JP2016147823A - セレブロシドの簡易高純度精製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キヒトデの内臓及びバターセラームから抽出された糖セラミド(セレブロシド)を含有する粗抽出物から高純度なセレブロシドを得る為、従来のクロロホルム/メタノールやヘキサン/アセトン等の有機溶媒の混合溶媒を使用したクロマトグラフィー法では、毒性の高いクロロホルム等の溶媒は食品等の製造には用いることができず、亦混合溶媒を使用すると有機溶媒のリサイクルが困難で、コスト高等の為、産業利用できなかった。化粧用や食品用に使用可能な溶媒のみを用いた、安全で簡便な精製方法を提供。
【解決手段】動物、植物、菌類、酵母及び、これらの由来物から選択され、抽出されたセレブロシドを含有する粗抽出物から、アセトンのみを溶媒として用いるクロマトグラフィーにより、セレブロシドを高純度に精製する方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、セレブロシドを、簡易に、高純度に精製する、精製法に関する。さらに詳しくは、毒性の低い溶媒のみを用いた、化粧品、食品用に適するセレブロシドの精製法に関する。
脂質は、一般にアシルグリセロール(モノ、ジおよび、トリグリセリド)、リン脂質、 糖脂質、高級エステル(ワックス)、構成脂質(脂肪酸等)、イソプレノイド(ステロール等)に分けられる。この中の糖脂質はさらにグリセロ糖脂質とスフィンゴ糖脂質に分けられる。グリセロ糖脂質は分子中にグリセロールを含み、スフィンゴ糖脂質は分子中にスフィンゴイド長鎖塩基)を含む糖脂質である。スフィンゴ糖脂質のうち、セラミドにグルコースやガラクトースなどの糖が付加されたものが一般に糖セラミド(セレブロシド) と称される。
セレブロシドは皮膚の構成成分の一つで、皮膚の保湿、保護作用、肌荒れ防止等の有用な効果が有り、肌を健康に保つために必要不可欠な成分の一つである。化粧品分野ではこの様なセレブロシドの特徴を生かし、セレブロシドを配合したローションやクリーム等のスキンケア製品が開発されている。これまで、天然のセレブロシドは牛脳を原料として抽出精製されてきたが、牛脳抽出物はいわゆる「狂牛病」の原因物質であるプリオンの混入可能性を否定できないことから、牛脳以外の原料から得られるセレブロシドが求められている。
セレブロシドを含有する粗抽出物は、動物、植物、菌類、酵母、及び、これらの由来物からなる群から選択される。一般に知られている牛脳以外のセレブロシド原料としては、小麦、大豆、米、綿実、菜種、トウモロコシ、サトウキビ、ゴマ、ピーナッツおよび、菌類などが検討されている。だが、これらの植物原料はセレブロシドの含有量が少なく、セレブロシド含量の低い抽出物しか得られないことや、高純度化が困難であることから、製品価格が極めて高価になりセレブロシドの産業利用の妨げとなっている。
近年、棘皮動物(キヒトデ)の大量発生により、ツブ篭やカニ篭、タコ空釣縄及び刺網漁業で、漁場の縮小、漁獲量の減少、作業効率の低下、羅網魚の食害などの漁業被害が全国的に起こっていることが報告されている。特に、北海道においては、ホタテ漁場での食害や混獲による漁業効率の低下が大きな問題になっている。被害を縮小させるために定期的な駆除が行われており、北海道でも年間1万5千〜1万8千トンものキヒトデが駆除されているが、その発生量は年々増加傾向にある。駆除されたキヒトデは放置すると悪臭を放つ原因となり、その駆除処理経費が各自治体、漁業者自身の負担となっている。これに対して、キヒトデの内臓材料から抽出される複合脂質の中に、セレブロシドが多く含有されていることが明らかにされている。この未利用資源であるヒトデ由来のセレブロシドは、化粧品原料としてのセレブロシド供給源として注目されてきた(非特許文献1、非特許文献2)
セレブロシドの抽出方法としては、以下のような方法が知られている。特開2002-30093号公報(特許文献1)には、植物原料からアルカリ性含水エタノールを用いて、アルカリ加水分解可能な脂質をアルカリ分解して水溶性として除去し 、アルカリ分解されない他の脂質を抽出した後、アセトンを用いてグリコシルセラミドを沈殿として得ることを特徴とするグリコシルセラミドの精製方法が開示されている。この方法により、純度8.8重量%のグリコシルセラミドが得られている。
