JP2016159306A - 調質圧延方法 - Google Patents

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季仁 楠田
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達也 山本
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Abstract

【課題】処理対象とする金属材の板厚が薄い場合や加工率が低い場合であっても、より簡便に調質圧延後の錆発生を防止する圧延技術の提供。
【解決手段】圧延機とエマルション圧延油とを用いて金属板を調質圧延する際に、エマルション圧延油の濃度を制御しつつ、エマルション圧延油の濃度に応じて所定の添加剤をエマルション圧延油に対して含有させることでエマルション圧延油のエマルション平均粒径を制御し、以下の式1の調質圧延パラメータAを1500以上とする調質圧延方法。A=[(金属板の板厚)1.5×(圧下率)0.5×(圧延速度)1.5]÷[(圧延油粒径)0.3×(圧延油濃度)0.1]・・・(式1)(圧延油粒径はエマルション平均粒径;金属板の板厚は0.1〜0.6[mm];圧下率は6〜40[%];圧延速度は800mpm以上;圧延油濃度は0.3〜2.5[質量%];圧延油粒径は2〜10[μm])
【選択図】図2

Description

本発明は、調質圧延方法に関する。
焼きなまされた冷延金属板の硬度を調整したり、降伏点伸びに起因するストレッチャーストレインの発生を防止したりするために、かかる冷延金属板に対して調質圧延と呼ばれる更なる冷間圧延が施されることがある。かかる調質圧延では、水分を含んだエマルション圧延油を用いながら、金属板に対して圧延処理が施される。
ここで、調質圧延による加工率が高い場合には、圧延に伴う加工発熱及び摩擦発熱によって圧延油中に含まれる水分を除去することができるため、圧延油に含まれる水分に起因して金属材に錆が発生することは無かった。
一方、例えば容器用鋼板のように板厚が薄い金属板を調質圧延する場合には、抜熱や温度低下が大きく、また、調質圧延による加工率が低い場合には、加工発熱及び摩擦発熱が十分ではないため、圧延油中の水分を除去するために必要な発熱を確保することが困難となる。その結果、エマルション圧延油中に含まれる水分が圧延後の金属板の表面に残存し、錆の起点となってしまう。従って、発熱が十分ではない可能性のある板厚の薄い金属板を調質圧延する場合や、調質圧延による加工率が低い場合には、金属板表面の残存水分に起因する錆の発生を抑制するために、各種の工夫が実施される。
例えば、下記の特許文献1には、連続ラインにおける調質圧延設備の前段に低温均熱帯を設けて、調質圧延設備に送入される板材の温度を25〜38℃に制御する技術が開示されている。また、下記の特許文献2には、調質圧延設備の後段に、乾燥装置と、防錆塗油を施す塗油装置と、を設ける技術が開示されている。
特開平 6−344019号公報 特開平11−156404号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術では、圧延後に乾燥・塗油工程を追加しなくてはならず、増工程や新たな設備設置に伴うコストの増加が発生してしまう。また、上記特許文献2に開示されている板温の制御技術は、低温均熱帯を設置可能な連続ラインのみに適用可能な技術である。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、処理対象とする金属材の板厚が薄い場合や、加工率が低い場合であっても、より簡便に調質圧延後の錆発生を防止することが可能な調質圧延方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、調質圧延における圧延条件等に基づく調質圧延処理を特徴付ける調質圧延パラメータを創出するとともに、かかる調質圧延パラメータを所定の値以上とすることで調質圧延後の錆発生を防止できることに想到した。
本発明は、上記知見に基づくものであり、その要旨は、以下の通りである。
(1)圧延機と、エマルション圧延油と、を用いて金属板を調質圧延する際に、前記エマルション圧延油の濃度を制御しつつ、当該エマルション圧延油の濃度に応じて所定の添加剤を前記エマルション圧延油に対して含有させることで前記エマルション圧延油のエマルション平均粒径を制御して、以下の式1で表される調質圧延パラメータAを1500以上とする、調質圧延方法。
(2)前記エマルション圧延油に添加される前記添加剤の濃度は、0〜0.5質量%である、(1)に記載の調質圧延方法。
