JP2016160494A - 高炉操業方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高炉の炉頂部からコークスと鉄原料とを交互に装入することで上記高炉内にコークス層と鉄原料層とを交互に層状に堆積させる高炉操業方法であって、上記鉄原料として、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用するに当たり、上記高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)と上記高炉内の最も炉壁側の鉱石層厚比(Lw)との比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、高炉操業方法。ただし、上記鉱石層厚比は、上記鉄原料層の層厚と上記コークス層の層厚との和に対する上記鉄原料層の層厚の比である。
【選択図】なし
Description
本発明者らが検討を行った結果、後述するように、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用した場合に、特に、高炉内の通気性が悪化することが分かった。
[1]高炉の炉頂部からコークスと鉄原料とを交互に装入することで上記高炉内にコークス層と鉄原料層とを交互に層状に堆積させる高炉操業方法であって、上記鉄原料として、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用するに当たり、上記高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)と上記高炉内の最も炉壁側の鉱石層厚比(Lw)との比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、高炉操業方法。ただし、上記鉱石層厚比は、上記鉄原料層の層厚と上記コークス層の層厚との和に対する上記鉄原料層の層厚の比である。
[2]上記高結晶水鉱石の結晶水含有量がΔCW質量%増加する場合に、下記式(2)を満たすように上記鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、上記[1]に記載の高炉操業方法。
ΔLOI≦−0.0165×ΔCW ・・・(2)
ただし、ΔLOIは上記鉱石層厚指数(LOI)の変化量である。
加熱炉4には、加熱炉4の温度、すなわち、ヒータ9の温度をコントロールするための図示しない温度制御装置が設置されている。
加熱炉4の下部には、反応管10の下部に接続する還元ガス入口15が設けられている。図示しないガス供給装置から所定の流量で供給された還元ガス(所定組成のN2/CO/CO2/H2混合ガス)は、入側配管16を通り、還元ガス入口15を介して反応管10に入り、黒鉛るつぼ6の底部6aのガス流通口6bから黒鉛るつぼ6内に入り、還元ガス中のCOガスやH2ガスが、ヒータ9の加熱により溶融された鉱石5を還元して、溶融された銑鉄を生成するとともに、自身は酸化されてCO2ガスおよびH2Oガスとなる。
一方、加熱炉4の上部には、炉心管8の上部に接続する排ガス出口17が設けられている。還元後の混合ガスは、黒鉛るつぼ6の上部(例えば、パンチ棒7の先端の押当部7aに設けられた貫通孔7bなど)から炉心管8内に入り、排ガス出口17を介して、排ガスとして出側配管18に排出される。
入側配管16の還元ガス入口15の近傍位置には、還元ガスの圧力P11を測定する圧力計20が設けられている。出側配管18の排ガス出口17の近傍位置には、排ガスの圧力P12を測定する圧力計21が設けられている。圧力計20と圧力計21とにより、黒鉛るつぼ6内に供給される還元ガスの圧力P11と黒鉛るつぼ6の上部から排出された排ガスの圧力P12との差圧が計測される。
加熱炉4の下部には、黒鉛るつぼ6から溶け落ちた滴下物を回収する滴下物サンプリング装置22が設置されている。滴下物は、反応管10内を落下してターンテーブル22a上に回収される。
図8は、還元試験(荷重軟化実験)の試験条件を示すグラフであり、図8(A)はガス組成(単位:体積%)の変化を表し、図8(B)は温度(単位:℃)の変化を表し、図8(C)は荷重(単位:kgf/cm2)の変化を表す。なお、図8のグラフは、いずれも横軸は時間(単位:min)である。また、図8(A)のグラフは、COおよびCO2の組成変化のみを示している。
実験中は、荷重により試料5が収縮することで、流通させる混合ガスの差圧が変化するため、差圧を連続的に測定した。
図2のグラフに示すように、結晶水含有量が6質量%までは最大差圧はほぼ一定値だが、結晶水含有量が6質量%以上では最大差圧が上昇する傾向が見られた。このことから、結晶水含有量が6質量%以上の塊鉱石を高炉で使用する場合には、高炉内の通気性が悪化することが示唆された。
図3のグラフに示すように、塊鉱石の混合率が20質量%までは最大差圧はほぼ一定値だが、塊鉱石の混合率が20質量%以上では最大差圧が上昇する傾向が見られた。このことから、結晶水含有量が高い塊鉱石を高炉で使用する場合、塊鉱石の混合率が20質量%以上になると、高炉内の通気性が悪化することが示唆された。
図4のグラフに示すように、結晶水含有量が増加すると圧損上昇開始温度と溶落温度との温度差が上昇する傾向が見られた。このことから、結晶水含有量が増加すると融着帯の温度域が増加、すなわち融着帯の層厚が増加して、高炉内の通気性が悪化することが示唆された。
