JP7513200B2 - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、羽口前の高炉内で高濃度還元ガスを発生させる高炉の操業方法に関し、詳しくは、高炉内の融着帯及び滴下帯における金属鉄の通液性、及び、高炉内ガスの通気性を向上させる高炉の操業方法に関する。
近年、温室効果ガスの一つであるCOガス(二酸化炭素ガス)の排出量削減の動きが高まっている。高炉による製鉄法では、還元材として炭材を使用するため、多量のCOガスが発生する。したがって、鉄鋼業はCOガスの排出量において主要な産業のひとつとなっており、COガスの排出量削減という社会的要請に応えねばならない。具体的には、高炉操業での更なる石炭由来の還元材比の削減が急務となっている。石炭由来の還元材比とは、溶銑1トンを製造するために要した石炭由来のコークス及び石炭由来の還元ガスの合計質量をいう。
還元材は、炉内で熱となって装入物を昇温させる役割と、炉内の鉄系原料である鉄鉱石、鉄鉱石の焼結鉱、鉄鉱石のペレットを還元する役割がある。還元材比を低減させてCOガスの排出量を削減するには、炉内の熱量を保ちながら、還元材の還元効率を高める必要がある。
COガスの排出量削減を目的とした還元材として、水素が注目されている。水素による鉄鉱石の還元は吸熱反応であるが、その吸熱量は直接還元反応(反応式:FeO+C→Fe+CO)よりも小さく、水素による還元速度はCOガスによる還元速度よりも速い。このため、高炉への水素系ガスの吹き込みにより、COガスの排出量削減、及び、還元効率の向上を同時に図ることができる。
高炉の安定操業のためには、高炉内の鉄系原料が融着している融着帯の通気性を確保することが必要である。しかしながら、羽口前の炉内で高濃度還元ガスを発生させる高炉操業、及び、従来の操業よりも炉内還元ガス濃度が高くて還元反応速度が速い高炉操業においては、高炉内の通気性が明らかになっていない。
水素による還元時は、COガス還元時と比べて鉄系原料の還元率が高くなる。このため、高還元率時での高炉操業においても、適切な金属鉄(還元されて生成する金属鉄)の通液性及びガス通気性を確保することのできる原料装入条件で操業することが必要である。
上記課題に類似した問題を解決するための従来技術として、特許文献1、2に開示される技術が提案されている。
特許文献1には、鉱石層/コークス層の周辺領域における相対層厚比が0.50~0.70となる高炉において、炉頂装入物の炉口半径方向に沿った装入パターンを確実且つ的確に調整して高炉の安定操業を実現する装入物分布制御方法が開示されている。
特許文献2には、羽口から微粉炭を溶銑トン当り180kg以上吹き込む高炉操業において、コークス層厚Lcと、コークス層厚Lc及び鉱石層厚Loを合わせた装入層厚との比を、炉半径方向における各領域で所定の値を満足するように炉頂からコークス及び鉄鉱石を装入する高炉操業方法が開示されている。特許文献2によれば、高炉上部の装入物層での圧力損失を低減することができ、炉内通気性を良好に保ち、安定した高微粉炭吹き込み操業が可能となるとしている。
特開2000-256712号公報 特開2002-129211号公報
しかしながら、これら従来技術は、何れも鉄系原料の還元率が低い条件下での操業を対象とした技術である。このため、これら従来技術は、羽口前の高炉内で高濃度還元ガスを発生させて鉄系原料の還元率を高め、これにより金属鉄の通液性が悪化し、融着帯における通気性の低下が発生する高炉操業を解決するには有効ではない。
つまり、羽口前の炉内で発生する高濃度還元ガスが、図1(図1の説明は後述する)の領域Aの範囲内(Hガス=0~100体積%、Nガス=0~71体積%、COガス=0~100体積%を含む範囲内)となるように操業した場合、従来の操業以上に鉄系原料の低温からの還元が促進されるので到達還元率が高くなる。これにより、高炉内で生成される金属鉄量が増加する。
鉄(Fe)の融点は1538℃であり、FeOの融点である1377℃よりも高い。このため、従来の操業方法の原材料装入方法では、金属鉄の通液性が低下し、炉床部に滴下するべき金属鉄がコークス層の空隙中に滞留してしまうという問題がある。そのため、高炉内の通気抵抗が増加し、吹き抜けが誘発されることが懸念される。