(3)前記エマルション圧延油は、天然油脂又は人工油脂である、(1)又は(2)に記載の調質圧延方法。
(4)前記添加剤は、脂肪酸アミン系防錆添加剤である、(1)〜(3)の何れか1つに記載の調質圧延方法。
A=[(金属板の板厚)1.5×(圧下率)0.5×(圧延速度)1.5]÷
[(圧延油粒径)0.3×(圧延油濃度)0.1] ・・・(式1)

ここで、上記式1において、圧延油粒径は、エマルション圧延油のエマルション平均粒径であり、
金属板の板厚:0.1〜0.6[mm]
圧下率:6〜40[%]
圧延速度:800mpm以上
圧延油濃度:0.3〜2.5[質量%]
圧延油粒径:2〜10[μm]
の範囲から選択され、上記単位で表された各値が上記式1に代入される。
以上説明したように本発明によれば、調質圧延パラメータを所定の値以上として調質圧延を行うことで、処理対象とする金属材の板厚が薄い場合や、加工率が低い場合であっても、より簡便に調質圧延後の錆発生を防止することが可能である。
本発明の実施形態に係る調質圧延処理で用いられる調質圧延設備を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る調質圧延方法を説明するためのグラフ図である。 実験例で得られたコイル側面温度と調質圧延パラメータとの関係を示したグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(本発明者が得た知見について)
本発明者は、調質圧延後に錆を発生させないためには、調質圧延後に金属板上に水分が残存していなければ良いと考え、調質圧延中に金属板上から水分を除去するための方法について鋭意検討を行った。本発明者は、一般的な調質圧延に用いられる圧延条件を検討した結果、金属板の温度が45℃以上となれば、錆が発生しない調質圧延方法が実現されることに想到した。
調質圧延において金属板の温度の上昇に寄与すると考えられる要因としては、圧延という加工処理に伴う加工発熱と、金属板が圧延機中を通過することに伴う摩擦発熱の2つがある。加工発熱に関連する圧延条件としては、調質圧延における圧下率が考えられ、摩擦発熱に関連する圧延条件としては、調質圧延に用いられるエマルション圧延油(以下、単に「圧延油」ともいう。)の濃度やエマルション平均粒径が考えられる。また、加工発熱及び摩擦発熱の双方に関連する圧延条件としては、金属板の板厚や、調質圧延の圧延速度が考えられる。
そこで、本発明者は、金属板の温度と、上記のような各種の圧延条件との相関関係について、過去の調質圧延の操業データを利用して検証を行った。
まず、本発明者は、金属板の温度と、上記のような各種の圧延条件の一つと、を取り上げ、着目した2つの圧延条件を座標軸とする特徴量平面に過去の操業条件をプロットすることで、その相関関係を検討した。その結果、金属板の板厚及び圧下率については、金属板の温度と正の相関が認められたものの、他の圧延条件については、過去の操業条件は特徴量平面内で分散した状態でプロットされ、金属板の温度と正の相関を示さなかった。
そこで、本発明者は、金属板の温度と上記のような各種の圧延条件とからなる多次元の特徴量空間に着目し、過去の操業データを利用した重回帰分析を行った。すると、圧下率、金属板の板厚及び圧延速度を分子とし、圧延油の濃度及びエマルション圧延油のエマルション平均粒径を分母として規定されるパラメータが、金属板の温度と正の相関を示すことを見出した。
本発明者は、かかるパラメータを用いて更なる検討を行った結果、得られたパラメータの値が所定の値以上となるように圧延条件を制御することで、調質圧延における金属板の温度を、45℃以上とすることができることに想到したのである。以下では、上記の調質圧延に関するパラメータ(換言すれば、調質圧延における発熱量に関係するパラメータ)と、かかるパラメータに着目しながら実施される調質圧延方法について、詳細に説明する。
(実施形態)
<調質圧延設備の一例について>
以下では、本発明の実施形態に係る調質圧延方法を説明するに先立ち、まず、本実施形態に係る調質圧延方法で用いられる調質圧延設備の一例について、図1を参照しながら簡単に説明する。図1は、本実施形態に係る調質圧延処理で用いられる調質圧延設備を模式的に示した説明図である。
以下で説明する本実施形態に係る調質圧延方法は、1基又は複数基の圧延スタンドから構成される、一般的な湿式調質圧延機1を用いて実施することが可能である。図1では、このような湿式調質圧延機1の一例として、2基の圧延スタンド10a,10bから構成される連続湿式調質圧延機を示している。