Lmin=Lave×cos(θave) ・・・ (1)
ここで、図6は、後述するシミュレーションにより得られる融着帯形状を示す図であるが、図6(特に、図6(C))に示すように、平均融着帯層厚(Lave)は、融着帯の垂直方向高さの高炉内の全半径方向における平均値であり、平均融着帯角度(θave)は、高炉内の最も中心側の融着帯の下端位置と高炉内の最も炉壁側の融着帯の下端位置とを直線で結んだ線(の平行線)と水平線とがなす角度である。
高炉操業シミュレータとしては、『「高炉操業シミュレータの開発と溶銑シリコン低減への適用」、川崎製鉄技報、1997年、第29巻、第1号、p.30−36』に示されているシミュレータを用いた。このシミュレータは、装入物分布予測モデルと高炉2次元定常モデルとから構成される。装入物分布予測モデルは、炉頂部に設置され高炉内に原料を装入する装入シュートの傾動角に応じた落下軌跡をシミュレートし、原料の堆積形状をシミュレートするものである。高炉2次元定常モデルは、高炉を半径方向および軸方向に多数の細かいメッシュに分け、各メッシュについて、直接差分法により、物質移動、流体の流れ、伝熱および反応の計算を行い、融着帯の形状を求め、高炉操業状態をシミュレートするものである。両者は結合されており、装入物分布の変更が高炉操業結果に及ぼす影響をシミュレートできる。
実際の高炉操業においては、鉱石層厚比は、高炉の炉頂部から装入されたコークスおよび鉄原料の堆積形状を、例えばマイクロ波のプロフィール計等で測定し、得られた測定結果から計算して求めることができる。
図5のグラフに示すように、2つの装入パターンAおよびBを用意し、シミュレートした。装入パターンAは、r/Rが0.85以上の炉壁側領域で、炉中間部(r/Rが0.65の領域)と同等の鉱石層厚比(LO/(LO+LC))を維持する装入パターンである。一方、装入パターンBは、r/Rが0.85以上の炉壁側領域で、炉中間部(r/Rが0.65の領域)に対して鉱石層厚比(LO/(LO+LC))を低減する装入パターンである。なお、鉱石層厚比(LO/(LO+LC))が小さいほど、ガス流量が多いことを示す。
高炉内の中心側の鉱石層厚比を低減すると、高炉内の中心側のガス流れが多くなり、高炉内の中心側の融着帯位置が高炉の上部側に移行するため、平均融着帯角度(θave)が大きくなる。一方、高炉内の炉壁側の鉱石層厚比を低減すると、高炉内の炉壁側のガス流れが多くなり、高炉内の炉壁側の融着帯位置が高炉の上部側に移行するため、平均融着帯角度(θave)が小さくなる。
鉱石層厚指数(LOI)を増加させると、平均融着帯角度(θave)が小さくなり、融着帯上端と下端の平均最小距離(Lmin)が長くなるため、高炉の炉内圧損が上昇する。一方、鉱石層厚指数(LOI)を減少させると、平均融着帯角度(θave)が大きくなり、融着帯上端と下端の平均最小距離(Lmin)が短くなるため、高炉の炉内圧損が低下する。このため、鉱石層厚指数(LOI)を減少させることで、高炉内の通気性の悪化を抑制できる。
しかしながら、鉱石層厚指数を減少させることにより平均融着帯角度を大きくする制御を行い、融着帯上端と下端との最小距離を短くすることで、高炉内の通気性を改善できる。したがって、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用する場合にも、高炉内の通気性の悪化を抑制しながら操業できる。
高結晶水鉱石の態様としては、例えば、上述した荷重軟化実験で使用したような、塊鉱石が挙げられる。「塊鉱石」とは、JIS M 8700:2013(ISO 11323:2010)に規定された、粒度の下限が10〜6.3mmの範囲の粗い粒子からなる鉱石(鉄鉱石)のことをいう。
また、鉄原料中に含まれる、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石の量(混合率)についても、その上限は特に限定されないが、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
なお、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石以外の鉄原料としては、特に限定されず、例えば、結晶水含有量が6質量%未満の高結晶水鉱石(塊鉱石を含む)、高結晶水鉱石には該当しない塊鉱石、焼結鉱(結晶水含有量が0質量%)等が挙げられる。
図7のグラフ中の各直線は、高炉の炉内圧損が一定値(例えば、最も左下の直線は、89kPa)となるときの、結晶水含有量(CW)と鉱石層厚指数(LOI)との関係を示し、その傾きは、−0.0165である。
ΔLOI≦−0.0165×ΔCW ・・・(2)
ただし、ΔLOIは鉱石層厚指数(LOI)の変化量である。
例えば、結晶水含有量を5質量%から9質量%にする場合において、高炉の炉内圧損を90kPa(図7のグラフ中、最も真ん中の直線)に維持するためには、鉱石層厚指数(LOI)を、約0.59(CW=5質量%)から直線に沿って0.066だけ減じて約0.524(CW=9質量%)にすればよい。このとき、鉱石層厚指数(LOI)の減少量を0.066よりも大きくする(つまり、直線よりも下側の領域にする)ことで、高炉の炉内圧損を90kPaよりも低下させることができる。
