JP2016160547A - 複合繊維及びそれからなる布帛 - Google Patents
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Abstract
【課題】透撮防止性能及び発色性を向上させた複合繊維と、この複合繊維を用いた透撮防止性能を有する布帛を提供する。【解決手段】六ホウ化物を含有し、繊維断面が海島構造を有する複合繊維及びこの複合繊維を用いた布帛であり、海成分Bの質量比率が繊維全体の25〜80%であり、海成分Bが六ホウ化物を含有する複合繊維であり、六ホウ化物は繊維強度の点から2μm未満の六ホウ化ランタン微粒子であり、近赤外線を吸収し、透撮防止性能を持つ複合繊維及び前記複合繊維を用いた布帛。【選択図】図1
Description
本発明は複合繊維及び布帛に関するものである。
昨今、一般的なビデオカメラやデジタルカメラに赤外線透過フィルターを取り付けることによって、夜間撮影など暗所での撮影を可能とした透過撮影が可能になることが知られている。
しかしこの機器を上述した本来の目的でなく、日中の赤外線放射の多い時間帯に使用し、自分の存在を知らせることなく無断で他人を透撮対象にする者が現れた。特に最近は幼い子供も狙われることがあり社会問題となっている。
このような状況のもと、赤外線透過を抑止するための研究・開発がなされ、これまでにそのような効果を奏する繊維製品が幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、ポリエステルからなるトリコット編地に、特定の赤外線吸収剤を含むアクリル樹脂をコーティングしたものについて記載されている。これによれば、編地裏面をコーティングすることや、透撮を抑止したい部分だけをコーティングすることなどが可能なため、衣服としたとき、その色彩やファッション性だけでなく伸縮性や着用快適性も損ねずに、所望の透撮抑止効果を得ることができるという利点がある。
また、特許文献2では酸化アンチモンをドーピングした酸化第二スズからなる白色系微粒子を含む繊維を使用した布帛が提案されている。後加工ではなく白色系微粒子を直接繊維中に3.0〜12.0質量%含有させるということでこの繊維を使用した布帛は白く、所望の透撮防止効果を得ることもでき、衣服のファッション性も損なわれることがないという利点がある。
しかしながら、特許文献1記載の樹脂を布帛にコーティングする方法には以下の問題がある。
(1)風合いが硬化することにより着心地が悪くなる。透撮防止効果を得るためにコーティングする樹脂の量が増えるほど顕著に前述の傾向が表れる。特に裏地やインナーなど肌に直接布帛が触れる場合には問題となる。
(2)洗濯をする毎にコーティングした樹脂が剥がれていき、透撮防止効果は低下していく。
(1)風合いが硬化することにより着心地が悪くなる。透撮防止効果を得るためにコーティングする樹脂の量が増えるほど顕著に前述の傾向が表れる。特に裏地やインナーなど肌に直接布帛が触れる場合には問題となる。
(2)洗濯をする毎にコーティングした樹脂が剥がれていき、透撮防止効果は低下していく。
特許文献2記載の繊維中に白色系微粒子を含有させる方法に上記の問題はなく、一定の透撮防止性能を得ることができる。
しかし、昨今は、より高い透撮防止性能が求められているが、透撮防止性能を高めるために、繊維中に白色系微粒子を多量に含有させると、微粒子自体は染まらないため、染色しても、淡染になる場合もあり、発色性にも問題が生じることがある。
しかし、昨今は、より高い透撮防止性能が求められているが、透撮防止性能を高めるために、繊維中に白色系微粒子を多量に含有させると、微粒子自体は染まらないため、染色しても、淡染になる場合もあり、発色性にも問題が生じることがある。
