JP2004135438A - コイルセグメント端部の並行曲げ装置および並行曲げ方法 - Google Patents
コイルセグメント端部の並行曲げ装置および並行曲げ方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明の並行曲げ装置1は、同軸の奇数層駆動軸25と偶数層駆動軸26とを二重反転させ、奇数層駆動ピン251および偶数層駆動ピン261を介して、各コイル層に対応した奇数層用リングベルト3と偶数層用リングベルト4とを同軸反転させる。両リングベルトの上縁部31,41には多数の溝があり、ステータコアから突出したコイルセグメント端部の先端部を保持している。両リングベルトが二重反転すると、コイルセグメント端部は互い違いに曲げ捩り成形される。並行曲げ装置1の構成は簡素であるから安価で高信頼性でありながら、全てのコイルセグメント端部を並行して成形できて加工能率も高い。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転電機の電機子を形成するセグメント型コイルを製造する技術の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、特開2000−92797号公報(特許文献1)および特開2001−197709号公報(特許文献2)に、それぞれ、ステータコアのセグメント型コイルを製造する製造装置および製造方法が開示されている。これらの従来技術はいずれも、コイルセグメントのうち、ステータコアから真っ直ぐに突出している開放端部を、偶数番目のコイル層と奇数番目のコイル層とで互いに逆の回転方向に曲げ捩り成形する技術である。
【0003】
特許文献1に開示された成形装置の特徴は、その図4に示すように、回転移動には各コイル層毎にそれぞれ別個の捩り治具とその回転駆動機構とを設け、軸長方向の移動には共通で単一の昇降用シャフトとその昇降駆動機構とを設けていることである。そして、この成型装置は、回転駆動機構のそれぞれと昇降駆動機構とを調和して制御するコントローラをさらに有する。
【0004】
一方、特許文献2に開示された成形装置の特徴は、その図6に示すように、特許文献1を発展させて、軸長方向の移動にも各コイル層毎(すなわち各捩り治具毎)に、それぞれ別個の昇降用駆動機構を設けている。それゆえ、この成形装置では、コントローラは、各コイル層にそれぞれ対応する回転駆動機構と昇降駆動機構とを調和してシーケンス制御する機能をもつものと考えられる。なお、特許文献2では、その第5実施形態(その図14参照)として、昇降駆動機構を簡易化して各捩り治具をそれぞれ押圧付勢する多数のスプリングを付けた成形装置も開示されている。
【0005】
ところで、特許文献1の図5と特許文献2の図7とに共通して示すように、各捩り治具の作用端部には、それぞれ、コイルセグメント端部が嵌るように、矩形の非貫通孔が、ステータコアのスロットの数だけ形成されている。すなわち、これらの捩り治具の作用端部は、特定のコイル層分について、コイルセグメントの開放端部のうち先端部を、その全周囲ないし四方から囲んで保持するようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−92797号
【特許文献2】
特開2001−197709号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
(製造装置の不都合)
しかしながら、前述の両特許文献においては、各成形装置は、各コイル層毎に別個の回転駆動機構を装備しているばかりではなく、各回転駆動機構および昇降駆動機構を適度に調和させて制御するコントローラを装備している。そして、これらのコントローラは、いずれも多数のインターフェースをも装備しなければならない。
【0008】
また、各捩り治具の作用端部に多数の矩形の非貫通孔を形成するには、かなりの工数がかかり、各捩り治具は高価にならざるを得ない。さらに、各捩り治具の作用端部は、コイルセグメントの開放端部のうち先端部を四方から保持するので、曲げ捩り成形後の先端部では、互いに溶接されるべき各コイル層の間に隙間が空いて不都合である。
【0009】
要するに、これらの両特許文献による成形装置は、多数の回転駆動機構と単数または多数の昇降駆動機構とを有するうえに、これらの駆動機構を制御するコントローラまでをも必要としている。また、同じ理由で、これらの従来技術による成形装置は、ある程度は大型化せざるを得ない。さらに、多数の非貫通孔を矩形形状に形成しなければならないので、各捩り治具の製作には、多大な費用がかかることは想像に難くない。それゆえ、両特許文献には、いずれの技術によってもコイルセグメント端部の成形装置の構成が複雑であるうえに、同成形装置が大型化せざるを得ないから、自然の帰結として設備投資も高価になるという不都合がある。そればかりではなく、構成がたいへん複雑で部品点数が多く、各構成要素間のインターフェースも多いので、高い信頼性を確保するのは難しいという不都合もある。
【0010】
(製造方法の不都合)
ところで、前述の両特許文献には、短時間で一気にコイルセグメント端部を成形する曲げ捩り成形技術は開示されていない。それゆえ、コイルセグメント端部の成形方法ないし製造方法としてみても、工数が多くある程度は長い加工時間がかかるという点で、両特許文献には不満足な点がある。
【0011】
すなわち、特許文献1では、再びその図4に示すように、各捩り治具の間には軸長方向に間隔が空いている。それゆえ、昇降駆動機構を作用させて昇降用シャフトが上昇し、各捩り治具をステータコアに向かって上昇させていく際にも、各捩り治具は同時には上昇しない。すなわち、最内周のコイルセグメント端部を曲げ捩り成形した後、最内周の捩り治具が上昇して次のコイル層の捩り治具に当接してから、次のコイル層のコイルセグメント端部が曲げ捩り成形される。このように、特許文献1では、コイルセグメント端部が内周側から順次曲げ捩り成形されていくので、加工工数が多くなってしまい、ある程度は長い加工時間がかかることは避けがたい。
【0012】
一方、特許文献2には、その請求項1の特徴部分である末尾に「前記被保持部を、コア周方向に移動させるとともに、コア軸方向に前記各層毎に独立して移動させることを特徴とするステータ製造方法。」とある。それゆえ、コイルセグメント端部のうち先端部は、各コイル層毎に独立して、周方向と軸長方向とに移動させられるのであって、各コイル層のコイルセグメント端部が、同時に並行して曲げ捩り成形されるわけではない。すると、コイルセグメント端部が各コイル層毎に独立して曲げ捩り成形されるのであるから、特許文献2でも、やはり加工工数が多くなってしまい、前述の特許文献1と同様に、ある程度は長い加工時間がかかることは避けがたい。
【0013】
したがって、前述の両特許文献は、各コイル層のコイルセグメント端部を並行して曲げ捩り成形するという技術思想を開示してはおらず、各コイル層毎に順次成形していくという技術である。それゆえ、両特許文献には、前述のように、製造方法として見ても、加工工数が多くなってしまい、ある程度は長い加工時間がかかるという不都合がある。そればかりではなく、その結果として、加工コストの高騰を招くという不都合もある。
【0014】
(本発明の課題)
そこで本発明は、前述の両特許文献に記載された成形装置よりも、低廉であるとともに、信頼性も高いコイルセグメント端部の並行曲げ装置を提供することを解決すべき課題とする。併せて本発明は、両特許文献に記載された曲げ捩り成形方法よりも、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工にかかる時間が低減されており、加工コストが低減されたコイルセグメント端部の並行曲げ方法を提供することをも、課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明した。
【0016】
[製造装置]
(第1手段の構成)
本発明の第1手段は、コアに挿置されたコイルセグメントの開放端部を、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形するセグメント型コイルの製造装置である。ここで、各コイルセグメントは、セグメント型コイルを形成すべく、回転電機の固定子および回転子のうちいずれかのコアに形成された複数のスロット内に、複数のコイル層を形成するように重ねて挿置された多数のコイルセグメントである。そして、それらの開放端部というのは、前述のコイルセグメントの一部であり、このコアから軸長方向に突出した多数の開放端部を指す。
【0017】
本手段の装置は、これらのコイルセグメントの開放端部のうち、奇数番目のコイル層を形成するコイルセグメントの開放端部である奇数層開放端部を、コアの周方向の一方に曲げ捩り成形し、逆に、偶数番目のコイル層を形成するコイルセグメントの開放端部である偶数層開放端部を、周方向の他方に曲げ捩り成形する機能をもつ。すなわち、本手段の装置は、各コイルセグメントの開放端部を、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形するセグメント型コイルの製造装置である。
【0018】
本手段の装置の特徴は、複数の奇数層用リングベルトおよび偶数層用リングベルトと、これらを駆動する同軸反転駆動装置とを有することである。
【0019】
先ず、複数の奇数層用リングベルトは、それぞれ奇数番目のコイル層に相当する径の略中空円筒状の外形をしている。そして、これらの奇数層用リングベルトは、軸長方向の一方の縁部に、奇数層開放端部の先端部を周方向に挟持する多数の保持溝を形成する突出部をもつリングベルトである。これらの奇数層用リングベルトは、同軸的に所定の間隔を空けて重ねて配設されている。
【0020】
一方、複数の偶数層用リングベルトは、それぞれ偶数番目のコイル層に相当する径の略中空円筒状の外形をしている。そして、これらの偶数層用リングベルトは、軸長方向の一方の縁部に、偶数層開放端部の先端部を周方向に挟持する多数の保持溝を形成する突出部をもつリングベルトである。これらの偶数層用リングベルトも、前述の奇数層用リングベルトと同様に、同軸的に所定の間隔を空けて重ねて配設されている。
【0021】
より詳しくは、複数の奇数層用リングベルトと複数の偶数層用リングベルトとは、交互に同軸的に配設されており、同軸反転駆動装置によって駆動させられる。すなわち、同軸反転駆動装置は、これらの奇数層用リングベルトとこれらの偶数層用リングベルトとを互いに同軸的にかつ半径方向に交互に支承し、これらの奇数層用リングベルトとこれらの偶数層用リングベルトとを並行して同じ回転角度だけ同軸反転させる駆動装置である。
【0022】
ここで、同軸で交互に重ねられた両リングベルトのうち保持溝が形成された縁部は、必ずしも軸長方向に揃った位置にある必要はなく、むしろ加工対象であるコイルセグメント端部の初期形状に適合した位置にある方が好ましい。たとえば通常のステータコアでは、いくつもあるコイル層のうち、遠心方向に配設されるコイルセグメント端部の方が、求心方向にあるコイルセグメント端部よりも、先端がコアからより長く軸長方向に突出している。それゆえ、コイルセグメント端部の位置に合わせて、両リングベルトのうち保持溝が形成された縁部は、外側に行くに従って軸長方向に適度に後退して位置していることが望ましい。
【0023】
なお、前述のように、同軸反転駆動装置の両駆動軸と両リングベルトとは互いに同軸であるが、これらの軸長方向は特に限定されるものではない。すなわち、これらの軸長方向は、回転電機の軸対象性を考えると、常識的には重力方向に沿って直立させるのが良さそうに思われるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0024】
すなわち、両リングベルトの保持溝を上方に向けて両駆動軸を直立させ、コアから下方へ突出したコイルセグメント端部を曲げ捩り成形するように、本手段の並行曲げ装置は設置されても良い。逆に、両リングベルトの保持溝を下方に向けて両駆動軸を直立させ、コアから上方へ突出したコイルセグメント端部を曲げ捩り成形するように、本手段の並行曲げ装置は設置されても良い。また、製造ラインの配置状の都合などから、両駆動軸を水平方向に寝かして本手段の並行曲げ装置を配設しても良く、あるいは両駆動軸を重力方向に対して斜め方向にして本手段の並行曲げ装置を設置しても良い。
【0025】
本手段は、以上のような構成をもつセグメント型コイル製造装置であり、「コイルセグメント端部の並行曲げ装置」と称する。本明細書中では、本手段のことを単に「並行曲げ装置」と略称することもある。
【0026】
(第1手段の作用効果)
本手段の「コイルセグメント端部の並行曲げ装置」では、先ず、完成状態ではセグメント型コイルを形成すべく、コアに形成された複数のスロットの中に、多数のコイルセグメントが挿置される。ここで、本明細書中で言う「多数」とは、「四つ以上」であればよいものとする。そして、コアスロット内の奇数番目のコイル層から突出した多数の奇数層開放端部の先端部が、それぞれ奇数層用リングベルトの保持溝に嵌り込む。同様に、コアスロット内の偶数番目のコイル層から突出した多数の偶数層開放端部の先端部は、それぞれ偶数層用リングベルトの保持溝に嵌り込む。
【0027】
ここで、コイルセグメントは、略U字形状をしたものであっても良いし、逆に略I字形状をしたものであっても構わない。コイルセグメントが略U字形状であれば、一方に突出した開放端部だけを曲げ捩り成形すればよい。逆に、コイルセグメントが略I字形状であれば、両方に突出した二組の開放端部をそれぞれ曲げ捩り成形すればよい。
【0028】
また、本手段では、コイルセグメント端部の先端部を両リングベルトの保持溝に嵌め込むことが、大きな特徴になっている。すなわち、前述のいずれの従来技術によっても、コイルセグメント端部の先端部を四方から囲む矩形の孔が必要であったが、本手段では、両リングベルトの一方の縁部に形成された突出部の間に形成された保持溝で事足りる。すなわち、コイルセグメント端部の先端部には、両リングベルトの保持溝に挟持されるだけでも、曲げ捩り成形の間に十分な保持作用が得られる。
【0029】
その結果、両リングベルトの縁部には、矩形の孔を形成する難しい加工をする必要がなくなり、単なる打ち抜き加工や切断加工ないし溶断加工などでも、容易かつ安価に両リングベルトを製造することができるようになった。それゆえ、本手段によれば、両リングベルトの製造に要する費用が大幅に低減されて、その分だけでもすでに設備投資が安価になっている。そればかりではなく、従来技術とは異なって、両リングベルトの半径方向の幅を、コイルセグメント端部のそれよりも大きく取る必要がなくなり、コイルセグメント端部を半径方向により密に配設することができるようになった。その結果、互いに接続されるべきコイルセグメント端部の先端部同士の間隔が縮まり、これらの先端同士の接続がより容易になった。
【0030】
さて、前述のこの状態では、これらの奇数層用リングベルトとこれらの偶数層用リングベルトとが、互いに同軸的に交互に配設されて、同軸反転駆動装置に支承されている。そして、各コイルセグメント端部の先端部は、これらの両リングベルトの各保持溝に周方向に挟持された状態で、両リングベルトによって保持されている。
【0031】
しかる後、本手段では、同軸反転駆動装置が、これらの奇数層用リングベルトと、これらの偶数層用リングベルトとを、並行して同じ回転角度だけ同軸反転させる。すると、奇数層用リングベルトと偶数層用リングベルトとが、所定の同じ角度だけ反対方向に回動するので、両者に保持されたコイルセグメント端部は、奇数層と偶数層とで互いに周方向の反対方向に、曲げ捩り成形される。もちろん、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形に伴って、コイルセグメントをスロット内に保持しているコアと両リングベルトとの距離は、無理なく適正に縮まるようになっている。
【0032】
ここで、コアと両リングベルトとの距離を縮めるに当たって、どちらか一方が他方に近づけば良いものとする。それゆえ、コアと両リングベルトとのうちいずれが移動して他方に近づくべきか、あるいは双方が互いに近づくべきかは、特に限定されるものではなく、実施の態様によって異なりうる。
【0033】
さて、このようにしてコイルセグメント端部が曲げ捩り成形されると、奇数層開放端部がコアの周方向の一方に所定角度だけ曲げ捩り成形され、逆に偶数層開放端部が周方向の他方に同じ所定角度だけ曲げ捩り成形される。その結果、各コイルセグメントの開放端部は、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形されるに至る。
【0034】
ここで、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形に要する駆動動力源は、一つで足り、多くても二つあれば事足りる。すなわち、後ほど「発明の実施の形態」の項で説明するように、反転ギヤなどをもって二重反転機構を形成すれば、ステッピング・モータなどの一つの駆動動力源で済む。あるいは、奇数層用リングベルトの一式を一方に回転駆動する第一のステッピング・モータと、偶数層用リングベルトの一式を他方に回転駆動する第二のステッピング・モータとの、二つの駆動動力源があれば足りる。このような場合には、両モータは互いに同期して等角度だけ回転すればよいので、両モータの駆動電源装置は単一で済ませることができる。
【0035】
また、コイルセグメント端部のうち、奇数層開放端部と偶数層開放端部とが、並行して曲げ捩り成形されるので、全てのコイルセグメント端部の曲げ捩り加工にかかる加工時間は極めて短くて済む。その結果、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形に要する加工工数が低減し、加工時間が短縮されるので、加工効率が向上して加工コストが低減される。