なお、図1に示した湿式調質圧延機1の前段には、ペイオフリールと入側ブライドルロールとが配置されており(図示せず。)、熱処理されて上降伏点及び下降伏点のある金属ストリップ(例えば、鋼板等)が、湿式調質圧延機1に供給される。また、かかる湿式調質圧延機1の後段には、テンションリールと出側ブライドルロールとが配置されており(図示せず。)、湿式調質圧延機1で圧延された金属ストリップがコイル状に巻き取られる。
図1に模式的に示したように、湿式調質圧延機1は、2基の圧延スタンド10a,10bから構成されており、圧延スタンド10a,10b(以下、これらをまとめて「圧延スタンド10」ともいう。)は、いずれも4重圧延機である。これらの圧延スタンド10は、ワークロール11a,12a,11b,12b、及び、バックアップロール13a,14a,13b,14bから構成されている。ワークロール11a,12a,11b,12bには、スピンドル(図示せず。)が連結されており、電動機(図示せず。)によって駆動される。また、電動機にはPLGが取り付けられており(図示せず。)、PLGが回転速度を検出し、ギア比とワークロール径とを考慮して、ワークロールの周速度が検出される。
また、形状制御手段として、上下ワークロールチョック(図示せず。)を支点として上下ワークロール11a,12a,11b,12bの鉛直方向の撓みを制御するためのインクリースと、ディクリースベンダー力を付与することが可能なワークロールベンダーと、が設けられる。
上バックアップロールチョック(図示せず。)の上部には、圧延荷重検出装置(図示せず。)が配置され、ワークサイド及びドライブサイドの荷重が検出される。また、圧延荷重検出装置の上部には電動圧下装置(図示せず。)が配置され、金属ストリップ(例えば、鋼板)Sを圧延する際のパスライン調整が行われる。さらに、下バックアップロールチョック(図示せず。)の下部には、圧延力を付与するための油圧圧下装置(図示せず。)が配置される。
また、湿式調質圧延機1の入側にテンションメータロール14が、湿式調質圧延機1の中間にテンションメータロール15が、湿式調質圧延機1の出側にテンションメータロール16がそれぞれ配置され、張力が検出される。湿式調質圧延機1の第1スタンド10aの入側及び出側、並びに、第2圧延スタンド10bの入側には、噴射ノズル等から構成された潤滑油供給装置20がそれぞれ配置され、調質圧延潤滑油(エマルション潤滑油)が圧延部位に供給される。これら潤滑油供給装置20には、圧延油供給ラインを介して、圧延油タンク30からエマルション圧延油が供給され、圧延スタンド10a,10bに供給されたエマルション圧延油は、再度同じ圧延油タンク30へと戻され、リサーキュレーション潤滑が行われている。
なお、図1において、圧延機が4重圧延機である場合を示したが、本実施形態に係る調質圧延方法に用いられる圧延機は、2重圧延機や6重圧延機、又は、対称及び非対称なクラスター型圧延機であってもよい。
以上、図1を参照しながら、本実施形態に係る調質圧延方法で用いられる調質圧延設備の一例について、簡単に説明した。
<調質圧延パラメータについて>
次に、本発明者が見出した調質圧延パラメータについて、詳細に説明する。
本実施形態に係る調質圧延パラメータは、先だって説明したように、調質圧延における加工発熱及び摩擦発熱の発熱量に関係するパラメータであり、かかるパラメータの値が大きいほど、該当する圧延条件で実施される調質圧延において加工発熱及び摩擦発熱の発熱量が大きいことを示唆するものである。この調質圧延パラメータAは、以下の式1で表される。
A=[(金属板の板厚)1.5×(圧下率)0.5×(圧延速度)1.5]÷
[(圧延油粒径)0.3×(圧延油濃度)0.1] ・・・(式1)
ここで、上記式1において、
金属板の板厚:0.1〜0.6[mm]
圧下率:6〜40[%]
圧延速度:800mpm以上
圧延油濃度:0.3〜2.5[質量%]
圧延油粒径:2〜10[μm]
の範囲から選択され、上記単位で表された各値が上記式1に代入される。
ここで、調質圧延における金属板の温度と、様々な圧延条件とは、以下のような相関関係にある。
○圧延速度:速いほどコイル捲き取りまでの時間が短くなり、抜熱時間が少ないことから板温低下が小さいため、正の相関となる。
○板厚:薄いほど抜熱が大きく温度低下が大きいため正の相関となる。ここで、板厚×速度=マスフロー一定である。
○圧下率:高いほど加工発熱が大きくなるため、正の相関となる。
従って、これら3つの圧延条件は、上記式1で表される調質圧延パラメータAにおいて、分子に位置する圧延条件となる。
○圧延油濃度:高くなるほど摩擦係数は下がるため、負の相関となる。
○圧延油エマルション粒径:大きいほど摩擦係数は下がるため、負の相関となる。
