JP2016160494A - 高炉操業方法 - Google Patents

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佑介 柏原
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Abstract

【課題】結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用する場合に、高炉内の通気性の悪化を抑制できる高炉操業方法を提供する。
【解決手段】高炉の炉頂部からコークスと鉄原料とを交互に装入することで上記高炉内にコークス層と鉄原料層とを交互に層状に堆積させる高炉操業方法であって、上記鉄原料として、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用するに当たり、上記高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)と上記高炉内の最も炉壁側の鉱石層厚比(Lw)との比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、高炉操業方法。ただし、上記鉱石層厚比は、上記鉄原料層の層厚と上記コークス層の層厚との和に対する上記鉄原料層の層厚の比である。
【選択図】なし

Description

本発明は、高炉操業方法に関する。
高炉の炉頂部から焼結鉱や塊鉱石などの鉄原料とコークスとを装入し、炉下部の羽口から吹き込まれる熱風によりコークスを燃焼させ、生成したCOを含む還元性ガスで鉄原料中の酸化鉄を還元し、銑鉄を製造する。
近年では、環境問題の観点から低還元材比操業が指向されているが、その場合、コークス比の低下により炉内の通気抵抗が増大することから、通気性を維持した高炉操業が求められる。このとき、通気性の維持に有効であることから、鉄原料である塊鉱石としては、高炉内での粉化量が少なくかつ被還元性に優れた高品位の塊鉱石を使用することが好ましいが、一般的に高品位の塊鉱石は高価であるため、結晶水含有量が多いが安価で被還元性に優れた高結晶水鉱石の使用も増加している(例えば、特許文献1および2を参照)。
特開2007−39746号公報 特開2011−58097号公報
高炉内において最も通気抵抗が大きい領域は融着帯であり、融着帯の通気性が高炉内全体の通気性に及ぼす影響は大きい。高結晶水鉱石は、高温領域で収縮しやすいため、融着帯において通気性の悪化を引き起こしやすい。したがって、通気性を維持しながら高結晶水鉱石の鉄原料中への配合比率を増加させることは困難である。
本発明者らが検討を行った結果、後述するように、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用した場合に、特に、高炉内の通気性が悪化することが分かった。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用する場合に、高炉内の通気性の悪化を抑制できる高炉操業方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出した。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[2]を提供する。
[1]高炉の炉頂部からコークスと鉄原料とを交互に装入することで上記高炉内にコークス層と鉄原料層とを交互に層状に堆積させる高炉操業方法であって、上記鉄原料として、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用するに当たり、上記高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)と上記高炉内の最も炉壁側の鉱石層厚比(Lw)との比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、高炉操業方法。ただし、上記鉱石層厚比は、上記鉄原料層の層厚と上記コークス層の層厚との和に対する上記鉄原料層の層厚の比である。
[2]上記高結晶水鉱石の結晶水含有量がΔCW質量%増加する場合に、下記式(2)を満たすように上記鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、上記[1]に記載の高炉操業方法。
ΔLOI≦−0.0165×ΔCW ・・・(2)
