JP2019162042A - プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物及びその製造方法 - Google Patents

プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物及びその製造方法 Download PDF

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毅 中冨
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友哉 上野
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Abstract

【課題】魚介類又は水産動物からの抽出物であって、プラズマローゲン型リン脂質を高純度に含有し、且つ、ヒ素の含量が低減された、プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を提供する。【解決手段】魚介類又は水産動物に脂肪族炭化水素を含有する溶剤を添加し、前記溶剤による抽出物を得、その抽出物に前記溶剤の除去処理を施して、これに脂質分解酵素を作用させた後、プラズマローゲン型リン脂質を回収する。これにより、固形分あたりのプラズマローゲン型リン脂質の含量が5〜55質量%であり、且つ、ヒ素の含量が、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたとき60ppm以下であるプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、魚介類又は水産動物からの抽出物に関し、より具体的にはプラズマローゲン型リン脂質を含有する該抽出物及びその製造方法に関する。
プラズマローゲンは、生体膜の構成成分であるリン脂質の一種であり、その化学構造では、グリセロール骨格sn−1位に脂肪族アルコールとのビニルエーテル結合を有し、sn−2位に脂肪酸とのエステル結合を有している。
プラズマローゲンは哺乳動物の生体組織に全般に分布しているが、特に心臓、脳、骨格筋、赤血球等の酸素消費量の高い組織に比較的多く分布している。また、リポソーム、低密度リポタンパク質、培養細胞等を用いた試験管内の研究により、プラズマローゲンには、脂質膜への酸化障害毒性に対する抗酸化作用があることが明らかにされている(非特許文献1、2、3参照)。よって、プラズマローゲンが酸素消費量の高い組織に偏在する理由の1つには、生体膜中での抗酸化性脂質としての役割が示唆されている。
近年には、脳のシグナル伝達への関与や脳内における抗酸化物質としての機能も示唆されている。例えば、非特許文献4に、アルツハイマー病疾患では脳のプラズマローゲン量が健常者に比べて30%近く減少しているとの報告がある。また、非特許文献5に、アルツハイマー病疾患では、血中プラズマローゲン濃度も健常者に比べて減少しており、血中の過酸化脂質増加に関わるとの報告がある。更に、特許文献1には、動物実験において、プラズマローゲンの摂取により海馬依存性の学習能力が強化されたことが報告されている。よって、サプリメントなどの食品へ応用することで、日常的な摂取による記憶力サポートも期待される。
一方、プラズマローゲンの基原や供給方法について、例えば、特許文献2には、水産無脊椎動物であるホヤを原料にし、その凍結乾燥粉砕物にアセトンを添加して非リン脂質を洗浄し、これにヘキサン/エタノール/水の混合溶剤を添加して抽出物を得ることにより、プラズマローゲン含有脂質を得たことが記載されている。また、特許文献3には、鶏皮や鶏ムネ肉を原料にし、そのエタノール抽出物を濃縮乾固した後に含水アセトン処理を施してリン脂質画分を沈殿させ、次いで、ホスホリパーゼA1により目的外リン脂質を分解することによって、高純度のプラズマローゲン型リン脂質を得たことが記載されている。
特開2016−210696号公報 特開2007−262024号公報 特開2010−65167号公報
しかしながら、ホヤ等の水産無脊椎動物を原料にしてプラズマローゲン含有脂質が得られるものの(例えば、上記特許文献2)、海産物を基原とした場合、ヒ素等の重金属類の濃縮が課題となることが多かった。特に、ホヤ等の水産無脊椎動物に含まれるヒ素化合物は、毒性の低い有機態であることが知られているが、一般的にヒ素化合物は、毒性の強い無機態の印象が強いため、最終製品への残存は製品イメージを落とすことにつながる。更には、食品等におけるヒ素含量の基準は有機態と無機態を分別していないため、水産無脊椎動物を原料としたプラズマローゲン含有脂質に有機態ヒ素が残存している場合には、最終製品への配合において種々の制限を受けるという難点があった。また、上記特許文献3は鶏皮や鶏ムネ肉等を原料にしており、ヒ素等は課題にされておらず、海産物を基原とした場合にヒ素等の濃縮を防ぐ技術ではなかった。
上記従来技術にかんがみ、本発明の目的は、魚介類又は水産動物からの抽出物であって、プラズマローゲン型リン脂質を高純度に含有し、且つ、ヒ素の含量が低減された、プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、魚介類又は水産動物からなる原料に特定の溶剤を添加してその抽出物を得、これに脂質分解酵素を作用させることによって、プラズマローゲン型リン脂質に富み、なお且つ、ヒ素の含量が低い画分を効率的に分取し、回収することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第1に、魚介類抽出物又は水産動物抽出物であって、固形分あたりのプラズマローゲン型リン脂質の含量が5〜55質量%であり、且つ、ヒ素の含量が、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたとき60ppm以下であることを特徴とするプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を提供するものである。