本発明は上述の問題を解決するものであり、透撮防止性能及び発色性を向上させた複合繊維と、この複合繊維を用いた透撮防止性能を有する布帛を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、複合繊維の断面構造を海島構造とし、繊維中に六ホウ化物を含有することによって、繰り返し洗濯しても透撮防止性能が低下せず、より少ない含有量で上記白色微粒子を含む繊維よりも高い透撮防止性能が得られ、発色性も改善されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、上記目的を達成するため、本発明は六ホウ化物を含有し、繊維断面が海島構造を有する複合繊維を第一の要点とする。
上記複合繊維において、海成分の質量比率が繊維全体の25〜80%であり、海成分に六ホウ化物を含有させることを第二の要点とする。
尚、上記複合繊維において、六ホウ化物が六ホウ化ランタンであることが好ましい。
又、本発明は、上記複合繊維を用いた布帛でもある。
又、本発明は、上記複合繊維を用いた布帛でもある。
本発明の六ホウ化物を含有し、繊維断面が海島構造を有する複合繊維によれば、六ホウ化物が透撮に用いられる近赤外線を吸収することにより、透撮防止性能を高めることができる。また上記白色系微粒子を含む従来の繊維よりも、発色性が改善できる。
上記複合繊維において、海成分の質量比率が繊維全体の25〜80%とし、海成分に六ホウ化物を含有させることにより、より透撮防止性能を高めることができる。
上記複合繊維において、六ホウ化物が六ホウ化ランタンであると、特に、良好な透撮防止性能を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、繊維断面が海島構造を有する複合繊維である。
本発明は、繊維断面が海島構造を有する複合繊維である。
本発明における複合繊維は、海成分からなる海部と島成分からなる島部からなり、いずれも繊維形成性樹脂から構成される。
本発明の複合繊維を構成する繊維形成性樹脂としては、特段限定されるものではないが、入手及び繊維化の容易さを考慮するとポリエステルやポリアミド及びポリプロピレン等のポリオレフィンを用いるのがよい。具体的に、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレート及びこれらの共重合体といった芳香族ポリエステルが挙げられる。更にポリ乳酸やポリグリコール酸といった脂肪族ポリエステルでもよい。ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66等が挙げられる。
本発明の複合繊維は、六ホウ化物を含有する。六ホウ化物が繊維中に存在することによって透撮に用いられる近赤外線は吸収され、透撮防止性能が得られる。
六ホウ化物の例としては、六ホウ化イットリウム、六ホウ化カルシウム、六ホウ化ランタンなどが挙げられるが、透撮防止性、入手及び繊維化の容易さを考えると六ホウ化ランタンが好ましい。
六ホウ化ランタンは、一般の化学試薬として微粒子状の紛体を購入し用いることができる。
六ホウ化ランタン等の六ホウ化物は、通常、粒子の形態である。
六ホウ化物の一次粒子径は、繊維強度の点から2μm未満が好ましい。より好ましくは、1μm以下である。
六ホウ化物の一次粒子径は、繊維強度の点から2μm未満が好ましい。より好ましくは、1μm以下である。
このような粒子径とするために、微粒子状の六ホウ化ランタン(例:住友金属鉱山製KHDS-6)等をそのまま用いてもよいし、粒径の大きい六ホウ化ランタンを微粒子化して用いてもよい。
六ホウ化物の微粒子化法としては、ジェットミル、ボールミル、サンドミル、超音波粉砕機等の方法があり、これらの方法を組み合わせて処理することできる。また処理方法については乾式でも湿式でもよい。
本発明の複合繊維における六ホウ化物の含有量は、透撮防止性能の点から、繊維全体からみて、0.005質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、0.12%以上であり、さらに好ましくは、0.2質量%以上である。紡糸操業性の点から、上限は、1質量%以下であることが好ましい。