本発明は上記事情を鑑みてなされたもので、その目的は、羽口前の炉内で高濃度還元ガスを発生させる高炉操業を実施するに際し、高炉内の融着帯及び滴下帯で金属鉄の通液性を適切に保ち、高炉内のガス通気性を操業可能範囲に確保できる、高炉の操業方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した。その結果、羽口前の高炉内で高濃度還元ガスを発生させる高炉操業では、鉄系原料とコークスとの境界面積を制御し、炉内で生成した金属鉄へのコークス中炭素の浸炭面積を増加させ、炭素の浸炭による金属鉄の融点低下を促進させる。これにより、高炉内の融着帯及び滴下帯における金属鉄の通液性及びガス通気性を良好に保てるとの知見を得た。本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1] 高炉の炉頂から鉄系原料及びコークスを交互に装入し、高炉の羽口から羽口前の炉内で高濃度還元ガスを発生させるガスを吹き込む高炉の操業方法であって、前記鉄系原料と前記コークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積を所定範囲内にする、高炉の操業方法。
[2] 前記単位鉄系原料当たりの境界面積は、単位鉄系原料当たりの鉄系原料層とコークス層との境界面積と鉄系原料と鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子との境界面積との合計である、[1]に記載の高炉の操業方法。
[3] 前記単位鉄系原料当たりの境界面積を25m/鉱石-ton以上にする、[2]に記載の高炉の操業方法。
[4] 前記高濃度還元ガスは、ボッシュガス組成として表すと、Hガス、Nガス及びCOガスで構成され、Hガス、Nガス及びCOガスの割合が、Hガス-Nガス-COガスの3元系ダイアグラムにおけるHガス;0体積%、Nガス;0体積%、COガス;100体積%の点と、Hガス;100体積%、Nガス;0体積%、COガス;0体積%の点と、Hガス;29体積%、Nガス;71体積%、COガス;0体積%の点と、Hガス;0体積%、Nガス;37体積%、COガス;63体積%の点の4点で囲まれる領域内の組成であり、0~100体積%の範囲内のHガスと、0~71体積%の範囲内のNガスと、0~100体積%の範囲内のCOガスとを含む、[1]に記載の高炉の操業方法。
[5] 前記高濃度還元ガスは、ボッシュガス組成として表すと、Hガス、Nガス及びCOガスで構成され、Hガス、Nガス及びCOガスの割合が、Hガス-Nガス-COガスの3元系ダイアグラムにおけるHガス;0体積%、Nガス;0体積%、COガス;100体積%の点と、Hガス;100体積%、Nガス;0体積%、COガス;0体積%の点と、Hガス;29体積%、Nガス;71体積%、COガス;0体積%の点と、Hガス;0体積%、Nガス;37体積%、COガス;63体積%の点との4点で囲まれる領域内の組成であり、0~100体積%の範囲内のHガスと、0~71体積%の範囲内のNガスと、0~100体積%の範囲内のCOガスとを含む、[2]に記載の高炉の操業方法。
[6] 前記高濃度還元ガスは、ボッシュガス組成として表すと、Hガス、Nガス及びCOガスで構成され、Hガス、Nガス及びCOガスの割合が、Hガス-Nガス-COガスの3元系ダイアグラムにおけるHガス;0体積%、Nガス;0体積%、COガス;100体積%の点と、Hガス;100体積%、Nガス;0体積%、COガス;0体積%の点と、Hガス;29体積%、Nガス;71体積%、COガス;0体積%の点と、Hガス;0体積%、Nガス;37体積%、COガス;63体積%の点との4点で囲まれる領域内の組成であり、0~100体積%の範囲内のHガスと、0~71体積%の範囲内のNガスと、0~100体積%の範囲内のCOガスとを含む、[3]に記載の高炉の操業方法。
[7] 前記高濃度還元ガス中のH量は0~500Nm/溶銑-tonの範囲内である、[1]から[6]のいずれかに記載の高炉の操業方法。
本発明では、羽口前の炉内で高濃度還元ガスを発生させる高炉操業を実施するに際し、炉頂から装入する鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積を所定範囲内にする。これにより、生成される金属鉄の浸炭が促進されて金属鉄の融点が低下し、高炉内の融着帯及び滴下帯での金属鉄の通液性が適正に保たれる。この結果、高炉内のガス通気性を操業可能範囲に確保することができ、高炉の安定操業を実現できる。
