囲に含まれることによって低温環境下における抵抗値の低下が低減し、25℃において示される良好な充放電効率が低温環境下でも有意に反映されることが示唆された。
実施例はいずれも、25℃における初回充放電効率は84%以上と高い値を示し、また−20℃における充電時および放電時のDC−IRが低い傾向にあった。
たとえば、実施例1、2と、実施例1、2と同材料を用いてなる比較例1、2と、を対比した場合、表面積の違いにより、低温環境下における充放電時のDC−IRに有意に差異が生じていた。即ち、実施例1、2は、比較例1、2に比べて、表面積が大きく、充放電時におけるDC−IRが低くかった。同様の傾向が、実施例3、4および比較例3から6、ならびに実施例5および比較例7においても確認された。
以上の結果から、各実施例は、表面積が所定範囲に含まれることによって低温環境下における抵抗値の低下が低減し、25℃において示される良好な充放電効率が低温環境下でも有意に反映されることが示唆された。
また実施例の平均2乗半径はいずれも、本発明の特定する所定の範囲に含まれていた。
また実施例1から4は、真比重が、本発明の特定する所定の範囲に含まれており、期待される初回放電容量が示された。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含むことを特徴とする二次電池負極用炭素材。
(2)前記炭素粒子は、前記粒子径分布から求めた平均2乗半径が、1μm2以上4μm2以下の範囲である上記(1)に記載の二次電池負極用炭素材。
(3)前記炭素粒子は、真比重が、1.5g/cm3以上1.7g/cm3以下の範囲である上記(1)または(2)に記載の二次電池負極用炭素材。
(4)前記炭素粒子は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以上であるハードカーボンを含む上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の二次電池負極用炭素材。
(5)前記炭素粒子は、前記ハードカーボンを90質量%以上含む上記(4)に記載の二次電池負極用炭素材。
(6)前記炭素粒子が、前記ハードカーボンおよび黒鉛を含む上記(4)または(5)に記載の二次電池負極用炭素材。
(7)上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の二次電池負極用炭素材を含有することを特徴とする二次電池負極用活物質。
(8)上記(7)に記載の二次電池負極用活物質を含む二次電池負極用活物質層と、前記二次電池負極用活物質層が積層された負極用集電体と、を有することを特徴とする二次電池負極。
(9)上記(8)に記載された二次電池負極と、電解層と、二次電池正極と、を備えることを特徴とする二次電池。
(1)個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含むことを特徴とする二次電池負極用炭素材。
(2)前記炭素粒子は、前記粒子径分布から求めた平均2乗半径が、1μm2以上4μm2以下の範囲である上記(1)に記載の二次電池負極用炭素材。
(3)前記炭素粒子は、真比重が、1.5g/cm3以上1.7g/cm3以下の範囲である上記(1)または(2)に記載の二次電池負極用炭素材。
(4)前記炭素粒子は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以上であるハードカーボンを含む上記(1)から(3)のいずれか一項に記載の二次電池負極用炭素材。
(5)前記炭素粒子は、前記ハードカーボンを90質量%以上含む上記(4)に記載の二次電池負極用炭素材。
(6)前記炭素粒子が、前記ハードカーボンおよび黒鉛を含む上記(4)または(5)に記載の二次電池負極用炭素材。
(7)上記(1)から(6)のいずれか一項に記載の二次電池負極用炭素材を含有することを特徴とする二次電池負極用活物質。
(8)上記(7)に記載の二次電池負極用活物質を含む二次電池負極用活物質層と、前記二次電池負極用活物質層が積層された負極用集電体と、を有することを特徴とする二次電池負極。
(9)上記(8)に記載された二次電池負極と、電解層と、二次電池正極と、を備えることを特徴とする二次電池。
10・・・負極
12・・・負極用活物質層
14・・・負極集電体
20・・・正極
22・・・正極活物質層
24・・・正極集電体
30・・・セパレータ
40・・・電解層
100・・・リチウムイオン二次電池
12・・・負極用活物質層
14・・・負極集電体
20・・・正極
22・・・正極活物質層
24・・・正極集電体
30・・・セパレータ
40・・・電解層
100・・・リチウムイオン二次電池
Claims (9)
- 個数基準における粒子径分布から求めた単位体積当たりの表面積が、10000cm−1以上16000cm−1以下の範囲である炭素粒子を含むことを特徴とする二次電池負極用炭素材。
- 前記炭素粒子は、前記粒子径分布から求めた平均2乗半径が、1μm2以上4μm2以下の範囲である請求項1に記載の二次電池負極用炭素材。
- 前記炭素粒子は、真比重が、1.5g/cm3以上1.7g/cm3以下の範囲である請求項1または2に記載の二次電池負極用炭素材。
- 前記炭素粒子は、線源としてCuKα線を用いたX線回折法により求められる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以上であるハードカーボンを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池負極用炭素材。
- 前記炭素粒子は、前記ハードカーボンを90質量%以上含む請求項4に記載の二次電池負極用炭素材。
- 前記炭素粒子が、前記ハードカーボンおよび黒鉛を含む請求項4または5に記載の二次電池負極用炭素材。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の二次電池負極用炭素材を含有することを特徴とする二次電池負極用活物質。
- 請求項7に記載の二次電池負極用活物質を含む二次電池負極用活物質層と、前記二次電池負極用活物質層が積層された負極用集電体と、を有することを特徴とする二次電池負極。
- 請求項8に記載された二次電池負極と、電解層と、二次電池正極と、を備えることを特徴とする二次電池。
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