JP2016150558A - 抗菌性無機有機複合膜を有する基材 - Google Patents

抗菌性無機有機複合膜を有する基材 Download PDF

Info

Publication number
JP2016150558A
JP2016150558A JP2015030363A JP2015030363A JP2016150558A JP 2016150558 A JP2016150558 A JP 2016150558A JP 2015030363 A JP2015030363 A JP 2015030363A JP 2015030363 A JP2015030363 A JP 2015030363A JP 2016150558 A JP2016150558 A JP 2016150558A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alumina
coating composition
antibacterial
weight
organic composite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015030363A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6458535B2 (ja
Inventor
美恵子 松田
Mieko Matsuda
美恵子 松田
祐三子 浦田
Yumiko Urata
祐三子 浦田
文明 篠崎
Fumiaki Shinozaki
文明 篠崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujicopian Co Ltd
Original Assignee
Fuji Kagakushi Kogyo Co Ltd
Fujicopian Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Kagakushi Kogyo Co Ltd, Fujicopian Co Ltd filed Critical Fuji Kagakushi Kogyo Co Ltd
Priority to JP2015030363A priority Critical patent/JP6458535B2/ja
Publication of JP2016150558A publication Critical patent/JP2016150558A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6458535B2 publication Critical patent/JP6458535B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】多種多様な材料基材への密着性が良好で、可撓性でクラックがない、長期間使用しても抗菌/抗黴性能を持続する透明な無機有機複合塗膜を有する抗菌/抗黴性基材を提供すること。
【解決手段】基材上に、アルミニウムアルコキシドの加水分解で得られる、繊維状もしくは針状のベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶形を有するアルミナ水和物粒子よりなるアルミナゾルであって、該アルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10,000nm、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000であるアルミナゾル中に、該アルミナ水和物粒子100重量部に対して、下記一般式(1)を有する第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物を10〜120重量部含有させたコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌/抗黴性を有する無機有機複合膜を有する抗菌性基材に関する。
従来、第4級アンモニウム塩系抗菌/抗黴剤は、銀系抗菌剤に比べて、色が付かず、又その抗菌効果が高いため、抗菌/抗黴性を付与するための処理剤として、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライドに代表される第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物が繊維処理剤等として広く使用されている。また、特許文献1には、酸化物皮膜(不動態皮膜)を有する金属基材の金属表面を該第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物で浸漬処理し、アルコキシシラン基の加水分解反応を利用したいわゆるシランカップリング反応によって金属酸化物表面と抗菌剤を結合させた金属基板が記載されている。しかしながら、このような方法は、使用される基材が限定されるという問題がある。また、特許文献2には、該第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物で表面処理された、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩等の無機酸化物粒子よりなる抗菌粒子が記載されている。しかしながら、これら抗菌粒子自体は皮膜性、密着性に欠けるという問題がある。そして、近年は、多種多様な材料に抗菌/抗黴効果を発現させたいという要望から、プラスチックフィルム等の各種基材への密着性が良好で、膜硬度が高く、可撓性でクラックがない透明で、吸着性が高い多孔性膜よりなる、長期間使用しても抗菌/抗黴性能を持続する無機あるいは無機有機複合膜を有する抗菌/抗黴性基材が求められている。