【0036】
さらに、本手段では、従来技術とは異なって、前述のように駆動動力源が単一または二つで済むばかりではなく、別途に角度センサや、コントローラ及び付帯するインターフェースも必要ではない。それゆえ、本手段の装置では、従来技術の装置よりも大幅に安価にすることもできる。また、部品点数が少なくて済み、特殊なコントローラやそれに付帯するインターフェースおよび多数の配線も必要ないので、信頼性が向上する。
【0037】
したがって、本手段の「コイルセグメント端部の並行曲げ装置」によれば、従来技術よりも構成がずっと簡素であるから、装置の価格がずっと低廉になるうえに、装置の信頼性も向上するという効果がある。また、装置単体に要する設備投資の低廉化に加えて、加工工数が低減されて短時間で加工でき、生産効率が向上するので、回転電機の製造ラインに必要な装置の個数も減り、さらなる設備投資の低廉化ができるという効果がある。その結果、設備投資ばかりではなく、製品についてもコストダウンができるようになるという効果も得られる。
【0038】
(第2手段)
本発明の第2手段は、前述の第1手段において、同軸反転駆動装置は、奇数層駆動軸および偶数層駆動軸と、複数の奇数層駆動ピンおよび偶数層駆動ピンとをもつことを特徴とする。本手段はまた、これらの奇数層駆動ピンおよび偶数層駆動ピンに対応する形状の両リングベルトを有することを特徴とする。
【0039】
すなわち、奇数層駆動軸は、両リングベルトと同軸に配設され、所定の回転方向に所定の回転角度だけ回動する軸部材である。一方、偶数層駆動軸は、この奇数層駆動軸に同軸に配設されており、この奇数層駆動軸の回動と並行して、この奇数層駆動軸とは逆の回転方向に、同じ大きさの所定の回転角度だけ回動する軸部材である。特に限定されるわけではないが、奇数層駆動軸および偶数層駆動軸のうち一方が他方に内包されていても良い。
【0040】
また、奇数層駆動ピンは、この奇数層駆動軸から突出し両リングベルトを半径方向に貫通した複数本のピン部材である。一方、偶数層駆動ピンは、この偶数層駆動軸から突出し両リングベルトを半径方向に貫通した複数本のピン部材である。
【0041】
さらに、前述の各奇数層用リングベルトは、これら奇数層駆動ピンが係止する複数の係止孔と、これら偶数層駆動ピンが周方向に自在に移動可能な逃がし溝とをもつ。一方、前述の各偶数層用リングベルトは、これら偶数層駆動ピンが係止する複数の係止孔と、これら奇数層駆動ピンが周方向に自在に移動可能な逃がし溝とをもつ。なお、前述の奇数層駆動軸および偶数層駆動軸のうち一方が他方を内包しているような場合には、一方の軸が他方の軸から突出した駆動ピンの移動を妨げることがないように、一方の軸には逃がし窓などが形成されていることが望ましい。
【0042】
本手段では、奇数層駆動軸が回転駆動されると、奇数層駆動軸から突出した複数の奇数層駆動ピンが奇数層駆動軸と一緒に回動する。ここで、各奇数層駆動ピンは、その途中で両リングベルトを貫通しているが、奇数層用リングベルトには、その係止孔に嵌って係止している一方、偶数層用リングベルトに対しては、その逃がし溝に嵌って所定範囲で回動自在になっている。それゆえ、奇数層駆動軸の回転に伴い奇数層駆動ピンが回動すると、奇数層駆動ピンに係止されたこれらの奇数層用リングベルトは、奇数層駆動ピンとともに奇数層駆動軸の回転に伴って回動する。
【0043】
一方、偶数層駆動軸が、前述の奇数層駆動軸とは逆方向に回転駆動されると、偶数層駆動軸から突出した複数の偶数層駆動ピンも偶数層駆動軸と一緒に回動する。ここで、各偶数層駆動ピンは、その途中で両リングベルトを貫通しているが、偶数層用リングベルトには、その係止孔に嵌って係止している一方、奇数層用リングベルトに対しては、その逃がし溝に嵌って所定範囲で回動自在になっている。それゆえ、偶数層駆動軸の回転に伴い偶数層駆動ピンが回動すると、偶数層駆動ピンに係止されたこれらの偶数層用リングベルトは、偶数層駆動ピンとともに偶数層駆動軸の回転に伴って回動する。
【0044】
すなわち、奇数層駆動軸と偶数層駆動軸とが同じ角度だけ同軸反転すると、これに伴い、奇数層駆動ピンと偶数層駆動ピンとを介して、奇数層用リングベルトと偶数層用リングベルトとが、それぞれ同じ角度だけ同軸反転する。ここで、同軸反転が可能な角度範囲は、両リングベルトの複数箇所にそれぞれ形成されている逃がし溝が周方向に延在する幅によって、適正に制限されていることが望ましい。
【0045】
それゆえ、本手段では、複数の奇数層用リングベルトと複数の偶数層用リングベルトとを同軸反転させる機構が、極めて簡素な構成で実現される。たとえば、奇数層駆動軸と偶数層駆動軸とを同軸に配設することは、高度な加工技術や組立技術を必要とはしていない。また、複数の奇数層駆動ピンを奇数層駆動軸に植え付けたり、複数の偶数層駆動ピンを偶数層駆動軸に植え付けたりすることも、高度な加工技術や組立技術を必要とはしていない。さらに、奇数層用リングベルトと偶数層用リングベルトとのそれぞれの所定の位置に、所定の大きさおよび形状で係止孔および逃がし溝を形成する技術もしかりである。
【0046】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、高度な加工技術を必要とせずに、極めて簡素な機構でより安価に同軸反転駆動装置を製造することが可能になるという効果がある。
【0047】
(第3手段)
本発明の第3手段は、前述の第1手段において、同軸反転駆動装置は、奇数層用リングベルトおよび偶数層用リングベルトの各々を、両リングベルトの回動角度に対応したそれぞれに適正な移動距離だけ、軸長方向に移動させるスライド手段を有することを特徴とする。
【0048】
ここで、一般に、コイルセグメントの開放端部を曲げ捩り成形する際には、コイルセグメント端部の先端部が変位するに当たって、軸長方向の移動距離がコイル層によって異なっている。
【0049】
すなわち、スロット内のコイル層が内周側から外周側に移るに連れて、対応するコイルセグメント端部の先端部は、曲げ捩り成形の際に、周方向の回動角度は同じでも、軸長方向の移動距離はより深くなる。そこで、曲げ捩り成形後にコイル層が異なってもコアからの先端部の突出距離を同じにするためには、予めコアに挿置されるコイルセグメントの開放端部の長さに適正な差異を付けておかなくてはならない。すなわち、コアに挿置されて曲げ捩り成形前の段階では、コイルセグメントの開放端部の突出長さは、内周側から外周側に移るにつれて徐々に長くなっていなくてはならない。逆に、曲げ捩り成形前の段階で、コイルセグメント端部の突出長さがコイル層に係わらず同じであれば、曲げ捩り成形後の段階では、コイル層が内周側の先端部の方が、外周側の先端部の方よりも突出長さが小さく、やや引っ込んでしまう。
【0050】
そこで本手段では、曲げ捩り成形の過程で、対応するコイル層によって段階的に差を付けて、各リングベルトが、回動角度に応じた適正な距離を軸長方向に移動するようになっている。それゆえ、曲げ捩り成形の過程で、外周側にいくにつれて各コイルセグメント端部の先端部が保持溝から軸長方向に抜け出してくることが防止されている。また、同様にして、曲げ捩り成形の過程で、内周側にいくにつれて各コイルセグメント端部の先端部が保持溝に圧入され、不当な圧縮力を受けることが防止されている。その結果、曲げ捩り成形過程の始めから終わりに至るまで、全てのコイルセグメント端部の先端部が、所定の位置で保持溝に嵌ったままの状態が保たれるので、コイルセグメント端部の成形後の形状が、より安定してほぼ設計通りになる。
【0051】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、曲げ捩り成形の過程でコイルセグメント端部に無理をかけることがなくなり、成形後のコイルセグメント端部の形状をほぼ設計通りに精密に仕上げることができるという効果がある。
【0052】
(第4手段)
本発明の第4手段は、前述の第1手段において、スライド手段は、それぞれのリングベルトに複数個ずつ形成されたカム溝と、これらのカム溝をそれぞれ貫通しているカム用固定ピンとをもつことを特徴とする。ここで、複数のカム溝は、両リングベルトのそれぞれに、所定の幅の曲線で形成された貫通孔である。一方、複数のカム用固定ピンは、両リングベルトのこれらのカム溝をそれぞれ半径方向に貫通している固定されたピン部材である。そして、これらのカム溝は、それぞれ、各コイル層を形成する各コイルセグメントの開放端部のうち先端部が曲げ捩り成形の際に描く軌跡に対応する形状をもっている。
【0053】
ここで、各カム用固定ピンは、本手段の並行曲げ装置のうちフレームなどの固定部分に根本などで固定されており、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形時にかかる負荷に耐えうる剛性強度を有している。一方、各リングベルトに形成されたカム溝は、コイル層の奇数・偶数で方向が異なるばかりではなく、コイル層の深さによって軸長方向の寸法も順次異なっていることが望ましい。なぜならば、コイル層が深くなるに連れて、コイルセグメント端部の曲げ捩り加工の際に生じるべき変形の深さが順次深くなっていくからである。
【0054】
また、奇数層駆動軸および偶数層駆動軸のうち各駆動ピンが植えられている部分は、軸長方向にスライド可能に軸支されている。このような軸支の方法の一例としては、奇数層駆動軸および偶数層駆動軸のうち基端部に対し、各駆動ピンが植えられた各作動部が、スプラインを介し軸長方向に沿って伸縮可能に接続されている構成がある。
【0055】
本手段では、複数のカム用固定ピンが貫通した状態で、これらの奇数層用リングベルトとこれらの偶数層用リングベルトとが、奇数層駆動軸および偶数層駆動軸の回動に伴って互いに同軸反転する。すると、各リングベルトに形成されたカム溝は、コイルセグメント端部の先端部が曲げ捩り成形の際に描く軌跡に相当する形状をしているので、各リングベルトが回動する際に、各リングベルトは、その軌跡に沿って軸長方向にも移動する。その結果、多数のコイルセグメントを保持したコアが固定されていても、両リングベルトの方から適正な軌跡を描いてコアに接近するので、コイルセグメント端部は適正な軌跡を描いて所定の形状に曲げ捩り成形されるに至る。
【0056】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形に際して、ごく簡素な構成でありながら、両リングベルトを適正な軌跡を描いてコアに近づけていくことができるという効果がある。その結果、本手段の並行曲げ装置がよりいっそう安価になるとともに、その信頼性もより向上するという効果も得られる。
【0057】
(第5手段)
本発明の第5手段は、前述の第4手段において、同軸反転駆動装置は、両リングベルトを同軸反転させることに伴ってこれらのリングベルトを軸長方向に押圧し、これらのリングベルトをコアに向かって所定ストロークだけ移動させる補助押圧手段をさらにもつことを特徴とする。
【0058】
ここで、補助押圧手段は、並行曲げ装置の一部をなす構成要素であって、同軸反転駆動装置と連動して作動するようになっていることが望ましい。補助押圧手段を同軸反転駆動装置と連動させるための手段としては、たとえば、同軸反転駆動装置と各種のギヤやボールねじなどの機械的な装置を介して連動させる手段がある。このような機械的な連動手段は、機構の簡素化や高い信頼性を保つうえで望ましい。一方、連動手段の他の形態としては、ステッピング・モータなどの動力源を別途に設けて補助押圧手段を駆動し、補助押圧手段が同軸反転駆動装置と連動して作動するように制御する電気的な連動手段もあり得る。もとろん、他の形態の連動手段を採用しても良い。
【0059】
本手段では、前述の第4手段のようにカム溝を設けて両リングベルトを軸長方向に移動させる構成において、曲げ捩り成形のうちいずれかの段階で軸長方向の駆動力が不足した場合にも、不具合が起きないで済む。すなわち、本手段では、摩擦力などの抵抗力が過大になって並行曲げ装置が途中で停止したり、並行曲げ装置のうち一部に無理な力がかかって変形してしまったりするような不都合が、防止される。
【0060】
なぜならば、補助押圧手段が、両リングベルトに対して軸長方向にかかる押圧力を補助し、両リングベルトをコアに向かって所定ストロークだけ無理なく移動させる作用をもつからである。
【0061】
したがって本手段によれば、前述の第4手段の効果に加えて、両リングベルトをコアに向かって所定ストロークだけ無理なく移動させることができ、作動上の不具合を回避することができるという効果がある。
【0062】
(第6手段)
本発明の第6手段は、前述の第2手段において、複数の逃がし溝および係止孔が形成された両リングベルトと、複数の両駆動ピンとで、両リングベルトをその回動角度に対応してそれぞれ適正な移動距離だけ軸長方向に移動させるスライド手段を構成していることを特徴とする。ここで、各リングベルトに形成された複数の逃がし溝は、それぞれ、当該リングベルトの保持溝に嵌った開放端部の先端部が曲げ捩り成形の際に描く軌跡に対応する曲線形状をしている。一方、各リングベルトに形成された複数の係止孔は、それぞれ、少なくとも曲げ捩り成形の際に当該リングベルトが軸長方向に移動する移動距離に相当する長さだけ、軸長方向により長い形状をしている。
【0063】
本手段では、各リングベルトの各逃がし溝が、前述の第4手段におけるカム溝に相当する作用をもち、両駆動ピンのうち当該逃がし溝を貫通している方の駆動ピンが、第4手段におけるカム用固定ピンに相当する作用をもつ。その結果、両リングベルトの各々を、その回動角度に対応したそれぞれに適正な移動距離だけ、軸長方向に移動させるスライド手段が形成されている。その結果、一対の駆動軸をもつ第2手段と同程度の極めて簡素な構成でありながら、スライド手段をもつ第3手段と同様の作用効果が得られる。
【0064】
しかも、第4手段でのカム用固定ピンに対する各カム溝の移動角度に比べて、本手段では両リングベルトの各逃がし溝の中で当該駆動ピンが相対的に移動する角度は、二倍である。それゆえ、曲げ捩り成形過程の最後付近で、回動による周方向の移動距離に対してより大きな軸長方向の移動距離がある場合であっても、第4手段に比べてずっと無理なくスライド手段の作用が得られる。なぜならば、逃がし溝が周方向から立ち上がっている角度が、第4手段でカム溝が立ち上がっている角度よりもそのタンジェントが半分になるほど小さいので、過大な摩擦力が発生しないからである。
【0065】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、前述の第2手段と同程度の極めて簡素な構成であって、安価でありながら高い信頼性が得られるうえに、スライド手段をもつ前述の第3手段と同様の作用効果が得られるという効果がある。
【0066】
(第7手段)
本発明の第7手段は、前述の第1手段において、各リングベルトの半径方向の厚さは、各コイルセグメントの開放端部の半径方向の厚さよりも薄いことを特徴とする。
【0067】
本手段では、コイルセグメント端部のうち両リングベルトの保持溝に嵌合している先端部でも、その先端部の半径方向の厚さが当該リングベルトの厚さよりも厚い。すると、コイルセグメント端部の先端部が保持溝に適正に嵌っていれば、両リングベルトのうち保持溝を形成している突出部は、その内周面でも外周面でも、コイルセグメント端部の先端部の外周面および内周面よりもいくらか引っ込んでいる。それゆえ、コイルセグメント端部の先端部の位置が、当該リングベルトの対して半径方向に少しずれることがあっても、コイルセグメント端部の先端部の間から当該リングベルトの突出部が半径方向に突出することがない。その結果、曲げ捩り成形の過程で、コイルセグメント端部に、半径方向に隣り合うリングベルトの突出部の角や縁が当たって、コイルセグメント端部の表面の絶縁被膜が損傷してしまうことが防止される。
【0068】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、完成したセグメント型コイルのうち、曲げ捩り成形されて互いに接続されるコイルエンドにおいて、より絶縁性が向上するという効果がある。
【0069】
(第8手段)
本発明の第8手段は、前述の第1手段において、各リングベルトの各突出部がもつ各エッジ部および各角部のうち少なくとも一部には、丸み(アール)および面取りのうち一方が形成されていることを特徴とする。望ましくは、全てのリングベルトがもつ全ての突出部のうち、コイルセグメント端部と接触する可能性が少しでもある部分については、全てのエッジ部(縁部)および角部に、アール付けまたは面取りが施されているとよい。
【0070】
本手段では、コイルセグメント端部の先端部が、当該リングベルトの保持溝から半径方向にいくらかずれてしまった場合を想定している。このような場合には、曲げ捩り成形の過程で、リングベルトの突出部が隣り合うコイル層のコイルセグメント端部に接触してしまうことがありうる。しかしながら、前述のように、突出部の縁部や角部には、丸み付けまたは付け面取りが施されている。それゆえ、リングベルトからはみ出したコイルセグメント端部が、半径方向に隣り合うリングベルトの突出部の角や縁部に当たることがあっても、コイルセグメント端部の表面の絶縁被膜が損傷してしまうことは、防止されている。
【0071】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、完成したセグメント型コイルのうち、曲げ捩り成形されて互いに接続されるコイルエンドにおいて、より絶縁性が向上するという効果がある。
【0072】
(第9手段)
本発明の第9手段は、前述の第1手段において、各奇数層用リングベルトと各偶数層用リングベルトとの間に配設されて両者の間を仕切り、少なくとも一部は両リングベルトの保持溝にかかる円筒状のシムリングをさらに有することを特徴とする。
【0073】
