JP2016145514A - 地盤改良装置および地盤改良工法 - Google Patents

地盤改良装置および地盤改良工法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来と同等の改良体を造成できる新たな地盤改良装置を提供する。【解決手段】地盤改良装置は、地盤に貫入させた状態で改良材を排出可能なケーシングパイプ(CP)と、CP下端から排出された改良材に対して下向きの応力を加えるとともに、該改良材を外側方向に移動させるスクリュータイプの底面爪と、CPの下端側外周面に設けられた拡縮可能な回動式の可動爪と、改良材の排出を促すためのインナースクリューと、CPから排出された改良材の共回りを防止する共回り防止翼を有する。スクリュータイプの底面爪はCPと一体回転する。可動爪は、CP引き抜き時に改良径に相当する範囲の地盤を移動させる。また可動爪は、拡径位置にあるときに、CP下端開口部から排出された材料を底面爪の方へ誘導する。このような構成により、従来技術のようにインナースクリュー用の回転駆動装置などを設けなくても、従来と同等の締固め杭を造成できる。【選択図】図9

Description

本発明は、地盤改良材を地盤内で排出して砂杭などの地盤改良体を造成するための地盤改良装置と、これを用いた地盤改良工法に関するものであり、特に、低振動・低騒音で地盤改良体を造成する静的締固め工法の技術に関するものである。
特許文献1には、本願出願人によって提案された先行技術であって、地盤中に地盤改良材を充填して土中杭を造成する地盤改良装置が記載されている。
特許文献1に記載された地盤改良装置は、円筒鋼管からなり地盤中の所定深度まで貫入されるケーシングパイプと、該ケーシングパイプを鉛直方向に昇降可能に支持するリーダと、前記ケーシングパイプを軸周りに回動させるケーシング回転駆動装置と、前記ケーシングパイプに砂杭材料などの改良材を送り込むホッパーなどを備えている。
更にこの地盤改良装置は、上記構成に加えて、ケーシングパイプからの改良材の強制排出や該材料の締固めなどを担うインナースクリューと、該スクリューを回動させるためのスクリュー回転駆動装置を備えている。インナースクリューは、ケーシングパイプから独立して回転駆動するように設けられている。
上記装置を用いた地盤改良工事では、回動するインナースクリューによってケーシングパイプ内の改良材を強制排出するとともに、該改良材に対してインナースクリューの回転トルクを作用させることで、地盤中に拡径、締固めされた砂杭を造成することができる。
特許第4232952号公報
特許文献1に開示された技術は、上述したインナースクリューによる優れた効果が認められ、わが国において商業的成功を収めるに至っているが、一方で、回転駆動式のインナースクリューやその回転駆動装置を設けたことで機械構成が複雑となり、その操作も複雑になるといったことが課題として指摘されている。
そこで、上述した課題に鑑み、本発明の目的は、回転駆動式のインナースクリューやその回転駆動装置が無くても従来と同等の効果(改良材の締固めや拡径)を達成することができる地盤改良装置および地盤改良方法を提供することにある。
上記目的は、
地盤に貫入させた状態で改良材を排出可能なケーシングパイプと、
ケーシングパイプの下端に設けられ、該ケーシングパイプの下端開口部から排出された改良材を外側方向に移動させるための改良材移動手段と、を具備し、
前記改良材移動手段が前記ケーシングパイプと一体回転可能に設けられている、ことを特徴とする地盤改良装置によって達成される。
前記改良材移動手段は、ケーシングパイプの下端開口部の真下に設けられている。
前記改良材移動手段は、ケーシングパイプの下端開口部から排出された改良材に対して下向きの応力を加えるように設けられている。
前記地盤改良装置は更に、ケーシングパイプの下端側外周面に設けられ、ケーシングパイプの下端から突き出るように設けられた爪部材を具備している。
前記改良材移動手段は、前記ケーシングパイプと一体回転する前記爪部材の後方に生じた空隙に向かって改良材を移動させるように設けられている。
前記地盤改良装置は更に、ケーシングパイプの下端側外周面に設けられ、縮径位置と拡径位置との間で回動可能に設けられた略ブレード状の爪部材を具備している。
前記爪部材は、底面視で長さが変わるように回動可能に構成されている。
前記爪部材は、拡径位置にあるときに、ケーシングパイプの下端開口部から排出された材料を前記改良材移動手段の方へ誘導するように設けられている。
前記地盤改良装置は更に、前記ケーシングパイプの内側に回転自在に設けられ、改良材の排出を促すためのインナースクリューを具備しており、前記改良材移動手段はスクリューを含んで構成され、前記インナースクリューは、前記改良材移動手段のスクリューとは逆向きの螺旋を有している。
前記地盤改良装置は更に、前記ケーシングパイプと前記改良材移動手段の間の高さ位置に設けられ、前記ケーシングパイプから排出された改良材の共回りを防止するための共回り防止手段を具備している。
前記地盤改良装置は更に、ケーシングパイプの下端開口部から排出された材料を前記改良材移動手段の方へ誘導する傾斜したガイド面を有する略ブレード状の爪部材を更に具備している。
また上記目的は、貫入したケーシングパイプを打ち戻すことなく引抜いて地盤内に改良体を造成する地盤改良工法であって、下端開口部の真下に改良材移動手段を一体的に具備するケーシングパイプを地盤に貫入し、目標深度に達したケーシングパイプを引抜くとともに、ケーシングパイプの下端開口部から改良材を排出し、ケーシングパイプの下端開口部から排出された改良材を、ケーシングパイプと一体回転する前記改良材移動手段により外側方向に移動させる、ことによって達成される。
上記地盤改良工法において、前記ケーシングパイプは、ケーシングパイプの下端側外周面に設けられ、ケーシングパイプの下端から突き出るように設けられた爪部材を更に具備しており、回転する前記爪部材の後方に生じた空隙に向かって、前記改良材移動手段により改良材を移動させる。
上記地盤改良工法において、前記ケーシングパイプは、ケーシングパイプの下端側外周面に設けられ、縮径位置と拡径位置との間で回動可能に設けられた爪部材を更に具備しており、前記爪部材が縮径位置にセットされた状態で、ケーシングパイプを正回転させながら地盤に貫入し、前記ケーシングパイプを逆回転させることで、地盤の抵抗を受けて前記爪部材が縮径位置から拡径位置になり、前記爪部材が拡径位置にある状態で、ケーシングパイプを逆回転させながらケーシングパイプを引抜くとともに、ケーシングパイプの下端開口部から改良材を排出する。
