JP2016155509A - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸収エネルギーを確保しつつ軽量化できる衝撃吸収部材を提供する。
【解決手段】金属板から成形される本体20および中板30を備える衝撃吸収部材である。本体20は、軸方向に垂直な断面における形状が4角形である。中板30は、本体20の軸方向に沿って設けられるとともに、幅方向の両端が本体20の4角形の一対の長辺にそれぞれ重ね合わせて接合され、さらに、本体20の軸方向に沿って並べて所定の領域X内に配置される複数の穴30aを有する。所定の領域Xは、中板30の幅方向の中央に位置し、かつ、中板の幅W1(mm)に対して39%の幅(mm)である。中板30の板厚(mm)は、本体20の板厚(mm)に対して140〜290%である。
【選択図】図2C

Description

本発明は、軸方向に負荷される衝撃荷重を周期的な座屈によって吸収する衝撃吸収部材に関する。
自動車や鉄道、船舶等の輸送機械では、衝撃吸収部材が用いられる。その衝撃吸収部材は、衝突時に衝撃荷重を受けて変形することによって衝突のエネルギーを吸収し、その結果、乗員の安全の確保と修理費用の軽減を図ることができる。このような衝撃吸収部材として、例えば、自動車の骨格部材やクラッシュボックスがある。
図1は、自動車における骨格部材およびクラッシュボックスの配置を模式的に示す斜視図である。同図に示すように、自動車の側部には、フロントサイドメンバー2、リアサイドメンバー3およびサイドシル7が配置されている。これらの部材は、いずれも、自動車の前後方向に沿って設けられる。フロントサイドメンバー2は自動車の側部のうちの前部に、リアサイドメンバー3は自動車の側部のうちの後部に、サイドシル7は自動車の側部のうちの中間部に配置される。
自動車の前後方向の中間部には、床(フロア)が設けられる。そのフロアには、フロアクロスメンバー(4、4’)が配置され、フロアクロスメンバー(4、4’)は自動車の幅方向に延びる。
クラッシュボックス(1a、1b)は、上述の骨格部材で構成されるフレームの先端に配置される。より具体的には、第1のクラッシュボックス1aがフロントサイドメンバー2の前端に設けられ、第2のクラッシュボックス1bがリアサイドメンバー3の後端に設けられる。
これらのフロントサイドメンバー2、リアサイドメンバー3、サイドシル7およびフロアクロスメンバー(4、4’)といった骨格部材、並びに、クラッシュボックス(1a、1b)は、衝突時にそれらの軸方向に荷重が負荷される場合がある。この場合、それらの部材が軸方向に蛇腹状に縮むように座屈変形することにより、衝撃荷重を吸収する。
このような衝撃吸収部材は、材料である金属板に曲げ加工や重ね合わせ溶接を施すことによって作製できる。金属板から作製される衝撃吸収部材は、筒状であり、すなわち、軸方向と垂直な断面での形状が閉じている。このため、衝撃吸収部材は、その内部が中空である。
衝撃荷重を周期的な座屈によって吸収する衝撃吸収部材に関し、従来から種々の提案がなされており、例えば、特許文献1がある。特許文献1には、クラッシュボックスが記載されている。そのクラッシュボックスは、中空断面を形成する部材(本体)に加え、中空断面の上下方向の中央付近で中空領域を上下に仕切るように水平状に延びた中板を備える。中板を備えることにより、クラッシュボックスが衝突時に座屈して潰れずに、折れ曲がるのが抑制されるとしている。その構成例では、中空断面を形成する部材(第1の部材、第2の部材)および中板を構成する第3の部材が、いずれも金属板からなり、同じ板厚である。
特許第4766422号公報 特願2014−212631号
綾紀元、他1名、「車体のエネルギ吸収特性」、自動車技術会論文集,No.7,1974、p.60−66
衝撃吸収部材は、前述の通り、金属板から作製される場合がある。この場合、軸方向と垂直な断面の形状が閉じているので、衝撃吸収部材の内部が中空である。特許文献1には、衝撃吸収部材(本体)の中空部に、中板を軸方向に沿って設けることが記載されている。