ここで、シムリングは、その全体が内側および外側のリングベルトに収まっていても良いし、あるいは逆に、シムリングの一部が両リングベルトから突出していても良い。そして、両リングベルトの各保持溝を形成している各突出部の内周面および外周面は、その軸長方向の全長にわたって、シムリングに覆われていることが望ましい。また、全てのリングベルトの間に、それぞれシムリングが挿置されていることが望ましい。
【0074】
また、シムリングは、単純な円筒形状であっても良いし、必要に応じて縁の形状が適度な曲線を描く略円筒形状であっても良い。さらに、シムリングの材料は、適度な剛性強度と耐摩耗性や低摩擦性などを備えていることが望ましい。それゆえ、シムリングの材料は、ステンレス鋼などの金属や丈夫な樹脂の板材であっても良いし、その板材の両側の表面に適正な潤滑処理や耐摩耗処理が施されていても良い。
【0075】
本手段では、前述のように、各奇数層用リングベルトと各偶数層用リングベルトとの間の隙間に、円筒状のシムリングが挿置されて、その隙間のうち少なくとも一部を塞いでいる。それゆえ、リングベルトの突出部の間からコイルセグメント端部の先端部が半径方向にずれて突出することが抑制されており、同様に、コイルセグメント端部の先端部の間からリングベルトの突出部が半径方向に突出することも防止されている。さらに、たとえいくらかリングベルトの突出部の間から、コイルセグメント端部の先端部が半径方向にずれて突出することがあっても、この先端部はシムリングに遮られて隣り合うリングベルトの突出部に接触することがない。逆に言えば、リングベルトの突出部は、シムリングに遮られて、隣り合うリングベルトに嵌合したコイルセグメント端部に接触することがない。同様に、互いに隣り合うリングベルトに先端部が保持されたコイルセグメント端部同士も、シムリングに遮られて、互いに接触することあり得ない。
【0076】
その結果、曲げ捩り成形の過程で、コイルセグメント端部に、半径方向に隣り合うコイルセグメント端部やリングベルトの突出部の角や縁が当たって、コイルセグメント端部の表面の絶縁被膜が損傷してしまうことが防止される。
【0077】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、完成したセグメント型コイルのうち、曲げ捩り成形されて互いに接続されるコイルエンドにおいて、よりいっそう絶縁性が向上するという効果がある。
【0078】
(第10手段)
本発明の第10手段では、前述の第1手段でもそうであるが、各リングベルトの各突出部は、各コイルセグメントの開放端部が曲げられて屈曲部を形成する際にこの屈曲部にその内周側から当接する角部である屈曲角部をもつ。本手段は、この屈曲角部に、各コイルセグメントのこの屈曲部を形成するために、適正な曲率半径をもつ丸み(アール)が形成されていることを特徴とする。
【0079】
本手段では、コイルセグメント端部のうち各リングベルトの保持溝から突出する部分が、各リングベルトの屈曲角部に当接して曲げ変形させられて屈曲部を形成する。この際、各リングベルトの屈曲角部には、適度なアールが形成されているので、各コイルセグメント端部の屈曲部は、ほぼ設計者の狙い通りの曲率半径で屈曲されるに至る。また、突出部の屈曲角部が適度なアールをもっていて角張っていないので、各コイルセグメント端部の屈曲部のうち内側面に傷が付いて絶縁皮膜が損傷するような不都合がない。
【0080】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、各コイルセグメント端部の屈曲部にほぼ設計者の狙い通りの曲率半径をつけることができるという効果がある。さらに、完成したセグメント型コイルのうち、曲げ捩り成形されて互いに接続されるコイルエンドにおいて、いっそう絶縁性が向上するという効果もある。
【0081】
(第11手段)
本発明の第11手段は、前述の第1手段において、コア保持手段をさらに有することを特徴とする。コア保持手段は、両リングベルトの延長線上にコアを同軸的に保持し、これらのリングベルトが同軸反転するのに伴ってこのコアを所定ストロークだけ軸長方向に移動させる機能をもつ。
【0082】
本手段では、コア保持手段がコアを同軸反転する両リングベルトに近づけるので、両リングベルトがコアに向かって移動する必要がなくなる。それゆえ、前述の第3手段のようにカム機構を採用する必要もなくなり、同軸反転駆動装置の構成をより簡素化することができる。
【0083】
ただし、コイルセグメント端部を曲げ捩り成形する際に、コイル層によって軸長方向の変位が少しずつ異なるので、その分の補正ができるような構成になっていることが望ましい。そのためには、たとえば前述の第2手段であれば、両リングベルトにおいて、各係止孔を必要な変位分だけ軸長方向に延在させ、各逃がし溝を適正な形状で緩やかに曲線を描いてやや斜めに形成するようにすればよい。こうすれば、曲げ捩り成形が進行するに従って、軸長方向の変位にコイル層によって生じる差異の分だけ、各リングベルトが軸長方向に少しだけ変位するので、無理をかけることなく、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形を完了することができるようになる。
【0084】
その結果、第3手段や第4手段に記載されたスライド手段を採用する必要がなくなるばかりではなく、さらに第5手段に記載の補助押圧手段を採用する必要もなくなる。
【0085】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加え、前述の第3手段や第5手段に比べて、同軸反転駆動装置の構成を大幅に簡素化することができるという効果がある。
【0086】
(第12手段)
本発明の第12手段は、前述の第2手段において、両駆動軸のうち少なくとも一方と、両リングベルトのうち少なくとも一つとの間に、両者の間隔を適正に保つスペーサが挿置されていることを特徴とする。
【0087】
本手段では、スペーサが、両駆動軸のうち少なくとも一方と、多数の両リングベルトのうち少なくとも一つとの間隔を適正に保つ。ここで、普通の設計常識に従う限り、奇数層駆動軸と偶数層駆動軸との間での同軸性は高く設計されており、各リングベルトの間の同軸性もある程度は高くできるものと考えられる。すると、スペーサの作用により、結果的に両リングベルトの全てと両駆動軸との間で高い同軸性が得られる。それゆえ、全てのコイルセグメントとコアとに対して、全てのリングベルトの同軸性が高まり、コイルセグメント端部を曲げ捩り成形する際の加工精度が向上するうえに、曲げ捩り成形に伴う絶縁皮膜の剥がれなどの不具合も起こりにくくなる。
【0088】
したがって本手段によれば、前述の第2手段の効果に加えて、コイルセグメント端部を曲げ捩り成形する際の加工精度および信頼性(ないし歩留まり)が向上するという効果がある。
【0089】
(備考)
前述の各手段のうち、第2手段ないし第12手段は、それぞれ直接的または間接的に第1手段に従属した手段である。ここで、第2手段ないし第12手段のうち互いに組み合わせ可能な手段については、複数の手段を組み合わせても良い。そうすれば、該当する複数の手段の作用効果に相当する複合的な作用効果が得られるであろう。
【0090】
[製造方法]
(第13手段)
本発明の第13手段は、回転電機の固定子または回転子のコアに挿置されたコイルセグメントの開放端部を、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形するセグメント型コイルの製造方法である。ここで、各コイルセグメントは、セグメント型コイルを形成すべく、コアに形成された複数のスロット内に、複数のコイル層を形成するように重ねて挿置された多数のコイルセグメントである。そして、これらの開放端部というのは、前述のコイルセグメントの一部であり、このコアから軸長方向に突出した多数の開放端部を指している。
【0091】
本手段の製造方法は、コアのスロット内で奇数番目のコイル層を形成するコイルセグメントの開放端部である奇数層開放端部を、回転電機の周方向の一方に曲げ捩り成形する。その一方で、偶数番目のコイル層を形成するコイルセグメントの開放端部である偶数層開放端部を、回転電機の周方向の他方に曲げ捩り成形する。そして、各コイルセグメントの開放端部を、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形するセグメント型コイルの製造方法である。
【0092】
本手段の特徴は、複数層分の奇数層開放端部と複数層分の偶数層開放端部を、互いに逆の回転方向に回動させて少なくとも一部を周方向に斜めに傾け、これらの開放端部を並行して曲げ捩り成形することである。それゆえ、本手段の製造方法を、「コイルセグメント端部の並行曲げ方法」と称する。
【0093】
なお、本手段における各用語の定義は、前述の第1手段における用語の定義と同様である。
【0094】
本手段では、奇数層開放端部の全てと、偶数層開放端部の全てとが、並行して互いに逆の回転方向に回動させられて、曲げ捩り成形される。その際、偶数層開放端部の全てが、互いに同じ角度だけ回動させられて曲げ捩り成形され、同時に、奇数層開放端部の全てが、互いに同じ角度だけ逆方向に回動させられて曲げ捩り成形されることが望ましい。また、奇数層開放端部と偶数層開放端部とは、互いに同期して同じ角度だけ同軸反転させられ、曲げ捩り成形の過程も両開放端部で同期していることが望ましい。もちろん、曲げ捩り成形に際して生じる各コイルセグメント端部のスプリングバックの分も考慮して、曲げ捩り成形の深さないしストロークが設定されていることが望ましい。
【0095】
その結果、多数の奇数層開放端部および偶数層開放端部からなるコイルセグメント端部の全てが、並行して曲げ捩り成形され、少なくとも一部が周方向に斜めに傾いた所定形状となる。すなわち、本手段の並行曲げ方法が完了すると、全てのコイルセグメントの開放端部が、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形されるに至る。
【0096】
本手段の並行曲げ方法では、前述のように、奇数層開放端部の全てと偶数層開放端部の全てとが、並行して曲げ捩り成形されるので、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工にかかる時間ないし工数が低減される。すなわち、従来技術の項で取り上げた両特許文献に記載された曲げ捩り成形方法よりも、本手段の並行曲げ方法の方が、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工にかかる時間が低減されており、その結果、加工コストが低減されている。
【0097】
したがって本手段によれば、従来の両特許文献に記載された曲げ捩り成形方法よりも、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工にかかる時間が低減され、その加工コストが低減されるという効果がある。
【0098】
なお、このように本手段には、前述の第1手段にほぼ相当する効果があるが、第1手段に従属した第2手段ないし第12手段に相当する限定を加えることにより、各手段に相当する効果がおおむね得られる。
【0099】
【発明の実施の形態】
本発明の「コイルセグメント端部の並行曲げ装置および並行曲げ方法」の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0100】
[実施例1]
(実施例1における製造装置の構成)
本発明の実施例1としての「コイルセグメント端部の並行曲げ装置」1は、図1に示すようにステータコア8に挿置されたコイルセグメント9に対し、その開放端部を適正に曲げ捩り成形するセグメント型コイルの製造装置である。
【0101】
ここで、各コイルセグメント9は、セグメント型コイルを形成すべく、同じく図1に示すように、回転電機のステータコア8に形成された複数のスロット80内に重層されて挿置されている。各コイルセグメント9は、各スロット80内で内周側から外周側へ向かって十二層のコイル層を形成しており、これら十二層のコイルセグメント9は、スロット80内で絶縁紙81に包まれて周囲の電磁鋼板から絶縁されている。そして、各コイルセグメント9は、略U字形状をしており、コイルセグメント9の開放端部91,92は、曲げ捩り成形前には、ステータコア8からその軸長方向に真っ直ぐに突出している。
【0102】
ここで、適正に曲げ捩り成形するとは、図2(a)〜(b)に示すように、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、コイルセグメント9の開放端部91,92を適正に曲げ捩り成形することである。
【0103】
すなわち、本実施例の並行曲げ装置1は、これらのコイルセグメント9の開放端部91,92のうち、奇数番目のコイル層を形成するコイルセグメントの開放端部である奇数層開放端部91を、ステータコア8の周方向の一方に曲げ捩り成形する。そして逆に、偶数番目のコイル層を形成するコイルセグメントの開放端部である偶数層開放端部92を、周方向の他方に曲げ捩り成形する。換言すれば、本実施例の並行曲げ装置1は、各コイルセグメント9の開放端部91,92を、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形するセグメント型コイルの製造装置である。
【0104】
本実施例の並行曲げ装置1の特徴は、図3に示すように、それぞれ六つ一組の奇数層用リングベルト3および偶数層用リングベルト4と、両リングベルト3,4を駆動する同軸反転駆動装置2とを有することである。すなわち、奇数層用リングベルト3と偶数層用リングベルト4とは、それぞれ順次に直径が異なる六つずつが、交互かつ同軸的に配設されている。そして、同軸反転駆動装置2によって、奇数層用リングベルト3と偶数層用リングベルト4とが反転駆動させられるように、本実施例の並行曲げ装置1は構成されている。
【0105】
ここで、両リングベルト3,4がそれぞれ六つ一組であるのは、前述のように十二層あるコイルセグメント9の開放端部91,92を、いっときに並行して曲げ捩り成形することができるようにするためである。もちろん、両リングベルト3,4の数は、製造すべき固定子のセグメント型コイルがもつコイル層の数によって適正に設定される。ただし、全ての両リングベルト3,4のうち内周側または外周側のいくつかが余ってしまっても、本実施例の並行曲げ装置1の機能には差し支えがない。
【0106】
一方、同軸反転駆動装置2は、これらの奇数層用リングベルト3の全て(前者)と、これらの偶数層用リングベルト4の全て(後者)とを、互いに同軸的にかつ半径方向に交互に支承し、前者と後者とを並行して同じ回転角度だけ同軸反転させる駆動装置である。
【0107】
すなわち、同軸反転駆動装置2は、同じく図3に示すように、入力軸21、減速機22、中継軸23、反転ギヤ24、奇数層駆動軸25、偶数層駆動軸26、奇数層駆動ピン251、偶数層駆動ピン261および図示しないフレームなどをもつ。ここで、同軸反転駆動装置2を有する本実施例の並行曲げ装置1は、互いに同軸な奇数層駆動軸25および偶数層駆動軸26が重力方向に沿って直立するように、設置されるものとする。
【0108】
入力軸2は、ハンドルで手動による軸出力を受け付けるようになっているが、生産ラインに配備されるときには、入力軸2には数値制御されたステッピング・モータから軸出力を受ける。減速機22は、二段式の遊星減速装置であって、入力軸21で受け入れた軸出力のトルクを数十倍に増す作用がある。こうして減速された軸出力は、中継軸23に歯車で伝達される。中継軸23には大小二つの歯車が同軸に備わっており、中継軸23の回転は、奇数層駆動軸25と偶数層駆動軸26とには、互いに同じ回転角度であっても、回転方向が互いに逆に伝達される。
【0109】
すなわち、奇数層駆動軸25には、中継軸23の回転が、奇数層駆動軸25の基端部にある基端部ギヤ250に直接伝達される。一方、奇数層駆動軸25の主要部を内包して偶数層駆動軸26には、反転ギヤ24を介して、中継軸23の回転が逆転して偶数層駆動軸26の基端部ギヤ260に伝達される。その結果、奇数層駆動軸25と偶数層駆動軸26とは、同じ回転角度だけ互いに逆の回転方向に回転駆動されるようになっている。
【0110】
そして、同軸反転駆動装置2は、前述のように、奇数層駆動軸25および偶数層駆動軸26と、それぞれ上段に三本ずつ、下段にも三本ずつの奇数層駆動ピン251および偶数層駆動ピン261とをもつ。
【0111】
すなわち、奇数層駆動軸25は、両リングベルト3,4と同軸に配設され、所定の回転方向に所定の回転角度だけ回動する軸部材である。一方、偶数層駆動軸26は中空の軸部材であって、奇数層駆動軸25を内包して奇数層駆動軸25に同軸に配設されている。
【0112】
また、各奇数層駆動ピン251は、奇数層駆動軸25から半径方向に突出し、両リングベルト3,4を貫通した断面が略矩形のピン部材であり、奇数層駆動軸25の外周部に所定角度でねじ込まれて固定されている。一方、各偶数層駆動ピン261は、偶数層駆動軸26から半径方向に突出し、やはり両リングベルト3,4を貫通した断面が略矩形のピン部材であり、偶数層駆動軸26の外周面にねじ込みで所定角度に固定されている。奇数層駆動ピン251および偶数層駆動ピン261はそれぞれ六本あって、両駆動軸25,26の上下二箇所から、それぞれ120°おきに三方へ突出している。すなわち、上下段いずれにおいても、各三本の奇数層駆動ピン251と偶数層駆動ピン261とは、互いに60度ずつ離れて六方に突出している。
【0113】
なお、奇数層駆動ピン251は、偶数層駆動軸26を貫通して偶数層駆動軸26に対して回動するので、中空円筒状の偶数層駆動軸26のうち、奇数層駆動ピン251の回動範囲に相当する部分には、横長の逃がし窓(図略)が形成されている。
【0114】
次に、複数の奇数層用リングベルト3と複数の偶数層用リングベルト4とからなる両リングベルト3,4について説明する。
