JP2013216654A - 脳萎縮抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】脳萎縮を抑制又は改善する方法、および脳萎縮に関連する疾患の治療方法又は予防方法の提供。
【解決手段】高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質を有効成分として含有する脳萎縮抑制剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、加齢などに伴って生じる脳萎縮を抑制又は改善する方法に関する。本発明はまたアルツハイマー病などの脳萎縮に関連する疾患の治療方法又は予防方法に関する。
脳の神経細胞の死滅により脳の容積が小さくなることで脳萎縮が起きる。通常、脳萎縮は物忘れなどの症状を伴って加齢とともに進行し、磁気共鳴画像装置(MRI)などを使用して脳容積を測定することにより確認される。アルコールの大量摂取が脳萎縮を進行させるとする研究結果が国内外で報告されている。
脳萎縮などの後天的な脳の器質的障害により脳の機能が低下する認知症は、記憶障害や認知機能障害などの症状が発現する疾患である。認知症のうち、アルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は進行性の記憶障害・認知障害などを主症状とする進行性神経変性疾患であり、罹患数は近年増加の一途をたどっている。
アルツハイマー病については、びまん性の脳萎縮の発生・拡大に伴って症状が進行することが知られている。アルツハイマー病の診断においてCTやMRIなどの画像検査では、側脳室の拡大、脳溝の拡大などの大脳の特徴的な萎縮が見られることがある。
アルツハイマー病に対してはコリンエステラーゼ阻害薬など治療薬が近年開発され、薬物治療が広く行われるようになっている(特許文献1〜4)。
国際公報WO2007/091613号 特表2010−501566号 特表2009−501224号 特開2005−263734号
脳萎縮を伴うアルツハイマー病に対してはコリンエステラーゼ阻害薬など治療薬が広く使用されているが、脳萎縮に対しての根本治療薬とはいえず、現在のところ脳萎縮に対する十分な対処方法が確立しているとはいえない点が問題となっている。
本発明は、加齢などに伴う脳萎縮、またはアルツハイマー病などの神経関連疾患において生じる脳萎縮を抑制する手段を提供することを目的とする。また本発明は、より安全で食品、飲料やサプリメントなどとして利用可能な脳萎縮抑制剤を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者は鋭意研究を行った結果、リン脂質が脳萎縮抑制効果を有することを見いだし、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(15)の脳萎縮抑制剤を提供する。
(1)高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質を有効成分として含有する脳萎縮抑制剤。
(2)高度不飽和脂肪酸がn−3系高度不飽和脂肪酸である、(1)に記載の脳萎縮抑制剤。
(3)n−3系高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸である、(2)に記載の脳萎縮抑制剤。
(4)リン脂質がホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトールからなる群から選ばれる、(1)〜(3)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤。
(5)リン脂質がホスファチジルセリンである、(4)に記載の脳萎縮抑制剤。
(6)精製されたオキアミオイル及び/又はオキアミオイルを基質とした酵素反応生成物を有効成分として含有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤。
(7)精製されたオキアミオイルが、リン脂質を40重量%以上含有し、脂肪酸中に占めるn−3系高度不飽和脂肪酸の割合が20重量%以上である、(6)に記載の脳萎縮抑制剤。
(8)精製されたオキアミオイルのリン脂質の組成が、ジアシルグリセロリン脂質を90重量%以上、リゾアシルグリセロリン脂質を6重量%以下含有するものである(6)に記載の脳萎縮抑制剤。
(9)精製されたオキアミオイル及び/又はオキアミオイルを基質とした酵素反応生成物が、オキアミ全体またはその部分を圧搾して圧搾液を得、圧搾液に含まれるタンパク質が凝固する温度に圧搾液を加熱し、脂質成分を含む固形分と水溶性成分を含む水分を固液分離し、得られた脂質含有固形分又はそれを乾燥させた脂質含有乾燥物を水洗いし、脱水及び/又は乾燥した後、それら脂質含有固形分又は脂質含有乾燥物から脂質を抽出する方法によって得られるオキアミオイル、又は、それを原料として製造したフォスファチジルセリン含有油脂である(6)に記載の脳萎縮抑制剤。
(10)精製されたオキアミオイル及び/又はオキアミオイルを基質とした酵素反応生成物を有効成分として含有する脳萎縮抑制剤。
(11)精製されたオキアミオイル及び/又はオキアミオイルを基質とした酵素反応生成物が、高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質を含有する、(10)に記載の脳萎縮抑制剤。
(12)高度不飽和脂肪酸がn−3系高度不飽和脂肪酸である、(11)に記載の脳萎縮抑制剤。
(13)n−3系高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸である、(12)に記載の脳萎縮抑制剤。
(14)リン脂質がホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトールからなる群から選ばれる、(11)〜(13)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤。
(15)リン脂質がホスファチジルセリンである、(14)に記載の脳萎縮抑制剤。
(16)脂質を1〜10000mg/50kg体重/日、好ましくは1〜5000mg/50kg体重/日で対象に投与するための、(1)〜(15)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤。
(17)加齢による脳萎縮の抑制に使用される(1)〜(16)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤。
(18)アルツハイマー病の治療または予防に使用される(1)〜(16)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤。
別の側面によれば、本発明は以下の(19)〜(22)の方法を提供する。
(19)(1)〜(18)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤を動物に経口投与することを含む、脳萎縮の抑制方法。
(20)(1)〜(18)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤を動物に経口投与することを含む、アルツハイマー病の治療方法または予防方法。
(21)(1)〜(18)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤を動物に経口投与することを含む、脳萎縮の改善方法。
(22)(1)〜(18)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤を動物に経口投与することを含む、脳萎縮の回復方法。
別の側面によれば、本発明は、以下の(23)〜(26)の使用を提供する。
(23)脳萎縮抑制のための医薬の製造における、高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質の使用。
(24)アルツハイマー病の治療または予防のための医薬の製造における、高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質の使用。