上記プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物においては、前記プラズマローゲン型リン脂質が側鎖にDHAを有するものであることが好ましい。
上記プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物においては、前記魚介類抽出物又は水産動物抽出物が、原索動物門の魚介類、棘皮動物門の魚介類、軟体動物門の魚介類、腔腸動物門の魚介類、及び脊椎動物門の水産動物からなる群から選ばれた1種又は2種以上に由来するものであることが好ましい。
上記プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物においては、前記魚介類抽出物又は水産動物抽出物が、ホヤ、ホタテ、レイシガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、マガキ、ナマコ、ヒトデ、ウニ、イソギンチャク、及びクジラからなる群から選ばれた1種又は2種以上に由来するものであることが好ましい。
本発明は、第2に、魚介類又は水産動物に脂肪族炭化水素を含有する溶剤を添加し、前記溶剤による抽出物を得、その抽出物に前記溶剤の除去処理を施して、これに脂質分解酵素を作用させた後、プラズマローゲン型リン脂質を回収することを特徴とするプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法を提供するものである。
上記製造方法においては、前記プラズマローゲン型リン脂質の回収は、脂肪族炭化水素からなる溶剤と水溶性ケトン溶剤と水とを含有する混合溶剤による液/液分配により行うことが好ましい。
上記製造方法においては、前記プラズマローゲン型リン脂質の回収は、水溶性ケトン溶剤中又は該水溶性ケトン溶剤と水との混合溶剤中における不溶物の分取により行うことが好ましい。
上記製造方法においては、前記プラズマローゲン型リン脂質の回収は、前記液/液分配による方法と、前記不溶物の分取による方法とを併用することが好ましい。
上記製造方法においては、前記プラズマローゲン型リン脂質の回収として、前記液/液分配による方法を行い、その後、前記不溶物の分取による方法を行うことが好ましい。
上記製造方法においては、前記プラズマローゲン型リン脂質の回収として、前記液/液分配による方法を行い、その後、前記不溶物の分取による方法を行い、更に、前記液/液分配による方法を行うことが好ましい。
上記製造方法においては、固形分あたりのプラズマローゲン型リン脂質の含量が5〜55質量%であり、且つ、ヒ素の含量が、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたとき60ppm以下であるプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を得ることが好ましい。
上記製造方法においては、前記脂質分解酵素がホスホリパーゼA1であることが好ましい。
上記製造方法においては、前記水溶性ケトン溶剤が、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、エチルプロピルケトン、及びジプロピルケトンからなる群から選ばれた1種又は2種以上の水溶性ケトン溶剤であるか、又は当該水溶性ケトン溶剤と水との混合溶剤であることが好ましい。
上記製造方法においては、前記プラズマローゲン型リン脂質が側鎖にDHAを有するものであることが好ましい。
上記製造方法においては、前記魚介類又は水産動物が、原索動物門の魚介類、棘皮動物門の魚介類、軟体動物門の魚介類、腔腸動物門の魚介類、及び脊椎動物門の水産動物からなる群から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
上記製造方法においては、前記魚介類又は水産動物が、ホヤ、ホタテ、レイシガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、マガキ、ナマコ、ヒトデ、ウニ、イソギンチャク、及びクジラからなる群から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
一方、他の観点では、本発明は、上記のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を含有する、例えば飲食品、動物用飼料、医薬品等の形態であってもよい、経口用組成物を提供するものである。
また、別の観点では、本発明は、上記のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を含有する、例えば化粧品等の形態であってもよい、外用組成物を提供するものである。
本発明によれば、魚介類又は水産動物からなる原料に特定の溶剤を添加してその抽出物を得、これに脂質分解酵素を作用させることによって、プラズマローゲン型リン脂質に富み、なお且つ、ヒ素の含量が低い画分を効率的に分取し、回収することができる。これにより、プラズマローゲン型リン脂質を高純度に含有し、且つ、ヒ素の含量が低減された、プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を提供することができる。
本発明にかかるプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法の一実施形態を説明するブロック工程図である。
