JP6075301B2 - 冷却制御装置および冷却制御方法 - Google Patents

冷却制御装置および冷却制御方法 Download PDF

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本発明は、鋼帯等の鋼板に対して酸洗処理前に行われる冷却処理を制御する冷却制御装置および冷却制御方法に関するものである。
従来、鋼帯を焼鈍処理した後、この焼鈍処理後の鋼帯を冷間圧延等の次工程に供する前に、鋼帯の酸洗処理を行う焼鈍酸洗ラインが知られている。例えば図9に示すように、従来の焼鈍酸洗ライン101には、鋼帯115の搬送経路に沿って、加熱炉102と、冷却装置103と、酸洗装置104とが設置されている。従来の焼鈍酸洗ライン101において、鋼帯115は、加熱炉102側から酸洗設備104側に向かう搬送方向(図9の太線矢印参照)に搬送されつつ、まず、加熱炉102によって焼鈍処理される。つぎに、この焼鈍処理後の鋼帯115は、冷却装置103によって冷却(水冷)され、その後、酸洗装置104によって酸洗処理される。酸洗装置104は、鋼帯115の搬送方向に連続して並ぶ複数の酸洗槽105を備えている。酸洗装置104は、連続的に搬送されている鋼帯115を各酸洗槽105内の酸洗液中に順次通過させ、これにより、鋼帯115からスケールを除去する酸洗処理を行う。
また、上述した鋼帯115の酸洗処理において必要な酸洗時間は、鋼帯115を浸す各酸洗槽105内の酸洗液の温度等によって大きく影響される。一般に、従来の焼鈍酸洗ライン101において、酸洗装置104の各酸洗槽105内には、図9に示すように、熱交換器106および温度計107が設けられている。各酸洗槽105内の酸洗液の温度は、温度計107を用いて監視されつつ、熱交換器106の作用によって所定の温度、例えば70[℃]以上、100[℃]以下の温度に制御される。このような酸洗液の温度制御によって、鋼帯115の必要な酸洗時間の確保が図られる。しかし、各酸洗槽105内の酸洗液の温度は、たとえ前述のように制御されたとしても、酸洗装置104内に順次搬送される鋼帯115自体の温度の影響を受けてしまう。すなわち、酸洗装置104の入側における鋼帯115の温度が安定しなければ、各酸洗槽105内の酸洗液の温度は安定し難い。このことは、鋼帯115の酸洗処理に必要な酸洗時間が不安定となる事態を招来する。これに起因して、酸洗装置104による鋼帯115の脱スケール能力(酸洗処理能力)に、ばらつきが生じる。したがって、酸洗装置104の入側における鋼帯115の温度を安定化することは、酸洗処理によって鋼帯115からスケールを安定して除去するという観点から、極めて重要である。
従来の焼鈍酸洗ライン101では、特に図9には図示しないが、酸洗装置104の入側(最前段の酸洗槽105の入側)に放射温度計が設置され、この放射温度計によって測定した鋼帯115の温度が、酸洗装置104の前段に位置する冷却装置103の冷却アクチュエータにフィードバックされる。これにより、冷却装置103の出側における鋼帯115の温度、すなわち、冷却装置103による冷却処理後の鋼帯115の温度がフィードバック制御される。このフィードバック制御を通して、酸洗装置104の入側における鋼帯115の温度の安定化が図られる。
一方、酸洗装置入側における鋼帯温度の制御に関する従来技術として、例えば、鋼帯の熱処理における冷却過程の最終段と酸洗槽との間に、鋼帯温度を調整するウォータークエンチ槽が配設されたものがある(特許文献1参照)。また、ブライドルロール帯と酸洗槽との間に板温度計および誘導加熱装置が設けられ、板温度計によって測定された薄鋼板温度をもとに、誘導加熱装置による加熱後の薄鋼板温度を一定とするフィードバック制御を行うものがある(特許文献2参照)。
実開平1−87162号公報 特開平4−297589号公報
しかしながら、上述した従来技術では、温度制御の応答が遅いため、酸洗装置入側において測定した鋼帯温度をもとに、この酸洗装置の前段の冷却装置による鋼帯の冷却処理を制御(フィードバック制御)しても、この冷却装置による冷却処理後の鋼帯温度のばらつきを抑制することは困難である。特に、鋼帯の熱負荷に変動が生じた場合、上記のフィードバック制御を行った結果、この冷却装置による冷却処理後の鋼帯温度のばらつきを却って増大させる可能性がある。また、酸洗装置入側(冷却装置出側)においては、水冷による鋼帯表面の水濡れ等に起因して、鋼帯温度を放射温度計によって正確に測定することが困難である。このため、従来、焼鈍酸洗ラインの実操業においては、作業者の経験によって冷却装置(例えば冷却水の流量)が制御される場合が多い。この結果、冷却処理後の鋼帯温度は、大きくばらついてしまう。以上のような冷却処理後の鋼帯温度のばらつきは、酸洗装置入側における鋼帯温度の不安定化に繋がり、酸洗装置による鋼帯の脱スケール能力のばらつきを引き起こす原因となる。
一方、上述した特許文献1に記載の従来技術では、ウォータークエンチ槽を設置し、このウォータークエンチ槽の温度制御を通して鋼帯温度を制御しなければならない。このため、設備コストが嵩むのみならず、鋼帯温度の制御が煩雑になる。また、上述した特許文献2に記載の従来技術では、酸洗処理前の鋼帯を誘導加熱装置によって加熱しなければならない。このため、誘導加熱装置に要する設備コストが多大となるのみならず、一旦冷却した鋼帯を誘導加熱装置によって再び加熱することになるため、誘導加熱装置による加熱前の鋼帯の冷却分に相当する熱量が無駄になってしまう。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、鋼帯等の鋼板に対して酸洗処理前に行われる冷却処理を簡易な構成によって制御できるとともに、この冷却処理による鋼板の温度を応答よく且つ高精度に制御して、酸洗処理前の鋼板の温度を、ばらつきを抑制して安定化することが可能な冷却制御装置および冷却制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる冷却制御装置は、鋼板を焼鈍処理する加熱炉と前記鋼板を酸洗処理する酸洗装置との間に前記鋼板の搬送経路に沿って並ぶ複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置と該最後段の冷却装置の前段の冷却装置との間に配置され、前記前段の冷却装置によって冷却された前記鋼板の板温を測定する板温測定部と、前記加熱炉と前記複数の冷却装置と前記酸洗装置とを含む焼鈍酸洗ラインの操業を管理するとともに、前記最後段の冷却装置が前記鋼板を冷却する際に前記鋼板に噴射する冷却水の冷却水流量設定値を、測定された前記板温と前記最後段の冷却装置の出側における前記鋼板の板温目標値と前記焼鈍酸洗ラインの操業情報とをもとに導出し、前記冷却水の流量としての前記冷却水流量設定値の合理性を確認し、前記鋼板のうちの前記板温に対応する被測温箇所における前記冷却水の流量として、合理性確認後の前記冷却水流量設定値を予め設定するプロセスコンピュータと、前記被測温箇所が前記最後段の冷却装置に到達するタイミングに、前記プロセスコンピュータによって予め設定された前記冷却水流量設定値に応じた流量の冷却水を前記被測温箇所に噴射して前記鋼板を冷却するように前記最後段の冷却装置を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御装置は、上記の発明において、前記プロセスコンピュータは、前記焼鈍酸洗ラインの操業情報をもとに前記鋼板の搬送速度を設定し、前記板温測定部による測定結果をもとに前記前段の冷却装置の出側における前記鋼板の前記板温を設定し、前記焼鈍酸洗ラインの操業情報の中から前記鋼板の板厚と板幅と前記板温目標値とを取得し、設定した前記搬送速度および前記板温と、取得した前記板厚、前記板幅、および前記板温目標値とを用いて、前記最後段の冷却装置の前記冷却水流量設定値を算出することを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御装置は、上記の発明において、前記プロセスコンピュータは、前記冷却水流量設定値が前記最後段の冷却装置に規定される冷却水の流量上限値を超過するか否かを判断する上限判断処理と、前記冷却水流量設定値が負の値であるか否かを判断する正負判断処理と、測定された前記板温が前記鋼板の酸洗処理に必要な最低限の前記鋼板の必要最低板温未満であるか否かを判断する板温判断処理とを実行して、前記冷却水流量設定値の合理性を確認することを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御装置は、上記の発明において、前記プロセスコンピュータは、前記上限判断処理の結果、前記冷却水流量設定値が前記流量上限値を超過する場合、前記冷却水流量設定値を前記流量上限値と同値に変更することを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御装置は、上記の発明において、前記プロセスコンピュータは、前記正負判断処理の結果、前記冷却水流量設定値が負の値である場合、前記冷却水流量設定値を零値に変更することを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御装置は、上記の発明において、前記プロセスコンピュータは、前記板温判断処理の結果、測定された前記板温が前記必要最低板温未満である場合、前記冷却水流量設定値を零値に変更することを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御装置は、上記の発明において、前記プロセスコンピュータは、前記被測温箇所が前記最後段の冷却装置に到達するまでに要する到達所要時間を算出し、前記到達所要時間が経過するタイミングの前記冷却水の流量として、合理性確認後の前記冷却水流量設定値を設定することを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御方法は、鋼板を焼鈍処理する加熱炉と、焼鈍処理後の前記鋼板を冷却する複数の冷却装置と、冷却処理後の前記鋼板を酸洗処理する酸洗装置とを含む焼鈍酸洗ラインの操業を管理するとともに、前記加熱炉と前記酸洗装置との間に前記鋼板の搬送経路に沿って並ぶ前記複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置による前記鋼板の冷却処理を制御する冷却制御方法において、前記最後段の冷却装置が前記鋼板を冷却する際に前記鋼板に噴射する冷却水の冷却水流量設定値を、前記複数の冷却装置のうちの前記最後段の冷却装置の前段に位置する前段の冷却装置の出側において板温測定部を用い測定した前記鋼板の板温と、前記最後段の冷却装置の出側における前記鋼板の板温目標値と、前記焼鈍酸洗ラインの操業情報とをもとに導出する設定値導出ステップと、前記冷却水の流量としての前記冷却水流量設定値の合理性を確認する合理性確認ステップと、前記鋼板のうちの前記板温に対応する被測温箇所における前記冷却水の流量として、合理性確認後の前記冷却水流量設定値を予め設定するプリセットステップと、前記被測温箇所が前記最後段の冷却装置に到達するタイミングに、前記プリセットステップによって予め設定された前記冷却水流量設定値に応じた流量の冷却水を前記被測温箇所に噴射して前記鋼板を冷却するように前記最後段の冷却装置を制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御方法は、上記の発明において、前記設定値導出ステップは、前記焼鈍酸洗ラインの操業情報をもとに前記鋼板の搬送速度を設定する速度設定ステップと、前記板温測定部による測定結果をもとに、前記前段の冷却装置の出側における前記鋼板の前記板温を設定する板温設定ステップと、前記焼鈍酸洗ラインの操業情報の中から前記鋼板の板厚と板幅と前記板温目標値とを取得するデータ取得ステップと、設定した前記搬送速度および前記板温と、取得した前記板厚、前記板幅、および前記板温目標値とを用いて、前記最後段の冷却装置の前記冷却水流量設定値を算出する設定値算出ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御方法は、上記の発明において、前記合理性確認ステップは、前記冷却水流量設定値が前記最後段の冷却装置に規定される冷却水の流量上限値を超過するか否かを判断する上限判断ステップと、前記冷却水流量設定値が負の値であるか否かを判断する正負判断ステップと、測定された前記板温が前記鋼板の酸洗処理に必要な最低限の前記鋼板の必要最低板温未満であるか否かを判断する板温判断ステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御方法は、上記の発明において、前記上限判断ステップの結果、前記冷却水流量設定値が前記流量上限値を超過する場合、前記冷却水流量設定値を前記流量上限値と同値に変更する設定値上限化ステップをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御方法は、上記の発明において、前記正負判断ステップの結果、前記冷却水流量設定値が負の値である場合、前記冷却水流量設定値を零値に変更する設定値零化ステップをさらに含むことを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御方法は、上記の発明において、前記設定値零化ステップは、前記板温判断ステップの結果、測定された前記板温が前記必要最低板温未満である場合、前記冷却水流量設定値を零値に変更することを特徴とする。
また、本発明にかかる冷却制御方法は、上記の発明において、前記プリセットステップは、前記被測温箇所が前記最後段の冷却装置に到達するまでに要する到達所要時間を算出する時間算出ステップと、前記到達所要時間が経過するタイミングの前記冷却水の流量として、合理性確認後の前記冷却水流量設定値を設定する冷却水流量設定ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、鋼板に対して酸洗処理前に行われる冷却処理を簡易な構成によって制御できるとともに、この冷却処理による鋼板の温度を応答よく且つ高精度に制御して、酸洗処理前の鋼板の温度を、ばらつきを抑制して安定化することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる冷却制御装置の一構成例を示す図である。 図2は、本発明の実施の形態における板温データ群の一例を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態における補正係数テーブルの一例を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態にかかる冷却制御方法の一例を示すフローチャートである。 図5は、本実施の形態にかかる冷却制御方法において実行する冷却水流量設定値の導出処理の一例を示すフローチャートである。 図6は、本実施の形態にかかる冷却制御方法において実行する冷却水流量設定値の合理性確認処理の一例を示すフローチャートである。 図7は、本実施の形態にかかる冷却制御方法において実行する冷却水流量設定値のプリセット処理の一例を示すフローチャートである。 図8は、本実施例における第2冷却装置出側の板温のばらつきと比較例における第2冷却装置出側の板温のばらつきとの比較結果を示す図である。 図9は、従来の焼鈍酸洗ラインの構成を示す図である。
以下に、添付図面を参照して、本発明にかかる冷却制御装置および冷却制御方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、各図面において同一構成部分には同一符号が付されている。
(焼鈍酸洗ライン)
まず、本発明の実施の形態にかかる冷却制御装置を適用した焼鈍酸洗ラインについて説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかる冷却制御装置の一構成例を示す図である。なお、図1には、本実施の形態にかかる冷却制御装置10を適用した焼鈍酸洗ライン1の一構成例が図示されている。