このように衝撃吸収部材を本体および中板で構成すれば、確かに、本体によるエネルギーの吸収を中板が補助することが可能となる。このため、衝撃吸収部材の吸収エネルギーを大きくすることができ、例えば、大型車の衝撃吸収部材において有効である。
衝撃吸収部材を本体および中板で構成する場合、従来、エネルギーの吸収を主に本体が担い、補助的に中板が担っていた。このため、中板の板厚は、本体の板厚より、薄かった。あるいは、特許文献1の構成例で示されるように、中板の板厚は、本体の板厚と同じであった。
ところで、自動車では、燃費向上の観点から、部品の軽量化が要求されている。このため、衝撃吸収部材においても、吸収エネルギーを確保しつつ軽量化することが求められる。前述の特許文献1に記載されるような本体と中板を備える衝撃吸収部材においても、吸収エネルギーを確保しつつ軽量化することが求められる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、吸収エネルギーを確保しつつ軽量化できる衝撃吸収部材を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態である衝撃吸収部材は、金属板から成形される本体および中板を備える衝撃吸収部材であって、前記本体は、軸方向に垂直な断面における形状が4角形であり、前記中板は、前記本体の軸方向に沿って設けられるとともに、幅方向の両端が前記4角形の一対の長辺にそれぞれ重ね合わせて接合され、さらに、前記軸方向に沿って並べて所定の領域内に配置される複数の穴を有し、前記所定の領域は、前記中板の幅方向の中央に位置し、かつ、前記中板の幅(mm)に対して39%の幅(mm)であり、前記中板の板厚(mm)は、前記本体の板厚(mm)に対して140〜290%である。
前記複数の穴の中心間隔(mm)は、座屈周期(mm)に対して75〜135%であるのが好ましい。前記座屈周期は、前記4角形を前記中板で仕切ることによって形成される第1および第2の4角形について、平均辺長さ(mm)をそれぞれ算出し、算出した前記平均辺長さ(mm)を平均したものである。
前記穴は、前記中板の幅方向の両端に近づくに従い、前記軸方向の長さが小さくなるのが好ましい。
本発明の衝撃吸収部材は、中板のうちで幅方向の中央に位置し、かつ、所定の幅である領域内に穴が本体の軸方向に並べて配置される。また、中板の板厚は、本体の板厚よりも厚い。これらより、単位質量あたりの吸収エネルギーを向上させることができ、衝撃吸収部材の軽量化が可能となる。
図1は、自動車における骨格部材およびクラッシュボックスの配置を模式的に示す斜視図である。 図2Aは、本発明の衝撃吸収部材の構成例を模式的に示す正面図である。 図2Bは、本発明の衝撃吸収部材の構成例を示す模式図であり、図2AのA−A断面図である。 図2Cは、本発明の衝撃吸収部材の構成例を示す模式図であり、図2AのB−B断面図である。 図3Aは、平均辺長さの算出における各辺の長さを例示する横断面図であり、本体が1枚の金属板からなる場合を示す。 図3Bは、平均辺長さの算出における各辺の長さを例示する横断面図であり、本体が2枚の金属板からなる場合を示す。 図4Aは、穴が長方形である場合を示す図である。 図4Bは、穴がひし形である場合を示す図である。 図5は、中板の穴の幅と、単位質量あたりの吸収エネルギーの関係を示す図である。 図6は、中板の板厚と、吸収エネルギー比の関係を示す図である。 図7は、座屈周期に対する穴の中心間隔の割合と、単位質量あたりの吸収エネルギーの関係を示す図である。 図8は、穴の形状と、単位質量あたりの吸収エネルギーの関係を示す図である。
1.本発明に至る知見
本発明者らは、特許文献2において、閉断面を有する本体の板厚よりも、中空部に設けられる中板の板厚を厚くすることを提案した。中板の板厚を厚くすることにより、衝撃吸収部材が周期的に座屈変形する際に、中板の両側で位相が異なる座屈変形が発生し、その変形の振幅(座屈変形に伴って形成される山の高さと谷の深さ)が小さくなるとともに波長(周期)が短くなる。これにより、衝撃吸収部材の吸収エネルギーが増加するのみならず、単位質量当たりの吸収エネルギーを増加させることができる。したがって、本体の板厚を薄くした場合でも、吸収エネルギーを確保することができ、軽量化を行うことが可能となる。