本発明の複合繊維の断面形状は海島構造である。海島構造の一例を図1に示す。図1は本発明の複合繊維の繊維横断面図の一例である。本発明の複合繊維は、例えば、図1に示されるように、複数の島部(A)と、島部(A)を取り囲む海部(B)から構成される。
本発明の複合繊維は、海部または島部の少なくともいずれか一方に六ホウ化物を含有する。六ホウ化物は、海部のみに含有してもよいし、島部のみに含有してもよいし、海部及び島部に含有してもよい。なかでも、海部に六ホウ化物を含有することが好ましい。通常、海島繊維は、構造上、海部は繊維断面全体に網目のように張り巡らされる。その結果、近赤外線吸収性能を持つ六ホウ化物が繊維断面全体に分散し透撮防止性能を高める。島部に含有させるとその数や配置によっては繊維中の海部に入ってきた近赤外線を吸収できず素通りさせてしまうこともあるため、透撮防止性能をより高める点からは、海部に含有させることが好ましい。
本発明の複合繊維の繊維断面における島部の形状は、特に限定するものではない。図1のように丸としてもよいし、楕円や、三角、四角等の多角形等でもよい。
本発明においては、島部が2個以上あるものを海島構造と呼ぶ。島部が1個しかないものは芯鞘構造とし海島構造とは区別する。
本発明の複合繊維の繊維断面における島部の数は、2個以上なら特に限定するものではないが、4個以上が好ましく、より好ましくは7個以上である。透撮防止性能の観点から、六ホウ化物を繊維断面全体で均等に分散させ易い点では、10個以上とするのが特に好ましい。
本発明の複合繊維の繊維断面における島部の配置は、全ての島部が繊維断面における特定の部位に偏っていても、断面全体に島部同士が均一な距離をとって配置されていてもよいが、六ホウ化物を繊維断面全体で均等に分散させて透撮防止性能を得やすい点からは後者が好ましい。
海部と島部との質量比率は、特に限定するものではない。六ホウ化物を繊維断面全体で均等に分散させて、透撮防止性能をより高め易い点から、海部のみに六ホウ化物を含む場合は、海成分の質量比率が繊維全体の25〜80%であることが好ましい。より好ましくは40〜60%である。
尚、本発明の複合繊維における海部の六ホウ化物の含有量は、上記の海部と島部との比率の場合、透撮防止性能の点から、海部に対して、0.005質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、0.2%以上であり、さらに好ましくは、0.4質量%以上である。紡糸操業性の点から、上限は、2質量%以下であることが好ましい。
特に、複合繊維の断面構造において島部の数を10以上、海成分の質量比率が繊維全体の25〜60%、海部における微粒子状の六ホウ化ランタンの含有量を0.005〜1質量%の範囲内にすると繊維全体に六ホウ化ランタンが十分量分散し、より効率的に近赤外線を吸収し透撮防止性能が優れたものとなる。この場合、さらに好ましくは、海成分の質量比率が繊維全体の25〜60%、海部の六ホウ化ランタンの含有量は、0.01〜0.7質量%である。また、さらに好ましくは、海成分の質量比率が繊維全体の40〜60%、海部の六ホウ化ランタンの含有量は、0.05〜0.6質量%である。
本発明の複合繊維の破断強度は、2.5〜5cN/dtexが好ましく、4cN/dtex前後がより好ましい。
また本発明の複合繊維の破断伸度は、25〜55%が好ましく、45%付近が特に好ましい。
また本発明の複合繊維の破断伸度は、25〜55%が好ましく、45%付近が特に好ましい。
本発明の複合繊維の総繊度は、33〜128dtexが好ましく、56〜84dtexがより好ましい。
本発明の複合繊維を用いた布帛としては、織物、編物、不織布等が挙げられる。
織物の組織としては、平織、斜文織、朱子織などが好ましく、編物の組織としては天竺編、トリコット編などが好ましく用いられる。
織物の組織としては、平織、斜文織、朱子織などが好ましく、編物の組織としては天竺編、トリコット編などが好ましく用いられる。