図1に示すように、本実施の形態における焼鈍酸洗ライン1は、処理対象の一例である鋼帯6の焼鈍処理から冷却処理を経て酸洗処理を行う連続処理ラインである。この焼鈍酸洗ライン1には、鋼帯6の搬送経路に沿って、加熱炉2と、第1冷却装置3と、第2冷却装置4と、酸洗装置5とが鋼帯6の搬送方向(図1の太線矢印参照)の順に並んで配置されている。また、焼鈍酸洗ライン1には、第2冷却装置4による鋼帯6の冷却処理を制御する冷却制御装置10が設置されている。なお、特に図1には図示しないが、焼鈍酸洗ライン1には、加熱炉2側から第1冷却装置3および第2冷却装置4をこの順に経由して酸洗装置5側に向かい鋼帯6を搬送する搬送ロール等の搬送装置が設置されている。焼鈍酸洗ライン1における鋼帯6の搬送経路は、この搬送装置によって形成される。
加熱炉2は、焼鈍酸洗ライン1の前工程またはペイオフリール等の払出装置(図示せず)から搬送された鋼帯6を順次加熱し、これにより、搬送中の鋼帯6を連続的に焼鈍処理する。焼鈍処理後の鋼帯6は、加熱炉2から送出され、第1冷却装置3に向かって搬送される。
第1冷却装置3は、加熱炉2と酸洗装置5との間に鋼帯6の搬送経路に沿って並ぶ複数の冷却装置のうちの一つであり、これら複数の冷却装置における最後段の冷却装置(第2冷却装置4)の前段に位置する。焼鈍酸洗ライン1においては、図1に示すように、第1冷却装置3は、加熱炉2よりも鋼帯6の搬送方向の上流側、詳細には、加熱炉2の直後の後段に配置される。第1冷却装置3は、スプレー等の水噴射機構を用いて構成され、冷却水の噴射によって鋼帯6を冷却する水冷機能を有する。第1冷却装置3は、加熱炉2による焼鈍処理後の鋼帯6を順次受け入れる。この焼鈍処理後の鋼帯6は、第1冷却装置3内を通過するように連続的に搬送される。第1冷却装置3は、このような搬送中の鋼帯6に冷却水を噴射し、これにより、この鋼帯6を連続的に冷却する。第1冷却装置3による冷却処理後の鋼帯6は、第1冷却装置3の出側に送出され、その後、第2冷却装置4に向かって搬送される。
第2冷却装置4は、加熱炉2と酸洗装置5との間に鋼帯6の搬送経路に沿って並ぶ複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置である。焼鈍酸洗ライン1においては、図1に示すように、第2冷却装置4は、上述した第1冷却装置3よりも鋼帯6の搬送方向の下流側、詳細には、第1冷却装置3の直後の後段に配置される。且つ、第2冷却装置4は、酸洗装置5の直前の前段に位置する。第2冷却装置4は、第1冷却装置3と同様にスプレー等の水噴射機構を用いて構成され、冷却水の噴射によって鋼帯6を冷却する水冷機能を有する。第2冷却装置4は、第1冷却装置3による冷却処理(以下、第1冷却処理と適宜いう)後の鋼帯6を順次受け入れる。この第1冷却処理後の鋼帯6は、第2冷却装置4内を通過するように連続的に搬送される。第2冷却装置4は、このような搬送中の鋼帯6に冷却水を噴射し、これにより、この鋼帯6を連続的に冷却する。第2冷却装置3による冷却処理(以下、第2冷却処理と適宜いう)後の鋼帯6は、第2冷却装置4の出側に送出され、その後、酸洗装置5に向かって搬送される。
酸洗装置5は、鋼帯6の酸洗処理を行うものである。具体的には、酸洗装置5は、鋼帯6の搬送方向に連続して並ぶ複数の酸洗槽(図示せず)等を用いて構成され、図1に示すように、第2冷却装置4の後段に配置される。また、酸洗装置5は、各酸洗槽内の酸洗液の温度を制御する温度制御機構(図示せず)を有する。酸洗装置5は、例えば、この温度制御機構によって、酸洗液の温度を監視しつつ各酸洗槽に蒸気を投入することにより、各酸洗槽内の酸洗液の温度を、鋼帯6の酸洗処理に好適な温度に制御する。このような酸洗装置5は、第2冷却処理後の鋼帯6を順次受け入れる。この第2冷却処理後の鋼帯6は、酸洗装置5の入側から出側に向かって連続的に搬送される。この際、酸洗装置5は、この搬送中の鋼帯6を各酸洗槽内の酸洗液中に順次通過させ、これにより、鋼帯6からスケールを除去する酸洗処理を連続的に行う。酸洗装置5による酸洗処理後の鋼帯6は、酸洗装置5の出側に送出され、その後、焼鈍酸洗ライン1の次工程のライン(例えば冷間圧延ライン等)に向かって搬送される。
鋼帯6は、焼鈍酸洗ライン1において各種処理(焼鈍処理、冷却処理、および酸洗処理)が施される鋼板の一例であり、複数の鋼板の先尾端同士を溶接等によって接合してなる。このような鋼帯6には、鋼板同士の溶接点、すなわち、鋼板の諸元が変化する境界箇所が、鋼帯6の長手方向に沿って1箇所以上存在する。この鋼帯6の溶接点の前後において変化する鋼板の諸元として、例えば、鋼帯6を構成する各鋼板の規格(鋼種、強度等)、厚さ、幅、長さ等が挙げられる。本実施の形態において、鋼帯6またはこれを構成する鋼板の厚さは板厚と総称し、これらの幅は板幅と総称する。なお、本発明において、鋼帯6を構成する鋼板の数は、特に問われない。
(冷却制御装置)
つぎに、図1を参照しつつ、本発明の実施の形態にかかる冷却制御装置の構成について説明する。図1に示すように、本実施の形態にかかる冷却制御装置10は、焼鈍酸洗ライン1における複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置、すなわち第2冷却装置4を制御するものであり、板温計11と、プロセスコンピュータ12と、入力部13,15と、記憶部14と、表示部16と、制御部17とを備える。また、このプロセスコンピュータ12には、焼鈍酸洗ライン1の操業情報18aを管理する管理データベース18が接続される。
板温計11は、第1冷却装置3の出側において鋼帯6の温度(以下、板温という)を測定する板温測定部として機能する。具体的には、図1に示すように、板温計11は、放射温度計等を用いて構成され、加熱炉2と酸洗装置5との間に鋼帯6の搬送経路に沿って並ぶ複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置(第2冷却装置4)とその前段の冷却装置(第1冷却装置3)との間に配置される。より具体的には、板温計11は、鋼帯6の搬送経路上のうちの第1冷却装置3の出側近傍に配置される。板温計11は、第1冷却装置3によって冷却された鋼帯6の板温を、第1冷却装置3の出側において所定の時間間隔毎に測定する。この板温計11による板温の測定時間の間隔は、板温計11に予め設定されてもよいし、プロセスコンピュータ12によって可変に指示されてもよい。板温計11は、上述したように第1冷却装置3の出側における鋼帯6の板温を測定する都度、得られた板温測定値をプロセスコンピュータ12に送信する。
プロセスコンピュータ12は、加熱炉2と第1冷却装置3と第2冷却装置4と酸洗装置5とを含む焼鈍酸洗ライン1の操業を管理するとともに、第2冷却装置4が鋼帯6を冷却する際に鋼帯6に噴射する冷却水の冷却水流量設定値を、第2冷却装置4の制御部17に対して指示する。具体的には、プロセスコンピュータ12は、ワークステーション等のような構成を有し、管理データベース18から取得した操業情報18aに基づいて、焼鈍酸洗ライン1の操業を管理する。この際、プロセスコンピュータ12は、例えば、鋼帯6の搬送速度(以下、ライン速度と適宜いう)、鋼帯6を構成する各鋼板の規格、板厚、板幅、長さ、第2冷却装置4の出側における鋼帯6の板温目標値等を管理する。また、プロセスコンピュータ12は、上述した冷却水流量設定値を導出する流量演算部12aと、導出した冷却水流量設定値の合理性を確認する合理性確認部12bと、冷却水流量設定値をプリセットする流量設定部12cとを有する。
流量演算部12aは、板温計11によって測定された鋼帯6の板温(第1冷却処理後の鋼帯6の板温)と、第2冷却装置4の出側における鋼帯6の板温目標値と、焼鈍酸洗ライン1の操業情報18aとをもとに、第2冷却装置4の冷却水流量設定値を導出する。この際、流量演算部12aは、焼鈍酸洗ライン1の操業情報18aをもとに、鋼帯6のライン速度の変更有無と、第2冷却装置4への鋼帯6における溶接点の到達状況とを判断する。流量演算部12aは、これらの判断結果に基づいて、鋼帯6のライン速度を設定する。また、流量演算部12aは、板温計11による鋼帯6の板温測定値をもとに、第1冷却装置3の出側における鋼帯6の板温を設定し、焼鈍酸洗ライン1の操業情報18aの中から、鋼帯6の板厚、板幅、および第2冷却装置4の出側における板温目標値を取得する。流量演算部12aは、上述したように設定した鋼帯6のライン速度および板温と、上述したように取得した鋼帯6の板厚、板幅、および板温目標値とを用いて、第2冷却装置4の冷却水流量設定値を算出する。本実施の形態において、この冷却水流量設定値Fsは、例えば、上述した鋼帯6のライン速度V、板温S、板厚Z、板幅W、および板温目標値Mと、補正係数a1〜a7とを用いて表される次式(1)により、算出可能である。

