JP2016155742A - 透明着色lasガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定の組成および必要な場合には合計で最大1.0質量%までの更なる着色酸化物を有し、キータイト固溶体を含む勾配層と主結晶相として高石英固溶体を含む、その下にある核とを有する透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材であって、10μm以上の深さのキータイト固溶体が、高石英固溶体比率とキータイト固溶体比率との合計の50%を超える透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材に関する。【解決手段】セラミック化は、910°〜980°の範囲の最大温度において1〜25分の時間、高石英固溶体を一部だけキータイト固溶体に転移させる結晶転移ステップを含む。【選択図】図3
Description
本発明は、勾配層とその下にある核とを有する、透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材に関する。キータイト混晶または固溶体(KSS)は核中に主結晶相として存在し、高石英混晶または固溶体(HQSS)は勾配層中に主結晶相として存在する。本発明はさらに、ガラスセラミック基材を製造するための方法およびその使用法に関する。
一般的なLASガラスセラミックは、複数の段階で製造される。その大規模な工業生産では、周知のように、Li2O−Al2O3−SiO2系の結晶化可能な出発ガラスを最初に、通常1500℃から1650℃の間の温度で、破片と粉末バルク原料との混合物から溶融させる。典型的には、酸化ヒ素、酸化アンチモン、及び/または酸化スズなどの清澄剤が、溶融物の清澄剤として使用される。1700℃を超える高温でSnO2を使用して清澄化することが、例えば、独国特許第19939787(C2)号明細書に記載されている。
溶融および清澄化の後、板ガラスを製造するために、ガラスは普通、圧延による熱間成形またはフローティングが行われる。低い溶融温度および低い加工温度(PT)が望ましいが、その一方で、経済的に製造するためには、ガラスは形成時に失透してはならない。このことは、妨害性の結晶が形成されないであろうことを意味するが、妨害性の結晶の形成は、出発ガラスおよびそれから作られるガラスセラミックの強度および美観にとって不利となり得る。そのような形成は、ガラスの加工温度(PT)(粘度が104dPas)の付近で起こるので、妨害性の結晶が形成されないようにするために、溶融物の失透温度上限が加工温度付近、好ましくは加工温度より下になるようにしなければならない。
その後、出発ガラスを、制御された結晶化によって周知の方法でガラスセラミック物に転移させる。このセラミック化は普通、2段階の過程で行われる。最初に、核が、普通はZrO2/TiO2固溶体から、680℃から800℃の間の温度で核形成によって作られる。SnO2も核形成に関与しうる。その後、温度を増大させると、高石英固溶体が最初にそうした核の上に成長する。高い結晶成長速度(経済的な急速セラミック化にとって望ましい速度など)が、850℃〜1200℃の温度範囲で構造タイプに応じて、ほとんどの組成物で実現される。この最大製造温度において、ガラスセラミックの内部構造は均質化され、ガラスセラミックの光学的性質、物理的性質および化学的性質が定まる。高石英固溶体は、文献では、同義語である「ベータ石英」または「ベータユークリプタイト」とも呼ばれている。
Li2O−Al2O3−SiO2系中の高石英固溶体は、更なるセラミック化プロセスによってキータイト固溶体に転移させることができることも知られている。キータイト固溶体は、「ベータリチア輝石」とも呼ばれる。キータイト固溶体への転移は、ほとんどの組成の場合に、最大1200℃までの温度で不可逆の再構成相転移によって起こる。周知のように、結晶子はこの相転移の間に著しく成長し、その結果、それらは散乱中心を形成し、そのためガラスセラミックは半透明または不透明になる。さらに、高石英固溶体からキータイト固溶体への転移には、ガラスセラミックの熱膨張係数の増大が伴う。
本明細書に関して言えば、「透明」は、「半透明」または「不透明」ガラスセラミックとは対照的に、可視波長範囲の散乱光の比率が無視できるほどしかないガラスセラミックを表すものと理解される。したがって、透明性は、ガラスセラミックの曇り度とは対照的なその「透明度」も表す。この態様における透過損失は、結晶、相境界、または包有物による屈折に起因するため、これは波長依存性の体積効果である。「半透明」LASガラスセラミックは、波長470nmで散乱光比率(「曇り度」)が20%より大きい(国際規格ISO 14782:1999(E)にしたがって測定し、厚さ4mmのガラスセラミックに標準化した場合)ものを表すと理解されるが、「透明」LASガラスセラミックは、散乱光比率が20%以下のものを表すと理解される。
LASガラスセラミックは、組成中の1種または数種の着色金属酸化物またはコロイドのせいで、可視波長範囲において吸収による透過損失を示す場合、本明細書に関して言えば「着色」されているとする。したがって、ここでもまた、波長依存性の体積効果が関係する。特に、着色があまりにも濃い、光っていない物体は、LASガラスセラミックを通して肉眼で認知できないが、それに反して光っている物体は見ることができる。したがって、着色ガラスセラミックは不透明であると言うことができるが、同時に、上記の定義によれば「透明」であるとも言える。
一般的なガラスセラミックの典型的な用途は、例えば、調理面であり、その要件は、実際の使用において透過性の点で非常に独特であり、時には互いに相反することさえある。例えば、ガラスセラミック調理面の下にある目障りな技術的部品が見えないようにするため、また放射加熱要素(特に、明るいハロゲン加熱要素)によるまぶしさを防ぐために、ガラスセラミック調理面は、積分球透過率(integral transmission)が制限される。その一方で、操作時に、低出力であっても、放射加熱要素は十分に見えなければならない。表示が見えるためには、例えば、発光ダイオードが調理プレートの下に取り付けられている場合に、ある一定の光透過率も必要である。こうした要件を満たすために、普通、ガラスセラミック調理面の積分球透過率τvisの値を0.5%〜5%に調整する。これは、着色成分を加えることによって行える。上から見た場合、使用されている着色成分に関わらず、光透過率が低いため、ガラスセラミック調理面は外観が黒いが、普通は、調理面を通して見た場合、使用される着色成分に応じて、赤色、赤紫色、または茶色がかったオレンジ色である。
以前のタイプのガラスセラミック調理面(Ceran Color(登録商標)という名称で知られており、SCHOTT AGが製造したもの)は、良好な着色表示能力を有していた。Ceran Color(登録商標)は、添加剤NiO、CoO、Fe2O3、およびMnOで着色され、Sb2O3で清澄化される。着色酸化物のこうした組合せにより、典型的には1.2%の積分球光透過率を、従来の厚さ4mmを有する調理面に合わせて調整する。380nm〜500nmの範囲での透過率は、波長に応じて0.1〜2.8%である。赤色発光ダイオードの場合の従来の波長630nmでは、透過率は約6%である。この以前のタイプのガラスセラミック調理面の欠点として、使用される着色酸化物が、赤外線でも非常に強く吸収するという点がある。1600nmでのIR透過率は20%未満である。その結果、調理時の加熱速度が低下する。Ceran Color(登録商標)の透過率曲線が、“Low Thermal Expansion Glass Ceramics,” editor Hans Bach, Springer−Verlag Berlin Heidelberg 1995という書籍(ISBN3−540−58598−2)の66ページに描かれている。組成は、“Glass−Ceramic Technology,” Wolfram Hoeland and George Beall, The American Ceramic Society 2002という書籍の第2〜7表に挙げられている。
