JP2016159306A - 調質圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧延機とエマルション圧延油とを用いて金属板を調質圧延する際に、エマルション圧延油の濃度を制御しつつ、エマルション圧延油の濃度に応じて所定の添加剤をエマルション圧延油に対して含有させることでエマルション圧延油のエマルション平均粒径を制御し、以下の式1の調質圧延パラメータAを1500以上とする調質圧延方法。A=[(金属板の板厚)1.5×(圧下率)0.5×(圧延速度)1.5]÷[(圧延油粒径)0.3×(圧延油濃度)0.1]・・・(式1)(圧延油粒径はエマルション平均粒径;金属板の板厚は0.1〜0.6[mm];圧下率は6〜40[%];圧延速度は800mpm以上;圧延油濃度は0.3〜2.5[質量%];圧延油粒径は2〜10[μm])
【選択図】図2
Description
本発明は、上記知見に基づくものであり、その要旨は、以下の通りである。
(2)前記エマルション圧延油に添加される前記添加剤の濃度は、0〜0.5質量%である、(1)に記載の調質圧延方法。
(3)前記エマルション圧延油は、天然油脂又は人工油脂である、(1)又は(2)に記載の調質圧延方法。
(4)前記添加剤は、脂肪酸アミン系防錆添加剤である、(1)〜(3)の何れか1つに記載の調質圧延方法。
[(圧延油粒径)0.3×(圧延油濃度)0.1] ・・・(式1)
ここで、上記式1において、圧延油粒径は、エマルション圧延油のエマルション平均粒径であり、
金属板の板厚:0.1〜0.6[mm]
圧下率:6〜40[%]
圧延速度:800mpm以上
圧延油濃度:0.3〜2.5[質量%]
圧延油粒径:2〜10[μm]
の範囲から選択され、上記単位で表された各値が上記式1に代入される。
本発明者は、調質圧延後に錆を発生させないためには、調質圧延後に金属板上に水分が残存していなければ良いと考え、調質圧延中に金属板上から水分を除去するための方法について鋭意検討を行った。本発明者は、一般的な調質圧延に用いられる圧延条件を検討した結果、金属板の温度が45℃以上となれば、錆が発生しない調質圧延方法が実現されることに想到した。
<調質圧延設備の一例について>
以下では、本発明の実施形態に係る調質圧延方法を説明するに先立ち、まず、本実施形態に係る調質圧延方法で用いられる調質圧延設備の一例について、図1を参照しながら簡単に説明する。図1は、本実施形態に係る調質圧延処理で用いられる調質圧延設備を模式的に示した説明図である。
次に、本発明者が見出した調質圧延パラメータについて、詳細に説明する。
本実施形態に係る調質圧延パラメータは、先だって説明したように、調質圧延における加工発熱及び摩擦発熱の発熱量に関係するパラメータであり、かかるパラメータの値が大きいほど、該当する圧延条件で実施される調質圧延において加工発熱及び摩擦発熱の発熱量が大きいことを示唆するものである。この調質圧延パラメータAは、以下の式1で表される。
[(圧延油粒径)0.3×(圧延油濃度)0.1] ・・・(式1)
金属板の板厚:0.1〜0.6[mm]
圧下率:6〜40[%]
圧延速度:800mpm以上
圧延油濃度:0.3〜2.5[質量%]
圧延油粒径:2〜10[μm]
の範囲から選択され、上記単位で表された各値が上記式1に代入される。
○圧延速度:速いほどコイル捲き取りまでの時間が短くなり、抜熱時間が少ないことから板温低下が小さいため、正の相関となる。
○板厚:薄いほど抜熱が大きく温度低下が大きいため正の相関となる。ここで、板厚×速度=マスフロー一定である。
○圧下率:高いほど加工発熱が大きくなるため、正の相関となる。
従って、これら3つの圧延条件は、上記式1で表される調質圧延パラメータAにおいて、分子に位置する圧延条件となる。
○圧延油エマルション粒径:大きいほど摩擦係数は下がるため、負の相関となる。
また、圧延油の濃度や圧延油のエマルション平均粒径は、調質圧延における摩擦力に影響する圧延条件である。従って、これら2つの圧延条件は、上記式1で表される調質圧延パラメータAにおいて、分母に位置する圧延条件となる。
本実施形態に係る調質圧延方法において、金属板の板厚は、0.1〜0.6mmとする。金属板の板厚が0.1mm未満である場合には、金属板の厚みが薄くなりすぎ、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができない。また、金属板の板厚が0.6mm超過である場合には、抜熱が小さくなるため、好ましくない。金属板の板厚を0.1〜0.6mmとすることで、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができ、調質圧延後の錆発生を防止することが可能となる。
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧下率は、6〜40%とする。圧下率が6%未満である場合には、調質圧延に際して、圧延不安定領域であり圧延ができない。また、圧下率が40%超過である場合には、形状確保が困難であるため、好ましくない。圧下率を6〜40%とすることで、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができ、調質圧延後の錆発生を防止することが可能となる。
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧延速度は、800mpm以上とする。圧延速度を800mpm以上とすることで、調質圧延に際して、十分な発熱量を得ることが可能となる。一方、圧延速度が800mpm未満である場合には、十分な発熱量を得ることができず、好ましくない。
