JP2016149854A - ステータコアのスキュー矯正装置及びスキュー矯正方法 - Google Patents
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Abstract
Description
先ず、複数の電気導体を束ねて略U字状に成形したコイル要素を複数作製する。次いで、作製した複数のコイル要素を円周方向に重ねながら円環状に整列させ、この状態で、各電気導体の先端部をステータコアに円環状に並設された各スロットに挿通する。次いで、例えば従来公知の捻り曲げ装置により、各スロットから突出した複数の電気導体の先端部を円周方向に捻り曲げる(例えば、特許文献1参照)。その後、隣接する先端部同士を接合することにより、回転電機のステータが製造される。
ここで、押圧された上側部材が突起に当接して停止した位置と、押圧された下側部材が突起に当接して停止した位置との径方向の距離は、円周方向の積層ずれ量(スキュー量)に相関があることから、かかる距離を計測することでスキュー量を取得できる。
これにより、例えば矯正前にスキュー量を取得することで、取得したスキュー量に応じて回動手段の回動量を設定できる。また、矯正の最中にスキュー量を取得することで、スキュー量を確認しながらスキューの矯正を実行できる。さらには、矯正後にスキュー量を取得することで、スキューが解消されたか否かを確認できる。
本実施形態に係るステータコアのスキュー矯正装置は、ステータコアの円周方向のスキューを矯正する装置である。より詳しくは、各スロットへの電気導体の挿通やその先端部の円周方向への捻り曲げにより生じたステータコアの円周方向のスキューを矯正する装置である。先ず、本実施形態に係るステータコアのスキュー矯正装置を説明する前に、本実施形態によりスキューの矯正が行われる回転電機のステータについて説明する。
これら図1及び図2に示すように、ステータ1は、略円環状に形成され、ステータコア2と、コイル3と、を含んで構成される。ステータ1の内側には、図示しないロータが回転自在に配置されることで、回転電機が構成される。
各スロット2aは、ステータコア2の径方向断面形状がステータコア2の内周縁から径方向外側に向かって放射状に延びるように形成される。各スロット2aは、ステータコア2の内周面上に円周方向に等間隔ごとに形成された回転軸方向に延びるスリット2bに連通している。
6つの突出部21(21a〜21f)にはそれぞれ締結孔22(22a〜22f)が形成されており、かかる締結孔22(22a〜22f)に図示しない締結部材が挿通されて締結されることで、ステータコア2が形成される。
先ず、図1に示すように、複数のコイル要素4を円周方向に重ねながら円環状に整列させた状態で、各電気導体40の先端部41を各スロット2aに挿通する。このとき、ステータコア2は、締結孔22(22a〜22f)に図示しない締結部材が挿通されて仮止めされた状態(位置ずれが生じ得る状態)である。次いで、各電気導体40の先端部41を円周方向に捻り曲げた後、隣接する先端部41同士をレーザ溶接する。これにより、コイル3が形成される。
図3に示すように、各スロット2aに挿通されて各スロット2aから突出した複数の電気導体40の先端部41のうち、最も外側の先端部41を、円周方向の一方側(図3では右回り)に捻り曲げる。次いで、外側から2番目及び3番目の先端部41を、円周方向の他方側(図3では左回り)に捻り曲げる。次いで、外側から4番目及び5番目の先端部41を、円周方向の一方側(図3では右回り)に捻り曲げる。このようにして逆方向に交互に捻り曲げた後、最も内側の先端部41を、円周方向の一方側(図3では右回り)に捻り曲げる。そして最後に、各最先端部を回転軸方向に折り曲げる。
以上のようにして、複数の電気導体40の先端部41を捻り曲げた後、径方向に隣接する2本の電気導体40の先端部41同士をレーザ溶接することにより、コイル3が形成される。
図5に示すように、矯正装置11は、支持部材71と、第1押圧機構72と、回動機構73と、フローティング機構74と、を備える。
図6に示すように、ステータコア2を含んで構成されるステータ1は、各電気導体40の先端部41側を上方に向けて支持台6上に載置された状態で、スキュー矯正装置10によりステータコア2のスキューの矯正が行われる。
