JP2016151641A - 感光性組成物、硬化物の製造方法、硬化物、硬化膜、タッチパネル及び表示装置 - Google Patents

感光性組成物、硬化物の製造方法、硬化物、硬化膜、タッチパネル及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】屈折率が高く、耐薬品性に優れた硬化物を得ることができる感光性組成物、感光性組成物を硬化させた硬化物及びその製造方法、硬化膜、並びに、硬化膜を有する液晶表示装置、有機EL表示装置、タッチパネル及びタッチパネル表示装置を提供する。【解決手段】成分Aとして、特定のチタン化合物及び/又はジルコニウム化合物、成分Bとして、光酸発生剤、成分Cとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体を含む重合体成分、成分Dとして、溶剤、を含み、成分Cの総含有量を100質量部とした場合の成分Aの含有量が、20〜1,000質量部である感光性組成物【選択図】なし

Description

本発明は、感光性組成物、硬化物の製造方法、硬化物、硬化膜、並びに、上記硬化膜を用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、タッチパネル及びタッチパネル表示装置等の各種表示装置に関する。
近年、層間絶縁膜、保護膜、光取り出し層、スペーサー部材、マイクロレンズ部材などを形成するため、透明な感光性組成物が使用されている。透明な感光性組成物を使用して得られる硬化物は液晶表示装置や有機EL表示装置などの各種表示装置、タッチパネル、撮像装置、太陽電池等の多くの電子デバイスの部材として使用されている。
また、有機EL表示装置の光取り出し効率の更なる向上やタッチパネルのタッチ検出電極の骨見え防止などを目的として、透明な感光性組成物の屈折率を調整することが知られている。
従来の感光性組成物としては、特許文献1に記載されたものが知られている。
特開2014−102391号公報
本発明が解決しようとする課題は、屈折率が高く、耐薬品性に優れた硬化物を得ることができる感光性組成物、上記感光性組成物を硬化させた硬化物及びその製造方法、硬化膜、並びに、上記硬化膜を有する液晶表示装置、有機EL表示装置、タッチパネル及びタッチパネル表示装置を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<6>、<8>、<9>又は<11>〜<14>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<5>、<7>及び<10>と共に以下に記載する。
<1> 成分Aとして、下記a1及びa2よりなる群から選ばれた少なくとも1種、成分Bとして、光酸発生剤、成分Cとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体を含む重合体成分、成分Dとして、溶剤、を含み、成分Cの総含有量を100質量部とした場合の成分Aの含有量が、20〜1,000質量部であることを特徴とする感光性組成物、
a1:アルコキシ基を有する、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物、
a2:チタン原子若しくはジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有する、チタノキサン、ジルコノキサン及び/又はチタノキサン−ジルコノキサン縮合物、
<2> 上記酸基が酸分解性基で保護された基が、下記式c1−10で表される基を含む、<1>に記載の感光性組成物、
Figure 2016151641
式c1−10中、R101及びR102はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、但し、R101とR102とが共に水素原子となることはなく、R103は、アルキル基又はアリール基を表し、R101又はR102と、R103とが連結して環状エーテルを形成してもよい。
<3> 上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体が、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する、<1>又は<2>に記載の感光性組成物、
<4> 成分Bが、オニウム塩、オキシムスルホネート化合物、又は、イミドスルホネート化合物である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性組成物、
<5> 金属酸化物粒子を更に含む、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性組成物、
<6> 少なくとも工程a〜工程dをこの順に含む、硬化物の製造方法、
工程a:<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性組成物を基板上に塗布する塗布工程、
工程b:塗布された感光性組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程、
工程c:溶剤が除去された感光性組成物の少なくとも一部を活性光線により露光する露光工程、
工程d:露光された感光性組成物を熱処理する熱処理工程、
<7> 工程cと工程dの間に、工程eを含む、<6>に記載の硬化物の製造方法、
工程e:露光された感光性組成物を水性現像液により現像する現像工程、
<8> <6>又は<7>に記載の硬化物の製造方法により得られた硬化物、
<9> <1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性組成物を硬化してなる硬化膜、
<10> 層間絶縁膜又はオーバーコート膜である、<9>に記載の硬化膜、
<11> <9>又は<10>に記載の硬化膜を有する液晶表示装置、
<12> <9>又は<10>に記載の硬化膜を有する有機EL表示装置、
<13> <9>又は<10>に記載の硬化膜を有するタッチパネル、
<14> <9>又は<10>に記載の硬化膜を有するタッチパネル表示装置。
本発明によれば、屈折率が高く、耐薬品性に優れた硬化物を得ることができる感光性組成物、上記感光性組成物を硬化させた硬化物及びその製造方法、硬化膜、並びに、上記硬化膜を有する液晶表示装置、有機EL表示装置、タッチパネル及びタッチパネル表示装置を提供することができた。
液晶表示装置の一例の構成概念図を示す。液晶表示装置におけるアクティブマトリックス基板の模式的断面図を示し、層間絶縁膜である硬化膜17を有している。 有機EL表示装置の一例の構成概念図を示す。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。 タッチパネル付き表示装置の一例におけるタッチパネルの電極パターンを示す平面図である。 図3に示すA1−A2線に沿った断面構造を示す断面図である。 図3に示すB1−B2線に沿った断面構造を示す断面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本発明において、数値範囲を表す「下限〜上限」の記載は、「下限以上、上限以下」を表し、「上限〜下限」の記載は、「上限以下、下限以上」を表す。すなわち、上限及び下限を含む数値範囲を表す。
また、本発明において、「下記a1及びa2よりなる群から選ばれた少なくとも1種」等を、単に「成分A」等ともいい、「酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1」等を、単に「構成単位c1」等ともいう。
更に、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
(感光性組成物)
本発明の感光性組成物は、成分Aとして、下記a1及びa2よりなる群から選ばれた少なくとも1種、成分Bとして、光酸発生剤、成分Cとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体を含む重合体成分、成分Dとして、溶剤、を含み、組成物中の重合体成分の総量を100質量部とした場合の成分Aの含有量が、20〜1,000質量部であることを特徴とする。
a1:アルコキシ基を有する、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物
a2:チタン原子若しくはジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有する、チタノキサン、ジルコノキサン及び/又はチタノキサン−ジルコノキサン縮合物。
本発明の感光性組成物は、視認性改良のための屈折率調整層(インデックスマッチング)や、骨見え防止のための屈折率調整用の層間絶縁膜やオーバーコート膜等の用途に好適である。
タッチパネル分野において、ポリマーインシュレーターの見えや、ITO等の配線の見え(所謂、骨見え)が問題となっている。これを解消するために、高屈折率のポリマーインシュレーターの使用や、屈折率調整層(インデックスマッチング層)の使用が検討されている。
従来は、インデックスマッチング層として、スパッタ系のインデックスマッチング層、例えば、酸化ニオブのスパッタ蒸着層などが用いられてきたが、材料や作製に費用が掛かることから、高屈折率の酸化チタンや酸化ジルコニウムなどの金属酸化物や、チタンアルコキシドやジルコニアアルコキシドなどの金属アルコキシドや、これらの縮合物であるチタノキサンやジルコノキサン等を塗布液として付与して、層を形成する塗布型の検討がされている。
発明者らは鋭意検討した結果、本発明の感光性組成物によれば、屈折率が高く、耐薬品性に優れた硬化物を得ることができる感光性組成物、上記感光性組成物を硬化させた硬化物及びその製造方法、硬化膜、並びに、上記硬化膜を有する液晶表示装置、有機EL表示装置、タッチパネル及びタッチパネル表示装置が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、詳細な効果の発現機構は不明であるが、成分B由来の酸が発生することにより、アルコキシドの脱水が起こり、縮合反応が促進され、膜が緻密化するために、得られる硬化物の屈折率が向上し、また耐薬品性が向上すると推測している。
更に、上記メカニズムにより、低温硬化性にも優れると推測している。
本発明の感光性組成物は、活性光線による重合後、得られた硬化膜等の硬化物を熱処理することにより、硬化物の強度がより高くなる組成物であることが好ましい。
また、本発明の感光性組成物は、透明硬化物製造用感光性組成物であることが好ましく、透明硬化膜製造用感光性組成物であることがより好ましい。
更に、本発明の感光性組成物は、得られる硬化物の波長550nmにおける屈折率が1.55以上である感光性組成物であることが好ましく、1.60以上である感光性組成物であることがより好ましく、1.65以上である感光性組成物であることが更に好ましい。また、得られる硬化物の波長550nmにおける屈折率は、1.90以下であることが好ましく、1.85以下であることがより好ましい。
また、本発明の感光性組成物は、層間絶縁膜用又はオーバーコート膜用感光性組成物として好適に用いることができる。
更に、本発明の感光性組成物は、屈折率調整層用感光性組成物として好適に用いることができる。
成分A:a1及びa2よりなる群から選ばれた少なくとも1種
本発明の感光性組成物は、成分Aとして、下記a1及びa2よりなる群から選ばれた少なくとも1種を含有し、成分Cの総含有量を100質量部とした場合の成分Aの含有量が、20〜1,000質量部である。
a1:アルコキシ基を有する、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物
a2:チタン原子若しくはジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有する、チタノキサン、ジルコノキサン及び/又はチタノキサン−ジルコノキサン縮合物。
また、当業者であればいうまでもないが、上記a1は、「アルコキシ基を有するチタン化合物及び/又はアルコキシ基を有するジルコニウム化合物」と同義であり、上記a2は、「ハロゲノ基を有するチタン化合物及び/又はハロゲノ基を有するジルコニウム化合物」と同義であり、上記a2は、「チタン原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有する、チタノキサン、ジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有するジルコノキサン、又は、チタン原子若しくはジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有するチタノキサン−ジルコノキサン縮合物」と同義である。
成分Aの含有量は、感光性組成物の全固形分に対し、30〜85質量%であることが好ましい。硬化物(硬化膜)の屈折率を1.60〜1.90とする場合には、屈折率調整の観点から40〜85質量%であることがより好ましく、50〜85質量%であることが更に好ましい。なお、感光性組成物における「固形分」とは、溶剤等の揮発性成分を除いた成分を表す。また、上記固形分は、固体でなく、液状のものであってもよいことはいうまでもない。
また、成分Cの総含有量を100質量部とした場合の成分Aの含有量は、20〜1,000質量部であり、20〜600質量部であることが好ましく、50〜500質量部であることがより好ましい。
成分Aの含有量が上記範囲であれば、得られる硬化物の屈折率が高く、耐薬品性に優れる感光性組成物が得られる。
成分Aとしては、a1単独、a2単独、a1とa2との混合物のいずれでもよいが、組成物の保存安定性の観点から、a2単独、又は、a1とa2との混合物であることが好ましく、a2単独であることがより好ましい。
また、a1として、チタン化合物とジルコニウム化合物とを併用してもよい。
また、成分Aとしては、屈折率及び保存安定性の観点から、a2を少なくとも含むことが好ましい。
成分Aとしては、屈折率及び現像性の観点からは、チタン化合物又はチタノキサンが好ましく、また、低温硬化性、硬化速度及び安定性の観点からは、ジルコニウム化合物又はジルコノキサンが好ましい。
a1:アルコキシ基を有する、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物
a1:アルコキシ基を有するチタン化合物及びアルコキシ基を有するジルコニウム化合物としては、チタンモノアルコキシド、チタンジアルコキシド、チタントリアルコキシド、チタンテトラアルコキシド、ジルコニウムモノアルコキシド、ジルコニウムジアルコキシド、ジルコニウムトリアルコキシド、及び、ジルコニウムテトラアルコキシドが挙げられるが、膜物性の観点から、チタンテトラアルコキシド、及び、ジルコニウムテトラアルコキシドが好ましく、チタンテトラアルコキシドがより好ましい。
なお、a1は、アルコキシ基を少なくとも1つ有していればよく、ハロゲノ基やアルキル基等の他の基を有していてもよい。
チタンテトラアルコキシドとしては、下記式a1−1で表されるチタンテトラアルコキシドであることが、膜物性の観点から好ましい。
また、ジルコニウムテトラアルコキシドとしては、下記式a1−2で表されるジルコニウムテトラアルコキシドであることが、膜物性の観点から好ましい。
Figure 2016151641
式a1−1及び式a1−2中、R1〜R4はそれぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、又は、炭素数7〜18のアラルキル基を表す。
式a1−1及び式a1−2におけるR1〜R4はそれぞれ独立に、膜物性の観点から、炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基であることが特に好ましい。
式a1−1で表されるチタンテトラアルコキシドとしては、以下の具体例に限定はされないが、例えば、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンジイソプロポキシジn−ブトキシド、チタンジt−ブトキシジイソプロポキシド、チタンテトラt−ブトキシド、チタンテトライソオクチロキシド、チタンテトラステアリルアルコキシド等が挙げられる。
式a1−2で表されるジルコニウムテトラアルコキシドとしては、以下の具体例に限定はされないが、例えば、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトライソブトキシド、ジルコニウムジイソプロポキシジn−ブトキシド、ジルコニウムジt−ブトキシジイソプロポキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムテトライソオクチロキシド、ジルコニウムテトラステアリルアルコキシド等が挙げられる。
これらは、1種単独又は2種類以上混合して用いることができる。
チタノキサンは、ポリチタノキサンとも称され、Ti−O−Ti結合を2以上有する化合物である。その製造方法としては、例えば、上記式a1−1で表されるチタンテトラアルコキシドを、水を用いて加水分解縮合させて得る方法が挙げられる。この他にも、チタンテトラクロライドなどのハロゲン化チタンを加水分解・縮合させてもよい。中でも合成の容易性から、チタンアルコキシド、チタンクロライドが好ましく、チタンアルコキシドがより好ましい。