一方で、本発明者らは、吸収エネルギーを確保しながら軽量化を行うため、中板に穴を設けることによる肉抜きを検討した。ここで、中板の役割として、衝撃吸収時の口開きの抑制がある。口開きとは、本体が周期的に座屈変形する際に、本体の横断面において対向する長辺が湾曲し、長辺の中央で長辺同士の間隔が広がる現象である。このような口開きを抑制するため、中板の両端は、本体の横断面における一対の長辺にそれぞれ接合される。
中板の幅方向の両端部は、折り曲げられて本体の一対の長辺に重ね合わせた状態でそれぞれ接合される。衝撃吸収時には、両端部の折り曲げに伴って形成される稜線部(曲げR部)も衝撃吸収に寄与する。これは、中板の稜線部が本体の軸方向に沿うように配置されることによる。
ところで、非特許文献1には、衝撃吸収時の座屈変形の周期(以下、「座屈周期」ともいう)が、本体の閉断面の平均辺長さ(mm)となることが開示されている。特許文献1のように中板を設ければ、本体の閉断面が中板で仕切られて2つの閉断面に分割される。この場合、座屈周期は、中板で分割された各閉断面の平均辺長さを平均したものとなる。このため、中板を設けることにより、衝撃吸収部材の平均辺長さが小さくなり、座屈周期も小さくなるので、衝撃吸収能が向上する。
中板に穴を設ける肉抜きを行うにあたり、上述の中板の役割、および、座屈周期を考慮し、鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、下記(1)および(2)の知見を得た。
(1)中板に穴を設ける場合、穴の一部が稜線部に配置されると、衝撃吸収能が損なわれる。換言すると、中板の幅方向の中央領域に穴を配置すれば、衝撃吸収能を確保できる。
(2)穴のピッチ(間隔)を座屈変形のピッチ(周期)に同期させれば、周期的な座屈変形を促進でき、衝撃吸収能を向上できる。
本発明者らは、上記(1)および(2)の知見に基づき、後述の実施例に示す試験を行い、前述の本発明を完成させた。以下に、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
2.本実施形態の衝撃吸収部材
図2A〜2Cは、本発明の衝撃吸収部材の構成例を示す模式図であり、図2Aは正面図、図2BはA−A断面図、図2CはB−B断面図である。同図に示す衝撃吸収部材10は、本体20と、中板30とを備える。
本体20は、同図Bに示すように、軸方向と垂直な断面(横断面)における形状が4角形であり、その4角形の各辺は曲線でつながれる。同図に示す本体20は、横断面における形状が長方形であり、長方形の各辺は、曲げ加工に伴って発生する円弧でつながれる。また、本体20は、一枚の金属板からなり、閉断面を有する。4角形の4辺のうちで一方の対辺は長辺であり、他方の対辺は、長辺より短い短辺である。
中板30は、金属板からなり、本体20の中空部に軸方向に沿って設けられる。その中板30は、本体20と接合される両端部と、両端部の間に設けられる直線状部と、端部と直線状部とをつなぐ稜線部とを有する。また、中板30は、両端部が、本体20の4角形の4辺のうちで一対の長辺20aにそれぞれ重ね合わせ接合される。この中板30によって本体20の4角形が仕切られ、本体20および中板30によって2つの4角形が形成される。
中板30は、複数の穴30aを有し、その穴30aは、本体20の軸方向に沿って並べて配置される。同図Cに示す中板30には、中板30の幅方向の中央に楕円の穴が等間隔(ピッチ)で設けられる。このように複数の穴30aを設けることにより、肉抜きが図られ、衝撃吸収部材を軽量化できる。
また、中板30の穴30aは、所定の領域X内に配置される。その領域Xは、中板30の幅方向の中央に位置し、本体20の軸方向に沿って伸びる。領域Xの幅は、中板の幅W1(mm)の39%である。ただし、中板の幅W1は、中板30の直線状部の長さとする。