これらにより、支持部材71は、後述する第1押圧機構72により径方向内側に押圧されてV字状の溝711が突起5の外周面に当接することで、突起5を外方から支持可能となっている。
基部721は、床F上に径方向に延設されたスライドレール723上を移動可能なスライダ724により支持される。
押圧部材722は、その先端側が上述の支持部材71に連結される。また、その基端側が、基部721に回動可能に支持された後述の回動軸731に連結される。
シリンダ725は、固定部725aを介して床F上に固定され、スライドレール723の延設方向に延設される。ピストン726は、このシリンダ725に摺動可能に収容される。ピストン726の先端は、連結部材727を介してスライダ724に連結される。
これらにより、第1押圧機構72は、支持部材71をステータコア2の径方向内側に向けて押圧可能となっている。
回動軸731は、径方向に延設され、基部721の上部内に回動可能に支持される。回動軸731の先端側は、押圧部材722を介して支持部材71に連結される。また、その基端側は、後述のリンク部材732に連結される。
リンク部材732は、長尺状の部材で構成され、その一端側が回動軸731に連結される。また、その他端側が後述の送りねじ部734に連結される。
送りねじ部734は、本体と、該本体内に収容されてその内面に螺合する送りねじにより構成される。この送りねじがモータ733の回転力を受けて回転すると、本体が回動軸731に略直交する略水平方向(図7の左右方向)に進退することで、リンク部材732を介して回動軸731が回動する。
従って、回動機構73は、第1押圧機構72により支持部材71を押圧することで突起5を外方から支持した状態で、円周方向のスキューが矯正される方向に支持部材71を回動させることにより、円周方向のスキューを矯正可能となっている。
V溝ブロック741は、回動軸731に略直交する略水平方向(図7の左右方向)に延設され、その一端側(図7の左側)に回動軸731が連結される。また、その他端側(図7の右側)には、径方向から見てV字状の溝741aが形成される。
カムフロア742は、回動軸731に略直交する略水平方向(図7の左右方向)に延設され、その一端(図7の左側端)には略球状に形成されたカム742aを有する。また、その他端側(図7の右側)には後述するシリンダ部743が連結され、シリンダ部743が駆動することでカム742aがV溝ブロック741の溝741a内を進退する。
シリンダ部743は、図示しない連結部材により基部721に支持される。シリンダ部743は、シリンダと該シリンダ内を摺動するピストンを含んで構成され、かかるピストンの先端部にカムフロア742の他端側が連結される。
図8Aに示すように、シリンダ部743のピストンが回動軸731から離隔する方向に後退すると、矢印の通りカムフロア742がシリンダ部743側に移動する。このとき、カム742aがV溝ブロック741の溝741aの開口付近まで移動する。すると、溝741aの上下壁面とカム742aとの間に隙間が形成され、回動軸731に連結されたV溝ブロック741がその隙間分だけ回動可能となる。即ち、フローティング機構74がフローティング状態となる結果、回動軸731を介して支持部材71も回動軸731回りに上記隙間分だけ回動可能なフローティング状態となる。これにより、円周方向に位置ずれした突起5に対して支持部材71が倣うように回動し、突起5を支持部材71により確実に支持可能となっている。
図5に示すように、位置決め装置12は、位置決め部材81と、第2押圧機構82と、計測部83と、を備える。
これら上側部材811及び下側部材812は、第2押圧機構82により径方向内側に押圧されたときに、それぞれ、V字状の溝810が突起5の外周面に当接することで停止する。
なお、第2下側押圧機構は、第2上側押圧機構82aの下方に重なって配置されるため、図5の平面図では第2上側押圧機構82aのみが視認される。これら第2上側押圧機構82aと第2下側押圧機構は、同一の構成を有するため、以下では第2上側押圧機構82aの構成についてのみ、詳しく説明する。
なお、回動軸821aは、図示しない第2下側押圧機構の回動軸には連動しておらず、これら回動軸は個別に回動するようになっている。
なお、上側部材811及び下側部材812の双方に、各部材の移動距離を計測する計測部83が設けられている。