ただし、ΔLOIは上記鉱石層厚指数(LOI)の変化量である。
本発明によれば、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用する場合に、高炉内の通気性の悪化を抑制できる高炉操業方法を提供できる。
還元試験装置(荷重軟化実験炉)を示す断面模式図である。 塊鉱石中の結晶水含有量と荷重軟化実験における最大差圧との関係を示すグラフである。 結晶水含有量が9.0質量%の塊鉱石を焼結鉱中に混合した条件での荷重軟化実験における最大差圧の測定結果を示すグラフである。 結晶水含有量と、荷重軟化実験における圧損上昇開始温度と溶落温度との温度差との関係を示すグラフである。 鉱石層厚比分布のパターンを示すグラフである。 (A)は、装入パターンAの融着帯形状を示す図であり、(B)は、装入パターンBの融着帯形状を示す図であり、(C)は、融着帯付近を拡大して示す図である。 高炉の炉内圧損が一定となるような結晶水含有量と鉱石層厚指数(LOI)との関係についての計算結果を示すグラフである。 還元試験(荷重軟化実験)の試験条件を示すグラフであり、(A)はガス組成の変化を表し、(B)は温度の変化を表し、(C)は荷重の変化を表す。
まず、各種塊鉱石が高炉内の通気性に及ぼす影響を調査するために、図1に示す装置を用いて還元試験(荷重軟化実験)を行い、高炉内を模擬したガス組成および温度の雰囲気で荷重を受けた際の塊鉱石の挙動を確認した。
図1は、還元試験装置(荷重軟化実験炉)を示す断面模式図である。図1に示す還元試験装置1は、内径100mmφの黒鉛るつぼ6を加熱炉4内に設置して、黒鉛るつぼ6内に充填された試料(鉱石)5を、還元ガス(N/CO/CO/H混合ガス)を流通させた雰囲気で、パンチ棒7を介して荷重Lを負荷しながら、ヒータ9を用いて加熱する装置であり、高炉内を模擬した温度、ガス組成および荷重をプログラムで制御する。
図1の還元試験装置1をより詳細に説明する。加熱炉4は、円筒状の外形を有し、中心に設置される円筒状の黒鉛るつぼ6を収納する耐火物製の円筒状炉心管8と、円筒状炉心管8の外周を覆うヒータ9と、黒鉛るつぼ6の底部6aを支持し、底部6aのガス流通口6bと連通する耐火物製の円筒状反応管10とを有する電気炉である。黒鉛るつぼ6内の試料5には、図示しない荷重付加装置によってパンチ棒7を介して荷重Lが負荷される。
加熱炉4には、加熱炉4の温度、すなわち、ヒータ9の温度をコントロールするための図示しない温度制御装置が設置されている。
加熱炉4の下部には、反応管10の下部に接続する還元ガス入口15が設けられている。図示しないガス供給装置から所定の流量で供給された還元ガス(所定組成のN/CO/CO/H混合ガス)は、入側配管16を通り、還元ガス入口15を介して反応管10に入り、黒鉛るつぼ6の底部6aのガス流通口6bから黒鉛るつぼ6内に入り、還元ガス中のCOガスやHガスが、ヒータ9の加熱により溶融された鉱石5を還元して、溶融された銑鉄を生成するとともに、自身は酸化されてCOガスおよびHOガスとなる。
一方、加熱炉4の上部には、炉心管8の上部に接続する排ガス出口17が設けられている。還元後の混合ガスは、黒鉛るつぼ6の上部(例えば、パンチ棒7の先端の押当部7aに設けられた貫通孔7bなど)から炉心管8内に入り、排ガス出口17を介して、排ガスとして出側配管18に排出される。
入側配管16の還元ガス入口15の近傍位置には、還元ガスの圧力P11を測定する圧力計20が設けられている。出側配管18の排ガス出口17の近傍位置には、排ガスの圧力P12を測定する圧力計21が設けられている。圧力計20と圧力計21とにより、黒鉛るつぼ6内に供給される還元ガスの圧力P11と黒鉛るつぼ6の上部から排出された排ガスの圧力P12との差圧が計測される。
加熱炉4の下部には、黒鉛るつぼ6から溶け落ちた滴下物を回収する滴下物サンプリング装置22が設置されている。滴下物は、反応管10内を落下してターンテーブル22a上に回収される。
各種塊鉱石が高炉内の通気性に及ぼす影響を調査するために、このような還元試験装置1を用いて還元試験(荷重軟化実験)を行った。このとき、黒鉛るつぼ6内に、粒径が10mm〜15mmである、結晶水含有量が異なる各種の塊鉱石を充填した条件で実験を行なった。実験は、図8のグラフに示す条件下で昇温還元を行ない、試料5が溶けて、黒鉛るつぼ6の底から滴下物サンプリング装置22に落下するまで継続した。