一方、アルミナゾルに含まれているアルミナは、板状、柱状、針状、粒子状、繊維状等の様々な形態を示すことがある。そして、アルミナの形態によりアルミナゾルの物性が異なり、その物性によってアルミナゾルの用途も異なってくる。ただし、製造条件等を制御することにより、アルミナの形態を制御し、ある特定の形態をしたアルミナを選択的に製造することは難しく、現在、アルミナの形態制御に関する開発が進められている。特定のアスペクト比を有するアルミナに関する文献として、特許文献3には、アルミニウムアルコキシドの加水分解で得られる、繊維状もしくは針状のベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶形を有するアルミナ水和物粒子よりなるアルミナゾルであって、該アルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10,000nm、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000であるアルミナゾル及びその製造方法が記載されている。そして、このようなアルミナゾルは川研ファインケミカル株式会社より市販されている。
特許文献4には、「制御可能な細孔径の範囲が広く、実用上十分高い耐熱性、耐有機溶媒性、耐水性、耐高・低pH性を有し、製膜方法が簡便であり、かつコストが低いアルミナ複合分離膜及びその製造方法を提供すること」(段落[0009])を目的として、アルミニウムアルコキシドの加水分解で得られる、繊維状もしくは針状のベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶形を有するアルミナ水和物粒子よりなるアルミナゾルであって、該アルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10,000nm、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000であるアルミナゾル中に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物を均一に含有させたコーティング液、及び該コーティング液の塗工により、「繊維状アルミナ粒子が一方向に並列して重積しており、この並列・重積した繊維状アルミナ粒子の間に互に連通する細孔が形成されていることを特徴とするアルミナ複合分離膜」(請求項1〜6及び実施例5)が記載されている。
特許文献5にも、成膜性、緻密性、ガスバリア性、熱安定性、電気絶縁性等に優れたアルミナ薄膜を簡便に形成できるコーティング組成物を提供することを目的に、特許文献3,4に記載の該アルミナゾルに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを均一に含有させたコーティング組成物(請求項1、[0037])が記載されている。
しかしながら、特許文献3、4及び5とも、第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物で示されるアルコキシシラン化合物の開示はなく、また抗菌/抗黴性塗膜に関しても何ら記載されていない。
特開2005−336519号公報 特開2013−501742号公報 特開2010−132519号公報 特開2011−255303号公報 特開2013−216760号公報
本発明の課題は、ガラスや金属等のみならず、プラスチックフィルム等の多種多様な材料基材への密着性が良好で、可撓性でクラックがない透明な多孔性膜よりなる、長期間使用しても抗菌/抗黴性能を持続する無機有機複合塗膜を有する抗菌/抗黴性基材を提供することにある。
前記課題は以下の手段により達成される。
(1)基材上に、アルミニウムアルコキシドの加水分解で得られる、繊維状もしくは針状のベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶形を有するアルミナ水和物粒子よりなるアルミナゾルであって、該アルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10,000nm、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000であるアルミナゾル中に、該アルミナ水和物粒子100重量部に対して、下記一般式(1)を有する第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物を10〜120重量部含有させたコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
Figure 2016150558
(Xはメチル又はエチルのアルコキシ基、YはClまたはBr、R1,R2,R3はそれぞれ同一又は異なるC1〜22の脂肪族炭化水素基であって、少なくとも一つはC5〜22のアルキル基である。R4はC2〜4のアルキレン基である。)
(2)前記(1)において、該コーティング組成物の液成分が、エタノールを10〜50重量%含有する水性液であるコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
(3)前記(1)、(2)において、グリシジル基含有アルコキシシラン化合物及び/又はアミノ基含有アルコキシシラン化合物を、該アルミナ水和物粒子100重量部に対して、さらに1〜100重量部含有させたコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
(4)前記(1)乃至(3)において、該コーティング組成物がチクソトロピー性を有し、該コーティング組成物が静止状態ではゲル状態であり、かつB形粘度計を用いて、液温20℃、回転速度60rpm、回転時間30secの条件により測定した粘度が、70mPa・s以下であるコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