本発明の複合繊維は、目的によって、布帛の一部に用いても、全体の用いてもよい。通常、布帛の30質量%以上用いることが好ましく、より好ましくは50質量%以上である。
本発明の複合繊維及び複合繊維を用いた布帛を製造する好適な方法を例示する。
まず、繊維形成性樹脂と六ホウ化物を準備し、六ホウ化物を含有するように溶融紡糸して複合繊維を得る。得られた複合繊維を製編織等することによって、本発明の布帛を得ることができる。
まず、繊維形成性樹脂と六ホウ化物を準備し、六ホウ化物を含有するように溶融紡糸して複合繊維を得る。得られた複合繊維を製編織等することによって、本発明の布帛を得ることができる。
六ホウ化物を繊維中に含有させる方法としては、例えば、溶融紡糸する際に、六ホウ化物を繊維形成性樹脂に添加してブレンドする方法や、六ホウ化物を予め繊維形成性樹脂と複合した複合化樹脂を用いて溶融紡糸する方法等が挙げられるが、特に限定するものではない。ただし生産性を考えた場合、六ホウ化物の微粒子をベース樹脂とともに溶融混練し、マスターバッチとした上でこのマスターバッチを使い繊維を製造する方法が好ましい。
本発明の複合繊維は、定法を用いて溶融紡糸して製造できる。具体例としては、海部に含有させる六ホウ化物を一定量含有したマスターバッチ及び島部に用いる繊維形成性樹脂を用意し、適切な水分率になるまで乾燥させる。次に乾燥した樹脂を計量しつつ押出し機に投入する。押出し機で融点以上に加熱溶融した樹脂を、ノズルを介して繊維状として巻き取り、未延伸糸を得、更にこれを延伸して、繊維を得ることができる(コンベンショナル法)。また、ノズルから出てきた繊維状物をそのまま連続的に延伸して繊維を得るという方法(紡糸直接延伸法)でもよい。
本発明の複合繊維を用いて布帛を作製する方法としては、定法を用いることができる。具体的には丸編、経編、平織等の所望の組織に製編織等することにより製造できる。
本発明の複合繊維を用いた布帛は、精練、染色、加工、縫製等を、目的に応じて適宜行うことにより、各種衣料品、寝装品等を製造できる。
本発明の複合繊維の染色方法としては、定法を用いることができる。具体例としては、本発明の複合繊維がポリエステルの場合は、高温高圧染色法により分散染料で染色できる。又、本発明の複合繊維がポリアミドの場合は、酸性染料や金属錯塩染料、反応染料等で染色できる。
本発明の複合繊維を用いた布帛は、透撮防止性を要する、Tシャツ、パンツ、ストッキング等のインナーウェア等肌着を含む衣料品、寝装品等に好適に用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。布帛の作製方法、評価方法は、以下に示す方法で行った。
(布帛の作製方法)
小池機械製作所製 MODEL:CR−Bを用いて、筒編み布を作製した。
小池機械製作所製 MODEL:CR−Bを用いて、筒編み布を作製した。
(分光性能評価方法)
筒編み布を皺がよらないようにマグネットで張力をかけた状態にして、島津製作所のUV−3100PC分光光度計中の試料室に設置し、300〜2400nmの波長域における透過率と反射率を測定した。近赤外線とは通常750〜1500nmの波長域における光のことを指すが、近赤外線の透過率代表値として、940nmの値を用いた。
筒編み布を皺がよらないようにマグネットで張力をかけた状態にして、島津製作所のUV−3100PC分光光度計中の試料室に設置し、300〜2400nmの波長域における透過率と反射率を測定した。近赤外線とは通常750〜1500nmの波長域における光のことを指すが、近赤外線の透過率代表値として、940nmの値を用いた。
(近赤外線の吸収率)
透過も反射もしなかった近赤外線は、機能剤に吸収されたものとして近赤外線吸収率を以下のように定義する。
近赤外線吸収率(%) = 100 − (透過率(%) + 反射率(%))
透過も反射もしなかった近赤外線は、機能剤に吸収されたものとして近赤外線吸収率を以下のように定義する。