また、圧延油の濃度や圧延油のエマルション平均粒径は、調質圧延における摩擦力に影響する圧延条件である。従って、これら2つの圧延条件は、上記式1で表される調質圧延パラメータAにおいて、分母に位置する圧延条件となる。
また、上記式1における各圧延条件のべき数は、冷間圧延鋼板に関する過去の操業データに基づく重回帰分析によって得られた値である。
冷間圧延鋼板に関する過去の操業データにおける、上記調質圧延パラメータAと、金属板の温度と、の関係を示したグラフ図を、図2に示した。先だって説明したように、金属板の温度が45℃以上となることで、調質圧延時において圧延加工部位は高温となり、かかる圧延加工部位に存在する水は蒸発するため、金属板上に残存する水分を除去することが可能となる。図2から明らかなように、式1で表される調質圧延パラメータAの値が1500以上となることで、金属板の温度は45℃以上となり、かつ、調質圧延パラメータAと金属板の温度とが正の相関を有するようになる。また、かかる調質圧延パラメータAの値は、1750以上であることが好ましく、2000以上であることが更に好ましい。
上記式1で表される調質圧延パラメータAにおいて、金属板の板厚は、調質圧延によって製造される製品に求められる物性値によって決まる値であり、圧下率は、かかる製品を製造するために決まる値である。また、圧延速度は、圧下率と、調質圧延に用いる圧延機のモータ容量で決まる値である。従って、上記式1で表される調質圧延パラメータAにおいて、調質圧延時に制御可能な圧延条件は、圧延油の濃度及びエマルション平均粒径となる。そこで、本実施形態に係る調質圧延方法を実施する際には、圧延油に添加する水の量を制御することで圧延油の濃度を調整しつつ、圧延油に所定の添加剤を添加することで圧延油全体としてのエマルション平均粒径を調整して、上記調質圧延パラメータAの値が1500以上となるようにする。
なお、圧延油の濃度やエマルション平均粒径を調整するための水や添加剤は、図1に示したような湿式調質圧延機で処理すべき金属板の種類が1種類である場合には、好適な調質圧延パラメータAの値が実現される所定の値を予め決定し、図1に示したような圧延油タンク30に決定した量を予め添加しておけばよい。
また、処理すべき金属板の種類が複数存在する場合には、圧延油タンク30に水や添加剤を供給するための供給ラインに対し、操業管理用のコンピュータ等で制御可能なバルブを設置しておき、処理すべき金属板が変わる毎に所望の添加剤及び水が圧延油タンク30に供給されるようにバルブ制御を行えばよい。
なお、上記のような圧延油への添加剤や水の添加は、人為的に行っても良いことは言うまでもない。
続いて、上記式1で表される調質圧延パラメータAにおける各圧延条件の数値範囲について、詳細に説明する。
[金属板の板厚]
本実施形態に係る調質圧延方法において、金属板の板厚は、0.1〜0.6mmとする。金属板の板厚が0.1mm未満である場合には、金属板の厚みが薄くなりすぎ、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができない。また、金属板の板厚が0.6mm超過である場合には、抜熱が小さくなるため、好ましくない。金属板の板厚を0.1〜0.6mmとすることで、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができ、調質圧延後の錆発生を防止することが可能となる。
[圧下率]
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧下率は、6〜40%とする。圧下率が6%未満である場合には、調質圧延に際して、圧延不安定領域であり圧延ができない。また、圧下率が40%超過である場合には、形状確保が困難であるため、好ましくない。圧下率を6〜40%とすることで、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができ、調質圧延後の錆発生を防止することが可能となる。
[圧延速度]
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧延速度は、800mpm以上とする。圧延速度を800mpm以上とすることで、調質圧延に際して、十分な発熱量を得ることが可能となる。一方、圧延速度が800mpm未満である場合には、十分な発熱量を得ることができず、好ましくない。
[圧延油について]
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧延油(エマルション圧延油)は、調質圧延における金属板とワークロールとの間の摩擦係数に影響を与えるものである。本実施形態に係る調質圧延方法では、かかる圧延油として、牛脂等の動植物由来の天然油脂を用いることが可能である。また、圧延油として、合成エステル等の人工的な油脂成分を用いることも可能である。