前記(1)の発明によるコーティング組成物によれば、構成成分である繊維状もしくは針状のベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶形を有するアルミナ水和物粒子は、短径1〜10nm、長径100〜10,000nm、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000であり、第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物を組み合わせたことにより、塗膜形成後、多種多様な材料基材への密着性が良好で、可撓性でクラックがない透明で多孔性膜よりなる、長期間使用しても抗菌/抗黴性能を持続する無機有機複合塗膜を形成することが出来る。
前記(2)の発明によるコーティング組成物によれば、塗液の分散安定性を劣化させることなく、
表面が疎水性の各種基材への塗工時に濡れ性を良化させ均一な塗膜を形成させることが出来、適用基材の選択の幅が広がる。
前記(3)の発明によるコーティング組成物によれば、多種多様な材料基材への密着性が、より要求される塗膜の場合であっても対応することが可能になる。
前記(4)の発明によるコーティング組成物によれば、前記(1)、(2)、(3)の発明において、
例えば三次元形状の基材にスプレー塗工法による均一な塗膜の形成が可能となる。
本発明によるコーティング組成物は、アルミニウムアルコキシドの加水分解で得られる、繊維状もしくは針状のベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶形を有するアルミナ水和物粒子よりなるアルミナゾルであって、該アルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10,000nm、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000であるアルミナゾル中に、該アルミナ水和物粒子100重量部に対して、前記一般式(1)を有する第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物を10〜120重量部含有させたものである。
本発明によるコーティング組成物の構成成分の、短径1〜10nm、長径100〜10,000nm、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000である、繊維状もしくは針状のベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶形を有するアルミナ水和物粒子(以下アルミナナノファイバーと称する)の製造方法に関しては、前記特許文献2,3,4の記載を援用することが出来る。そして、具体的には、「川研ファインケミカル株式会社」より「商品名F3000ナノファイバーゾル(固形分量5%、pH3)」等として購入することが可能である。
本発明で使用される前記アルミナナノファイバーは、短径1〜10nm、長径100〜10,000nmで、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000の範囲にあるものであるが、粒子の平均短径が1nm未満である場合は、粒子が微小であるため、凝集し易くなり、それにより、粘度が増大し、保存安定性が低下するため好ましくない。10nm以上では、得られる膜の可撓性が低い。また長径の短径に対する割合、すなわちアスペクト比(長径/短径)が30〜5,000の範囲内にあることが好ましく、さらに100〜3,000の範囲内にあることが特に好ましい。このアスペクト比が30未満であると、成膜性が低下すると同時にクラックが発生しやすくなるため好ましくない。一方、このアスペクト比が5,000を超えると、アルミナナノファイバーの合成に要する時間が長くなるため実用的でない上に、この種の巨大分子からなる膜は、透明性、可撓性に乏しくなるので、好ましくない。
アルミナの結晶形には無定形、ベーマイト、擬ベーマイト、γ−アルミナ、θ−アルミナおよびα−アルミナなどがあるが、本発明において、アルミナナノファイバーが上記寸法を有し、アルミナ薄膜が十分な強度を発揮するためには、ゾルに含まれるアルミナナノファイバーは少なくともベーマイト結晶形のアルミナナノファイバー及び/又は擬ベーマイト結晶形のアルミナナノファイバーであることが好ましい。すなわち、その結晶形はベーマイト及び/又は擬ベーマイトを主成分とし、他の結晶形を含む混合物であってもよい。ここで、ベーマイトは組成式:Al・nHOで表わされるアルミナ水和物の結晶である。従って、本発明に用いられるアルミナナノファイバー粒子の表面にはヒドロキシル基が存在しており、このヒドロキシル基は、アルコキシシラン化合物等により容易に修飾することができる。
またアルミナナノファイバーゾル原液の固形分濃度は、アルミナナノファイバーゾル原液製造時においては、2〜10重量%が好ましい。該製造時この固形分濃度が2重量%未満であると、得られるアルミナナノファイバーのアスペクト比が所定値より小さくなることがある。また、固形分濃度が10重量%を超えると、アルミニウムアルコキシドの加水分解/解膠のゾル調整時に反応液の攪拌性が大幅に低下する。但し、コーティング液としては、使用時に、原液を希釈して使用することが可能である。
本発明によるコーティング組成物は、上述のアルミナナノファイバー100重量部に対して、10〜120重量部の前記一般式(1)の抗菌/抗黴能を有する第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物を含有させる。
前記一般式(1)に示される第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物の具体例としては、例えば、以下の第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物があげられる。
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C18H37Cl -