図8は、還元試験(荷重軟化実験)の試験条件を示すグラフであり、図8(A)はガス組成(単位:体積%)の変化を表し、図8(B)は温度(単位:℃)の変化を表し、図8(C)は荷重(単位:kgf/cm)の変化を表す。なお、図8のグラフは、いずれも横軸は時間(単位:min)である。また、図8(A)のグラフは、COおよびCOの組成変化のみを示している。
実験中は、荷重により試料5が収縮することで、流通させる混合ガスの差圧が変化するため、差圧を連続的に測定した。
図2は、塊鉱石中の結晶水含有量と荷重軟化実験における最大差圧との関係を示すグラフである。図2のグラフにおいて、横軸は実験に使用した塊鉱石の結晶水含有量(単位:質量%)であり、縦軸は最大差圧(単位:kPa)である。なお、本明細書において、結晶水含有量が0質量%の鉱石は、焼結鉱である。
図2のグラフに示すように、結晶水含有量が6質量%までは最大差圧はほぼ一定値だが、結晶水含有量が6質量%以上では最大差圧が上昇する傾向が見られた。このことから、結晶水含有量が6質量%以上の塊鉱石を高炉で使用する場合には、高炉内の通気性が悪化することが示唆された。
図3は、結晶水含有量が9.0質量%の塊鉱石を焼結鉱中に混合した条件での荷重軟化実験における最大差圧の測定結果を示すグラフである。図3のグラフにおいて、横軸は塊鉱石の混合率(単位:質量%)であり、縦軸は最大差圧(単位:kPa)である。
図3のグラフに示すように、塊鉱石の混合率が20質量%までは最大差圧はほぼ一定値だが、塊鉱石の混合率が20質量%以上では最大差圧が上昇する傾向が見られた。このことから、結晶水含有量が高い塊鉱石を高炉で使用する場合、塊鉱石の混合率が20質量%以上になると、高炉内の通気性が悪化することが示唆された。
図4は、結晶水含有量と、荷重軟化実験における圧損上昇開始温度と溶落温度との温度差との関係を示すグラフである。図4のグラフにおいて、横軸は結晶水含有量(単位:質量%)であり、縦軸は温度差(単位:℃)である。圧損上昇開始温度は、鉱石の収縮により通気性の悪化が顕著となる温度であり、高炉内の融着帯の上端に対応する。溶落温度は、鉱石が温度上昇により溶け落ちる温度であり、高炉内の融着帯の下端に対応する。そのため、圧損上昇開始温度と溶落温度との温度差は、高炉内の融着帯の温度幅に相当する。
図4のグラフに示すように、結晶水含有量が増加すると圧損上昇開始温度と溶落温度との温度差が上昇する傾向が見られた。このことから、結晶水含有量が増加すると融着帯の温度域が増加、すなわち融着帯の層厚が増加して、高炉内の通気性が悪化することが示唆された。
図2〜図4のグラフから、結晶水含有量6質量%以上の塊鉱石を20質量%以上焼結鉱に混合して使用すると、通気抵抗が大きい融着帯の層厚が増加して、高炉内の通気性が悪化することが分かった。高炉内の通気性が悪化すると、コークス比の上昇につながり、低還元材比操業の指向に反するため、通気抵抗を上昇させない操業が求められる。
そこで、高炉内のガス流れと圧損上昇との関係に着目した。ガスは通気抵抗に応じて流量が分配され、通気抵抗が最小となるような流路を流れる。高炉内で通気抵抗が最も大きい領域は融着帯であるため、ガスは融着帯を最短距離で通過して炉頂まで流れると考えられる。したがって、融着帯上端と下端との最小距離を維持するような制御を行えば、融着帯層厚が増加しても、高炉内の通気性の悪化を抑制できると考えられる。
融着帯上端と下端との平均最小距離(Lmin)は、平均融着帯層厚(Lave)と平均融着帯角度(θave)とから、下記式(1)により計算される。
min=Lave×cos(θave) ・・・ (1)
ここで、図6は、後述するシミュレーションにより得られる融着帯形状を示す図であるが、図6(特に、図6(C))に示すように、平均融着帯層厚(Lave)は、融着帯の垂直方向高さの高炉内の全半径方向における平均値であり、平均融着帯角度(θave)は、高炉内の最も中心側の融着帯の下端位置と高炉内の最も炉壁側の融着帯の下端位置とを直線で結んだ線(の平行線)と水平線とがなす角度である。
上記の考えを検証するため、高炉操業シミュレータを使用して、性状の異なる塊鉱石を混合した鉄原料を装入した条件での融着帯形状を評価した。