さらに最近の強化ガラスセラミック調理面では、一般にV2O5が着色に使用されるが、それは、可視光線の範囲で特別な吸収特性を有しており、赤外線の範囲で透過率が高いからである。V2O5による着色は複雑なプロセスである。以前の研究(独国特許第19939787C2号明細書)で示されたように、酸化バナジウムを着色状態に変えるには、酸化還元プロセスを生じさせる必要がある。結晶化可能な出発ガラスでは、V2O5はいまだに比較的弱い着色剤であり、やや緑の色相になる。セラミック化の間に、酸化還元プロセスが生じ、バナジウムが還元され、酸化還元対象が酸化される。清澄剤は、主要な酸化還元対象として働く。このことは、Sb清澄組成物およびSn清澄組成物でのMoessbauerの研究によって示された。セラミック化の間に、出発ガラス中のSb3+またはSn2+の一部がそれぞれ高い酸化状態Sb5+またはSn4+に転換される。バナジウムが、還元された酸化状態でV4+またはV3+として単結晶に取り込まれ、電荷移動反応のせいでその中で強く着色が行われると考えられうる。更なる酸化還元対象として、TiO2も酸化バナジウムによる着色を強化することができる。出発ガラス中の酸化還元対象の性質および量のほかに、溶融物の場合にはガラス中で調整される酸化還元状態も影響を及ぼす。低い酸素分圧pO2(例えば、高い溶融温度で、還元されるよう調整された溶融物では)により、酸化バナジウムの着色効果は強化される。
KSSを有するLASガラスセラミックおよび主結晶相としてHQSSを有するLASガラスセラミックは両方とも、様々な応用分野で長い間知られてきた。例えば、LASガラスセラミックからなる市販の調理面の大多数は、主結晶相としてHQSSを有する。そうしたガラスセラミックの結晶相比率は一般に、55〜80体積%の間にある。HQSSの平均結晶子サイズは、平均すると50nmより小さい。それゆえにこうしたガラスセラミックは透明であり、着色成分(上述したようなものなど)によって着色できる。
あまりないことだが、主結晶相としてKSSを有するLASガラスセラミックからなる調理面が使用される。そのようなガラスセラミックは、特に380nm〜500nmの間の波長範囲では透明ではなく、むしろ半透明または不透明である。特に、経済的な工業プロセスでの相転移が十分に急速に起こる高温では、135nmより大きいオーダーの結晶子が形成され、それにより、記述すべき強い光散乱が材料中で起こる。主結晶相としてKSSを有する半透明または不透明ガラスセラミックの結晶種の相含有量は、70〜95体積%の間である。
具体的には、例えば、主結晶相としてKSSを有する半透明LASガラスセラミックならびにその製造方法は、米国特許第4,218,512号明細書から知られている。それに記載されている方法は、セラミック化されていない前駆体ガラスから出発するもので、700℃より高い第1温度までガラス製品を加熱するステップを含んでおり、その温度で、主結晶相としてHQSSを有するガラスセラミックへの転移が引き起こされる。その後、温度を、860℃より高い第2の値まで上昇させ、その温度で、高石英固溶体がキータイト固溶体へ転移する。この段階での加熱時間および滞留時間は合計で数時間に達する。この処理手順は、合計処理時間が10時間より長いので、経済的に不利である。挙げられている例示的実施形態では、実際に20時間が示されている。厚さが約40μmの相を表面上にこのようにして保持でき、HQSSが主結晶相として存在し続けることもこの明細書から知られている。高石英固溶体は、キータイト固溶体よりも熱膨張係数が小さいことがこの明細書からさらに知られている。
主結晶相としてKSSを有する別の半透明ガラスセラミックが、欧州特許第1170264(A1)号明細書から知られている。この明細書によれば、セラミック化は、最初、HQSS相を形成させるために750℃〜900℃の結晶化温度で行われ、900℃〜1200℃の範囲のさらなる温度上昇の後に、それはKSS相に転移する。この明細書も、高石英固溶体が主結晶相として表面に形成されることを示している。この場合、表面での過度の応力を防ぐために、表面において深い石英構造への転移がないことが特に注目される。その応力は、場合によっては、表面での亀裂形成の傾向を生み出し、そのため材料の脆弱化につながりうる。
主な相としてKSSを有する半透明ガラスセラミックの一般的なタイプを扱っている別の明細書は、独国特許出願公開第102004024583(A1)号明細書であり、その場合、ガラスセラミックのセラミック化も2つのステップで行われる。最初に、高石英固溶体の結晶化が、840℃の温度で行われ、その後、1070℃から1094℃の間の最大温度で行われ、キータイト固溶体への転移が完了する。このようにして製造されるガラスセラミック製品の衝撃強度は、厚さ4mmのガラスセラミックシートに対するボール落下試験で求める。その試験では、100×100mm2の試験片の切り取り部分に質量200gの鋼球を落下させる。25〜29cmの間の落下破壊硬度をこのようにして求めた。
主結晶相としてKSSを有する半透明または不透明ガラスセラミックは、米国特許出願公開2007/0213192(A1)号明細書からも知られており、それには、900℃〜1050℃の最大温度および少なくとも10分の滞留時間でのセラミック化が提案されている。
主結晶相としてキータイト固溶体を有するLASガラスセラミックは、着色ガラスセラミックとして調理面のような用途に適していることも、米国特許第4,211,820号明細書から知られている。一般に知られているように、この明細書は、ガラスセラミックの核中に主結晶相としてKSSが形成され、その表面に主結晶相としてHQSSが存在すると、応力が分散されるためガラスセラミック全体が強化されることにつながることも明らかにしている。さらに、最大900℃〜950℃のセラミック化温度において、非常に弱い散乱が始まるのを観察できることが見出されている。一般に、この明細書によれば、ベータリチア輝石結晶の成長は、表面に近い領域において防がなければならない。そうしなければ、半透明の製品、さらには不透明の製品さえ生じることになるであろう。実際、この明細書では、基本的に透明のガラスセラミックを扱っている。しかし、測定された結晶サイズが、1μm未満、あるいはほとんど500nm未満であることが示されており、これは、実際には、上記の定義からすると半透明ガラスセラミックであることを示している。
核中に主結晶相としてKSSを有し、勾配層中に主結晶相としてHQSSを有する半透明ガラスセラミックを扱っているさらに別の明細書は、独国特許出願公開第102010006232(A1)号明細書である。セラミック化の間に、ガラス製品を急激に1080℃〜1300℃の最大温度まで急激に加熱し、長くても2分間、最大温度に維持するか、好ましくは直ちに室温まで冷やして戻す。このようにして、明度値L*が95より大きく、衝撃強度および耐熱温度差が高いガラスセラミックを製造することが可能である。
最後に、米国特許出願公開第2014/0238971(A1)号明細書は、主結晶相としてキータイト固溶体を有するガラスセラミックを扱っている。この明細書では、ガラスセラミックが、ある比率の高石英固溶体も含みうることを認めている。セラミック化は、5〜15分間の時間をかけて最大温度950℃〜1060℃で行われる。ガラス組成物は、着色成分としてCr2O3と一緒にFe2O3を含むが、これは、セラミック化の後に茶色がかった灰色に着色するためである。このプロセスでは、25から45の間の明度値L*(すなわち、半透明乃至不透明のガラスセラミック)にしようとしている。
核中に主結晶相としてKSSを有する半透明ガラスセラミックに関する上記の例示的明細書のリストの場合のように、核中に主結晶相としてHQSSを有するガラスセラミックに関する開示物も多数ある。例として、ここでは独国特許出願公開第102008050263(A1)号明細書のみを参照されたい。そこに開示されているガラスセラミックは着色された透明のものである。セラミック化は、最大温度940℃で、15分以下の滞留時間の間に行われる。
さらに、主結晶相としてキータイト固溶体を有する透明なLASガラスセラミックを製造することも可能であることが、独国特許出願公開第102007025893(A1)号明細書から知られている。さらに具体的には、その明細書には、その対象として、主結晶相としてキータイト固溶体を60〜98体積%の比率で有するガラスセラミックが含まれており、これは耐衝撃装甲であるため、特に高強度が必要とされる。同時に、その明細書では、出発ガラスの適切な選択およびセラミック化時の温度制御により、Andrejev−HoppeモデルならびにRayleigh−Ganzモデルの観点から透明であるガラスセラミックを製造することも可能であることが明らかにされている。この場合、平均結晶半径が30nm未満である小さな結晶が形成されることが、透明性の理由であるとされている。さらに、KSSの屈折値とガラス相の残り部分の屈折値との差を、特に、成分ZnOによって調整することが可能であり、そのことも、透明性を最適化するのに役立つ。ガラスセラミックは着色されない。