先ず、モータ824aを駆動させる前の初期状態において、上側部材811,811は、突起5e,5fから径方向外側に離隔した位置に配置される。このとき、偏芯カム822a,822aは、各拡径部827a,827aがそれぞれローラ823a,823aに当接しない位置に配置される。即ち、初期状態では、偏芯カム822a,822aは各小径部がローラ823aに当接している。
図9に示すように、ステータコア2に円周方向のスキューが生じていると、上述したように突起5が積層方向(上下方向)に対して傾斜する。電気導体40の先端部41の捻り曲げ等により、通常、この傾斜は上側ほど急である。そのため本実施形態では、先ず、円周方向のスキュー量がより小さい下側の第2下側押圧機構を駆動させ、下側部材812を突起5に当接させて位置決めした後、よりスキュー量の大きい上側の第2上側押圧機構82aを駆動させ、上側部材811を突起5に当接させる。すると、下側部材812の溝810が突起5の下側の外周面に当接して下側部材812が停止する位置に対して、上側部材811の溝810が突起5の上側の外周面に当接して上側部材811が停止する位置は、より径方向外側となる。そして、このときの両停止位置間の径方向の距離Dは、後述するようにスキュー量に比例する。
この計測部83による距離Dの計測時期は特に限定されず、スキューの矯正を実行している最中でもよく、その前後でもよい。
スキュー量取得部は、計測部83により計測された距離Dに応じて、円周方向のスキュー量を算出して取得する。ここで、図10は、距離D(ストローク量の差分)とスキュー量との関係を示す図である。
図10に示すように、上側部材811のストローク量と下側部材812のストローク量との差、即ち両者が停止したときの径方向の距離Dと、スキュー量との間には比例関係が成立する。従って、この関係図から、上側部材811のストローク量と下側部材812のストローク量との差分、即ち両者が停止したときの径方向の距離Dを計測することにより、スキュー量を算出することが可能である。この関係図は、予め実験を行うことにより取得され、制御装置13のスキュー量取得部に格納される。
位置決め装置制御部は、位置決め装置12の駆動を制御する制御信号を出力する。具体的には、位置決め装置12の第2押圧機構82及び計測部83に対して制御信号を出力することで、位置決め部材81の位置決め及び距離Dの計測が実行される。
本実施形態に係るスキュー矯正方法は、支持工程と、矯正工程と、スキュー量取得工程と、を含んで構成される。このスキュー矯正方法は、上述のスキュー矯正装置10が動作することにより実行される。
このとき、フローティング機構74をフローティング状態としておくことで、各支持部材71は、鋼板20が円周方向に位置ずれして傾斜した各突起5の外周面に倣うようにして回動した後、各突起5を支持する。
本実施形態係るステータコア2のスキュー矯正装置10では、ステータコア2の突起5を外方から支持可能な支持部材71と、この支持部材71をステータコア2の径方向内側に向けて押圧する第1押圧機構72を設けた。また、第1押圧機構72により支持部材71を押圧することで突起5を外方から支持した状態で、回動軸731により、円周方向のスキューが矯正される方向(本実施形態では左回り)に支持部材71を回動させることで、円周方向のスキューを矯正する回動機構73を設けた。これにより、例えばステータコア2に特別な加工等を施すことなく、各スロット2aへの電気導体40の挿通やその先端部41の円周方向への捻り曲げにより生じたステータコア2の円周方向のスキューを容易に矯正できる。
ここで、押圧された上側部材811が突起5に当接して停止した位置と、押圧された下側部材812が突起5に当接して停止した位置との径方向の距離Dは、円周方向のスキュー量に比例することから、かかる距離Dを計測することでスキュー量を取得できる。
これにより、例えば矯正前にスキュー量を取得することで、取得したスキュー量に応じて回動機構73の回動量を設定できる。また、矯正の最中にスキュー量を取得することで、スキュー量を確認しながらスキューの矯正を実行できる。さらには、矯正後にスキュー量を取得することで、スキューが解消されたか否かを確認できる。
本実施形態に係るステータコア2のスキュー矯正装置10Aは、第1実施形態と比較して、矯正装置の回動機構とフローティング機構の構成が異なる以外は、基本的には同一の構成である。ここで、図11は、本実施形態に係るステータコア2のスキュー矯正装置10Aの平面図である。図12は、本実施形態に係る矯正装置11Aの背面図である。なお、図11及び図12では、便宜上、第1押圧機構72の記載を省略して示している。