ジルコノキサンは、ポリジルコノキサンとも称され、Zr−O−Zr結合を2以上有する化合物である。また、その製造方法としては、原料をジルコニウムアルコキシドやハロゲン化ジルコニウム等のジルコニウム化合物に変更する以外は、上記チタノキサンの製造方法と同様な方法が挙げられる。
チタノキサン−ジルコノキサン縮合物は、上記チタン化合物及び上記ジルコニウム化合物の両方を使用し、加水分解縮合した縮合物である。また、その製造方法としては、原料としてチタン化合物とジルコニウム化合物とを併用する以外は、上記製造方法と同様な方法が挙げられる。
a2:チタン原子若しくはジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有する、チタノキサン、ジルコノキサン及び/又はチタノキサン−ジルコノキサン縮合物
上記a2は、アルコキシ基を有するチタン化合物、アルコキシ基を有するジルコニウム化合物、ハロゲノ基を有するチタン化合物及びハロゲノ基を有するジルコニウム化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種を、チタン原子及びジルコニウム原子の総モル量1.0モルに対して、0.5〜1.9倍モル当量の水により加水分解縮合させて得られるチタノキサン、ジルコノキサン及び/又はチタノキサン−ジルコノキサン縮合物であることが好ましく、アルコキシ基を有するチタン化合物及びアルコキシ基を有するジルコニウム化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種をチタン原子及びジルコニウム原子の総モル量1.0モルに対して、0.5〜1.9倍モル当量の水により加水分解縮合させて得られるチタノキサン、ジルコノキサン及び/又はチタノキサン−ジルコノキサン縮合物であることがより好ましい。
ハロゲノ基を有するチタン化合物及び/又はハロゲノ基を有するジルコニウム化合物を用いる場合、アルコキシ基を有するチタン化合物及び/又はアルコキシ基を有するジルコニウム化合物と併用するか、ハロゲノ基を有するチタン化合物及びハロゲノ基を有するジルコニウム化合物であり、かつ少なくともアルコキシ基を1つ以上有する化合物を用いるか、又は、水に加えアルコール化合物を添加して加水分解縮合することが好ましい。
ハロゲノ基を有するチタン化合物及びハロゲノ基を有するジルコニウム化合物としては、チタンモノハライド、チタンジハライド、チタントリハライド、チタンテトラハライド、ジルコニウムモノハライド、ジルコニウムジハライド、ジルコニウムトリハライド、及び、ジルコニウムテトラハライドが挙げられるが、膜物性の観点から、チタンテトラハライド、及び、ジルコニウムテトラハライドが好ましく挙げられ、チタンテトラハライドがより好ましい。これらは、1種単独又は2種類以上混合して用いることができる。
また、上記加水分解縮合には、水だけでなく、溶剤等を使用してもよく、添加剤として、アルコール化合物を使用してもよい。また、溶剤としては、アルコール化合物が好適に挙げられる。
得られる膜の機械強度の観点から、上記加水分解縮合に用いられる水の量は、原料におけるチタン原子及びジルコニウム原子の総モル量1.0モルに対して、0.5〜1.9モル当量であることが好ましく、下限としては、膜強度の観点から、0.9モル当量以上が好ましく、1.2モル当量以上がより好ましく、また、上限としては、膜柔軟性の観点から、1.8モル当量以下が好ましく、1.7モル当量以下がより好ましい。
成分Aは、組成物の保存安定性及び膜物性の観点から、チタン原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有するチタノキサン(以下、単に「チタノキサン」ともいう。)、ジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有するジルコノキサン(以下、単に「ジルコノキサン」ともいう。)、又は、チタン原子若しくはジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有するチタノキサン−ジルコノキサン縮合物(以下、単に「チタノキサン−ジルコノキサン縮合物」ともいう。)を含むことが好ましく、チタノキサン又はジルコノキサンを含むことがより好ましく、チタノキサンを含むことが更に好ましい。
チタノキサン、ジルコノキサン及びチタノキサン−ジルコノキサン縮合物は、直鎖状、分枝状、三次元網目状、ペンダント状、ラダー状、籠状等のいずれの重合体形態であってもよく、特にその形態は限定されるものではないが、成分Bと相溶性を有するチタノキサン又はジルコノキサンであることが好ましい。また、チタノキサン及びジルコノキサンは、常温(25℃)で固体であっても液体であってもよい。
チタノキサン、ジルコノキサン及びチタノキサン−ジルコノキサン縮合物の重量平均分子量としては、特に制限されないが、500〜50,000が好ましく、1,000〜20,000がより好ましい。
上記チタノキサンは、下記式a2−1で表されるチタノキサンであることが膜物性の観点から好ましい。
また、上記ジルコノキサンは、下記式a2−2で表されるジルコノキサンであることが膜物性の観点から好ましい。
Tiαβ(OR)γ (a2−1)
Zrαβ(OR)γ (a2−2)
式a2−1及び式a2−2中、Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、又は、炭素数7〜18のアラルキル基を表し、α、β及びγは、下記の条件a’〜c’を満たし、αは正の整数を表し、β及びγは正の数を表す。
a’:200≧α≧2、
b’:1.9α≧β≧1.0α、
c’:γ=4α−2β
上記a2におけるチタノキサン、ジルコノキサン及びチタノキサン−ジルコノキサン縮合物は、単一の組成のものであっても、2種類以上の混合物であってもよい。
また、本発明における感光性組成物の全固形分に対するチタン原子及びジルコニウム原子の総含有量は、高屈折率及び膜物性の観点から、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜40質量%が更に好ましい。
成分B:光酸発生剤
本発明の感光性組成物は、成分Bとして、光酸発生剤を含有する。
本発明で使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造に制限されるものではない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。本発明で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が最も好ましい。
光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、スルホニウム塩やヨードニウム塩(オニウム塩)、第四級アンモニウム塩類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、絶縁性、感度の観点から、オニウム塩、オキシムスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物を用いることが好ましく、オキシムスルホネート化合物を用いることがより好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル−s−トリアジン類、第四級アンモニウム塩類、及び、ジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0083〜0088に記載の化合物が例示できる。
オニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩類やトリアリールスルホニウム塩類が好ましく例示できる。
ジアリールヨードニウム塩類としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、フェニル,4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、フェニル,4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナートが好ましく挙げられる。
トリアリールスルホニウム塩類としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、又は、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテートが好ましく挙げられる。
イミドスルホネート化合物としては、トリフルオロメチルスルホニルオキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エンジカルボキシイミド、スクシンイミドトリフルオロメチルスルホネート、フタルイミドトリフルオロメチルスルホネート、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホネート、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドプロパンスルホネートが好ましく挙げられる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式B1で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物が好ましく例示できる。
Figure 2016151641
式B1中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、波線部分は他の基との結合箇所を表す。)
いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1〜10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6〜11のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、又は、シクロアルキル基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6〜11のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はハロゲン原子で置換されてもよい。
上記式B1で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物は、特開2014−238438号公報段落0108〜0133に記載のオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
成分Bは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
本発明の感光性組成物において、光酸発生剤は、感光性組成物中の成分C100質量部に対して、0.1〜15質量部使用することが好ましく、0.5〜10質量部使用することがより好ましい。
成分C:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体を含む重合体成分
本発明の感光性組成物は、成分Cとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体を含む重合体成分を含有する。
上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体は、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有することが好ましい。
また、成分Cは、下記C1〜C5の少なくとも1つを満たす重合体成分であることが好ましい。
C1:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1、架橋性基を有する構成単位c2及び酸基を有する構成単位c3を有する重合体
C2:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1及び酸基を有する構成単位c3を有する重合体、並びに、架橋性基を有する構成単位c2及び酸基を有する構成単位c3を有する重合体
C3:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1を有する重合体、並びに、架橋性基を有する構成単位c2及び酸基を有する構成単位c3を有する重合体
C4:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1及び酸基を有する構成単位c3を有する重合体、並びに、架橋性基を有する構成単位c2を有する重合体
C5:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1を有する重合体、架橋性基を有する構成単位c2を有する重合体、及び、酸基を有する構成単位c3を有する重合体
成分Cは、C1〜C3の少なくとも1つを満たす重合体成分であることが好ましく、C1及び/又はC2を満たす重合体成分であることがより好ましく、C1を満たす重合体成分であることが更に好ましい。
また、成分Cに含まれる全ての重合体がそれぞれ、酸基を有する構成単位c3を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
また、本発明の感光性組成物は、更に、これら以外の重合体を含んでいてもよい。本発明における成分Cは、特に述べない限り、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味するものとする。なお、後述する架橋剤、界面活性剤、分散剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても、成分Cに含まないものとする。
成分Cは、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸及び/若しくはそのエステルに由来する構成単位、並びに/又は、ヒドロキシスチレン及び/若しくはそのエステルに由来する構成単位を含む重合体であることがより好ましい。なお、上記以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
なお、「(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位」を「アクリル系構成単位」ともいう。また、「(メタ)アクリル酸」は、「メタクリル酸及び/又はアクリル酸」を意味するものとする。
〔酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1〕
成分Cは、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1を少なくとも有する重合体を含む。成分Cが構成単位c1を有する重合体を含むことにより、極めて高感度な感光性組成物とすることができる。
本発明における「酸基が酸分解性基で保護された基」は、酸基及び酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。具体的な酸基としては、カルボキシ基、及び、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸分解性基としては、酸により比較的分解しやすい基(例えば、後述する式c1−10で表される基のエステル構造、テトラヒドロピラニルエステル基、又は、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)や酸により比較的分解しにくい基(例えば、tert−ブチルエステル基等の第三級アルキルエステル基、tert−ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位c1は、カルボキシ基が酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位(「酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位」ともいう。)、又は、フェノール性水酸基が酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位(「酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位」ともいう。)であることが好ましい。
以下、酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1と、酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位c1−2について、順にそれぞれ説明する。
−酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1−
