JP2016160496A - 連続熱処理ラインの制御方法および連続熱処理ライン - Google Patents

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【課題】非定常部における温度外れを防止し、生産能率を向上させる。【解決手段】この連続熱処理ラインの制御方法は、非定常部の前後にある定常部の熱処理の目標温度、非定常部における温度変動量および最大中央速度とから、仮に最大中央速度に設定した場合の非定常部の熱処理設備温度を求め、熱処理設備温度とした場合の非定常部の温度変動量が予め設定された閾値以内となり、かつ、非定常部における中央速度が最大中央速度以下となるように、収束計算により、非定常部での中央速度操作量および熱処理設備温度を求め、非定常部での品質を確保するように、中央速度および熱処理温度を設定する。【選択図】図4

Description

本発明は、連続熱処理ラインの制御方法および連続熱処理ラインに関し、特に、連続処理ラインの中央速度および熱処理設備温度の設定方法に関する。
従来より、鋼種や寸法の異なる金属帯が順次溶接された材料が供給される熱処理設備を有する連続熱処理ラインの金属帯の速度や、熱処理設備温度の設定方法が種々提案されている。
特許文献1には、「入出側にルーパを持ち、これらのルーパ間に加熱炉、冷却炉等の焼鈍設備を直列配置した連続焼鈍ラインにおいて、品種、寸法の異なる金属帯がこれらのルーパ間を移送する時のライン速度を制御する中央速度制御の際に、入側ルーパ容量から受ける入側ルーパ制約速度と、炉負荷能力、均熱時間、過時効処理時間等から受ける中央制約速度と、出側ルーパ容量から受ける出側ルーパ制約速度と、モータ容量等の設備上の最高速度や最小速度、及びオペレータの設定に係る上下限速度から受ける共通制約速度と、これらすべての速度を満たすための速度変更タイミングとを予測し、夫々の制約速度が付加される制約範囲に前記金属帯の先端が到達してから尾端が通過するまでの間、上記の全制約速度を満足する最大速度に達するよう、前記中央速度の速度変更を行うことを特徴とする連続焼鈍ラインの中央速度制御方法」が開示されている。
特許文献2には、「加熱炉を含む複数の熱処理炉からなる、金属ストリップの連続熱処理設備での通板の中央速度を制御するための速度制御方法であって、前記連続熱処理設備の各熱処理炉での設備能力、および、前記金属ストリップの板幅と板厚を含む製造仕様を含む制約条件に基づいて、各熱処理炉の数式モデルを用いて各熱処理炉の理論制約速度を算出し、前記各熱処理炉の理論制約速度の最低速度を求めることにより、前記金属ストリップが現在から所定距離だけ進行する間の制約速度スケジュールであるネック速度スケジュールを作成するネック速度スケジュール作成手順と、前記ネック速度スケジュール作成手順により作成されたネック速度スケジュールをベースにして、予め用意した複数パターンの速度変更タイミング及び速度変更レートに基づいて速度スケジュールを作成し、それぞれの速度スケジュールについて前記連続熱処理設備に含まれる各熱処理炉を模擬したシミュレータにより材料温度を予測するシミュレーション手順と、前記シミュレーション手順により得られた材料温度および目標材料温度並びに速度変更レートを要素として含む評価関数を使用して、速度変更タイミング及び速度変更レートを決定する中央速度探索手順とを実行することを特徴とする連続熱処理設備の速度制御方法」が開示されている。
特許文献3には、「板厚、板幅或いは加熱炉の出側での目標出側材料温度が異なる鋼帯を、加熱炉に連続的に通板して連続焼鈍を行うに際し、加熱炉の設定炉温値及び通板速度を制御することにより加熱炉の出側材料温度を制御する連続焼鈍炉の材料温度制御方法において、炉内の通板及び鋼帯の焼鈍が安定して行われる定常状態の通板速度を目標通板速度とし、この目標通板速度で通板したときに加熱炉の出側材料温度が前記目標出側材料温度になる設定炉温値を、所定の炉内モデル式に従って決定し、この設定炉温値になるように炉温を制御した結果の実績炉温を検出し、その実績炉温で通板したときに前記加熱炉出側材料温度を目標出側材料温度に対して所定の範囲内に制御するための修正通板速度を、前記炉内モデル式に従って決定し、この修正通板速度になるように通板速度を制御することを特徴とする連続焼鈍炉の材料温度制御方法」が開示されている。