ここで、前述の通り、衝撃吸収時に中板30の稜線部が衝撃吸収に寄与する。一方で、中板30の中央は、衝撃吸収にほとんど寄与しない。領域X内に穴30aを配置すれば、中板の稜線部およびその周辺には穴が侵入しないので、稜線部による衝撃吸収作用を維持しながら、衝撃吸収部材を軽量化できる。これにより、単位質量あたりの吸収エネルギーを増加させることができる。
穴30aの一部または全部が領域X外に位置すると、単位質量あたりの吸収エネルギーが低下する場合がある。これは、中板30の稜線部による衝撃吸収効果が阻害され、衝撃吸収時に周期的な座屈変形が不安定となるからである。
穴の幅Whの上限は、自ずと、領域Xの幅に対して100%となる。穴の幅Whは、軽量化を促進する観点から、領域Xの幅に対して50%以上とするのが好ましい。
中板30の板厚(mm)は、前述の特許文献2と同様に、本体20の板厚(mm)よりも厚くする。具体的には、中板30の板厚(mm)は、本体20の板厚(mm)に対して140〜290%とする。
中板30の板厚(mm)が140%未満であれば、領域X内に穴を配置しても、後述の実施例に示すように、単位質量あたりの吸収エネルギーが低下する。これは、本体20の口開きを抑制できないことと、上下のそれぞれの空間の一辺としては薄くなりすぎ、座屈時のバランスが崩れ安定した座屈が阻害されてしまうことによる。
中板30の板厚(mm)が140〜290%であれば、領域X内に穴を設けることにより、軽量化しながら、吸収エネルギーを向上でき、単位質量あたりの吸収エネルギーも向上できる。これは、特許文献2で明らかにする通り、中板30の両側で位相が異なる周期的な座屈変形が発生し、その変形の振幅が小さくなるとともに波長が短くなることによる。単位質量あたりの吸収エネルギーをより向上させる観点から、中板30の板厚(mm)は、150%以上とするのが好ましく、220%以上とするのがより好ましい。同様の観点から、中板30の板厚(mm)は、285%以下とするのが好ましく、280%以下とするのがより好ましい(後述の図6参照)。
中板30の板厚(mm)が290%を超えると、後述の実施例に示すように、領域X内に穴を配置しても、単位質量あたりの吸収エネルギーが低下する。これは、中板30の厚肉化による質量増の影響と、上下のそれぞれの空間の一辺としては厚くなりすぎ、座屈時のバランスが崩れ安定した座屈が阻害されてしまうことによる。
穴30aの中心間隔(ピッチ)Phは、特に制限はなく、例えば、中板30と本体20の接合する際の作業性を考慮し、適宜設定してもよい。また、等間隔としてもよく、不等間隔としてもよい。穴30aの中心間隔Ph(mm)は、座屈周期(mm)に対して75〜135%であるのが好ましい。なお、穴30aの中心間隔Phは、本体の軸方向の間隔である。
ここで、座屈周期は、以下の手順によって算出する。
(1)本体20の4角形を中板30で仕切ることによって形成される第1および第2の4角形について、4辺の平均辺長さ(mm)をそれぞれ算出する。
(2)第1の4角形の平均辺長さ(mm)と、第2の4角形の平均辺長さ(mm)との平均値を求め、座屈周期とする。
図3Aおよび3Bは、平均辺長さの算出における各辺の長さを例示する横断面図であり、図3Aは本体が1枚の金属板からなる場合、図3Bは本体が2枚の金属板からなる場合を示す。平均辺長さ(mm)の算出において、辺の長さは、稜線部を除き、直線状の部分の長さとする。ただし、稜線部の中心が4角形の外側に位置する場合、4角形の外側に存在する部分は、除外する。例えば、中板30の下側の4角形において、辺cと辺gをつなぐ稜線部の中心は当該4角形の外側に位置する。この場合、辺cは、4角形の外側にも直線状に伸びるが、辺gが辺cまで伸びるとみなして辺cの長さを求める。図3Aの辺eおよび図3Bの辺dも同様に、4角形の外側に存在する部分は、除外する。