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1は、カルボキシ基を有する構成単位のカルボキシ基が、以下で詳細に説明する酸分解性基によって保護された保護カルボキシ基を有する構成単位である。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1に用いることができる上記カルボキシ基を有する構成単位としては、特に制限はなく公知の構成単位を用いることができる。例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位c1−1−1や、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位c1−1−2が挙げられる。
以下、上記カルボキシ基を有する構成単位として用いられる分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位c1−1−1と、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位c1−1−2について、それぞれ順に説明する。
<分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位c1−1−1>
上記分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位c1−1−1として本発明で用いられる不飽和カルボン酸としては以下に挙げるようなものが用いられる。すなわち、不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、けい皮酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸などが挙げられる。また、不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。また、カルボキシ基を有する構成単位を得るために用いられる不飽和多価カルボン酸は、その酸無水物であってもよい。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸は、多価カルボン酸のモノ(2−メタクリロイロキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、コハク酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)などが挙げられる。更に、不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。また、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸−2−カルボキシエチルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等も用いることができる。
中でも、現像性の観点から、上記分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位(c1−1−1)を形成するためには、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、又は、不飽和多価カルボン酸の無水物等を用いることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、を用いることがより好ましい。
上記分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位c1−1−1は、1種単独で構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。
<エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位c1−1−2>
エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位c1−1−2は、エチレン性不飽和基を有する構成単位中に存在する水酸基と酸無水物とを反応させて得られたモノマーに由来する単位であることが好ましい。
上記酸無水物としては、公知のものが使用でき、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。これらの中では、現像性の観点から、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、又は、無水コハク酸が好ましい。
上記酸無水物の水酸基に対する反応率は、現像性の観点から、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。
−構成単位c1−1に用いることができる酸分解性基−
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1に用いることができる上記酸分解性基としては上述の酸分解性基を用いることができる。
これらの酸分解性基の中でもカルボキシ基がアセタールの形で保護された保護カルボキシ基であることが、感光性組成物の基本物性、特に感度やパターン形状、コンタクトホールの形成性、感光性組成物の保存安定性の観点から好ましい。更に酸分解性基の中でもカルボキシ基が下記式c1−10で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシ基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、カルボキシ基が下記式c1−10で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシ基である場合、保護カルボキシ基の全体としては、−(C=O)−O−CR101102(OR103)の構造となっている。
Figure 2016151641
式c1−10中、R101及びR102はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、但し、R101とR102とが共に水素原子の場合を除く。R103は、アルキル基又はアリール基を表す。R101又はR102と、R103とが連結して環状エーテルを形成してもよい。
上記式c1−10において、R101、R102及びR103がアルキル基を表す場合、上記アルキル基は直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。
上記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることが更に好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
上記環状アルキル基としては、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4〜6であることが更に好ましい。上記環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基が例示できる。置換基としてハロゲン原子を有する場合、R101、R102、R103はハロアルキル基となり、置換基としてアリール基を有する場合、R101、R102、R103はアラルキル基となる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、これらの中でも、フッ素原子又は塩素原子が好ましい。
また、上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましい。具体的には、フェニル基、α−メチルフェニル基、ナフチル基等が例示でき、アリール基で置換されたアルキル基全体、すなわち、アラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が例示できる。
上記アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が更に好ましい。
また、上記アルキル基がシクロアルキル基である場合、上記シクロアルキル基は置換基として炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有していてもよく、アルキル基が直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である場合には、置換基として炭素数3〜12のシクロアルキル基を有していてもよい。
これらの置換基は、上記置換基で更に置換されていてもよい。
上記式c1−10において、R101、R102及びR103がアリール基を表す場合、上記アリール基は炭素数6〜12であることが好ましく、炭素数6〜10であることがより好ましい。上記アリール基は置換基を有していてもよく、上記置換基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましく例示できる。アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、1−ナフチル基等が例示できる。
また、R101、R102及びR103は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができる。R101とR102、R101とR103又はR102とR103が結合した場合の環構造としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、テトラヒドロフラニル基、アダマンチル基及びテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
なお、上記式c1−10において、R101及びR102のいずれか一方が、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
上記式c1−10で表される保護カルボキシ基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、特開2011−221494号公報の段落0037〜0040に記載の合成方法などで合成することができる。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1の第一の好ましい態様は、下記式で表される構成単位である。
Figure 2016151641
式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR1及びR2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R3は、アルキル基又はアリール基を表し、R1又はR2と、R3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R4は、水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
1及びR2がアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。R1及びR2がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R1及びR2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
3は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましい。
Xは、単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1の第二の好ましい態様は、下記式の構造単位である。
Figure 2016151641
式中、R121は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、L1はカルボニル基又はフェニレンカルボニル基を表し、R122〜R128はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
121は水素原子又はメチル基が好ましい。
1はカルボニル基が好ましい。
122〜R128は、水素原子が好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2016151641
−酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位c1−2−
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位c1−2は、フェノール性水酸基を有する構成単位が、以下で詳細に説明する酸分解性基によって保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位である。
<フェノール性水酸基を有する構成単位c1−2−1>
上記フェノール性水酸基を有する構成単位としては、ヒドロキシスチレン系構成単位やノボラック系の樹脂における構成単位が挙げられるが、これらの中では、ヒドロキシスチレン又はα−メチルヒドロキシスチレンに由来する構成単位が、感度の観点から好ましい。また、フェノール性水酸基を有する構成単位として、特開2014−238438号公報段落0065〜0073に記載の構成単位も好ましい。
−構成単位c1の好ましい態様−
上記構成単位c1を有する重合体が、実質的に、構成単位c2を有しない場合、構成単位c1は、上記構成単位c1を有する重合体中、20〜100モル%が好ましく、30〜90モル%がより好ましい。
上記構成単位c1を有する重合体が、下記構成単位c2を有する場合、構成単位c1は、上記構成単位c1と構成単位c2とを有する重合体中、感度の観点から3〜70モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましい。また、特に上記構成単位c1が、カルボキシ基がアセタールの形で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位である場合、20〜50モル%が好ましい。
なお、本発明において、「構成単位」の含有量をモル比で規定する場合、当該「構成単位」は「モノマー単位」と同義であるものとする。また、本発明において当該「モノマー単位」は、高分子反応等により重合後に修飾されていてもよい。以下においても同様である。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1は、上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位c1−2に比べると、現像が速いという特徴がある。よって、速く現像したい場合には酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位c1−1が好ましい。逆に現像を遅くしたい場合には酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位c1−2を用いることが好ましい。
〔架橋性基を有する構成単位c2〕
成分Cは、架橋性基を有する構成単位c2を有する重合体を含有することが好ましい。上記架橋性基は、加熱処理で硬化反応を起こす基であれば特に限定はされない。好ましい架橋性基を有する構成単位の態様としては、エポキシ基、オキセタニル基、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基、エチレン性不飽和基、及び、ブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれた少なくとも1つを含む構成単位が挙げられ、エポキシ基、オキセタニル基、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基、(メタ)アクリロイル基、及び、ブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、エポキシ基、オキセタニル基、及び、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることがより好ましい。その中でも、本発明の感光性組成物は、上記成分Cが、エポキシ基及びオキセタニル基のうち少なくとも1つを含む構成単位を含むことがより好ましい。より詳細には、以下のものが挙げられる。
−エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位c2−1−
成分Cは、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位c2−1を有する重合体を含有することが好ましい。3員環の環状エーテル基はエポキシ基とも呼ばれ、4員環の環状エーテル基はオキセタニル基とも呼ばれる。
上記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位c2−1は、1つの構成単位中にエポキシ基又はオキセタニル基を少なくとも1つ有していればよく、1つ以上のエポキシ基及び1つ以上オキセタニル基、2つ以上のエポキシ基、又は、2つ以上のオキセタニル基を有していてもよく、特に限定されないが、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1〜3つ有することが好ましく、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を合計1又は2つ有することがより好ましく、エポキシ基又はオキセタニル基を1つ有することが更に好ましい。