図1は、Hガス-Nガス-COガスの3元系ダイアグラムのガス成分組成において、本実施形態に係る高炉の操業方法で羽口前の炉内で生成させる高濃度還元ガスの成分範囲をボッシュガス組成として示す図である。 図2は、高炉内の鉄系原料層及びコークス層の形状を模式的に示す図である。 図3(A)は、鉄系原料層と、鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子とを模式的に示す図であり、図3(B)は、鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子の形状を模式的に示す図である。 図4は、金属鉄滴下量と、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitとの関係を示すグラフである。 図5は、通気抵抗指数KSと、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitとの関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。本実施形態に係る高炉の操業方法は、高炉の炉頂から鉄系原料及びコークスを高炉内に交互に且つ層状に装入するともに、高炉の下部に設けられた羽口から高炉内にガスを吹き込み、羽口から吹き込んだガスにより、羽口前の高炉内で高濃度還元ガスを生成させる高炉操業方法である。鉄系原料には、例えば、鉄鉱石、鉄鉱石の焼結鉱、鉄鉱石のペレット、還元鉄及び鉄スクラップが含まれる。使用する鉄系原料及びコークスの種類は特に制限されず、従来の高炉操業に使用される鉄系原料及びコークスであれば本発明においても好適に使用できる。
高濃度還元ガスを生成させるためのガスは、高炉内の鉄系原料を還元する還元成分を含む。ここで、高炉内の鉄系原料を還元する還元成分とは、それ自体が鉄系原料を還元することができる成分であるCOガス、Hガス、炭化水素ガスだけでなく、コークスとの反応または分解反応などによって還元ガスを生成する成分であるCOガス、HOガスなども含まれる。
図1は、Hガス-Nガス-COガスの3元系ダイアグラムのガス成分組成において、本実施形態に係る高炉の操業方法で羽口前の炉内で生成させる高濃度還元ガスの成分範囲を示す図である。本実施形態における高濃度還元ガスとは、当該高濃度還元ガスを用いて鉄系原料を900℃で180分間還元した際の平均還元率が80%以上になる還元ガスである。この還元ガスをボッシュガス組成で表すと、Hガス、Nガス及びCOガスで構成され、Hガス、Nガス及びCOガスの割合(但し、Hガス+Nガス+COガス=100体積%としたときの割合)が、図1に斜線部で示す領域A(本発明の操業の範囲)の範囲内であり、0~100体積%の範囲内のHガス、0~71体積%の範囲内のNガス、0~100体積%の範囲内のCOガスを含むガス組成である。
領域Aは、Hガス-Nガス-COガスの3元系ダイアグラムにおいて、点O(Hガス;0体積%、Nガス;0体積%、COガス;100体積%)、点P(Hガス;100体積%、Nガス;0体積%、COガス;0体積%)、点Q(Hガス;29体積%、Nガス;71体積%、COガス;0体積%)及び点R(Hガス;0体積%、Nガス;37体積%、COガス;63体積%)の4点で囲まれる範囲内である。また、図1には、従来の一般的な高炉操業範囲のガス組成を比較して示す。
この領域Aの中で、点O’(Hガス;0体積%、Nガス;0体積%、COガス;100体積%)、点P’(Hガス;100体積%、Nガス;0体積%、COガス;0体積%)、点Q’(Hガス;43体積%、Nガス;57体積%、COガス;0体積%)及び点R’(Hガス;0体積%、Nガス;14体積%、COガス;86体積%)の4点で囲まれる範囲内は、鉄系原料を900℃で180分間還元した際の平均還元率が90%以上になるので、炉内の融着帯におけるスラグ成分中FeO量が著しく低下する。このため、この成分範囲内の高濃度還元ガスを羽口の炉内で生成させる場合には、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積を所定の範囲内にし、金属鉄の通液性を適正に保つ効果がさらに高くなる。
本発明者らは、高炉を模擬した縮尺1/4の小型試験炉を用いて羽口前の炉内で高濃度還元ガスを発生させる試験を行い、炉内の融着帯及び滴下帯での鉄系原料とコークスとの境界面積と、金属鉄(還元されて生成する金属)の滴下量との関係を調査する試験を行った。ここで、鉄系原料とコークスとの境界面積とは、鉄系原料層とコークス層との境界面積S、及び、鉄系原料と鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子との境界面積Smixを合計した境界面積Stotalである(Stotal=S+Smix)。
図2は、炉内の鉄系原料層及びコークス層の形状を模式的に示す図である。鉄系原料層及びコークス層は、図2に示すように、層状のまま高炉内を降下することが確認された。この場合、鉄系原料層とコークス層との境界は、鉄系原料層下面のコークス層上面との境界(図2の境界1)、及び、鉄系原料層上面のコークス層下面との境界(図2の境界2)の二箇所となる。境界1及び境界2は面積が等しいとして、鉄系原料層とコークス層との境界面積Sを、下記の(1)式によって算出した。