Fs=a1×V+a2×Z+a3×W+a4×(S−M)+a5×(S+273)
+a6×{1/(V+1)}+a7 ・・・(1)

なお、上式(1)に含まれる補正係数a1〜a7は、記憶部14内に格納されている補正係数テーブル14bの中からプロセスコンピュータ12によって読み込まれる。
合理性確認部12bは、第2冷却装置4が鋼帯6に噴射する冷却水の流量としての冷却水流量設定値Fsの合理性を確認する。この際、合理性確認部12bは、冷却水流量設定値Fsの上限判断処理および正負判断処理と、鋼帯6の板温Sの下限に関する板温判断処理とを実行する。ここで、上限判断処理は、冷却水流量設定値Fsが第2冷却装置4に規定される設備制約上の冷却水の流量上限値(以下、冷却水流量上限値と適宜いう)を超過するか否かを判断する処理である。正負判断処理は、冷却水流量設定値Fsが負の値であるか否かを判断する処理である。板温判断処理は、板温計11によって測定された鋼帯6の板温が酸洗装置5による鋼帯6の酸洗処理に必要な最低限の板温(以下、必要最低板温という)未満であるか否かを判断する処理である。合理性確認部12bは、これらの上限判断処理と正負判断処理と板温判断処理とを実行し、これにより、冷却水流量設定値Fsの合理性を確認する。このような合理性確認処理の結果、プロセスコンピュータ12は、第2冷却装置4が鋼帯6を冷却する際の冷却水流量として好適な冷却水流量設定値Fsを得る。例えば、プロセスコンピュータ12は、上限判断処理の結果、冷却水流量設定値Fsが第2冷却装置4の流量上限値を超過する場合、冷却水流量設定値Fsを、この流量上限値と同値に変更する。また、プロセスコンピュータ12は、正負判断処理の結果、冷却水流量設定値Fsが負の値である場合、冷却水流量設定値Fsを零値に変更する。あるいは、プロセスコンピュータ12は、板温判断処理の結果、板温計11による鋼帯6の板温が酸洗処理の必要最低板温未満である場合、冷却水流量設定値Fsを零値に変更する。
流量設定部12cは、鋼帯6のうちの板温に対応する被測温箇所6a(図1参照)への冷却水の流量として、上述した合理性確認後の冷却水流量設定値Fsを予め設定(プリセット)する。この際、流量設定部12cは、被測温箇所6aが第2冷却装置4に到達するまでに要する到達所要時間Tを算出する。ついで、流量設定部12cは、この到達所要時間Tが経過するタイミングでの第2冷却装置4による冷却水の流量として、合理性確認後の冷却水流量設定値Fsを設定する。プロセスコンピュータ12は、このようにプリセットした冷却水流量設定値Fsを、被測温箇所6aが第2冷却装置4に到達するタイミング、すなわち、到達所要時間Tが経過するタイミングに制御部17へ送信する。これにより、プロセスコンピュータ12は、制御部17に対し、鋼帯6のうちの被測温箇所6aに対する冷却水の流量を、合理性確認後の冷却水流量設定値Fsとするように指示する。なお、被測温箇所6aは、鋼帯6のうちの板温計11によって板温を測定された箇所である。このような被測温箇所6aには、板温計11によって所定の時間t毎に測定された板温測定値DS0〜DSn(n;零以上の整数)の各測定点が含まれる。
また、プロセスコンピュータ12には、図1に示すように、入力部13が接続されている。入力部13は、キーボードまたはマウス等の入力デバイスを用いて構成され、作業者の入力操作に応じて各種情報をプロセスコンピュータ12に入力する。例えば、入力部13は、第2冷却装置4に対する冷却水流量のフィードフォワード制御の実行を指示する実行指示情報、このフィードフォワード制御の完了を指示する完了指示情報等をプロセスコンピュータ12に入力する。
記憶部14は、プロセスコンピュータ12によって記憶指示された情報またはデータを記憶し、プロセスコンピュータ12によって読み出し指示された保存情報または保存データをプロセスコンピュータ12へ送信する。本実施の形態において、記憶部14は、板温データ群14aおよび補正係数テーブル14bを記憶し、管理する。
板温データ群14aは、図2に示すように、板温計11によって所定の時間t毎に測定された鋼帯6の板温測定値DS0〜DSnと、板温測定値DS0〜DSnの板温測定タイミングとが対応付けられたデータ群である。例えば、板温データ群14aにおいて、板温測定値DS0は現在の板温であり、その板温測定タイミングは現在である。板温測定値DS1は、板温測定値DS0の板温測定タイミング(=現在)から時間tが経過後の板温であり、その板温測定タイミングは、現在からt秒前である。板温測定値DS2は、板温測定値DS1の板温測定タイミングから時間tが経過後の板温であり、その板温測定タイミングは、現在から(2×t)秒前である。板温測定値DSnは、板温データ群14aのうちの最も過去に測定された板温であり、その板温測定タイミングは、現在から(n×t)秒前である。記憶部14は、プロセスコンピュータ12が板温計11から現在(最新)の板温測定値DS0を取得する都度、この板温測定値DS0をプロセスコンピュータ12から取得して板温データ群14aを最新のものに更新する。この際、記憶部14は、図2に示すように、現在からの板温測定タイミングの経過に対応して、板温データ群14a内の各板温測定値DS0〜DSnを過去側にシフトし、これにより、板温測定値DS0〜DSn-1を板温測定値DS1〜DSnに各々置換する。さらに、記憶部14は、新たに取得した最新の板温測定値DS0を、現在のデータとして板温データ群14a内に格納する。
補正係数テーブル14bは、図3に示すように、上述した冷却水流量設定値Fsの算出処理(式(1)参照)に用いられる補正係数a1〜a7と、板温目標値Mの範囲MBj(j;正の整数)とが対応付けられたデータテーブルである。記憶部14は、この補正係数テーブル14bにより、補正係数a1〜a7を、板温目標値Mの範囲MBj別に保持、管理する。記憶部14は、プロセスコンピュータ12によって指定された板温目標値Mの範囲MBjに対応する補正係数a1j〜a7jを、上述した式(1)における補正係数a1〜a7としてプロセスコンピュータ12に送信する。例えば、記憶部14は、範囲MB1に合った板温目標値Mと対応する補正係数の読み出し指示をプロセスコンピュータ12から受けた場合、補正係数テーブル14bのうちの補正係数a11〜a71をプロセスコンピュータ12に送信する。
制御部17は、プロセスコンピュータ12の指示に基づいて、第2冷却装置4による鋼帯6の冷却処理を制御する。具体的には、制御部17は、図1に示す鋼帯6の被測温箇所6aが第2冷却装置4に到達するタイミングに、プロセスコンピュータ12によって予め設定された冷却水流量設定値Fsに応じた流量の冷却水を被測温箇所6aに噴射して鋼帯6を冷却するように、第2冷却装置4を制御する。制御部17は、この第2冷却装置4の制御を通して、第2冷却処理後の鋼帯6の板温を、第2冷却装置4の出側における板温目標値Mに近づけるように制御する。
また、制御部17には、図1に示すように、入力部15および表示部16が接続されている。入力部15は、キーボードまたはマウス等の入力デバイスを用いて構成され、作業者の入力操作に応じて各種情報を制御部17に入力する。表示部16は、液晶等のディスプレーを用いて構成され、制御部17によって表示指示された情報、入力部15によって入力された情報等を表示する。例えば、表示部16は、プロセスコンピュータ12によって制御部17に指示された冷却水流量設定値Fs等の第2冷却装置4の制御に有用な情報を表示する。また、表示部16は、第2冷却装置4に対する冷却水流量のフィードフォワード制御のオンオフを選択するためのスイッチ状のアイコンを表示する。作業者が、入力部15を用い、このアイコンをクリックする操作を行うことにより、入力部15は、制御部17に対し、上記フィードフォワード制御の実行指示情報または完了指示情報を選択的に入力する。