本発明の地盤改良装置は、ケーシングパイプ下端から排出された改良材を外側方向に移動させるための「改良材移動手段」を具備している。このような改良材移動手段を設けることで、地盤内に排出された改良材を拡径方向に拡げることが可能になるので、従来のような回転駆動式のインナースクリュー(回転駆動装置によって強制回転させるタイプのスクリュー)を設けなくても、従来と同等の改良体(拡径された地盤改良体)の造成を行うことができる。
そして、ケーシングパイプ内に回転駆動式のインナースクリューが不要になることで、インナースクリュー用の回転駆動装置が不要になる。
なお、例えばケーシングパイプ内にインナースクリューを設けない場合には、従来より細い径のケーシングパイプを採用することが可能になる。このような細いケーシングパイプを採用することで、ケーシングパイプの調達コストが安価になるのは勿論のこと、細くなることでケーシングパイプの貫入抵抗が大幅に低減するので、施工効率が飛躍的に向上する。
また本発明において、改良材移動手段は、ケーシングパイプの下端開口部の真下に設けられている。これにより、ケーシングパイプ下端から排出された改良材を、排出後に速やかに外側方向に移動させることが可能になり、その結果、ケーシングパイプからの改良材の排出を滞りなく進めることが可能になる。
また本発明において、改良材移動手段は、排出された改良材に対して下方向の応力(斜め下方向の応力を含む)を加えるように設けられている。これにより、排出された改良材に対して押圧力を印加でき、その押圧作用によって、地盤内に排出された改良材の密度が増加するので、地盤内に造成される改良体を確実に締固めることが可能になる。
また、改良材移動手段は、ケーシングパイプと一体回転しているときに改良材に対して押圧力(締固め力)を印加するので、改良材を締固めるためにケーシングパイプをわざわざ打ち戻す必要がない。つまり本発明によれば、ケーシングパイプを打ち戻すことなく連続して引抜くにもかかわらず、造成される改良体の拡径と締固めを同時に達成することができる。
さらに、ケーシングパイプを連続して引抜く過程で拡径と締固めが同時に進行するので、ケーシングパイプの打ち戻しが不要となって、その分、効率的な施工が可能となり、また工期の短縮を図ることも可能になる。
また本発明の地盤改良装置は、ケーシングパイプの下端側外周面に設けられる爪部材を更に具備している。この爪部材は、ケーシングパイプの下端から突き出るように設けられている。
このような爪部材をケーシングパイプ貫入時において該ケーシングパイプと一体回転させることで、原地盤が爪部材によって側方に押し込まれて移動するので、ケーシングパイプが貫入し易くなる。
また、爪部材をケーシングパイプ引抜時において該ケーシングパイプと一体回転させることで、ケーシングパイプ真下の周囲に空隙を発生させることができ、その空隙に改良材を移動させることで拡径された改良体を造成することが可能になる。
また本発明では、ケーシングパイプ貫入時において、ケーシングパイプとその先端側にある爪部材および改良材移動手段が一体回転し、改良材移動手段は、爪部材の後方に生じる空隙に向かって、ケーシングパイプ直下の地盤を掻き出す。したがって、ケーシングパイプと共に一体回転する爪部材と改良材移動手段の相互作用によって、ケーシングパイプが貫入し易くなる。
また、ケーシングパイプ引抜時においても、ケーシングパイプとその先端側にある爪部材および改良材移動手段が一体回転し(貫入時と同じ方向に回転し)、改良材移動手段は、爪部材の後方に生じた空隙に向かって改良材を掻き出す。このように爪部材後方に生じる空隙に向かって改良材を移動させることで、連続して発生する空隙に対して速やかに改良材を押し込むことができるので、地盤内に拡径した改良体をより確実に造成することが可能になる。
また本発明の地盤改良装置は、縮径位置と拡径位置との間で回動可能に設けられた爪部材を更に具備しており、この爪部材はケーシングパイプの下端側外周面に設けられている。ケーシングパイプの貫入時には、爪部材は「縮径位置」にあり、ケーシングパイプと一体回転する。ケーシングパイプの引抜時には、爪部材は「拡径位置」にあり、ケーシングパイプと一体回転する。
爪部材が縮径位置にある状態でケーシングパイプを貫入することで、縮径位置にある爪部材によって原地盤が側方に押し込まれて移動するので、ケーシングパイプが貫入し易くなる。また、爪部材が縮径位置にあることで、爪部材による貫入抵抗の増大を最小限に抑えることができる。また、爪部材は回動可能に設けられており、ケーシングパイプの回転方向を変えるだけで、周辺地盤の抵抗を利用して爪部材を簡単に拡縮(回動)させることができる。
ケーシングパイプの引抜時には、拡径位置にある爪部材によって改良径(ケーシングパイプの外径を超える径)に相当する範囲の地盤を移動させることができる。その結果、地盤内に排出された改良材を拡径方向に拡げることが可能になるので、回転駆動式のインナースクリューを設けなくても、従来と同等の改良体(拡径された地盤改良体)の造成を行うことができる。なお、ケーシングパイプ引抜時における爪部材の作用である「地盤を移動させる」とは、ケーシングパイプ下端から排出された材料が改良材移動手段に到達するように、且つ、排出された材料に対して改良材移動手段の作用を与えることができるように、回転する爪部材によって地盤に対して側圧を加えて側方に押し広げたり、ほぐしたりする等の複合的な作用を含む意味である。
また本発明の地盤改良装置が具備する爪部材は、拡径位置にあるときに、ケーシングパイプの下端開口部から排出された材料を改良材移動手段の方へ誘導するように設けられている。すなわち、拡径位置にある爪部材がケーシングパイプと一体回転する状況下で、ケーシングパイプの下端開口部から材料が排出されると、爪部材の底面(斜め下に傾斜した底部)によって、下方への押し込み作用が生じ、その結果、ケーシングパイプから排出された材料がその真下で側方へ逃げることなく改良材移動手段の方へ送り出されることになる。これにより、ケーシングパイプの下端開口部から排出された材料の殆どが、(改良材移動手段に到達する前に)側方に逃げることなく改良材移動手段に到達するようになる。したがって、ケーシングパイプから排出された材料に対して、改良材移動手段による拡径作用等を加えることができるようになる。
また本発明の地盤改良装置は、前記ケーシングパイプの内側に回転自在に(ケーシングパイプの内側で自由に回転できるように)設けられたインナースクリューを更に具備しており、このインナースクリューによって改良材の排出を促す(促進する)ようになっている。したがって、ケーシングパイプ内の材料を滞りなく改良材移動手段の方へ移動させることが可能になる。なお、このインナースクリューは、ケーシングパイプの内側で自由に回転できるように設けられるので、従来装置のようなインナースクリュー用の回転駆動装置は不要である。