(CH3O)3Si(CH2)3N+CH3(C10H21)2Cl-
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C18H37Br -
(CH3O)3Si(CH2)3N+CH3(C10H21)2Br-
(C2H5O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C18H37Cl-
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C8H17Cl-
(CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C20H41Cl-
本発明によるコーティング組成物は、上述のアルミナナノファイバー100重量部に対して10重量部〜120重量部の前記第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物を含有する。前記第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物が10重量部未満の場合は、本発明のコーティング組成物により形成された無機有機複合膜の膜厚にもよるが、抗菌/抗黴効果が低下し好ましくない。又、120重量部を超えると、第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物が高価であるため無駄である。
このように該アルミナナノファイバーに該アルコキシシラン化合物を組み合わせたことにより、アルミナ薄膜のクラック発生が抑制される、柔軟性が向上する、基板との密着性が高くなる、膜硬度が向上する、等の効果を有する、長期間使用しても抗菌/抗黴性能を有する透明で多孔性膜よりなる無機有機複合塗膜よりなる抗菌性基材が得られる。
本発明によるコーティング組成物には、必要に応じて、エタノールやDMFなどの極性有機溶媒を含有させることができる。極性有機溶媒としては、アルコール、ケトン、エーテルなどがあるが、該アルミナナノファイバー/第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物水性分散液の分散安定性を維持できる添加極性有機溶媒としては、エタノールやDMFが好ましく、安全性などの面から、添加溶媒としては、エタノールが特に好ましい。そして、必要に応じて悪影響を与えない程度において、他のアルコール、ケトン、セロソルブ等の有機溶媒を加えてもよい。これにより、例えば、ガラス等の親水性基材へのコーティングのみならず、ポリエステルフィルム等の疎水性基材への均一コーティングが可能となる。エタノールやDMFの添加量としては、基材の種類にもよるが、該コーティング組成物の水性液成分が、エタノールやDMFを10〜50重量%含有する水性液であることが好ましい。10重量%未満では、ポリエステルフィルム等の疎水性基材へのコーティング液の濡れ性が十分ではなく、均一コーティング膜が得られない。50重量%を超える場合は、アルミナナノファイバーの分散安定性に悪影響を与える場合がある。また、できるだけ有機溶媒量を少なくして、安全性の高いコーティング組成物液を提供しようとする本発明の趣旨に反する。
さらに、本発明によるコーティング組成物には、必要に応じて、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのエポキシ系、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミン系、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどのアルコキシシランなどのメタクリル系、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート系等のアルコキシシラン化合物を、前記該アルミナナノファイバー/第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物水又は水性分散液にさらに添加することができる。これにより、例えば、密着性の乏しいポリエステルフィルム等の疎水性基材へのコーティング膜の密着性をより高める効果と膜硬度をより高める効果をもたらすことができる。添加量は、使用基材により異なるが、該アルミナナノファイバー/第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物の水又は水性分散液中のアルミナナノファイバー100重量部に対して1〜100重量部を含有させることが好ましい。1重量部未満では密着向上の効果に乏しい。100重量部を超える場合は無駄である。
本発明によるコーティング組成物を各種基材に塗工する場合に、コーティング対象物の性状その他の要因のためコーティング膜の熱処理温度が100℃以下に限定される場合、触媒として硬化剤をコーティング組成物に添加してコーティング膜の硬化反応を促進してもよい。そのような硬化剤として、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、トリエチレンアミン、ジメチルアミノピリジン、1,4−ジメチルピペラジン、1−メチル−4−(1,1−ジメチルアミノメチル)シクロヘキシルアミン、ジブチル尿素、等のアミン化合物;イミダゾール化合物;ジアミノマレオニトリル;BF・アミン錯塩;イミダゾール類金属錯塩;ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル化メラミン、等のメラミン化合物;水溶性変成ポリアミドアミン;アルミニウムキレート化合物;及び過酸化水素、過酸化カリウム、等の過酸化物が挙げられる。具体例として、アミノエチルエタノールアミンをコーティング組成物固形分に対して1〜5重量%添加することにより、100℃以下での硬膜が可能である。