近赤外線吸収率(%) = 100 − (透過率(%) + 反射率(%))
(透撮防止性能評価方法)
筒編み布に、前記筒編み布に張力をかけるための板と、JIS L 0805準拠の汚染用グレースケールを挿入し、汚染用グレースケールの色票に筒編み布を被覆させた状態で、100Wの赤外線ランプで赤外線を照射した。デジタルカメラに、IR76フィルターを装着し可視光線の影響を排除した状態で、疑似的な赤外線透過写真撮影を行った。
尚、筒編み布の透撮防止性能が高い場合、近赤外線を効率よく吸収するため被覆部分の画像は暗くなり汚染用グレースケールの色票について色差が視認できなくなる。
尚、透撮防止性能がよい順に、色票が、「視認不可」、「1.0」〜「5.0」となる。
筒編み布に、前記筒編み布に張力をかけるための板と、JIS L 0805準拠の汚染用グレースケールを挿入し、汚染用グレースケールの色票に筒編み布を被覆させた状態で、100Wの赤外線ランプで赤外線を照射した。デジタルカメラに、IR76フィルターを装着し可視光線の影響を排除した状態で、疑似的な赤外線透過写真撮影を行った。
尚、筒編み布の透撮防止性能が高い場合、近赤外線を効率よく吸収するため被覆部分の画像は暗くなり汚染用グレースケールの色票について色差が視認できなくなる。
尚、透撮防止性能がよい順に、色票が、「視認不可」、「1.0」〜「5.0」となる。
(布帛の染色方法)
ミニカラー染色機を用い、液温を130℃とする高温高圧染色法によって筒編み布を分散染料で染めた。分散染料はMiketon Polyester BGSF Navy Blueを2質量%owf、浴比は50として染色した。
ミニカラー染色機を用い、液温を130℃とする高温高圧染色法によって筒編み布を分散染料で染めた。分散染料はMiketon Polyester BGSF Navy Blueを2質量%owf、浴比は50として染色した。
(布帛のカラー値測定方法)
日本電色工業製の測色色差計ZE2000を用いて筒編み布のカラー値をL*a*b*指標で測定した。
日本電色工業製の測色色差計ZE2000を用いて筒編み布のカラー値をL*a*b*指標で測定した。
(蓄熱保温性評価)
温度センサーの上に筒編み布を被覆させ、センサーの真上50cmの距離から500Wレフランプを照射し、10分後にレフランプを切り、更に10分間放冷し、温度の推移を経時的に測定した。
温度センサーの上に筒編み布を被覆させ、センサーの真上50cmの距離から500Wレフランプを照射し、10分後にレフランプを切り、更に10分間放冷し、温度の推移を経時的に測定した。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート(酸化チタン濃度 1.3質量%、 極限粘度IV:0.688)に、六ホウ化ランタン(住友金属鉱山製 KHDS−6、粒子径:20nm)が2.5質量%となるよう溶融混練しマスターバッチ化した。このマスターバッチを、ポリエチレンテレフタレートチップ(酸化チタン濃度0.0032質量%、極限粘度IV:0.629)で希釈し、六ホウ化ランタン含有量を0.48質量%に調整して海部に使用し、島部にはポリエチレンテレフタレート(酸化チタン濃度 1.3質量%、極限粘度IV:0.637)を使用して、海島質量比率50:50にて、海島口金を用いて溶融紡糸し、紡糸直接延伸法により、56dtex/28fの繊維断面が海島構造を有する複合繊維を得た(紡糸条件:ヘッド温度292℃、巻き取り速度3540m/分、延伸倍率3.429倍、海島比率=1:1(質量比)、島数:19)。得られた複合繊維を用いて、上記の方法にて、布帛を作製した。