【0115】
先ず、同じく図3に示すように、全部で六枚の奇数層用リングベルト3は、それぞれステータコア8(図1参照)のスロット内に配設された奇数番目のコイル層に相当する外径および内径の略中空円筒状の部材である。これらの奇数層用リングベルト3は、同軸的に所定の間隔を空けて重ねて配設されている。一方、全部で六枚の偶数層用リングベルト4は、それぞれ偶数番目のコイル層に相当する外径および内径の略中空円筒状の部材である。これらの偶数層用リングベルトも、前述の奇数層用リングベルトと同様に、同軸的に所定の間隔を空けて重ねて配設されている。
【0116】
すなわち、それぞれ六枚からなる奇数層用リングベルト3と偶数層用リングベルト4とは、交互に同軸的に配設されて全部で十二層をなし、セグメント型コイルのコイル層に対応している。なお、図3には、奇数層用リングベルト3および偶数層用リングベルト4がそれぞれ二枚ずつしか図示されていないが、これは理解しやすいように図を簡略化したものである。
【0117】
そして、両リングベルト3,4は、後述の保持溝を上方に向けて直立しており、ステータコア8(図略)から下方へ突出した全てのコイルセグメント端部(図略)を曲げ捩り成形するように配設されている。これらの両リングベルト3,4は、奇数層駆動軸25と偶数層駆動軸26とを互いに同軸反転させる同軸反転駆動装置2によって、後述のように駆動させられる。
【0118】
さて、両リングベルト3,4は、それぞれ前述の奇数層駆動ピン251および偶数層駆動ピン261に対応する形状をしている。
【0119】
すなわち、図4の上半部に、最内周(すなわち第1層用)の奇数層用リングベルト3の形状を例示し、図4の下半部に、最内周(すなわち第2層用)の偶数層用リングベルト4の形状を示す。
【0120】
各奇数層用リングベルト3は、図4の上半部に展開して示すような形状をしている。すなわち、各奇数層用リングベルト3は、上下三本ずつの奇数層駆動ピン251が係止する上下三つずつの係止孔36と、やはり上下三本ずつの偶数層駆動ピン261が所定の角度範囲(25°)で周方向に自在に移動可能な上下三つずつの逃がし溝37とをもつ。そして、各奇数層用リングベルト3は、軸長方向の一方の縁部である上縁部31に、コイルセグメント9の奇数層開放端部91(図9参照)の先端部を周方向に挟持する多数の保持溝30を形成する同数の突出部32をもつ。各奇数層用リングベルト3には、さらに、周方向には12.5°の可動範囲をもつ湾曲したカム溝38と、下縁部に凹んで形成された押し上げピン(図15参照)の当接部39とが、それぞれ三方に形成されている。
【0121】
一方、各偶数層用リングベルト4は、図4の下半部に展開して示すような形状をしている。各偶数層用リングベルト4は、上下三本ずつの偶数層駆動ピン261が係止する複数の係止孔46と、これら奇数層駆動ピンが周方向に自在に移動可能な逃がし溝とをもつ。そして、各偶数層用リングベルト4は、軸長方向の一方の縁部である上縁部41に、コイルセグメント9の偶数層開放端部92(図9参照)の先端部を周方向に挟持する多数の保持溝40を形成する同数の突出部42をもつ。各偶数層用リングベルト4には、やはり、周方向には12.5°の可動範囲をもつ湾曲したカム溝48と、下縁部に凹んで形成された押し上げピン(図15参照)の当接部49とが、それぞれ三方に形成されている。
【0122】
なお、各リングベルト3,4の上縁部31,41に形成されている保持溝30,40および突出部32,42の数は、それぞれステータコア8のスロット80の数に等しい。
【0123】
ここで、両リングベルト3,4のカム溝38,48については、後に改めて説明する。
【0124】
一方、押圧ピンの当接部39,49は、図16に奇数層用リングベルト3の一つを例示するように、各リングベルト3,4の下縁部に三箇所ずつ所定の形状で軸長方向に凹んで形成されている。これらの当接部39,49の形状は、押し上げピン52が上昇しつつこれらの当接部39,49に当接すると、各リングベルト3,4がその回動角度に従って適正な移動距離だけ軸長方向に移動するように、設定されている。それゆえ、各リングベルト3,4のうち、上昇移動量が少ない内周側のリングベルト3,4では、外周側のリングベルト3,4よりも、当接部39,49がより深く形成されており、押し上げピン52からの逃げが大きくなっている。
【0125】
本実施例の並行曲げ装置1では、このような押し上げピン52をもつ補助押圧手段50が付設されている。それゆえ、図17に示すように、曲げ捩り成形過程の後半部で両リングベルト3,4の回動角度θが大きくなって、カム溝38,48の立ち上がり角度が大きくなっても、不都合が回避される。すなわち、両駆動軸25,26を反転駆動するのに必要な捩りトルクTが大きくなると、補助押圧手段50が作用し始め、両リングベルト3,4を押し上げてる作用を補助してくれる。その結果、必要とされる捩りトルクTは低減され、モータへの要求トルクが過大にならずに済む。
【0126】
さて、両リングベルト3,4は、帯状の板材から打ち抜き加工で形成された鋼板が、円筒状に丸められたうえで両端が溶接されて形成されている。ここで、両リングベルト3,4の溶接部は、肉の盛り上がりが生じないようにヤスリで研磨されている。また、各リングベルト3,4を形成している鋼板の厚さは、各コイルセグメント9の断面(図1参照)がもつ半径方向の厚さに等しい。それゆえ、両リングベルト3,4は、互いの間に僅かな間隙を残した緩み嵌めで径方向に交互に嵌め合わせられている。
【0127】
また、同軸で交互に重ねられた両リングベルト3,4のうち保持溝30,40が形成された上縁部31,41は、回動角度ゼロの初期状態では、軸長方向に揃った位置にはなく、加工対象であるコイルセグメント端部の初期形状に適合した位置にある。すなわち、通常のセグメント型固定子では、ステータコア8に保持された多層のコイル層のうち、より外周側に配設されるコイルセグメント端部の方が、より内周側にあるコイルセグメント端部よりも、先端がコアからより長く軸長方向下方に突出している。それゆえ、コイルセグメント端部の先端部93,94の位置に合わせて、両リングベルト3,4のうち保持溝30,40が形成された上縁部31,41は、内周側から外周側へ移行するに従って、軸長方向下方に適度に後退した位置に形成されている。
【0128】
さらに、図13に偶数層用リングベルト4の上縁部41のうち一部だけを代表して例示するように、各リングベルト3,4の各突出部32,42は屈曲角部33,43をもつ。各突出部32,42の屈曲角部33,43は、各コイルセグメント9の開放端部91,92が曲げられて屈曲部95を形成する際に、屈曲部95にその内周側から当接する角部である。すなわち、各突出部32,42の屈曲角部33,43には、適正な曲率半径をもつ丸み(アール)が形成されており、各コイルセグメント9の屈曲部95が、設計通りの適度な曲率で屈曲させられるようになっている。
【0129】
なお、両リングベルト3,4の数や直径や厚み、ならびに保持溝30,40および突出部32,42の数や幅などは、曲げ捩り成形するセグメント型コイルの形式によって適正に変更することができる。
【0130】
さて、同軸反転駆動装置2および両リングベルト3,4には、両リングベルト3,4の各々を、両リングベルト3,4の回動角度に対応したそれぞれに適正な移動距離だけ、軸長方向に移動させるスライド手段が備わっている。このスライド手段は、再び図4に示すように、各リングベルト3,4にそれぞれ三つずつ形成されたカム溝38,48と、各カム溝38,48に嵌って各カム溝38,48を貫通している三本のカム用固定ピン51とからなる。カム用固定ピン51は、それぞれ水平面内で120°の角度を開けて三方の半径方向に延在しており、それぞれ遠心側の一端でフレーム(図略)に固定されている。
【0131】
ここで、当業者には周知であるので図示はしないが、一般に、コイルセグメント9の開放端部91,92を曲げ捩り成形する際には、コイルセグメント端部の先端部93,94が変位するに当たって、軸長方向の移動距離が十二のコイル層によって少しずつ順に異なっている。
【0132】
すなわち、スロット80内のコイル層が内周側から外周側に移るに連れて、対応するコイルセグメント端部の先端部は、曲げ捩り成形の際に、周方向の回動角度は同じでも、軸長方向の移動距離はより深くなる。なぜならば、コア層が占める半径状の位置が大きくなるにつれて、コイルセグメント端部の先端部93,94が周方向へ移動する距離も大きくなっていくからである。そして、曲げ捩り成形後に溶接工程を簡易化するためには、コイル層が異なっても、ステータコア8から突出した各開放端部91,92の先端部93,94の突出距離が同じなっている方がよい。
【0133】
そうするためには、ステータコア8に挿置される各コイルセグメント9のうち各開放端部90の突出長さに、予めコイル層毎の適正な差異を付けておかなくてはならない。すなわち、ステータコア8に挿置されて曲げ捩り成形前の段階では、コイルセグメント9の各開放端部91,92の突出長さは、内周側から外周側に移るにつれて徐々に適度に長くなっていなくてはならない。逆に、曲げ捩り成形前の段階で、コイルセグメント端部の突出長さがコイル層に係わらず同じであれば、曲げ捩り成形後の段階では、コイル層が内周側の先端部の方が、外周側の先端部の方よりも突出長さが小さくなり、上方にやや引っ込んでしまう。
【0134】
そこで、本実施例の並行曲げ装置1では、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形の過程で、対応するコイル層によって段階的に差を付けて、各リングベルト3,4が、回動角度に応じた適正な距離を軸長方向に移動するようになっている。それゆえ、曲げ捩り成形の過程で、外周側にいくにつれて各コイルセグメント端部の先端部が保持溝30,40から軸長方向に抜け出してくることが防止されている。また、同様にして、曲げ捩り成形の過程で、内周側にいくにつれて、各コイルセグメント端部の先端部が保持溝30,40に圧入されて不適当な圧縮力を受けることが防止されている。その結果、曲げ捩り成形過程の始めから終わりに至るまで、全てのコイルセグメント端部の先端部が、所定の位置で保持溝30,40に適正に嵌ったままの状態が保たれるので、コイルセグメント端部の成形後の形状が、より安定してほぼ設計通りになる。
【0135】
したがって、スライド手段の作用により、曲げ捩り成形の過程でコイルセグメント端部に無理をかけることがなくなり、成形後のコイルセグメント端部の形状をほぼ設計通りに精密に仕上げることができるようになっている。
【0136】
より詳しく説明すると、同じく図4に示すように、スライド手段は、前述のように、各リングベルト3,4に三つずつ形成されたカム溝38,48と、カム溝38,48をそれぞれ貫通している三本の断面円形のカム用固定ピン51とをもつ。ここで、各カム溝38,48は、両リングベルト3,4のそれぞれに、カム用固定ピン51の直径に合致した所定の幅の曲線で形成された貫通孔である。一方、三本のカム用固定ピン51は、両リングベルト3,4の各カム溝38,48をそれぞれ半径方向に貫通しておりフレームに固定されたピン部材である。そして、各カム溝38,48は、それぞれ、各コイル層を形成する各コイルセグメント9の開放端部のうち先端部が、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形の際に描く軌跡に対応する形状をもっている。
【0137】
ここで、各カム用固定ピン51は、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形時にかかる負荷に耐えうる剛性強度を有している。一方、各リングベルト3,4に形成されたカム溝38,48は、奇数層用リングベルト3と偶数層用リングベルト4とで方向が異なるばかりではなく、対応するコイル層の深さによって軸長方向の寸法も順次異なっている。なぜならば、前述のように、順次にコイル層が深く(外周側に)なり半径位置が大きくなるにつれて、コイルセグメント端部の曲げ捩り加工の際に生じる変形の深さが順次深くなっていくからである。
【0138】
また、再び図3に示すように、奇数層駆動軸25および偶数層駆動軸26のうち、各駆動ピン251,261が植えられている部分は、各リングベルト3,4の上昇に従って上昇することができるように、軸長方向にスライド可能に軸支されている。すなわち、奇数層駆動軸25および偶数層駆動軸26のうち基端部に対し、各駆動ピン251,261が植えられた両駆動軸25,26の各作動部は、スプライン(図略)を介し軸長方向に沿って伸縮可能に接続されている。
【0139】
さらに、同軸反転駆動装置2は、両リングベルト3,4を同軸反転させることに伴って両リングベルト3,4を軸長方向に押圧し、両リングベルト3,4をステータコア8に向かって所定ストロークだけ移動させる補助押圧手段(全体構成は図略)をもつ。補助押圧手段は、曲げ捩り成形工程の後半で、前述のスライド手段の作用を補助して、両リングベルト3,4を軸長方向に押し上げる作用をもつ。この補助押圧手段は、図15に示すように、各リングベルト3,4の下端部に当接する三本の押し上げピン52と、これらの押し上げピン52を揃って上方へ押圧付勢するスプリング(図略)とをもつ。
【0140】
ここで、押し上げピン52の駆動手段にスプリングを採用して、両駆動軸25,26と同様に入力軸21から駆動される機構を採用しなかったのは、曲げ捩り成形工程の後半部、特に最後の付近で入力軸21の回転数に対する仕事量が大きくなるからである。それゆえ、機械的に入力軸21から駆動されて押し上げピン52が作動するのでは、カム機構を使った前述のスライド手段と同様に、曲げ捩り成形工程のうち最終過程に近づくにつれて、徐々に動きが重くなっていってしまう。その結果、入力軸21に要求される必要トルクが大きくなって、同軸反転駆動装置2に無理な負荷がかかってしまうようになるので、機械的に押し上げピン52を同軸反転駆動装置2に連動させる手段は採用を控えた。
【0141】
(実施例1における製造装置の作用)
本実施例としての「コイルセグメント端部の並行曲げ装置」1は、以上のように構成されているので、以下のように作用する。
【0142】
すなわち、本実施例の並行曲げ装置1は、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工を、図7に示すように、以下のステップからなる過程に沿って行う作用をもつ。
・ステップS1:回動角度ゼロで初期状態にある並行曲げ装置1のうちワーク置き台71へステータコア8を設置(図8参照)
・ステップS2:ステータコア8の各スロット80および両リングベルト3,4の保持溝30,40へ整列したコイルセグメント9を挿置(図9参照)
・ステップS3:カフスサポート72をコイルセグメント端部の基端部の間に挿入(図13参照)
・ステップS4:コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工(図13参照)
・ステップS5:開放端部91,92が曲げ捩り成形されたコイルセグメント9一式がスロット80に挿置されたステータコア8(図2(a)〜(b)参照)を搬出
・ステップS6:並行曲げ装置1を初期状態に戻す(図3参照)
以上の各ステップが順に行われると、並行曲げ装置1は再び初期状態に戻っており、次のワークたるステータコア8およびコイルセグメント9に対して、同様の作用を繰り返すことができるようになっている。
【0143】
先ず、ステップ1では、本実施例の並行曲げ装置1は、初期状態に設定されている。初期状態とは、再び図4に示すように、両リングベルト3,4の回転移動がゼロであり、両リングベルト3,4のカム溝38,48のうち最上部にカム用固定ピン51が嵌っている状態である。この状態では、両リングベルト3,4は軸長方向の可動範囲いっぱいに下方に下がっている。すなわち、ステータコア8に挿置されたコイルセグメント9と係合できるように、両リングベルト3,4の上縁部31,41は、内周側から外周側へいくに従って下がっており、傘状の段差をもっている(図略)。
【0144】
そして、並行曲げ装置11は、図8に示すように、両リングベルト3,4の直上にワーク置き台71を有する。ここで、ワーク置き台71には適切な凹凸が形成されていて、ワーク置き台71の形状に合わせてステータコア8を設置すれば、ステータコア8は軸心の位置も方向も、両リングベルト3,4と同軸になり、位置も角度も適正に設定されるようになっている。
【0145】
次に、ステップ2で、完成状態ではセグメント型コイルを形成すべく、再び図9に示すように、多数のコイルセグメント9の一式が整列させられて、ステータコア8に形成された所定数のスロット80の中に挿置される。すると、コイルセグメント端部の先端部93,94は、位置合わせされている両リングベルト3,4の上縁部31,41にある保持溝30,40に嵌り込む。
【0146】
すなわち、スロット80内の奇数番目のコイル層から突出した多数の奇数層開放端部91の先端部93が、それぞれ奇数層用リングベルト3の保持溝30(図4参照)に嵌り込む。同様に、コアスロット80内の偶数番目のコイル層から突出した多数の偶数層開放端部92の先端部94は、それぞれ偶数層用リングベルト4の保持溝40に嵌り込む。
【0147】
ここで、各コイルセグメント9は、前述のように略U字形状をしたものである。それゆえ、ステータコア8から下方に突出した一方の開放端部91,92だけが、本実施例の並行曲げ装置1によって曲げ捩り成形されるようになっており、逆に上方に突出しているコイルセグメント9のターン部には、特に成形加工は施されない。
【0148】