図12に示すように、本実施形態の回動機構73Aは、回動軸731Aと、レバー部材732Aと、偏芯カム733Aと、ローラ734Aと、モータ735Aと、を備える。
レバー部材732Aは、略L字状の部材で構成され、その短手側の端部が回動軸731Aに連結される。また、その長手側の端部にはローラ734Aが設けられる。
従って、回動機構73Aは、第1押圧機構72により支持部材71を押圧することで突起5を外方から支持した状態で、円周方向のスキューが矯正される方向(本実施形態では左回り)に支持部材71を回動させることにより、円周方向のスキューを矯正可能となっている。
2…ステータコア
2a…スロット
3…コイル
4…コイル要素
5…突起
10…スキュー矯正装置
11…矯正装置
12…位置決め装置
13…制御装置(スキュー量取得部)
20…鋼板(薄板)
21…突出部
40…電気導体
41…先端部
71…支持部材
72…第1押圧機構(第1押圧手段)
73…回動機構(回動手段)
74…フローティング機構
81…位置決め部材
82…第2押圧機構(第2押圧手段)
83…計測部(計測手段)
731…回動軸
811…上側部材
812…下側部材
D…距離
Claims (6)
- 外方に突出する複数の突出部を外周に有する薄板を、前記突出部が積層方向に並ぶように複数枚積層して形成された略円環状のステータコアにおける円周方向の積層ずれを矯正するステータコアのスキュー矯正装置であって、
前記複数の突出部が並んで形成された前記ステータコアの突起を外方から支持可能な支持部材と、
前記支持部材を前記ステータコアの径方向内側に向けて押圧する第1押圧手段と、
前記第1押圧手段により前記支持部材を押圧することで前記突起を外方から支持した状態で、前記径方向を回動軸として前記円周方向の積層ずれが矯正される方向に前記支持部材を回動させることで、前記円周方向の積層ずれを矯正する回動手段と、を備えるステータコアのスキュー矯正装置。 - 前記突起は、前記ステータコアの中心軸に対して対称となる位置に少なくとも一対形成され、
前記支持部材は、少なくとも前記一対の突起に対応した位置にそれぞれ配置されて前記一対の突起を支持する請求項1に記載のステータコアのスキュー矯正装置。 - 前記積層方向上側に設けられた上側部材と、前記積層方向下側に設けられた下側部材とから構成され、これら部材により前記支持部材が配置されていない前記突起を外方から支持する位置決め部材と、
前記上側部材及び前記下側部材をそれぞれ個別に前記径方向内側に押圧する第2押圧手段と、
前記第2押圧手段により押圧された上側部材が前記突起に当接して停止した位置と、前記第2押圧手段により押圧された下側部材が前記突起に当接して停止した位置との前記径方向の距離を計測する計測手段と、
前記計測手段により計測された距離に応じて、前記円周方向の積層ずれ量を算出して取得するずれ量取得手段と、をさらに備える請求項1又は2に記載のステータコアのスキュー矯正装置。 - 外方に突出する複数の突出部を外周に有する薄板を、前記突出部が積層方向に並ぶように複数枚積層して形成された略円環状のステータコアにおける円周方向の積層ずれを矯正するステータコアのスキュー矯正方法であって、
前記複数の突出部が並んで形成された前記ステータコアの突起の少なくとも1つに対して、前記ステータコアの径方向内側に向けて支持部材を押圧することで、前記突起を外方から支持する支持工程と、
前記径方向を回動軸として前記円周方向の積層ずれが矯正される方向に前記支持部材を回動させることで、前記円周方向の積層ずれを矯正する矯正工程と、を有するステータコアのスキュー矯正方法。 - 前記突起は、前記ステータコアの中心軸に対して対称となる位置に少なくとも一対形成され、
前記支持工程は、前記支持部材を少なくとも前記一対の突起に対応した位置にそれぞれ配置して前記一対の突起を支持する請求項4に記載のステータコアのスキュー矯正方法。 - 前記矯正工程の前、前記矯正工程の最中及び前記矯正工程の後の少なくともいずれかにおいて、前記円周方向の積層ずれ量を取得するずれ量取得工程をさらに有する請求項4又は5に記載のステータコアのスキュー矯正方法。
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