特許第3502990号公報(特許文献2)には、植物由来の糖脂質、リゾホスホリピッド、スフィンゴ脂質およびセラミドを含有する化合物を分離する方法として、穀物粉また はその抽出物からなる植物化合物をエタノールと接触させ、エタノールを分離して残留物を回収し、これをアセトンと室温で接触させ、得られた粉末を乾燥させることを特徴とする方法が開示されている。この方法により、3〜6%のセラミドを含有するペースト状残 留物を得ることができ、また、第2の変形例においてセラミドを80〜90%とリン脂質 10〜20%、糖脂質10〜20%を含有する脂質粉末が得られたことが開示されている。しかしながら、この文献には、グリコシルセラミドの純度、得られた脂質の分析方法についてもなんら記載されておらず、また実施例等に具体的な製造方法も開示されていない。
特開平11-279586号公報(特許文献3)には、米糠に対して水、エタノール、アセトン、ヘキサンから選択される溶媒の2種以上の混合溶媒を加えて抽出した後、固形物を分離し、得られた抽出液を濃縮した後不溶物を除去し、さらに抽出液を濃縮して得られるスフィンゴ脂質を含有する米糠抽出物の製造方法が開示されている。この方法により、純度3.5重量%のスフィンゴ脂質が得られている。
特開2002-38183号公報(特許文献4)には、芋類または油粕に、アルコール類等の極性を有する有機溶媒を添加し、スフィンゴ糖脂質を抽出することを特徴とするスフィンゴ糖脂質含有物の製造方法が開示されている。この方法により、純度10.1重量%のスフィンゴ脂質が得られている。
高純度のセレブロシドが製造できれば、様々な形態の化粧品に添加することが可能となり、その応用範囲は格段に広がり、製品に大きな付加価値を与えることができる。しかしながら、前述のように、これまでに提案されているセレブロシドの製造方法では、純度の低いセレブロシドしか得られず、その利用範囲が限られ、産業応用の妨げとなっている。そのため、産業利用可能な方法で高純度なセレブロシドを得られる精製方法が希求されている。
セレブロシドを含有する抽出物からセレブロシドを高純度に精製する方法としては、以下の方法が知られている。
セレブロシドを含む抽出物をクロロホルムに溶解後に、メタノール性水酸化ナトリウムで処理して、クロロホルム層を回収し、必要に応じては、ベンゼンを加えて溶媒を留去した後、さらに、塩化水銀でリゾプラズマローゲンを除き、最後に、有害なクロロホルム/メタノール混合有機溶媒でシリカゲルクロマトグラフィーを行って、高純度セレブロシドを得るというSamuelssonらの方法 ( 非特許文献3)、またはその類似的な方法が知られているが、毒性が強いクロロホルムやベンゼン等の有機溶媒を使用しているため、食品や化粧品製造には用いることができない。
また、化粧品、食品用途として、高純度のセレブロシドを製造する方法として、特開2002-30093(特許文献5)には、グリコシルセラミドの原料として穀物および、穀物由来の成分を用い、食品用途に使用可能なヘキサン、アセトン、エタノール、水を溶媒として用いて、アルカリ加水分解処理により一部の脂質を分解して水溶性とし、グリコシルセラミドを得て、さらに、アセトン沈殿分画、 シリカゲルクロマトグラフィーを行うことで高純度のグリコシルセラミドを精製する方法が開示されている。
この方法によれば、95.5重量%に純度を高めたセレブロシドが得られるが、ヘキサンで平衡化させたシリカゲルカラムに、ヘキサン/エタノール (1/1、V/V)混液に溶解しサンプルを添加後、ヘキサン、ヘキサン/アセトン(8/2、V/V)、ヘキサン/アセトン (6/4、V/V)、ヘキサン/アセトン(2/8、V /V) を順次添加して段階的な溶出を行う必要があり操作が煩雑で、複数種類の混合溶媒を使用するため、工業的生産スケールでの溶媒のリサイクルが事実上不可能であり、製造コストの観点からも実用化困難である。
特開2002-30093号 特許第3502990号 特開平11-279586号 特開2002-38183号 特開2002-30093
J. Oleo Sci., 57 (9), 477-484 (2008) J. Oleo Sci., 62 (9), 717-727 (2013) J. Lipid Res., 10:47 (1969)
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヒトデ内臓およびバターセーラムから抽出されたセレブロシド含有粗抽出物から、単一溶媒によるカラムクロマトグラフィーによって、セレブロシドを高純度に精製できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、水産廃棄物および乳業廃棄物からセレブロシドを含有する粗抽出物を抽出した後、アセトンのみで展開分離するクロマトグラフィーによるセレブロシドの精製法である。好ましくは、得られる精製物のセレブロシド含量は95%以上である。