また、本発明によるコーティング組成物中の全体固形分濃度は、前記アルミナナノファイバーの固形分量により規定される。アルミナナノファイバーの固形分量は、0.1〜5重量%であり、0.5〜3.5重量%が好ましい。
一方、本発明によるコーティング組成物は、従来のチクソトロピー性付与剤を用いることなく、コーティング液の攪拌時には低粘度で、静止時にはゲル状態の高チクソトロピー性を有するコーティング液が得られる。これにより、例えば三次元形状の基材にスプレー塗工をする場合であっても、均一な塗工が可能となる。スプレー塗工法による均一な薄膜塗工形成のためには、該コーティング液は、静止時はゲル状態であり、B形粘度計を用いて、液温20℃、回転速度60rpm、回転時間30secの条件により測定した場合には、粘度が、70mPa・s以下であることが好ましい。
コーティング液の該チクソトロピー性は、前記アルミナナノファイバーとアルコキシシラン化合物の各固形分量、必要に応じて加えられるエタノールの水/エタノール重量比等などにより異なるが、例えば、前記アルミナナノファイバーの固形分量が、0.5〜2.0重量%で、さらに、前記アルミナナノファイバー/第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物の水又は水性分散液中のアルミナナノファイバー100重量部に対して、前記アミノ系アルコキシシラン化合物を5〜70重量部を含有させることにより可能となる。
本発明によるコーティング組成物を適用する基材としては、種類や形状に制限はなく、SUS、アルミニウム、銅、鉄、チタン、等の金属系基板; ガラス、Al、SiO、ZrO、TiO、タイル、陶器、等のセラミックス系基板;グラファイト、紙、木片、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル等の有機物系基板が挙げられる。
本発明によるコーティング組成物を適用する方法としては、ディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、スクリーン印刷、ラミラーフロー法、電気泳動法など基板の種類に合わせ適宜選定することができる。
本発明のコーティング組成物を用いて形成された抗菌性無機有機複合膜の膜厚は、0.05〜2μmとなるように形成させるのが好ましく、膜厚を0.05μm以上とすることにより、均一塗工ができ、2μm以上は無駄である。塗膜形成に際しては、100℃から180℃で熱処理乾燥をすることが好ましい。
以下、実施例において、抗菌/抗黴性能を有する第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物として代表的な、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド((CH3O)3Si(CH2)3N+(CH3)2C18H37Cl)を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
抗菌抗黴性無機有機複合膜形成用コーティング液として、以下のコーティング液(ア)〜(オ)を用意した。
コーティング液(ア);川研ファインケミカル社製 F−3000ナノファイバーゾル(固形分5重量%水ゾル)をイオン交換水で希釈(アルミナナノファイバー固形分1.5重量%)し、3−(トリメトキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド(以下、抗菌剤C18と称する)をナノファイバー固形分/抗菌剤C18固形分=100/66.7重量比になるように添加し、50℃30分攪拌しコーティング液(ア)を作製した。(全固形分量;2.5重量%)
コーティング液(イ); 上記コーティング液(ア)において、アルミナナノファイバー固形分1.0重量%、ナノファイバー固形分/抗菌剤C18/=100/66.7重量比 全固形分量;1.67重量%に変更した。
コーティング液(ウ);前記ナノファイバーゾルを、アルミナナノファイバー固形分が下記固形分量になるようにイオン交換水で希釈した。一方、エタノールに抗菌剤C18と3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株);KBM−403)を下記の重量比になるように溶解し、該エタノール液を該ナノファイバーゾル希釈液に添加し、50℃30分攪拌した。アルミナナノファイバー固形分1.0重量%、ナノファイバー固形分/抗菌剤C18/KBM−403=100/66.7/35重量比、全固形分量;2.02重量%、水/エタノール=67/33重量比。
コーティング液(エ);上記コーティング液(ウ)において、アルミナナノファイバー固形分1.0重量%、ナノファイバー固形分/抗菌剤C18/KBM−403=100/50/35重量比、
全固形分量;1.85重量%、水/エタノール=67/33重量比。に変更した。
コーティング液(オ)前記ナノファイバーゾルを、下記固形分量になるようにイオン交換水で希釈した。一方、エタノールに抗菌剤C18とN−2−(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン(株);KBM−603)を下記の重量比になるように溶解し、該エタノール液を該ナノファイバーゾル希釈液に添加し、50℃30分攪拌した。アルミナナノファイバー固形分0.7重量%、アルミナナノファイバー/抗菌剤C18/KBM−603=100/50/25 重量比,全固形分量;1.23重量%、水/エタノール=67/33重量比。該コーティング液(オ)は、液の静止状態ではゲル状態であり、B形粘度計を用いて、液温20℃、回転速度60rpm、回転時間30secの条件により測定した場合には、粘度が、42mPa・sであった。
であった。
コーティング基材として、脱脂処理されたガラス基板、表面処理がされていない50μmポリエステルフィルム(以下、PET)の2種類を用意した。
上記各基材フィルム上に、各コーティング液を表1に示すような乾燥膜厚になるように塗布(試料Eはスプレーコート法、他はバーコート法)し、130℃3分間乾燥した。