エポキシ基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、α−エチルアクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、特許第4168443号公報の段落0031〜0035に記載の脂環式エポキシ骨格を含有する化合物などが挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
オキセタニル基を有する構成単位を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、例えば、特開2001−330953号公報の段落0011〜0016に記載のオキセタニル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
上記エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位c2−1を形成するために用いられるラジカル重合性単量体の具体例としては、メタクリル酸エステル構造を含有するモノマー、アクリル酸エステル構造を含有するモノマーであることが好ましい。
これらの中でも好ましいものは、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル、及び、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルである。これらの構成単位は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する構成単位c2−1の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
Figure 2016151641
−エチレン性不飽和基を有する構成単位c2−2−
上記架橋性基を有する構成単位c2の1つとして、エチレン性不飽和基を有する構成単位c2−2が挙げられる。上記エチレン性不飽和基を有する構成単位c2−2としては、側鎖にエチレン性不飽和基を有する構成単位が好ましく、末端にエチレン性不飽和基を有し、炭素数3〜16の側鎖を有する構成単位がより好ましい。
その他、エチレン性不飽和基を有する構成単位c2−2については、特開2011−215580号公報の段落0072〜0090の記載、及び、特開2008−256974号公報の段落0013〜0031の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
−−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基を有する構成単位c2−3−
本発明で用いる共重合体は、−NH−CH2−O−R(Rは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)で表される基を有する構成単位c2−3も好ましい。構成単位c2−3を有することで、緩やかな加熱処理で硬化反応を起こすことができ、諸特性に優れた硬化膜を得ることができる。ここで、Rは炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜9のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。また、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基のいずれであってもよいが、直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましい。構成単位c2−3は、下記式c2−30で表される基を有する構成単位であることがより好ましい。
Figure 2016151641
式c2−30中、R31は水素原子又はメチル基を表し、R32は炭素数1〜20のアルキル基を表す。
32は、炭素数1〜9のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が更に好ましい。また、アルキル基は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基のいずれであってもよいが、好ましくは、直鎖又は分岐のアルキル基である。
32の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、シクロヘキシル基、及び、n−ヘキシル基を挙げることができる。中でも、i−ブチル基、n−ブチル基、メチル基が好ましい。
−構成単位c2の好ましい態様−
上記構成単位c2を有する重合体が、実質的に、構成単位c1を有しない場合、構成単位c2は、上記構成単位c2を有する重合体中、5〜90モル%が好ましく、20〜80モル%がより好ましい。
上記構成単位c2を有する重合体が、上記構成単位c1を有する場合、構成単位c2の含有量は、構成単位c1と構成単位c2を有する重合体中、薬品耐性の観点から3〜70モル%が好ましく、10〜60モル%がより好ましい。
本発明では、更に、いずれの態様にかかわらず、成分Cの全構成単位中、構成単位c2を3〜70モル%含有することが好ましく、10〜60モル%含有することがより好ましい。
上記の数値の範囲内であると、感光性組成物から得られる硬化膜の透明性及び薬品耐性が良好となる。
〔酸基を有する構成単位c3〕
成分Cは、酸基を有する構成単位c3を有する重合体を含有することが好ましい。
成分Cが酸基を有することにより、アルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像性がよくなるだけでなく、感度に優れ、更に現像後の硬化物の細線密着性にも優れる。
本発明における酸基とは、pKaが11より小さいプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を含む構成単位として、重合体に組み込まれる。このような酸基を含む構成単位を重合体中に含めることにより、アルカリ性の現像液に対して溶けやすくなる傾向にある。
本発明で用いられる酸基としては、カルボン酸基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、並びに、これらの酸基の酸無水物基、及び、これらの酸基を中和し塩構造とした基等が例示され、カルボン酸基及び/又はフェノール性水酸基が好ましい。上記塩としては、特に制限はないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及び、有機アンモニウム塩が好ましく例示できる。
本発明で用いられる酸基を含む構成単位は、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位、(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステルに由来する構成単位であることがより好ましい。例えば、特開2012−88459号公報の段落0021〜0023及び段落0029〜0044記載の化合物を用いることができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。中でも、p−ヒドロキシスチレン、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸に由来する構成単位が好ましい。
酸基を有する構成単位c3としては、感度の観点から、カルボキシ基を有する構成単位、又は、フェノール性水酸基を有する構成単位が好ましく、カルボキシ基を有する構成単位がより好ましい。
酸基を有する構成単位c3として具体的には、上述した分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位c1−1−1、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位c1−1−2、フェノール性水酸基を有する構成単位c1−2−1が挙げられ、好ましい態様も同様である。
中でも、酸基を有する構成単位c3としては、メタクリル酸、アクリル酸及びp−ヒドロキシスチレンよりなる群から選ばれた化合物由来の構成単位(下記式c3−1〜式c3−3のいずれかで表される構成単位)であることが好ましく、メタクリル酸由来の構成単位(下記式c3−1で表される構成単位)又はアクリル酸由来の構成単位(下記式c3−2で表される構成単位)であることがより好ましく、メタクリル酸由来の構成単位(下記式c3−1で表される構成単位)であることが更に好ましい。
Figure 2016151641
−構成単位c3の好ましい態様−
酸基を含む構成単位は、全重合体成分の構成単位に対し、1〜80モル%が好ましく、1〜50モル%がより好ましく、5〜40モル%が更に好ましく、5〜30モル%が特に好ましく、5〜20モル%が最も好ましい。
上記構成単位c3を有する重合体が、構成単位c1及び構成単位c2を有する場合、構成単位c3の含有量は、上記重合体の全構成単位に対し、1〜30モル%が好ましく、3〜20モル%がより好ましく、5〜15モル%が更に好ましい。
上記構成単位c3を有する重合体が、構成単位c1又は構成単位c2のいずれかしか有しない場合、構成単位c3の含有量は、上記重合体の全構成単位に対し、1〜50モル%が好ましく、5〜45モル%がより好ましく、10〜40モル%が更に好ましい。
〔その他の構成単位c4〕
本発明において、成分Cは、上記構成単位c1〜構成単位c3に加えて、これら以外の他の構成単位c4を有していてもよい。これらの構成単位は、上記C1〜C5の少なくとも1つを満たす重合体成分が含んでいてもよい。また、上記C1〜C5の少なくとも1つを満たす重合体成分とは別に、実質的に構成単位c1〜構成単位c3を含まずに他の構成単位c4を有する重合体成分を有していてもよい。上記C1〜C5の少なくとも1つを満たす重合体成分とは別に、実質的に構成単位c1〜構成単位c3を有さずに他の構成単位c4を有する重合体成分を含む場合、他の構成単位c4を有する重合体成分の配合量は、全重合体成分中、60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
その他の構成単位c4となるモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物類、マレイミド化合物類、不飽和芳香族化合物を挙げることができる。
その他の構成単位c4を形成するモノマーは、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
その他の構成単位c4は、具体的には、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどによる構成単位を挙げることができる。この他、特開2004−264623号公報の段落0021〜0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、その他の構成単位c4としては、スチレン類、又は、脂肪族環式骨格を有するモノマー由来の構成単位が、電気特性の観点で好ましい。具体的にはスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
更にまた、その他の構成単位c4としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位が、密着性の観点で好ましい。具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。重合体を構成する全構成単位中、上記の構成単位c4の含有率は、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、40モル%以下が更に好ましい。下限値としては、0モル%でもよいが、例えば、1モル%以上とすることが好ましく、5モル%以上とすることがより好ましい。上記の数値の範囲内であると、感光性組成物から得られる硬化膜の諸特性が良好となる。
本発明では、構成単位c3のみを有する重合体を含んでいてもよい。
このような重合体としては、側鎖にカルボキシ基を有する樹脂が好ましい。例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等、並びに側鎖にカルボキシ基を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等が挙げられ、更に側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する高分子重合体も好ましいものとして挙げられる。実質的に含まないとは重合体中の重量割合が1質量%以下であることをいう。
例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
その他にも、特開平7−207211号公報、特開平8−259876号公報、特開平10−300922号公報、特開平11−140144号公報、特開平11−174224号公報、特開2000−56118号公報、特開2003−233179号公報、特開2009−52020号公報等に記載の公知の高分子化合物を使用することができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
これらの重合体は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
これらの重合体として、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC−3000、ARUFON UC−3510、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920、ARUFON UC−3080(以上、東亞合成(株)製)、JONCRYL 690、JONCRYL 678、JONCRYL 67、JONCRYL 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
−成分Cにおける重合体の分子量−
成分Cにおける重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは2,000〜50,000、更に好ましくは10,000〜20,000の範囲である。上記の数値の範囲内であると、諸特性が良好である。数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwとの比(分散度、Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.5〜3.5がより好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量や数平均分子量の測定は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)法により測定することが好ましい。本発明におけるゲル浸透クロマトグラフィ法による測定は、HLC-8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super HZ M-H、TSK gel Super HZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー(株)製、4.6mmID×15cm)を、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いることが好ましい。
−成分Cにおける重合体の製造方法−
また、成分Cにおける重合体の合成法についても、様々な方法が知られているが、一例を挙げると、少なくとも上記構成単位c1〜構成単位c3を形成するために用いられるラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体混合物を有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
本発明の感光性組成物中における成分Cの含有量は、感光性組成物の全固形分に対して、30〜99質量%であることが好ましく、40〜98質量%であることがより好ましく、60〜95質量%であることが更に好ましい。含有量がこの範囲であると、本発明の効果がより奏される。
成分D:溶剤
本発明の感光性組成物は、成分Dとして、溶剤を含有する。
本発明の感光性組成物に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。また、本発明の感光性組成物に使用される溶剤の具体例としては特開2011−221494号公報の段落0174〜0178に記載の溶剤、特開2012−194290号公報の段落0167〜0168に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、これらの溶剤に更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