本発明は、魚介類又は水産動物からの抽出物に関し、より具体的にはプラズマローゲン型リン脂質を含有する該抽出物に関するものである。
プラズマローゲン型リン脂質は、通常、下記式(1)で表される化合物である。
式(1)中、Rは炭素数1〜20のアルキル基であり、具体的には炭素数10〜20のアルキル基であり、更により具体的にはドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコサニル基等である。また、Rは脂肪酸残基であり、具体的には高度不飽和脂肪酸残基であり、更により具体的にはオクタデカジエノイル基、オクタデカトリエノイル基、イコサテトラエノイル基、イコサペンタエノイル基、ドコサテトラエノイル基、ドコサペンタエノイル基、ドコサヘキサエノイル基等である。また、Xはエタノールアミン、コリン、セリン、イノシトール、グリセロールから選ばれる基である。
本発明にかかる抽出物は、固形分あたりのプラズマローゲン型リン脂質の含量が5〜55質量%であり、且つ、ヒ素の含量が、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたとき60ppm以下であることを特徴にしている。プラズマローゲン型リン脂質の含量の下限は8質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、プラズマローゲン型リン脂質の含量の上限は40質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。更に、ヒ素の含量は、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたとき55ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましい。
プラズマローゲン型リン脂質の含量は、例えば、高速液体クロマトグラフ/質量分析法、高速液体クロマトグラフ/蒸発光散乱検出法等の測定方法により測定することができる。また、ヒ素の含量は、例えば、原子吸光光度法、誘導結合プラズマ質量分析法等の測定方法により測定することができる。
本発明に用いられる魚介類又は水産動物としては、プラズマローゲン型リン脂質を含む原料であれば特に制限はない。例えば、ホヤ(例えば、マボヤ(学名:Halocynthia roretzi))等の原索動物門の魚介類、ホタテ、レイシガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、マガキ、ヒザラガイ、チヂミボラ、クボガイ、アワビ、ムラサキインコガイ等の軟体動物門の魚介類、ナマコ、ヒトデ、ウニ等の棘皮動物門の魚介類、イソギンチャク等の腔腸動物門の魚介類、サケ、サンマ、カツオ、マグロ、クジラ等の脊椎動物門の水産動物が挙げられる。これらのうち、ホヤ、ホタテ、レイシガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、マガキ、ナマコ、ヒトデ、ウニ、イソギンチャク、クジラ等がより好ましい。
本発明においては、そのプラズマローゲン型リン脂質は、側鎖にドコサヘキサエン酸(DHA:Docosahexaenoic acid)を有するものであることが好ましい。具体的には、リン脂質を構成する分子種のうち、2質量%以上をDHA結合プラズマローゲン型リン脂質が占めることが好ましく、4質量%以上をDHA結合プラズマローゲン型リン脂質が占めることがより好ましい。一般に、プラズマローゲンはグリセロール骨格のsn−2位に有する脂肪酸によりその機能性に差異があることが報告されており、特にドコサヘキサエン酸(DHA:Docosahexaenoic acid)を構造に有するPE型プラズマローゲン(リン脂質の親水部の構造としてエタノールアミンがリン酸エステル結合したエタノールアミン型のプラズマローゲン)には、アルツハイマーの原因と考えられているアミロイドβ(Aβ)の凝集抑制・分解促進(上記非特許文献5:Yamashita S et al., “Alterations in the Levels of Amyloid-β, Phospholipid Hydroperoxide, and Plasmalogen in the Blood of Patients with Alzheimer's Disease: Possible Interactions between Amyloid-β and These Lipids.” J. Alzheimers Dis., 2016; 50: p.527-37)や、神経芽細胞のアポトーシスを抑制する効果が確認されている(Yamashita S et al., “Extrinsic plasmalogens suppress neuronal apoptosis in mouse neuroblastoma Neuro-2A cells: importance of plasmalogen molecular species” RSC Adv., 2015; 5; p.61012-20)。また、DHAを構造に有するPE型プラズマローゲンは、天然には魚介類又は水産動物に特に多く含まれていることが報告されている(Yamashita S et al., “Analysis of Plasmalogen Species in Foodstuffs.” Lipids, 2016; 51; p199-210)。
プラズマローゲン型リン脂質を構成するグリセロール骨格のsn−2位に有する脂肪酸の種類や構成の同定は、例えば、高速液体クロマトグラフ/質量分析法、ガスクロマトグラフ/質量分析法等の測定方法により測定することができる。