また本発明の地盤改良装置は、ケーシングパイプから排出された改良材の共回りを防止するための共回り防止手段を更に具備しており、この共回り防止手段は、ケーシングパイプと改良材移動手段の間の高さ位置に設けられている。このような共回り防止手段を設けることで、排出された材料がケーシングパイプと共回りすることが防止され、また、排出された材料がケーシングパイプの下端開口部の真下(改良材移動手段の真上)で固結し塊となることが防止される。つまり、共回り防止手段によって、排出された材料の縁が切られて、ケーシングパイプ真下での材料の停滞や目詰まりが防止される。したがって、ケーシングパイプから連続排出される材料を滞りなく、かつ、側方へ逃がすことなく、改良材移動手段の方へ移動させることが可能になる。
また本発明の地盤改良工法は、貫入したケーシングパイプを打ち戻すことなく、連続したケーシングパイプの引抜きにより地盤内に改良体を造成する地盤改良工法である。この工法では、ケーシングパイプの下端開口部から排出された改良材を、ケーシングパイプと一体回転する改良材移動手段により外側方向に移動させる。これにより、地盤内に排出された改良材を拡径方向に拡げることができるので、従来技術のように施工装置に回転駆動式インナースクリューを設けなくても、従来と同等の改良体(拡径された地盤改良体)の造成が可能になる。
また本発明の地盤改良工法では、ケーシングパイプと一体回転する爪部材の後方に生じた空隙に向かって、改良材移動手段により改良材を移動させる。このように爪部材後方に生じた空隙に向かって改良材を移動させることで、連続して発生する空隙に対して速やかに改良材を押し込むことができるので、拡径された改良体をより確実に造成することが可能になる。
また本発明の地盤改良工法では、回動可能な爪部材を「縮径位置」にした状態で、ケーシングパイプを正回転させながら地盤に貫入し、また、爪部材が「拡径位置」にある状態で、ケーシングパイプを逆回転させながらケーシングパイプを引抜くとともに、ケーシングパイプの下端開口部から改良材を排出する。
このように爪部材を「縮径位置」にした状態でケーシングパイプを地盤に貫入することで、爪部材が拡径位置にある場合に比べて貫入抵抗が緩和される。また、「拡径位置」にある状態で引抜くことで、改良径に相当する範囲の地盤を移動させることができる。その結果、地盤内に排出された改良材を拡径方向に拡げることが可能になるので、従来装置のような回転駆動式のインナースクリューを設けなくても、従来と同等の改良体(拡径された地盤改良体)の造成を行うことができる。
本発明の地盤改良装置の一例を示す側面図と概略正面図である。 (a)は第1実施形態の地盤改良装置が具備するケーシングパイプとその周辺構造を概略的に示す正面図であり、(b)はケーシングパイプの下端側の構造を概略的に示す部分拡大図であり、(c)はケーシングパイプの底面側の構造を概略的に示す底面図である。 本発明の地盤改良工法の第1実施形態を示す工程図である。 第1実施形態の地盤改良装置が具備するケーシングパイプの底面側の構造を概略的に示す底面図であって、改良体造成時(ケーシングパイプ引抜き時)の機能作用を概略的に示している。 地盤改良装置における爪部材(側面爪)や改良材移動手段(底面爪)のレイアウトとその機能作用を例示する図であって、第1実施形態を示している。 地盤改良装置における爪部材(側面爪)や改良材移動手段(底面爪)のレイアウトとその機能作用を例示する図であって、第1実施形態の変形例1を示している。 地盤改良装置における爪部材(側面爪)や改良材移動手段(底面爪)のレイアウトとその機能作用を例示する図であって、第1実施形態の変形例2を示している。 地盤改良装置における爪部材(側面爪)や改良材移動手段(底面爪)のレイアウトとその機能作用を例示する図であって、第1実施形態の変形例3を示している。 第2実施形態の地盤改良装置が具備するケーシングパイプの下端側の構造を概略的に示す透視図であり、(a)の上段側はケーシングパイプ貫入時の状態を側面側から見た透視図、(a)の下段側はケーシングパイプ貫入時の状態を底面側から見た透視図、(b)の上段側は改良体造成時の状態を側面側から見た透視図、(b)の下段側は改良体造成時の状態を底面側から見た透視図である。 第2実施形態の地盤改良装置が具備する可動爪(爪部材)の動作を示す側面図である。 (a)は、第2実施形態の地盤改良装置が具備するケーシングパイプの貫入時の状態を示す底面側から見た透視図であり、(b)は、改良体造成時の状態を示す底面側から見た透視図である。 第2実施形態の地盤改良装置が具備する共回り防止翼(共回り防止手段)の動作を示す底面側から見た透視図である。 本発明の地盤改良工法の第2実施形態を示す工程図である。
(地盤改良装置の第1実施形態)
はじめに地盤改良装置の構成について説明する。
本実施形態の地盤改良装置は、低振動・低騒音で締固め杭を造成して地盤の密度増大を図る静的締固め工法(地盤改良工法)の実施に用いる施工装置である。
なお、以下の説明では、地盤内に造成する地盤改良体の一例として砂杭を挙げ、地盤改良材の一例として砂杭材料を挙げる。
図1に示すとおり、地盤改良装置1は、主として、
地盤上を移動自在なクローラ式のベースマシン3と、
円筒鋼管からなり地盤中の所定深度まで貫入されるケーシングパイプ4と、
ケーシングパイプ4を上下方向で昇降可能に支持する柱状のリーダ5と、
リーダ5に沿って昇降しケーシングパイプ4を軸周りに回動させる回転駆動装置6と、
ケーシングパイプ4の内側空間に砂杭材料(改良材)を送り込むためのホッパー7と、
開閉自在に構成され、ケーシングパイプ4の管内圧力を高める際に閉弁するエアー弁8を有している。
ケーシングパイプ4は、その内側に砂杭材料(改良材)を投入することが可能であるとともに、地盤に貫入させた状態で改良材を排出可能に構成されている。ケーシングパイプ4内に投入された砂杭材料は、後述するとおり、ケーシングパイプ内の圧力調整と内ジェットによる補助作用によって、ケーシングパイプ4の下端開口部から排出されるようになっている。
本実施形態において、このケーシングパイプ4は図2の拡大図に示すとおり、側面爪12,12と、底面爪14,14と、該底面爪用の固定部材16と、外ジェット21と、内ジェット31を備えている。側面爪12および底面爪14は、それぞれ、特許請求の範囲に記載された「爪部材」および「改良材移動手段」として機能する構成部材である。この側面爪12および底面爪14は、後述するとおり、ケーシングパイプ下端から排出された砂杭材料の拡径や締固めなどを担っている。