本発明は、セレブロシドを含有する粗抽出物から、アセトンを単一組成の溶媒に用いたクロマトグラフィーにより、前記セレブロシドを精製するセレブロシドの精製方法である。
本発明によれば、簡易に、高純度のセレブロシドを得ることができる。
図1は、キヒトデ内臓抽出物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した結果である。展開溶媒は クロロホルム:メタノール:水, 65:25:4 (v/v/v)。 検出試薬は3%酢酸銅、8%リン酸溶液。EL:抽出脂質。 図2は、バターセーラム由来粗複合脂質の脂質組成を示す。Glu: グルコシルセラミド。 PE:ホスファチジルエタノールアミン。 Lac:ラクトシルセラミド。 PC: ホスファチジルコリン。 SM: スフィンゴミエリン。 Gan:ガングリオシド。 図3は、バターセーラム由来抽出物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製した結果である。展開溶媒は、クロロホルム:メタノール:水=65:25:4 (v/v/v)。 検出試薬は 3%酢酸銅、8%リン酸溶液。CL:バターセーラム由来粗複合脂質。 図4は、クロマトグラフィーで精製したバターセーラム由来のグルコシルセラミド画分および、ラクトシルセラミド画分の解析結果。展開溶媒は クロロホルム:メタノール:水, 65:25:4 (v/v/v)。検出試薬は 3%酢酸銅、8%リン酸溶液。CL: バターセーラム由来粗複合脂質。 Glu: グルコシルセラミド。 Lac: ラクトシルセラミド。
ヒトデ内臓からセレブロシドを抽出するためには、既知のセレブロシド抽出法の任意のものを用いることができる。まず、ヒトデを蒸煮し、殻と内臓を分離後に内臓を乾燥する。あるいは殻と内臓を分離せずにそのまま乾燥しても良い。乾燥の方法としては、風乾、熱乾燥、真空乾燥など、慣用の乾燥方法のいずれを用いてもよく、あるいは、脱水ポリマー等で水分を吸収除去する方法でもよい。乾燥や脱水後の水分含有量は、後の工程を考慮して適宜選択することができる。次に、脱水試料を破砕して粉体とし、セレブロシドを含む油脂を抽出する。抽出溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、ヘキサン、クロロホルム等の、脂質を溶解することができる任意の有機溶媒を用いることができる。また、任意の有機溶媒の混合液を用いてもよく、水とアルコール類の混合物を用いてもよく、アルカリ性エタノール溶液を用いてもよい。あるいは、超臨界抽出法により二酸化炭素で抽出してもよい。
抽出に使用する溶剤の量としては、原料に対して2〜4倍量程度がよい。抽出温度は4〜30℃程度がよい。抽出時間は、30分〜48時間、好ましくは1〜24時間である。抽出操作は1回のみに限定されるものではなく、抽出後の残渣に再度新鮮な溶剤を添加し、抽出操作を行うこともできるし、抽出溶剤を複数回抽出原料に接触させることも可能である。また、抽出操作はバッチ抽出に限定されず、原料粉砕物を抽出用ステンレス塔などに充填し、抽出溶媒を送液し、抽出操作を行うこともできる。
このような抽出操作を行った後、有機溶媒抽出物をロータリーエバポレーターなどで濃縮して、抽出濃縮液を得る。濃縮の程度は、抽出に用いた溶媒の 種類や量、原料に含まれるセレブロシド以外の成分の種類や量、収率などを考慮して、適宜選択し調節することができる。
さらに、この抽出物からトリグリセリドや単純脂質を減らす目的で、アセトン沈殿による精製工程を追加しても良い。ここでアセトンはヘキサン、エタノール、水のいずれか1種類以上を5%以下の割合で含んでいても良い。また、一般に市販されているアセトンも使用することができる。抽出によって得た粗抽出物に対して加えるアセトンは5〜50倍量が好ましく、さらに好ましくは10〜30倍量である。アセトン沈殿の温度は、−80〜30℃が好ましく、さらに好ましくは−30〜4℃である。アセトン沈殿物はろ過、デカンテーション、遠心分離により分離することができる。このアセトン沈殿の操作を追加することで、相対的にセレブロシドの含量が向上するので、後工程のクロマトグラフィーでのカラム負荷量を増大させることができる。