また、本実施例の並行曲げ装置1では、コイルセグメント端部の先端部93,94を両リングベルト3,4の保持溝30,40に嵌め込むことが、大きな特徴になっている。すなわち、従来技術の項で言及したいずれの特許文献の技術によっても、曲げ捩り成形装置の作用部には、コイルセグメント端部の先端部93,94を四方から囲む矩形の孔が必要であった。しかし、本実施例の並行曲げ装置1では、両リングベルト3,4の上縁部31,41に形成された突出部32,42の間に形成された保持溝30,40(図4参照)で事足りる。すなわち、コイルセグメント端部の先端部93,94には、両リングベルト3,4の保持溝30,40内で突出部32,42に挟持されるだけで、後述する曲げ捩り成形の間に十分な保持作用が得られる。このことは、発明者が、本実施例の並行曲げ装置1を試作し、実際にコイルセグメント端部の曲げ捩り成形試験をしてみて初めて分かったことであり、新しい知見である。
【0149】
その結果、両リングベルト3,4の上縁部31,41には、矩形の孔を形成する難しい加工をする必要がなくなった。すなわち、再び図4に示すように、鋼板を単に打ち抜き加工して丸め溶接するだけで、容易かつ安価に両リングベルト3,4を製造することができるようになった。
【0150】
それゆえ、本実施例の並行曲げ装置1によれば、両リングベルト3,4の製造に要する費用が大幅に低減されて、その分だけでもすでに設備投資が安価になっている。そればかりではなく、従来技術とは異なって、両リングベルト3,4の半径方向の幅を、コイルセグメント端部のそれよりも大きく取る必要がなくなり、コイルセグメント端部を半径方向により密に配設することができるようになった。その結果、互いに接続されるべきコイルセグメント端部の先端部93,94の間隔が半径方向ではほとんどなくなり、これらの先端同士の溶接がより容易になった。
【0151】
しかる後、ステップ3で、図13に示すように、スロット80と同数のカフスサポート72が、両開放端部91,92の間に全周囲から挿入される。カフスサポート72とその駆動装置(図略)は、ワーク置き台71(図9参照)に付設されている。カフスサポート72は、ステータコア8の下面に接触して挿置され、ステータコア8の下端部を形成している電磁鋼板を曲げ捩り成形の際に保護するとともに、ステータコア8から突出した開放端部91,92の根本部96の曲げを適正に行う作用をもつ。
【0152】
さて、この状態では、前述のように、奇数層用リングベルト3の全てと偶数層用リングベルト4の全てとが、互いに同軸的に交互に配設されて、同軸反転駆動装置2に支承されている。そして、各コイルセグメント9がもつ一対の開放端部91,92の先端部93,94は、それぞれ、両リングベルト3,4の各突出部32,42に周方向に挟持された状態で、両リングベルト3,4の保持溝30,40に保持されている。
【0153】
さて、これで準備が整ったので、ステップS4では、いよいよコイルセグメント端部の曲げ捩り成形が行われる。
【0154】
すなわち、同軸反転駆動装置2が、奇数層用リングベルト3の全て(前者)と、偶数層用リングベルト4の全て(後者)とを、並行して同じ回転角度だけ同軸反転させる。すると、前者3と後者4とが、所定の同じ角度だけ反対方向に回動するので、両者3,4に保持されたコイルセグメント9の奇数層開放端部91と偶数層開放端部92とは、互いにステータコア8の周方向に沿って反対方向に曲げ捩り成形される。
【0155】
もちろん、この際に、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形が進行するのに伴って、スライド手段5の作用により各リングベルト3,4がそれぞれ適正距離だけせり上がる。それゆえ、全てのコイルセグメント9をスロット80内に保持しているステータコア8と、その各開放端部91,92の先端部93,94を上縁部31,41の保持溝30,40で保持している両リングベルト3,4との間は縮まる。すなわち、ステータコア8と両リングベルト3,4のそれぞれとの距離は、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形に伴って、各コイル層毎に無理なく適正に縮まるようになっている。
【0156】
ここで、同じくステップS4に当たるコイルセグメント端部を曲げ捩り成形する過程について、より具体的に詳しく説明する。この過程において、同軸反転駆動装置2および両リングベルト3,4と、スライド手段とは、図4、図5および図6と、再び図5との順で状態が変化していく。これらの図面のうち、図4は両リングベルト3,4のそれぞれの回動角度が0°の初期状態を示し、図5は回動角度が22.5°で曲げ捩り成形過程の完了状態を示し、図6は回動角度が25°のオーバーシュート状態を示す。
【0157】
すなわち、両リングベルト3,4は、コイルセグメント9の開放端部91,92を再び図2(a)〜(b)に示すように曲げ捩り成形するのが目的で作動する。そして、曲げ捩り成形が目的とする周方向への曲げ捩り成形角度は、再び図5に示すように、22.5°である。しかし、銅材からなるコイルセグメント9の開放端部91,92は、曲げ捩り変形に対していくらかスプリングバックすることを考慮して曲げ捩り成形する必要がある。そこで、両リングベルト3,4は、図6に示すようにいったん成形目標とする22.5°を過ぎて25°にまで回動した後に、少し逆転し、再び図5に示すように22.5°にまで戻る。つまり、同軸反転駆動装置2の入力軸21(図3参照)を駆動するステッピング・モータ(図略)のシーケンス制御は、このような順で両リングベルト3,4が適正な回動角度を取って同軸反転するように設定されている。
【0158】
先ず、奇数層用リングベルト3に注目して、再び図4ないし図6を参照して説明する。すなわち、奇数層駆動軸25が回転駆動されると、奇数層駆動軸25(図3参照)から突出した上下三本ずつの奇数層駆動ピン251が奇数層駆動軸25と一緒に回動する。ここで、各奇数層駆動ピン251は、その途中で両リングベルト3,4を貫通しているが、全ての奇数層用リングベルト3には、その係止孔36に嵌って係止している一方、全ての偶数層用リングベルト4に対しては、その逃がし溝47に嵌って所定範囲で回動自在になっている。それゆえ、奇数層駆動軸25の回転に伴い奇数層駆動ピン251が回動すると、奇数層駆動ピン251に係止された全ての奇数層用リングベルト3は、奇数層駆動ピン251とともに奇数層駆動軸25の回転に伴って回動する。
【0159】
次に、偶数層用リングベルト4に注目して、同じく図4ないし図6を参照して説明する。すなわち、偶数層駆動軸26(図3参照)が、奇数層駆動軸25とは逆方向に回転駆動されると、偶数層駆動軸26から突出した複数の偶数層駆動ピン261も偶数層駆動軸26と一緒に回動する。ここで、各偶数層駆動ピン261は、その途中で両リングベルト3,4を貫通しているが、全ての偶数層用リングベルト4には、その係止孔46に嵌って係止している一方、全ての奇数層用リングベルト3に対しては、その逃がし溝37に嵌って所定範囲で回動自在になっている。それゆえ、偶数層駆動軸26の回転に伴い偶数層駆動ピン261が回動すると、偶数層駆動ピン261に係止された全ての偶数層用リングベルト4は、偶数層駆動ピン261とともに偶数層駆動軸26の回転に伴って回動する。
【0160】
すなわち、奇数層駆動軸25と偶数層駆動軸26とが同じ角度だけ同軸反転すると、これに伴い、奇数層駆動ピン251と偶数層駆動ピン261とを介して、奇数層用リングベルト3の全てと偶数層用リングベルト4の全てとが、それぞれ同じ角度だけ同軸反転する。ここで、同軸反転が可能な角度範囲は、両リングベルト3,4の複数箇所にそれぞれ形成されている逃がし溝が周方向に延在する幅によって、0°から25°までに制限されている。
【0161】
一方、スライド手段5は、コイルセグメント端部を曲げ捩り成形する過程で、次のように作用する。
【0162】
すなわち、それぞれ三本のカム用固定ピン51が貫通した状態で、全ての奇数層用リングベルト3と全ての偶数層用リングベルト4とが、奇数層駆動軸25および偶数層駆動軸26の回動に伴って同軸反転する。すると、各リングベルト3,4に形成されたカム溝38,48は、コイルセグメント端部の先端部93,94が曲げ捩り成形の際に描く軌跡に相当する形状をしているので、各リングベルト3,4が回動する際に、各リングベルト3,4は、その軌跡に沿って軸長方向にも移動する。その結果、一式のコイルセグメント9を保持したステータコア8がワーク置き台71に固定保持されていても、両リングベルト3,4の方から適正な軌跡を描いてステータコア8に接近する。それゆえ、コイルセグメント端部(両開放端部91,92)は、適正な軌跡を描いて所定の形状に曲げ捩り成形されるに至る。
【0163】
ここで、コイルセグメント端部の先端部93,94が描く適正な軌跡とは、図11に偶数層用リングベルト4の移動経路として例示するように、ほぼ円弧状の軌跡である。この円弧に近い移動経路が描く旋回角度は、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形角度によっていくらか異なる。繰り返すように、この移動経路に沿って両リングベルト3,4が回動しつつ上昇するように、各リングベルト3,4のカム溝38,48の形状は設定されている。
【0164】
さて、前述したが、図12に示すように、両リングベルト3,4の回動角度は同じであっても、各リングベルト3,4の上昇移動距離は、内周側よりも外周側(すなわちより深いコイル層)で大きくなっている。それゆえ、カム溝38,48の形状は、回動角度相当にするといずれのリングベルト3,4でも同じであるが、軸長方向にはより内周側のリングベルト3,4のカム溝38,48よりも、より外周側のカム溝38,48の方が長い。各カム溝38,48の軸長方向の長さは、対応するコイルセグメント端部の先端部が、曲げ捩り成形の際にステータコア8に押しつけられる軸長方向の移動距離に等しい。
【0165】
さらに、本実施例の並行曲げ装置1には、前述のように補助押圧手段50が付設されている。それゆえ、曲げ捩り成形の過程でカム溝38,48がリングベルト3,4を軸長方向に移動させる際に、例えば再び図5に示すように、曲げ捩り成形の最終段階付近で軸長方向の駆動力が不足した場合にも、不具合が起きないで済む。すなわち、本実施例の並行曲げ装置1では、カム溝38,48の摩擦力などの抵抗力が過大になってスライド手段5が途中で停止したり、スライド手段5のうち一部に無理な力がかかって変形してしまったりするような不都合が、防止される。
【0166】
なぜならば、補助押圧手段50が、再び図15に示すように、両リングベルト3,4の軸長方向にかかる押圧力を補助し、両リングベルト3,4をコアに向かって所定ストロークだけ無理なく移動させる作用をもつからである。したがって、両リングベルト3,4をステータコア8に向かって所定ストロークだけ無理なく移動させることができるので、機械的ないし力学的な不具合を回避することができる。
【0167】
このようなコイルセグメント端部の曲げ捩り成形に際し、コイルセグメント端部のうち各リングベルト3,4の保持溝30,40から突出する部分が、各リングベルト3,4の屈曲角部33,43に当接して曲げ変形させられて屈曲部95を形成する。その様子を図13および図14に、偶数層用リングベルト4の一つを例にとって示す。
【0168】
この際、各リングベルト3,4がもつ突出部32,42の屈曲角部33,43には、適度なアールが形成されているので、各コイルセグメント端部の屈曲部95は、ほぼ設計通りの曲率半径で屈曲されるに至る。また、両リングベルト3,4の上縁部31,41に形成された突出部32,42は、その屈曲角部33,43が適度に設計されたアールをもっており、従来技術の保持孔の縁部と異なって角張ってはいない。それゆえ、各コイルセグメント端部の屈曲部95では、屈曲角部33,43に当接して押し曲げられる際に、屈曲部95の内側面に傷が付いてその絶縁皮膜が損傷するような不都合がない。
【0169】
同様に、ステータコア8に接してコイルセグメント端部の間に挿入されたカフスサポート72が適正なアールをもった断面形状をしているので、両開放端部91,92の根本付近の屈曲部96においても同様の作用効果が得られる。すなわち、カフスサポート72が適度なアールをもっており、角張ってはいないので、各コイルセグメント端部の屈曲部95のうち内側面に傷が付いてその絶縁皮膜や絶縁紙81(図1参照)が損傷するような不都合がない。
【0170】
その結果、コイルセグメント端部ないし両開放端部91,92において、絶縁不良が起こることが防止され、曲げ捩り成形の結果製造されるコイルエンドでの絶縁性に関する信頼性が向上する。
【0171】
さて、以上のようにしてコイルセグメント端部が曲げ捩り成形されると、奇数層開放端部91が、ステータコア8の周方向の一方に所定角度(本実施例では22.5°)だけ曲げ捩り成形される。これと並行して、逆に偶数層開放端部92は、周方向の他方に同じ所定角度だけ曲げ捩り成形される。その結果、再び図2(a)〜(b)に示すように、各コイルセグメントの開放端部91,92を所定のコイル層間で互いに溶接することができるように、コイルセグメント端部は適正に曲げ捩り成形されるに至る。
【0172】
最後に、再び図7に示すように、ステップS5では、曲げ捩り成形が完了したコイルセグメント端部をもつステータコア8がワーク置き台71から取り外され、自動搬出装置(図略)により搬出される。しかる後、ステップS6では、同軸反転駆動装置2が両駆動軸25,26を回動角度ゼロにまで巻き戻し、両リングベルト3,4も初期位置にまで戻って、本実施例の並行曲げ装置1は初期状態に復帰する。すなわち、次のステータコア8が搬入されて、以上のステップS1からステップS6に至る工程を繰り返すことができるように、本実施例の並行曲げ装置1は初期状態に復帰する。
【0173】
こうして、本実施例の並行曲げ装置1は、次々とコイルセグメント端部の曲げ捩り成形を行うことができる。
【0174】
(本実施例における製造装置の効果)
以上のように、同軸反転駆動装置2は、再び図3に示すように、反転ギヤ24による二重反転機構をもっているので、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形に要する駆動動力源は、単一のステッピング・モータ(図略)で済む。また、同モータの制御を行う駆動電源装置(図略)も単一で済ませることができる。
【0175】
また、コイルセグメント端部のうち、奇数層開放端部91の全てと偶数層開放端部92の全てとが、前述のように並行して曲げ捩り成形されるので、全てのコイルセグメント端部の曲げ捩り加工にかかる加工時間は、従来技術に比べ極めて短くて済む。その結果、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形に要する加工工数が低減し、従来技術よりもずっと加工時間が短縮されるので、加工効率が向上して加工コストが低減される。
【0176】
さらに、本実施例の並行曲げ装置1では、従来技術とは異なって、前述のように駆動動力源が単一で済むばかりではなく、別途に角度センサや、コントローラ及び付帯するインターフェースも必要ではない。それゆえ、本実施例の並行曲げ装置1では、従来技術の装置よりも装置単価を大幅に安価にすることもできる。また、従来技術よりも部品点数が少なくて済み、特殊なコントローラやそれに付帯するインターフェースおよび多数の配線も必要ないので、装置自体がもつ信頼性が向上する。
【0177】
したがって、本実施例の並行曲げ装置1によれば、従来技術よりも構成がずっと簡素であるから、当該装置の価格がずっと低廉になるうえに、当該装置の信頼性も向上する。また、当該装置単体に要する設備投資の低廉化に加えて、曲げ捩り加工工数が低減されて短時間で加工でき、生産効率が向上するので、回転電機の製造ラインに必要な装置の個数も減り、さらなる設備投資の低廉化ができるという効果がある。その結果、設備投資ばかりではなく、製品についてもコストダウンができるようになる。
【0178】
そればかりではなく、本実施例の並行曲げ装置1では、複数の奇数層用リングベルト3と複数の偶数層用リングベルト4とを同軸反転させる機構が、極めて簡素な構成で実現されている。たとえば、奇数層駆動軸25と偶数層駆動軸26とを同軸に配設することは、高度な加工技術や組立技術を必要とはしていない。また、複数の奇数層駆動ピン251を奇数層駆動軸25に植え付けたり、複数の偶数層駆動ピン261を偶数層駆動軸26に植え付けたりすることも、高度な加工技術や組立技術を必要とはしていない。
【0179】
さらに、カム用固定ピン51や押し上げピン52についても、高度な加工技術や組立技術が要求されない点は同様である。
【0180】
そして、奇数層用リングベルト3と偶数層用リングベルト4も、鋼板打ち抜き加工と丸め溶接加工とで製造することができる。すなわち、各リングベルト3,4には、それぞれの所定の位置に所定の大きさおよび形状で突出部32,42および保持溝30,40と、係止孔36,46および逃がし溝37,47と、カム溝38,48および当接部39,49とを、鋼板打ち抜き加工で形成することができる。また、おおむね長方形の外形をした鋼板の丸め溶接加工は、回転電機のフレームなどの製造で広く普及した加工方法である。それゆえ、両リングベルト3,4は、容易かつ安価に製造することができる。
【0181】
したがって、本実施例の並行曲げ装置1を製作するには、高度な加工技術を必要とせずに、極めて簡素な機構でより安価に同軸反転駆動装置2および両リングベルト3,4を製造することができる。
【0182】
以上を簡潔にまとめると、本実施例の並行曲げ装置1は、装置単価がいっそう安価になるとともにその信頼性も向上しており、さらに生産性も向上するという効果がある。
【0183】
(実施例1における製造方法)
本発明の実施例1としての「コイルセグメント端部の並行曲げ方法」は、前述の実施例1としての並行曲げ装置1の作用に相当する。
【0184】