穴30aの中心間隔Ph(mm)を座屈周期(mm)に対して75〜135%とすれば、穴30aのピッチと座屈ピッチとが同期する。この場合、衝撃吸収部材が周期的に座屈変形する際に、穴30aが設けられた部分が山状や谷状に変形し易いことから、座屈ピッチおよび座屈変形の振幅(山の高さと谷の深さ)が安定し、周期的な座屈変形が促進される。これにより、単位質量当たりの吸収エネルギーをさらに増加させることができる。このため、衝撃吸収部材をさらに軽量化できる。
穴30aの形状は、例えば、楕円や長方形、ひし形、正方形、円等とすることができる。
図4Aおよび4Bは、穴の形状例を示す図であり、図4Aは長方形である場合、図4Bはひし形である場合を示す。後述の実施例では、穴30aの形状を楕円、長方形またはひし形とし、単位質量あたりの吸収エネルギーを比較した。その結果、楕円およびひし形とすれば、単位質量あたりの吸収エネルギーがより増加することが明らかになった。これは、長方形のように穴30aの長さLh(本体の軸方向の長さ)が中板の幅方向で一定であると、角部で応力が集中し、中板の稜線部による衝撃吸収作用に悪影響を及ぼすからである。
これを防止するため、穴30aは、中板の幅方向の両端に近づくに従い、穴の長さLhが小さくなるのが好ましい。より具体的には、穴30aの形状は、楕円、ひし形または円とするのが好ましい。
前述の特許文献2に記載するように、本体の板厚が薄いほど、中板の板厚増加によって単位質量当たりの吸収エネルギーが向上する効果が大きい。このため、本体の板厚は、2.3mm以下が好ましく、1.6mm以下がより好ましい。
本体と中板との重ね合わせ接合は、衝突時に本体と中板とが分離することなく、一体で変形できる限り、種々の方法により行うことができ、例えば、重ね合わせ溶接を採用できる。この場合、例えば、連続溶接や所定ピッチでのスポット溶接を採用できる。
本体は、例えば、単一の金属板から作製することができる。この場合、金属板を断面が多角形状になるように折り曲げ、前記図2に示すように、その両端を中板とともに重ね合わせ溶接すればよい。本体は、前記図3Bに示すように、2枚の金属板、より具体的には、ハット型断面の金属板と、平面状の金属板を重ね合わせ溶接することによって作製することもできる。この場合、2枚の金属板の板厚が異なってもよい。2枚の金属板の板厚が異なる場合、前述の本実施形態の効果を得るため、中板の板厚(mm)は、本体のいずれの金属板の板厚(mm)に対しても前述の範囲とする。
本体および中板は、いずれも引張強度が270〜1200MPaである金属板からなるのが好ましい。これは、一般的に金属板の引張強度は270MPa以上であり、引張強度が270MPa未満の金属板を入手するのが困難なことによる。また、引張強度が1200MPaを超えると、金属板を加工する際に割れが発生し易く、加工が困難なことにもよる。吸収エネルギーをより増加させるとともに、加工の際の割れ発生をより抑制する観点から、金属板の引張強度は、440〜980MPaとするのがより好ましい。
本実施形態の衝撃吸収部材は、自動車や鉄道、船舶等の輸送機械における衝撃吸収部材として用いることができる。より具体的には、自動車の衝撃吸収部材として用いる場合であれば、クラッシュボックスまたは骨格部材に用いることができる。骨格部材の場合、フロントサイドメンバー、リアサイドメンバー、サイドシルまたはフロアクロスメンバー等に用いることができる。
本実施形態の衝撃吸収部材による効果を確認するため、衝撃試験を行った。
1.穴の配置領域の確認試験
本試験では、落錘式衝撃試験を模擬した解析を行った。具体的には、前記図2に示す形状の衝撃吸収部材をその軸方向を鉛直方向に沿って配置した状態で、質量700kgの衝突体を高さ16.1mから落下させることにより、衝撃吸収部材の一端に衝突させた。その際、衝突体の軸方向の荷重と軸方向の変位とを算出し、荷重と変位との関係を求めた。
衝撃吸収部材10は、軸方向の長さを300mmとした。本体20は、横断面の形状が長方形(4角形)であった。本体20において、一対の長辺(20a、20b)は、いずれも、直線状部の長さが128mm、一対の短辺は、いずれも、直線状部の長さが58mm、稜線部は、いずれも、半径が6mmの円弧であった。