(25)脳萎縮抑制のための医薬の製造における、精製されたオキアミオイル及び/又はオキアミオイルを基質とした酵素反応生成物の使用。
(26)アルツハイマー病の治療または予防のための医薬の製造における、精製されたオキアミオイル及び/又はオキアミオイルを基質とした酵素反応生成物の使用。
別の側面によれば、本発明は、以下の(27)の食品、飼料、又は医薬品を提供する。
(27)(1)〜(18)のいずれかに記載の脳萎縮抑制剤を含有する食品、飼料、又は医薬品。
本発明の脳萎縮抑制剤は、加齢による脳萎縮、またはアルツハイマー病などに特徴的に観察される脳萎縮について有意な抑制効果を有する。また本発明の脳萎縮抑制剤は天然由来成分を有効成分としており、安全性が高く、長期間の投与に適している。
試験例1における試験過程を示す図である。 試験例1におけるステップダウン試験において使用した装置の写真である。 試験例1のステップダウン試験における、各群のエラー回数を示すグラフである。 試験例1のステップダウン試験における、各群のエラー時間を示すグラフである。 試験例1のY字迷路試験において使用した装置の写真である。 試験例1のY字迷路試験における、各群の試験結果を示すグラフである。 試験例1における45日Cont.群及び90日Cont.群のAMP10動物半脳重量を示すグラフである。 試験例1における各群の半脳前部重量を示すグラフである。 試験例1における各群の全脳重量比を示すグラフである。 試験例1における各群の海馬体(Hippocampus)の神経小体(Nissl Body)密度を示すグラフである。 試験例1における各群の大脳皮質(Cerebral cortex)部位の神経小体(Nissl Body)密度を示すグラフである。 試験例1において45日における各群の脳内IGF-1濃度を示すグラフである。 試験例1において45日における各群の脳内SOD濃度を示すグラフである。 試験例1において45日における各群の脳内MDA濃度を示すグラフである。 試験例2における試験過程を示す図である。 試験例2のステップダウン試験における、各群のエラー回数を示すグラフである。 試験例2のステップダウン試験における、各群の潜伏時間を示すグラフである。 試験例2において摘出した全脳において脳組織切片としてポイントC付近を表すための模式図である。 試験例2における各群の新皮質の横断面積を示すグラフである。 試験例2における各群の新皮質の厚みを示すグラフである。 試験例2における各群の神経小体(Nissl Body)密度を表すグラフである。 試験例2における各群の脳内Iba-1濃度を示すグラフである。 試験例2における各群の脳内IGF-1濃度を示すグラフである。 試験例2における各群の脳内GSH-Px濃度を示すグラフである。 試験例2における各群の脳内MDA濃度を示すグラフである。 実施例3に記載した反応の原料と生成物のHPLC分析結果を示す図である。 実施例1に記載の方法で得られるオキアミオイルおよび購入により入手可能なオキアミオイルのHPLC分析結果を示す図である。
以下、本発明をより具体的に記載する。
本発明は、高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質を有効成分として含有する脳萎縮抑制剤を提供する。本発明の脳萎縮抑制剤は、リン脂質を含有するオキアミ由来の成分、例えば、オキアミの粉砕物、オキアミミール、オキアミの剥き身等を含有してもよい。
本発明の脳萎縮抑制剤は、有効量のリン脂質を含有する。ここでいう有効量とは、脳萎縮の抑制効果を発揮するために必要な量をいう。例えば動物の体重1kgあたり、1日あたり、1〜5000mg/kg、好ましくは2.5〜2500mg/kg、特に好ましくは10〜1000mg/kgである。特にヒト成人の場合は、1日あたり1〜10000mg/50kg体重、好ましくは2.5〜5000mg/50kg体重、更に好ましくは5〜3000mg/50kg体重、特に好ましくは10〜1000mg/50kg体重である。ヒト成人の場合は、より顕著な脳萎縮抑制効果のためにはより多くの量を摂取するほうが好ましいが、多すぎると油っぽくなりすぎてしまい、吸収が遅れる、消化不良になる、胃腸がもたれる、摂食を好まなくなる、などの好ましくない性質が生じる。これらの摂取量は1回当たりの摂取量としてもよく、数回、例えば2回又は3回当たりの摂取量としてもよい。
リン脂質とは、グリセロールの3つの水酸基のうち少なくとも1つが脂肪酸とエステル結合し、他の1つの水酸基がリン酸と共有結合しているものをいう。リン酸は通常、グリセロールの1位又は3位の水酸基と共有結合する。生体脂質としてはトリアシルグリセロールとリン脂質が量も多く、特に重要である。
リン脂質は、細胞膜を構成する主要成分として知られており、親水性のリン酸部及び疎水性の脂肪酸部を有する。リン脂質は、グリセロール骨格の1位と2位に脂肪酸部を有するジアシルグリセロリン脂質、及びリゾアシルグリセロリン脂質に分けられる。リゾアシルグリセロリン脂質としては、グリセロール骨格の1位のみに脂肪酸部を有する1−アシルグリセロリゾリン脂質、及びグリセロール骨格の2位のみに脂肪酸部を有する2−アシルグリセロリゾリン脂質に分けられる。本明細書でいうリン脂質には、これらのいずれも包含されるが、ジアシルグリセロリン脂質が特に好ましい。ジアシルグリセロリン脂質としては、例えばホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルグリセロール(PG)、カルジオリピン(CL)、ホスファチジン酸(PA)、及びそれらの2種以上の混合物、好ましくはPC、PE、PS、PI、PA、及びそれらの2種以上の混合物、特に好ましくはPC、PS、及びそれらの混合物が挙げられる。リゾアシルグリセロリン脂質としては、例えば1−又は2−リゾPC、1−又は2−リゾPE、1−又は2−リゾPS、1−又は2−リゾPI、1−又は2−リゾPG、1−又は2−リゾCL、1−又は2−リゾPA、及びそれらの2種以上の混合物、好ましくは1−又は2−リゾPC、1−又は2−リゾPE、1−又は2−リゾPS、1−又は2−リゾPI、1−又は2−リゾPA、及びそれらの2種以上の混合物、特に好ましくは1−又は2−リゾPC、1−又は2−リゾPS、及びそれらの混合物が挙げられる。
脂質は、生体の重要な構成成分であり、アルコールと脂肪酸のエステル結合を有している。アルコールとしては直鎖アルコールの他グリセロール(グリセリン)、ステロールなどが、脂肪酸としては多様な飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸が挙げられる。脂質のうち、アルコールとしてグリセロールの水酸基と脂肪酸のカルボキシル基のエステル結合を有する脂質を生体脂質という。生体脂質としては、グリセリドとリン脂質が挙げられる。
グリセリドとしては、グリセロールの3つの水酸基の全てが脂肪酸とエステル結合したトリアシルグリセロール(トリグリセリド)、グリセロールの3つの水酸基のうち2つが脂肪酸とエステル結合し、他の1つの水酸基がそのままであるジアシルグリセロール(ジグリセリド)、グリセロールの3つの水酸基のうち1つが脂肪酸とエステル結合し、他の2つの水酸基がそのままであるモノアシルグリセロール(モノグリセリド)が挙げられる。
本発明に係るリン脂質は、脂肪酸部に高度不飽和脂肪酸を有する。本明細書でいう高度不飽和脂肪酸とは、二重結合を3つ以上有し、炭素数が18以上、好ましくは20以上の脂肪酸をいう。高度不飽和脂肪酸としては、n−3系高度不飽和脂肪酸が好ましい。本明細書でいうn−3系高度不飽和脂肪酸とは、脂肪酸分子のカルボキシル側とは逆の末端炭素から数えて3番目と4番目の炭素が二重結合している脂肪酸を意味する。そのような脂肪酸として、エイコサペンタエン酸(20:5、EPA)、ドコサペンタエン酸(22:5、DPA)、ドコサヘキサエン酸(22:6、DHA)等が挙げられ、好ましくはEPA、及びDHAである。本発明の脂質の構成脂肪酸に占めるn−3系高度不飽和脂肪酸の割合は、脂肪酸組成比として例えば1〜100%、好ましくは10〜90%、より好ましくは20〜80%である。n−3系高度不飽和脂肪酸は流動性が高いため、脂質中に多く含むほど低温でのより良い物性を与える上で有効である。しかしながら、n−3系高度不飽和脂肪酸は未精製の天然素材には多くても60%程度しか含まれず、濃度を高くしようとすると濃縮のためのコストがかかることになる。