Figure 0007513200000001
上記(1)式において、Dは試験炉の炉径(m)であり、θは炉内装入物(鉄系原料層及びコークス層)の水平線に対する傾斜角度(°)であり、πは円周率である。炉径Dは試験炉の設計図から得られる炉腹径を使用し、傾斜角度θは炉内塊状帯で測定された値を使用した。鉄系原料層とコークス層との境界が直線で近似できない場合は、例えば、直線で近似可能となるよう半径方向において境界を複数領域に分割し、それぞれの領域における傾斜角度の平均値を用いて傾斜角度θを算出する。
図3(A)は、鉄系原料層と、鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子とを模式的に示す図であり、図3(B)は、鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子の形状を模式的に示す図である。鉄系原料と鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子との境界面積Smixは、鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子を、図3(B)に示すように、正八面体とみなすことで、下記の(2)式及び(3)式によって算出した。
Figure 0007513200000002
上記(2)、(3)式において、aは正八面体の一辺の長さ(m)であり、Wは炉内の鉄系原料層の1層当たりに混合される混合コークスの質量(ton/charge)であり、ρはコークスの見掛け密度(kg/m)であり、dは混合コークスの粒径(m)である。コークスの見掛け密度ρは、粒子内の空隙を含めた単位容積当たりの質量に基づき、液浸法により測定した。混合コークスの粒径dは、混合装入層から採取されたコークスの平均粒径とした。
鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitは、下記の(4)式で表される。
Figure 0007513200000003

上記(4)式において、WIronは、炉内の鉄系原料層の1層当たりの鉄系原料の質量(ton/charge)である。
鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitとは、鉄系原料層下面とコークス層上面との境界面積、及び、鉄系原料層上面とコークス層下面との境界面積、並びに、鉄系原料層にコークス粒子を混合して装入する際のコークス粒子を正八面体とみなして、コークス粒子数分の正八面体の表面積を鉄系原料とコークス粒子との境界面積として計算し、両者を合計した境界面積StotalをWIronで除算した値である。
小型試験炉において、原料装入条件を従来方法の操業条件であって、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitが約14m/鉱石-tonである条件として、羽口前の炉内で高濃度還元ガスを生成させる試験を行った。この原料装入条件では、融着帯における溶融物の滴下量が従来の試験の10分の1程度まで減少し、通気性が安定した試験が継続可能となる範囲外まで悪化した。これは、羽口前の炉内に高濃度還元ガスを生成する高炉操業に適した原料装入条件の再設定が必要であることを示している。
金属鉄の通液性を向上させるには、高炉内で還元されて生成される金属鉄への浸炭面積を増加させることが必要であるとの知見に基づき、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitを変更して小型試験炉の羽口前の炉内に高濃度還元ガスを生成させる試験を行った。この試験では、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitを12~35m/鉱石-tonの範囲内で変更して、金属鉄滴下量及び通気抵抗指数KSに及ぼす、単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitの影響を調査した。
金属鉄滴下量は、試験中に滴下した溶融物を実験後に回収し、金属鉄とスラグとを分離した後、重量計で金属鉄の重量を測定した。通気抵抗指数KSは、炉内の温度が1000℃以上の領域において測定された圧力損失と、操業条件より推定される物性値とをもとに算出された通気抵抗K値(1/m)の積分値として算出した。
<通気抵抗指数KSの算出方法>