すなわち、本実施例の並行曲げ方法は、回転電機のステータコア8(図9参照)に挿置された略U字形状のコイルセグメント9の開放端部91,92を、適正に曲げ捩り成形するセグメント型コイルの製造方法である。曲げ捩り成形する目的は、再び図2(a)〜(b)に示すように、各開放端部91,92を所定のコイル層間で互いに接合することができるようにすることである。ここで、各コイルセグメント9は、セグメント型コイルを形成すべく、ステータコア8に形成された複数のスロット80内に、十二のコイル層を形成するように重ねて挿置されている。そして、開放端部91,92は、前述のコイルセグメント9の一部であり、ステータコア8から軸長方向に突出している。
【0185】
本実施例の並行曲げ方法は、同じく図2(a)〜(b)に示すように、ステータコア8のスロット90に保持されたコイルセグメント9の開放端部91,92を曲げ捩り成形するセグメント型コイルの製造方法である。すなわち、本実施例の並行曲げ方法では、コイルセグメント9のうち奇数番目のコイル層を形成している脚部ないし直線部の突出部分である奇数層開放端部91を、回転電機の周方向の一方に曲げ捩り成形する。その一方で、コイルセグメント9の偶数番目のコイル層を形成している脚部ないし直線部の突出部分である偶数層開放端部92を、回転電機の周方向の他方に曲げ捩り成形する。そして、各コイルセグメント9の開放端部91,92を、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形する。
【0186】
本実施例の並行曲げ方法の特徴は、奇数層開放端部91の全てと偶数層開放端部92の全てとを、互いに逆の回転方向に回動させて少なくとも中間の主要部を周方向に斜めに傾け、これらの開放端部91,92の全てを並行して曲げ捩り成形することである。それゆえ、本手段の製造方法を、「コイルセグメント端部の並行曲げ方法」と称する。ただし、簡略化のために単に「並行曲げ方法」と呼ぶことが多い。
【0187】
なお、本実施例の並行曲げ方法における各用語の定義は、前述した本実施例の並行曲げ装置1における用語の定義と同様である。
【0188】
本実施例の並行曲げ方法では、奇数層開放端部91の全てと、偶数層開放端部92の全てとが、並行して互いに逆の回転方向に回動させられて、再び図13に偶数層開放端部92の一層分を例示するように、適正に曲げ捩り成形される。すなわち、奇数層開放端部91の全てが、互いに同じ角度だけ回動させられて曲げ捩り成形され、同時に、偶数層開放端部92の全てが、互いに同じ角度だけ逆方向に回動させられて曲げ捩り成形される。その際、各コイル層に対応する各開放端部91,92の変形経路に沿って、その先端部93,94が軸長方向にも移動して適正に上昇する。
【0189】
また、奇数層開放端部91と偶数層開放端部92とは、互いに同期して同じ角度だけ同軸に曲げ捩り成形させられ、曲げ捩り成形の全過程で両開放端部91,92の形状は互いに同期して変形させられる。もちろん、曲げ捩り成形に際して生じる各コイルセグメント端部のスプリングバックの分も考慮して、曲げ捩り成形の深さないしストロークが設定されている。
【0190】
その結果、再び図14に偶数層開放端部92だけを例示するように、多数の奇数層開放端部91および偶数層開放端部92からなるコイルセグメント端部の全てが、並行して曲げ捩り成形され、中間の主要部が周方向に斜めに傾いた所定形状になる。すなわち、本実施例の並行曲げ方法が完了すると、再び図2(a)〜(b)に示すように、全てのコイルセグメントの開放端部91,92が、所定のコイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形されるに至る。
【0191】
本実施例の並行曲げ方法では、前述のように、奇数層開放端部91の全てと偶数層開放端部92の全てとが、並行して曲げ捩り成形されるので、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工にかかる時間ないし工数が低減される。すなわち、従来技術の項で取り上げた両特許文献に記載された曲げ捩り成形方法よりも、本実施例の並行曲げ方法の方が、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工にかかる時間が低減されており、その結果、加工コストが低減されている。
【0192】
したがって、本実施例の並行曲げ方法によれば、従来の両特許文献に記載された曲げ捩り成形方法よりも、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工にかかる時間が低減され、その加工コストが低減されるという効果がある。
【0193】
(実施例1の効果)
以上詳述したように、本実施例としての「コイルセグメント端部の並行曲げ装置」1および「コイルセグメント端部の並行曲げ方法」によれば、以下のように大きく分けて五つの効果が得られる。
【0194】
第一に、本実施例の並行曲げ装置1は、前述のように回転電機の生産設備たる本装置自体が安価であるから、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工に関する設備投資において、大幅なコストダウン効果を挙げることができる。
【0195】
なぜならば、前述のように、本実施例の並行曲げ装置1の構成は、従来技術よりも大幅に簡素であって、各リングベルト3,4を始めとする各部材の製造には高度な加工技術が要求されないので、装置価格が高価になる要素ないし原因がほとんどないからである。
【0196】
第二に、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工を行う製造装置の信頼性が向上するという効果がある。
【0197】
なぜならば、前述のように、本実施例の並行曲げ装置1は少ない部品点数から構成されており、装置構成が極めて簡素であって、故障する可能性がある部分が少ないからである。
【0198】
第三に、本実施例の並行曲げ装置1にかかる装置価格だけではなく、製品たる回転電機の製品価格をも低廉化することができるという効果がある。
【0199】
なぜならば、全てのコイルセグメント端部を並行して曲げ捩り成形することができるので、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形加工に関する加工時間を従来よりもずっと短縮することができ、生産効率が向上するからである。また、前述のように本実施例の並行曲げ装置1の価格が安価であるばかりではなく、当該回転電機を大量生産する場合には、生産ラインに並設すべき並行曲げ装置1の数が少なくて済むので、設備投資が大幅に削減され、その分も製品のコストダウンに寄与するからである。
【0200】
第四に、曲げ捩り成形加工されたコイルエンドでの絶縁性が高まり、製品たる回転電機の信頼性がより向上するという効果がある。
【0201】
なぜならば、無理な応力集中を生じることなく、各コイルセグメント端部の屈曲部にほぼ設計者の狙い通りの曲率半径をつけることができるからである。そしてその結果、完成したセグメント型コイルのうち、曲げ捩り成形されて互いに接続されるコイルエンドにおいて、屈曲部95に傷が付いたり、その絶縁皮膜が剥がれたり、絶縁紙81が破れたりすることがない。その結果、各コイルセグメント9がもつ開放端部91,92の間や、各コイルセグメント9とステータコア8の電磁鋼板との間で、短絡が生じることが防止されている。
【0202】
第五に、互いに接続されるべく曲げ捩り成形されたコイルセグメント9の両開放端部91,92は、互いに半径方向により近接しており、その先端同士の溶接が容易かつ確実になるという効果がある。
【0203】
なぜならば、各リングベルト3,4の厚みは、保持溝30,40で両開放端部91,92の先端部93,94を保持しており、両従来技術の装置の対応する作用部材(端部に保持孔をもつ)の厚さよりも薄いからである。それゆえ、各リングベルト3,4の厚みは、対応するコイル層のコイルセグメント9がもつ半径方向の厚みと同等であって、両開放端部91,92の間に余計な隙間が生じることがなく、溶接が容易かつ確実になる。その結果、製造されるセグメント型コイルの信頼性もさらに向上するという効果がある。
【0204】
(実施例1の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、図18に示すように、ワーク置き台71を含む一式のコア固定装置7をもつ並行曲げ装置1を実施することが可能である。
【0205】
本変形態様の並行曲げ装置1では、図18を実施例1の並行曲げ装置1を示す図9と対比すれば明らかなように、ワーク置き台71に、複数の支柱74およびガイド部材75に支持された天板73が付設されている。支柱74には、天板73をワーク置き台71に対して所定の高さに保持する作用があり、ガイド部材75には、天板73の水平面内の位置をステータコア8に対して合わせる作用がある。そして、ガイド部材75がステータコア8の内周面に沿って挿入された後、図19に要部を示すように、ガイド部材75によってガイドされつつ天板73は所定の高さにまで降ろされる。
【0206】
その結果、天板73の下面はコイルセグメント9の頂部に当接し、コイルセグメント9はもはや後退して抜けることがなくなる。すなわち、コイルセグメント端部の曲げ捩り加工に際して、両リングベルト3,4からコイルセグメント9に上方への圧縮力がかかっても、天板73がコイルセグメント9を押さえているので、コイルセグメント9が上方へ後退するような不都合は防止されている。そればかりではなく、両リングベルト3,4からコイルセグメント9にかかる圧縮力が天板73によって受け止められるので、このような圧縮力によるステータコア8の変形も防止されるに至る。
【0207】
したがって、本変形態様によれば、前述の実施例1の効果に加えて、コイルセグメント9の曲げ捩り成形に際して、コイルセグメント9の後退やステータコア8の変形が、完全に防止されるという効果がある。
【0208】
なお、コア固定装置7の設定は、ステータコア8に全てのコイルセグメント9を挿入した後、カフスサポート72の挿入と相前後して(または並行して)行われる。すなわち、コア固定装置7の設定は、図7に示す工程のうち、ステップS2に当たるコイルセグメント9の挿入と、ステップS4に当たるコイルセグメント端部の曲げ捩り成形との間に、ステップS3のカフスサポート72の取付けと相前後して行われる。
【0209】
(実施例1の変形態様2)
前述の実施例1では、図20に示すように、リングベルト3,4の突出部32,42の間から、コイルセグメント端部の先端部93,94が半径方向にずれて突出することは、設定が悪いと絶対にないことではなかった。そして、万が一にもこのようなことがあると、この先端部93,94は、曲げ捩り成形に際して隣り合うリングベルト3,4の突出部32,42に接触して干渉し、干渉傷が付くこともあり得た。
【0210】
そこで、本実施例の変形態様2として、図21に要部断面を示すように、各リングベルト3,4の間に配設された11枚の円筒状のシムリング61をさらに有する並行曲げ装置1を実施することができる。シムリング61は、各奇数層用リングベルト3と各偶数層用リングベルト4との間に配設されて両者3,4の間を仕切り、軸長方向の一部で両リングベルト3,4の保持溝30,40の間を仕切っている。これらのシムリング61は、同心円状に配設され段階的に直径が互いに異なる薄いステンレス鋼製のリング状ベルトであって、摩擦係数を低減するためにそれらの表裏両面にはテフロン(登録商標)加工がなされている。
【0211】
ここで、シムリング22は、図22に示すように、その全体が内側および外側のリングベルト3,4に収まっている。そして、両リングベルト3,4の各保持溝30,40を形成している各突出部32,42の内周面および外周面は、その軸長方向の長さのうち約半分にわたって、シムリング61に接している。また、全てのリングベルト3,4の間に、それぞれシムリング61が挿置されており、各シムリング61の間が薄いシムリング61によって仕切られている。
【0212】
本変形態様では、前述のように、各奇数層用リングベルト3と各偶数層用リングベルト4との間の隙間に、円筒状のシムリング61が挿置されて、その隙間のうち半分程度を塞いでいる。それゆえ、再び図21に示すように、コイルセグメント端部の先端部93,94が、リングベルト3,4の突出部32,42の間から半径方向にずれて突出することが抑制されている。同様に、コイルセグメント端部の先端部93,94の間から、リングベルト3,4の突出部32,42が半径方向に変位したり変形したりして突出することも防止されている。
【0213】
さらに、たとえいくらかリングベルト3,4の突出部32,42の間から、コイルセグメント端部の先端部93,94が半径方向にずれて突出することがあっても、この先端部93,94は、シムリング61に遮られて隣り合うリングベルト3,4の突出部32,42に接触することがない。逆に言えば、リングベルト3,4の突出部32,42は、シムリング61に遮られて、隣り合うリングベルト3,4に嵌合したコイルセグメント9の先端部93,94に接触することがない。同様に、互いに隣り合うリングベルト3,4に先端部93,94が保持されたコイルセグメント9の開放端部91,92同士も、シムリング61に遮られて、互いに接触することあり得ない。
【0214】
その結果、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形の過程で、コイルセグメント9の開放端部91,92に、半径方向に隣り合う開放端部91,92の先端部93,94や、リングベルト3,4の突出部32,42の角や縁が当たることがない。それゆえ、このような接触によってコイルセグメント9の開放端部91,92の表面に形成された絶縁被膜が損傷してしまうことが防止されており、絶縁性が向上する。
【0215】
したがって、本変形態様によれば、前述の実施例1の効果に加えて、完成したセグメント型コイルのうち、曲げ捩り成形されて互いに接続されるコイルエンドにおいて、よりいっそう絶縁性が向上するという効果がある。
【0216】
(実施例1の変形態様3)
本実施例の変形態様3として、前述の変形態様2よりもいっそう、セグメント型コイルの溶接側コイルエンドで絶縁性が向上する並行曲げ装置1を実施することができる。
【0217】
本変形態様の並行曲げ装置1には、図23に示すように、両リングベルト3,4に二つの特徴がある。
【0218】
すなわち、本変形態様の第一の特徴は、前述の変形態様2に比べ、各リングベルト3,4の半径方向の厚さが、各コイルセグメント9の開放端部91,92(図略)の半径方向の厚さよりも薄いことである。それゆえ、両リングベルト3,4の間の隙間もある程度は大きくなり、そこに変形態様2と同様のシムリング61が挿置されている。本変形態様の第二の特徴は、各リングベルト3,4の各突出部32,42がもつ各エッジ部(縁部ないし稜線部)および各角部には、丸み(アール)が形成されていることである。
【0219】
本変形態様では、前述の第一の特徴により、コイルセグメント端部のうち両リングベルト3,4の保持溝30,40に嵌合している先端部93,94でも、半径方向の厚さが当該リングベルト3,4の厚さよりも厚い。すると、コイルセグメント端部の先端部93,94が保持溝30,40に適正に嵌っていれば、両リングベルト3,4のうち保持溝30,40を形成している突出部32,42は、その内周面でも外周面でも、コイルセグメント端部の先端部93,94の外周面および内周面よりもいくらか引っ込んでいる。
【0220】
それゆえ、コイルセグメント端部の先端部93,94の位置が、当該リングベルト3,4の対して半径方向に少しずれることがあっても、コイルセグメント端部の先端部93,94の間から当該リングベルト3,4の突出部32,42が半径方向に突出することがない。その結果、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形の過程で、コイルセグメント9の先端部93,94に、半径方向に隣り合うリングベルト3,4の突出部32,42の角や縁が当たって、コイルセグメント端部の表面の絶縁被膜が損傷してしまうことが防止される。
【0221】
また、本変形態様では、前述の第二の特徴により、コイルセグメント端部の先端部93,94が、当該リングベルト3,4の保持溝30,40から半径方向にいくらかずれてしまった場合をも想定している。このような場合には、前述の実施例1では、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形の過程で、リングベルト3,4の突出部32,42が隣り合うコイル層のコイルセグメント9の先端部93,94に接触してしまうことがありえた。しかしながら、本変形態様では、前述のように、両リングベルト3,4がもつ突出部32,42の縁部や角部には、丸み付けが施されている。それゆえ、リングベルト3,4から半径方向にはみ出したコイルセグメント9の先端部93,94が、半径方向に隣り合うリングベルト3,4の突出部32,42の角や縁部に当たることがあっても、コイルセグメント端部の表面に形成されたエナメル絶縁被膜が損傷してしまうことは、やはり防止されている。
【0222】
したがって、本変形態様によれば、前述の実施例1の効果に加えて、完成したセグメント型コイルのうち、曲げ捩り成形されて互いに接続されるコイルエンドにおいて、よりいっそう絶縁性が向上するという効果がある。そしてこの効果は、前述の変形態様2よりも、いっそう大きい。
【0223】
(実施例1の変形態様4)
本実施例の変形態様4として、図24に示すように、前述の変形態様3において、コイルセグメント9のうち各コイル層間の開放端部91,92の間に、絶縁シート62を介在させる並行曲げ方法の実施も可能である。絶縁シート62は、絶縁性と耐熱性に優れた樹脂の薄いシートから形成されている。なお、曲げ捩り成形が完了した後の状態では、絶縁シート62の一部が、コイルセグメント9の先端部93,94の間にも、先端部93,94のうち溶接される部分を除いて介在していることが望ましい。