上記のようなリン脂質を含有する素材は、いずれも本発明においてリン脂質として使用することができる。そのような素材としては、例えば、魚介類抽出物、動物抽出物、卵黄抽出物、植物抽出物、菌類(藻類)抽出物等、具体的にはオキアミオイル(オキアミ油)、魚油、魚抽出物、イカ抽出物、カツオ卵巣抽出物、n−3系高度不飽和脂肪酸を配合した飼料を与えた動物の抽出物又はその動物の卵黄抽出物、アマニ油、遺伝子組み換えをした植物の抽出物等、ラビリンチュラ類の抽出物等が挙げられる。特にリン脂質を多く含む素材として、オキアミオイル、イカ抽出物、カツオ卵巣抽出物が挙げられる。当該技術分野において一般的に知られている濃縮、抽出、及び/又は精製、配合等の技術を用いることによって、これらの素材中の脂質濃度や純度を任意に調節することができる。例えば、高度不飽和脂肪酸を含むオキアミオイル、魚油、アマニ油、大豆油、シソ油と、リン脂質を含むオキアミオイル、植物油(大豆由来リン脂質、ナタネ由来リン脂質)、動物性抽出物(卵黄由来リン脂質)、海洋性抽出物(イカ抽出物由来リン脂質、魚抽出物由来リン脂質、オキアミ抽出物リン脂質)等を適宜配合することによって高度不飽和脂肪酸を高い濃度で含むリン脂質を製造することができる。本発明の一つの態様において、精製されたオキアミオイルを有効成分として使用することができる。
経口摂取されたリン脂質は、遊離脂肪酸とリゾアシルグリセロリン脂質、ホスファチジン酸又はリゾホスファチジン酸に加水分解される。これら加水分解物は、胆汁酸とともに胆汁酸ミセルを形成することによって溶解する。小腸上皮細胞は、この胆汁酸ミセルから加水分解物を取り込み、取り込まれた前記加水分解物からトリアシルグリセロールやジアシルグリセロリン脂質が再合成される。従って、遊離の高度不飽和脂肪酸が生体に摂取されると、胆汁酸とのミセル形成を経て小腸上皮細胞に取り込まれ、生体内にあるグリセロール及び/又はリン酸と結合することによって、再度トリアシルグリセロール及び/又はジアシルグリセロリン脂質の構成脂肪酸として取り込まれる。このため、高度不飽和脂肪酸と共にリン脂質又はトリアシルグリセロールを摂取することにより、生体内で再合成されるリン脂質又はトリアシルグリセロールに占める高度不飽和脂肪酸を含有するリン脂質の割合を高めることができ、より優れた脳萎縮抑制効果を得ることができる。
例えば、高度不飽和脂肪酸と共にリン脂質を摂取させる場合には、それぞれを含有する油脂を適宜配合した脂質を用いてもよいし、高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質を用いてもよいが、吸収のしやすさ、利用効率、物質としての安定性、品質管理のしやすさから高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質が特に好ましい。また、高度不飽和脂肪酸と共にトリアシルグリセロールを摂取させる場合には、それぞれを含有する油脂を適宜配合した脂質を用いてもよいし、高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むトリアシルグリセロールを用いてもよいが、吸収のしやすさ、物質としての安定性、品質管理のしやすさから高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むトリアシルグリセロールが特に好ましい。
本発明の脳萎縮抑制剤は、オキアミオイルに含まれる他の成分、例えばアスタキサンチン、ステロール等を含有していてもよい。アスタキサンチンは、カニやエビなどの甲殻類に一般に見出されるカロテノイドに属する化合物である。アスタキサンチンは遊離の状態で存在していても、エステル結合を介して脂質の状態で存在していてもよい。また、アスタキサンチンを遊離状態で1〜10000ppm、好ましくは5〜5000ppm、より好ましくは10〜1000ppmで脳萎縮抑制剤に別途添加してもよい。アスタキサンチンは内在性の抗酸化剤として高度不飽和脂肪酸の安定化に寄与するため、より多く含まれることが好ましい。ただし、アスタキサンチンが多すぎると色や風味の点で問題が生じやすくなる。ステロールはリン脂質の流動性に寄与し、本発明の脳萎縮抑制剤の吸収に寄与する。
本明細書でいうオキアミとは、節足動物門甲殻綱軟甲亜綱に属する節足動物であればよく、節足動物門甲殻綱軟甲亜綱ホンエビ上目オキアミ目に属する節足動物、例えばナンキョクオキアミ(Euphausia superba)、節足動物門甲殻綱軟甲亜綱フクロエビ上目アミ目に属する節足動物、例えば日本近海などで漁獲されるアミ類を含む。ただし漁獲量の安定性、脂質成分の均一性の点からナンキョクオキアミが特に好ましい。本明細書でいうオキアミ由来の脂質は、上記のナンキョクオキアミから得られるものをいう。
本発明で使用するオキアミ由来のリン脂質は公知の製造方法により入手することができる。例えばWO2000/023546A1、WO2009/027692A1、WO2010/035749A1、又はWO2010/035750A1等に記載された公知の方法を参照して製造することができる。少なくとも、当該国際公開公報に記載された方法によって製造することのできるリン脂質は、本発明において脳萎縮抑制剤として好ましく用いることができる。
本発明の脳萎縮抑制剤においては、リン脂質は、例えば上記の国際公開公報に記載された方法に従って、オキアミ由来の原料としての固形分から適切な有機溶媒を用いて抽出することによって得ることができる。適切な有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、クロロホルム、トルエン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の単独あるいは2種以上の組み合わせが挙げられる。その際、溶媒の混合比、あるいは原料と溶媒の比率は任意に設定することができる。
上記オキアミ由来の原料としての固形分は、例えば乾燥物、ミール、生のオキアミ、冷凍のオキアミの他、オキアミ全体又はその部分を圧搾することにより圧搾液を得、この圧搾液を加熱して固形分と水溶性成分を分離させることによって得ることができる。当該圧搾においては、一般的に使用される機器を用いることができ、例えば油圧式圧搾機、スクリュープレス、採肉機、プレス脱水機、遠心分離機等、あるいはこれらの組み合わせを用いることができる。
上記圧搾液は、大気圧条件下、加圧条件下、又は減圧条件下において、50℃以上、好ましくは70〜150℃、特に好ましくは85〜110℃で加熱してもよい。この加熱によって固形分(熱凝固物)と水溶性成分を分離させ、ろ過又は遠心分離等により熱凝固物を得る。当該熱凝固物はさらに、適宜乾燥して用いることができる。乾燥は、熱風乾燥、蒸気を用いる乾燥、高周波・マイクロ波加熱による乾燥、真空・減圧乾燥、凍結融解による乾燥、及び乾燥剤を用いる乾燥のいずれか1つ、又はこれらの組み合わせを用いて行うことができる。乾燥する際に高温になりすぎると酸化した脂質が悪臭を発するので、乾燥は90℃以下、好ましくは75℃以下、より好ましくは55℃以下で行うとよい。乾燥により揮発性の不純物が除去されるため、好ましい。当該熱凝固物又はその乾燥品は、アスタキサンチンを含有するので、本発明の脳萎縮抑制剤として好ましく適用することができる。
すなわち、本発明において使用するオキアミオイルとして好ましいのは、オキアミ全体またはその部分を圧搾して圧搾液を得、圧搾液に含まれるタンパク質が凝固する温度に圧搾液を加熱し、脂質成分を含む固形分と水溶性成分を含む水分を固液分離し、得られた脂質含有固形分又はそれを乾燥させた脂質含有乾燥物を水洗いし、脱水及び/又は乾燥した後、それら脂質含有固形分又は脂質含有乾燥物から脂質を抽出する方法によって得られるオキアミオイル、又は、それを原料として製造したフォスファチジルセリン含有油脂である。