なお、本実施形態に係る調質圧延方法において、調質圧延機に供給される圧延油の温度は特に限定されるものではなく、一般的な調質圧延において好適に用いられる圧延油の粘度が実現できる温度であればよい。
先だって説明したように、本実施形態に係る調質圧延方法では、圧延油の濃度と、圧延油のエマルション平均粒径と、を適切に制御することで、上記式1で示した調質圧延パラメータAの値が所定の値となるように制御される。
○圧延油濃度
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧延油の濃度は、0.3〜2.5質量%とする。圧延油の濃度が0.3質量%未満である場合には、圧延油中に含まれる水分量が多くなり過ぎ、調質圧延後に金属板上に水分が残存する可能性が大きくなるため、好ましくない。一方、圧延油の濃度が2.5質量%超過である場合には、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができず、好ましくない。圧延油の濃度を0.3〜2.5質量%とすることで、調質圧延に際して、加工発熱及び摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができ、調質圧延後の錆発生を防止することが可能となる。なお、圧延油の濃度は、好ましくは、1.2〜2.0質量%である。
○圧延油粒径
本実施形態に係る調質圧延方法において、圧延油のエマルション平均粒径は、2〜10μmとする。エマルション平均粒径が2μm未満である場合には、金属板とワークロールとの間の摩擦係数が小さな値となり、調質圧延に際して摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができない。一方、エマルション平均粒径が10μm超過である場合には、鋼板への圧延油付着量が増加することで摩擦係数が低下し発熱しづらい状況となるため、好ましくない。圧延油のエマルション平均粒径を2〜10μmとすることで、調質圧延に際して、摩擦発熱に伴う十分な発熱量を得ることができ、調質圧延後の錆発生を防止することが可能となる。なお、圧延油のエマルション平均粒径は、好ましくは、4〜8μmである。
本実施形態に係る調質圧延方法において、上記のような圧延油のエマルション平均粒径(圧延油全体としての平均粒径)は、圧延油の濃度に応じて所定量の添加物(例えば、防錆添加剤)を添加することで調整される。
このような添加物としては、例えば、脂肪酸アミン系防錆添加剤を挙げることができる。
また、圧延油に添加される添加剤の濃度は、圧延油の濃度に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0〜0.5質量%とすることが好ましい。圧延油に添加される添加剤の濃度が0.5質量%超過となる場合には、圧延油の平均粒径が上記範囲外となるため、好ましくない。圧延油に添加される添加剤の濃度を0.5質量%以下とすることによって、圧延油の粒径を上記のような適切な範囲に調整することが可能となる。
なお、圧延油のエマルション平均粒径は、例えば、Mie散乱理論に基づくレーザー回析/散乱式粒子径分布装置によって測定することが可能である。
以上、本実施形態に係る調質圧延方法で用いられる調質圧延パラメータについて、詳細に説明した。
<調質圧延方法について>
続いて、上記の調質圧延パラメータAを利用した本実施形態に係る調質圧延方法について、簡単に説明する。
本実施形態に係る調質圧延方法では、例えば図1に例示したような圧延機と、圧延油(エマルション圧延油)と、を用いて、各種鋼板等の金属板を調質圧延する際に、圧延油の濃度及びエマルション平均粒径を制御して、上記調質圧延パラメータAの値が1500以上となるようにする。調質圧延パラメータAが1500以上となるような圧延条件を設定することにより、調質圧延の圧延加工部位において、錆が発生しない金属板の温度を実現することが可能となる。その結果、調質圧延後の金属板上への水分の残存を防止することができ、調質圧延後の錆の発生を抑制することができる。
このように、本実施形態に係る調質圧延パラメータAを利用することによって、様々な調質圧延機を利用した調質圧延において、錆の発生しない圧延条件を簡便に設定することが可能となる。従って、本実施形態に係る調質圧延方法を用いることで、増工程による製造コストの上昇や、新たな設備の設置による設備投資の削減や、短工期管理リスク等を低減することが可能となる。