高炉操業シミュレータとしては、『「高炉操業シミュレータの開発と溶銑シリコン低減への適用」、川崎製鉄技報、1997年、第29巻、第1号、p.30−36』に示されているシミュレータを用いた。このシミュレータは、装入物分布予測モデルと高炉2次元定常モデルとから構成される。装入物分布予測モデルは、炉頂部に設置され高炉内に原料を装入する装入シュートの傾動角に応じた落下軌跡をシミュレートし、原料の堆積形状をシミュレートするものである。高炉2次元定常モデルは、高炉を半径方向および軸方向に多数の細かいメッシュに分け、各メッシュについて、直接差分法により、物質移動、流体の流れ、伝熱および反応の計算を行い、融着帯の形状を求め、高炉操業状態をシミュレートするものである。両者は結合されており、装入物分布の変更が高炉操業結果に及ぼす影響をシミュレートできる。
ここでは、高炉の炉頂部から鉄原料とコークスとを交互に装入することで、高炉内にコークス層と鉄原料層とを交互に層状に堆積させるものとし、代表的な操業条件および鉱石層厚比分布を適用した例を用いた。
なお、鉱石層厚比は、鉄原料層の層厚(LO)とコークス層の層厚(LC)との和に対する鉄原料層の層厚(LO)の比(LO/(LO+LC))である。
実際の高炉操業においては、鉱石層厚比は、高炉の炉頂部から装入されたコークスおよび鉄原料の堆積形状を、例えばマイクロ波のプロフィール計等で測定し、得られた測定結果から計算して求めることができる。
図5は、鉱石層厚比分布のパターンを示すグラフである。図5のグラフおいて、横軸は、高炉内の半径をR、高炉内の中心からの半径方向の位置をrとしたときの高炉内の無次元半径(r/R)であり、縦軸は、鉱石層厚比(LO/(LO+LC))である。なお、無次元半径(r/R)は、0≦(r/R)≦1となる値であり、高炉内の中心で0、高炉内の炉壁で1となる。
図5のグラフに示すように、2つの装入パターンAおよびBを用意し、シミュレートした。装入パターンAは、r/Rが0.85以上の炉壁側領域で、炉中間部(r/Rが0.65の領域)と同等の鉱石層厚比(LO/(LO+LC))を維持する装入パターンである。一方、装入パターンBは、r/Rが0.85以上の炉壁側領域で、炉中間部(r/Rが0.65の領域)に対して鉱石層厚比(LO/(LO+LC))を低減する装入パターンである。なお、鉱石層厚比(LO/(LO+LC))が小さいほど、ガス流量が多いことを示す。
図6(A)は、装入パターンAの融着帯形状を示す図であり、図6(B)は、装入パターンBの融着帯形状を示す図であり、図6(C)は、融着帯付近を拡大して示す図である。装入パターンA(図6(A))と装入パターンB(図6(B))とについて、融着帯形状を比較すると、平均融着帯層厚(Lave)はほぼ同じであるが、平均融着帯角度(θave)は異なっている。そして、平均融着帯角度(θave)が大きい装入パターンAの方が、高炉の炉内圧損が2kPa小さくなった。これは、平均融着帯層厚(Lave)は同じであっても、平均融着帯角度(θave)が大きく、融着帯上端と下端との平均最小距離(Lmin)が短い場合には、通気抵抗が大きい融着帯をガスが通過する距離が短くなり融着帯での圧損が低下するため、高炉の炉内圧損が小さくなったからであると考えられる。
平均融着帯角度(θave)は、上述したシミュレーションにより得られる指数であるが、実際の高炉操業においては、鉱石層厚比によって制御することができる。
高炉内の中心側の鉱石層厚比を低減すると、高炉内の中心側のガス流れが多くなり、高炉内の中心側の融着帯位置が高炉の上部側に移行するため、平均融着帯角度(θave)が大きくなる。一方、高炉内の炉壁側の鉱石層厚比を低減すると、高炉内の炉壁側のガス流れが多くなり、高炉内の炉壁側の融着帯位置が高炉の上部側に移行するため、平均融着帯角度(θave)が小さくなる。
したがって、高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)と高炉内の最も炉壁側の鉱石層厚比(Lw)との比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を計算し、この鉱石層厚指数(LOI)を調整することで、平均融着帯角度(θave)を制御し、高炉の炉内圧損を調整できる。
鉱石層厚指数(LOI)を増加させると、平均融着帯角度(θave)が小さくなり、融着帯上端と下端の平均最小距離(Lmin)が長くなるため、高炉の炉内圧損が上昇する。一方、鉱石層厚指数(LOI)を減少させると、平均融着帯角度(θave)が大きくなり、融着帯上端と下端の平均最小距離(Lmin)が短くなるため、高炉の炉内圧損が低下する。このため、鉱石層厚指数(LOI)を減少させることで、高炉内の通気性の悪化を抑制できる。