この方法で製造されたオキアミオイルは、遊離脂肪酸等の含有量が少なく、特にリゾリン脂質の含量が少ないのが特徴である。この点に関して、本発明において使用するオキアミオイルとして適しているのは、リン脂質の組成が、ジアシルグリセロリン脂質を90重量%以上、リゾアシルグリセロリン脂質を6重量%以下含有するものである。好ましいのはジアシルグリセロリン脂質を95重量%以上、リゾアシルグリセロリン脂質を3重量%以下含有するものであり、さらに好ましいのは、ジアシルグリセロリン脂質を97重量%以上、リゾアシルグリセロリン脂質を2重量%以下含有するものである。
さらに本発明のオキアミオイルとして好ましいのは、リン脂質を40重量%以上含有し、酸価が20以下、好ましくは10以下、特に好ましくは5以下であり、過酸化物価(POV)は5以下、好ましくは3以下、特に好ましくは1以下であり、脂肪酸中に占めるn-3系高度不飽和脂肪酸の割合が20重量%以上、好ましくは25重量%以上含有し、さらにアスタキサンチンを150ppm、好ましくは200ppm以上含有するものである。
一般に、不純物の残存量が少ないリン脂質の精製方法が望まれる。当該オキアミ圧搾液の熱凝固物又はその乾燥品は、水洗いにより水溶性成分の濃度を低下させることができ、このような目的に好適である。水洗いは熱凝固物中又はその乾燥品の乾物重量に対して4倍量、好ましくは10倍量以上の真水又は海水で行うことができる。好ましくは2回以上、より好ましくは3回以上洗浄するとよい。水洗いは、容器に入れた熱凝固物又はその乾燥品に対して注水し、5分以上置いてから、水分を分離することで行うことができる。熱凝固物又はその乾燥品の形状によっては十分に攪拌することも有効である。また水洗いは、容器に入れた熱凝固物又はその乾燥品を流水で洗うことで行うこともできる。
さらに、上記熱凝固物若しくはその乾燥品又はこれらの洗浄物を例えば、次のように処理することによって、PCの含量が高められた画分を得ることができる。例えば、熱凝固物若しくはその乾燥品又はこれらの洗浄物をエタノール、ヘキサン、クロロホルム、アセトン等の溶媒で処理することによって抽出油を得る。次に、当該抽出油をシリカゲル等を用いるクロマトグラフィーに供することによって不純物とリン脂質画分を分離させ、リン脂質画分を濃縮する。当該画分はPCを豊富に含有している。
本発明の一つの態様において、オキアミオイルを基質とした酵素反応生成物を有効成分として使用することができる。酵素反応としては、オキアミオイルに含まれるホスファチジルコリンを、他のリン脂質、例えばホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトールなどに変換する酵素反応が挙げられる。
PSは、例えば、PCとセリンを、ホスホリパーゼDの触媒作用を利用して酵素的に反応させることによってPSを得ることができる。当該反応におけるリン脂質の使用量に対するセリンの使用量は、0.5〜3重量比、好ましくは1〜2重量比とすることができる。ホスホリパーゼDは、リン脂質1g当たり、0.05〜0.2重量比、好ましくは0.1〜0.15重量比で使用することができる。ホスホリパーゼDは、微生物由来、キャベツ等の植物由来のものを使用することができる。
上記の酵素反応は、当該技術分野において公知の方法を用いて行うことができ、例えば35〜45℃で20〜24時間、酢酸エチル等の溶媒中で行うことができる。
本発明で使用するPSは、動物の組織から抽出することによって得ることもできる。
本発明の脳萎縮抑制剤による脳萎縮抑制効果は、CT、MRI、PET等の画像検査により確認することができる。また動物実験を行い、全脳の摘出及び脳重量の測定により直接的に確認することもできる。また、本発明の脳萎縮改善効果に伴い、記憶能力、学習能力等の改善、アルツハイマー病の症状の改善、症状の進行の抑制などの効果も確認される。また本発明の脳萎縮抑制効果は、脳内のSOD(Superoxide Dismutase)活性、GSH-Px(Glutathione peroxidase)活性やMDA濃度の測定による脳内抗酸化能の評価、マイクログリア細胞のマーカーとしてのIba-1(Ionized calcium binding adaptor molecule 1)発現量測定、脳老化のマーカーとしてのIGF-1(Insulin-like Growth factor 1)発現量測定等によっても確認することができる。
本発明は、脳萎縮に関連する疾患の治療又は予防のために使用することができる。脳萎縮に関連する疾患としては、例えば、アルツハイマー病、健忘症、記憶障害、運動障害などが挙げられる。
本発明の脳萎縮抑制剤は、必要に応じ、従来公知の脳機能改善効果のある成分、例えば、ビタミン類(例えば、ビタミンB6、ビタミンC)、g−アミノ酪酸(GABA)、アスタキサンチン、アラキドン酸、魚油、レシチン、天然ポリフェノール類(例えば、いちょう葉エキス)等と組み合わせて用いてもよい。本発明の脳萎縮抑制剤は、必要に応じ、従来公知の着色剤、保存剤、香料、風味剤、コーティング剤、抗酸化剤、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、及びミネラル分(鉄、亜鉛、マグネシム、ヨード等)等の成分を含有していてもよい。
ここで、抗酸化剤の例としては、トコフェロール、乾燥酵母、グルタチオン、リポ酸、ケルセチン、カテキン、コエンザイムQ10、エンゾジノール、プロアントシアニジン類、アントシアニジン、アントシアニン、カロチン類、リコピン、フラボノイド、リザベラトロール、イソフラボン類、亜鉛、メラトニン、イチョウ葉、月桃葉、ハイビスカス、又はそれらの抽出物が挙げられる。
ビタミンの例としては、ビタミンA群(例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン、及びそれらの塩)、ビタミンB群(例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトール、パンガミン酸及びそれらの塩、ビタミンC群(アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体、及び薬理学的に許容されるそれらの塩)、ビタミンD群(例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、及び薬理学的に許容されるそれらの塩)、ビタミンE群(例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体及びそれらの薬理学的に許容される塩)、その他のビタミン(例えば、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン(ビタミンP)、エリオシトリン、ヘスペリジン、及び薬理学的に許容されるそれらの塩が挙げられる。
アミノ酸の例としては、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、チロシン、システイン、ヒスチジン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、グリシルグリシン、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、シスチン、又は薬理学的に許容されるそれらの塩が挙げられる。
本発明の脳萎縮抑制剤は、医薬組成物、機能性食品、健康食品、サプリメント等に適した形態、例えば顆粒剤(ドライシロップを含む)、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、錠剤(チュアブル剤などを含む)、散剤(粉末剤)、丸剤などの各種の固形製剤、又は内服用液剤(液剤、懸濁剤、シロップ剤を含む)などの液状製剤などの形態で調製してもよい。