一方、本発明にかかる製造方法は、上記の特性を有するプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を得るのに適した抽出方法を提供するものである。以下、図面を参照しつつその製造方法について詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に説明する具体的手段によって、何ら制限を受けるものではない。
図1には、本発明にかかるプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法の一実施形態を説明するブロック工程図を示す。このプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法は、魚介類又は水産動物からなる原料に、脂肪族炭化水素を含有する溶剤を添加する工程(1)と、その溶剤による抽出物を得る工程(2)と、得られた抽出物に溶剤の除去処理を施す工程(3)と、溶剤を除去した後の抽出物に脂質分解酵素を作用させる工程(4)と、プラズマローゲン型リン脂質を回収する工程(5)とを含む。
原料に用いられる魚介類又は水産動物や、それに含まれる、側鎖にDHAを有するプラズマローゲン型リン脂質の特徴については、上述したとおりである。
原料としては、単一基原のものを単独で使用してもよく、2種以上の基原のものを適宜に組み合わせて使用してもよい。その原料の形態に、特に制限はなく、例えば、生のままの魚介類又は水産動物の可食部やその冷凍品、あるいはその乾燥物や粉末品等、いずの形態であっても利用可能である。また、可食部以外の非可食部や加工食品製品の廃棄品等を原料に用いてもよい。なお、原料に含まれる脂質分をより効率的に抽出する観点からは、抽出の処理に処する原料として、平均長径が0.01〜1.0cm、より好ましくは0.01〜0.3cmとなるように予め細断又は粉末化したものを用いることが好ましく、フリーズドライ等により乾燥して粉末化したものを用いることがより好ましい。
抽出に用いる溶剤としては、脂肪族炭化水素を含有する溶剤を用いる。ここで、「脂肪族炭化水素」とは、具体的には飽和炭化水素であり、より具体的には炭素数4〜10のアルカンから選ばれた少なくとも1種であり、更により具体的には炭素数5〜8のアルカンから選ばれた少なくとも1種である。例えばヘキサン等が好適に用いられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。
上記脂肪族炭化水素を含有する溶剤は、その脂肪族炭化水素以外の溶剤成分との混合溶剤であってもよい。例えば、エタノール、プロパノール、メタノール、グリセリン、イソプロパノール、ブチルアルコール、1,3−ブチレングリコール、ゲラニオール、シトロネロール、デカノール、テルピネオール、ベンジルアルコール、リナロオール等のアルコール系溶剤やアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン、アセトフェノン、イオノン、メチル−β−ナフチルケトン等のケトン系溶剤や水からなる群から選ばれた1種又は2種以上との混合溶剤が挙げられる。より好ましくは、上記脂肪族炭化水素と、そのアルコール系溶剤及びケトン系溶剤からなる群から選ばれた1種又は2種以上と水とを含む混合溶剤である。この場合、上記脂肪族炭化水素からなる溶剤と上記アルコール系溶剤及び/又は上記ケトン系溶剤からなる溶剤と水との容量比は100:0:0〜100:500:50であることが好ましく、100:0:0〜100:300:30であることがより好ましい。また、より具体的には、上記脂肪族炭化水素を含有する溶剤としてヘキサンとエタノールと水との混合溶剤を使用する場合、ヘキサンとエタノールと水の容量比は100:0:0〜100:500:50であることが好ましく、100:0:0〜100:300:30であることがより好ましい。
抽出工程では、上記原料から脂質分を含む抽出物を得ることができればよく、その手段や条件等に特に制限はない。すなわち、公知の方法に準じたバッチ抽出法、カラム抽出法、加熱還流法などであってよい。例えば、原料に対して上記溶剤を2〜20倍量添加して、4〜60℃にて0.1〜48時間撹拌しながら抽出する方法などが挙げられる。この抽出工程により、上記原料からのプラズマローゲン型リン脂質を含む抽出物が得られる。
溶剤除去工程では、抽出物を得るために用いられた溶剤を除去することができればよく、その手段や条件等に特に制限はない。すなわち、公知の方法に準じた真空乾燥法、減圧乾燥法、分子蒸留法などであってよい。例えば、上記のようにして得られた、脂肪族炭化水素を含有する溶剤(例えばヘキサンとエタノールと水との混合溶剤)を含む抽出物は、それを真空乾燥にかけることで所定量の乾固物が得られる。溶剤の除去は、完全に乾固するように行ってもよく、完全には乾固させずに例えば少量の溶剤が残存するようにしてもよい。この溶剤除去工程により、抽出に用いられた溶剤が除かれて、以降の脂質分解酵素による作用条件を妨げないようにすることができる。また、その脂質分解酵素による作用条件を好適に整えることが容易となる。
脂質分解酵素処理工程は、抽出された脂質分のうちプラズマローゲン型リン脂質を残し、それ以外の脂質を分解する工程である。そのような作用を有する酵素としては、例えば、グリセロール骨格sn−1位にエステル結合(ビニルエーテル結合でなく)がある場合にそれを切断する活性を有するホスホリパーゼA1(Phospholipase A1、EC 3.1.1.32)等が挙げられる。酵素は市販の酵素製剤を用いてもよい。その反応条件としては、用いる酵素や酵素製剤に応じて、塩やミネラル分の濃度や種類、pH、温度、反応時間などを、適宜設定して酵素反応を行なえばよい。酵素は2種類以上を組み合わせて使用してもよく、あるいは2以上の脂質分解酵素処理を組み合わせて行ってもよい。