結果を要約すると、セラミック化条件はKSS形成に関連した光散乱に影響を及ぼすが、その一方で、セラミック化温度が高く、セラミック化時間が長いと、存在する酸化バナジウムのせいで着色がさらに濃くなることを認めることができる。それらはどちらも表示能力には悪影響を及ぼしうる。さらに、着色ガラスセラミックの透過挙動は、どちらの側面においても波長に左右される。そのため、できるだけ多くの可能なカラーデザインのある多色ディスプレイを用いて、電化製品の操作の快適性および技術的機能を改善しようとする努力、及び/または電化製品の製造業者がカラーデザインによって差別化を行うことが可能になるようにしようとする努力は、繰り返し技術的困難に遭遇している。吸収をうまく調整することに加えて、材料の光散乱を少なくすることも、例えば、いわゆる「7分割ディスプレイ」またはTFTディスプレイの表示能力にとって重要であろう。材料中にあまりに多くの散乱中心があると、表示がぼやけることになり、それゆえにこの用途にとって不利になる。
調理面用のガラスセラミックは、透明性および着色性のほかに、更なる様々な特性を持っていなければならない。特に、熱膨張係数(CTEまたはαとも呼ばれる)ができるだけ小さいことも重要である。というのは、必要な耐熱温度差(TUF)がこのような仕方で強く影響を受けるからである。主結晶相としてHQSSを有するLASガラスセラミックは、CTE(20/700℃)が非常に低くて約0〜0.5ppm/Kであるという特徴があり、主結晶相としてKSSを有するLASガラスセラミックは、CTE(20/700℃)がやや高くて約0.8〜1.5ppm/Kであるという特徴がある。
さらに、調理面の機械的強度(まず何よりも、衝撃強度)は、大きな役割を果たす。国内および国際安全規格(例えば、EN 60335またはUL 858またはCSA 22.2)などに準拠した衝撃強度の要件を満たすために、LASガラスセラミックで作られた調理面は普通、材料の厚さが3.8mm以上であることが求められる。基本的に言って、平面ガラスが薄ければ、材料の節減という理由だけを考えれば望ましいであろう。しかし、厚さに伴って衝撃に耐える力も減少する。衝撃荷重とそれに関連した下側の引張り応力が加わった場合に生じる調理面のへこみは、調理面の厚さが減少すると著しく増大する。それゆえに、それでもなお衝撃強度の標準的な要件を満たすために、(引張り応力が大きくなってもそれに耐えるのに十分な)調理面の下側の強度の増強が求められる。
したがって本発明の目的は、投入原料ができるだけ少なく、その上、多数の用途において十分な光透過性および着色能を示すガラスセラミックおよびその製造方法を得られるようにすることである。
この目的は、以下の組成(質量%):
を有し、表面に近い勾配層とその下にある核とを有する透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材であって、
LASガラスセラミックが、核中に主結晶相としてキータイト固溶体(KSS)を有し、勾配層中に主結晶相として高石英固溶体(HQSS)を有し、さらに、20μm以上の任意の深さ、好ましくは15μm以上の任意の深さ、もっとも好ましくは10μm以上の任意の深さにおけるKSS結晶相比率が、HQSSとKSSの結晶相比率の合計の50%を超える、透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材によって達成される。
を有し、表面に近い勾配層とその下にある核とを有する透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材であって、
LASガラスセラミックが、核中に主結晶相としてキータイト固溶体(KSS)を有し、勾配層中に主結晶相として高石英固溶体(HQSS)を有し、さらに、20μm以上の任意の深さ、好ましくは15μm以上の任意の深さ、もっとも好ましくは10μm以上の任意の深さにおけるKSS結晶相比率が、HQSSとKSSの結晶相比率の合計の50%を超える、透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材によって達成される。
以下においては、簡単にするため、「本発明によるガラスセラミック基材」の代わりに、「本発明によるガラスセラミック」と述べることにするが、材料である「ガラスセラミック」を意味するわけではなく、ただ単にそれから製造される基材を意味する。
驚くべきことに、結晶層状構造または特性が上記のように調整され、以下に記載の方法によって製造されたLASガラスセラミックから、これまで記載されたことのない高強度と可視波長範囲における好適な着色能との組合せを有し、同時に散乱(曇り度)の小さなガラスセラミック基材を製造できることが見出された。このため、本発明による基材は、3.8mmより薄く、好ましくは厚さが3.2mm以下であり、かつ光インジケーターまたはディスプレイにとって十分な光透過性を有する調理面としての用途に特に適している。
上記の組成を有しかつ表面に近接した勾配層とその下にある核を有する透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材であって、LASガラスセラミックが、核中に主結晶相としてキータイト固溶体(KSS)を有しかつ勾配層中に主結晶相として高石英固溶体(HQSS)を有する本発明によるガラスセラミック基材は、それゆえに、少なくとも0.8Nの「CIL」値で表される衝撃強度によっても定義でき、ここで、CIL値は、10%の周囲湿度下でビッカース圧子をガラスセラミックの表面に押し込むときの前記少なくとも0.8Nの荷重に相当し、また、少なくとも10回の試験で、こうして作られたくぼみの端から発生する亀裂が平均して2つ生じる。
物理的過程である応力腐食割れのため、周囲湿度がCIL値に影響することが当業者に知られている。例えば、この結果として、同じガラスセラミック基材を低い周囲湿度で測定すると、周囲湿度が高い場合よりもCIL値が大きくなる。したがって、本発明によるガラスセラミック基材は、好ましくは、周囲湿度が1%である場合にCIL値が少なくとも0.98Nである。
比強度が増大するため、厚さ4mmの従来のガラスセラミック板の場合と同じ耐荷重性を有する、わずか3mmの厚さ(どんな場合でも、3.2mm以下)の透明着色ガラスセラミックを製造することが初めて可能になった。その結果、少なくとも20%の材料の節減が可能となるか、または同じ厚さで対応する強度の増大がもたらされる。
さらに、調理面の底部側の(特に、強度を増大させるために通常用いられる)「荒ずり(knobbing)」の手間を省くことができる。したがって、本発明によるガラスセラミック基材は、より好ましくは、両側が滑らかにされる。
本発明によるガラスセラミック基材および本発明による方法の、上記および更なる利点ならびに特性を、図に基づいて以下に説明する。示してある図は以下のとおりである。
破壊強度を測定するために、「亀裂発生荷重」(「CIL」)試験法(これ自体は知られている)を何よりもまず使用する。例えば、米国特許第8,765,262A号明細書を参照されたい。その試験では、保持器(好ましくは窒素洗浄しておく)の所定の位置に固定したガラスセラミック試料に対して、V−I−O3ビッカース圧子を有する材料試験装置(CSMのMicro−Combi Tester)で点荷重を加える。指定荷重を、選択した最大値まで30秒間の間に直線的に増大させ、その後、停止させることなく同じ時間をかけて減少させる。荷重のせいで、ビッカース圧子によるピラミッド状のくぼみの角から、0〜4個の亀裂がガラスセラミックに生じうる。それぞれのくぼみで、4個の亀裂が生じるまで、荷重の選択最大値を段階的に増大させる。亀裂形成のばらつきを理解するためにそれぞれの力で少なくとも10回測定するが、亀裂形成は、(損傷前の)既存の表面によっても左右される。同じ力で生じた亀裂の数から平均値を得る。