製剤化のための添加物としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤、分散剤、湿潤剤、防腐剤、粘稠剤、pH調整剤、着色剤、矯味矯臭剤、界面活性剤、溶解補助剤が挙げられる。また、液剤の形態にする場合は、ペクチン、キサンタンガム、グアガムなどの増粘剤を配合することができる。また、コーティング剤を用いてコーティング錠剤にしたり、ペースト状の膠剤とすることもできる。さらに、他の形態に調製する場合であっても、従来の方法に従えばよい。
さらに、本発明の脳萎縮抑制剤は、例えば、飲料、菓子類、パン類、スープ類などの各種飲食品又はその添加成分として使用することができる。これらの飲食品の製造方法は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、各用途で当業者によって使用されている方法に従えばよい。
さらに、本発明の脳萎縮抑制剤は、ヒト以外の動物の飼料又はその添加成分として使用することができる。飼料はそれぞれの動物に通常投与する飼料に配合すればよく、マッシュ、フレーク、クランブル、微粉砕、顆粒、モイストペレット、ドライペレット、EPペレット等、飼料の性状は問わず使用することができる。これらの飼料の製造方法は、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されず、各用途で当業者によって使用されている方法に従えばよい。
以下に示す実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
[実施例1] ホスファチジルコリンの製造
2009年2月から11月に南極海にて漁獲したナンキョクオキアミ(10t)を漁獲直後に採肉機(バーダー社製、型式BAADER605)にて圧搾し、圧搾液(3t)を得た。この圧搾液を800kgずつステンレスタンクに収納し、140℃の水蒸気を直接投入することにより加熱した。約60分の加熱において85℃達温を確認して加熱を停止した。タンク底部のバルブを開放し、目合い2mmメッシュを通過する液状成分を自然落下により除去し、固形分(熱凝固物)は同量の水をシャワリングすることにより洗浄した後、アルミ製のトレイに12kgずつ収納してコンタクトフリーザにより急速冷凍した。得られた凝固物の総重量は2.25tであった。
当該冷凍品(1t)を水(3000リットル)に投入し、これを撹拌しながら加熱して65℃に達温後10分保持した。24メッシュナイロンを用いて水切りし、固形分を3000リットルの水(20℃)に投入した。15分の撹拌後、24メッシュナイロンにて水切りし、さらに遠心脱水機(タナベ製遠心分離機 O−30、15秒)で処理して水分73%程度の固形分を得た。この固形分にトコフェロール0.3%を添加し、ミキサーでよく混和し、熱風温度70〜75℃にて3.2時間乾燥し、洗浄・乾燥物を得た(170kg)。同様にして他の冷凍品を処理した。
当該洗浄・乾燥物(300kg)に99%エタノール(1200リットル)を添加し、60℃に加温して2時間撹拌した。その後ナイロンの100メッシュを用い自然落下法により固液分離して抽出液A及び抽出粕Aを得た。抽出粕Aに99%エタノール(800リットル)を添加し、60℃に加温して2時間撹拌後ナイロン100メッシュを用いて固液分離し、抽出液B及び抽出粕Bを得た。抽出粕Bに99%エタノール(700リットル)を添加し、60℃に加温して2時間撹拌後ナイロン100メッシュを用いて固液分離し、抽出液C及び抽出粕Cを得た。抽出液A及びB及びCを合一すると2021kgとなった。これを液温60℃以下で減圧濃縮し、エタノール及び水を溜去し、抽出脂質(145.0kg)を得た。得られた抽出脂質の成分及び脂肪酸組成を表1及び表2に示す。
当該抽出脂質をシリカゲル(旭硝子株式会社、マイクロスフェアゲル、型番:M.S. GEL SIL、300g)カラムに吸着させた。カラムにクロロホルムを添加して中性脂質を洗い流した後、メタノールを添加することによってリン脂質画分(0.228g)を回収した。熱凝固物の乾燥品10g中の脂質含量は、4.72gであった。
当該リン脂質画分をクロロホルム:メタノール:水=65:25:4の展開溶媒を用いる薄層クロマトグラフィーに供することによって脂質成分を分離させた。薄層自動検出装置(株式会社三菱化学ヤトロン、型式イアトロスキャン(登録商標)MK−6)を用いて脂質成分を定量した。その結果、当該リン脂質画分には、ホスファチジルコリン(96重量%)及びホスファチジルエタノールアミン(4重量%)が存在することがわかった。
上記リン脂質画分中の脂肪酸を三フッ化ホウ素中でメチルエステル化し、以下の条件に設定したガスクロマトグラフィーに供することにより、脂肪酸組成を分析した。
ガスクロマトグラフィー:アジレント・テクノロジー株式会社、型式6890N
カラム:DB−WAX(J&W Scientific、型番:122−7032)
キャリアガス:ヘリウム
検出器:水素イオン化検出器
分析結果を以下に示す(表3)。
[実施例2] ホスファチジルセリン含有組成物の製造
L−セリン(200g)を酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6、400ml)に入れ、放線菌由来のホスホリパーゼD(4000unit/g、2g)を加えた後、40℃で攪拌してセリンを完全に溶解させた。当該溶解液を、アスタキサンチン(340ppm)、及びPC(35重量%)を含有するオキアミ由来のリン脂質(PC30)(100g)が溶解された酢酸エチル(500ml)と混合し、200rpmで攪拌しながら40℃で24時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を静置することによって分離した上層部を回収した。これを水で3回洗浄することによって残余のセリンと酵素を除去した。溶媒層を濃縮することによってPSを含有する組成物(85.2g、リン脂質に対する収率:85.2%)を得た。当該組成物中のPS、EPA、及びDHA含量を分析した結果を以下に示す(表4)。
[実施例3] ホスファチジルセリン含有組成物の製造
L−セリン(200g)を酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.6、400ml)に入れ、放線菌由来のホスホリパーゼD(4,000unit/g、2g)を加えた後、40℃で攪拌してセリンを完全に溶解させた。当該溶解液に、アスタキサンチン(450ppm)、及びPC(45重量%)を含有するオキアミ由来のリン脂質(PC45)(100g)を酢酸エチル(500ml)に溶解させた溶液を混合した後、200rpmで攪拌しながら40℃で24時間反応させた。
反応終了後、反応溶液を静置することによって分離した上層部を回収した。これを水で3回洗浄することによって残余のセリンと酵素を除去した。溶媒層を濃縮することによってPSを含有する組成物(85.9g、リン脂質に対する収率:85.9%)を得た。当該組成物中のPS、EPA、及びDHA含量を分析した結果を以下に示す(表6)。
反応の原料と生成物のリン脂質組成を以下の条件で高速液体クロマトグラフィーにより測定し、結果を図26に示した。リゾリン脂質が増加することなく、PCがPSに変換したことが確認された。
HPLC分析条件
1.分析機器:Jasco LCSS-905(日本分光)
2.カラム:Develosil 60-5, I.D 4.6x150mm
3.カラム温度:40℃
4.移動相:A:クロロホルム
B:メタノール/水 (95:5、vol/vol)
5.流速: 1.0 mL/分
6.注入量:5μL
7.検出器:3300 ELSD(Alltech)
ドリフトチューブ温度 50℃
ネブライザー温度 30℃
ガス:窒素
8.グラジエントシステム
[比較例1]
実施例1に記載の製造方法により得られた抽出脂質の特性を確認するため、他社製品のオキアミオイルと比較分析試験を行った。4つのロットの本発明の抽出脂質と、他社製のオキアミオイル2品について、AOAC 969.17に記載の方法により酸価を測定し、以下の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりリン脂質組成を測定した。その結果を表8に示す。
HPLC分析条件
1.分析機器:Alliance e2695(Waters)
2.カラム:SunFire Silica 5μm, I.D. 4.6×150mm