Figure 2016150558
(評価方法)
(基材密着性)密着性は、上記試料を、クロスカット/テープ剥離試験(100マス)により、剥離したマス目数で評価した(0;密着100%)。
(抗菌性)抗菌性は、NBRC3301大腸菌をポリペプトン、酵母エキスを含む培養液と同時に試料面に載せ、35℃で24hr培養した結果を肉眼で半定量的に評価し、肉眼上増殖が認められないものを◎、コロニーは認められないが白濁が認められるものを○、コロニーが発生したものを△、ガラスと同程度の増殖で全面かさぶた状に繁殖したものを×とした。
(皮膜性)PET基材にコーティング液を塗工したサンプルを180°曲げ試験を行い、被覆部の亀裂の有無を目視評価した。
評価結果を表2に示す。尚、参考例1は、抗菌性評価において、上記脱脂されたガラス基板そのものを用いた。
Figure 2016150558
本発明により、多種多様な材料基材への密着性が良好で、可撓性でクラックがない、長期間使用しても抗菌/抗黴性能を持続する透明で無機有機複合塗膜を基材上に形成することが出来、第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物抗菌剤の用途を拡大する。

Claims (4)

  1. 基材上に、アルミニウムアルコキシドの加水分解で得られる、繊維状もしくは針状のベーマイトおよび擬ベーマイトからなる群より選ばれる少なくとも1種の結晶形を有するアルミナ水和物粒子よりなるアルミナゾルであって、該アルミナ水和物粒子が、短径1〜10nm、長径100〜10,000nm、アスペクト比(長径/短径)30〜5,000であるアルミナゾル中に、該アルミナ水和物粒子100重量部に対して、下記一般式(1)を有する第4級アンモニウム塩含有アルコキシシラン化合物を10〜120重量部含有させたコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
    Figure 2016150558
    (Xはメチル又はエチルのアルコキシ基、YはClまたはBr、R1,R2,R3はそれぞれ同一又は異なるC1〜22の脂肪族炭化水素基であって、少なくとも一つはC5〜22のアルキル基である。R4はC2〜4のアルキレン基である。)
  2. 請求項1において、該コーティング組成物の液成分が、エタノールを10〜50重量%含有する水性液であるコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
  3. 請求項1、請求項2において、グリシジル基含有アルコキシシラン化合物及び/又はアミノ基含有アルコキシシラン化合物を、該アルミナ水和物粒子100重量部に対して、 さらに1〜100重量部含有させたコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
  4. 請求項1乃至請求項3において、該コーティング組成物がチクソトロピー性を有し、該コーティング組成物が静止状態ではゲル状態であり、かつB形粘度計を用いて、液温20℃、回転速度60rpm、回転時間30secの条件により測定した粘度が、70mPa・s以下であるコーティング組成物により形成された無機有機複合膜を有することを特徴とする抗菌性基材。
JP2015030363A 2015-02-19 2015-02-19 抗菌性無機有機複合膜を有する基材 Active JP6458535B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015030363A JP6458535B2 (ja) 2015-02-19 2015-02-19 抗菌性無機有機複合膜を有する基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015030363A JP6458535B2 (ja) 2015-02-19 2015-02-19 抗菌性無機有機複合膜を有する基材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016150558A true JP2016150558A (ja) 2016-08-22
JP6458535B2 JP6458535B2 (ja) 2019-01-30

Family

ID=56694925

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015030363A Active JP6458535B2 (ja) 2015-02-19 2015-02-19 抗菌性無機有機複合膜を有する基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6458535B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106366782A (zh) * 2016-08-30 2017-02-01 安徽劲诺材料科技有限公司 一种水性抗菌木器漆及其制备方法与应用
JP7115621B1 (ja) 2021-11-29 2022-08-09 信越化学工業株式会社 有機ケイ素化合物を含有する組成物
CN115335089A (zh) * 2020-03-25 2022-11-11 本田技研工业株式会社 功能性材料及其制造方法
CN116457422A (zh) * 2020-12-09 2023-07-18 纳美仕有限公司 氧化铝系复合溶胶组合物、其制造方法及氧化铝系复合薄膜的制造方法
JP7468469B2 (ja) 2021-06-25 2024-04-16 信越化学工業株式会社 有機ケイ素化合物を含有する水溶液組成物

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07291621A (ja) * 1994-04-28 1995-11-07 Nissan Chem Ind Ltd 水性アルミナゾル及びその製造法