側面爪12,12(爪部材)は、図2に示すとおり、ケーシングパイプ4の下端から下方へ突き出るように設けられている。この側面爪12,12は、ケーシングパイプ4の下端から突き出た状態で直立姿勢を保つように、その上端側がケーシングパイプ4の下端側外周面に溶接等により固定されている。このように側面爪12,12をケーシングパイプ4に固定することで、側面爪12,12はケーシングパイプ4と一体回転する。なお、本実施形態では、一例として側面爪を2本設けているが、側面爪の本数は特に限定されず、1本でもよく、あるいは3本以上設けてもよい。また、側面爪の本数は偶数に限らず奇数であってもよい。
上述した側面爪12には、図2(c)の底面図に示すように、斜面13が形成されている。側面爪12にこのような斜面13を形成することで、ケーシングパイプ4と一体回転する側面爪12によって、地盤中の土砂を側方(ケーシングパイプ外周面から離れる方向)に押し退けることができる。その結果、ケーシングパイプ貫入時には、側面爪12の斜面13によって原地盤が側方に押し込まれて移動するので、ケーシングパイプが貫入し易くなり、また、ケーシングパイプ引抜時には、回動する側面爪12の後方に空隙(砂杭材料を押し込むための空間)を形成することが可能になる。
底面爪用の固定部材16(改良材移動手段の固定手段)は、梁状の鋼材で構成され、図2(c)に示すようにケーシングパイプ4の下端開口部を横断するように該ケーシングパイプに固設されている。なお、固定部材16の形状は図示するものに限定されず、底面爪14をケーシングパイプ下端に対して直接的に又は間接的に固定するのに役立つものであれば、いかなるものでも採用することができる。
底面爪14,14(改良材移動手段)は、図2(b)に示すとおり、ケーシングパイプ4の下端開口部の真下に位置している。この底面爪14,14は、ケーシングパイプ4の下端から下方へ突き出た状態で直立姿勢を保つように、その上端側がケーシングパイプ4の下端側に固定されている。なお本実施形態において底面爪14,14は、ケーシングパイプ下端に固定された固定部材16に対して固設されている。すなわち、底面爪14,14は、固定部材16を介してケーシングパイプ下端に対して間接的に固定されており、その結果、ケーシングパイプ4が回転すると、底面爪14,14は一体回転することになる。
なお、本実施形態では、一例として底面爪を2本設けているが、底面爪の本数は特に限定されず、1本でもよく、あるいは3本以上設けてもよい。また、底面爪の本数は偶数に限らず奇数であってもよい。
また、本実施形態では、底面爪14,14を、ケーシングパイプ4の下端に対して固定部材16を介して間接的に取り付けているが、底面爪14,14をケーシングパイプ4の下端側に対して直接的に固設する態様を採用することも可能である。
上述した底面爪14には、図2(b)(c)に示すように、斜面15が形成されている。底面爪14にこのような斜面15を形成することで、ケーシングパイプ4と一体回転する底面爪14によって、ケーシングパイプ下端開口部から排出された砂杭材料に対して下向きの応力を加えることができる。排出済みの砂杭材料に対してこのように下向きの応力を加えることで、地盤内の砂杭材料を締固めることができる。
また、上述した底面爪14,14は、図2(c)に示すように、底面視でケーシングパイプ4の内側に配置されている。これに対して、前述した側面爪12,12は、底面視でケーシングパイプ4の外側に配置されている。つまり、側面爪12,12と底面爪14,14は、底面視で、前者がケーシングパイプ4の外側寄りに、後者がケーシングパイプ4の内側寄りにくるように、それぞれ配置されている。なお、底面爪14,14は、底面視で見た場合に、必ずしもその全体がケーシングパイプ4の内側に収まる必要はなく、その一部分が、ケーシングパイプ4の外側にはみ出すように配置してもよい。
また、図2(c)及び図4に示すように、底面視における各底面爪14の傾斜角度(取り付け角度)は、ケーシングパイプの真下に排出した砂杭材料を、回動する側面爪12の後方に生じた空隙の方へ、押し流すのに適した取り付け角度で固定されている。つまり、底面爪14は、側面爪12の後方に生じた空隙に向かって、排出済み砂杭材料をガイドできるように、その全体が形成され且つ適切な角度でケーシングパイプの下端側に固定されている。
また、本実施形態において、底面爪14,14は、図2(c)に示すように、底面視で点対象の位置関係となるように、ケーシングパイプ4の真下に配設されている。ただし、底面爪14,14のレイアウトは必ずしも点対象に限定されるものではなく、後述する第2実施形態(図6参照)で例示するように、線対象の位置関係で、ケーシングパイプ4の真下に配設してもよい。
外ジェット21は、図2(b)に示すように、ケーシングパイプ4の内周面に沿って配設された流路23と、ケーシングパイプの下端側外周面付近に配設された流路24と、これらの流路23,24を繋ぐ流路25で構成されている。外ジェット21の上端側は、図示しないエアーコンプレッサに接続されている。この外ジェット21は、必要に応じてその先端開口部からエアージェットを噴射することが可能であり、ケーシングパイプ4の貫入を補助する役割(貫入抵抗を緩和する役割)を担っている。
内ジェット31は、ケーシングパイプ4の内周面に沿って配設された流路33で構成されている。この流路からなる内ジェット31の先端開口部は、ケーシングパイプ4の下端開口部の手前(開口部の上方)に位置しており、また、内ジェット31の上端側は、図示しないエアーコンプレッサに接続されている。この内ジェット31は、必要に応じてその先端開口部からエアージェットを噴射することが可能であり、ケーシングパイプ4内からの砂杭材料の排出を補助する役割(排出を促す役割)を担っている。
なお、本実施形態において、ケーシングパイプ4の下端開口部の真下には、図2(c)に示すように固定部材16や底面爪14が開口部を横切るように設けられているが、これらの部材及びそのレイアウトによって砂杭材料の排出が困難になることはない。
(地盤改良工法の第1実施形態)
次に、図1及び図2に示す構成を参照しつつ図3に基づいて、上述した地盤改良装置を用いた地盤改良工法について説明する。なお、以下説明する工程a〜工程hは、それぞれ、図3に示す工程(a)〜(h)に対応している。また、以下の説明では、地盤内に造成する地盤改良体の一例として砂杭(締固め杭)を挙げ、その造成に用いる地盤改良材の一例として砂杭材料を挙げる。
本実施形態の地盤改良工法は、貫入したケーシングパイプを打ち戻すことなく、連続したケーシングパイプの引抜きによって地盤内に砂杭を造成する施工方法である。以下、当該工法の主な工程について説明する。
<工程a>
砂杭(地盤改良体)の造成予定位置の地盤上に、ケーシングパイプ4を誘導する。
続いて、原地盤土砂の進入防止のために、ケーシングパイプ内に砂杭材料(ポイント砂)を投入する。