管理データベース18は、焼鈍酸洗ライン1の操業に関する操業情報18aを保持し、管理する。操業情報18aは、焼鈍酸洗ライン1における鋼帯6の諸元および処理条件を含むものである。この操業情報18aに含まれる鋼帯6の諸元として、例えば、鋼帯6を構成する各鋼板の規格、板厚、板幅、長さ、重量等が挙げられる。また、鋼帯6の処理条件として、例えば、加熱炉2の焼鈍条件、第1冷却装置3および第2冷却装置4の各冷却条件(冷却水の流量等)、第1冷却装置3および第2冷却装置4の各出側における鋼帯6の板温目標値、酸洗装置5の酸洗液の酸濃度および温度、鋼帯6のライン速度等が挙げられる。プロセスコンピュータ12は、所定のタイミングに管理データベース18から操業情報18aを取得し、取得した操業情報18aに基づいて、鋼帯6の焼鈍処理、冷却処理、および酸洗処理等の焼鈍酸洗ライン1の操業を管理する。
(冷却制御方法)
つぎに、本発明の実施の形態にかかる冷却制御方法について説明する。図4は、本発明の実施の形態にかかる冷却制御方法の一例を示すフローチャートである。本実施の形態にかかる冷却制御方法では、図1に示した冷却制御装置10を用い、加熱炉2と第1冷却装置3と第2冷却装置4と酸洗装置5とを含む焼鈍酸洗ライン1の操業をプロセスコンピュータ12によって管理するとともに、加熱炉2と酸洗装置5との間に鋼帯6の搬送経路に沿って並ぶ複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置(第2冷却装置4)による鋼帯6の冷却処理を制御する。
すなわち、図4に示すように、本実施の形態にかかる冷却制御方法において、冷却制御装置10は、まず、第2冷却装置4に対する冷却水流量のフィードフォワード制御(以下、冷却水流量フィードフォワード制御と適宜略す)の実行指示有無を判断する(ステップS101)。ステップS101において、プロセスコンピュータ12は、入力部13によって実行指示情報が入力された場合、冷却水流量フィードフォワード制御を実行可能な状態になる。また、制御部17は、入力部15によって実行指示情報が入力された場合、冷却水流量フィードフォワード制御を実行可能な状態になる。プロセスコンピュータ12および制御部17の双方が冷却水流量フィードフォワード制御を実行可能な状態になった場合、プロセスコンピュータ12は、冷却水流量フィードフォワード制御の実行指示ありと判断する。一方、プロセスコンピュータ12または制御部17、あるいは、これら双方に冷却水流量フィードフォワード制御の実行指示情報が入力されていない場合、プロセスコンピュータ12は、冷却水流量フィードフォワード制御の実行指示がないと判断する。ステップS101において冷却水流量フィードフォワード制御の実行指示がない場合(ステップS101,No)、冷却制御装置10は、冷却水流量フィードフォワード制御の実行指示がなされるまで、このステップS101を繰り返す。
上述したステップS101において冷却水流量フィードフォワード制御の実行指示があった場合(ステップS101,Yes)、冷却制御装置10は、第2冷却装置4による鋼帯6の冷却処理をフィードフォワード制御する際に用いる冷却水流量設定値の導出処理を実行する(ステップS102)。ステップS102において、板温計11は、第2冷却装置4の前段に位置する第1冷却装置3の出側における板温、すなわち、第1冷却処理後の鋼帯6の板温を測定する。プロセスコンピュータ12は、この板温計11によって測定された鋼帯6の板温と、第2冷却装置4の出側における鋼帯6の板温目標値と、管理データベース18から取得した焼鈍酸洗ライン1の操業情報18aとをもとに、冷却水流量設定値Fsを導出する。この冷却水流量設定値Fsは、第2冷却装置4が鋼帯6を冷却する際に鋼帯6に噴射する冷却水の流量設定値である。
つぎに、冷却制御装置10は、第2冷却装置4が鋼帯6に噴射する冷却水の流量としての冷却水流量設定値Fsの合理性を確認する(ステップS103)。ステップS103において、プロセスコンピュータ12は、鋼帯6に対する第2冷却処理に用いる冷却水の流量として冷却水流量設定値Fsが適切であるか否かを確認する。プロセスコンピュータ12は、この冷却水流量設定値Fsの合理性の確認結果に基づいて、冷却水流量設定値Fsを、上述した第2冷却処理に好適な冷却水の流量設定値にする。
続いて、冷却制御装置10は、鋼帯6のうちの板温に対応する被測温箇所6a(図1参照)における冷却水の流量として、ステップS103による合理性確認後の冷却水流量設定値Fsを、鋼帯6に対する第2冷却処理前に予め設定する(ステップS104)。ステップS104において、プロセスコンピュータ12は、鋼帯6の被測温箇所6aに対して実行される第2冷却処理の冷却水の流量として、上述した合理性確認後の冷却水流量設定値Fsをプリセットする。ついで、プロセスコンピュータ12は、このプリセットした冷却水流量設定値Fsを、鋼帯6の被測温箇所6aに対する第2冷却処理の実行タイミングまで保持、管理する。
つぎに、冷却制御装置10は、ステップS104によってプリセットされた冷却水流量設定値Fsに応じて、第2冷却装置4による鋼帯6の冷却処理を制御する(ステップS105)。ステップS105において、プロセスコンピュータ12は、上述したようにプリセットした冷却水流量設定値Fsを、鋼帯6の被測温箇所6aが第2冷却装置4に到達するまでに制御部17に送信し、これにより、制御部17に対して冷却水流量設定値Fsを指示する。制御部17は、このプロセスコンピュータ12からの指示に基づき、鋼帯6の被測温箇所6aが第2冷却装置4に到達するタイミングに、プロセスコンピュータ12によって予め設定された冷却水流量設定値Fsに応じた流量の冷却水を被測温箇所6aに噴射して鋼帯6を冷却するように第2冷却装置4を制御する。第2冷却装置4は、この制御部17の制御に基づいて、鋼帯6の被測温箇所6aに対し、この冷却水流量設定値Fsに応じた流量の冷却水を噴射する。これにより、第2冷却装置4は、搬送中の鋼帯6の被測温箇所6aを連続的に冷却する。
その後、冷却制御装置10は、冷却水流量フィードフォワード制御の完了指示有無を判断する(ステップS106)。ステップS106において、プロセスコンピュータ12は、入力部13によって完了指示情報が入力された場合、冷却水流量フィードフォワード制御を完了可能な状態になる。また、制御部17は、入力部15によって完了指示情報が入力された場合、冷却水流量フィードフォワード制御を完了可能な状態になる。プロセスコンピュータ12および制御部17の少なくとも一方が冷却水流量フィードフォワード制御を完了可能な状態になった場合、プロセスコンピュータ12は、冷却水流量フィードフォワード制御の完了指示ありと判断する。
ステップS106において冷却水流量フィードフォワード制御の完了指示があった場合(ステップS106,Yes)、冷却制御装置10は、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理ステップを繰り返す。一方、ステップS106において冷却水流量フィードフォワード制御の完了指示がない場合(ステップS106,No)、冷却制御装置10は、上述したステップS102に戻り、このステップS102以降の処理ステップを繰り返す。
(冷却水流量設定値の導出処理)
つぎに、図4に示したステップS102において実行する冷却水流量設定値の導出処理について詳細に説明する。図5は、本実施の形態にかかる冷却制御方法において実行する冷却水流量設定値の導出処理の一例を示すフローチャートである。