最後にプラズマローゲン型リン脂質を回収する。ここで、「プラズマローゲン型リン脂質を回収する」とは、上記酵素処理物からなる組成物中のプラズマローゲン型リン脂質の固形分あたりの含量が少なくとも上昇するように処理することを意味し、その固形分あたりの含量が、処理前を100としたとき125以上に上昇するようにすることが好ましく、処理前を100としたとき200以上に上昇するようにすることがより好ましく、処理前を100としたとき250以上に上昇するようにすることが最も好ましい。その手段や条件等に特に制限はない。例えば、公知の方法に準じた限外濾過、脱塩、イオン交換、電気泳動、分子排斥クロマトグラフィー、モレキュラーシーブなどによる方法が挙げられる。
よりコストをかけずに効率よくプラズマローゲン型リン脂質を回収する方法としては、例えば、公知の方法に準じた液/液分配による方法が挙げられる。より具体的には、脂肪族炭化水素からなる溶剤と水溶性ケトン溶剤と水とを含有する混合溶剤による液/液分配による方法が挙げられる。ここで、「脂肪族炭化水素」とは、上述と同様、具体的には飽和炭化水素であり、より具体的には炭素数4〜10のアルカンから選ばれた少なくとも1種であり、更により具体的には炭素数5〜8のアルカンから選ばれた少なくとも1種である。例えばヘキサン等が好適に用いられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。また、水溶性ケトン溶剤としては、抽出に用いることができるケトン系溶剤として上述した、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン、アセトフェノン、イオノン、メチル−β−ナフチルケトン等が挙げられる。より好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、エチルプロピルケトン、ジプロピルケトン等である。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を適宜に組み合わせて使用してもよい。この場合、上記脂肪族炭化水素からなる溶剤と上記水溶性ケトン溶剤と水との容量比は100:10:10〜100:500:100であることが好ましく、100:50:10〜100:200:50であることがより好ましい。また、より具体的には、上記脂肪族炭化水素からなる溶剤としてヘキサンを、上記水溶性ケトン溶剤としてアセトンを使用する場合、ヘキサンとアセトンと水の容量比は100:10:10〜100:500:100であることが好ましく、100:50:10〜100:200:50であることがより好ましい。この液/液分配による方法によれば、プラズマローゲン型リン脂質は、通常、上記脂肪族炭化水素からなる溶剤が構成する層(例えば、通常、上層を形成する)に親和的であり、分配されるので、必要に応じて遠心分離等により、あるいは静置すること等により、そのような層を形成させ、それを分取することにより、その他の層(例えば、通常、下層を形成する)に分配している不純物は除かれて、プラズマローゲン型リン脂質の固形分あたりの含量を高めることができる。分取後には真空乾燥等により溶剤を除去してもよい。
あるいは、よりコストをかけずに効率よくプラズマローゲン型リン脂質を回収するための他の方法としては、例えば、公知の方法に準じた非溶性溶剤中での不溶物としての回収による方法が挙げられる。より具体的には、プラズマローゲン型リン脂質は、一般に水溶性ケトン溶剤中又はその水溶性ケトン溶剤と水との混合溶剤中において不溶性を示すので、そのようなプラズマローゲン型リン脂質含む不溶物を形成させたうえで、その不溶物を遠心分離、ろ過等により分取することにより、その溶剤に溶解性を有する不純物が除かれて、プラズマローゲン型リン脂質の固形分あたりの含量を高めることができる。用いる水溶性ケトン溶剤としては、上述と同様である。そして、上記水溶性ケトン溶剤と水との混合溶剤を用いる場合には、水溶性ケトン溶剤と水との容量比は100:0〜100:500であることが好ましく、100:0〜100:50であることがより好ましい。より具体的には、上記水溶性ケトン溶剤としてアセトンを使用する場合、アセトンと水の容量比は100:0〜100:500であることが好ましく、100:0〜100:50であることがより好ましい。
上記液/液分配による方法と、上記不溶物の分取による方法とは、それらを併用してもよい。すなわち、例えば、上記液/液分配による方法において上記脂肪族炭化水素からなる溶剤として用いられたヘキサン等からなる層を分取した場合、それを真空乾燥等により乾固したうえ、その乾固物に上記水溶性ケトン溶剤としてアセトン又はアセトンと水との混合溶剤等を加えてよく混合、撹拌して、不溶物を遠心分離、ろ過等により分取するようにしてもよい。また、上記不溶物の分取による方法において上記水溶性ケトン溶剤としてアセトン又はアセトンと水との混合溶剤等を使用して不溶物を形成させて、その不溶物を遠心分離、ろ過等により分取した場合、そのように分取した不溶物に上記脂肪族炭化水素からなる溶剤としてヘキサンと上記水溶性ケトン溶剤としてアセトン又はアセトンと水との混合溶剤等を加えてよく混合、撹拌して、必要に応じて遠心分離等により、あるいは静置すること等により、形成したヘキサン等からなる層を分取するようにしてもよい。更には、上記液/液分配による方法と、上記不溶物の分取による方法とは、それぞれの処理を複数回にわたって繰り返し行ってもよく、任意に順番を入れ替えたり、繰り返しや併用の回数を変更したりしてもよい。