3.カラム温度:45℃
4.移動相:A:クロロホルム
B:メタノール/水 (95:5、vol/vol)
5.流速:1.0 mL/分
6.注入量:5μL
7.検出器:2424 ELSD
ドリフトチューブ温度 50℃
ネブライザー温度 30℃
ガス:窒素
8.グラジエントシステム
[試験例1] 脳萎縮抑制試験
脳萎縮モデル動物として認められている老化促進マウスSAMP10(Senescence-accelerated mouse P10)を用いて、リン脂質の脳萎縮防止と脳機能改善試験を行った。オキアミ由来のホスファチジルコリンを含有する組成物及びホスファチジルセリンを含有する組成物の効果を評価した。
(1)試験動物
試験では、First Teaching Hospital of Tianjin University of Traditional Chinese Medicine (SCXK2008-0001, No.0001375, Tianjin, China) から購入したSPF動物(Specific Pathogen Free animals、SPF)を使用した。コントロール群と各投与群用としてSAMP10(2ヶ月齢、オス)、正常比較群用としてSAMR1(ベース群用、2ヶ月齢、オス)をそれぞれ購入し、室温23±2℃、湿度50±10%、人工照明12時間明暗切替、SAM用飼料、滅菌水の条件で5或いは10匹/ケージの条件で飼育した。
各動物を、7日間馴化後、体重に応じ、ランダムで以下のように群分けした:
SAMR1群:12匹/群
SAMP10群:15匹/群(試験終了時、各群生存動物数:10〜13匹)。
なお、脳萎縮モデル動物であるSAMP10の特徴については以下の文献を参照されたい。
1. A. Shimada, Age-dependent cerebral atrophy and cognitive dysfunction in SAMP10 mice, Neurobiology of Aging, 20:125-136, 1999;
2. A. Shimada, M. Hosokawa, et al, Localization of atrophy-prone areas in the aging mouse brain : comparison between the brain atrophy model SAM-P/10 and the normal control SAM-R/1, Neuroscience, 59(4) : 859-869, 1994;
3. A. Shimada, A. Ohta, et al, Inbred SAM-P/10 as a Mouse Model of Spontaneous, Inherited Brain Atrophy, J of Neuropath and Exper Neurology, 51(4) : 440-450, 1992;
3. A. Shimada, H. Keino, et al, Age-related Loss of Synapses in the Frontal Contex of SAMP10 mouse : A Model of Cerebral Degeneration, SYNAPSE, 48 : 198-204, 2003;
4. A. Shimada, H. Keino, et al, Age-related Progressive Neuronal DNA Damage Associates With Cerebral Degeneration in a Mouse Model of Accelerated Senescence, J of Gerontology : BIOLOGICAL SCIENCE, 57A : B415-B421, 2002;
5. T. Sasaki, K. Unno, et al, Age-related increase of superoxide generation in the brains of mammals and birds, Aging Cell, 7 : 459-469, 2008;
6. A. Shimada, A. Ohta, et al, Age-related deterioration in conditional task in the SAM-P/10 mouse, an animal model of spontaneous brain atrophy, Brain Research, 608 : 266-272, 1993.
(2)試験過程
投与サンプルとして以下のものを使用した:
・実施例1で製造したオキアミ由来のホスファチジルコリン(Krill Phosphatidylcholine、K-PC:40重量%)。
・実施例3で製造したオキアミ由来のホスファチジルセリン(Krill Phosphatidylserine、K-PS:40重量%)。
・生理食塩水(比較群用)。
投与サンプルは、一日一回、45日間と90日間連続で経口投与した。投与群と投与量を以下に示す:
SAMR1群:SAMR1、生理食塩水 0.2ml/匹投与(45日投与)
Cont群:SAMP10、生理食塩水 0.2ml/匹投与(45日と90日投与)
PC群:SAMP10、K-PC 0.2ml/匹投与(45日と90日投与)
PS群;SAMP10、K-PS 0.2ml/匹投与(45日と90日投与)
PC+PS:SAMP10、K-PC 0.1ml/匹 + K-PS 0.1ml/匹投与(45日と90日投与)。
投与最終日に以下に説明する行動試験を行い、その翌日より動物を安楽死させ、各試験用臓器を摘出した。試験過程を図1に示す。
(3)ステップダウン試験(Step-Down Test)
動物を試験装置(図2)に入れ、3分間順応させた後、動物を下段(感電段)に置き、直ちに36Vの電流を流し、動物の足に電気ショックを与えた。電気ショックを受けた動物が本能的回避行動を取り上段(安全段)に逃げてから試験を開始する。試験は5分間に動物が上段から下段に降りてくる回数:エラー回数(Error count)と下段に滞在する時間:エラー時間(Error time)を記録し、記憶能力を評価した。
試験結果として図3にエラー回数を、及び図4にエラー時間を示す。図3において各群Step Down Test試験エラー回数を比較すると、SAMR1群及び45日Cont.群に比べて、90日Cont.群は顕著にエラー回数が増加しており、加齢による記憶能力の衰退を示している。90日Cont.群に比べPS群は有意な改善効果を示し、PCとPC+PS群は改善傾向を示した。
図4において、90日の各群Step Down Test試験エラー時間を比較すると、SAMR1群に比べてCont.群は顕著にエラー時間を増加しており、加齢による記憶能力の衰退を示している。90日Cont.群に比べPC群は有意な改善効果を示し、PC+PSとPS群は改善傾向を示した。
(4)Y字迷路試験(Y Maze Test)
動物を試験装置(図5)に入れ、各アームに複数回の出入り行動が確認されるまで3〜5分間順応させた。その間、居場所が安全であることを認識させるためライトを点灯させ、電気ショックなしのアームにライトを点灯させることにより、ライトが点灯しているアームは安全区であることを認識させた。その後、動物の居るアームを起点として、30〜40Vの電流を流し、5秒間動物の足に電気ショックを与えて試験を開始する。この試験は、3本のアームの内、手動操作により常に2本は電流を流し、残り1本のアームは安全区とし、ライトを点灯する仕組みとなっている。電気ショックを受けた動物は本能的に回避行動を取り、他のアームに逃げ込むようになる。安全区に入り込んだ動物に対して、点灯時間を5秒間継続させ、その後スイッチ通電に切替え、このアームを起点として次の電気ショックを与えた。試験は、この電気ショック→回避の行動を繰り返し、10回電気ショックのうち、動物が9回連続安全区に入り、正確の回避行動を取れるまでの時間を記憶所要時間(Total Used Time)として記録した。