特許文献4には、「連続する複数の被焼鈍材のそれぞれに、所定間隔ごとに設定変更点を設定する設定変更点設定ステップと、前記設定変更点ごとに、前記被焼鈍材における入側制約炉速、中央制約炉速、および出側制約炉速を比較して、最も低い炉速を初期最適炉速として設定する初期炉速設定ステップと、前記設定変更点ごとの前記初期最適炉速、および前記被焼鈍材ごとの諸元に基づく材料温度上限値から、伝熱モデルによって炉温設定上限値を算出する炉温上限算出ステップと、前記設定変更点ごとの前記初期最適炉速、および前記被焼鈍材の諸元に基づく材料温度下限値から、前記伝熱モデルによって炉温設定下限値を算出する炉温下限算出ステップと、前記設定変更点ごとに、前記炉温設定上限値と前記炉温設定下限値との間の炉温を、炉温目標値として設定する炉温設定ステップと、を含むことを特徴とする連続焼鈍ラインの制御方法」が開示されている。
特許第2910506号公報 特許第4833614号公報 特許第2809925号公報 特開2013−100578号公報
しかしながら、特許文献1〜4の方法は、直火炉のような応答性の良い熱処理設備に適用した場合には、金属帯の溶接部である非定常部において、材料温度が急変することがあり、非定常部において温度外れが生じ、この温度外れに起因して生産能率が低下する問題がある。
本発明は、このような問題に対してなされたものであり、非定常部における温度外れを防止するように、中央速度および熱処理設備温度を設定することにより、生産能率を向上させることを目的とする。
本発明は、上記のような問題点についてなされたものであり、以下に示すことを特徴としている。
[1] 入出側にルーパを有し、ルーパ間に加熱帯、冷却帯等の熱処理設備を有し、板厚、板幅および熱処理の目標温度の少なくとも1つが異なる金属帯が順次溶接された材料を、熱処理設備により連続的に熱処理する連続熱処理ラインの制御方法であって、
金属帯の溶接部前後の材料諸元に基づいて、溶接部と溶接部の前後からなる非定常部で設定可能な最大中央速度を求め、
非定常部の前後にある定常部の熱処理の目標温度、非定常部における温度変動量および最大中央速度とから、仮に最大中央速度に設定した場合の非定常部の熱処理設備温度を求め、
求められた熱処理設備温度とした場合の非定常部の温度変動量が予め設定された閾値以内となり、かつ、非定常部における中央速度が最大中央速度以下となるように、収束計算により、非定常部での中央速度操作量および熱処理設備温度を求め、
非定常部での中央速度操作量および熱処理設備温度と、入出側の各ルーパ容量や炉負荷能力等の設備能力、あるいは熱処理時間等の定常部の品質確保に基づいて、中央速度制約スケジュールおよび熱処理設備温度スケジュールを算出し、
中央速度制約スケジュールおよび熱処理設備温度スケジュールに従って、中央速度および熱処理設備温度を設定する連続熱処理ラインの制御方法。
[2] 温度変動量と中央速度操作量の算出に、学習計算を用いる[1]に記載の連続熱処理ラインの制御方法。
[3] 中央速度および熱処理設備温度の設定にあたり、過去の操業実績に基づいたデータベース情報を参照した定数パラメータを用い、当該定数パラメータの最適値をリアルタイムで逐次算出する[1]または[2]に記載の連続熱処理ラインの制御方法。
[4] [1]乃至[3]のいずれかに記載の連続熱処理ラインの制御方法を行う制御装置を備えた連続熱処理ライン。
本発明によれば、非定常部における温度外れを防止するように、中央速度および熱処理設備温度を設定することにより、生産能率を向上させることができる。
本発明に係る連続熱処理ラインの制御方法が適用される連続熱処理ラインの一例を示す図である。 連続熱処理ラインに供給される材料の非定常部と定常部との関係を示す図である。 非定常部における温度変動量を示す図である。 本発明に係る連続熱処理ラインの制御方法を示すフロー図である。 各種定数パラメータの設定方法を示すフロー図である。
以下、添付した図面を参照し、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る連続熱処理ラインの制御方法が適用される連続熱処理ラインの一例を示す図である。
連続熱処理ラインは、払い出し設備1、溶接機2、入側ルーパ3、熱処理設備4、出側ルーパ5、切断機6および巻き取り設備7を有している。
払い出し設備1は、2台のペイオフリールを有し、交互にコイルを巻き戻して金属帯を払い出す。溶接機2は、払い出し設備1から払い出された先行金属帯と後行金属帯とを順次溶接する。溶接機2では、板厚、板幅あるいは熱処理の目標温度の少なくとも1つが異なる先行金属帯と後行金属帯が順次溶接されることがある。
先行金属帯と後行金属帯が順次溶接された連続的な材料は、入側ルーパ3を通って、熱処理設備4に供給される。熱処理設備4は、加熱帯、冷却帯等を有しており、供給された材料が所定の温度となるように熱処理を行う。熱処理設備4を出た材料は、出側ルーパ5を通って、切断機6により所定の箇所で切断され、巻き取り設備7の2台のテンションリールにより交互に巻き取られる。