図5および図6における条件では、装入パターンAの方が、鉱石層厚指数(LOI)が0.08だけ小さく、高炉の炉内圧損も小さかった。
鉱石層厚指数を調整する方法としては、高炉内の半径方向の鉱石層厚比分布を調整する方法が一般的であり、例えば、高炉内の炉壁側の鉱石層厚比を増加させて鉱石層厚指数を減少させる方法;高炉内の炉壁側の鉱石層厚比を減少させて鉱石層厚指数を増加させる方法;高炉内の中心側の鉱石層厚比を増加させて鉱石層厚指数を増加させる方法;高炉内の中心側の鉱石層厚比を減少させて鉱石層厚指数を減少させる方法;等が挙げられる。
なお、鉱石層厚比は、コークスと鉄原料とを高炉内の半径方向のどの位置に装入するかで決まる。コークスに比べて鉄原料の方が装入量が多いため、鉄原料の装入量を調整することで鉱石層厚比を調整する方が、鉱石層厚指数を調整しやすい。このため、高炉内の中心側または炉壁側の鉄原料の装入量を調整することで鉱石層厚指数を調整することが好ましい。
以上説明したように、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用すると、通気抵抗が大きい融着帯の層厚が増加して、高炉内の通気性が悪化する。なお、本発明において、「結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用する」とは、「鉄原料が、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を、20質量%以上含有する場合に、その含有量を増加させる」ことを含む概念である。
しかしながら、鉱石層厚指数を減少させることにより平均融着帯角度を大きくする制御を行い、融着帯上端と下端との最小距離を短くすることで、高炉内の通気性を改善できる。したがって、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用する場合にも、高炉内の通気性の悪化を抑制しながら操業できる。
なお、「高結晶水鉱石」とは、結晶水含有量が例えば3質量%以上と多い鉄鉱石のことを指す。このような「高結晶水鉱石」のうち、本発明が対象とするのは、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石である。
高結晶水鉱石の態様としては、例えば、上述した荷重軟化実験で使用したような、塊鉱石が挙げられる。「塊鉱石」とは、JIS M 8700:2013(ISO 11323:2010)に規定された、粒度の下限が10〜6.3mmの範囲の粗い粒子からなる鉱石(鉄鉱石)のことをいう。
結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石について、その結晶水含有量の上限は特に限定されないが、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
また、鉄原料中に含まれる、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石の量(混合率)についても、その上限は特に限定されないが、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
なお、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石以外の鉄原料としては、特に限定されず、例えば、結晶水含有量が6質量%未満の高結晶水鉱石(塊鉱石を含む)、高結晶水鉱石には該当しない塊鉱石、焼結鉱(結晶水含有量が0質量%)等が挙げられる。
次に、上述した荷重軟化実験および高炉操業シミュレータにより、高炉の炉内圧損が一定となるような結晶水含有量と鉱石層厚指数(LOI)との関係を詳細に調査した。本調査においては、使用する鉄原料中の塊鉱石の量を一定値(20質量%)に固定し、この塊鉱石の結晶水含有量を変化させ、このとき、高炉の炉内圧損が一定値(例えば、89kPa、90kPa、または、91kPa)となるように、鉱石層厚指数(LOI)を変化させた。なお、結晶水含有量を変化させた塊鉱石以外の鉄原料としては、焼結鉱を用いた。
図7は、高炉の炉内圧損が一定となるような結晶水含有量と鉱石層厚指数(LOI)との関係についての計算結果を示すグラフである。図7のグラフにおいて、横軸は高結晶水鉱石の結晶水含有量(CW)(単位:質量%)であり、縦軸は鉱石層厚指数(LOI)である。