【0224】
本変形態様によれば、曲げ捩り成形の過程で、コイルセグメント9の開放端部91,92のうち、先端部93,94に傷が付かないだけではなく、中間部でも互いに摺接して傷が付くことがなくなる。さらに、コイルセグメント9の開放端部91,92のうち溶接部を除く大半の部分で、コイル層の間に絶縁シート62が介在して絶縁性が高まっている。
【0225】
したがって、本変形態様によれば、前述の実施例1の効果に加えて、完成したセグメント型コイルのうち、曲げ捩り成形されて互いに接続されるコイルエンドにおいて、よりいっそう絶縁性が向上するという効果がある。そしてこの効果は、前述の変形態様3よりも、さらにいっそう大きい。
【0226】
(実施例1の変形態様5)
本実施例の変形態様5として、図25に「新形状ライン」として実線で示すように、両リングベルト3,4の上縁部31,41に形成された突出部32,42のうちそれぞれの上縁部34,44が、円周上に一直線に並んで形成されている並行曲げ装置1を実施することができる。
【0227】
すなわち、前述の実施例1では、両リングベルト3,4がもつ各突出部32,42の上縁部34’,44’は、同じく図25に「元形状ライン」として二点鎖線で示すように、曲げ捩り成形時のコイルセグメント端部に沿って斜めに形成されていた。しかし、実施例1で用いたこれらの上縁部34’,44’には、コイルセグメント9の開放端部91,92は、それぞれ軽く接触するだけであって、上縁部34’,44’に支持されて開放端部91,92が成形されるわけではなかった。
【0228】
そこで、本変形態様では、各突出部32,42の上縁部34,44を、各リングベルト3,4の上端面を形成する円周線に沿った切り落とし端面で形成している。もちろん、屈曲角部33,43を含む角部にはアールが形成されており、コイルセグメント端部が保持溝30,40に挿入しやすく、かつ、曲げ捩り成形過程でコイルセグメント9の開放端部91,92に傷が付かないように配慮されている。このように、各突出部32,42の上縁部34,44を互いに一本の円周線上に形成することにより、両リングベルト3,4の形状がより簡素になって製造が容易になるばかりではなく、両リングベルト3,4を形成する鋼板材料の歩留まりも少し良くなる。
【0229】
したがって、本変形態様の並行曲げ装置1によれば、前述の実施例1と同等の効果が得られながら、並行曲げ装置1の製造がさらに容易となり、装置単価がより安価になるという効果がある。
【0230】
(実施例1の変形態様6)
再び図3に示すように最内周の奇数層用リングベルト3と偶数層駆動軸26との間に隙間があると、両リングベルト3,4や両駆動ピン251,261の間の遊びや弾性変形により、両駆動軸25,26に対する両リングベルト3,4の同軸性が低下することがありうる。そうすると、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形精度に影響が出る恐れがあるので、このような同軸性の低下はなるべく避けたいものである。
【0231】
そこで、本実施例の変形態様6として、最内周の奇数層用リングベルト3と偶数層駆動軸26との間に、両者3,26の間隔を適正に保つ二枚一組のスペーサ(図略)が挿置されている並行曲げ装置1を実施することができる。これらのスペーサは、同形同寸の中空円盤状をしており、上下に分かれて配設されている。そして、各スペーサの内周面は、偶数層駆動軸26の外周面に摺接しているのに対し、各スペーサの外周面は、最内周の奇数層用リングベルト3の内周面に嵌合している。
【0232】
本変形態様では、両スペーサが、最内周の奇数層用リングベルト3と偶数層駆動軸26との間隔を適正に保つので、結果的に両リングベルト3,4の全てと両駆動軸25,26との間で高い同軸性が得られるようになる。それゆえ、全てのコイルセグメント9とステータコア8とに対して、全てのリングベルト3,4の同軸性が高まり、コイルセグメント端部を曲げ捩り成形する際の加工精度が向上するうえに、曲げ捩り成形に伴う絶縁皮膜の剥がれなどの不具合も起こりにくくなる。
【0233】
したがって、本変形態様の並行曲げ装置1によれば、前述の実施例1の効果に加えて、コイルセグメント端部を曲げ捩り成形する際の加工精度および信頼性がさらに向上するという効果がある。
【0234】
なお、同軸性を確保するための別案としては、再び図8に模式的に示すように、最内周の奇数層用リングベルト3と偶数層駆動軸26との間隔をほとんどなくしてしまう変形態様もありうる。このような変形態様では、最内周の奇数層用リングベルト3と偶数層駆動軸26とが互いに直接摺接しているので、両リングベルト3,4と両駆動軸25,26との間で、スペーサを使わずとも高い同軸性が得られる。ただし、最内周の奇数層用リングベルト3の内径が、偶数層駆動軸26の外径でほぼ一義的に決まってしまうので、駆動ピン251,261を抜いて両リングベルト3,4に交換し、寸法の異なる別機種のステータを製造するようなフレキシビリティーは損なわれてしまう。
【0235】
逆に言えば、前述の実施例1およびその各変形態様では、駆動ピン251,261を抜いて両リングベルト3,4に交換し、寸法の異なる別機種のステータを製造することができる。すなわち、本実施例およびその変形態様には、このようなフレキシビリティーがある。
【0236】
(実施例1の変形態様7)
本実施例の変形態様7として、前述の実施例1とは異なって、同軸反転駆動装置2に中継軸23や反転ギヤ24などからなる機械的な反転機構がなく、その代わりに一対のステッピング・モータ(図略)が備わっている並行曲げ装置1の実施が可能である。
【0237】
本変形態様では、一方のステッピング・モータは、奇数層駆動軸25を回転駆動するためのモータであり、他方のステッピング・モータは、偶数層駆動軸26を回転駆動するためのモータである。両モータは、同一の駆動電源装置(図略)によって同期して駆動されるので、奇数層駆動軸25と偶数層駆動軸26とは、実施例1と同様に同期して同軸反転する。本変形態様の並行曲げ装置1は、機械的な反転機構がない分だけ構成が簡素であり、その分だけ小型化ができるうえに装置単価が安価になる。また、ステッピング・モータを二つ使うので、ステッピング・モータの一個当たりに要求される出力が半減し、実施例1よりも小型で安価なモータで済む分だけ、やはり装置単価が安価になる。
【0238】
なお、両ステッピング・モータは、互いに逆転させる必要は必ずしもなく、互いに逆向きにして、二つの基端部ギヤ250,260のそれぞれに噛み合わせれば、全く同型のステッピング・モータを採用することができる。
【0239】
したがって、本変形態様の並行曲げ装置1によれば、前述の実施例1の効果に加えて、装置単価をよりいっそう安価にすることができるうえに、小型化も可能になるという効果がある。
【0240】
(実施例1の変形態様8)
本実施例の変形態様8として、両リングベルト3,4のカム溝38,48を所定幅だけカム用固定ピン51よりも太く形成し、各カム用固定ピン51の外周面に、それぞれのリングベルト3,4に相当する位置に十二個のベアリング(図略)を固定した並行曲げ装置1を実施することができる。各ベアリングの厚さは各リングベルト3,4の厚さよりもやや薄く、各ベアリングの内周面はカム用固定ピン51に固定されており、逆に外周面は両リングベルト3,4のカム溝38,48に緩み嵌めで嵌っている。ベアリングとしては、小型であるのでローラーベアリングないしニードルローラーベアリングがが最適であるが、ボールベアリングや、含油燒結金属からなるオイルレスベアリングなどを使用しても良い。
【0241】
本変形態様では、両リングベルト3,4のカム溝38,48とカム用固定ピン51との間の摩擦係数が大幅に低減するので、スライド手段5の作動に関する摩擦損失が低減される。その結果、スライド手段5が効率よく作動するようになるので、条件次第では押し上げピン52などをもつ補助押圧手段50を廃止して、並行曲げ装置1の構成を簡素化することができる。
【0242】
したがって、本変形態様の並行曲げ装置1によれば、前述の実施例1の効果に加えて、スライド手段5が効率よく作動するようになるので、望むらくは補助押圧手段50を略して並行曲げ装置1の構成を簡素化することができるという効果がある。
【0243】
(実施例1のその他の変形態様)
前述の実施例1に対して、以上の各種変形態様のうち組み合わせ可能なものを複合して適用した並行曲げ装置1の実施が可能であり、それぞれの組み合わせに特有の作用効果が得られる。
【0244】
[実施例2]
(実施例2の装置構成)
本発明の実施例2としての並行曲げ装置1は、図26に両リングベルト3,4の三分の一程度の幅の部分展開図を示すように、両リングベルト3,4の逃がし溝37,47および係止孔36,46に構成上の大きな特徴がある。すなわち、各リングベルト3,4にそれぞれ三つずつ形成された逃がし溝37,47および係止孔36,46が形成された両リングベルト3,4と、それぞれを貫通している各三本の両駆動ピン251,261とで、両リングベルト3,4をその回動角度に対応してそれぞれ適正な移動距離だけ軸長方向に移動させるスライド手段5が構成されている。
【0245】
ここで、各リングベルト3,4に形成された複数の逃がし溝37,47は、それぞれのリングベルト3,4で互いに同一の形状をしており、120°ピッチで形成されている。そして、各逃がし溝37,47の中を各駆動軸25,26が相対角度で50°まで回動できるようになっている。ここで、各逃がし溝37,47は、それぞれ、当該リングベルト3,4の保持溝30に嵌ったコイルセグメント開放端部91,92の先端部93,94が曲げ捩り成形の際に描く軌跡に対応する曲線形状をしている。それゆえ、逃がし溝37,47が曲がっていることにより生じるその軸長方向の長さは、コイルセグメント開放端部91,92の先端部93,94が曲げ捩り成形の際に軸長方向に縮められる長さに等しい。
【0246】
一方、各リングベルト3,4に形成された複数の係止孔36,46は、それぞれ少なくとも曲げ捩り成形の際に当該リングベルト3,4が軸長方向に移動する移動距離に相当する長さだけ、軸長方向に沿って長い長円形の形状をしている。そして、その長さは、前述の逃がし溝37,47が形成する軸長方向の長さに等しい。
【0247】
なお、両リングベルト3,4に形成された係止孔36,46および逃がし溝37,47がもつ軸長方向の長さは、コイルセグメント開放端部91,92の属するコイル層によって異なる。それゆえ、互いに隣り合う各リングベルト3,4のそれぞれについて、係止孔36,46および逃がし溝37,47がもつ軸長方向の長さは、段階的に異なっている。
【0248】
一方、全ての駆動ピン251,261の断面形状は、実施例1とは異なり、円形である。これは、緩い曲線で形成された逃がし溝37,47に無理なく摺接できるようにするためである。
【0249】
(実施例2の作用効果)
このようにして、両リングベルト3,4の係止孔36,46および逃がし溝37,47と両駆動軸25,26の駆動ピン251,261とにより、スライド手段5が形成されている。それゆえ、両駆動軸25,26が二重反転し、各駆動ピン251,261が25°ずつ反対側へ回動すると、逃がし溝37,47の形状に沿って両リングベルト3,4はそれぞれ適正な軌跡を描いて上昇する。両駆動軸25,26は、実施例1と同様に、バックリングを考慮してそれぞれ25°まで同期して二重反転した後に、所望の曲げ捩り成形角度である22.5°にまで後退する。
【0250】
こうして、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形が完了すると、本実施例の並行曲げ装置1からは、ステータコア8およびコイルセグメント9が取り外される。そして、次の曲げ捩り成形に備えて並行曲げ装置1は初期状態に復帰する。すなわち、駆動軸25,26は回動角度0°にまで戻り、両リングベルト3,4も元の位置に戻る。
【0251】
本実施例の並行曲げ装置1では、実施例1とは異なり、曲げ捩り成形に際して両駆動軸25,26のうち駆動ピン251,261を固定している部分が上方へ伸縮せずに済むので、両駆動軸25,26からスプラインを廃し、両駆動軸25,26の構成は至って簡素になる。
【0252】
また、実施例1のカム溝38,48の作用を、駆動ピン251,261の周方向の可動範囲が倍もある逃がし溝37,47が代替しているので、本実施例ではスライド手段5が発揮するリングベルト3,4を上方へ押し上げる作用は、実施例1よりもずっと大きくなる。
【0253】
すなわち、前述のように、本実施例の並行曲げ装置1では、各リングベルト3,4の長い各逃がし溝37,47が、実施例1における短いカム溝38,48に相当する作用をもつ。そして、両駆動ピン251,261のうち当該逃がし溝37,47を貫通している方が、実施例1のカム用固定ピン51に相当する作用をもつ。その結果、両リングベルト3,4の各々を、その回動角度に対応したそれぞれに適正な移動距離だけ、軸長方向に移動させるスライド手段5が形成されている。
【0254】
しかも、実施例1でのカム用固定ピン51に対する各カム溝38,48の移動角度に比べて、本実施例では両リングベルト3,4の各逃がし溝37,47の中で当該駆動ピン251,261が相対的に移動する角度は、二倍である。それゆえ、曲げ捩り成形過程の最後付近で、回動による周方向の駆動ピン251,261の移動距離に対して軸長方向の移動距離が増えてきても、実施例1に比べてずっと無理なくスライド手段5の作用が得られる。なぜならば、本実施例で逃がし溝37,47が周方向から軸長方向に立ち上がっている角度が、実施例1でカム溝38,48が立ち上がっている角度よりも、そのタンジェントが半分になるほど小さいので、過大な摩擦力が発生しないからである。したがって、本実施例の並行曲げ装置1では、実施例1に比べてスライド手段5の能力が格段に向上しているので、補助押圧手段50がなくても、スライド手段5に過大な負担がかかることはない。
【0255】
その結果、本実施例では、スライド手段5を作動させるうえで、前述の実施例1に採用されている補助押圧手段50は不要となる。すなわち、カム溝38,48およびカム用固定ピン51が不要になるばかりではなく、補助押圧手段50さえも不要になる。それゆえ、カム溝38,48およびカム用固定ピン51と補助押圧手段50とがない分と、前述のように両駆動軸25,26にスプラインがない分だけ、本実施例の並行曲げ装置1は構成が簡素になる。また、これに伴って部品点数および組立工数が減る分だけ、本実施例の並行曲げ装置1は、よりいっそう安価でありながら信頼性がさらに向上する。
【0256】
したがって、本実施例の並行曲げ装置1によれば、前述の実施例1の効果に加えて、構成がより簡素になり、安価でありながら高い信頼性が得られるうえに、スライド手段5の作用が向上するという効果がある。このような効果を考慮すると、本実施例の並行曲げ装置1が、本発明の並行曲げ装置1がもつ実施の形態のうち、ベストモードに相当するものと思われる。
【0257】
(実施例2の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、両リングベルト3,4の係止孔36,46および逃がし溝37,47のそれぞれと、各駆動ピン251,261との間に、ベアリング(図略)を介設した構成の並行曲げ装置1を実施することができる。
【0258】
各ベアリングは、互いに同一規格のニードルローラベアリングである。各ベアリングのもつ軸長方向の厚さは、各リングベルト3,4の厚さと同等ないしやや薄い程度である。各ベアリングは、その内周面で当該駆動ピン251,261に締まり嵌めされており、逆に外周面では係止孔36,46または逃がし溝37,47にわずかに緩み嵌めされている。
【0259】
それゆえ、曲げ捩り成形過程では、各ベアリングの外周面側が、係止孔36,46の一方の側面か、逃がし溝37,47の一方の縁かに、押圧力をもって当接しつつ転がる。ベアリングの作用により、各係止孔36,46および各逃がし溝37,47と各駆動ピン251,261との間に作用する摩擦力は大幅に低減されるので、両リングベルト3,4はよりスムースに移動する。それゆえ、各係止孔36,46および各逃がし溝37,47と各駆動ピン251,261とをもつスライド手段5には、摩擦力による負担がかからないので、負荷が小さくなり、スライド手段5の作用ないし効率はより向上する。
【0260】
したがって、本変形態様の並行曲げ装置1によれば、前述の実施例2の効果に加えて、両リングベルト3,4の作動がよりいっそうスムースになり、モータの負担が減るという効果がある。
【0261】
(実施例2の各種変形態様)
本実施例の並行曲げ装置1においても、実施例1の各変形態様のうち適用可能なものについては適用しても良く、それぞれの変形態様に特有の作用効果が大なり小なり得られる。もちろん、実施例1の各変形態様のうち適用可能なものを、前述の本実施例の変形態様1に組み合わせた変形態様も実施可能である。
【0262】
[実施例3]
(実施例3の装置構成)
本発明の実施例3としての並行曲げ装置1は、再び図19に示すようなコア固定装置7を、両リングベルト3,4に向かって下降させるコア保持手段(作動機構は図略)をさらに有する。コア保持手段は、両リングベルト3,4の延長線上にステータコア8を同軸的に保持し、両リングベルト3,4が同軸反転するのに伴ってこのステータコア8を所定ストロークだけ軸長方向に移動させる機能をもつ。
【0263】
ただし、コイルセグメント端部を曲げ捩り成形する際に、コイル層によって軸長方向の変位が少しずつ異なるので、その分の補正ができるような構成になっている。
【0264】
すなわち、本実施例では、全部で十二層あるコイル層のうち第七層に相当するコイルセグメント9の奇数層開放端部91が、曲げ捩り成形される際の軌跡に合わせて、コア保持手段がコア固定装置7を下降させるものとする。