中板30は、本体20の一対の長辺の中央に中板30の直線状部が位置するように配置した。中板30の直線状部の長さ(中板の幅W1)は55.2mmであり、中板30の稜線部は半径が6mmの円弧とした。中板30には、幅方向の中央に楕円または円の穴30aを複数並べて設けた。中板30の穴30aの中心間隔Phは、50mmの等間隔とした。穴30aの幅Whは、10、20、22.5、25、30、40、50または60mmとし、穴の長さLh(本体の軸方向の最大長さ)は、10、20、30または40mmとした。
本体の4角形を中板で仕切ることにより、第1および第2の4角形が形成され、そのうちの図3Aで上側を第1とし、下側を第2とした。上側の第1の4角形は、辺aの長さが58mm、辺bの長さが58mm、辺gの長さ55.2mmが、辺fの長さが58mmであった。したがって、上側の第1の4角形は、平均辺長さが57.3mmであった。
また、下側の第2の4角形は、辺cの長さが64mm、辺dの長さが58mm、辺eの長さが64mm、辺gの長さが55.2mmであった。したがって、下側の第2の4角形は、平均辺長さが60.3mmであった。これらの平均辺長さより、衝撃吸収部材の座屈周期は58.8mmであった。
本体20および中板30は、いずれも、引張強度が980MPa級の鋼板を用いた。本体20の板厚は0.8mm、中板30の板厚は2mmとした。本体20と中板30との接合部は、スポット溶接を模擬した境界条件を設定し、より具体的には、直径5mmのスポット溶接を45mmピッチで行った場合を模擬して境界条件を設定した。
衝撃試験における荷重と変位の関係から衝撃吸収部材の吸収エネルギー(kJ)を算出し、その吸収エネルギーを衝撃吸収部材の質量(kg)で除することにより、単位質量あたりの吸収エネルギー(kJ/kg)を求めた。比較のため、中板30が穴30aを有さない衝撃吸収部材についても、同様の条件で、衝突試験を行い、単位質量あたりの吸収エネルギー(kJ/kg)を求めた。
図5は、中板の穴の幅(mm)と、単位質量あたりの吸収エネルギーの関係を示す図である。同図には、穴の長さごとに、中板の穴の幅と、単位質量あたりの吸収エネルギーの関係を示す。また、単位質量あたりの吸収エネルギーは、中板が穴を有さない衝撃吸収部材を基準(1)とし、相対値で示す。
同図より、穴の長さがいずれであっても、穴の幅が21.53mmを超えると、単位質量あたりの吸収エネルギーが低下するケースが発生した。すなわち、中板の幅方向の中央に位置し、かつ、中板の幅W1(55.2mm)に対して39%の幅である領域外に穴の一部が位置すると、単位質量あたりの吸収エネルギーが低下するケースが発生した。
一方、穴の長さがいずれであっても、穴の幅が21.53mm以下であれば、単位質量あたりの吸収エネルギーが増加した。したがって、中板の幅方向の中央に位置し、かつ、中板の幅(55.2mm)に対して39%の幅である領域内に穴を配置すれば、単位質量あたりの吸収エネルギーを増加できることが明らかになった。
2.板厚の確認試験
本試験では、前述の[穴の配置領域の確認試験]と同様に、前記図2に示す形状の衝撃吸収部材を用いて衝撃試験を行い、単位質量あたりの吸収エネルギーを求めた。本試験では、本体の板厚を0.8mmとし、中板の板厚を0.8、1.0、1.2、1.6、2.0、2.2または2.4mmとした。また、中板が穴を有するケースと、中板が穴を有しないケースとを設けた。中板が穴を有するケースでは、穴の形状を幅Wh20mm、長さLh40mmの楕円とし、穴の中心間隔Phを50mmの等間隔とした。これら以外の試験条件は、前述の[穴の配置領域の確認試験]と同じにした。
図6は、中板の板厚(mm)と、吸収エネルギー比(単位なし)の関係を示す図である。同図の吸収エネルギー比は、中板の板厚ごとに、中板が穴を有するケースの単位質量あたりの吸収エネルギー(kJ/kg)を、中板が穴を有しないケースの単位質量あたりの吸収エネルギー(kJ/kg)で除したものである。