この様にして得たセレブロシドを含む粗精製物を単一組成の溶媒によるクロマトグラフィーによって精製する。クロマトグラフィーに用いるカラム担体は順相系のカラム担体が使用でき、特に好ましくはシリカゲルである。分離のための展開溶媒は当該事業者が使用できる溶媒が使用でき、特に好ましくはアセトンである。ここでアセトンはヘキサン、エタノール、水のいずれか1種類以上を5%以下の割合で含んでいても良い。また、一般に市販されているアセトンも使用することができる。セレブロシドを含む粗精製物に対して、好ましくは重量比で10〜150倍量のシリカゲルを使用し、さらに好ましくは80〜120倍量のシリカゲルを使用する。シリカゲルカラムは予めアセトンで平衡化しておく。カラムの平衡化は好ましくはシリカゲルカラムに対して体積比で1〜10倍量のアセトンを通液することで行い、さらに好ましくは2〜5倍量のアセトンを通液する。あるいは、予めアセトンで懸濁したシリカゲル担体をクロマト菅に充填しても良く、カラムを平衡化せずに用いることもできる。シリカゲルはセレブロシドを含有する粗精製物に対して10〜150倍量を使用するのが好ましく、さらに好ましくは80〜120倍量のシリカゲルを用いる。セレブロシドを含有する粗精製物をカラムに負荷し、アセトンで展開し溶出液を分画する。目的物のセレブロシドの溶出位置の決定は溶出画分の一部をTLCプレートにスポットして、適する展開溶媒で展開後、検出試薬を用いて発色させる方法を用いても良く、あるいは溶出液を液体クロマトグラフィー用の検出器などに通してセレブロシドの溶出位置を決定しても良い。
粗精製物に含まれるトリグリセリドや単純脂質が溶出した後にセレブロシドが溶出されるので、セレブロシド溶出画分を回収し、ロータリーエバポレーター、フラッシュエバポレーター、真空蒸留器等により溶媒を除去される。
溶媒は冷却管等の溶媒回収装置により回収されリサイクルされる。回収した溶媒は蒸留等の操作により精製しても良いが、単一組成の溶媒は蒸留等の再精製の操作無しでもリサイクルすることができる。
本発明のセレブロシド含有組成物におけるセレブロシドの含有量は、50重量%以上が好ましく、さらに好ましくは95重量%以上である。
本発明におけるセレブロシドの含量は、以下のようにして定量されたものである。得られたキヒトデ内臓抽出脂質及び粗複合脂質を分析用TLCプレート(Silica gel 60 F254, 0.25 mm 20×20 cm, E. Merck)に供し、脂質組成分析を行った。すなわち、TLCにて、クロロホルム:メタノール:水(65:25:4 v/v/v)を展開溶媒として脂質クラスを分離し、TLCプレートに3%酢酸銅 8%リン酸溶液を噴霧して、130〜140℃で炭化させることによりスポットを検出した。次いで、Just TLC(SWEDAY)を用いて、各スポットの面積、濃さを標準物質から得られるスポットを基準に定量化してその組成比と含量を求めた。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
ヒトデ内臓からのセレブロシド含有粗抽出物の調製は以下の方法で行た。キヒトデから内臓を取り出し、脱水ポリマーを使用することで内臓の脱水物を得た。ヒトデ内臓脱水物300gに対して2倍量(600mL)のn-ヘキサン、1倍量(300mL)のエタノールを加え、1 h撹拌した。これを減圧濾過し、分液漏斗へ移した後、最終溶媒比がn-ヘキサン:エタノール:水=2:1:0.5 (v/v/v)となるように150mLの水を加え、低温室(4 ℃)で一晩静置した。その後、下層を除去し、再度同量の水を加え低温室(4 ℃)で一晩静置し、下層を除去後、上層のn-ヘキサン層を回収し、ロータリーエバポレーターを用いてn-ヘキサンを減圧留去して粗抽出脂質を得た。
キヒトデ内臓由来セレブロシドの単離精製は、抽出したキヒトデ内臓抽出脂質の5.2gを球状シリカゲル(富士シリシア化学(株)、PSQ60B)を用いたカラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ4.0 cm×55.0 cm)に供し、溶出溶媒としてアセトンのみを使用した。溶出液は100 mLずつ分画し各画分をTLCで分析した。各画分の一部をスポットしたTLCプレートは、クロロホルム/メタノール/水(65:25:4、v/v/v)混合溶媒を用いて展開後、3%酢酸銅8%リン酸溶液で染色した。同定には脂質組成既知のヒトデ複合脂質を標品として用いた。