試料は、好ましくは、測定の間、亀裂のカウントが完了するまで保持器に残す。周囲空気の湿気のせいで、それほど大きくない亀裂の成長が起こるのをできるだけ防ぐため、検査は、好ましくは窒素雰囲気下で実施する。
したがって、数回の試験のそれぞれで求めるものは、加えた荷重に応じて変化する、ビッカース圧子によるくぼみから生じる亀裂の数である。求めた亀裂の数を図において圧子の力との関係でプロットし、図1に示すように、荷重/亀裂曲線をBoltzmann関数に当てはめる。最後に、平均して2個の亀裂が生じる荷重のCIL値を、衝撃強度の特徴値としてこの曲線および出力から読み取る。3つの測定点を、例として図1に示す。
本発明によれば、周囲湿度10%で測定される荷重は少なくとも0.8Nであり、周囲湿度1%で測定される荷重は少なくとも0.98Nである。しかし、調理面のガラスセラミック基材にとって重要な本発明によるガラスセラミックの強度(特に、衝撃強度)(EN 60335、UL 858、またはCSA 22.2を参照)は、別の仕方で測定できる。
認定されている別の衝撃強度測定の試験法は、いわゆるボール落下試験である(例えば、独国特許出願公開第102004024583(A1)号明細書を参照)。この試験は、試験対象のガラスセラミックパネルの正方形切り取り片(100mm×100mmのサイズ)に対して行う。衝撃強度の測定は、DIN 52306に基づいて行う。この場合、測定試料を試験フレームに入れ、鋼球(重さが200g、直径が36mm)を試料の中心に落下させる。落下高度は、破損が生じるまで段階的に増やす。衝撃強度の統計的特性ゆえに、この試験は一連の少なくとも10個の試料で行う。測定値分布の平均値、標準偏差、及び/または5%フラクタイルを、強度の特性値として求めた。最後の値は、試験試料の5%が破損する落下高度を示す。
ガラスまたはガラスセラミック製の板の衝撃強度は、大なり小なり偶発的な表面損傷によってとりわけ左右されることが知られている。こうした表面損傷は強度に影響を及ぼすが、表面損傷はその偶発性ゆえに制御するのが難しく、通常は、それによって測定値分布の標準偏差が大きくなり、それゆえに、異なる試験ロットの衝撃強度の比較評価をひどくゆがめてしまうことがある。可能な改善策は、試験の統計的範囲を拡大することであり、こうした状況では、相当の努力が必要となりかねない。ほかに行えることは、専門家の仲間の間で確立されているものであるが、ガラスまたはガラスセラミック製の板の表面に対して、定められた事前損傷の形で表面前処理(すべての試験ロットで同一のもの)を実施することである。以下に記載する実施例では、この事前損傷は、一つのかき傷を付けることであり、これは、ボールが衝撃を与える上側の接触点とは反対側の、測定試料の底側の中心に付ける。かき傷は、ダイヤモンドポイント(この場合、ヌープ圧子である)で付けるが、これは、0.12Nの一定圧力を加え、20mm/分の一定速度で、測定試料の表面の少なくとも10mmの直線の長さにわたってこのダイヤモンドポイントを長軸と平行に進ませることにより付ける。
この種の接触損傷を施したLASガラスセラミックの衝撃強度は、上記のようにしてボール落下試験で求めることができる。典型的には10%未満である標準偏差は、やはり比較的ごく小さく、その測定は信頼できる統計的評価に使用でき、同時に試験ロットの妥当な範囲が得られる。
事前損傷させた試料に対する既述のCIL試験および既述のボール落下試験を用いて求めた測定結果は、互いに比較するため図2aおよび2bとして2つの図でプロットしてある。それぞれの場合に、本発明による2つのガラスセラミックまたはガラスセラミック基材A1およびA2および1つの比較セラミックB1(核中に主結晶相としてHQSSを有する)を試験した。図2aにしたがったCIL測定は、10%の周囲湿度で実施したが、図2bにしたがったCIL測定は1%の周囲湿度で行った。ボール落下試験は通常の日常条件下で約50%の周囲湿度において行い、変化させなかった。というのは、周囲湿度はボール衝撃強度に著しい影響を及ぼさないからである。CIL試験の結果は、それぞれx軸から読み取り、ボール落下試験の結果はy軸から読み取る。ボール落下試験で求めた平均値(丸い測定点で示してあり、実線で結んである)、および5%フラクタイル(三角の測定点で示してあり、破線で結んである)の両方をプロットしてある。2つの方法で測定した特性値が、かなり一致していることが分かる。5%フラクタイルは、予想通り、それぞれに割り当てられた落下高度の平均値よりもいくらか低い値である。左側の測定点の一対は、比較セラミックB1を表し、2つの右側の測定点の一対はそれぞれ例示的実施形態A1およびA2の一方を表す。どちらの測定方法においても、層状構造を有する本発明による2つのガラスセラミックは、比較セラミックよりも破壊強度が著しく大きいことが判明した。こうして、本発明による例示的実施形態A1のボール落下試験での厚さ4mmの調理面の場合、衝撃強度が46±6cm(平均値±標準偏差)および37cm(5%フラクタイル)であることが判明した。それとは対照的に、透明着色ガラスセラミックで作られた比較品B1(これも核中に主結晶相としてHQSSを有する)の場合、ほんの19±3cm(平均値±標準偏差)および14cm(5%フラクタイル)であることが判明した。A2の落下高度はおよそ90%比較例よりも増大するであろうし、A1の場合は、実際およそ142%増大するであろう。本発明による実施例はどちらも、必要とされるCIL限界値である周囲湿度10%の場合の0.8N、または周囲湿度1%の場合の0.98Nを著しく超えている。
しかし、核中に主結晶相としてHQSSを有する比較セラミックB1の場合だけでなく、主結晶相としてKSSを有する周知の半透明または不透明ガラスセラミックの場合も、衝撃強度は、定められた事前損傷の後では、本発明によるガラスセラミックまたはガラスセラミック基材の場合より著しく低い範囲にある。例えば、第2表の中で以下に挙げている例のB2およびB3については、上述の種類のボール落下試験では、落下高度がほんの29±6cmであることが既述の仕方で明らかになった。
周囲湿度10%の場合のCIL限界値0.8Nまたは周囲湿度1%の場合のCIL限界値0.98Nは、ボール落下試験での約32cmの平均高さおよび約26cmの5%フラクタイルに相当する。好ましくは、本発明によるガラスセラミック(定められた上記の事前損傷を施してあるもの)に対するボール落下試験で測定されるボール落下高度は、それゆえに、少なくとも30cm(平均値)及び/または25cm(5%フラクタイル)、もっとも好ましくは少なくとも40cm(平均値)及び/または35cm(5%フラクタイル)である。
衝撃強度の測定は、調理面の標準規格として直接関係しているが(もう一度EN 60335、UL 858、またはCSA 22.2を参照されたい)、機械的強度を特徴付けるための別の特性値である曲げ強度については規格の規定はない。それでも、曲げ強度の測定は、更なる適切なパラメータ測定であり、それに基づいて、本発明による方法によって強度が増大することを実証できる。(そのため、場合によっては追加的に実施される)曲げ強度試験は、EN 1288 Part 5(R45)に準拠した二重リング試験として実施される。本発明による厚さ4mmの設計のガラスセラミック調理面では、ワイブルモデルによるその後の評価により、曲げ強度試験においてワイブル係数が6.0の場合に236MPaという特性曲げ強度が達成される。核中に主結晶相としてHQSSを有する同じ厚さの比較セラミック(ワイブル係数7.3の場合、特性曲げ強度が171MPaである)と比較して、これはかなりの増大であり、本発明による層状構造および結晶含有量の全体的な強度増大効果を確証している。強度測定の統計的解析にワイブルモデルを使用することは、専門家の間では、例えば、W. Weibull, “A statistical theory of the strength of materials,” Ingenioersvetenskapsakademiens Handlingar No. 151, 1−45 (1939)から一般に知られている。
比較のため、B2についても曲げ強度をこの方法で測定した。結果は、同じ点を確証している。ワイブル分析により、131MPaの値が得られたが、これは実際にHQSSガラスセラミックの値より下である。