以上、本実施形態に係る調質圧延方法について、簡単に説明した。
続いて、実験例を示しながら、本発明の実施形態に係る調質圧延方法について具体的に説明する。なお、以下に示す実験例は、本発明の実施形態に係る調質圧延方法のあくまでも一例にすぎず、本発明に係る調質圧延方法が下記の例に限定されるものではない。
(実験例)
以下に示す実験例では、図1に示した湿式調質圧延機を用いて冷延鋼板に対して調質圧延を実施し、本発明の実施形態に係る調質圧延方法の検証を行った。なお、以下の実験例では、エマルション圧延油として、天然油脂である牛脂を用い、以下の表1に示す圧延条件で、調質圧延を行った。なお、調質圧延に際し、エマルション圧延油に添加する添加剤として、脂肪酸アミン系防錆添加剤である界面活性剤を利用して、エマルション圧延油のエマルション平均粒径を調整した。
なお、下記表1において、エマルション平均粒径は、Mie散乱理論に基づくレーザー回析/散乱式粒子径分布装置により測定した値であり、調質圧延パラメータAは、表1に示した圧延条件を上記式1に代入することで得られた値である。また、下記表1における摩擦係数は、Hillの圧延方程式により算出した値である。更に、調質圧延直後の鋼帯の最外巻でのコイル温度と、2種類のコイル側面温度とを、接触式温度計により測定した。
以下の表1に示した圧延条件により調質圧延を実施し、錆が発生したか否かを判定した。錆の発生は、得られた鋼帯を精整工程で巻き戻し、鋼板表面に茶色の異常部が見受けられるか否かで判断した。また、異常部が存在した場合には、異常部分の成分分析を実施して、錆であるか否かを確定した。得られた結果は、下記表1にあわせて示した。
○:錆の発生なし
×:錆の発生あり
Figure 2016159306
表1及び図3から明らかなように、調質圧延パラメータAの値が1500以上であるデータNo.1〜16では、コイル側面温度(外巻)が45℃以上であった。かかる結果は、データNo.1〜16の圧延条件では、圧延加工部位における温度が45℃以上となっていることを示唆している。また、データNo.1〜16の圧延条件で調質圧延が行われた冷延鋼板には、錆は発生しなかった。
一方、調質圧延パラメータAの値が1500未満であったデータNo.17〜20では、コイル側面温度(外巻)が45℃未満であった。かかる結果は、データNo.17〜20の圧延条件では、圧延加工部位における温度が45℃未満となっていることを示唆している。また、データNo.17〜20の圧延条件で調質圧延が行われた冷延鋼板では、水分の除去が不十分であったことに起因して、錆が発生していた。
以上の結果から明らかなように、本発明の実施形態に係る調質圧延方法を実施することで、処理対象とする金属材の板厚が薄い場合や、加工率が低い場合であっても、より簡便に調質圧延後の錆発生を防止することが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 湿式調質圧延機
10 圧延スタンド
11,12 ワークロール
13,14 バックアップロール
15,16 テンションメータロール
20 潤滑油供給装置
30 圧延油タンク

Claims (4)

  1. 圧延機と、エマルション圧延油と、を用いて金属板を調質圧延する際に、
    前記エマルション圧延油の濃度を制御しつつ、当該エマルション圧延油の濃度に応じて所定の添加剤を前記エマルション圧延油に対して含有させることで前記エマルション圧延油のエマルション平均粒径を制御して、以下の式1で表される調質圧延パラメータAを1500以上とする、調質圧延方法。

    A=[(金属板の板厚)1.5×(圧下率)0.5×(圧延速度)1.5]÷
    [(圧延油粒径)0.3×(圧延油濃度)0.1] ・・・(式1)

    ここで、上記式1において、圧延油粒径は、エマルション圧延油のエマルション平均粒径であり、
    金属板の板厚:0.1〜0.6[mm]
    圧下率:6〜40[%]
    圧延速度:800mpm以上
    圧延油濃度:0.3〜2.5[質量%]
    圧延油粒径:2〜10[μm]
    の範囲から選択され、上記単位で表された各値が上記式1に代入される。
  2. 前記エマルション圧延油に添加される前記添加剤の濃度は、0〜0.5質量%である、請求項1に記載の調質圧延方法。
  3. 前記エマルション圧延油は、天然油脂又は人工油脂である、請求項1又は2に記載の調質圧延方法。
  4. 前記添加剤は、脂肪酸アミン系防錆添加剤である、請求項1〜3の何れか1項に記載の調質圧延方法。
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