本発明は、このように構成された連続処理ラインにおいて、熱処理設備4のライン速度(以下、中央速度という)と、熱処理設備4の熱処理の温度(以下、熱処理設備温度という)を設定する方法に関する。なお、この設定方法は、連続処理ラインに設けられた計算処理装置が所定のプログラムを実行することにより行われる。
本発明の原理を熱処理設備4の均熱帯を例に説明する。図2に示すように、金属帯の厚さ、幅、材質および均熱帯の目標温度のうち少なくとも1つが異なる先行金属帯Aと後行金属帯Bのつなぎ目を、非定常部とする。また、それ以外の部分を定常部とする。非定常部は、溶接部と溶接部前後からなり、定常部と厚さ、幅、材質が異なる部分である。
図3(a)は、先行材である板厚の薄い金属帯Aと、後行材である板厚の厚い金属帯Bが接合された場合に、材料温度を一定となるように制御した場合の材料温度を示している。金属帯Aから金属帯Bとなる部分では、材料温度が急に減少し、その後次第に、材料温度が上昇して一定となる。
図3(b)は、先行材である板厚の厚い金属帯Aと、後行材である板厚の薄い金属帯Bが接合された場合に、材料温度が一定となるように制御した場合の材料温度の時間推移を示している。金属帯Aから金属帯Bとなる部分では、材料温度が急に上昇し、その後次第に、材料温度が低下して一定となる。
図3(a)および(b)に示すように、板厚の異なる金属帯Aと金属帯Bの溶接部(非定常部)では、材料温度が急激に変動し、溶接部の金属帯Aまたは金属帯Bの均熱帯における材料の目標温度範囲を外れ、これに起因して生産能率が低下することがある。なお、このような温度外れは、板厚変更だけでなく、板幅や均熱帯の目標温度の異なる金属帯が溶接された場合も同様に発生する。以上は、均熱帯を例として説明したが、予熱炉、加熱炉、冷却炉等でも同様である。
このような問題に対し、本発明では、非定常部の材料品質を確保するように、連続処理ラインの中央速度と熱処理設備温度を制御するように構成している。非定常部の材料品質を確保することで、非定常部での温度外れを防止し、生産能率を向上させることができる。
具体的には、図3(a)および(b)に示す、非定常部における温度変動量ΔTが、予め設定された閾値以内となるように、連続処理ラインの中央速度と熱処理設備温度を制御する。なお、非定常部における温度変動量ΔTは、(1)式に示す物理モデルで示すことができる。
Figure 2016160496
図4は、本発明に係る連続熱処理ラインの制御方法を示すフロー図である。
製品を作りこむための品質上・設備上の操業条件に関する情報を取得する(ステップS1)。例えば、熱処理時間、熱処理の目標温度、ルーパ容量などの情報を取得する。
非定常部の材料諸元(板厚、板幅、および鋼種の組合せ)に基づき、非定常部で設定可能な最大中央速度を算出する(ステップS2)。最大中央速度は、設備制約・品質制約を満足するように求める。それぞれの条件を数式で表して、全てをみたす最大速度として算出する。最大中央速度は、テーブル値あるいは物理モデルから、求めることができる。
ステップS3では、非定常部の中央速度操作量ΔVと熱処理設備温度θを算出する。まず、非定常部の前後にある定常部の熱処理の目標温度、非定常部における温度変動量ΔTおよび最大中央速度とから、仮に最大中央速度に設定した場合の非定常部の熱処理設備温度θを求める。
非定常部の熱処理設備温度θは、(2)式に示す物理モデルを用いて求めることができる。なお、物理モデルは、これに限らず、種々のものを使用することができる。
Figure 2016160496
また中央速度操作量ΔVは、(3)式に示す物理モデルを用いて求めることができる。なお、物理モデルは、これに限らず、種々のものを使用することができる。
Figure 2016160496
そして、ステップS4とステップS5を満たすように、ステップS3〜ステップS5を繰り返し、収束計算を行うことで、非定常部の中央速度操作量ΔVと熱処理設備温度θを算出する。
ステップS4では、ステップS3で算出した熱処理設備温度θとした場合の非定常部における温度変動量ΔTが予め設定した閾値以内となるか判定する。温度変動量ΔTが予め設定された閾値以内でない場合には(N)、ステップS3に戻り、非定常部の中央速度操作量ΔVと熱処理設備温度θを算出する。温度変動量ΔTが予め設定された閾値以内であれば(Y)、ステップS5に進む。