次いで、回転駆動装置6によりケーシングパイプ4を回転させて、該ケーシングパイプの貫入を開始する。地盤への貫入の過程では、捲込みウインチ、外ジェットなどを併用しながら、ケーシングパイプ4をリーダ5に沿って規定深度まで貫入する。
ケーシングパイプ4の貫入の過程では、ケーシングパイプ4とその先端側にある側面爪12,12および底面爪14,14が一体回転し、底面爪14,14はそれぞれ、側面爪12,12の後方に生じる空隙に向かって、ケーシングパイプ直下の地盤を掻き出す。このように、側面爪12,12と底面爪14,14の相互作用によって、貫入するケーシングパイプ直下の地盤を掻き出すことで、ケーシングパイプ4が貫入し易くなる。
<工程b>
ケーシングパイプ下端が目標深度まで到達したら貫入を終えるとともに、外ジェットによるエアージェットの噴射を停止する。
次いで、ホッパー7を介してケーシングパイプ4内に砂杭材料を投入する。
<工程c>
次に、回転駆動装置6によるケーシングパイプ4を回転させつつ、巻上げウインチによりケーシングパイプ4の引抜きを開始する。
同時に、ケーシングパイプ4の上方にあるエアー弁を閉めた状態でケーシングパイプ内に圧縮空気を送り込み、ケーシングパイプ4の管内圧を上げる。これにより、ケーシングパイプ4の下端開口部から砂杭材料が排出される。その際、必要に応じて、内ジェットによりエアージェットを噴射し、砂杭材料の排出を促進させる。これにより、ケーシングパイプの下端開口部での砂杭材料の停滞を防いで、速やかに排出させることができる。
したがって、ケーシングパイプ4を回転させつつリーダ5に沿って引抜く過程で、ケーシングパイプ下端から砂杭材料が継続的に排出される。
なお本実施形態において、この工程におけるケーシングパイプ4の回転方向は、先端部土砂を外側方向(外周方向)に移動させるため、貫入時と同方向になる。
<工程d>
ケーシングパイプ4内に砂杭材料を補給する。
砂杭材料の補給にあたっては、ケーシングパイプ4の引抜きを停止するとともに、エアー弁を開けてケーシングパイプ内を排気して管内圧力を下げ、ホッパー7を介してケーシングパイプ4内に砂杭材料を補給する。砂杭材料の具体例としては、砂、リサイクル砂、再生砕石などが挙げられる。
<工程e>
砂杭材料を補給し終えたら、再びケーシングパイプ4を回転させつつ巻上げウインチによりケーシングパイプ4の引抜きを再開する。
同時に、ケーシングパイプ4の上方にあるエアー弁を再び閉めてケーシングパイプ内に圧縮空気を送り込み、ケーシングパイプ4の管内圧を上げることで、ケーシングパイプ4の下端開口部から砂杭材料が排出される。その際、必要に応じて、内ジェットによりエアージェットを噴射し、砂杭材料の排出を促進させる。
これにより、ケーシングパイプ4を回転させつつ引抜く過程で、ケーシングパイプ下端から砂杭材料が排出される。
<工程f,g>
工程d,eを繰り返す。
<工程h>
工程d,eを繰り返してケーシングパイプ4を改良天端高まで引抜いたら、締固められた砂杭(地盤改良体)の造成が完了する。
(地盤改良装置が具備する側面爪・底面爪の作用)
次に、図4及び図5に基づいて、上述した工程c、e、g(図3の工程(c)(e)(g))のケーシングパイプ引抜き過程における側面爪・底面爪の機能作用について具体的に説明する。
図4は、ケーシングパイプ4の底面側の構造を概略的に示す底面図であって、砂杭造成時(ケーシングパイプ引抜き時)における側面爪12や底面爪14の機能作用を概略的に示している。
図5は、地盤改良装置における側面爪12や底面爪14のレイアウトとその機能作用を例示する図であって、第1実施形態を示している。
ケーシングパイプ4を回転させつつ引抜く過程(図3の工程(c)(e)(g))で、側面爪12,12はケーシングパイプ4と一体回転する。そのとき、図4に示すように、側面爪12,12は外方向(ケーシングパイプ外周面から離れる方向)に土砂を押し退けるように移動させるとともに、その後方に空隙18(空間)を発生させる。
一方、ケーシングパイプ4を回転させつつ引抜く過程(図3の工程(c)(e)(g))で、底面爪14,14もケーシングパイプ4と一体回転する。この底面爪14,14は、ケーシングパイプ4の下端開口部から排出された砂杭材料を外側方向(拡径方向)に移動させる。具体的には、この底面爪14,14は、図4に示すように、回転する側面爪12,12の後方に生じた空隙18,18に向かって砂杭材料を掻き出してガイドするように設けられている。つまり、ケーシングパイプ4から排出された砂杭材料は、底面爪14,14によってガイドされて、側面爪12,12の後方に生じた空隙18,18に送り込まれる。このように側面爪後方に生じた空隙18,18に向かって砂杭材料を移動させることで、連続発生する空隙に対して速やかに砂杭材料を押し込むことができるので、地盤内に造成される砂杭の杭径を確実に拡げることが可能になる。
また図5に示すように、底面爪14,14の先端は、斜めカットしたような外観になるように角度を設けていて、ケーシングパイプ4の下端開口部から排出された砂杭材料に対して下方向の応力(斜め下方向の応力を含む)を加えるようになっている。つまり、底面爪14,14の掻き出し作用によって、砂杭材料が外側方向に移動するとともに、底面爪14,14が加える下方向の応力(押圧力)によって、砂杭の締固めが行われる。
これにより(底面爪先端の斜めカット状の形状により)、排出された砂杭材料に対して下向きの押圧力(斜め下向きの応力を含む)を印加でき、その押圧作用によって、地盤内に排出された砂杭材料の密度が増加するので、地盤内に造成される砂杭を確実に締固めることが可能になる。
また、底面爪14,14は、ケーシングパイプ4と一体回転しているときに砂杭材料に対して押圧力(締固め力)を印加するので、砂杭材料を締固めるためにケーシングパイプ4をわざわざ打ち戻す必要がない。つまり本発明によれば、ケーシングパイプ4を打ち戻すことなく連続して引抜くにもかかわらず、造成される砂杭の拡径と締固めを同時に達成することができる。
さらに、ケーシングパイプ4を連続して引抜く過程で拡径と締固めが同時に進行するので、ケーシングパイプの打ち戻しが不要となって、その分、効率的な施工が可能となり、また工期の短縮を図ることも可能になる。
(第1実施形態の変形例)
例えば、上述した第1実施形態では、底面視直線状の2枚の底面爪14を、位置をずらして略平行に設けているが、図6の変形例1に示すように、底面視直線状の底面爪14b,14bを、略ハの字状又は略V字状のレイアウトで、ケーシングパイプの下端開口部の真下に固設してもよい。
また例えば、図7の変形例2に示すように、底面視で略くの字状に屈曲または湾曲した底面爪14c,14cを、ケーシングパイプの下端開口部の真下に固設してもよい。
また例えば、図8の変形例3に示すように、スクリュータイプの底面爪14dを、ケーシングパイプの下端開口部の真下に固設してもよい。