ポリエチレンテレフタレート(酸化チタン濃度 1.3質量%、 極限粘度IV:0.688)に、六ホウ化ランタン(住友金属鉱山製 KHDS−6、粒子径:20nm)が2.5質量%となるよう溶融混練しマスターバッチ化した。このマスターバッチを、ポリエチレンテレフタレートチップ(酸化チタン濃度0.0032質量%、極限粘度IV:0.629)で希釈し、六ホウ化ランタン含有量を0.48質量%に調整して海部に使用し、島部にはポリエチレンテレフタレート(酸化チタン濃度 1.3質量%、極限粘度IV:0.637)を使用して、海島質量比率50:50にて、海島口金を用いて溶融紡糸し、紡糸直接延伸法により、56dtex/28fの繊維断面が海島構造を有する複合繊維を得た(紡糸条件:ヘッド温度292℃、巻き取り速度3540m/分、延伸倍率3.429倍、海島比率=1:1(質量比)、島数:19)。得られた複合繊維を用いて、上記の方法にて、布帛を作製した。
[実施例2]
島数を37に変更する以外は、実施例1と同様に複合繊維を得て、布帛を作製した。
島数を37に変更する以外は、実施例1と同様に複合繊維を得て、布帛を作製した。
[実施例3]
複合繊維の繊度を84dtex/24fと変更する以外は、実施例1と同様に複合繊維を得て、布帛を作製した。
複合繊維の繊度を84dtex/24fと変更する以外は、実施例1と同様に複合繊維を得て、布帛を作製した。
[比較例1]
口金を芯鞘口金に変更し、マスターバッチ及び希釈樹脂を鞘部に使用し、島部の樹脂を芯部に使用し、芯鞘質量比率を50:50とする以外は、実施例3と同様に、複合繊維を得て、布帛を作製した。
口金を芯鞘口金に変更し、マスターバッチ及び希釈樹脂を鞘部に使用し、島部の樹脂を芯部に使用し、芯鞘質量比率を50:50とする以外は、実施例3と同様に、複合繊維を得て、布帛を作製した。
[比較例2]
芯部に、酸化アンチモンをドーピングした酸化第二スズからなる粒子径0.5μmの白色系微粒子を9質量%含有したポリエチレンテレフタレート(酸化チタン濃度 1.3質量%、極限粘度IV:0.637)、鞘部にポリエチレンテレフタレート(酸化チタン濃度 1.3質量%、 極限粘度IV:0.688)を用い、芯鞘質量比率を75:25とする以外は、比較例1と同様に、複合繊維を得て、布帛を作製した。
芯部に、酸化アンチモンをドーピングした酸化第二スズからなる粒子径0.5μmの白色系微粒子を9質量%含有したポリエチレンテレフタレート(酸化チタン濃度 1.3質量%、極限粘度IV:0.637)、鞘部にポリエチレンテレフタレート(酸化チタン濃度 1.3質量%、 極限粘度IV:0.688)を用い、芯鞘質量比率を75:25とする以外は、比較例1と同様に、複合繊維を得て、布帛を作製した。
実施例1〜3及び比較例1、2の、それぞれの繊維物性、機能剤、布帛密度、分光性能評価について、表1に示す。又、布帛の各波長による透過率分布を図2、反射率分布を図3、吸収率分布を図4に示す。
尚、表1、実施例において、機能剤とは、実施例又は比較例に含有させる透撮防止機能を有する剤を示し、具体的には、六ホウ化ランタン、酸化アンチモンをドーピングした酸化第二スズからなる白色系微粒子である。
表1と図2から明らかなように、実施例1〜3から得られた布帛は、波長940nmの透過率が12%未満、吸収率が76%以上であり、繊維中に入ってきた近赤外線の4分の3以上を吸収した。透撮防止用繊維としての性能を十分に備えるものであった。
比較例1から得られた布帛は、実施例3よりも近赤外線吸収率が9%以上低かった。これは繊維断面構造による差異であり、海島構造が芯鞘構造より近赤外線を吸収する上で効率的であることがわかる。
比較例2から得られた布帛は、実施例1、2よりも近赤外線吸収率が25%以上低かった。これは繊維断面構造による差異に加え、機能剤(実施例は六ホウ化ランタン、比較例2は白色系微粒子)の性能差によるものと推測できる。実施例品は、比較例2から得られた布帛と比べて、機能剤の含有量が少なく、しかも透撮防止性にも優れたものであった。
比較例1から得られた布帛は、実施例3よりも近赤外線吸収率が9%以上低かった。これは繊維断面構造による差異であり、海島構造が芯鞘構造より近赤外線を吸収する上で効率的であることがわかる。