試験結果を図6に示す。90日の各群Y迷路試験総用時間を比較すると、SAMR1群に比べてCont.群は顕著に所用時間を増加しており、加齢による記憶能力の衰退を示している。90日Cont.群に比べPC+PSとPS群は有意な改善効果を示した。
(5)脳重量
摘出した全脳を正確に縦で切り、まず脳を左脳と右脳に分けた。次に正確に半脳を真ん中より横で切り、半脳前脳(Half Brain Front Part)と半脳後脳(Half Brain Rear Part)に分け、それぞれの重量を測って、脳重量比(脳重量/体重、Brain Weight Rate)を算出した。
測定結果を図7〜9に示す。図7においてAMP10動物半脳重量の比較を比較すると、45日Cont.群に比べて、90日Cont.群の半脳重量はあまり変化がない一方で、半脳前部重量は減少傾向を示し、加齢による脳萎縮現象が確認された。図8において、90日の半脳前部重量を比較すると、90日Cont.群に比べて、PC投与群、PC+PS投与群とPS投与群は増加傾向を示した。図9において、90日の各群全脳重量を比較すると、90日Cont.群に比べて、PC+PS投与群とPS投与群は有意な増加効果を示した。
(6)脳神経
右半脳を4%のパラホルムアルデヒド溶液で固定し、定法により脱水、パラフィン包埋を行った。その後、この包埋脳サンプルを5μmの厚さで切片し、ヘマトキシリン・エオシン染色を行い、海馬体(Hippocampus)や大脳皮質(Cerebral cortex)部位の神経小体(Nissl Body)密度について蛍光顕微鏡(Eclipse 50i, Nikon)で同じエリア(視野)からキャッチした感光量を測定した。
神経小体(Nissl Body)密度について、海馬体の神経小体からの感光量に関するグラフを図10に、大脳皮質の神経小体からの感光量に関するグラフを図11に示す。45日の各群海馬体Nissl Body密度の比較において(図10)、SAMR1群に比べて、45日Cont.群は減少傾向を示した。また45日Cont.群に比べて、各投与群とも有意な改善効果を示した。90日の各群大脳皮質Nissl Body密度の比較において(図11)、SAMR1群に比べて90日Cont.群は有意に減少した。また90日Cont.群に比べて、PC+PS投与群とPS投与群は有意な改善効果を示し、PC投与群は改善傾向を示した。
包埋脳サンプルを5μmの厚さで切片し、アルコール溶液でパラフィンを除去し、リン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS、pH 7.4)、クエン酸緩衝液(10mMクエン酸ナトリウム、0.05%トゥイーン20、pH 6.0)で洗浄した後、10μg/mlプロテイナーゼK溶液(20mg/ml、プロテイナーゼK、1M Tris-HCl、0.5 M EDTA、pH 8.0)でタンパク結合を切断し、50μlヤギ血清添加4℃条件化で、IGF-1抗体(Anti-Rabbit、1:100、Santa Cruz Biotechnology、USA)と一晩免疫反応をさせた。その後、この免疫反応液をリン酸緩衝液で洗浄し、3, 3′-diaminobenzidine(DAB)より発色させ、蛍光顕微鏡でIGF-1(Insulin-like Growth factor 1)陽性反応の強度を測定した。
結果を図12に示す。45日の各群脳内IGF-1濃度の比較において、SAMR1群に比べて、45日Cont.群は減少傾向を示した。45日Cont.群に比べて、各投与群とも顕著な改善効果を示した。
(7)脳内抗酸化能と過酸化物質
左半脳を低温、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)条件下でホモジナイズした後、緩衝液[20mM Tris (pH 7.5)、150mM NaCl、1%Triton X-100]の中に溶解し、溶液を12,000rpm、20分間遠心し、上澄液を用いて、脳内のSOD活性とMDA濃度と測定した。SOD(Superoxide Dismutase)活性は、Total Superoxide Dismutase Assay Kit with WST-1(Beyotime Institute of Biotechnology, China)を用いて測定した。MDA(Malondialdehyde)濃度は、Lipid Peroxidation MDA Assay Kit(Beyotime Institute of Biotechnology, China)を用いて測定した。
各群脳内SOD濃度のグラフを図13に示す。5日の各群脳内SOD濃度の比較において、SAMR1群に比べて、45日Cont.群は顕著に減少しており、45日Cont.群に比べて、各投与群とも有意な改善効果を示した。
各群脳内MDA濃度のグラフを図14に示す。90日の各群脳内MDA濃度の比較において、SAMR1群及び45日Cont.群に比べて、90日Cont.群のMDA濃度は顕著に増加した。90日Cont.群に比べて、各投与群とも有意な改善効果を示した。
なお、試験例1の結果を示すグラフにおいて、有意差の表示については、*)p < 0.05、**)p < 0.01、***)p < 0.001を示す(Mean±SE、T test、vs Control)。
[試験例2] 脳萎縮抑制試験
老化促進マウスSAMP10(Senescence-accelerated mouse P10)を用いて、リン脂質の脳萎縮防止と脳機能改善試験を行った。ホスファチジルセリンを含有する組成物の効果を評価した。
(1)試験動物
試験ではSPF動物(Specific Pathogen Free animals、SPF)を使用した。コントロール群と各投与群用としてSAMP10(2ヶ月齢、オス)、正常比較群用としてSAMR1(ベース群用、2ヶ月齢、オス)をそれぞれ購入し、試験例1と同条件で飼育した。
各動物を、7日間馴化後、体重に応じ、ランダムで以下のように群分けした:
SAMR1群:10〜11匹/群
SAMP10群:13匹/群(試験終了時、各群生存動物数:11〜13匹)。
(2)試験過程
投与サンプルとして以下のものを使用した:
・実施例3で製造したオキアミ由来のホスファチジルセリン(Krill Phosphatidylserine、K-PS:40重量%)。
ヤシ油を原料として製造したMedium Chain Triglyceride(MCT:containing 58.3% octanoic acid and 41.3% decanoic acid in fatty acid composition, 比較群用とサンプル希釈用)。
投与サンプルは、一日一回、75日間連続で経口投与した。投与群と投与量を以下に示す:
SAMR1 5M群:SAMR1、投与前(5ヶ月齢)
SAMR1 7.5M群:SAMR1、MCT 5ml/kg投与(7.5ヶ月齢)
SAMP10 5M群:SAMP10、投与前(5ヶ月齢)
SAMP10 7.5M群:SAMP10、MCT 5ml/kg投与(7.5ヶ月齢)
K-PS-L群:SAMP10、K-PS 10mg/kgになる様に5ml/kgの投与量で投与(7.5ヶ月齢)
K-PS-H群;SAMP10、K-PS 100mg/kgになる様に5ml/kgの投与量で投与(7.5ヶ月齢)。
投与最終日に以下に説明する行動試験を行い、その翌日より動物を安楽死させ、各試験用臓器を摘出した。試験過程を図15に示す。
(3)ステップダウン試験(Step-Down Test)
図2の試験装置を用いて試験例1と同じ手法でステップダウン試験を行った。試験は動物が最初に上段から下段に降りてくるまでの時間:潜伏時間(Latency)と5分間に動物が上段から下段に降りてくる回数:エラー回数(Error count)を記録し、記憶能力を評価する。試験結果として図16にエラー回数を、及び図17に潜伏時間を示す。
図16において各群のエラー回数を比較すると、MCTを投与した7.5M群に比べK-PS-L群は有意な改善効果を示し、K-PS-H群は改善傾向を示した。また図17において各群の潜伏時間を比較すると、MCTを投与した7.5M群に比べK-PS-L群は有意な改善効果を示し、K-PS-H群は改善傾向を示した。
(4)大脳新皮質