こうしてすべての分析法において、比強度(特に、比衝撃強度)(これは、調理面としての用途に非常に関係がある)が、本発明によるガラスセラミック基材では並外れて高いことが判明し、厚さ4mmの従来のガラスセラミック板の耐荷重性に(3.0mm以下の厚さから始めた場合でさえ)匹敵する耐荷重性を実現できることが確証される。
こうしたことの主な理由となるのは、ガラスセラミックの特定の結晶層状構造または特性であり、その測定については以下に説明する。KSS結晶相比率およびHQSS結晶相比率は、深さに応じて測定する。結晶相比率はここでは常に体積%で示し、平均結晶子サイズはnmで示す。結晶相比率は、ガラスセラミックの無損傷試料については薄膜XRD(X線回折)で測定し、無損傷試料から製造された粉末については粉末XRDで測定する。それぞれの結晶相(HQSSまたはKSS)に独特の反射を測定し、結晶相比率は、反射の積分面積から求めた。こうした積分面積は、知られている相含有量を有する標準試料のものと関連づけられ、結晶相の比率およびX線では非晶質である他の相の比率を、それによって求めた。ここで示す結晶子サイズは、標準と関係したいわゆるシェラーの式にしたがった反射の増幅によって求めた。経験によれば、測定の相対誤差は、相含有量に関しては10%であり、結晶子サイズに関しては5%である。
図3〜5はそれぞれ、本発明による試料の第1実施例A1(図3)、本発明による試料の第2実施例A2(図4)、およびセラミックB1(核中に主結晶相としてHQSSを有する)の比較例(図5)で測定した、深さとの関係で示したHQSSおよびKSSの結晶相比率の図または深さ分布を示す。結晶相比率をそれぞれy方向(%)にプロットし、深さ(ガラスセラミック試料の表面からの深さ)はx方向(μm)である。ガラスセラミックはそれぞれ0.5°のすれすれの入射で、X線回折によって測定した。そのような測定値の深さ情報は、経験によれば約2μmである。その後、もっと深い層にある対応する相含有量を求めるために、試料を次々に磨き、XRDを再度測定した。
例示的実施形態A1およびA2では、第1セグメントでHQSS比率が最初少しだけ増大することを、図は示している。この増大は、数百nmから最大で1μmの厚さであるガラスセラミックの表面の(結晶子が存在しない)周知のガラス状領域に起因しうる。しかし、XRD測定は、各測定ステップで約2μmの深さ情報全体にわたって積分されるので、最初の2μmの範囲内のHQSSの含有量は、表面の測定値に入り、それゆえにそれは、0%の測定誤差の範囲では求められない。その後、HQSS相の比率は、その都度、核の方向に連続的に減少する。これとは反対に、KSSの比率はその都度、核の方向に増大する。A1の場合、約76μmのKSSの比率はおよそ75%の「バルク値」の比率(2000μmの深さで測定される)に相当する。同時に、76μmのHQSSは、2000μmの深さでのバルク値0%に低下する。例示的実施形態A2の場合、HQSSの比率は10%に低下するだけであり、2000μmの深さのバルク値には、ここでは約56μmで到達する。それに応じて、この深さでは、KSSの最大値59%に達する。さらに、いわゆるX線非晶相(すなわち、X線回折では検出できない相であり、そのような相は特に、ガラス相も含む)が層内にある。
どちらの例示的実施形態も、HQSS相比率およびKSS相比率を表す曲線の交点が、0から10μmの間、さらに具体的には、2から8μmの間にあり、したがって、どんな場合でも10μmより下であることを示している。言い換えれば、KSS結晶相比率は、遅くても10μm以上の深さで、HQSSおよびKSS結晶相比率の合計の50%を超える。
それとは対照的に、比較例B1では、材料中にKSSは存在せず、HQSSは29μmで、2000μmの深さの最大バルク値の70%にすでに達していることをはっきり見ることができる。
同時に、核にKSSが形成されているにもかかわらず、本発明によるガラスセラミックは透明であり、したがって、多色ディスプレイにも(特に、邪魔になる散乱中心が存在しない状態で)基本的に十分に適している。透明性は、国際規格ISO 14782:1999(E)(それぞれの場合に厚さ4mmのガラスセラミックに標準化される)にしたがって散乱光測定によって測定される。380nm〜1000nmの波長範囲でのこの散乱光測定の結果を図6の図に示す。本発明による2つの試料A1およびA2および2つの標準試料B1およびB3で、測定を行った。ガラスセラミックの核中に主結晶相としてHQSSを有する比較試料B1は、予想されるように、散乱光比率(本明細書では、「曇り度」と呼ぶ)が470nmの波長でおよそ4%と低いが、ガラスセラミックの核中に主結晶相としてKSSを有する半透明の比較試料B3の値は、非常に高く、およそ27%である。これとは対照的に、波長470nmでの本発明によるガラスセラミックA1およびA2の最大散乱光比率はそれぞれ、およそ9%およびおよそ13%(それぞれの場合に、図6に示す測定曲線に当てはめて求めた)である。400nm〜500nmの波長範囲全体の最大散乱比率は、どちらも17%の値を超えず、したがって、透明の範囲内にある。
多色ディスプレイにとって適したガラスセラミックとなるためには、国際規格のISO 14782:1999(E)(波長470nmであり、厚さ4mmのガラスセラミックに標準化される)にしたがって測定した最大散乱光比率(「曇り度」)は、それゆえに、好ましくは15%以下、もっとも好ましくは12%以下である。
さらに好ましいのは、国際規格ISO 14782:1999(E)(厚さ4mmのガラスセラミックに標準化される)にしたがって測定した最大散乱光比率(「曇り度」)は、400nm〜500nmの波長範囲で20%を超えないこと、もっとも好ましくは17%を超えないことである。
透明性に加えて、ガラスセラミックはまた、良好な表示能力を考慮に入れて、十分に着色されなければならない。すなわち、可視波長範囲の吸収によって透過損失をもたらさなければならない。着色は特に十分に濃くなければならず、光っていない物体は、肉眼ではLASガラスセラミックを通して認知できないが、光っている物体は見ることができるほどでなければならない。この性質を表す測定パラメータは、可視スペクトル範囲の積分球透過率τvisである。τvis(Y、「明度」、または「輝度」とも呼ばれる)は、波長範囲380nm〜780nmの透過スペクトルから計算される。この目的のために、測定スペクトルは、標準光源(D65)の発光スペクトル、およびCIE表色系のいわゆる「三刺激」の緑色比率によって畳み込まれる。
可視スペクトル範囲における本発明によるガラスセラミック(厚さ4mmのガラスセラミックに標準化したもの)の積分球透過率については、好ましくは、τvis,4mm≦5%が維持される。
このパラメータ調整により、ガラスセラミックの下に置かれている、光っていない部品が十分に暗くなるようにされる。
さらに、厚さ4mmのガラスセラミックに標準化した本発明によるガラスセラミックの分光透過率τ470nm,4mmは、好ましくは0.1%(470nmの波長)より大きい。
最後に、厚さ4mmのガラスセラミックに標準化した本発明によるガラスセラミックの分光透過率τ550nm,4mmは、好ましくは0.25%(550nmの波長)より大きい。
最後に述べた2つのパラメータ調整により、特別に優れたカラーディスプレイ能力と共に、改善された表示能力が個別に確保される。したがって、本発明により、初めて、これまで両立できなかった特性、一方では高強度といった特性、他方では(低散乱および好適な透過特性による)良好な表示能力といった特性が兼ね備えられることになる。それゆえに、かなりの美的感覚が求められる用途(調理面または表示・コントロールパネルなど)に特別に適している。この方法では、材料の衝撃強度を増大させることができ、さらに、例えば3mmという薄い厚さの材料で(EN 60335またはUL 858またはCSA 22.2にしたがって述べられている要件を満たす)調理面を製造できる。
こうした(見かけ上、幾分相反している)特性が、一方ではガラスセラミックの組成、他方ではセラミック化法に関して、それらの相互作用を調整することにより得られる。