以上のようにして得られた抽出物にはプラズマローゲン型リン脂質が高純度に含まれており、通常、その含量が5〜55質量%の範囲を満たす組成物である。加えて、原料に由来するヒ素の混入や濃縮も最小限に抑えられ、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたときヒ素の含量が60ppm以下の範囲を満たす組成物である。なお、上述したように、プラズマローゲン型リン脂質の含量の下限は8質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、プラズマローゲン型リン脂質の含量の上限は50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。更に、ヒ素の含量は、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたとき55ppm以下であることが好ましく、40ppm以下であることがより好ましい。また、そのプラズマローゲン型リン脂質は、側鎖にドコサヘキサエン酸(DHA:Docosahexaenoic acid)を有するものであることが好ましい。具体的には、リン脂質を構成する分子種のうち、2質量%以上をDHA結合プラズマローゲン型リン脂質が占めることが好ましく、4質量%以上をDHA結合プラズマローゲン型リン脂質が占めることがより好ましい。
本発明にかかるプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物は、そのプラズマローゲン型リン脂質を効率よく摂取するためには、錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒、液状等の形態であってよい。典型的な例を挙げれば、上記プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を適当な賦形剤等とともに均一に混合して、加圧式打錠機により打錠することにより錠剤とすることができる、また、造粒してそのまま粉末状、顆粒状にして利用することもできる。また、サフラワー油などの油脂に均一に分散後、ミツロウなどを加え、スラリーの粘度を適度に調節し、ソフトカプセル充填機によりゼラチンとグリセリンを被包材の主成分とするようなソフトカプセル中に充填してもよい。
本発明にかかるプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物は、魚介類又は水産動物を基原とするプラズマローゲン型リン脂質を高純度に含有し、その原料から持ち込まれるヒ素の含量も低減されているため、様々な飲食品等の経口用組成物や化粧品等の外用組成物に含有せしめて利用するのにも好適である。そのような組成物の製造方法等に特に制限はなく、上記プラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物をそれら製品等の原料として他の原料とともに含有せしめればよい。また、その製品の利用形態としても、機能性表示食品、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品、サプリメント、化粧品、身体洗浄剤(石鹸、ボディーソープ等)、シャンプー、リンス等のトイレタリー用品、医薬部外品、医薬品等、特に制限されるものではない。動物、ペットや観賞魚の餌や、養殖魚用の餌料等、動物用飼料に含有せしめて利用してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、以下の例において、プラズマローゲン型リン脂質の含量は、AB SCIEX社製の高速液体クロマトグラフ/質量分析計(HPLC/MS/MS)を用いて分析を行った。プラズマローゲン型リン脂質は、オレイン酸結合プラズマローゲン型リン脂質、アラキドン酸結合プラズマローゲン型リン脂質、EPA結合プラズマローゲン型リン脂質、DHA結合プラズマローゲン型リン脂質を定量し、それぞれの分子種の合算値をプラズマローゲン含量とした。また、ヒ素含量の分析は、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を用いて分析を行った。
<実施例1>
ホヤ可食部のフリーズドライ粉末を50.8g秤量し、ヘキサン66mL、エタノール121mL、及び水11mLを仕込み、混合し、撹拌しながら常温で30分間抽出した後、定性濾紙(型式:No.2)にて濾過し、抽出液と残渣を分離し、残渣には、再度、ヘキサン66mL、エタノール121mL、及び水11mLを仕込み、混合し、撹拌しながら常温で30分間抽出した後、定性濾紙(型式:No.2)にて濾過し、抽出液と残渣を分離した。抽出液2回分を併せて真空乾燥による溶媒除去を行い、ホヤ抽出物を得た。その収量は7.9gであった。
得られたホヤ抽出物を1.97g秤量し、0.1Mクエン酸−HClバッファー(pH4.5)5mL、ホスホリパーゼA1(PLA1製剤、三菱ケミカルフーズ製)を240mg添加し、50℃にて4時間撹拌し酵素反応させた。酵素処理液にアセトン16.7mLとヘキサン16.7mLを添加し、よく撹拌した後、遠心分離(2500rpm, 4℃, 20min)し、ヘキサン層(上層)と水層(下層)に分離させた。上層を回収し、ロータリーエバポレーターで乾固し、アセトンを30mL添加した。遠心分離し、アセトンを除去し、沈殿物を回収した。再度、アセトンを30mL添加し、遠心分離し、アセトンを除去し、沈殿物を回収した。沈殿物を真空乾燥し、酵素処理物を得た。その収量は345.9mgであった。