上述したステップS102における冷却水流量設定値の導出処理において、冷却制御装置10は、図5に示すように、まず、鋼帯6のライン速度を設定する(ステップS201)。ステップS201において、プロセスコンピュータ12は、管理データベース18から取得した焼鈍酸洗ライン1の操業情報18aをもとに、鋼帯6のライン速度を設定する。この際、プロセスコンピュータ12の流量演算部12aは、操業情報18aに基づく鋼帯6のライン速度を、冷却水流量フィードフォワード制御のパラメータ(ライン速度V)として設定する。つぎに、流量演算部12aは、鋼帯6のライン速度の変更有無と、第2冷却装置4への鋼帯6における溶接点の到達状況とを確認する。流量演算部12aは、鋼帯6のライン速度に変更があった場合、鋼帯6の変更後のライン速度を、冷却水流量フィードフォワード制御に用いるライン速度Vとして設定する。また、流量演算部12aは、鋼帯6の溶接点が第2冷却装置4に到達した場合、この到達時点における現在の鋼帯6のライン速度を、冷却水流量フィードフォワード制御に用いるライン速度Vとして設定する。上記以外の場合においては、流量演算部12aは、操業情報18aに基づく鋼帯6のライン速度Vの設定を維持する。
つぎに、冷却制御装置10は、板温計11による測定結果をもとに、第1冷却装置3の出側における鋼帯6の板温を設定する(ステップS202)。ステップS202において、プロセスコンピュータ12は、板温計11によって所定の時間t毎に鋼帯6の板温が測定される都度、得られた測定値を、記憶部14内の板温データ群14aとして蓄積する。プロセスコンピュータ12の流量演算部12aは、この板温データ群14a内の各板温データ、すなわち、板温計11によって所定の時間t毎に測定された板温測定値DS0〜DSnを記憶部14から読み込む。ついで、流量演算部12aは、これらの板温測定値DS0〜DSnの平均値を算出し、算出した平均値を鋼帯6の板温Sとして設定する。例えば、板温計11が鋼帯6の長手方向に沿って並ぶ4箇所の板温を15秒毎に測定した場合、流量演算部12aは、現在の板温測定値DS0と、現在から15秒前の板温測定値DS1と、現在から30秒前の板温測定値DS2と、現在から45秒前の板温測定値DS3との平均値((DS0+DS1+DS2+DS3)/4)を算出する。この算出された平均値が、鋼帯6の板温Sとして設定される。
ついで、冷却制御装置10は、鋼帯6の現在の板厚Zと現在の板幅Wと現在の板温目標値Mとを取得する(ステップS203)。ステップS203において、プロセスコンピュータ12は、管理データベース18から読み込んだ焼鈍酸洗ライン1の操業情報18aの中から、板温測定された時点における現在の鋼帯6の板厚Zおよび板幅Wと、この鋼帯6における現在の被測温箇所6aの板温目標値Mとを取得する。なお、この板温目標値Mは、第2冷却装置4の出側における鋼帯6の被測温箇所6aの目標とする板温である。
続いて、冷却制御装置10は、第2冷却装置4によって鋼帯6を冷却する際の冷却水流量設定値Fsを算出する(ステップS204)。ステップS204において、プロセスコンピュータ12は、ステップS201,202によって設定した鋼帯6のライン速度Vおよび板温Sと、ステップS203によって取得した鋼帯6の現在の板厚Z、板幅W、および板温目標値Mとを用いて、第2冷却装置4の冷却水流量設定値Fsを算出する。この際、プロセスコンピュータ12は、記憶部14内の補正係数テーブル14bの中から、現在の板温目標値Mの範囲MBjに対応する補正係数a1j〜a7jを、冷却水流量設定値Fsを算出するための各パラメータの補正係数a1〜a7として読み込む。プロセスコンピュータ12の流量演算部12aは、上述したライン速度V、板温S、板厚Z、板幅W、板温目標値M、および補正係数a1j〜a7jを用い、式(1)に基づいて、冷却水流量設定値Fsを算出する。このステップS204を実行後、プロセスコンピュータ12は、図4に示したステップS102に戻り、つぎのステップS103に進む。
(冷却水流量設定値の合理性確認処理)
つぎに、図4に示したステップS103において実行する冷却水流量設定値の合理性確認処理について詳細に説明する。図6は、本実施の形態にかかる冷却制御方法において実行する冷却水流量設定値の合理性確認処理の一例を示すフローチャートである。
上述したステップS103における冷却水流量設定値の合理性確認処理において、冷却制御装置10は、図6に示すように、まず、冷却水流量設定値Fsの補正処理を行う(ステップS301)。ステップS301において、入力部13は、作業者の入力操作に応じて、最終補正係数Opをプロセスコンピュータ12に入力する。最終補正係数Opは、冷却水流量設定値Fsを補正するために、作業者によって予め算出された補正係数であり、例えば、0.8〜1.2の範囲に設定される。プロセスコンピュータ12は、入力された最終補正係数Opを用いて、冷却水流量設定値Fsを補正する。この際、プロセスコンピュータ12の合理性確認部12bは、例えば、冷却水流量設定値Fsに最終補正係数Opを乗ずることにより、補正後の冷却水流量設定値Fsを算出する。
ついで、冷却制御装置10は、冷却水流量設定値Fsが第2冷却装置4の冷却水の流量上限値を超過するか否かを判断する(ステップS302)。ステップS302において、プロセスコンピュータ12の合理性確認部12bは、第2冷却装置4に適用予定の冷却水流量設定値Fsと、第2冷却装置4に規定される設備制約上の冷却水流量上限値Fmax(例えば150)とを比較する。これにより、合理性確認部12bは、これら冷却水流量設定値Fsと冷却水流量上限値Fmaxとの大小関係を判断する。
ステップS302による冷却水流量設定値Fsの上限判断処理の結果、冷却水流量設定値Fsが第2冷却装置4の冷却水流量上限値Fmaxを超過する場合(ステップS302,Yes)、合理性確認部12bは、この冷却水流量設定値Fsを冷却水流量上限値Fmaxと同値に変更する(ステップS303)。その後、プロセスコンピュータ12は、後述するステップS305に進む。
一方、ステップS302において冷却水流量設定値Fsが冷却水流量上限値Fmax以下である場合(ステップS302,No)、プロセスコンピュータ12は、冷却水流量設定値Fsが負の値であるか否かを判断する(ステップS304)。ステップS304において、合理性確認部12bは、冷却水流量設定値Fsが零以上、第2冷却装置4の冷却水流量上限値Fmax以下の範囲内または零未満のいずれの値であるかを判断する。
ステップS304による冷却水流量設定値Fsの正負判断処理の結果、冷却水流量設定値Fsが負の値である場合(ステップS304,Yes)、合理性確認部12bは、この冷却水流量設定値Fsを零値に変更する(ステップS306)。
一方、ステップS304において冷却水流量設定値Fsが負の値ではない、すなわち、零以上、冷却水流量上限値Fmax以下の範囲内である場合(ステップS304,No)、プロセスコンピュータ12は、板温計11によって測定された鋼帯6の板温Sが必要最低板温β未満であるか否かを判断する(ステップS305)。ステップS305において、合理性確認部12bは、図5に示したステップS202によって設定された鋼帯6の板温Sと、予め設定された必要最低板温βとを比較する。これにより、合理性確認部12bは、これら板温Sと必要最低板温βとの大小関係を判断する。ここで、必要最低板温βは、酸洗装置5による鋼帯6の酸洗処理に必要な最低限の鋼帯6の板温である。この必要最低板温βは、入力部13によってプロセスコンピュータ12に入力することにより、可変に設定可能である。本実施の形態において、必要最低板温βは、例えば150℃に初期設定される。
ステップS305による板温判断処理の結果、測定された板温Sが必要最低板温β未満である場合(ステップS305,Yes)、プロセスコンピュータ12は、ステップS306に進む。このステップS306において、合理性確認部12bは、板温Sが必要最低板温β未満である場合の冷却水流量設定値Fsを零値に変更または再設定する。
一方、ステップS305において板温Sが必要最低板温β未満ではない場合(ステップS305,No)、または、上述したステップS306を実行後、プロセスコンピュータ12は、図4に示したステップS103に戻り、つぎのステップS104に進む。
(冷却水流量設定値のプリセット処理)
つぎに、図4に示したステップS104において実行する冷却水流量設定値のプリセット処理について詳細に説明する。図7は、本実施の形態にかかる冷却制御方法において実行する冷却水流量設定値のプリセット処理の一例を示すフローチャートである。