ガラス溶融物から出発して、上記の組成のLASガラスから本発明によるガラスセラミック基材を製造するための本発明による方法は、ガラス溶融物の清澄化ステップ、溶融物を冷却して前駆体ガラスを形成させるステップ、こうして製造された前駆体ガラスに対して核形成ステップを実行するステップ、さらにその後、結晶核上にHQSSを成長させる結晶成長ステップ、主結晶相として高石英固溶体(HQSS)を有するこの形態に事前結晶化されたガラスセラミック中間体に対して結晶転移ステップ(ここでは、HQSS結晶相がKSS結晶相に一部転移される)を実施するステップを有するものであって、結晶転移ステップを、最大温度Tmaxにおいてその最大温度の滞留時間t(Tmax)にわたって、温度−時間領域内で実施し、その領域は、(Tmax=910℃;t(Tmax)=25分)、(Tmax=960℃;t(Tmax)=1分)、(Tmax=980℃;t(Tmax)=1分)、および(Tmax=965℃;t(Tmax)=25分)というペアの値を有する4つの頂点を結ぶ4本の直線で区切られているものである。
主結晶相として高石英固溶体(HQSS)を有する事前に結晶化されたガラスセラミック中間体から始める本発明による方法は、それに応じて結晶成長ステップから始める。また前駆体ガラスから始める本発明による方法は、それに応じて核形成ステップから開始し、その後に結晶成長ステップおよび結晶転移ステップを行う。
ガラスセラミック組成と製造方法との組合せにより、上述した層状構造および結晶含有量ならびに本発明による透過特性(したがって、有利な物質特性)を作り出すことが可能になる。ガラスセラミックの主結晶相は、その場合、Li(1-2x-2y)MgxZnyAlSi2O6−Li(1-2x-2y)Mg(x)Zn(y)AlSi4O10(ただし、0≦x≦0.5;0≦y≦0.5および0≦x+y≦0.5)の組成範囲内にあるKSSから構成される。
本発明による結晶転移のセラミック化プログラムについて、図7に基づいて説明する。本発明者らは、既述の組成を有するガラスセラミックでは、図7に示す台形の温度−時間領域内にある条件下でセラミック化される場合にのみ、所望の特性が組み合わさることを見出した。その領域は、以下の第1表(最大セラミック化温度Tmax;滞留時間t(Tmax))に示すペアの値を有する4つの頂点の間にある4本の直線で区切られるものである。好ましい値も第1表に示す。
例を挙げれば、滞留時間t(Tmax)が最大セラミック化温度Tmaxに対してプロットされている図7の図には、本発明によるセラミックスA1〜A7および本発明の範囲外にある比較例B1およびB3が示されている。本発明によるセラミック化パラメータの温度−時間領域は、台形領域に閉じ込められており、その角は第1表にある座標を有する。
好ましくは、本発明による方法は、前駆体ガラスまたはガラスセラミック中間体を、60分以下、好ましくは45分以下、もっとも好ましくは30分以下の時間をかけて、室温から最大温度Tmaxまで加熱するので、向上している。
滞留時間t(Tmax)および最大セラミック化温度Tmaxというセラミック化条件は、製品特性に関係するものであり、その条件でセラミック化プロセス(とりわけ相転移)が特別に制御された仕方で進行するが、上記の向上の利点は、そのセラミック化条件に迅速に到達し、加熱時にすでに十分にセラミック化が進行することはない(したがって、それほど制御されない仕方で進行することはない)という点にある。
KSSを含む透明高強度ガラスセラミックの製造のために、いっそう速いゆえに極めて経済的なセラミック化法が開発された。これは、例えば、米国特許出願公開第20140238971A号明細書に記載の方法と比べることから生まれている。780℃の温度まで冷却するための時間を含む本発明による方法では、全体で60分未満、好ましくは50分未満が必要だが、先行技術で記載されているセラミック化法は、いわゆる冷却曲線の領域(すなわち、最大温度の後の相)の同等温度に達するのに少なくとも80分かかる。
Tmaxでの滞留時間が短いおかげで、光散乱が少ない(それゆえに本発明の透過率となる)と同時に高強度が可能になるような粒度分布、平均全体サイズ、および相比率で、KSSが形成されることが保証される。これは、本発明によるこうしたセラミック化条件を、先行技術に記載されたものよりいっそう経済的かつ速い方法と組み合わせることもできるという点で、さらにいっそう驚くべきことである。
SnO2は、結晶形成プロセスおよび結晶成長プロセスに、成核剤として大きく関与するとも思われる。それゆえに、着色されていないSn含有透明ガラス体から不透明ガラスセラミックへの転移は、As清澄ガラス体と比べて著しく抑制されることが観察された。このことは、本発明による材料および方法にも当てはまると思われる。その理由で、380nm〜500nmの波長範囲で高比率のキータイト相を同時に有する透明ガラスセラミックを製造することも可能である。これは、結晶成長の遅れとその結果の小さな結晶子サイズに基づく。
製造は、よりいっそうのプロセス信頼性をもって実施でき、以下に説明する好ましいパラメータを維持するときに必要な製品特性を改良できる。ガラスセラミックは、好ましくは、不可避の痕跡量を除いてヒ素およびアンチモンを含まず、少なくとも0.1質量%のSnO2を有するLASガラスから製造される。
基本的に、(Sb2O3またはAs2O3とは対照的に)SnO2を清澄時に環境適合性のある還元剤として使用すること、またガラスセラミックを着色するために着色酸化物(例えば、V2O5及び/またはFe2O3など)の酸化還元対象として使用することは、独国特許第19939787(C2)号明細書から知られている。特に、1700℃より上の高温清澄と組み合わせると、際だった着色効果および気泡品質を得ることができる。
着色に関しては、組成物中の成分Fe2O3およびV2O5に関して、1<Fe2O3/V2O5<8という条件を維持するのが、特に好ましい。
さらに着色に関して、セラミック化条件のTmaxおよびt(Tmax)は、すでに着色されたガラスセラミックが後で暗色化するがことないような最適なものを選ぶ。着色および散乱に寄与しうる3つの領域を通るとしても、成核剤の分離時間が短くなり、かつ体積結晶化が短くなると共に、0.5%のτvisを下回ることはない。最終的には、どんな散乱も防止されるが、これは、短いセラミック化期間によって多かれ少なかれ低散乱状態が「凍結」されるからである。
組成物中の更なる着色酸化物は、元素Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Se、Mo、W、それらの酸化物、および希土類の金属酸化物からなる群からの少なくとも1種の物質を含む。特に、それらは、Cr2O3、MnO2、MnO、CoO、Co2O3、NiO、Ni2O3、CuO、Cu2O、SeO、希土類の更なる金属酸化物、およびモリブデン化合物である。こうした着色物質により、必要な場合には、色の位置及び/または透過率値の調整を、より目標をしぼった仕方で行うことができる。好ましくは、特に380nm〜500nmのスペクトル範囲において、あまりに強く透過率を制限しないために、Cr2O3の含有量は100ppmより小さくすべきである。そうしないと、白色および青色LEDまたはカラーディスプレイの表示能力に悪影響が及ぶという結果になるであろう。
有利には、ZnO含有量は少なくとも0.2質量%である。ZnOは、結晶相とガラス相との間で屈折率を一致させることに関して有利であり、したがって、散乱を最小限に抑えることで透過特性に好ましい効果がある。さらに、着色されていないガラスセラミックにおいてZnで誘起されるガーナイト形成は、明度L*を高めるのに役立つ。
MgO含有量は、好ましくは少なくとも0.1質量%、もっとも好ましくは少なくとも0.25質量%である。MgO含有量の上限は好ましくは1質量%である。
好ましくは、Al2O3含有量は19〜23質量%である。Al2O3含有量は、KSSならびにHQSSにおけるAl/Si比率を調整する上で重要な役割を果たす。このようにして、例えば、ガラスセラミックの熱膨張係数を調整することが可能である。Al2O3はさらに、ガラスセラミックの耐薬品性に対して良い影響を及ぼす。
さらに、TiO2含有量が2.5〜4質量%であるときに、有利であることが見出された。
ZrO2含有量は、好ましくは0.5〜1.9質量%、より好ましくは0.5〜1.8質量%、もっとも好ましくは0.5〜1.7質量%である。
TiO2およびZrO2のこうした制限内においては、核形成挙動が特に好ましい。一方、迅速かつ均質なセラミック化が確実に行われるようにするためには、十分な成核剤(チタン酸ジルコニウム)が存在するようにしなければならない。その一方で、TiO2の含有量および特にZrO2の含有量があまりに多いと、前駆体ガラスの形成時にすでに失透または自然発生的核形成が起こり、これも均質なセラミック化および良好な透明性を妨害することになる。