これら溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。本発明に用いることができる溶剤は、1種単独、又は、2種を併用することが好ましい。
また、成分Cとしては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、又は、これらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点155℃)、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3−エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3−メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
これらの中でも、溶剤としては、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類及びエステル類よりなる群から選ばれた少なくとも1種の溶剤が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル及び/又は3−エトキシプロピオン酸エチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル及び3−エトキシプロピオン酸エチルが特に好ましい。
本発明の感光性組成物における溶剤の含有量は、感光性組成物中の、10〜95質量%であることが好ましく、50〜95質量%であることがより好ましく、60〜90質量%であることが更に好ましい。
成分R:チタン及び/又はジルコニウム配位性基を有する化合物
本発明の感光性組成物は、成分Rとして、チタン及び/又はジルコニウム配位性基を有する化合物を含有することが好ましい。
特に、感光性組成物の全固形分に対し、成分Aの含有量が70質量%を超えるような感光性組成物を調製する場合には、成分Rを含有することが好ましい。
本発明における「チタン及び/又はジルコニウム配位性基」とは、チタン原子及び/又はジルコニウム原子と配位結合を形成可能な基であり、チタン原子又はジルコニウム原子のいずれか1方のみと配位結合を形成可能であってもよいし、チタン原子及びジルコニウム原子の両方と配位結合を形成可能であってもよい。
また、チタン及び/又はジルコニウム配位性基により形成される配位は、単座配位(一座配位)、二座配位、三座配位、及び、四座以上の配位のいずれであってもよいが、上記配位性基は、単座配位又は二座配位の配位性基であることが好ましく、二座配位の配位性基であることがより好ましい。
更に、チタン及び/又はジルコニウム配位性基は、チタン原子及び/又はジルコニウム原子に配位して、チタン原子及び/又はジルコニウム原子上の中性配位子となる基であることが好ましい。
チタン及び/又はジルコニウム配位性基を少なくとも有する化合物が、a1及び/又はa2に配位した場合、配位されたチタン原子又はジルコニウム原子のd軌道のエネルギー準位が分裂する。よって、エネルギー準位の分裂を観測することで配位の有無が分かる。
チタン及び/又はジルコニウム配位性基であるか否かを確認する方法としては、配位の有無を観測する方法が挙げられる。具体的な配位の有無の観測方法としては、公知の観測方法を使用でき、例えば、分光学的手法や電子スピン共鳴法(ESR)などが挙げられる。
本発明におけるチタン及び/又はジルコニウム配位性基は、組成物の安定性や膜物性の観点から、酸素原子を有する基であることが好ましく、2以上の酸素原子を有する基であることがより好ましく、2つの酸素原子が2〜4原子の他の原子を間に介して結合している構造を少なくとも有する基であることが更に好ましく、2つの酸素原子が3又は4原子の他の原子を間に介して結合している構造を少なくとも有する基であることが特に好ましい。また、上記酸素原子の少なくとも1つは、カルボニル基又はエステル構造におけるカルボニル基の酸素原子であることが好ましい。
また、本発明におけるチタン及び/又はジルコニウム配位性基は、組成物の安定性や膜物性の観点から、チタン原子及び/又はジルコニウム原子に酸素原子によって配位可能な基であることが好ましい。
本発明におけるチタン及び/又はジルコニウム配位性基としては、1,2−ジケトン構造、1,3−ジケトン構造、1,4−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、α−ヒドロキシエステル構造、α−ケトエステル構造、β−ケトエステル構造、マロン酸ジエステル構造、フマル酸ジエステル構造、及び、フタル酸ジエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることが好ましく、1,2−ジケトン構造、1,3−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、α−ヒドロキシエステル構造、α−ケトエステル構造、β−ケトエステル構造、及び、フタル酸ジエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることがより好ましく、1,3−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、β−ケトエステル構造、及び、フタル酸ジエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることが更に好ましく、1,3−ジケトン構造、α−ヒドロキシケトン構造、及び、β−ケトエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることが特に好ましく、1,3−ジケトン構造、及び、β−ケトエステル構造よりなる群から選ばれた少なくとも1つの構造を有する基であることが最も好ましい。上記態様であると、得られる硬化膜の屈折率及び保存安定性により優れる。
本発明におけるチタン又はジルコニウム配位性基としては、下記式b−1〜式b−5で表される構造のいずれかを有する基が好ましく、下記式b−1、式b−2、式b−3又は式b−5で表される構造を有する基がより好ましく、下記式b−1、式b−2又は式b−3で表される構造を有する基が更に好ましく、下記式b−1又は式b−2で表される構造を有する基が特に好ましい。
Figure 2016151641
式b−1〜式b−5中、L1及びL2はそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1若しくは2のアルキレン基を表し、R’はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシル基又はアルコキシカルボニル基を表し、nbは0〜4の整数を表し、波線部分は、他の構造との結合位置を表す。
1及びL2は、メチレン基であることが好ましい。
R’の炭素数は、0〜20であることが好ましい。また、R’はそれぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子であることが好ましい。
nbは0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
チタン又はジルコニウム配位性基として具体的には、下記に示す基が好ましく挙げられる。なお、波線部分は、他の構造との結合位置を表す。
Figure 2016151641
本発明において、チタン及び/又はジルコニウム配位性基を有する化合物は、エチレン性不飽和基を有していてもよい。エチレン性不飽和基としては、特に制限はないが、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、スチリル基、及び、ビニルオキシ基が好ましく挙げられ、(メタ)アクリロキシ基、及び、アリル基がより好ましく挙げられ、(メタ)アクリロキシ基が特に好ましく挙げられる。
チタン及び/又はジルコニウム配位性基並びにエチレン性不飽和基を有する化合物としては、現像性の観点から、1,3−ジケトン構造又はβ−ケトエステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物、又は、フタル酸ジエステル構造を有するエチレン性不飽和化合物であることが好ましく、1,3−ジケトン構造又はβ−ケトエステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。
また、チタン及び/又はジルコニウム配位性基並びにエチレン性不飽和基を有する化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記チタン及び/又はジルコニウム配位性基並びにエチレン性不飽和基を有する化合物としては、硬化膜の耐薬品性の観点から、チタン及び/又はジルコニウム配位性基を有する(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、チタン及び/又はジルコニウム配位性基を有する単官能(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましく、下記に示す化合物であることが更に好ましい。
また、上記フタル酸ジエステル構造を有するエチレン性不飽和化合物としては、フタル酸ジアリルを好ましく例示できる。
Figure 2016151641
また、エチレン性不飽和基を有しないチタン及び/又はジルコニウム配位性基を有する化合物としては、1,2−ジケトン化合物、1,3−ジケトン化合物、1,4−ジケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−ヒドロキシエステル化合物、α−ケトエステル化合物、β−ケトエステル化合物、マロン酸ジエステル化合物、フマル酸ジエステル化合物、又は、フタル酸ジエステル化合物が好ましく、1,2−ジケトン化合物、1,3−ジケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−ケトエステル化合物、β−ケトエステル化合物、又は、フタル酸ジエステル化合物がより好ましく、1,3−ジケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、又は、β−ケトエステル化合物が更に好ましく、1,3−ジケトン化合物、又は、β−ケトエステル化合物が特に好ましい。
上記エチレン性不飽和基を有しないチタン及び/又はジルコニウム配位性基を有する化合物の具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。
Figure 2016151641
これらの中でも、アセチルアセトン(2,4−ペンタジオン)、アセト酢酸エチル(3−オキソ酪酸エチル)、又は、乳酸エチルが好ましく、アセチルアセトン、又は、アセト酢酸エチルがより好ましく、アセチルアセトンが更に好ましい。
これらの配位性基を有する化合物の含有量は、a1及びa2の総含有量100質量部に対し、1〜10質量部であることが好ましい。
成分E:金属酸化物粒子
本発明の感光性組成物は、屈折率や光透過性を調節することを目的として、金属酸化物粒子を含有することができる。金属酸化物粒子の金属には、B、Si、Ge、As、Sb、Te等の半金属も含まれるものとする。
好ましい金属酸化物粒子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む酸化物粒子が好ましく、酸化亜鉛、インジウム/スズ酸化物、アンチモン/スズ酸化物がより好ましい。
また、屈折率の観点から、金属酸化物粒子としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び、チタン原子及び/又はジルコニウム原子を含む複合酸化物が好ましい。
チタン原子及び/又はジルコニウム原子を含む複合酸化物としては、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化ジルコニウム、ジルコニウム複合酸化物が好ましく、酸化チタン、チタン複合酸化物、又は酸化ジルコニウムがより好ましく、酸化チタン、酸化ジルコニウムが更に好ましく、酸化チタンが特に好ましい。酸化チタンとしては、特に屈折率の高いルチル型が好ましい。これら金属酸化物粒子は、分散安定性付与のために表面を有機材料で処理することもできる。
複合酸化物としては、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子等が例示される。
酸化チタンとしては、特に屈折率の高いルチル型が好ましい。これら金属酸化物粒子は、分散安定性付与のために表面を有機材料で処理することもできる。
感光性組成物の透明性の観点から、金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、1〜200nmが好ましく、3〜80nmがより好ましく、5〜50nmが特に好ましい。ここで粒子の平均一次粒子径は、電子顕微鏡により任意の粒子200個の粒子径を測定し、その算術平均をいう。また、粒子の形状が球形でない場合には、投影面積値から円相当径を算出する。
また、その他の金属酸化物粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
本発明の感光性組成物における金属酸化物粒子の含有量は、感光性組成物により得られる光学部材に要求される屈折率や、光透過性等を考慮して、適宜決定すればよいが、本発明の感光性組成物の全固形分に対して、0〜50質量%とすることが好ましく、0〜40質量%とすることがより好ましく、0〜35質量%とすることが更に好ましい。
また、成分Aと成分Eとの含有量の比率は、成分A:成分E=100:0〜50:50であることが好ましい。
金属酸化物粒子の含有量が上記範囲であれば、ヘイズの低い硬化膜が得られる感光性組成物を得ることができる。
本発明において、その他の金属酸化物粒子は、適当な分散剤及び溶剤中でボールミル、ロッドミル等の混合装置を用いて混合・分散することにより調製された分散液として使用に供することもできる。
上記分散剤としては、例えば、特開2008−222950号公報に記載の顔料分散組成物を使用することが可能である。
成分F:界面活性剤
本発明の感光性組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。また、界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤が好ましく、フッ素系ノニオン界面活性剤がより好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、例えば、市販品である、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781、同F781−F、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105、7000、950、7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(三菱マテリアル電子化成(株)製)、フタージェント250(ネオス(株)製)が挙げられる。また、上記以外にも、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤としては、特開2014−238438号公報段落0151〜0155に記載の化合物も好ましい例として挙げることができる。
これら界面活性剤は、1種単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明の感光性組成物における界面活性剤の含有量は、配合する場合、感光性組成物の全固形分中100質量部に対して、0.001〜5.0質量部が好ましく、0.01〜2.0質量部がより好ましい。
成分G:塩基性化合物
本発明の感光性組成物は、成分Gとして、塩基性化合物を含有してもよい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0204〜0207に記載の化合物が挙げられる。
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
これらの中でも、複素環式アミンが好ましく、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、及び/又は、N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素が特に好ましい。
本発明に用いることができる塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の感光性組成物における塩基性化合物の含有量は、感光性組成物中のカーボンブラック以外の固形分100質量部に対し、0.001〜5質量部であることが好ましく、0.005〜3質量部であることがより好ましい。
成分H:架橋剤
本発明の感光性組成物は、必要に応じ、成分Hとして、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を添加することにより、本発明の感光性組成物により得られる硬化膜をより強固な膜とすることができる。