通気抵抗K値(1/m)は、下記の(5)式で算出される。
K=(ΔP/H)/(ρgas 0.7×μgas 0.3×vgas 1.7)…(5)
ここで、ΔPは圧力損失(Pa)であり、Hは炉内充填層層厚(m)であり、ρgasはガス密度(kg/m)であり、μgasはガス粘度(Pa・s)であり、vgasはガス流速(m/s)である。ΔPは、羽口と試験炉上部(充填層よりも上部空間)の炉壁に圧力計を設置して圧力の差分を計算することで求められる。Hは、充填層表面の位置を、例えば試験炉上部に穿孔した穴から測定用治具を差し込んで測定し、充填層表面位置と羽口が設置された位置との高さ方向の距離をHとして用いる。充填層表面の位置は、レーザー距離計を用いて測定してもよい。ρgasは、羽口から導入したガス成分と、炉内の温度と、炉内の圧力とから算出できる。μgasは、羽口から導入したガス成分と、炉内の温度とから算出できる。vgasは、羽口から導入したガス流量と、炉内の温度と、炉内の圧力とから算出できる。ここで、炉内の温度は、充填層に対応した位置の炉壁に複数の温度計を設置し、当該温度計の測定値の平均値を用いる。同様に、炉内の圧力は、充填層に対応した位置の炉壁に複数の温度計を設置し、当該圧力計の測定値の平均値を用いる。ΔPの算出に用いた羽口の圧力と、充填層上部の圧力との平均値を炉内の圧力として用いてもよい。
通気抵抗指数KSは、下記の(6)式で算出される。
Figure 0007513200000004

(6)式において、Tmaxは、炉内圧力損失を測定した最高温度であり、測定の都度異なるが1500~1650℃程度である。
図4は、金属鉄滴下量と、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitとの関係を示すグラフである。図4の横軸は鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積(m/鉱石-tоn)であり、縦軸は無次元金属滴下量(-)である。無次元金属滴下量とは、単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitが25m/鉱石-tonのときの金属鉄滴下量を1.0とした無次元の金属鉄滴下量である。単位(-)は無次元であることを意味する。
図5は、通気抵抗指数KSと、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitとの関係を示すグラフである。図5の横軸は、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積(m/鉱石-tоn)であり、縦軸は通気抵抗指数KS(10℃/mである。
図4に示すように、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitが25m/鉱石-ton以上になると、金属鉄の滴化量が増加することが確認された。これは、還元されて生成する金属鉄とコークス中の炭素とが接触するチャンスが増え、金属鉄が浸炭されて金属鉄の融点が低下することによると考えられる。
また、図5に示すように、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitが25m/鉱石-ton以上になると、金属鉄の滴化量が増加することに伴って、通気抵抗指数KSが目標値である2000以下に低下することが確認された。通気抵抗指数KSの目標値2000は、安定した試験が継続可能となる閾値である。安定した試験とは、充填層表面高さが時間に対して均一に低下し、吹き抜け等のトラブルが生じない試験を意味する。
これらの結果から、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitを25m/鉱石-ton以上とすることで、羽口前の炉内で高濃度還元ガスを生成させる試験を安定して行うことができることがわかった。
本実施形態に係る高炉の操業方法は、上記試験結果に基づきなされたものであり、高炉の炉頂から鉄系原料及びコークスを装入し、高炉の羽口から羽口前の炉内で高濃度還元ガスを発生させるガスを吹き込む高炉の操業方法であって、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitを所定範囲内にする高炉操業方法である。
ここで、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitを25m/鉱石-ton以上にすることが好ましい。これにより、十分な金属鉄の滴下量が得られ、高炉の安定操業が実現できる。一方、鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitが25m/鉱石-ton未満になると、十分な金属鉄の滴下量が得られず、通気抵抗指数KS値が高くなる。