【0265】
すると、図27に示すように、両リングベルト3,4のうちコイル層の第七層に相当する奇数層用リングベルト3は、円形の係止孔36と円周方向にのみ延在する長円形の逃がし溝37,47とをもつ。それゆえ、第七層に相当する奇数層用リングベルト3は、曲げ捩り成形の過程で軸長方向に動くことなく、ただ奇数層駆動ピン251につれて回動する。
【0266】
一方、第七層よりも内周側のコイル層、たとえば第一層のように最内周に位置するコイルセグメント端部は、コア固定装置7の下降ストロークよりも少ししか軸長方向に短縮されない。それゆえ、最内周の第一層に対応する奇数層用リングベルト3は、下降するコア固定装置7に対して適正に後退して下降する必要がある。それゆえ、第一層の奇数層用リングベルト3では、逃がし溝37’が先端部(図中右端)で適正量だけ軸長方向に持ち上がって形成されており、係止孔36’も上方へ同じだけ延在している。そして、偶数層駆動ピン261が、逃がし溝37’の中を、周方向に基端部(図中左端)から先端部に向かって相対的に移動していくと、逃がし溝37’の緩く曲がった形状に沿って、第一層の奇数層用リングベルト3が所定の軌跡を描いて下降する。このようにして、コイル層のうち第七層よりも内周側に位置するコイルセグメント端部も、適正に曲げ捩り成形される。
【0267】
逆に、第七層よりも外周側のコイル層、たとえば第十一層のように最外周付近に位置するコイルセグメント端部は、コア固定装置7の下降ストロークよりも大きく軸長方向に短縮される。それゆえ、奇数層用リングベルト3のうち第七層よりも外周側に位置するものは、下降するコア固定装置7に対向して適正に前進して上昇する必要がある。それゆえ、第十一層の奇数層用リングベルト3では、逃がし溝37”が先端部(図中右端)で適正量だけ軸長方向に下降して形成されており、係止孔36”も下方へ同じだけ延在している。そして、偶数層駆動ピン261が、逃がし溝37”の中を周方向に基端部(図中左端)から先端部に向かって異動していくと、逃がし溝37”の緩く曲がった形状に沿って、第十一層の奇数層用リングベルト3は所定の軌跡を描いて上昇する。このようにして、コイル層のうち第七層よりも外周側に位置するコイルセグメント端部も、適正に曲げ捩り成形される。
【0268】
その結果、前述の各実施例と同様に、曲げ捩り成形後には、コイル層の第一層から第十二層に至るまで、全てのコイルセグメント端部の先端面が同一平面内に揃うようになり、その後の溶接工程が容易になる。
【0269】
すなわち、第七層以外の両リングベルト3,4(4は図略)では、各係止孔36’,36”は、当該コイル層のコイルセグメント端部に必要な変位分だけ、軸長方向に延在する長円形をしている。一方、各逃がし溝37’,37”は、適正な形状で緩やかに曲線を描いてわずかに斜めに形成されている。
【0270】
(実施例3の作用効果)
本実施例の並行曲げ装置1は、以上のような構成をもつので、以下のように作用する。
【0271】
すなわち、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形が進行するに従って、軸長方向の変位のうちコイル層の違い(半径方向の位置の差)によって生じる差異の分だけ、各リングベルト3,4が軸長方向に少しだけ変位する。その結果、コイルセグメント端部や両リングベルト3,4になど無理をかけることなく、コイルセグメント端部の曲げ捩り成形を完了することができる。
【0272】
しかも、各逃がし溝37,47の曲がりはごくわずかであり、角度が浅かった前述の実施例2と比較してもいっそう浅い角度でしか立ち上がっていないので、各駆動ピン251,261との間に過大な摩擦力が生じることはない。
【0273】
そればかりではなく、曲げ捩り成形の進行に伴い、両リングベルト3,4は、コイル層の第七層よりも内周側では上昇し、逆に外周側では下降する。すると、コア固定装置7を下降させるコア保持手段の作用により、コイルセグメント端部に圧縮または引っ張りの軸力が生じたとしても、両駆動軸25,26に要求される回転トルクは、摩擦力の増大分にしか過ぎない。そこで、仮に前述の実施例2の変形態様1のようにベアリングを両リングベルト3,4と両駆動ピン251,261との間に介設すれば、両駆動軸25,26に要求される回転トルクは、極めて低い値で安定する。
【0274】
したがって、本実施例の並行曲げ装置1によれば、前述の第2手段の効果に加えて、両駆動軸25,26に要求される回転トルクがいっそう低く安定するという効果がある。
【0275】
(実施例3の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、全ての両リングベルト3,4において、スライド手段5がない構成の並行曲げ装置1を実施することもできる。
【0276】
すなわち、本変形態様の並行曲げ装置1では、全ての係止孔36,46は円形であり、全ての逃がし溝37,47は直線状で、周方向に水平に延在している。それゆえ、全ての両リングベルト3,4は、軸長方向の全く移動せず、周方向に同軸反転するだけである。
【0277】
本変形態様の並行曲げ装置1を使用する際には、上縁部31,41の保持溝30,40には、曲げ捩り成形の初期段階では、コイルセグメント9の先端部93,94がやや浅く挿入されている。そして、曲げ捩り成形が進行するに従って、内周側の先端部93,94は、少しだけ保持溝30,40に徐々により深く嵌っていき、逆に外周側の先端部93,94は、少しだけ保持溝30,40から徐々に抜け出して浅く嵌る。その結果、曲げ捩り成形時には少し強引にコイルセグメント端部に負荷がかかるが、最終的には前述の各実施例によって成形されるものとほぼ同様に、コイルセグメント端部が曲げ捩り成形されるに至る。
【0278】
したがって、本変形態様の並行曲げ装置1によれば、前述の実施例3の効果に加えて、係止孔36,46および逃がし溝37,47の形状がごく単純であるから、各リングベルト3,4の製造が容易になるという効果がある。
【0279】
(実施例3の各種変形態様)
本実施例の並行曲げ装置1に対しても、実施例2の各種変形態様に対応する変形態様の実施が可能で、多かれ少なかれ同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステータコアのスロット内でのコイル層番号を示す断面図
【図2】コイルセグメント端部を曲げ捩り成形した形状を示す組図
(a)半径方向外側から見たコイルエンドの側面図
(b)軸長方向から見たコイルエンドの平面図
【図3】実施例1としての並行曲げ装置の構成を示す正断面図
【図4】実施例1における両リングベルトの構成を示す展開図
【図5】実施例1における両リングベルトの作用を示す展開図
【図6】実施例1における両リングベルトの作用を示す展開図
【図7】実施例1としての並行曲げ方法の工程順を示す流れ図
【図8】実施例1でのステータコア設置工程を示す要部正面図
【図9】実施例1でのコイルセグメント挿入工程を示す要部正面図
【図10】実施例1の並行曲げ装置でのカム用固定ピンを示す要部断面図
【図11】実施例1でのカム孔の作用を示すリングベルトの展開図
【図12】実施例1での両リングベルトの軸長方向移動量を示すグラフ
【図13】実施例1での両リングベルトの移動経路を示す要部側面図
【図14】実施例1でのセグメント端部の成形後の形状を示す要部側面図
【図15】実施例1の並行曲げ装置での補助押圧手段を示す要部断面図
【図16】実施例1におけるリングベルトの底部形状を示す展開図
【図17】実施例1における補助押圧手段の作用を示すグラフ
【図18】実施例1の変形態様1の並行曲げ装置の構成を示す要部断面図
【図19】実施例1の変形態様1でのコア固定装置の構成を示す正面図
【図20】実施例1で懸念される不都合が生じる様子を示す要部平断面図
【図21】実施例1の変形態様2としての装置要部の構成を示す平断面図
【図22】実施例1の変形態様2としての装置要部の構成を示す縦断面図
【図23】実施例1の変形態様3としての装置要部の構成を示す縦断面図
【図24】実施例1の変形態様4の並行曲げ方法の特徴を示す縦断面図
【図25】実施例1の変形態様5での突出部の形状を示す要部正面図
【図26】実施例2における両リングベルトの構成を示す部分展開図
【図27】実施例3におけるリングベルトの構成を示す部分展開図
【符号の説明】
1:コイルセグメント端部の並行曲げ装置(セグメント型コイルの製造装置)
2:同軸反転駆動装置
21:入力軸 22:減速機 23:中継軸 24:反転ギヤ
25:奇数層駆動軸(スプライン入り)
250:基端部ギヤ 251:奇数層駆動ピン
26:偶数層駆動軸(スプライン入り)
260:基端部ギヤ 261:偶数層駆動ピン
3:奇数層用リングベルト(全部で六層分)
31:上縁部
30:保持溝
32:突出部
33:屈曲角部
34,34’:上縁部(エッジ部の一つ)
35:側縁部(前縁または後縁のエッジ部)
36:係止孔 37:逃がし溝
38:カム溝 39:押し上げピンの当接部
4:偶数層用リングベルト(全部で六層分)
41:上縁部
40:保持溝
42:突出部
43:屈曲角部
44,44’:上縁部(エッジ部の一つ)
45:側縁部(前縁または後縁のエッジ部)
46:係止孔 47:逃がし溝
48:カム溝 49:押し上げピンの当接部
5:スライド手段
51:カム用固定ピン(三本あり同軸反転駆動装置に固定されている)
50:補助押圧手段
52:押し上げピン(三本あり補助押圧手段の作用部を構成する)
61:シムリング 62:絶縁シート
7:コア固定装置(実施例3ではコア保持手段の一部として)
71:ワーク置き台 72:カフスサポート
73:天板 74:支柱 75:ガイド部材
8:ステータコア 80:スロット 81:絶縁紙
9:コイルセグメント
91:奇数層開放端部 93:奇数層開放端部の先端部
92:偶数層開放端部 94:偶数層開放端部の先端部
95:屈曲部(先端部付近) 96:屈曲部(根本部付近)
Claims (13)
- セグメント型コイルを形成すべく、回転電機の固定子および回転子のうちいずれかのコアに形成された複数のスロット内に、複数のコイル層を形成するように重ねて挿置された多数のコイルセグメントの一部であり、このコアから軸長方向に突出した多数の開放端部のうち、
奇数番目の前記コイル層を形成する前記コイルセグメントの前記開放端部である奇数層開放端部を、前記コアの周方向の一方に曲げ捩り成形し、
偶数番目の前記コイル層を形成する前記コイルセグメントの前記開放端部である偶数層開放端部を、前記周方向の他方に曲げ捩り成形して、
各前記コイルセグメントの前記開放端部を、所定の前記コイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形する前記セグメント型コイルの製造装置において、
前記奇数番目の前記コイル層に相当する径の略中空円筒状の外形をしており、前記軸長方向の一方の縁部に、前記奇数層開放端部の先端部を前記周方向に挟持する多数の保持溝を形成する突出部をもち、同軸的に所定の間隔を空けて重ねて配設された複数の奇数層用リングベルトと、
前記偶数番目の前記コイル層に相当する径の略中空円筒状の外形をしており、前記軸長方向の一方の縁部に、前記偶数層開放端部の先端部を前記周方向に挟持する多数の保持溝を形成する突出部をもち、同軸的に所定の間隔を空けて重ねて配設された複数の偶数層用リングベルトと、
これらの奇数層用リングベルトとこれらの偶数層用リングベルトとを、互いに同軸的にかつ半径方向に交互に支承し、これらの奇数層用リングベルトとこれらの偶数層用リングベルトとを、並行して同じ回転角度だけ互いに同軸反転させる同軸反転駆動装置と、
を有することを特徴とする、
コイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 前記同軸反転駆動装置は、
両前記リングベルトと同軸に配設され、所定の回転方向に前記回転角度だけ回動する奇数層駆動軸と、
この奇数層駆動軸に同軸に配設されており、この奇数層駆動軸の回動と並行して、この奇数層駆動軸とは逆の回転方向に、同じ大きさの前記回転角度だけ回動する偶数層駆動軸と、
この奇数層駆動軸から突出し両前記リングベルトを半径方向に貫通した複数本の奇数層駆動ピンと、
この偶数層駆動軸から突出し両前記リングベルトを半径方向に貫通した複数本の偶数層駆動ピンと、
をもち、
前記奇数層用リングベルトは、これら奇数層駆動ピンが係止する複数の係止孔と、これら偶数層駆動ピンが周方向に自在に移動可能な逃がし溝とをもち、
前記偶数層用リングベルトは、これら偶数層駆動ピンが係止する複数の係止孔と、これら奇数層駆動ピンが周方向に自在に移動可能な逃がし溝とをもつ、
請求項1に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 前記同軸反転駆動装置は、前記奇数層用リングベルトおよび前記偶数層用リングベルトの各々を、両リングベルトの回動角度に対応したそれぞれに適正な移動距離だけ、軸長方向に移動させるスライド手段を有する、
請求項1に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 前記スライド手段は、
両前記リングベルトのそれぞれに所定の幅の曲線で形成された貫通孔である複数のカム溝と、
両前記リングベルトのこれらのカム溝をそれぞれ前記半径方向に貫通している固定された複数のカム用固定ピンとをもち、
これらのカム溝は、それぞれ、各前記コイル層を形成する各前記コイルセグメントの前記開放端部のうち前記先端部が前記曲げ捩り成形の際に描く軌跡に対応する形状をもっている、
請求項1に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 前記同軸反転駆動装置は、両前記リングベルトを同軸反転させることに伴ってこれらのリングベルトを軸長方向に押圧し、これらのリングベルトを前記コアに向かって所定ストロークだけ移動させる補助押圧手段をさらにもつ、
請求項4に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 各前記リングベルトに形成された前記複数の逃がし溝は、それぞれ、前記保持溝に嵌った前記先端部が前記曲げ捩り成形の際に描く軌跡に対応する曲線形状をしており、
各前記リングベルトに形成された前記複数の係止孔は、それぞれ、少なくとも前記曲げ捩り成形の際に当該リングベルトが軸長方向に移動する移動距離に相当する長さだけ、軸長方向により長い形状をしており、
これらの逃がし溝および係止孔が形成された両前記リングベルトと、両前記駆動ピンとで、両リングベルトをその回動角度に対応してそれぞれ適正な移動距離だけ軸長方向に移動させるスライド手段を構成している、
請求項2に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 各前記リングベルトの半径方向の厚さは、各前記コイルセグメントの前記開放端部の半径方向の厚さよりも薄い、
請求項1に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置 - 各前記リングベルトの各前記突出部がもつ各エッジ部および各角部のうち少なくとも一部には、丸み(アール)および面取りのうち一方が形成されている、
請求項1に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 各前記奇数層用リングベルトと各前記偶数層用リングベルトとの間に配設されて両者の間を仕切り、少なくとも一部は両前記リングベルトの前記保持溝にかかる円筒状のシムリングをさらに有する、
請求項1に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 各前記リングベルトの各前記突出部は、各前記コイルセグメントの前記開放端部が曲げられて屈曲部を形成する際にこの屈曲部にその内周側から当接する角部である屈曲角部をもち、
この屈曲角部には、各前記コイルセグメントのこの屈曲部を形成するために、適正な曲率半径をもつ丸み(アール)が形成されている、
請求項1に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 両前記リングベルトの延長線上に前記コアを同軸的に保持し、これらのリングベルトが同軸反転するのに伴ってこのコアを所定ストロークだけ軸長方向に移動させるコア保持手段をさらに有する、
請求項1に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - 両前記駆動軸のうち少なくとも一方と、両前記リングベルトのうち少なくとも一つとの間に、両者の間隔を適正に保つスペーサが挿置されている、
請求項2に記載されたコイルセグメント端部の並行曲げ装置。 - セグメント型コイルを形成すべく、回転電機の固定子および回転子のうちいずれかのコアに形成された複数のスロット内に、複数のコイル層を形成するように重ねて挿置された多数のコイルセグメントの一部であり、このコアから軸長方向に突出した多数の開放端部のうち、
奇数番目の前記コイル層を形成する前記コイルセグメントの前記開放端部である奇数層開放端部を、前記回転電機の周方向の一方に曲げ捩り成形し、
偶数番目の前記コイル層を形成する前記コイルセグメントの前記開放端部である偶数層開放端部を、前記周方向の他方に曲げ捩り成形して、
各前記コイルセグメントの前記開放端部を、所定の前記コイル層間で互いに接合することができるように、適正に曲げ捩り成形する前記セグメント型コイルの製造方法において、
複数層分の前記奇数層開放端部と複数層分の前記偶数層開放端部とを、互いに逆の回転方向に回動させて少なくとも一部を周方向に斜めに傾け、これらの開放端部を並行して曲げ捩り成形することを特徴とする、
コイルセグメント端部の並行曲げ方法。
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