JPH1025431A (ja) * 1996-07-11 1998-01-27 Kawaken Fine Chem Co Ltd 無機塗料バインダー組成物および無機塗料組成物
JP2007530258A (ja) * 2004-03-24 2007-11-01 スリーエム イノベーティブ プロパティーズ カンパニー 抗菌媒体、ならびにそれらを製造および使用するための方法
JP2011255303A (ja) * 2010-06-08 2011-12-22 Kawaken Fine Chem Co Ltd アルミナ複合分離膜及びその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07291621A (ja) * 1994-04-28 1995-11-07 Nissan Chem Ind Ltd 水性アルミナゾル及びその製造法
JPH1025431A (ja) * 1996-07-11 1998-01-27 Kawaken Fine Chem Co Ltd 無機塗料バインダー組成物および無機塗料組成物
JP2007530258A (ja) * 2004-03-24 2007-11-01 スリーエム イノベーティブ プロパティーズ カンパニー 抗菌媒体、ならびにそれらを製造および使用するための方法
JP2011255303A (ja) * 2010-06-08 2011-12-22 Kawaken Fine Chem Co Ltd アルミナ複合分離膜及びその製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106366782A (zh) * 2016-08-30 2017-02-01 安徽劲诺材料科技有限公司 一种水性抗菌木器漆及其制备方法与应用
CN106366782B (zh) * 2016-08-30 2018-09-14 安徽劲诺材料科技有限公司 一种水性抗菌木器漆及其制备方法与应用
CN115335089A (zh) * 2020-03-25 2022-11-11 本田技研工业株式会社 功能性材料及其制造方法
CN116457422A (zh) * 2020-12-09 2023-07-18 纳美仕有限公司 氧化铝系复合溶胶组合物、其制造方法及氧化铝系复合薄膜的制造方法
JP7468469B2 (ja) 2021-06-25 2024-04-16 信越化学工業株式会社 有機ケイ素化合物を含有する水溶液組成物
JP7115621B1 (ja) 2021-11-29 2022-08-09 信越化学工業株式会社 有機ケイ素化合物を含有する組成物
WO2023095532A1 (ja) * 2021-11-29 2023-06-01 信越化学工業株式会社 有機ケイ素化合物を含有する組成物
JP2023079488A (ja) * 2021-11-29 2023-06-08 信越化学工業株式会社 有機ケイ素化合物を含有する組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6458535B2 (ja) 2019-01-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6458535B2 (ja) 抗菌性無機有機複合膜を有する基材
EP2391685B1 (en) Hybrid coatings and associated methods of application
CN100582302C (zh) 用于涂布金属以防止腐蚀的组合物
CN1324100C (zh) 无铬金属表面处理剂
JP5991665B2 (ja) 透明ハイブリッド皮膜とその製造方法
JP2017020009A (ja) 低温で硬化可能な無機コーティング組成物及びその調製方法
JPWO2016068138A1 (ja) 透明皮膜
WO2016068103A1 (ja) 撥水撥油コーティング組成物
JP2002528590A (ja) 改良された接着性および改良された耐亀裂形成性を有する、耐磨耗性コーティングを支持体上に与える組成物
WO2018123126A1 (ja) 膜形成用液組成物及びその製造方法
WO2017188332A1 (ja) 皮膜
US20170044400A1 (en) Superhydrophobic elastomeric silicone coatings
CN113736292A (zh) 无机纳米长效防雾自洁涂料及其制备方法和应用
JP2006307124A (ja) 常温硬化型無機質コーティング膜及びコーティング剤
JP6635329B2 (ja) 光触媒層を有する有機系基材
JP2016003259A (ja) 水性塗料組成物
CN1769530A (zh) 无铬金属表面处理剂
JP2020158649A (ja) 防汚性膜形成用液組成物
CN108165168A (zh) 一种具有抑制微生物活动功能的海洋防腐建筑涂料的制备方法
KR20130075908A (ko) 강판코팅용액 및 그 제조방법
JP7317513B2 (ja) 撥水性粒子
EP3733800A1 (en) Metal surface treatment composition having excellent slip resistance, and metal material to which same is applied
TW202006186A (zh) 無鉻金屬表面處理劑、金屬表面處理方法、及金屬基材
WO2016009617A1 (ja) シラン系コーティング組成物
JPH038674B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180823

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6458535

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250