摘出した全脳を10%中性緩衝ホルマリン中に2週間固定した。その後、図18に示すようにポイントC付近の組織について100μmの厚みで脳組織切片を作成し、Image-Pro Plus software(version 4.0, Media Cybernetics, Bethesda, MD)を用いてポイントCの新皮質の横断面積と新皮質層の厚みを測定した。
新皮質の横断面積の結果について図19に、新皮質層の厚みについて図20にそれぞれ示す。図19においてMCTを投与した7.5M群に比べ、K-PS-L群の新皮質の横断面積は有意に増加し、K-PS-H群では増加傾向を示した。図20においてMCTを投与した7.5M群に比べ、K-PS-H群の新皮質層の厚みは有意に増加し、K-PS-L群では増加傾向を示した。
(5)脳神経
摘出した全脳を4%のパラホルムアルデヒド溶液で固定し、定法により脱水、パラフィン包埋を行った。その後、この包埋脳サンプルを5μmの厚さで切片し、ヘマトキシリン・エオシン染色を行い、試験例1(5)と同様の手法により光学顕微鏡で海馬体(Hippocampus)や大脳皮質(Cerebral cortex)部位の神経小体(Nissl Body)密度を観察した(図21)。
5μmの厚さで切片し、アルコール溶液でパラフィンを除去し、リン酸緩衝生理食塩水溶液(PBS、pH 7.4)、クエン酸緩衝液(10mMクエン酸ナトリウム、0.05%トゥイーン20、pH 6.0)で洗浄した後、10μg/mlプロテイナーゼK溶液(20mg/ml、プロテイナーゼK、1M Tris-HCl、0.5 M EDTA、pH 8.0)でタンパク結合を切断し、50μlヤギ血清添加4℃条件化で、Iba-1抗体(Anti-goat、1:100、Abcam, United Kingdom)とIGF-1抗体(Anti-Rabbit、1:100、Santa Cruz Biotechnology、USA)と一晩免疫反応をさせた。その後、この免疫反応液をリン酸緩衝液で洗浄し、3, 3’-diaminobenzidine(DAB)より発色させ、蛍光顕微鏡でIba-1(Ionized calcium binding adaptor molecule 1)とIGF-1(Insulin-like Growth factor 1)陽性反応の強度を測定した。
Iba-1濃度についての結果を図22に、IGF-1濃度についての結果を図23にそれぞれ示す。図22に示されるIba-1はマイクログリア細胞のマーカーであり、マイクログリア量の上昇は脳の老化を表すと考えられている。対照マウス群(SAMR1)では5ヶ月齢(5M)および7.5ヶ月齢(7.5M)で特に変化がない。老化促進マウス群(SAMP10)では5ヶ月齢(5M)と比べて7.5ヶ月齢(7.5M)でマイクログリア量が大きく上昇しており、脳の老化・萎縮が進行したことが示唆される。一方で、K-PS投与群(K-PS-L群およびK-PS-H群)ではマイクログリア量の上昇がほぼ抑えられている。
図23に示されるIGF-1は脳の老化マーカーであり、IGF-1量の減少は脳の老化を表すと考えられている。対照マウス群(SAMR1)では5ヶ月齢(5M)および7.5ヶ月齢(7.5M)で特に変化がない。老化促進マウス群(SAMP10)では5ヶ月齢(5M)と比べて7.5ヶ月齢(7.5M)でIGF-1量が大きく減少しており、脳の老化・萎縮が進行したことが示唆される。一方で、K-PS投与群(K-PS-L群およびK-PS-H群)ではIGF-1の減少がほぼ抑えられている。
(6)脳内抗酸化能と過酸化物質
左半脳は低温、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)条件下でホモジナイズした後、緩衝液[20mM Tris (pH 7.5)、150mM NaCl、1%Triton X-100]の中に溶解し、溶液を12,000rpm、20分間遠心し、上澄液を用いて、脳内のGSH-Px活性とMDA濃度と測定した。GSH-Px(Glutathione peroxidase)活性はGSH-Px Elisa Kit(Beyotime Institute of Biotechnology, China)を用いて測定した。MDA(Malondialdehyde)濃度はLipid Peroxidation MDA Assay Kit(Beyotime、China)を用いて測定した。
各群脳内GSH-Px濃度のグラフを図24に、各群脳内MDA濃度のグラフを図25に示す。図24に示されるGSH-Pxは抗酸化能を表すマーカーである。、対照マウス群(SAMR1)および老化促進マウス群(SAMP10)のいずれにおいても5ヶ月齢(5M)と比べて7.5ヶ月齢(7.5M)ではGSH-Pxの減少が認められた。一方で、K-PS投与群(K-PS-L群およびK-PS-H群)ではGSH-Pxの減少量の抑制が認められた。
図25に示されるMDAは抗酸化能を表すマーカーである。老化促進マウス群(SAMP10)では5ヶ月齢(5M)と比べて7.5ヶ月齢(7.5M)ではMDA量は顕著に上昇した。一方で、K-PS投与群(K-PS-L群およびK-PS-H群)では5ヶ月齢(5M)と比べてMDAの増加抑制または減少が認められた。
なお、試験例2の結果を示すグラフにおいて、有意差の表示については、*)p < @@@、**)p < @@@、***)p < @@@、#)p < @@@、##)p < @@@、###)p <@@@、▲)p < @@@、▲▲)p < @@@、&&&)p < @@@を示す(Mean±SE、T test、vs Control)。

Claims (12)

  1. 高度不飽和脂肪酸を構成脂肪酸として含むリン脂質を有効成分として含有する脳萎縮抑制剤。
  2. 高度不飽和脂肪酸がn−3系高度不飽和脂肪酸である、請求項1に記載の脳萎縮抑制剤。
  3. n−3系高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸又はドコサヘキサエン酸である、請求項2に記載の脳萎縮抑制剤。
  4. リン脂質がホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトールからなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脳萎縮抑制剤。
  5. リン脂質がホスファチジルセリンである、請求項4に記載の脳萎縮抑制剤。
  6. 精製されたオキアミオイル及び/又はオキアミオイルを基質とした酵素反応生成物を有効成分として含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の脳萎縮抑制剤。
  7. 精製されたオキアミオイルが、リン脂質を40重量%以上含有し、脂肪酸中に占めるn-3系高度不飽和脂肪酸の割合が20重量%以上である、請求項6に記載の脳萎縮抑制剤。
  8. 精製されたオキアミオイルのリン脂質の組成が、ジアシルグリセロリン脂質を90重量%以上、リゾアシルグリセロリン脂質を6重量%以下含有するものである請求項6に記載の脳萎縮抑制剤。
  9. 精製されたオキアミオイル及び/又はオキアミオイルを基質とした酵素反応生成物が、オキアミ全体またはその部分を圧搾して圧搾液を得、圧搾液に含まれるタンパク質が凝固する温度に圧搾液を加熱し、脂質成分を含む固形分と水溶性成分を含む水分を固液分離し、得られた脂質含有固形分又はそれを乾燥させた脂質含有乾燥物を水洗いし、脱水及び/又は乾燥した後、それら脂質含有固形分又は脂質含有乾燥物から脂質を抽出する方法によって得られるオキアミオイル、又は、それを原料として製造したフォスファチジルセリン含有油脂である請求項6に記載の脳萎縮抑制剤。
  10. 脂質を1〜10000mg/50kg体重/日で対象に投与するための、請求項1〜9のいずれか1項に記載の脳萎縮抑制剤。
  11. 加齢による脳萎縮の抑制に使用される請求項1〜9のいずれか1項に記載の脳萎縮抑制剤。
  12. アルツハイマー病の治療又は予防に使用される請求項1〜9のいずれか1項に記載の脳萎縮抑制剤。
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