また、境界面積Sunitは、炉内の鉄系原料層の1層当たりに混合される混合コークスの質量Wcを増加させるか、炉内の鉄系原料層の1層当たりの鉄系原料の質量WIronを減少させることで増加する。通常、高炉操業では、炉内の鉄系原料層の1層当たりに混合される混合コークスの質量Wを増加させると、鉄系原料に対するコークスの比率を一定にするため、コークス層に装入するコークス量を減少させるので、コークス層は薄層化する。一方、炉内の鉄系原料層の1層当たりの鉄系原料の質量WIronを減少させると、鉄系原料層が薄層化される。高炉の半径方向における原料の降下速度は必ずしも一定ではないので、コークス層や鉄系原料層が過度に薄層化されるとコークス層や鉄系原料層の層構造が崩れることがある。従って、鉄系原料及びコークスを高炉内に交互に且つ層状に装入し、層状のまま高炉内を降下させるには、境界面積Sunitを53.1m/鉱石-ton以下にすることが好ましい。
また、高濃度還元ガスは、当該高濃度還元ガス中のHガス量(炭化水素中の水素を含む)が0~500Nm/溶銑-tonの範囲内であることが好ましい。これにより、炉内温度の低下及び還元反応速度の低下を抑制できる。一方、高濃度還元ガス中のHガス量が500Nm/溶銑-tonを超えると、炉内温度が低下し、還元反応速度が低下するため、好ましくない。また、Hガスを単体で吹込む場合、羽口前温度を操業範囲内に保つためにHガスを加熱してから送風することが好ましい。
以上説明したように、本実施形態に係る高炉の操業方法では、羽口前の炉内で高濃度還元ガスを発生させる高炉操業を実施するに際し、炉頂から装入する鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitを所定範囲内にする。これにより、生成する金属鉄の浸炭が促進されて金属鉄の融点が低下し、高炉内の融着帯及び滴下帯での金属鉄の通液性が適正に保たれ、高炉内のガス通気性を操業可能範囲内に確保でき、高炉の安定操業を実現できる。
大型高炉を用いて、炉頂から鉄系原料及びコークスを交互に装入し、鉄系原料の質量及びコークス原料の質量を一定とし、炉頂から装入する鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitを変化させて、羽口前の炉内で高濃度還元ガスを生成させる高炉操業試験を実施した。操業条件及び試験結果を下記表1に示す。
Figure 0007513200000005
表1に示すとおり、炉頂から装入する鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitを本発明の範囲とした発明例1、2では、金属鉄の通液性及び通気性が良好で、安定操業が可能であることが確認された。一方、炉頂から装入する鉄系原料とコークスとの単位鉄系原料当たりの境界面積Sunitが本発明の範囲外である比較例1では、十分な金属鉄の通液性は得られず、通気性も不良であった。

Claims (2)

  1. 高炉の炉頂から鉄系原料及びコークスを交互に装入し、高炉の羽口から羽口前の炉内で高濃度還元ガスを発生させるガスを吹き込む高炉の操業方法であって、
    前記高濃度還元ガスは、ボッシュガス組成として表すと、H ガス、N ガス及びCOガスで構成され、H ガス、N ガス及びCOガスの割合が、H ガス-N ガス-COガスの3元系ダイアグラムにおけるH ガス;0体積%、N ガス;0体積%、COガス;100体積%の点と、H ガス;100体積%、N ガス;0体積%、COガス;0体積%の点と、H ガス;29体積%、N ガス;71体積%、COガス;0体積%の点と、H ガス;0体積%、N ガス;37体積%、COガス;63体積%の点との4点で囲まれる領域内の組成であり、0~100体積%の範囲内のH ガスと、0~71体積%の範囲内のN ガスと、0~100体積%の範囲内のCOガスとを含み、
    単位鉄系原料当たりの鉄系原料層とコークス層との境界面積と鉄系原料と鉄系原料層に混合装入されたコークス粒子との境界面積との合計である単位鉄系原料当たりの境界面積を25m /鉱石-ton以上にする、高炉の操業方法。
  2. 前記高濃度還元ガス中のH量は0~500Nm/溶銑-tonの範囲内である、請求項1に記載の高炉の操業方法。
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