上述したステップS104における冷却水流量設定値のプリセット処理において、冷却制御装置10は、図7に示すように、まず、鋼帯6の被測温箇所6aが第2冷却装置4に到達するまでに要する到達所要時間Tを算出する(ステップS401)。ステップS401において、プロセスコンピュータ12は、図5に示したステップS204によって冷却水流量設定値Fsが算出された後から、この被測温箇所6aが第2冷却装置4に到達するまでの時間を、この被測温箇所6aの到達所要時間Tとして算出する。この際、プロセスコンピュータ12の流量設定部12cは、板温計11によって鋼帯6の板温測定値DS0〜DSnが測定されるまでの経過時間と、図5に示したステップS201によって設定された鋼帯6のライン速度Vと、板温計11の測定位置から第2冷却装置4までの距離とをもとに、上記の到達所要時間Tを算出する。
ついで、流量設定部12cは、ステップS401によって算出された到達所要時間Tが経過するタイミングに第2冷却装置4が噴射する冷却水の流量として、図4に示したステップS103による合理性確認後の冷却水流量設定値Fsを予め設定する(ステップS402)。この際、流量設定部12cは、冷却水流量設定値Fsが算出されてから到達所要時間Tが経過する前までの期間、この合理性確認後の冷却水流量設定値Fsを、鋼帯6の被測温箇所6aに対して行われる第2冷却処理の冷却水の流量設定値として保持、管理する。その後、プロセスコンピュータ12は、図4に示したステップS104に戻り、つぎのステップS105に進む。
(実施例)
つぎに、本発明の実施例について説明する。本実施例では、図1に示した冷却制御装置10を用い、図4に示したステップS101〜S106に沿って第2冷却装置4を制御した。この第2冷却装置4の出側における鋼帯6の板温を複数箇所測定し、得られた板温のばらつきを確認した。また、本実施例に対する比較例では、作業者が冷却制御装置10の入力部13,15を操作して、第2冷却装置4の冷却水流量を手動制御した。この比較例においても、本実施例と同様に、第2冷却装置4の出側における鋼帯6の板温を複数箇所測定し、得られた板温のばらつきを確認した。
図8は、本実施例における第2冷却装置出側の板温のばらつきと比較例における第2冷却装置出側の板温のばらつきとの比較結果を示す図である。図8に示す温度分布は、第2冷却装置4の出側において測定した鋼帯6の板温と、第2冷却装置4の出側における板温目標値との差によって表される。
図8に示すように、比較例では、第2冷却装置4の出側における板温が、板温目標値に対して大きくばらついていた。これは、以下に示す理由による。すなわち、焼鈍酸洗ライン1の操業時に、第2冷却装置4の出側における鋼帯6の板温を放射温度計によって測定しても、鋼板の水濡れ等に起因して正確な板温の測定値を得ることが困難である。このため、第2冷却装置4の出側における板温測定値を用いて第2冷却装置4の冷却水流量を精度よくフィードバック制御することが難しく、これに起因し、比較例(従来技術)では作業者の経験に依存して第2冷却装置4の冷却水流量を手動制御したからである。
上記の比較例に対し、本実施例では、図8に示すように、第2冷却装置4の出側における板温と板温目標値との差が−10℃〜+10℃の範囲内に収束するように、板温のばらつきを抑制することができた。これは、第2冷却装置4の出側に比べて鋼板の水濡れの影響が殆どない第1冷却装置3の出側において、放射温度計(板温計11)により、鋼帯6の板温を測定し、得られた板温測定値を用いて、上述した実施の形態に示されるように第2冷却装置4の冷却水流量をフィードフォワード制御したからである。
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、焼鈍酸洗ライン内の加熱炉から酸洗装置に向かう鋼帯の搬送経路に沿って並ぶ複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置の冷却水流量設定値を、この最後段の冷却装置の前段の冷却装置出側において測定した板温と、この最後段の冷却装置出側における板温目標値と、焼鈍酸洗ラインの操業情報とをもとに導出し、導出した冷却水流量設定値の合理性を確認し、この合理性確認後の冷却水流量設定値を、鋼帯の被測温箇所に対する冷却水の流量としてプリセットし、この被測温箇所が最後段の冷却装置内に到達するタイミングに、上記プリセットした冷却水流量設定値に応じた流量の冷却水をこの被測温箇所に噴射して鋼帯を冷却するよう、最後段の冷却装置の冷却水流量をフィードフォワード制御している。
このため、上記前段の冷却装置出側における鋼帯の板温の測定結果に対応して、応答が早い鋼帯冷却処理の温度制御を最後段の冷却装置に対して行うことができるとともに、この最後段の冷却装置出側における鋼帯の板温が板温目標値に近づくように、この最後段の冷却装置による鋼帯の冷却温度を高精度に制御することができる。この結果、酸洗装置入側における鋼帯の板温、すなわち、酸洗処理前の鋼帯の板温を、ばらつきを抑制して安定化することができる。
本発明にかかる冷却制御装置および冷却制御方法を用いることにより、酸洗槽における酸洗液の温度制御の際に過度な負荷を酸洗装置に与えることなく、鋼帯からスケールを安定して除去可能な酸洗処理を確保することができる。さらには、酸洗液の温度制御の際に酸洗装置に投入する熱エネルギー(例えば蒸気等)の使用量を大幅に削減することができる。また、酸洗液の温度制御の応答性によらず、酸洗処理後の鋼帯の性状を安定化することができ、この結果、酸洗処理の後工程(焼鈍酸洗ラインの後段のライン)における鋼帯の製品品質のばらつきを抑制できることから、鋼帯の製品品質の向上を促進することができる。
また、本発明の実施の形態では、焼鈍酸洗ラインの操業を管理するプロセスコンピュータに、上述した前段の冷却装置出側における鋼帯の板温に応じて後段の冷却装置における冷却水流量を設定する機能を追加し、このプロセスコンピュータによる冷却水流量設定値を用いて最後段の冷却装置の冷却水流量をフィードフォワード制御している。このため、焼鈍酸洗ラインに通常備わっている設備を最大限に活用して、簡易な構成により、上述した冷却水流量のフィードフォワード制御を応答よく且つ高精度に行うことができる。この結果、新たな設備導入に伴いプロセスラインのレイアウトが煩雑になる、設備コストが増大する等の問題を生じることなく、また、複雑且つメンテナンスが困難な物理式を用いることなく、酸洗処理前の鋼帯の板温精度を向上することができる。
さらに、本発明の実施の形態では、上記前段の冷却装置出側における板温の測定値が鋼帯の酸洗処理における必要最低板温未満であるか否かを判断し、板温の測定値が必要最低板温未満である場合、最後段の冷却装置に対する冷却水流量設定値を零値にしている。このため、最後段の冷却装置入側(最後段の冷却処理前)において既に低温な鋼帯の板温を過度に冷却してしまう事態を回避することができ、これにより、鋼帯の酸洗処理の際に必要最低板温以上の鋼帯の板温を安定して得ることができる。
また、本発明の実施の形態では、最後段の冷却装置に比べて冷却処理後の鋼帯表面の水濡れ状態が軽微である前段の冷却装置出側において、この前段の冷却装置による冷却処理後の鋼帯の板温を測定し、得られた板温の測定値を用いて、最後段の冷却装置の冷却水流量設定値を導出している。このため、最後段の冷却装置の冷却水流量をフィードフォワード制御するために必要な鋼帯の板温を正確に測定することができる。この結果、最後段の冷却装置に対する冷却水流量のフィードフォワード制御の精度向上を促進することができる。
なお、上述した実施の形態では、加熱炉2と酸洗装置5との間に鋼帯6の搬送経路に沿って2つの冷却装置(第1冷却装置3および第2冷却装置4)を並べて設置していたが、本発明は、これに限定されるものではない。加熱炉2と酸洗装置5との間には、鋼帯6の搬送経路に沿って3つ以上の冷却装置が並べて設置されてもよく、これら3つ以上の冷却装置のうちの最後段の冷却装置を第2冷却装置4とし、この第2冷却装置4の前段の冷却装置を第1冷却装置3としてもよい。すなわち、本発明において、加熱炉2と酸洗装置5との間に並ぶ冷却装置の配置数は特に問われない。