架橋剤としては、熱によって架橋反応が起こるものであれば制限はない(ただし、成分Cを除く。)。すなわち、架橋剤としては熱架橋剤が好適に使用される。例えば、以下に述べるアルコキシシラン化合物、ブロックイソシアネート化合物、アルコキシメチル基含有架橋剤、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、又は、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物、等を添加することができる。中でも、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物が好ましく、分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物がより好ましい。
また、架橋剤における架橋性基としては、エポキシ基、オキセタニル基、−NH−CH2−OR1、(メタ)アクリロイル基、及び、ブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。なお、R1は、炭素数1〜20のアルキル基を表す。
本発明の感光性組成物中における架橋剤の添加量は、感光性組成物の固形分100質量部に対し、0〜50質量部であることが好ましく、0.1〜30質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部であることが更に好ましい。この範囲で添加することにより、機械的強度及び耐溶剤性に優れた硬化膜が得られる。架橋剤は複数を併用することもでき、その場合は架橋剤を全て合算して含有量を計算する。
〔アルコキシシラン化合物〕
本発明の感光性組成物は、架橋剤として、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、特開2014−238438号公報段落0161〜0163に記載の化合物も好ましく採用できる。
本発明の感光性組成物におけるアルコキシシラン化合物は、特にこれらに限定することなく、公知のものを使用することができる。
また、アルコキシシラン化合物を用いると、表面硬度向上効果の他に、本発明の感光性組成物により形成された膜と基板との密着性を向上できる。
〔ブロックイソシアネート化合物〕
本発明の感光性組成物は、ブロックイソシアネート化合物を含有することが好ましい。
上記イソシアネート化合物は、母構造がビウレット構造であるブロックイソシアネート化合物である。本発明におけるブロックイソシアネート系化合物としては、硬化性の観点から、1分子内に2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物であることが好ましい。
なお、本発明におけるブロックイソシアネート基とは、熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であり、例えば、ブロック剤とイソシアネート基とを反応させイソシアネート基を保護した基が好ましく例示できる。また、上記ブロックイソシアネート基は、90℃〜250℃の熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であることが好ましい。
ブロックイソシアネート化合物の母構造の合成に用いられるイソシアネート化合物としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであればどのようなものでもよく、脂肪族、脂環族又は芳香族のポリイソシアネートであってよいが、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化1,3−キシリレンジイソシアネート、水素化1,4−キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物及びこれらの化合物から派生するプレポリマー型の骨格の化合物を好適に用いることができる。これらの中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)が特に好ましい。
上記ビウレット構造とは、下記式(bi)で表される構造であり、下記式(bi−1)で表される構造であることが好ましく、下記式(bi−2)で表される構造であることがより好ましい。なお、下記式中、波線部分は他の構造との結合部分である。
Figure 2016151641
式(bi−1)及び式(bi−2)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に、脂肪族、脂環族又は芳香族系ジイソシアネートのイソシアネート基以外の残基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
用いる脂肪族、脂環族又は芳香族系ジイソシアネートとしては、上記に記載した脂肪族、脂環族又は芳香族のポリイソシアネートのうち、ジイソシアネートであるものを好ましく用いることができる。
ブロックイソシアネート化合物におけるビウレット構造の形成方法としては、特に制限はなく、公知の方法により形成すればよいが、例えば、イソシアネート化合物の3量化により容易に形成することができる。
上記ブロックイソシアネート化合物のブロック構造を形成するブロック剤としては、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール系化合物、イミド系化合物等を挙げることができる。これらの中でも、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、ピラゾール化合物から選ばれるブロック剤が特に好ましい。
上記オキシム化合物としては、オキシム、及び、ケトオキシムが挙げられ、具体的には、アセトキシム、ホルムアルドキシム、シクロヘキサンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、アセトキシム等が例示できる。
上記ラクタム化合物としては、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等が例示できる。
上記フェノール化合物としては、フェノール、ナフトール、クレゾール、キシレノール、ハロゲン置換フェノール等が例示できる。
上記アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が例示できる。
上記アミン化合物としては、第1級アミン及び第2級アミンが挙げられ、芳香族アミン、脂肪族アミン、脂環族アミンいずれでもよく、アニリン、ジフェニルアミン、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が例示できる。
上記活性メチレン化合物としては、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル等が例示できる。
上記ピラゾール化合物としては、ピラゾール、メチルピラゾール、ジメチルピラゾール等が例示できる。
上記メルカプタン化合物としては、アルキルメルカプタン、アリールメルカプタン等が例示できる。
本発明の感光性組成物に使用される母構造がビウレット構造であるブロックイソシアネート化合物は、市販品として入手可能であり、例えば、デュラネート17B−60PX、17B−60P、(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、タケネートB870N(三井科学(株)製)、デスモジュールBL−3575(住化バイエルウレタン(株)製)が挙げられる。
本発明の感光性組成物において、母構造がビウレット構造であるブロックイソシアネート化合物は、感光性組成物の全固形分に対し、0.1〜8質量%であることが好ましく、0.2〜7質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが最も好ましい。2種以上を併用することもできる。
〔アルコキシメチル基含有架橋剤〕
また、本発明の感光性組成物においては、上記ブロックイソシアネートの他に、既知の架橋剤を用いることができ、例えば、アルコキシメチル基含有架橋剤を好適に用いることができる。
アルコキシメチル基含有架橋剤の具体例としては、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリル及びアルコキシメチル化尿素等が好ましく挙げられる。これらは、それぞれメチロール化メラミン、メチロール化ベンゾグアナミン、メチロール化グリコールウリル、又は、メチロール化尿素のメチロール基をアルコキシメチル基に変換することにより得られる。
このアルコキシメチル基の種類については特に限定されるものではなく、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基等を挙げることができるが、アウトガスの発生量の観点から、メトキシメチル基が特に好ましい。
これらのアルコキシメチル基含有架橋剤のうち、アルコキシメチル化メラミン、アルコキシメチル化ベンゾグアナミン、アルコキシメチル化グリコールウリルが好ましいアルコキシメチル基含有架橋剤として挙げられ、耐薬品性効果の観点から、アルコキシメチル化メラミンが特に好ましい。
これらアルコキシメチル基含有架橋剤は、市販品として入手可能であり、例えば、サイメル300、301、303、370、325、327、701、266、267、238、1141、272、202、1156、1158、1123、1170、1174、UFR65、300(以上、三井サイアナミッド(株)製)、ニカラックMX−750、−032、−706、−708、−40、−31、−270、−280、−290、ニカラックMS−11、ニカラックMW−30HM、−100LM、−390、(以上、(株)三和ケミカル製)などを好ましく使用することができる。
本発明の感光性組成物がアルコキシメチル基含有架橋剤を含有する場合、本発明の感光性組成物におけるアルコキシメチル基含有架橋剤の添加量は、感光性組成物の全固形分に対し、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.2〜7質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが最も好ましい。
<その他の成分>
本発明の感光性組成物には、上記成分に加えて、必要に応じて、分子内に2個以上のエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤や、酸増殖剤、現像促進剤、可塑剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を加えることができる。また、これらの化合物としては、例えば特開2012−88459号公報の段落0201〜0224、特開2014−238438号公報の記載も参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
また、その他の添加剤としては特開2012−8223号公報の段落0120〜0121に記載の熱ラジカル発生剤、国際公開第2011/136074号に記載の窒素含有化合物及び熱酸発生剤も用いることができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<感光性組成物の調製方法>
各成分を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光性組成物を調製する。例えば、成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、これらを所定の割合で混合して樹脂組成物を調製することもできる。以上のように調製した組成物溶液は、例えば孔径0.45μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
(硬化物及びその製造方法)
本発明の硬化物は、本発明の感光性組成物を硬化させた硬化物である。また、本発明の硬化物は、硬化膜であることが好ましい。本発明の硬化膜は、本発明の硬化物の製造方法により得られた硬化膜であることが好ましい。
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の感光性組成物を硬化させ硬化物を製造する方法であれば、特に制限はないが、以下の工程a〜工程dをこの順で含むことが好ましい。
工程a:本発明の感光性組成物を基板上に塗布する塗布工程
工程b:塗布された感光性組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
工程c:溶剤が除去された感光性組成物の少なくとも一部を活性光線により露光する露光工程
工程d:感光性組成物を熱処理する熱処理工程
また、本発明の硬化物の製造方法は、工程cと工程dの間に、工程eを含むことが好ましい。
工程e:露光された感光性組成物を水性現像液により現像する現像工程
工程a〜工程dを含む硬化物の製造方法では、現像工程である工程eが任意の工程となっており、例えば、基材上に一面に屈折率調整層を設ける場合など、パターニングを必要としない場合が例示される。
<塗布工程>
上記塗布工程では、本発明の感光性組成物を基板上に塗布して溶剤を含む湿潤膜とすることが好ましい。感光性組成物を基板へ塗布する前にアルカリ洗浄やプラズマ洗浄といった基板の洗浄を行うことができる。更に基板洗浄後にヘキサメチルジシラザン等で基板表面を処理することができる。この処理を行うことにより、感光性組成物の基板への密着性が向上する傾向にある。
上記の基板としては、無機基板、樹脂、樹脂複合材料などが挙げられる。
無機基板としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、シリコンナイトライド、及び、それらのような基板上にモリブデン、チタン、アルミ、銅などを蒸着した複合基板が挙げられる。
樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族エーテル樹脂、マレイミド−オレフィン共重合体、セルロース、エピスルフィド樹脂等の合成樹脂からなる基板が挙げられる。これらの基板は、上記の形態のまま用いられる場合は少なく、通常、最終製品の形態によって、例えば、TFT素子のような多層積層構造が形成されている。
基板への塗布方法は特に限定されず、例えば、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、スリットアンドスピン法、インクジェット法、印刷法(フレキソ、グラビア、スクリーン等)等の方法を用いることができる。インクジェット法、印刷法は必要な箇所に絞って組成物を設置することができ、組成物を省液化できるため、好ましい。
塗布したときの湿潤膜厚は特に限定されるものではなく、用途に応じた膜厚で塗布することができるが、0.05〜10μmの範囲であることが好ましい。
更に、基板に本発明の感光性組成物を塗布する前に、特開2009−145395号公報に記載されているような、いわゆる、プリウェット法を適用することも可能である。
<溶剤除去工程>
上記溶剤除去工程では、塗布された上記の膜から、減圧(バキューム)及び/又は加熱等により、溶剤を除去して基板上に乾燥塗膜を形成させる。溶剤除去工程の加熱条件は、好ましくは70〜130℃で30〜300秒間程度である。
なお、上記塗布工程と上記溶剤除去工程とは、この順に行っても、同時に行っても、交互に繰り返してもよい。例えば、上記塗布工程における塗布が全て終了した後、上記溶剤除去工程を行ってもよいし、基板を加熱しておき、上記塗布工程における塗布を行いながら溶剤除去を行ってもよい。
<露光工程>
露光工程では、塗膜を設けた基板に所定のパターンを有するマスクを介して、活性光線を照射することが好ましい。この工程では、光酸発生剤が分解し酸が発生する。発生した酸の触媒作用により、塗膜成分中に含まれる酸分解性基が加水分解されて、酸基、例えば、カルボキシ基又はフェノール性水酸基が生成する。
活性光線による露光光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、LED光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができ、g線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
露光装置としては、ミラープロジェクションアライナー、ステッパー、スキャナー、プロキシミティ、コンタクト、マイクロレンズアレイ、レーザー露光など各種方式の露光機を用いることができる。
酸触媒の生成した領域において、上記の加水分解反応を加速させるために、露光後加熱処理:Post Exposure Bake(以下、「PEB」ともいう。)を行うことができる。PEBにより、酸分解性基からのカルボキシ基又はフェノール性水酸基の生成を促進させることができる。PEBを行う場合の温度は、30℃以上130℃以下であることが好ましく、40℃以上110℃以下がより好ましく、50℃以上100℃以下が特に好ましい。
但し、本発明における酸分解性基は、酸分解の活性化エネルギーが低く、露光による酸発生剤由来の酸により容易に分解し、酸基、例えば、カルボキシ基又はフェノール性水酸基を生じるため、必ずしもPEBを行うことなく、現像によりポジ画像を形成することもできる。