比較例2から得られた布帛は、実施例1、2よりも近赤外線吸収率が25%以上低かった。これは繊維断面構造による差異に加え、機能剤(実施例は六ホウ化ランタン、比較例2は白色系微粒子)の性能差によるものと推測できる。実施例品は、比較例2から得られた布帛と比べて、機能剤の含有量が少なく、しかも透撮防止性にも優れたものであった。
上記の通り、本発明の複合繊維及びそれからなる布帛は、近赤外線を効率的に吸収するため、透撮防止用途に好適である。具体的な透撮防止用布帛の用途としては、水着やシャツ、パンツ、ストッキング等のインナー等が、好適に挙げられる。
また、実施例、比較例より得られた布帛に対して、上記の方法で、透撮防止性能を評価した。結果を表1に示す。実施例品は、いずれも汚染用グレースケールの色票そのものが視認できず、透撮防止性能に優れていたが、比較例から得られた布帛は、汚染用グレースケールが視認できるものであり、実施例から得られた布帛より、透撮防止性能が劣っていた。
[実施例4、5、比較例3、4]
実施例1、2から得られた布帛を、上記の方法で分散染色を行った(実施例4、5)。比較対照品として、比較例2から得られた布帛と、通常のポリエチレンテレフタレート繊維(繊維断面:丸断面、セミダル、56dtex/24f)を用いて上記の方法で筒編みを作製した布帛とを用いて、実施例4、5と同様に分散染色を行った(比較例3、4)。その後カラー値を測定した。結果を表2に示す。
実施例1、2から得られた布帛を、上記の方法で分散染色を行った(実施例4、5)。比較対照品として、比較例2から得られた布帛と、通常のポリエチレンテレフタレート繊維(繊維断面:丸断面、セミダル、56dtex/24f)を用いて上記の方法で筒編みを作製した布帛とを用いて、実施例4、5と同様に分散染色を行った(比較例3、4)。その後カラー値を測定した。結果を表2に示す。
一般の衣類に用いられるセミダルの単独糸(比較例4のポリエチレンテレフタレート繊維)を、基準として色差ΔE*を算出した。その結果、実施例1及び2ではセミダルの単独糸と遜色ない良好な発色性を示した。これに対して白色系微粒子を含有した比較例1では淡色となり明度L*値が高くなった。これは繊維中に粒径0.5μmの微粒子を9質量%と多量に含有している分染まりにくくなり発色性が悪くなったと考えられる。以上から本発明の複合繊維は、発色性においても従来の白色系微粒子を用いた比較例3の透撮防止用繊維を上回っていた。
また実施例4、5、比較例4から得られた布帛を用いて、蓄熱保温性を評価した結果を、図5に示す。
比較例4から得られた布帛と比べ、六ホウ化ランタンを含有した海島繊維は蓄熱保温性に優れていた。
比較例4から得られた布帛と比べ、六ホウ化ランタンを含有した海島繊維は蓄熱保温性に優れていた。
A 海部
B 島部
B 島部
Claims (4)
- 六ホウ化物を含有し、繊維断面が海島構造を有する複合繊維。
- 海成分の質量比率が繊維全体の25〜80%であり、海成分が六ホウ化物を含有する請求項1記載の複合繊維。
- 六ホウ化物が六ホウ化ランタンである請求項1または2に記載の複合繊維。
- 請求項1〜3いずれか一項に記載の複合繊維を用いた布帛。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015039659A JP2016160547A (ja) | 2015-02-27 | 2015-02-27 | 複合繊維及びそれからなる布帛 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015039659A JP2016160547A (ja) | 2015-02-27 | 2015-02-27 | 複合繊維及びそれからなる布帛 |
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2015
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