また、上述した実施の形態では、複数の鋼板の先尾端同士を接合(溶接)してなる鋼帯6を処理対象の一例として挙げたが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明にかかる冷却制御装置および冷却制御方法における冷却処理対象は、上述したように複数の鋼板からなる鋼帯であってもよいし、単一の鋼板であってもよい。
さらに、上述した実施の形態では、冷却水流量設定値の合理性確認処理において、図6に示すように冷却水流量設定値の補正処理(ステップS301)を行っていたが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、上述したステップS301の処理は、必要に応じて行うようにしてもよい。この場合、冷却水流量設定値の合理性確認処理では、ステップS301を省略して、冷却水流量設定値の上限判断処理(ステップS302)およびそれ以降の処理を行ってもよい。
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明に含まれる。
1 焼鈍酸洗ライン
2 加熱炉
3 第1冷却装置
4 第2冷却装置
5 酸洗装置
6 鋼帯
6a 被測温箇所
10 冷却制御装置
11 板温計
12 プロセスコンピュータ
13,15 入力部
14 記憶部
14a 板温データ群
14b 補正係数テーブル
16 表示部
17 制御部
18 管理データベース
18a 操業情報
101 従来の焼鈍酸洗ライン
102 加熱炉
103 冷却装置
104 酸洗装置
105 酸洗槽
106 熱交換器
107 温度計
115 鋼帯

Claims (6)

  1. 鋼板を焼鈍処理する加熱炉と前記鋼板を酸洗処理する酸洗装置との間に前記鋼板の搬送経路に沿って並ぶ複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置と該最後段の冷却装置の前段の冷却装置との間に配置され、前記前段の冷却装置によって冷却された前記鋼板の板温を測定する板温測定部と、
    前記加熱炉と前記複数の冷却装置と前記酸洗装置とを含む焼鈍酸洗ラインの操業を管理するとともに、前記最後段の冷却装置が前記鋼板を冷却する際に前記鋼板に噴射する冷却水の冷却水流量設定値を、測定された前記板温と前記最後段の冷却装置の出側における前記鋼板の板温目標値と前記焼鈍酸洗ラインの操業情報とをもとに導出し、前記冷却水の流量としての前記冷却水流量設定値の合理性を確認し、前記鋼板のうちの前記板温に対応する被測温箇所における前記冷却水の流量として、合理性確認後の前記冷却水流量設定値を予め設定するプロセスコンピュータと、
    前記被測温箇所が前記最後段の冷却装置に到達するタイミングに、前記プロセスコンピュータによって予め設定された前記冷却水流量設定値に応じた流量の冷却水を前記被測温箇所に噴射して前記鋼板を冷却するように前記最後段の冷却装置を制御する制御部と、
    を備え
    前記プロセスコンピュータは、前記冷却水流量設定値が前記最後段の冷却装置に規定される冷却水の流量上限値を超過するか否かを判断する上限判断処理と、前記冷却水流量設定値が負の値であるか否かを判断する正負判断処理と、測定された前記板温が前記鋼板の酸洗処理に必要な最低限の前記鋼板の必要最低板温未満であるか否かを判断する板温判断処理とを実行して、前記冷却水流量設定値の合理性を確認し、前記上限判断処理の結果、前記冷却水流量設定値が前記流量上限値を超過する場合、前記冷却水流量設定値を前記流量上限値と同値に変更し、前記正負判断処理の結果、前記冷却水流量設定値が負の値である場合、または、前記板温判断処理の結果、測定された前記板温が前記必要最低板温未満である場合、前記冷却水流量設定値を零値に変更することを特徴とする冷却制御装置。
  2. 前記プロセスコンピュータは、前記焼鈍酸洗ラインの操業情報をもとに前記鋼板の搬送速度を設定し、前記板温測定部による測定結果をもとに前記前段の冷却装置の出側における前記鋼板の前記板温を設定し、前記焼鈍酸洗ラインの操業情報の中から前記鋼板の板厚と板幅と前記板温目標値とを取得し、設定した前記搬送速度および前記板温と、取得した前記板厚、前記板幅、および前記板温目標値とを用いて、前記最後段の冷却装置の前記冷却水流量設定値を算出することを特徴とする請求項1に記載の冷却制御装置。
  3. 前記プロセスコンピュータは、前記被測温箇所が前記最後段の冷却装置に到達するまでに要する到達所要時間を算出し、前記到達所要時間が経過するタイミングの前記冷却水の流量として、合理性確認後の前記冷却水流量設定値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載の冷却制御装置。
  4. 鋼板を焼鈍処理する加熱炉と、焼鈍処理後の前記鋼板を冷却する複数の冷却装置と、冷却処理後の前記鋼板を酸洗処理する酸洗装置とを含む焼鈍酸洗ラインの操業を管理するとともに、前記加熱炉と前記酸洗装置との間に前記鋼板の搬送経路に沿って並ぶ前記複数の冷却装置のうちの最後段の冷却装置による前記鋼板の冷却処理を制御する冷却制御方法において、
    前記最後段の冷却装置が前記鋼板を冷却する際に前記鋼板に噴射する冷却水の冷却水流量設定値を、前記複数の冷却装置のうちの前記最後段の冷却装置の前段に位置する前段の冷却装置の出側において板温測定部を用い測定した前記鋼板の板温と、前記最後段の冷却装置の出側における前記鋼板の板温目標値と、前記焼鈍酸洗ラインの操業情報とをもとに導出する設定値導出ステップと、
    前記冷却水の流量としての前記冷却水流量設定値の合理性を確認する合理性確認ステップと、
    前記鋼板のうちの前記板温に対応する被測温箇所における前記冷却水の流量として、合理性確認後の前記冷却水流量設定値を予め設定するプリセットステップと、
    前記被測温箇所が前記最後段の冷却装置に到達するタイミングに、前記プリセットステップによって予め設定された前記冷却水流量設定値に応じた流量の冷却水を前記被測温箇所に噴射して前記鋼板を冷却するように前記最後段の冷却装置を制御する制御ステップと、
    を含み、
    前記合理性確認ステップは、
    前記冷却水流量設定値が前記最後段の冷却装置に規定される冷却水の流量上限値を超過するか否かを判断する上限判断ステップと、
    前記冷却水流量設定値が負の値であるか否かを判断する正負判断ステップと、
    測定された前記板温が前記鋼板の酸洗処理に必要な最低限の前記鋼板の必要最低板温未満であるか否かを判断する板温判断ステップと、
    前記上限判断ステップの結果、前記冷却水流量設定値が前記流量上限値を超過する場合、前記冷却水流量設定値を前記流量上限値と同値に変更する設定値上限化ステップと、
    前記正負判断ステップの結果、前記冷却水流量設定値が負の値である場合、または、前記板温判断ステップの結果、測定された前記板温が前記必要最低板温未満である場合、前記冷却水流量設定値を零値に変更する設定値零化ステップと、
    を含むことを特徴とする冷却制御方法。
  5. 前記設定値導出ステップは、
    前記焼鈍酸洗ラインの操業情報をもとに前記鋼板の搬送速度を設定する速度設定ステップと、
    前記板温測定部による測定結果をもとに、前記前段の冷却装置の出側における前記鋼板の前記板温を設定する板温設定ステップと、
    前記焼鈍酸洗ラインの操業情報の中から前記鋼板の板厚と板幅と前記板温目標値とを取得するデータ取得ステップと、
    設定した前記搬送速度および前記板温と、取得した前記板厚、前記板幅、および前記板温目標値とを用いて、前記最後段の冷却装置の前記冷却水流量設定値を算出する設定値算出ステップと、
    を含むことを特徴とする請求項に記載の冷却制御方法。
  6. 前記プリセットステップは、
    前記被測温箇所が前記最後段の冷却装置に到達するまでに要する到達所要時間を算出する時間算出ステップと、
    前記到達所要時間が経過するタイミングの前記冷却水の流量として、合理性確認後の前記冷却水流量設定値を設定する冷却水流量設定ステップと、
    を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の冷却制御方法。
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