<現像工程>
本発明の硬化物の製造方法は、露光された感光性組成物を水性現像液により現像する現像工程を更に含むことが好ましい。
現像工程では、遊離した酸基、例えば、カルボキシ基又はフェノール性水酸基を有する共重合体を、アルカリ性現像液を用いて現像することが好ましい。アルカリ性現像液に溶解しやすい酸基、例えば、カルボキシ基又はフェノール性水酸基を有する樹脂組成物を含む露光部領域を除去することにより、ポジ画像が形成される。
現像工程で使用する現像液には、塩基性化合物が含まれることが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩類;重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリンヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類;ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノールやエタノールなどの水溶性有機溶剤や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
好ましい現像液として、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドの0.4質量%水溶液、0.5質量%水溶液、0.7質量%水溶液、又は、2.38質量%水溶液を挙げることができる。
現像液のpHは、好ましくは10.0〜14.0である。
現像時間は、好ましくは30〜500秒間であり、また、現像の手法は液盛り法、ディップ法等のいずれでもよい。現像後は、流水洗浄を30〜300秒間行い、所望のパターンを形成させることができる。
現像の後に、リンス工程を行うこともできる。リンス工程では、現像後の基板を純水などで洗うことで、付着している現像液除去、現像残渣除去を行う。リンス方法は公知の方法を用いることができる。例えばシャワーリンスやディップリンスなどを挙げることができる。
<熱処理工程>
熱処理工程(ポストベーク)では、得られたポジ画像を加熱することにより、酸分解性基を熱分解し酸基、例えば、カルボキシ基又はフェノール性水酸基を生成させ、架橋性基、架橋剤等と架橋させることにより、硬化膜を形成することができる。この加熱は、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を用いて、所定の温度、例えば180℃〜250℃で所定の時間、例えばホットプレート上なら5〜90分間、オーブンならば30〜120分間、加熱処理をすることが好ましい。架橋反応を進行させることにより、耐熱性、硬度等に優れた保護膜や層間絶縁膜を形成することができる。また、加熱処理を行う際は窒素雰囲気下で行うことにより透明性を向上させることもできる。プラスチック基板を用いたときは、80℃〜140℃で5分〜120分間、加熱処理をすることが好ましい。
熱処理工程(ポストベーク)の前に、比較的低温でベークを行った後に熱処理工程を行うこともできる(ミドルベーク工程の追加)。ミドルベークを行う場合は、90〜150℃で1〜60分加熱した後に、200℃以上の高温でポストベークすることが好ましい。また、ミドルベーク、ポストベークを3段階以上の多段階に分けて加熱することもできる。このようなミドルベーク、ポストベークの工夫により、パターンのテーパー角を調整することができる。これらの加熱は、ホットプレート、オーブン、赤外線ヒーターなど、公知の加熱方法を使用することができる。
なお、ポストベークに先立ち、パターンを形成した基板に活性光線により全面再露光(ポスト露光)した後、ポストベークすることにより未露光部分に存在する光酸発生剤から酸を発生させ、架橋工程を促進する触媒として機能させることができ、膜の硬化反応を促進することができる。ポスト露光工程を含む場合の好ましい露光量としては、100〜3,000mJ/cm2が好ましく、100〜500mJ/cm2が特に好ましい。
更に、本発明の感光性組成物より得られた硬化膜は、ドライエッチングレジストとして使用することもできる。熱処理工程により熱硬化して得られた硬化膜をドライエッチングレジストとして使用する場合、エッチング処理としてはアッシング、プラズマエッチング、オゾンエッチングなどのドライエッチング処理を行うことができる。
(硬化膜)
本発明の硬化膜や硬化物(以下、硬化膜等ということがある。)は、本発明の感光性組成物を硬化して得られたものである。
本発明の硬化膜等は、上述したように現像した硬化膜等であっても、現像していない硬化膜等であってもよいが、本発明の効果をより発揮できる現像した硬化膜等であることが好ましい。
本発明の硬化膜等は、屈折率が高く、高い透明性を有するため、マイクロレンズ、光導波路、反射防止膜、太陽電池や有機EL発光素子の光取り込み/取り出し効率改善層、LED用封止材及びLED用チップコート材等の光学部材、有機EL表示装置や液晶表示装置などの表示装置に使用される保護膜や絶縁膜、タッチパネルに使用される配線電極の保護膜として好適に用いることができる。
また、本発明の硬化膜は、液晶表示装置又は有機EL表示装置等におけるカラーフィルターの保護膜、液晶表示装置における液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)用デバイスの構造部材等にも好適に用いることができる。
また、本発明の硬化膜等は、タッチパネルに使用される配線電極等の視認性低減層に使用することができる。なお、タッチパネルに使用される配線電極の視認性低減層とは、タッチパネルに使用される配線電極等の視認性を低減する、すなわち、配線電極等を見えにくくする層であり、例えば、タッチ検出電極(例えば、酸化インジウムスズ(ITO)製)間の層間絶縁膜、電極の保護膜(オーバーコート膜)などが挙げられる。また、インデックスマッチング層(IM層、又は、屈折率調整層ということがある。)にも好適である。インデックスマッチング層とは、表示装置の光の反射率や透過率を調整する層である。インデックスマッチング層については特開2012−146217号公報に詳述されており、この内容は本明細書取り込まれる。本発明の硬化膜を視認性低減層に使用することで優れた視認性のタッチパネルとすることができる。
中でも、本発明の硬化膜は、表示装置等における層間絶縁膜又はオーバーコート膜として好適である。
タッチ検出電極間の層間絶縁膜や保護膜に使用される場合は、視認性改良の観点から硬化膜の屈折率は電極の屈折率に近いことが好ましく、具体的には波長550nmにおける屈折率が1.60〜1.90であることが好ましく、1.62〜1.85であることがより好ましい。
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置は、本発明の硬化膜を有することを特徴とする。
本発明の液晶表示装置としては、本発明の感光性組成物を用いて形成される平坦化膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとる公知の液晶表示装置を挙げることができる。
例えば、本発明の液晶表示装置が具備するTFT(Thin-Film Transistor)の具体例としては、アモルファスシリコン−TFT、低温ポリシリコン−TFT、酸化物半導体TFT(例えば、インジウムガリウム亜鉛酸化物、いわゆる、IGZO)等が挙げられる。本発明の硬化膜は電気特性に優れるため、これらのTFTに組み合わせて好ましく用いることができる。
また、本発明の液晶表示装置が取りうる液晶駆動方式としてはTN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式、OCB(Optically Compensated Bend)方式などが挙げられる。
パネル構成においては、COA(Color Filter on Array)方式の液晶表示装置でも本発明の硬化膜を用いることができ、例えば、特開2005−284291号公報の有機絶縁膜(115)や、特開2005−346054号公報の有機絶縁膜(212)として用いることができる。また、本発明の液晶表示装置が取りうる液晶配向膜の具体的な配向方式としてはラビング配向法、光配向法などが挙げられる。また、特開2003−149647号公報や特開2011−257734号公報に記載のPSA(Polymer Sustained Alignment)技術によってポリマー配向支持されていてもよい。
また、本発明の感光性組成物及び本発明の硬化膜は、上記用途に限定されず種々の用途に使用することができる。例えば、平坦化膜や層間絶縁膜以外にも、カラーフィルターの保護膜や、液晶表示装置における液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーや固体撮像素子においてカラーフィルター上に設けられるマイクロレンズ等に好適に用いることができる。
図1は、アクティブマトリックス方式の液晶表示装置10の一例を示す概念的断面図である。このカラー液晶表示装置10は、背面にバックライトユニット12を有する液晶パネルであって、液晶パネルは、偏光フィルムが貼り付けられた2枚のガラス基板14,15の間に配置されたすべての画素に対応するTFT16の素子が配置されている。ガラス基板上に形成された各素子には、硬化膜17中に形成されたコンタクトホール18を通して、画素電極を形成するITO透明電極19が配線されている。ITO透明電極19の上には、液晶20の層とブラックマトリックスを配置したRGBカラーフィルター22が設けられている。
バックライトの光源としては、特に限定されず公知の光源を用いることができる。例えば白色LED、青色・赤色・緑色などの多色LED、蛍光灯(冷陰極管)、有機ELなどを挙げることができる。
また、液晶表示装置は、3D(立体視)型のものとしたり、タッチパネル型のものとしたりすることも可能である。更にフレキシブル型にすることも可能であり、特開2011−145686号公報に記載の第2層間絶縁膜(48)や、特開2009−258758号公報に記載の層間絶縁膜(520)として用いることができる。
(有機EL表示装置)
本発明の有機EL表示装置は、本発明の硬化膜を有することを特徴とする。
本発明の有機EL表示装置としては、本発明の感光性組成物を用いて形成される平坦化膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとる公知の各種有機EL表示装置や液晶表示装置を挙げることができる。
例えば、本発明の有機EL表示装置が具備するTFT(Thin-Film Transistor)の具体例としては、アモルファスシリコン−TFT、低温ポリシリコン−TFT、酸化物半導体TFT等が挙げられる。本発明の硬化膜は電気特性に優れるため、これらのTFTに組み合わせて好ましく用いることができる。
図2は、有機EL表示装置の一例の構成概念図である。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。
ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT1を形成し、このTFT1を覆う状態でSi34からなる絶縁膜3が形成されている。絶縁膜3に、ここでは図示を省略したコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1.0μm)が絶縁膜3上に形成されている。配線2は、TFT1間、又は、後の工程で形成される有機EL素子とTFT1とを接続するためのものである。
更に、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線2による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上に平坦化膜4が形成されている。
平坦化膜4上には、ボトムエミッション型の有機EL素子が形成されている。すなわち、平坦化膜4上に、ITOからなる第一電極5が、コンタクトホール7を介して配線2に接続させて形成されている。また、第一電極5は、有機EL素子の陽極に相当する。
第一電極5の周縁を覆う形状の絶縁膜8が形成されており、この絶縁膜8を設けることによって、第一電極5とこの後の工程で形成する第二電極との間のショートを防止することができる。
更に、図2には図示していないが、所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設け、次いで、基板上方の全面にAlから成る第二電極を形成し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止し、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続されてなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られる。
(タッチパネル及びタッチパネル表示装置)
本発明のタッチパネルは、絶縁層及び/又は保護層の、全部又は一部が本発明の感光性組成物の硬化物からなるタッチパネルである。また、本発明のタッチパネルは、透明基板、電極及び絶縁層及び/又は保護層を少なくとも有することが好ましい。
本発明のタッチパネル表示装置は、本発明のタッチパネルを有するタッチパネル表示装置であることが好ましい。本発明のタッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式など公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
静電容量方式のタッチパネルとしては、特開2010−28115号公報に開示されるものや、国際公開第2012/057165号に開示されるものが挙げられる。この他のタッチパネルとしては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012−517051号公報の図5、図6、図7、図8)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2012−43394号公報の図14、国際公開第2012/141148号の図2(b))、OGS型、TOL型(例えば特開2013−54727の図2、特開2015−15042の図2、図3、図4、図5)、その他の構成(例えば、特開2013−164871号公報の図6)、各種アウトセル型(所謂GG、G1、G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
実施例及び比較例で使用した各種成分は以下の通りである。
(成分A)
・A−1:チタンオリゴマー、PC−200、マツモトファインケミカル(株)製、固形分31質量%(ブタノール69質量%)
・A−2:チタノキサン、B−2、日本曹達(株)製
・A−3:ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ZA−65、マツモトファインケミカル(株)製、固形分87質量%(ブタノール13質量%)
(成分B)
・B−1:下記構造の化合物、合成品
・B−2:下記構造の化合物、合成品
・B−3:下記構造の化合物、合成品
・B−4:PAG−103、BASF社製
・B−5:トリアリールスルホニウム塩、TPS−1000、みどり化学(株)製
・B−6:N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホネート、NAI−100、みどり化学(株)製
Figure 2016151641
<化合物B−1の合成>
特開2013−182077号公報の段落0239に記載の方法にしたがって合成した。
<化合物B−2の合成>
1−アミノ−2−ナフトール塩酸塩(東京化成工業(株)製)4.0gをN−メチルピロリドン(和光純薬工業(株)製)16gに懸濁させ、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.4gを添加後、4,4−ジメチル−3−オキソ吉草酸メチル(和光純薬工業(株)製)4.9gを滴下し、窒素雰囲気下120℃で2時間加熱した。放冷後、反応混合液に水、酢酸エチルを添加して分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮して粗B−5−2Aを得た。粗B−5−2Aをシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製して、中間体B−5−2Aを1.7g得た。
B−5−2A(1.7g)とp−キシレン(6mL)を混合し、p−トルエンスルホン酸一水和物(和光純薬工業(株)製)0.23gを添加して140℃で2時間加熱した。放冷後、反応混合液に水、酢酸エチルを添加して分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮して粗B−5−2Bを得た。
テトラヒドロフラン(THF)(2mL)と粗B−5−2B全量を混合し、氷冷下2M塩酸/THF溶液6.0mL、次いで亜硝酸イソペンチル(和光純薬工業(株)製)(0.84g)を滴下し、室温(25℃)まで昇温後2時間撹拌した。得られた反応混合物に水、酢酸エチルを添加して分液し、有機層を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、濃縮して中間体粗B−5−2Cを得た。