ただし、比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を過剰に小さくすることは、高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)を小さくすることになり、高炉内の中心側の鉱石量を低減させ、炉頂温度や還元材比の上昇を招きやすくなる場合がある。したがって、Lcの下限は、0.1とすることが好ましい。
内容積が5000m3である高炉を用い、高結晶水鉱石である塊鉱石の結晶水含有量および混合率を変化させ、さらに鉱石層厚指数を調整する操業を行い、通気抵抗指数を評価した。所定の結晶水含有量を有する塊鉱石以外の鉄原料としては、焼結鉱を用いた。結果を下記第1表に示す。下記第1表には、操業条件等も記載した。
なお、通気抵抗指数は、K=(PB 2−PT 2)/V1.7×100で表される指数であり、PB:送風圧(kPa)、PT:炉頂圧(kPa)、V:送風量(Nm3/分)である。この値が小さいほど、高炉内の通気性が良好であると評価できる。
しかし、実験例4〜6のように、結晶水含有量が8.6質量%(6質量%以上)の塊鉱石を使用した場合には、その混合率が20質量%以上になると、通気抵抗指数の上昇が顕著となり、高炉内の通気性の悪化が確認された。そして、コークス比が上昇した操業となった。
この傾向は、塊鉱石の混合率が大きい実験例6と実験例8との対比においても同様であった。すなわち、両者は共に、結晶水含有量が8.6質量%の塊鉱石を使用し、かつ、その混合率が30質量%であるが、実験例6では「0.59」であった鉱石層厚指数(LOI)を、実験例8において「0.51」に減少させることで、通気抵抗指数が低下し、実験例4(塊鉱石の混合率が15質量%)と同等以下の通気抵抗指数となり、高炉内の通気性の悪化を抑制できたことが分かった。
そして、実験例7および実験例8においては、コークス比の上昇も抑制できた。
これは、実験例3と実験例8との対比においても同様である。両者は、いずれも塊鉱石の混合率が30質量%であるが、実験例3に対して実験例8は、塊鉱石の結晶水含有量が3.1質量%(8.6質量%−5.5質量%)だけ増加している。この場合、上述した式(2)を考慮すると、鉱石層厚指数(LOI)を、実験例3の「0.57」から「−0.05115(=−0.0165×3.1)」だけ変化させれば、実験例3の通気抵抗指数「2.49」が維持される。ここで、実験例8においては、実験例3からの鉱石層厚指数(LOI)の変化量(ΔLOI)は「−0.06(=0.51−0.57)」であり、「−0.05115」よりも大きい変化量であるから、実験例8の通気抵抗指数は「2.44」となっており、実験例3の通気抵抗指数「2.49」よりも低い値が得られている。
4:加熱炉
5:試料(鉱石)
6:黒鉛るつぼ
6a:底部
6b:ガス流通口
7:パンチ棒
7a:押当部
7b:貫通孔
8:円筒状炉心管
9:ヒータ
10:円筒状反応管
15:還元ガス入り口
16:入側配管
17:排ガス出口
18:出側配管
20:圧力計
21:圧力計
22:滴下物サンプリング装置
22a:ターンテーブル
P11:還元ガスの圧力
P12:排ガスの圧力
Claims (2)
- 高炉の炉頂部からコークスと鉄原料とを交互に装入することで前記高炉内にコークス層と鉄原料層とを交互に層状に堆積させる高炉操業方法であって、
前記鉄原料として、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用するに当たり、
前記高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)と前記高炉内の最も炉壁側の鉱石層厚比(Lw)との比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、高炉操業方法。
ただし、前記鉱石層厚比は、前記鉄原料層の層厚と前記コークス層の層厚との和に対する前記鉄原料層の層厚の比である。 - 前記高結晶水鉱石の結晶水含有量がΔCW質量%増加する場合に、下記式(2)を満たすように前記鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、請求項1に記載の高炉操業方法。
ΔLOI≦−0.0165×ΔCW ・・・(2)
ただし、ΔLOIは前記鉱石層厚指数(LOI)の変化量である。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015041100A JP2016160494A (ja) | 2015-03-03 | 2015-03-03 | 高炉操業方法 |
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Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH06248311A (ja) * | 1993-02-24 | 1994-09-06 | Nisshin Steel Co Ltd | 高炉の操業方法 |
JPH09296204A (ja) * | 1996-04-30 | 1997-11-18 | Kawasaki Steel Corp | 高炉操業方法 |
-
2015
- 2015-03-03 JP JP2015041100A patent/JP2016160494A/ja active Pending
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