図7のグラフ中の各直線は、高炉の炉内圧損が一定値(例えば、最も左下の直線は、89kPa)となるときの、結晶水含有量(CW)と鉱石層厚指数(LOI)との関係を示し、その傾きは、−0.0165である。
したがって、図7のグラフから、高結晶水鉱石の結晶水含有量が「ΔCW」質量%だけ増加する場合には、下記式(2)を満たすように鉱石層厚指数(LOI)を減少させる操業を行うことで、高炉内の通気性の悪化を抑制できることが分かる。
ΔLOI≦−0.0165×ΔCW ・・・(2)
ただし、ΔLOIは鉱石層厚指数(LOI)の変化量である。
すなわち、結晶水含有量を5質量%から9質量%にする場合(つまり、4質量%だけ増加させる場合)において、高炉の通気性を少なくとも維持するためには、鉱石層厚指数(LOI)の変化量を「−0.066(=−0.0165×4)」以下にすればよい。
例えば、結晶水含有量を5質量%から9質量%にする場合において、高炉の炉内圧損を90kPa(図7のグラフ中、最も真ん中の直線)に維持するためには、鉱石層厚指数(LOI)を、約0.59(CW=5質量%)から直線に沿って0.066だけ減じて約0.524(CW=9質量%)にすればよい。このとき、鉱石層厚指数(LOI)の減少量を0.066よりも大きくする(つまり、直線よりも下側の領域にする)ことで、高炉の炉内圧損を90kPaよりも低下させることができる。
このように、高結晶水鉱石の結晶水含有量(CW)の増加量(ΔCW)に対して、鉱石層厚指数(LOI)の変化量(ΔLOI)を「−0.0165×ΔCW」に相当する程度にすることで、高炉の炉内圧損の上昇を抑制できるが、上述したように、ΔLOIを「−0.0165×ΔCW」以下にしても、高炉の炉内圧損の観点からは問題なく、操業を維持できる。
ただし、比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を過剰に小さくすることは、高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)を小さくすることになり、高炉内の中心側の鉱石量を低減させ、炉頂温度や還元材比の上昇を招きやすくなる場合がある。したがって、Lcの下限は、0.1とすることが好ましい。
なお、本発明は、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用する(例えば、鉄原料が、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を、20質量%以上含有する場合に、その含有量(混合率)を増加させる)際に、この高結晶水鉱石の影響による高炉の炉内圧損の上昇を抑制するものである。このため、この高結晶水鉱石の使用量(混合率)の増加の後は、通常の操業アクションにより操業を継続すればよい。すなわち、溶銑温度、高炉の炉内圧損等を適正に保ちながら、還元材比の低減を図る通常の操業を行うことになる。
また、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石の使用量(混合率)を低減する場合には、平均融着帯角度(θave)は大きくなる方向へ向かうため、高炉の炉内圧損は低減することになる。この場合、高炉操業的には好ましい方向へ向かうので、特段、ΔLOIを調整する必要はない。通常の操業アクションにより操業を続ければよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実験例1〜8>
内容積が5000mである高炉を用い、高結晶水鉱石である塊鉱石の結晶水含有量および混合率を変化させ、さらに鉱石層厚指数を調整する操業を行い、通気抵抗指数を評価した。所定の結晶水含有量を有する塊鉱石以外の鉄原料としては、焼結鉱を用いた。結果を下記第1表に示す。下記第1表には、操業条件等も記載した。
なお、通気抵抗指数は、K=(P −P )/V1.7×100で表される指数であり、P:送風圧(kPa)、P:炉頂圧(kPa)、V:送風量(Nm/分)である。この値が小さいほど、高炉内の通気性が良好であると評価できる。
上記第1表に示すように、実験例1〜3においては、結晶水含有量が5.5質量%(6質量%未満)の塊鉱石を使用したが、この場合は、その混合率が増加しても、通気抵抗指数はやや上昇したが大きな変化は見られなかった。
しかし、実験例4〜6のように、結晶水含有量が8.6質量%(6質量%以上)の塊鉱石を使用した場合には、その混合率が20質量%以上になると、通気抵抗指数の上昇が顕著となり、高炉内の通気性の悪化が確認された。そして、コークス比が上昇した操業となった。