キヒトデ内臓抽出脂質を当該カラムクロマトグラフィーに供することで、Fr. 1〜Fr. 4に単純脂質、Fr. 5〜Fr. 13にセレブロシド、Fr. 14〜Fr. 20にセレブロシドと未同定物質の混合物を得た(図1)。それぞれの画分を回収、溶媒除去後の回収量は、セレブロシド画分0.330 g、セレブロシドと未同定物質の混合画分0.117 gだった。今回使用したヒトデ内臓抽出脂質5.2 g中には単純脂質60.9%(3.167 g)、セレブロシド7.3%(0.380 g)、PE9.9% (0.515 g)、不明物質4.00%(0.208 g)、PC13.2%(0.686 g)、SM4.0%(0.208 g)が含まれていたので、アセトンの単一溶媒でヒトデ内臓抽出脂質から純度が95%以上のセレブロシドを約87%回収することができた。
バターセーラムからのセレブロシド含有粗抽出物の調製は以下の方法で行った。197.0 gのバターセーラムからn-ヘキサン/エタノール抽出法により脂質を抽出した。すなわち、試料重量に対して4倍量のn-ヘキサン、2倍量のエタノールを加え、1 h撹拌した。これを減圧濾過し、分液漏斗へ移した後、最終溶媒比がn-ヘキサン:エタノール:水=2:1:0.5 (v/v/v)となるように水を加え、低温室(4 ℃)で一晩静置した。その後、下層を除去し、再度同量の水を加え低温室(4 ℃)で一晩静置し、下層を除去後、上層のn-ヘキサン層を回収し、ロータリーエバポレーターを用いてn-ヘキサンを減圧留去してバターセーラム抽出脂質を得た。この抽出で得た抽出物は69.8 gだった。
バターセーラム抽出脂質からの単純脂質と複合脂質の分離はアセトン沈殿で行った。バターセーラム抽出物56.0gを560 ml(10倍量)のアセトンで溶解し、-30℃でアセトン沈殿することによって得た。このアセトン沈殿で得られた抽出物を分析用TLCプレート(Silica gel 60 F254, 0.25 mm 20×20 cm, E. Merck)に供し、脂質組成分析を行った。すなわち、TLCにて、クロロホルム:メタノール:水(65:25:4 v/v/v)を展開溶媒として脂質クラスを分離し、TLCプレートに3%酢酸銅 8%リン酸溶液を噴霧して、130〜140℃で炭化させることによりスポットを検出した。次いで、Just TLC(SWEDAY)を用いて、各スポットの面積、濃さを定量化することによりその組成比を求めた(図2)。
バターセーラム由来セレブロシドの単離精製は、アセトン沈殿で得られた抽出物の500mgを球状シリカゲル(富士シリシア化学(株)、PSQ60B)を用いたカラムクロマトグラフィー(カラムサイズ:φ2.0 cm×30.0 cm)に供し、溶出溶媒としてアセトンのみを使用した。溶出液は6.6mLずつ分画し各画分をTLCで分析した。各画分の一部をスポットしたTLCプレートは、クロロホルム/メタノール/水(65:25:4、v/v/v)混合溶媒を用いて展開後、3%酢酸銅8%リン酸溶液で染色した。同定には脂質組成既知のヒトデ複合脂質を標品として用いた。キヒトデ内臓抽出脂質を当該カラムクロマトグラフィーに供することで、Fr. 1〜Fr. 5に単純脂質画分、Fr. 9〜Fr. 45にグルコシルセラミド画分、Fr. 72〜Fr. 175にラクトシルセラミド画分を得て、ラクトシルセラミドおよびグルコシルセラミドをそれぞれ単離することができた(図3)。それぞれの画分を回収後、再度TLC分析を行ったところラクトシルセラミドおよびグルコシルセラミドがそれぞれ高純度に精製されていることが確かめられた(図4)。




Claims (5)

  1. セレブロシドを含有する粗抽出物から、アセトンを単一組成の溶媒に用いたクロマトグラフィーにより、前記セレブロシドを精製するセレブロシドの精製方法。
  2. 前記セレブロシドを含有する粗抽出物が、動物、植物、菌類、酵母、及び、これらの由来物からなる群から選択される、請求項1に記載のセレブロシドの精製方法。
  3. 前記セレブロシドを含有する粗抽出物が、ヒトデ内臓由来の抽出物、又は、バターセーラム由来の抽出物である請求項1または2に記載のセレブロシドの精製方法。
  4. 前記溶媒は、ヘキサン、エタノール、又は、水のいずれか1種以上を5%以下の割合で含む、請求項1から3のいずれかに記載のセレブロシドの精製方法。
  5. 前記セレブロシドを含有する粗抽出物に対して、重量比で10から150倍量のシリカゲルを使用する、請求項1から4のいずれかの記載のセレブロシドの精製方法。
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