なお、図6〜図8では図示を省略しているが、変形例1〜3における底面爪は、図2に例示する第1実施形態と同様に、何らかの固定部材を介して、ケーシングパイプ4の下端に対して間接的に固定することが可能である。あるいは、該底面爪をケーシングパイプ4の下端に対して直接的に固定してもよい。
(地盤改良装置の第2実施形態)
次に、主として図9〜図12に基づいて、第2実施形態に係る地盤改良装置の構成について説明する。
第2実施形態の地盤改良装置は、第1実施形態と同様に、低振動・低騒音で締固め杭を造成して地盤の密度増大を図る静的締固め工法(地盤改良工法)の実施に用いる施工装置である。
第2実施形態の地盤改良装置は、図1に示す実施形態と同様に、主として、
地盤上を移動自在なクローラ式のベースマシン3と、
円筒鋼管からなり地盤中の所定深度まで貫入されるケーシングパイプ4と、
ケーシングパイプ4を上下方向で昇降可能に支持する柱状のリーダ5と、
リーダ5に沿って昇降しケーシングパイプ4を軸周りに回動させる回転駆動装置6と、
ケーシングパイプ4の内側空間に砂杭材料(改良材)を送り込むためのホッパー7と、
開閉自在に構成され、ケーシングパイプ4の管内圧力を高める際に閉弁するエアー弁8を有している。
また図9に示すとおり、第2実施形態の地盤改良装置は、その特有の構成として、
ケーシングパイプ4の下端の下方に設けられたスクリュータイプの底面爪14eと、
ケーシングパイプ4の下端側外周面に設けられた回動可能な一対の可動爪51と、
可動爪51を縮径位置および拡径位置に位置決めするための突起53と、
ケーシングパイプ4の内側に回転自在に設けられたインナースクリュー56と、
ケーシングパイプ4から排出された砂杭材料の共回りを防止する共回り防止翼58を有している。
ケーシングパイプ4は、その内側に砂杭材料(改良材)を投入することが可能であるとともに、地盤に貫入させた状態で砂杭材料を排出可能に構成されている。本実施形態において、このケーシングパイプ4は図9に示すとおり、スクリュータイプの底面爪14eと、回動可能な可動爪51,51と、回転自在のインナースクリュー56のほか、第1実施形態と同様の外ジェットと内ジェットを備えている。スクリュータイプの底面爪14eおよび回動可能な可動爪51は、それぞれ、特許請求の範囲に記載された「改良材移動手段」および「爪部材」として機能する構成部材である。
ケーシングパイプ4内に投入された砂杭材料は、前述した第1実施形態と同様のケーシングパイプ内の圧力調整と内ジェットによる排出促進作用に加えて、回転自在のインナースクリュー56による排出促進作用によって排出が促され、ケーシングパイプ4の下端開口部から滞りなく排出される。
なお、本実施形態では、砂杭材料の排出を促すインナースクリュー56が地盤改良装置に設けられているので、ケーシングパイプ内の圧力調整と内ジェットに関する構成は必須の構成ではなく、これらを省くことも可能である。
スクリュータイプの底面爪14e(改良材移動手段)は、ケーシングパイプ下端から排出された砂杭材料の拡径や締固めなどを担っており、図9に示すとおり、ケーシングパイプ4の下端開口部の下方に位置している。このスクリュータイプの底面爪14eは、ケーシングパイプ4の下端から下方へ突き出た状態で直立姿勢を保つように、ケーシングパイプ4に対し固定されている。
なお本実施形態において底面爪14eは、ケーシングパイプ4の中心軸と同軸の軸部材11を有しており、この軸部材11はケーシングパイプ4の内側空間に挿入されている。底面爪14eが具備する軸部材11は、その上端側がケーシングパイプ4の内周面に対して固定部材17を介して固定されている。すなわち、底面爪14eは、梁状の固定部材17を介してケーシングパイプの内周面に対して間接的に固定されており、その結果、ケーシングパイプ4が回転すると、底面爪14eは一体回転することになる。
上述した底面爪14eは、図9に示すようにスクリューで構成されている。底面爪14eをこのようなスクリューで構成することで、ケーシングパイプ4と一体回転するスクリュー(底面爪14e)のフィンによって、ケーシングパイプ下端開口部から排出された砂杭材料に対して下向きの応力を加えることができる。排出済みの砂杭材料に対してこのように下向きの応力を加えることで、地盤内の砂杭材料を締固めることができる。
なお、図示する底面爪14eのスクリューの形状、角度、寸法は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ケーシングパイプ下端から排出された砂杭材料の拡径や締固めなどを達成できる限り、種々の形状、角度、寸法を採用することが可能である。
可動爪51,51(爪部材)は細長い厚みのある板(直方体)のような略ブレード状の外観を有している。可動爪51,51はそれぞれ、回転軸をなすボルト61によって回動可能に且つケーシングパイプ4と一体回転するように、ケーシングパイプ下端側の外周面に取り付けられている。
各可動爪51は、図10において破線で示す「縮径位置」と実線で示す「拡径位置」との間で回動可能(拡縮可能)に設けられている。図10において破線で示す「縮径位置」では、可動爪51の一部が突起53にぶつかって、その先端部を下方向に向けた状態を維持する。また、図10において実線で示す「拡径位置」では、可動爪51の他の一部が突起53にぶつかって、その先端部を横方向(真横よりやや斜め下に)に向けた状態を維持する。突起53は、ケーシングパイプ4の外周面に突設されており、可動爪51を拡径位置および縮径位置に位置決めするストッパーとして機能する。また、各可動爪51は、「縮径位置」においてケーシングパイプ4を貫入する方向に回転(正回転)する方向の時に前方となる一方の面にはエッジが切られた傾斜部63を有し,その一方の面と対になる他方の面(後方の面)のボルト61の位置よりも、上側にはエッジが切られた傾斜部64、下側には可動爪51の厚み方向に水平に平らな面となる底面52を有している。このように可動爪51のエッジを切ることで、ケーシングパイプ4を地盤に貫入するときに縮径位置にある可動爪51が地盤から受ける抵抗を緩和することができ、また、縮径位置から拡径位置へ向かって回動する際に可動爪51が地盤から受ける抵抗を緩和することができる。
可動爪51は、ケーシングパイプ4の回転方向を切り替えたときに、周辺地盤の抵抗(土圧)を受けて回動する。可動爪51が拡径位置から縮径位置へ回動すると、図10において破線で示すように可動爪51の一端が突起53に当たってそれ以上の回動が妨げられ、(ケーシングパイプ4が同じ方向に回転し続ける限り)縮径位置に保持される。同様に、可動爪51が縮径位置から拡径位置へ回動すると、図10において実線で示すように可動爪51の他の部位が突起53に当たってそれ以上の回動が妨げられ、(ケーシングパイプ4が同じ方向に回転し続ける限り)拡径位置に保持される。突起53は、ケーシングパイプ4の外周面に設けられ、土圧を受けて回動する可動爪51を所定位置に位置決めする位置決め部材(ストッパー)としての役割を担っている。