次に、実験例5と実験例7とを対比する。両者は共に、結晶水含有量が8.6質量%の塊鉱石を使用し、かつ、その混合率が21質量%であるが、実験例5では「0.58」であった鉱石層厚指数(LOI)を、実験例7において「0.52」に減少させることで、通気抵抗指数が低下し、実験例4(塊鉱石の混合率が15質量%)と同等以下の通気抵抗指数となり、高炉内の通気性の悪化を抑制できたことが分かった。
この傾向は、塊鉱石の混合率が大きい実験例6と実験例8との対比においても同様であった。すなわち、両者は共に、結晶水含有量が8.6質量%の塊鉱石を使用し、かつ、その混合率が30質量%であるが、実験例6では「0.59」であった鉱石層厚指数(LOI)を、実験例8において「0.51」に減少させることで、通気抵抗指数が低下し、実験例4(塊鉱石の混合率が15質量%)と同等以下の通気抵抗指数となり、高炉内の通気性の悪化を抑制できたことが分かった。
そして、実験例7および実験例8においては、コークス比の上昇も抑制できた。
ここで、実験例2と実験例7とを見る。両者は、いずれも塊鉱石の混合率が21質量%であるが、実験例2に対して実験例7は、塊鉱石の結晶水含有量が3.1質量%(8.6質量%−5.5質量%)だけ増加している。この場合、上述した式(2)を考慮すると、鉱石層厚指数(LOI)を、実験例2の「0.58」から「−0.05115(=−0.0165×3.1)」だけ変化させれば、実験例2の通気抵抗指数「2.46」が維持される。ここで、実験例7においては、実験例2からの鉱石層厚指数(LOI)の変化量(ΔLOI)は「−0.06(=0.52−0.58)」であり、「−0.05115」よりも大きい変化量であるから、実験例7の通気抵抗指数は「2.44」となっており、実験例2の通気抵抗指数「2.46」よりも低い値が得られている。
これは、実験例3と実験例8との対比においても同様である。両者は、いずれも塊鉱石の混合率が30質量%であるが、実験例3に対して実験例8は、塊鉱石の結晶水含有量が3.1質量%(8.6質量%−5.5質量%)だけ増加している。この場合、上述した式(2)を考慮すると、鉱石層厚指数(LOI)を、実験例3の「0.57」から「−0.05115(=−0.0165×3.1)」だけ変化させれば、実験例3の通気抵抗指数「2.49」が維持される。ここで、実験例8においては、実験例3からの鉱石層厚指数(LOI)の変化量(ΔLOI)は「−0.06(=0.51−0.57)」であり、「−0.05115」よりも大きい変化量であるから、実験例8の通気抵抗指数は「2.44」となっており、実験例3の通気抵抗指数「2.49」よりも低い値が得られている。
1:還元試験装置(荷重軟化実験炉)
4:加熱炉
5:試料(鉱石)
6:黒鉛るつぼ
6a:底部
6b:ガス流通口
7:パンチ棒
7a:押当部
7b:貫通孔
8:円筒状炉心管
9:ヒータ
10:円筒状反応管
15:還元ガス入り口
16:入側配管
17:排ガス出口
18:出側配管
20:圧力計
21:圧力計
22:滴下物サンプリング装置
22a:ターンテーブル
P11:還元ガスの圧力
P12:排ガスの圧力

Claims (2)

  1. 高炉の炉頂部からコークスと鉄原料とを交互に装入することで前記高炉内にコークス層と鉄原料層とを交互に層状に堆積させる高炉操業方法であって、
    前記鉄原料として、結晶水含有量が6質量%以上の高結晶水鉱石を20質量%以上含む鉄原料を使用するに当たり、
    前記高炉内の最も中心側の鉱石層厚比(Lc)と前記高炉内の最も炉壁側の鉱石層厚比(Lw)との比率(Lc/Lw)で表される鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、高炉操業方法。
    ただし、前記鉱石層厚比は、前記鉄原料層の層厚と前記コークス層の層厚との和に対する前記鉄原料層の層厚の比である。
  2. 前記高結晶水鉱石の結晶水含有量がΔCW質量%増加する場合に、下記式(2)を満たすように前記鉱石層厚指数(LOI)を減少させる、請求項1に記載の高炉操業方法。
    ΔLOI≦−0.0165×ΔCW ・・・(2)
    ただし、ΔLOIは前記鉱石層厚指数(LOI)の変化量である。
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