得られた酵素処理物100.0mgを秤量し、ヘキサン10mL、アセトン10mL、及び水3mLを加え、よく撹拌した後、遠心分離(2500rpm, 4℃, 20min)し、液/液分配させた。下層を除去し、更に、アセトン5mLと水3mLを添加して、よく撹拌した後、遠心分離(2500rpm, 4℃, 20min)し、液/液分配させた。その上層を回収し、ロータリーエバポレーターで溶媒除去させたうえ、真空乾燥して、プラズマローゲン含有抽出物を得た。その収量は68.1mgであった。
<比較例1>
ホスホリパーゼA1を作用させない以外は、実施例1と同様にして、ホヤ可食部のフリーズドライ粉末からプラズマローゲン含有抽出物を得た。具体的には、実施例1で調製したホヤ抽出物を1.97g秤量し、0.1Mクエン酸−HClバッファー(pH4.5)5mLを添加し、50℃にて4時間撹拌させた。その後の処理については実施例1と同様に行い、プラズマローゲン含有抽出物を得た。その収量は79.3mgであった。
<比較例2>
ホヤ可食部のフリーズドライ粉末を50.2g秤量し、99.5%EtOHを200mL添加し、60℃で30分間抽出した後、定性濾紙(型式:No.2)にて濾過し、抽出液と残渣を分離した。残渣には、再度、99.5%EtOHを200mL添加し、60℃で30分間抽出した後、定性濾紙(型式:No.2)にて濾過し、抽出液と残渣を分離した。抽出液2回分を併せて真空乾燥による溶媒除去を行い、ホヤ抽出物を得た。その収量は7.6gであった。
得られたホヤ抽出物を2.51g秤量し、実施例1と同様に酵素処理・酵素除去を行い、酵素処理物を得た。酵素処理物に実施例1と同様にヘキサン、アセトン、水で液/液分配を行い、プラズマローゲン含有抽出物を得た。その収量は67.2mgであった。
<比較例3>
ホヤ可食部のフリーズドライ粉末を50.57g秤量し、75%EtOHを200mL添加し、60℃で30分間抽出した後、定性濾紙(型式:No.2)にて濾過し、抽出液と残渣を分離した。残渣には、再度、75%EtOHを200mL添加し、60℃で30分間抽出した後、定性濾紙(型式:No.2)にて濾過し、抽出液と残渣を分離した。抽出液2回分を併せて真空乾燥による溶媒除去を行い、ホヤ抽出物を得た。その収量は7.59gであった。
得られたホヤ抽出物を1.77g秤量し、実施例1と同様に酵素処理・酵素除去を行い、酵素処理物を得た。酵素処理物に実施例1と同様にヘキサン、アセトン、水で液/液分配を行い、プラズマローゲン含有抽出物を得た。その収量は60.3mgであった。
[評価1]
表1には、実施例1、比較例1〜3で得られたプラズマローゲン含有抽出物のプラズマローゲンとヒ素の含量の結果を、まとめて示す。
[評価2]
表2には、市販のプラズマローゲン素材(ホタテ由来)のプラズマローゲンとヒ素の含量の結果を、まとめて示す。
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)評価1に示されたように、原料に添加する溶剤としてヘキサン/エタノール/水(6:11:1)の混合溶剤を使用し、更に、抽出物にホスホリパーゼA1による酵素処理を施した実施例1では、プラズマローゲン型リン脂質の含量が固形分あたり22.8質量%で、プラズマローゲンの1質量部に対するヒ素の含量は31.1ppmであった。これに対し、抽出物にホスホリパーゼA1による酵素処理を施さない以外は、実施例1と同様に調製した比較例1では、プラズマローゲン型リン脂質の含量が固形分あたり12.3質量%で、プラズマローゲンの1質量部に対するヒ素の含量は86.2ppmであり、原料に添加する溶剤として99.5%エタノールを使用した以外は、実施例1と同様に調製した比較例2では、プラズマローゲン型リン脂質の含量が固形分あたり17.3質量%で、プラズマローゲンの1質量部に対するヒ素の含量は67.9ppmであり、原料に添加する溶剤として75%エタノールを使用した以外は、実施例1と同様に調製した比較例3では、プラズマローゲン型リン脂質の含量が固形分あたり14.4質量%で、プラズマローゲンの1質量部に対するヒ素の含量は92.9ppmであった。
よって、原料からの抽出物に対して脂肪分解酵素処理を施すことによって、プラズマローゲン型リン脂質を高純度に含む抽出物を調製できることが明らかとなった。また、抽出物中のヒ素の含量の低減のためには、その酵素処理のみならず、原料に添加して抽出物を得るための溶剤の選択が重要な要因となることが明らかとなった。
(2)評価2に示されたように、市販のプラズマローゲン素材(ホタテ由来)では、本試験によるプラズマローゲン分析値によると、その含量は少なく、また、プラズマローゲンに対するヒ素の含量も顕著に高かった。
(処方1)
表3には、実施例1で得られたプラズマローゲン含有抽出物を配合した、錠剤(打錠品)の処方を示す。
(処方2)
表4には、実施例1で得られたプラズマローゲン含有抽出物を配合した、ソフトカプセル剤の処方を示す。
(処方3)
表5には、実施例1で得られたプラズマローゲン含有抽出物を配合した、グミの処方を示す。
(処方4)
表6には、実施例1で得られたプラズマローゲン含有抽出物を配合した、ゼリーの処方を示す。
(処方5)
表7には、実施例1で得られたプラズマローゲン含有抽出物を配合した、清涼飲料水の処方を示す。
(処方6)
表8には実施例1で得られたプラズマローゲン含有抽出物を配合した、乳液の処方を示す。
(処方7)
表9には、実施例1で得られたプラズマローゲン含有抽出物を配合した、身体洗浄料の処方を示す。
1 溶剤添加工程
2 抽出工程
3 溶剤除去工程
4 脂質分解酵素処理工程
5 プラズマローゲンの回収工程

Claims (20)

  1. 魚介類抽出物又は水産動物抽出物であって、固形分あたりのプラズマローゲン型リン脂質の含量が5〜55質量%であり、且つ、ヒ素の含量が、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたとき60ppm以下であることを特徴とするプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物。