好ましくは、ガラスセラミック基材は、勾配層上に、厚さが50〜1000nm、好ましくは50〜800nm、もっとも好ましくは300〜800nmのガラス状表面領域を有する。この層は、拡散過程によって、特にバルクまたは核へのLiの拡散によって形成され、したがって結晶の内部でのLiの濃縮および結晶の表面領域でLiの枯渇をもたらすが、これは、(特に化学的攻撃プロセスの観点から)好ましい効果をもたらすと評価される。
核中の全結晶相の結晶比率が、90%以下、好ましくは85%以下、もっとも好ましくは80%以下であるときに有利であることが見出された。有利な下限としては、少なくとも69%を挙げることができる。さらに2次結晶相は、HQSS、ルチル、ガーナイト、およびチタン酸ジルコニウムである。全キータイト比率が80%未満であるときに有利であることも見出された。
結晶子比率は、ガラスセラミックの特性(特に熱膨張)を調整するのに重要である。KSSはHQSSよりも熱膨張が大きいので、特にKSS比率を既述の方法で制限する必要がある。
ガラスセラミック基材の十分な透明性を確保するために、ガラスセラミックの核中のKSS相の結晶子は、好ましくは130nm未満(XRD/X線回折測定により、上記のようにして測定)である。
得られたガラスセラミックの熱膨張係数α20/700は、好ましくは1.3×10-6/K未満である。その結果、それは、主結晶相としてKSSを有する周知の半透明LASガラスセラミックの範囲内にある。
本発明によるガラスセラミック基材の耐熱温度差は、好ましくは800℃より大きい。それとは対照的に、半透明のKSSガラスセラミックの耐熱温度差は、典型的には700℃である。
耐熱温度差(TUF)は、局所的な温度勾配に対するガラス製またはガラスセラミック製の板状物体の抵抗力を表す。調理面としての用途に関連して、耐熱温度差の試験を以下のように定める:試験試料として、試験するガラスセラミックパネルの正方形切り取り片(250mm×250mmのサイズ)を、放射加熱要素(用途に典型的なものであり、外径が180±3mmである)上に水平に配置する。その際に、放射加熱要素にぴったり置かれるように、また測定試料の各辺の4つの中間点が加熱要素の外縁部全体に25±2mm、35±2mm、35±2mm、45±2mmだけ突き出るようにして非対称的に配置する。例えば、特性が2300W/220VであるCeramaspeed Ltd.の加熱要素タイプ200N8−D2830Rが、放射加熱要素として適している。加熱要素を操作すると、測定試料の加熱領域と冷たい外縁部との間に温度勾配が生じる。加熱要素の加熱プロセスは、5.0±0.5分後に温度勾配のせいで破壊が生じるように制御する。加熱要素の反対側に位置する測定試料の表面でそのようにして到達する最大温度を、耐熱温度差の特性値として記録する。耐熱温度差の統計的性質に基づいて、この試験は少なくとも10個の一連の試料に対して実施する。測定値分布の平均値を、試験ロットの耐熱温度差と見なす。
機械的または熱的に生じた引張り応力に関するガラス製またはガラスセラミック製の板の強度は、とりわけ、大なり小なり偶発的な表面損傷によって左右されることが知られている。調理面としての用途に関連して、ガラス製またはガラスセラミック製の板は、実際に使用しているうちに、特に研磨洗浄、料理道具などによって表面が損傷すると想定されうる。それゆえに、耐熱温度差に言及する場合、それが、意図した用途に関連している限り、必然的に、実際に普通に使用した後に生じる表面損傷に相当する、測定試料のいくらかの事前損傷を想定している。経験によれば、1.2N/cm2の加圧力下で、番手220のSiC紙やすりによって測定試料の表面を研磨することにより、これを実現することができる。当業者は、研磨が破壊の発生に大きく影響するのは、研磨が、特に、試験中に引張り応力が発生する領域で(つまり、それぞれの主な応力方向に対して垂直である研磨方向に)行われるときだけであることをよく知っている。これには、特に、各辺の中間の領域で、かつ測定試料の外縁部に垂直である領域の中の、測定試料の冷たい端部の研磨が含まれる。
本発明による上述のタイプのガラスセラミック基材は、特に好ましくは、加熱要素用のカバー(特に、調理面またはロースト面など)として、白色陶磁器として、加熱要素カバーとして、グリル面として、または暖炉パネルとして、窯業、ソーラー産業、医薬品産業、または医療技術における、特にクリーンルーム条件下での製造工程のための、支持板または炉のライニングとして、化学的または物理的コーティング法が実施される炉用のライニングとして、または化学的耐性のある実験室設備として、高温または極低温用途のガラスセラミック物品として、燃焼炉の炉窓として、熱い環境から遮蔽するための熱遮断体として、反射器用、投光照明器用、プロジェクター用、映写機用、コピー機用のカバーとして、熱機械的負荷が関係する用途におけるカバーとして、例えば暗視装置におけるカバーとして、またはウェハ基板として、紫外線防止性の半透明物品として、ハウジング部品用材料として、例えば電子デバイスのハウジング部品用材料として、及び/またはIT用のガラスカバースクリーンとして、例えば携帯電話、ノート型パソコン、スキャナーガラス板などのためのガラスカバースクリーンとして、またはファサード板として、難燃性グレージングとして、または衝撃防護用部品として使用される。
本発明者らの研究によれば、本発明によるガラスセラミックまたはそれからなるガラスセラミック基材の必須特性がなくなるようにするには、ただ1種の組成成分、セラミック化の間の最大温度またはセラミック化時間が、本発明で規定する範囲から逸脱するだけで十分であろう。相互作用するパラメータが結果に及ぼす影響は、以下の第2表から分かる。
第2表は、8つの例示的実施形態A0〜A7を、4つの比較例B1〜B4と比較している。LASガラスセラミックの組成の下に、セラミック化の関連パラメータ、つまり、最大セラミック化温度Tmax(℃)、処理時間(DLZ)(分)、最大セラミック化温度tにおける滞留時間t@Tmax(分)、およびTmaxまでの加熱速度(ケルビン/分)が示されている。パラメータである処理時間、滞留時間、および加熱速度はそれぞれ最初に「実際」の値として示されている。具体的に言えば、これは、それぞれの例のセラミック化を実施した仕方を意味する。本発明によるそれぞれの実施例の特定の組成および特定の最大セラミック化温度について、セラミック化が功を奏するこれら3つのパラメータの「好ましい範囲」を、それらの後に示す。以下に挙げてあるものは、上述の方法にしたがって測定した製品パラメータであり、以下の順序になっている:HQSS相の相含有量(%);KSS相の相含有量(%);HQSSの平均結晶子サイズ(nm)、KSSの平均結晶子サイズ(nm)(相含有量ならびに結晶子サイズはそれぞれガラスセラミックの核(バルク)に関連して示してあり、粉末試料で測定したものである);主観的な視覚の透過特性(着色、非着色);470nmの波長での測定透過率(厚さ4mmのガラスセラミックに標準化されている)(%);可視スペクトル範囲での測定積分球透過率τvis(厚さ4mmのガラスセラミックに標準化されている)(%);470nmの波長での最大散乱比率(「曇り度」)(厚さ4mmのガラスセラミックに標準化されている);20から700℃の間の熱膨張係数α20/700℃(1/K);耐熱温度差(TUF)(℃);および衝撃強度(ボール落下試験で測定し、平均値および5%フラクタイルで示したもの(それぞれcm単位)、およびCIL法で測定しNで示したもの)。
すべての例示的実施形態は、本発明の観点から言えばKSSを形成する。つまりそれは、核のKSS相比率が大きいということである。このことは、比較例B2およびB3にも当てはまる。他の比較例では、少しもKSSを形成しないか、またはわずかな程度しか形成しない。それに対して、実施例B2およびB3では、結晶が余りに大きくなることを示すが、これは、最大セラミック化温度と滞留時間とに起因する。この結果、こうしたガラスセラミックは、十分には透明ではなく、むしろ半透明である。実施例B1は、KSSの形成が少しだけであるため、強度増強効果が生じないことを示している。そのためこの実施例は、表示能力が不十分である。
Claims (18)
- 以下の組成(質量%):