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧延油(エマルション圧延油)は、調質圧延における金属板とワークロールとの間の摩擦係数に影響を与えるものである。本実施形態に係る調質圧延方法では、かかる圧延油として、牛脂等の動植物由来の天然油脂を用いることが可能である。また、圧延油として、合成エステル等の人工的な油脂成分を用いることも可能である。
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧延油の濃度は、0.3〜2.5質量%とする。圧延油の濃度が0.3質量%未満である場合には、圧延油中に含まれる水分量が多くなり過ぎ、調質圧延後に金属板上に水分が残存する可能性が大きくなるため、好ましくない。一方、圧延油の濃度が2.5質量%超過である場合には、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができず、好ましくない。圧延油の濃度を0.3〜2.5質量%とすることで、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができ、調質圧延後の錆発生を防止することが可能となる。なお、圧延油の濃度は、好ましくは、1.2〜2.0質量%である。
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧延油のエマルション平均粒径は、2〜10μmとする。エマルション平均粒径が2μm未満である場合には、金属板とワークロールとの間の摩擦係数が小さな値となり、調質圧延に際して摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができない。一方、エマルション平均粒径が10μm超過である場合には、鋼板への圧延油付着量が増加することで摩擦係数が低下し発熱しづらい状況となるため、好ましくない。圧延油のエマルション平均粒径を2〜10μmとすることで、調質圧延に際して、摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができ、調質圧延後の錆発生を防止することが可能となる。なお、圧延油のエマルション平均粒径は、好ましくは、4〜8μmである。
続いて、上記の調質圧延パラメータAを利用した本実施形態に係る調質圧延方法について、簡単に説明する。
以下に示す実験例では、図1に示した湿式調質圧延機を用いて冷延鋼板に対して調質圧延を実施し、本発明の実施形態に係る調質圧延方法の検証を行った。なお、以下の実験例では、エマルション圧延油として、天然油脂である牛脂を用い、以下の表1に示す圧延条件で、調質圧延を行った。なお、調質圧延に際し、エマルション圧延油に添加する添加剤として、脂肪酸アミン系防錆添加剤である界面活性剤を利用して、エマルション圧延油のエマルション平均粒径を調整した。
○:錆の発生なし
×:錆の発生あり
10 圧延スタンド
11,12 ワークロール
13,14 バックアップロール
15,16 テンションメータロール
20 潤滑油供給装置
30 圧延油タンク
Claims (4)
- 圧延機と、エマルション圧延油と、を用いて金属板を調質圧延する際に、
前記エマルション圧延油の濃度を制御しつつ、当該エマルション圧延油の濃度に応じて所定の添加剤を前記エマルション圧延油に対して含有させることで前記エマルション圧延油のエマルション平均粒径を制御して、以下の式1で表される調質圧延パラメータAを1500以上とする、調質圧延方法。
A=[(金属板の板厚)1.5×(圧下率)0.5×(圧延速度)1.5]÷
[(圧延油粒径)0.3×(圧延油濃度)0.1] ・・・(式1)
ここで、上記式1において、圧延油粒径は、エマルション圧延油のエマルション平均粒径であり、
金属板の板厚:0.1〜0.6[mm]
圧下率:6〜40[%]
圧延速度:800mpm以上
圧延油濃度:0.3〜2.5[質量%]
圧延油粒径:2〜10[μm]
の範囲から選択され、上記単位で表された各値が上記式1に代入される。
- 前記エマルション圧延油に添加される前記添加剤の濃度は、0〜0.5質量%である、請求項1に記載の調質圧延方法。
- 前記エマルション圧延油は、天然油脂又は人工油脂である、請求項1又は2に記載の調質圧延方法。
- 前記添加剤は、脂肪酸アミン系防錆添加剤である、請求項1〜3の何れか1項に記載の調質圧延方法。
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JPH061992A (ja) * | 1992-06-18 | 1994-01-11 | Nippon Steel Corp | 冷間圧延法 |
JPH08225795A (ja) * | 1995-02-20 | 1996-09-03 | Sumitomo Metal Ind Ltd | ステンレス薄鋼板用圧延油 |
JP2011025255A (ja) * | 2009-07-22 | 2011-02-10 | Nippon Steel Corp | 疲労強度に優れたダル表面金属ストリップの調質圧延方法およびダル表面金属ストリップ |
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2015
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