  2. 前記プラズマローゲン型リン脂質が側鎖にDHAを有するものである請求項1記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物。
  3. 前記魚介類抽出物又は水産動物抽出物が、原索動物門の魚介類、棘皮動物門の魚介類、軟体動物門の魚介類、腔腸動物門の魚介類、及び脊椎動物門の水産動物からなる群から選ばれた1種又は2種以上に由来するものである請求項1又は2記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物。
  4. 前記魚介類抽出物又は水産動物抽出物が、ホヤ、ホタテ、レイシガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、マガキ、ナマコ、ヒトデ、ウニ、イソギンチャク、及びクジラからなる群から選ばれた1種又は2種以上に由来するものである請求項1又は2記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を含有する経口用組成物。
  6. 飲食品、動物用飼料、又は医薬品の形態である請求項5記載の経口用組成物。
  7. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を含有する外用組成物。
  8. 化粧品の形態である請求項7記載の外用組成物。
  9. 魚介類又は水産動物に脂肪族炭化水素を含有する溶剤を添加し、前記溶剤による抽出物を得、その抽出物に前記溶剤の除去処理を施して、これに脂質分解酵素を作用させた後、プラズマローゲン型リン脂質を回収することを特徴とするプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  10. 前記プラズマローゲン型リン脂質の回収は、脂肪族炭化水素からなる溶剤と水溶性ケトン溶剤と水とを含有する混合溶剤による液/液分配により行う、請求項9記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  11. 前記プラズマローゲン型リン脂質の回収は、水溶性ケトン溶剤中又は該水溶性ケトン溶剤と水との混合溶剤中における不溶物の分取により行う、請求項9記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  12. 前記プラズマローゲン型リン脂質の回収は、前記液/液分配による方法と、前記不溶物の分取による方法とを併用する、請求項10又は11記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  13. 前記プラズマローゲン型リン脂質の回収として、前記液/液分配による方法を行い、その後、前記不溶物の分取による方法を行う、請求項12記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  14. 前記プラズマローゲン型リン脂質の回収として、前記液/液分配による方法を行い、その後、前記不溶物の分取による方法を行い、更に、前記液/液分配による方法を行う、請求項13記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  15. 固形分あたりのプラズマローゲン型リン脂質の含量が5〜55質量%であり、且つ、ヒ素の含量が、質量比でプラズマローゲン型リン脂質を1としたとき60ppm以下であるプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物を得る、請求項9〜14のいずれか1つに記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  16. 前記脂質分解酵素がホスホリパーゼA1である請求項9〜15のいずれか1つに記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  17. 前記水溶性ケトン溶剤が、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、エチルプロピルケトン、及びジプロピルケトンからなる群から選ばれた1種又は2種以上の水溶性ケトン溶剤であるか、又は当該水溶性ケトン溶剤と水との混合溶剤である請求項10〜16のいずれか1つに記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  18. 前記プラズマローゲン型リン脂質が側鎖にDHAを有するものである請求項9〜17のいずれか1つに記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  19. 前記魚介類又は水産動物が、原索動物門の魚介類、棘皮動物門の魚介類、軟体動物門の魚介類、腔腸動物門の魚介類、及び脊椎動物門の水産動物からなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項9〜18のいずれか1つに記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。
  20. 前記魚介類又は水産動物が、ホヤ、ホタテ、レイシガイ、ムラサキイガイ、ミドリイガイ、マガキ、ナマコ、ヒトデ、ウニ、イソギンチャク、及びクジラからなる群から選ばれた1種又は2種以上である請求項9〜19のいずれか1つに記載のプラズマローゲン型リン脂質高含有抽出物の製造方法。

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