を有し、勾配層とその下にある核とを有する透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材であって、
前記LASガラスセラミックが、前記核中に主結晶相としてキータイト固溶体(KSS)を有し、前記勾配層中に主結晶相として高石英固溶体(HQSS)を有し、かつ
20μm以上の任意の深さにおけるKSSの結晶相比率が、HQSSとKSSの結晶相比率の合計の50%を超える、前記ガラスセラミック基材。 - さらに、CIL値で表される前記ガラスセラミックの破壊強度が、周囲湿度が10%である場合に少なくとも0.8Nであり、かつ/または周囲湿度が1%である場合にCIL値が少なくとも0.98Nであることを特徴とする、請求項1に記載のガラスセラミック基材。
- 以下の組成(質量%):
を有し、勾配層とその下にある核とを有する透明着色LASガラスセラミックで作られたガラスセラミック基材であって、
前記LASガラスセラミックが、前記核中に主結晶相としてキータイト固溶体(KSS)を有し、前記勾配層中に主結晶相として高石英固溶体(HQSS)を有し、かつ
前記ガラスセラミックが、10%の周囲湿度で、CIL値で表される少なくとも0.8Nの強度を有し、かつ/または1%の周囲湿度で少なくとも0.98NのCIL値を有する、前記ガラスセラミック基材。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材であって、
(Tmax=910℃;t(Tmax)=25分)、(Tmax=960℃;t(Tmax)=1分)、(Tmax=980℃;t(Tmax)=1分)、および(Tmax=965℃;t(Tmax)=25分)というペアの値を有する4つの頂点を結ぶ4本の直線で区切られた温度−時間領域内で、最大温度Tmaxによる、また該最大温度の滞留時間t(Tmax)にわたるセラミック化が行われる間にHQSS結晶からKSS結晶へと相転移することによって、HQSSおよびKSSの結晶相比率の深さ分布及び/または前記強度が実現されることをさらに特徴とする、前記ガラスセラミック基材。 - 厚さ4mmのガラスセラミックに標準化された場合の最大散乱比率(「曇り度」)が、470nmの波長において15%以下、好ましくは12%以下であることをさらに特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 厚さ4mmのガラスセラミックに標準化された場合の最大散乱比率が、400nm〜500nmの波長範囲において、20%を超えないこと、好ましくは17%を超えないことをさらに特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 不可避の痕跡量を除いてヒ素およびアンチモンを含まず、かつ少なくとも0.1質量%のSnO2を含むLASガラスから、前記ガラスセラミックが製造されることをさらに特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 1<Fe2O3/V2O5<8という条件をさらに特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 前記更なる着色酸化物が、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Se、Mo、Wの元素、これらの酸化物、および希土類の金属酸化物からなる群からの物質を少なくとも1種含むことをさらに特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 厚さ4mmのガラスセラミックに標準化された場合の可視域における積分球可視光透過率τvis,4mmが5%以下であることをさらに特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 厚さ4mmのガラスセラミックに標準化された場合の分光透過率が、470nmの波長において0.1%より大きく、かつ/または550nmの波長において0.25%より大きいことをさらに特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 前記勾配層上にある、厚さが300〜1000nm、好ましくは300〜800nmのガラス状表面領域をさらに特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 前記核における結晶比率が、82%以下、好ましくは80%以下、もっとも好ましくは76%以下であることをさらに特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材。
- 請求項1から13のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材の使用であって、
加熱要素用のカバーとして、特に調理面またはロースト面として、白色陶磁器として、加熱要素カバーとして、グリル面として、暖炉パネルとして、窯業、ソーラー産業、医薬品産業、または医療技術における、特にクリーンルーム条件下での製造工程のための、支持板または炉のライニングとして、化学的または物理的コーティング法が実施される炉用のライニングとして、または化学的耐性のある実験室設備として、高温または極低温用途のガラスセラミック物品として、燃焼炉の炉窓として、熱い環境から遮蔽するための熱遮断体として、反射器用、投光照明器用、プロジェクター用、映写機用、コピー機用のカバーとして、熱機械的負荷が関係する用途のためのカバーとして、例えば暗視装置におけるカバーとして、またはウェハ基板として、紫外線防止性を備える半透明物品として、ハウジング部品用材料として、例えば電子デバイスのハウジング部品用材料として、及び/またはIT用ガラスカバースクリーンとして、例えば携帯電話、ノート型パソコン、スキャナーガラス板などのためのガラスカバースクリーンとして、またはファサード板として、難燃性グレージングとして、または衝撃防護用部品としての、前記使用。 - 請求項1から13のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材を製造するためのセラミック化法であって、
以下の組成(質量%):
を有するLi2O−Al2O3−SiO2ガラス組成物をベースにした、主結晶相として高石英固溶体(HQSS)を有する事前に結晶化されたガラスセラミック中間体に対して結晶転移ステップを実行し、該ステップでHQSS結晶相がKSS結晶相に一部転移し、
前記転移ステップを、最大温度Tmaxで前記最大温度の滞留時間t(Tmax)にわたって、(Tmax=910℃;t(Tmax)=25分)、(Tmax=960℃;t(Tmax)=1分)、(Tmax=980℃;t(Tmax)=1分)、および(Tmax=965℃;t(Tmax)=25分)というペアの値を有する4つの頂点を結ぶ4本の直線で区切られた温度−時間領域内で実施する、前記セラミック化法。 - 請求項1から13のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材を製造するためのセラミック化法であって、
以下の組成(質量%):
を有するLi2O−Al2O3−SiO2ガラス組成物をベースにした前駆体ガラスに対して核形成ステップを実行し、その後、HQSSが結晶核上に成長する結晶成長ステップを実行し、さらにその後、請求項15に記載の方法の特徴を用いた結晶転移ステップを実行する、前記セラミック化法。 - 請求項1から13のいずれか一項に記載のガラスセラミック基材の製造方法であって、
以下の組成(質量%):
を有するLi2O−Al2O3−SiO2ガラス組成物を溶融させるステップと、
前記ガラス溶融物を清澄化するステップと、
その後、前記溶融物を冷却して前駆体ガラスを形成させるステップと、
その後、請求項16に記載の方法の特徴にしたがって前記前駆体ガラスをセラミック化するステップと
を有する、前記製造方法。 - 前記前駆体ガラスまたは前記ガラスセラミック中間体を、60分以下、好ましくは45分以下、もっとも好ましくは30分以下の時間をかけて、室温から前記最大温度Tmaxまで加熱することをさらに特徴とする、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
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