ケーシングパイプ4を地盤に貫入するときには、可動爪51は図11(a)に示す「縮径位置」にある。図11(a)に示す「縮径位置」では、可動爪51が突起53に当接してその先端の対角線長さはD1に保持される。またこの状態で、可動爪51は縦向きでやや傾斜し、その先端側は、図10において破線で示すように側面視でケーシングパイプ4の下端から下に突き出ている。ケーシングパイプ下端から下方に突き出る「縮径位置」では、可動爪51は、前述した第1実施形態の側面爪と同様に機能する。
ケーシングパイプ4を地盤から引き抜くとき(砂杭材料を排出するとき)には、ケーシングパイプ4を逆回転させることによって、可動爪51は図11(b)に示す「拡径位置」にある。図11(b)に示す「拡径位置」では、可動爪51は横向きで斜め下に傾斜しており、更にケーシングパイプ4の下端からはほぼ突出していない状態である。その先端位置はケーシングパイプ4の外周面から遠ざかり、可動爪51が突起53に当接してその先端の対角線長さはD2(D1<D2)に保持される。すなわち、各可動爪51は、図11に示すように底面視で長さが変わるように(縮径位置では可動爪51の先端がケーシングパイプ4の外周面に近寄り、拡径位置ではケーシングパイプ4の外周面から遠ざかるように)回動可能に取り付けられている。
可動爪51,51は、その機能の一つとして、拡径位置にあるときに地盤に側圧を与えて移動させる役割を担っている。また、他の機能として、ケーシングパイプ4の下端開口部から排出された材料を、側方へ逃がすことなく底面爪14eの方へ誘導する役割を担っている。拡径位置にある可動爪51がケーシングパイプと一体回転する状況下で、ケーシングパイプ4の下端開口部から材料が排出されると、傾斜した可動爪51の底面52(斜め下に傾斜した底部)によって、下方への押し込み作用が生じるので、その結果、ケーシングパイプ4から排出された材料がその真下で側方へ逃げることなく底面爪14eの方へ送り出されることになる。すなわち、可動爪51が図10において実線で示す拡径位置にあるときには、当該可動爪51の傾斜した底面52は、排出された材料を底面爪14eの方へ誘導するガイド面として機能する。
上述した可動爪51による材料誘導効果(排出された材料を可動爪51の底部が下方へ押し込む作用)を発揮させるために、各可動爪51は、「拡径位置」において、水平ではなく図10において実線で示すように斜め下向きに傾斜していることが望ましい。図10に示す「拡径位置」における可動爪51の傾斜角度θは特に限定されず、例えば、底面爪14eが具備するスクリューの傾斜角度とほぼ同じ角度に設定してもよい。
なお、本実施形態では、一例として可動爪を2本設けているが、可動爪の本数は特に限定されず、1本でもよく、あるいは3本以上設けてもよい。また、可動爪の本数は偶数に限らず奇数であってもよい。また、可動爪の周方向の取り付け位置は、必ずしも図示するものに限定されず、必要に応じて適宜設計変更することが可能である。
また、本実施形態では、爪部材である可動爪51を回動可能に構成して、拡径位置にあるときに上述した材料誘導効果を発揮させるようにしているが、爪部材を回動可能に構成することなくケーシングパイプ4の外周面に対し固定して設けてもよい。また、そのように爪部材を固設する場合には、上述した底部のガイド面によって材料誘導効果が発揮されるように、傾斜した状態でケーシングパイプの外周面に可動爪51を固設するのが望ましい。
インナースクリュー56は、底面爪14eが具備するスクリューとは逆向きの螺旋になるように形成されたスクリューを有している。すなわち、インナースクリュー56が具備するスクリューは、底面爪14eのスクリューとは巻方向(搬送方向)が逆になるように形成されている。このインナースクリュー56は、底面爪14eの軸部材11の外側で回転自在に設けられた管状の軸部材57を有しており、この管状の軸部材57は底面爪14eの軸部材11を囲うように設けられている。インナースクリュー56の軸部材57は、共回り防止翼58と共通の軸で、ケーシングパイプ4の内側で自由に回転できる。つまり、インナースクリュー56は共回り防止翼58と一体回転可能であるが、ケーシングパイプ4や底面爪14eと一体回転することはない。このインナースクリュー56は、砂杭材料の排出を促す役割を担っている。
なお、インナースクリュー56は必須の構成ではなく、これを省いた構成とすることも可能である。また、本実施形態では、インナースクリュー56と共回り防止翼58を一体回転可能に設けているが、この組合せのうちインナースクリューを省いて、共回り防止翼だけを設ける構成とすることも可能である。
共回り防止翼58(共回り防止手段)は、インナースクリュー56と同軸で、回転自在に設けられたフリーブレードであり、ケーシングパイプ4の下端と底面爪14eの間に設けられている。また、共回り防止翼58は片側ヒンジ構造を有し、折り畳み可能に構成されている。具体的には、略ブレード状の共回り防止翼58が、ヒンジ59を介して、インナースクリュー56と共通の軸である軸部材57に固定されている。
この折り畳み可能な共回り防止翼58は、図9(a)に示す正回転のときには、地盤の抵抗を受けて折り畳んだ状態を維持する。また、図9(a)に示す正回転から図9(b)に示す逆回転に回転方向を切り替えたときには、地盤の抵抗を受けて折り畳んだ状態から展開した状態になり、逆回転を継続している間は地盤の抵抗を受けて図9(b)に示す展開した状態を維持する。なお、共回り防止翼58が展開した状態では、該共回り防止翼58は、図12に示すように底面視でケーシングパイプ4の外側に突き出ている。
図12に示すように図12において実線で示す展開した状態では、底面視でケーシングパイプ4の外周面から張り出している。この共回り防止翼58は、ケーシングパイプ4の引き抜き時(砂杭材料の排出時)に機能させる部材であり、ケーシングパイプから排出された砂杭材料の共回りを防止する役割を担っている。また、ケーシングパイプの回転引き抜き時に、インナースクリュー56がケーシングパイプ4と共回りしないように、該インナースクリューの動きを拘束する役割を担っている。
なお、共回り防止翼58は必須の構成ではなく、これを省いた構成とすることも可能である。また、図9に示す実施形態において共回り防止翼58を省く場合には、底面爪14eの取り付け位置をケーシングパイプ4の下端に対して更に近接させてもよい。