図6より、中板の板厚が本体の板厚に対して140〜290%であれば、単位質量あたりの吸収エネルギーが増加することが明らかになった。
3.穴の中心間隔の確認試験
本試験では、前述の[穴の配置領域の確認試験]と同様に、前記図2に示す形状の衝撃吸収部材を用いて衝撃試験を行い、単位質量あたりの吸収エネルギーを求めた。本試験では、穴を有する中板を用い、穴の形状を幅Wh20mm、長さLh40mmの楕円とした。穴の中心間隔Phは、40、45、50、60、70または90mmの等間隔とした。これら以外の試験条件は、前述の[穴の配置領域の確認試験]と同じにした。
図7は、座屈周期(mm)に対する穴の中心間隔(mm)の割合(%)と、単位質量あたりの吸収エネルギーの関係を示す図である。同図の単位質量あたりの吸収エネルギーは、中板が穴を有さない衝撃吸収部材を基準(1)とし、相対値で示す。
同図より、穴の中心間隔(mm)は、座屈周期(58.8mm)に対して75〜135%とすれば、すなわち、44.1〜79.38mmとすれば、単位質量あたりの吸収エネルギーが増加することが明らかになった。
4.穴形状の確認試験
本試験では、前述の[穴の配置領域の確認試験]と同様に、前記図2に示す形状の衝撃吸収部材を用いて衝撃試験を行い、単位質量あたりの吸収エネルギーを求めた。穴の中心間隔Phは、50mmの等間隔とした。
穴の形状は、図2Cに示すような楕円、図4Aに示すような長方形、または、図4Bに示すようなひし形とした。いずれの穴の形状でも、穴の幅Whは20mm、穴の長さLhは40mmとした。これら以外の試験条件は、前述の[穴の配置領域の確認試験]と同じにした。
図8は、穴の形状と、単位質量あたりの吸収エネルギーの関係を示す図である。同図の単位質量あたりの吸収エネルギーは、中板が穴を有さない衝撃吸収部材を基準(1)とし、相対値で示す。
同図より、楕円およびひし形とした場合は、穴の形状を長方形とした場合と比べ、単位質量あたりの吸収エネルギーが増加した。このため、穴の形状を楕円またはひし形とすれば、単位質量あたりの吸収エネルギーを増加できることが確認できた。換言すると、穴を、中板の幅方向の両端に近づくに従い、軸方向の長さLhが小さくなる形状とすれば、単位質量あたりの吸収エネルギーを増加できることが確認できた。
本発明の衝撃吸収部材は、吸収エネルギーを確保しつつ軽量化できる。このため、自動車のクラッシュボックスや骨格部材に適用すれば、燃費の向上に大きく寄与することができる。
10:衝撃吸収部材、 20:本体、 20a:長辺、 20b:短辺、
30:中板、 30a:穴、 X:本発明で穴を配置する領域

Claims (3)

  1. 金属板から成形される本体および中板を備える衝撃吸収部材であって、
    前記本体は、軸方向に垂直な断面における形状が4角形であり、
    前記中板は、前記本体の軸方向に沿って設けられるとともに、幅方向の両端が前記4角形の一対の長辺にそれぞれ重ね合わせて接合され、さらに、前記軸方向に沿って並べて所定の領域内に配置される複数の穴を有し、
    前記所定の領域は、前記中板の幅方向の中央に位置し、かつ、前記中板の幅(mm)に対して39%の幅(mm)であり、
    前記中板の板厚(mm)は、前記本体の板厚(mm)に対して140〜290%である、衝撃吸収部材。
  2. 請求項1に記載の衝撃吸収部材であって、
    前記複数の穴の中心間隔(mm)は、座屈周期(mm)に対して75〜135%であり、
    前記座屈周期は、前記4角形を前記中板で仕切ることによって形成される第1および第2の4角形について、平均辺長さ(mm)をそれぞれ算出し、算出した前記平均辺長さ(mm)を平均したものである、衝撃吸収部材。
  3. 請求項1または2に記載の衝撃吸収部材であって、
    前記穴は、前記中板の幅方向の両端に近づくに従い、前記軸方向の長さが小さくなる、衝撃吸収部材。
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