ステップS5では、ステップS3で算出した中央速度操作量ΔVとした場合の非定常部における中央速度が最大中央速度以下となるか判定する。非定常部における中央速度の設定値が最大中央速度以下でない場合には(N)、ステップS3に戻り、非定常部の中央速度操作量ΔVと熱処理設備温度θを算出する。非定常部における中央速度が最大中央速度以下である場合には(Y)、ステップS6に進む。
ステップS1で取得した、入出側の各ルーパ容量や炉負荷能力等の設備能力、あるいは熱処理時間等の定常部の品質確保するための操業条件と、ステップS3で求められた非定常部での中央速度操作量ΔVを満たす条件をすべて満たす中央速度の制約条件を、将来にわたって算出することで中央速度制約スケジュールを算出する(ステップS6)。
さらに中央速度制約スケジュールと、ステップS3で求められた非定常部での熱処理設備温度θと、材料諸元等から将来にわたる熱処理設備温度スケジュールを算出する(ステップS7)。
中央速度制約スケジュールおよび熱処理設備温度スケジュールに従って中央速度(操作量)および熱処理設備温度を設定する(ステップS8)。例えば、中央速度制約スケジュールを満たす中で、中央速度が最大となるように、中央速度を設定すればよい。
なお、温度変動量と中央速度操作量の算出に、学習計算を用いてもよい。
このように、本発明に係る連続熱処理ラインの制御方法では、非定常部における材料温度を保証した上で、中央速度および熱処理設備温度の設定を行う。これにより、非定常部における品質が保証され、非定常部における材料温度外れを防止でき、材料温度外れに起因する生産能率低下を防ぐことが出来る。
なお、本発明では、中央速度および熱処理設備温度の設定を算出するために用いられる各種定数パラメータを、過去の操業実績データに基づいて設定することができる。具体的には、図5に示すように、今回熱処理を実施する生産条件より、金属帯の緒言および熱処理の目標温度が類似している操業実績例を過去の操業実績データから検索、抽出し(ステップS10)、検索した事例から今回の生産条件との類似度などを元に、今回予測される各定数パラメータ(K1j、K2j)の推定値を、局所重回帰などを用いて計算すればよい。
これにより、環境の変化に追従した、現在値として最適な定数パラメータが求解可能となり、これを用いた速度スケジュール計算により、より目標温度外れ等による品質トラブルを抑制でき、高効率なライン生産性を維持できるようになる。
なお、上述では、本発明を連続熱処理ラインの制御方法として説明したが、本発明はこれに限れられるものではなく、上述の連続熱処理ラインの制御方法を行う制御装置を備えた連続熱処理ラインとして実施してもよい。
1 払い出し設備
2 溶接機
3 入側ルーパ
4 熱処理設備
5 出側ルーパ
6 切断機
7 巻き取り設備

Claims (4)

  1. 入出側にルーパを有し、ルーパ間に加熱帯、冷却帯等の熱処理設備を有し、板厚、板幅および熱処理の目標温度の少なくとも1つが異なる金属帯が順次溶接された材料を、熱処理設備により連続的に熱処理する連続熱処理ラインの制御方法であって、
    金属帯の溶接部前後の材料諸元に基づいて、溶接部と溶接部の前後からなる非定常部で設定可能な最大中央速度を求め、
    非定常部の前後にある定常部の熱処理の目標温度、非定常部における温度変動量および最大中央速度とから、仮に最大中央速度に設定した場合の非定常部の熱処理設備温度を求め、
    求められた熱処理設備温度とした場合の非定常部の温度変動量が予め設定された閾値以内となり、かつ、非定常部における中央速度が最大中央速度以下となるように、収束計算により、非定常部での中央速度操作量および熱処理設備温度を求め、
    非定常部での中央速度操作量および熱処理設備温度と、入出側の各ルーパ容量や炉負荷能力等の設備能力、あるいは熱処理時間等の定常部の品質確保に基づいて、中央速度制約スケジュールおよび熱処理設備温度スケジュールを算出し、
    中央速度制約スケジュールおよび熱処理設備温度スケジュールに従って、中央速度および熱処理設備温度を設定する連続熱処理ラインの制御方法。
  2. 温度変動量と中央速度操作量の算出に、学習計算を用いる請求項1に記載の連続熱処理ラインの制御方法。
  3. 中央速度および熱処理設備温度の設定にあたり、過去の操業実績に基づいたデータベース情報を参照した定数パラメータを用い、当該定数パラメータの最適値をリアルタイムで逐次算出する請求項1または2に記載の連続熱処理ラインの制御方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の連続熱処理ラインの制御方法を行う制御装置を備えた連続熱処理ライン。
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