中間体粗B−5−2C全量をアセトン(10mL)と混合し、氷冷下でトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)(1.2g)、p−トルエンスルホニルクロリド(東京化成工業(株)製)(1.4g)を添加後、室温まで昇温して1時間撹拌した。得られた反応混合液に水、酢酸エチルを添加して分液し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮して粗B−5を得た。粗B−5を冷メタノールでリスラリー後、ろ過、乾燥してB−5(1.2g)を得た。
なお、B−5の1H−NMRスペクトル(300MHz、CDCl3)は、δ=8.5−8.4(m,1H),8.0−7.9(m,4H),7.7−7.6(m,2H),7.6−7.5(m,1H),7.4(d.2H),2.4(s,3H),1.4(s,9H)であった。
<化合物B−3の合成>
特表2002−528451号公報の段落0108に記載の方法にしたがって合成した。
(成分C)
<重合体C−1の合成>
3つ口フラスコにPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。その溶液にMATHF65モル当量、MAA15モル当量、MMA20モル当量、V−65(全単量体成分の合計100mol%に対して4mol%に相当)をPGMEAに室温で溶解させた溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後2時間撹拌し、反応を終了させた。それにより重合体C−1を得た。なお、PGMEAとその他の成分の合計量との比を60:40とした。すなわち、固形分40%の重合体溶液を調製した。
<重合体C−2〜C−6の合成>
使用するモノマーの種類等を下記表1に示す通りに変更した以外は、重合体C−1の合成と同様にして、他の重合体をそれぞれ合成した。
Figure 2016151641
表1中の各符号はそれぞれ以下の化合物を表す。
・MATHF:メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(合成品)
・MAEVE:メタクリル酸1−エトキシエチル(和光純薬工業(株)製)
・BzMA:ベンジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
・St:スチレン(和光純薬工業(株)製)
・MMA:メタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)
・MAA:メタクリル酸(和光純薬工業(株)製)
・HEMA:メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(和光純薬工業(株)製)
・OXE−30:メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル(大阪有機化学工業(株)製)
・GMA:グリシジルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
・V−65:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製)
MATHFは、特開2013−80203号公報の段落0187に記載の合成例に従い、合成した。
(成分D)
・D−1:ジエチレングリコールジエチルエーテル、東邦化学工業(株)製
(成分E)
・AD−1:TTO−51(C)、石原産業(株)製の分散体
・AD−2:UEP−100、第一稀元素工業(株)製の分散体
<分散体AD−1の作製>
・AP−1(TTO−51(C):石原産業(株)製):125.0g
・P−1(下記化合物の固形分30%PGMEA溶液):固形分として37.5g
上記AP−1とP−1を、PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、昭和電工(株)製)にて、総量500gになるように調製した。
上記組成物を寿技研工業(株)製ウルトラアペックスミルにて、0.05mmジルコニアビーズ充填率70%、周速12m/sec、循環流量180g/minで180min循環させて分散し、分散体AD−1を得た。
Figure 2016151641
上記式P−1中、l:mは5.5:0.5(モル比)であり、a:bは86.5:13.5(モル比)であり、P−1の重量平均分子量は5500であり、酸価は220mgKOH/gであり、固形分は30質量%(PGMEA70質量%)である。
P−1は、特開2008−222950号公報に記載の合成法と同様に合成した。
<分散体AD−2の作製>
・AP−2(UEP−100、第一稀元素工業(株)製):125.0g
AP−1を上記AP−2に変更した以外は、AD−1と同様に作製した。
(成分F)
・F−1:メガファックF554、パーフルオロアルキル基含有ノニオン界面活性剤、(株)DIC製
(成分G)
・G−1:N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素(CMTU)、下記化合物、東洋化成工業(株)製
Figure 2016151641
(成分H)
・H−1:γーグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−403、信越化学工業(株)製
・H−2:デュラネート17B60P、旭化成ケミカルズ(株)製
・H−3:デュラネートTPA−80E、旭化成ケミカルズ(株)製
・H−4:デスモジュールBL−3575/1、住化バイエルウレタン(株)製
・H−5:タケネートB870N、三井化学(株)製
・H−6:ニッカラックMW100LM、三和ケミカル(株)製
(成分R)
・R−1:アセチルアセトン、和光純薬工業(株)製
(実施例1)
<感光性組成物の調製>
以下のようにして、調製した。
・A−1:チタンオリゴマー、PC−200、マツモトファインケミカル(株)製、固形分31質量%(ブタノール69質量%)
・R−1:アセチルアセトン、和光純薬工業(株)製
・B−1:上記構造の化合物、合成品
・F−1:メガファックF554、パーフルオロアルキル基含有ノニオン界面活性剤、(株)DIC製
・G−1:N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素、東洋化成工業(株)製
上記の成分を表2又は表3に記載の添加量及び固形分となるように、溶剤(D−1:ジエチレングリコールジエチルエーテル)にて調製し、マグネチックスターラーで1時間撹拌した。
なお、表2及び表3中の各成分の添加量は、固形分換算の質量部を表しており、表2又は表3中の固形分の欄の数値は、溶剤添加後の感光性組成物全体の固形分量(質量%)を表している。また、表中の「−」は、当該成分を添加しなかったことを示している。
次いで、0.45μmのメンブレンフィルターにてろ過を行い、実施例1の感光性組成物を得た。
(実施例2〜36、比較例1〜14)
実施例1の成分A、成分B、成分C、成分E、成分F、成分G、成分H、成分Rを表2又は表3に記載の化合物、添加量に変更した以外は実施例1と同様にして、感光性組成物を得た。
Figure 2016151641
Figure 2016151641
(感光性組成物の評価)
作製された感光性組成物について、以下のようにして評価を行った。評価結果を表4及び表5にまとめて示す。
<屈折率評価>
得られた感光性組成物を、スピナーを用いてシリコンウエハ基板上に塗布し、80℃のホットプレートで200秒乾燥(プリベーク)することによって厚さ0.5μmの膜を形成した。その後、オーブンにて220℃で60分加熱(ポストベーク)した。
エリプソメーターVUV−VASE(ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製)を用いて、550nmでの硬化膜の屈折率を測定した。屈折率が高い方が好ましい。
<薬品耐性>
100mm×100mmのガラス基板(商品名:XG、コーニング社製)上に、感光性組成物を膜厚2.0μmとなるように塗布し、80℃のホットプレートで200秒乾燥(プリベーク)した。その後、200mJ/cm2で全面に露光(照度は24mW/cm2)した。浸漬後の基板をオーブンにて220℃で60分加熱した。
この基板を40℃に加温したKOH1%液に500秒浸漬させ、浸漬前後の膜厚を測定し、残膜率を算出した。
5:残膜率98%以上 4:残膜率98%未満〜95%以上
3:残膜率95%未満〜90%以上 2:残膜率90%未満〜85%以上
1:残膜率85%未満
<ヘイズの評価>
100mm×100mmのガラス基板(商品名:XG、コーニング社製)上に、感光性組成物を膜厚1.0μmとなるように塗布し、80℃のホットプレートで200秒乾燥(プリベーク)した。その後、オーブンにて220℃で60分加熱(ポストベーク)した。
ポストベーク後のサンプルのヘイズを日本電色工業(株)製NDH−5000にて膜面を上にして、プラスチック製品試験方法(JIS K7136・JIS K7361・ASTM D1003)に準拠し、曇り度(ヘイズ値)を測定した。
4:ガラスと塗布膜のヘイズ値の合計が0.4%未満
3:ガラスと塗布膜のヘイズ値の合計が0.4%以上0.6%未満
2:ガラスと塗布膜のヘイズ値の合計が0.6%以上1.0%未満
1:ガラスと塗布膜のヘイズ値の合計が1.0%以上
<残渣の評価>
100mm×100mmのガラス基板(商品名:XG、コーニング社製)上に、感光性組成物を膜厚2.0μmとなるように塗布し、80℃のホットプレートで200秒乾燥(プリベーク)した。その後、50μmのラインアンドスペースのマスクを介して、200mJ/cm2の露光(照度は24mW/cm2)をし、アルカリ現像液(水酸化テトラメチルアンモニウム0.4質量%水溶液)を用いて25℃で現像した。
現像後の基板について、残渣の発生具合を顕微鏡で観察した。評価基準を以下に示す。
1:基板全体の50%以上に残渣が発生
2:残渣発生箇所が、基板全体の10%以上50%未満
3:残渣発生箇所が、基板全体の5%以上10%未満
4:残渣発生箇所が、基板全体の5%未満
<直線性の評価>
100mm×100mmのガラス基板(商品名:XG、コーニング社製)上に、感光性組成物を膜厚2.0μmとなるように塗布し、80℃のオーブンで100秒乾燥(プリベーク)した。その後、その後、その後、50μmのラインアンドスペースのマスクを介して200mJ/cm2の露光(照度は24mW/cm2)をし、アルカリ現像液(水酸化テトラメチルアンモニウム0.4質量%水溶液)を用いて25℃で30秒現像した。
現像後の基板について、ラインエッジ部の直線性を光学顕微鏡で確認した。評価基準を以下に示す。
1:ラインエッジ部が残らなかった
2:ラインエッジ部の面内にがたつきがほぼ全面にある
3:ラインエッジ部にがたつきが半分程度ある
4:ラインエッジ部にがたつきが一部見受けられる
5:ラインエッジ部にがたつきがほとんどない
Figure 2016151641
Figure 2016151641
上記表4〜表5より明らかなように、本発明の感光性組成物を硬化して得られた硬化膜は、屈折率が高く、耐薬品性に優れていた。
(実施例37)
図3〜図5に記載のタッチパネルにおいて、上記図4のY(102a)電極を基板111と共に取り囲む絶縁層W(以下、「台座層W」ともいう。)を以下のように形成した以外は、特開2013−97692号公報に記載の方法と同様にして形成し、本発明のタッチパネルを得た。更にそのタッチパネルを用いて、特開2013−97692号公報に従ってタッチパネル付き表示装置を得た。
台座層の形成:実施例7の感光性組成物を基板上に塗布し、プリベークした後、超高圧水銀灯を用いて露光し、アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、200℃30分間の加熱処理を行い、台座層Wを形成した。なお、上記台座層はタッチ検出電極間の層間絶縁膜としての機能を有する。
得られた表示装置に対して、駆動電圧を印加したところ、良好な表示特性及びタッチ検出性能を示し、信頼性の高い装置であることが分かった。
(実施例38)
図3〜図5に記載のタッチパネルにおいて、上記図4のY(102a)電極を基板111と共に取り囲む絶縁層W(台座層W)、絶縁層112及び保護層113を以下のように形成した以外は、特開2013−97692号公報に記載の方法と同様にして形成し、本発明のタッチパネルを得た。更にそのタッチパネルを用いて、特開2013−97692号公報に従ってタッチパネル付き表示装置を得た。
台座層W、絶縁層112及び保護層113の形成:実施例7の感光性組成物を基板上にスリット塗布し、プリベークした後、超高圧水銀灯を用いて露光し、アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、200℃30分間の加熱処理を行い、各層を形成した。
得られた表示装置に対して、駆動電圧を印加したところ、良好な表示特性及びタッチ検出性能を示し、信頼性の高い装置であることが分かった。
1:TFT(薄膜トランジスタ)、2:配線、3:絶縁膜、4:平坦化膜、5:第一電極、6:ガラス基板、7:コンタクトホール、8:絶縁膜、10:液晶表示装置、12:バックライトユニット、14,15:ガラス基板、16:TFT、17:硬化膜、18:コンタクトホール、19:ITO透明電極、20:液晶、22:カラーフィルター、101a,102a:交差部、101b,102b:電極部、111:基板、112:絶縁膜、112a:コンタクトホール、113:保護膜、W:台座層、X,Y:電極

Claims (14)

  1. 成分Aとして、下記a1及びa2よりなる群から選ばれた少なくとも1種、
    成分Bとして、光酸発生剤、
    成分Cとして、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体を含む重合体成分、
    成分Dとして、溶剤、を含み、
    成分Cの総含有量を100質量部とした場合の成分Aの含有量が、20〜1,000質量部であることを特徴とする
    感光性組成物。
    a1:アルコキシ基を有する、チタン化合物及び/又はジルコニウム化合物
    a2:チタン原子若しくはジルコニウム原子に直結するアルコキシ基を少なくとも1つ有する、チタノキサン、ジルコノキサン及び/又はチタノキサン−ジルコノキサン縮合物
  2. 前記酸基が酸分解性基で保護された基が、下記式c1−10で表される基を含む、請求項1に記載の感光性組成物。
    Figure 2016151641
    式c1−10中、R101及びR102はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、但し、R101とR102とが共に水素原子となることはなく、R103は、アルキル基又はアリール基を表し、R101又はR102と、R103とが連結して環状エーテルを形成してもよい。
  3. 前記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含む重合体が、エポキシ基及び/又はオキセタニル基を有する、請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  4. 成分Bが、オニウム塩、オキシムスルホネート化合物、又は、イミドスルホネート化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  5. 金属酸化物粒子を更に含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  6. 少なくとも工程a〜工程dをこの順に含む、硬化物の製造方法。
    工程a:請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物を基板上に塗布する塗布工程
    工程b:塗布された感光性組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
    工程c:溶剤が除去された感光性組成物の少なくとも一部を活性光線により露光する露光工程
    工程d:露光された感光性組成物を熱処理する熱処理工程
  7. 工程cと工程dの間に、工程eを含む、請求項6に記載の硬化物の製造方法。
    工程e:露光された感光性組成物を水性現像液により現像する現像工程
  8. 請求項6又は7に記載の硬化物の製造方法により得られた硬化物。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性組成物を硬化してなる硬化膜。
  10. 層間絶縁膜又はオーバーコート膜である、請求項9に記載の硬化膜。
  11. 請求項9又は10に記載の硬化膜を有する液晶表示装置。
  12. 請求項9又は10に記載の硬化膜を有する有機EL表示装置。
  13. 請求項9又は10に記載の硬化膜を有するタッチパネル。
  14. 請求項9又は10に記載の硬化膜を有するタッチパネル表示装置。
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