ケーシングパイプ4の引き抜き時(砂杭材料の排出時)には、共回り防止翼58は図9(b)に示すように展開し、周囲の地盤や排出済みの砂杭材料の抵抗を受けて動きが拘束されるので、ケーシングパイプ4が逆回転する状況下で共回り防止翼58は自由に回転することができない。そのため、ケーシングパイプ4が逆回転する状況下で、その内側のインナースクリュー56は、地盤や排出済み材料の抵抗を受ける同軸の共回り防止翼58によって動きが拘束される。したがって、インナースクリュー56とケーシングパイプ4との間に回転速度の差が生まれ、実質的に、インナースクリュー56がケーシングパイプ4に対し相対回転する状態となる(すなわち、インナースクリュー56側から見てケーシングパイプ4が材料排出方向に相対回転する状態となる)。その結果、ケーシングパイプ4に対し相対回転するインナースクリュー56によって、ケーシングパイプ4からの砂杭材料の排出が促される。したがって、共回り防止翼58は、前述したとおり排出された砂杭材料の共回りを防止する部材として機能するほか、インナースクリュー56の動きを拘束して該インナースクリュー56とケーシングパイプ4との間に回転速度の差を生むための抵抗体としても機能する。
このように、本実施形態の装置が具備するインナースクリュー56は、強制的に回転駆動される部材ではなく、同軸の共回り防止翼58による拘束作用を利用してケーシングパイプ4の内側で相対回転させる部材であり、この点で従来技術と相違する。すなわち、本実施形態では、インナースクリュー用の回転駆動装置を設ける必要はない。
なお、本実施形態において、ケーシングパイプ4の下端開口部の真下には、図9に示すように共回り防止翼58や底面爪14eが位置し、また、固定部材17が開口部を横切るように設けられているが、これらの部材及びそのレイアウトによって砂杭材料の排出が困難になることはない。
また、本実施形態では、共回り防止翼58と底面爪14eの位置関係(上下の位置関係)の一例として、図9に示すような態様を採用しているが、共回り防止翼58と底面爪14eの位置関係は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば図示する実施形態とは逆に、共回り防止翼58を下側に、底面爪14eを上側に配置することも可能である。すなわち、インナースクリュー56と同軸の共回り防止翼58を装置下端側に配置し、ケーシングパイプ下端と共回り防止翼58の間に底面爪14eを配置してもよい。
(地盤改良工法の第2実施形態)
次に、図1および図9に示す構成を参照しつつ図13に基づいて、上述した地盤改良装置を用いた地盤改良工法について説明する。
なお、以下説明する工程a〜工程hは、それぞれ、図13に示す工程(a)〜(h)に対応している。また、以下の説明では、地盤内に造成する地盤改良体の一例として砂杭(締固め杭)を挙げ、その造成に用いる地盤改良材の一例として砂杭材料を挙げる。
本実施形態の地盤改良工法は、第1実施形態と同様に、貫入したケーシングパイプを打ち戻すことなく、連続したケーシングパイプの引抜きによって地盤内に砂杭を造成する施工方法である。以下、当該工法の主な工程について説明する。
<工程a>
砂杭(地盤改良体)の造成予定位置の地盤上に、ケーシングパイプ4を誘導する。
続いて、原地盤土砂の進入防止のために、ケーシングパイプ内に砂杭材料(ポイント砂)を投入する。
次いで、回転駆動装置6によりケーシングパイプ4を正回転させて、該ケーシングパイプの貫入を開始する。このとき、可動爪51,51は縮径位置にあり、また、共回り防止翼58は折り畳んだ状態にあり、これによってケーシングパイプ4の貫入抵抗を抑制することができる。
地盤への貫入の過程では、捲込みウインチ、外ジェットなどを併用しながら、ケーシングパイプ4をリーダ5に沿って規定深度まで貫入する。外ジェットの構成や作用については前述した第1実施形態と同様であるので、第1実施形態の説明を援用する。
なお、ケーシングパイプ4を貫入する過程では、ケーシングパイプ4の下端開口部を砂杭材料が閉塞しているため、ケーシングパイプ内への土砂の進入・混入が妨げられる。
<工程b>
ケーシングパイプ下端が目標深度まで到達したら貫入を終えるとともに、外ジェットによるエアージェットの噴射を停止する。
次いで、ホッパー7を介してケーシングパイプ4内に砂杭材料を投入する。
続いて、ケーシングパイプ4を逆回転させると、その逆回転の開始がきっかけとなって可動爪51,51が拡径位置に回動し、また、共回り防止翼58が展開する。すなわち、ケーシングパイプ4を逆回転させることで(回転方向を切り替えることで)、可動爪51,51は周辺地盤の抵抗を受けて拡径位置へ向かって回動する。同様に、折り畳まれた状態の共回り防止翼58は図12において実線で示すように周辺地盤の抵抗を受けて展開し、底面視でケーシングパイプ4の外側に張り出した状態となる。
以後、(ケーシングパイプ4の回転方向は逆回転となるので)可動爪51,51は拡径位置に保持され、共回り防止翼58は展開した状態に保持される。
<工程c>
次に、回転駆動装置6によるケーシングパイプ4を逆回転(図13(a)の回転方向と逆方向で回転)させつつ、巻上げウインチによりケーシングパイプ4の引抜きを開始する。
同時に、ケーシングパイプ4の上方にあるエアー弁を閉めた状態でケーシングパイプ内に圧縮空気を送り込み、ケーシングパイプ4の管内圧を上げる。これにより、ケーシングパイプ4の下端開口部から砂杭材料が排出される。
その際、ケーシングパイプ4に対するインナースクリュー56の相対回転によって砂杭材料の排出が促され、必要に応じて、内ジェットによりエアージェットを噴射し、砂杭材料の排出を更に促進させる。これにより、ケーシングパイプの下端開口部での砂杭材料の停滞を防いで、速やかに排出させることができる。
したがって、ケーシングパイプ4を逆回転させつつリーダ5に沿って引抜く過程で、ケーシングパイプ下端から砂杭材料が継続的に排出される。
なお、本実施形態では、砂杭材料の排出を促すインナースクリュー56が地盤改良装置に設けられているので、ケーシングパイプ4の管内圧を上げずにインナースクリュー56の作用だけで砂杭材料を排出することも可能であり、また、内ジェットを省くことも可能である。後述する工程eでも同様である。
<工程d>
ケーシングパイプ4内に砂杭材料を補給する。
砂杭材料の補給にあたっては、ケーシングパイプ4の引抜きを停止するとともに、エアー弁を開けてケーシングパイプ内を排気して管内圧力を下げ、ホッパー7を介してケーシングパイプ4内に砂杭材料を補給する。砂杭材料の具体例としては、砂、リサイクル砂、再生砕石などが挙げられる。
<工程e>
砂杭材料を補給し終えたら、再びケーシングパイプ4を逆回転させつつ巻上げウインチによりケーシングパイプ4の引抜きを再開する。
同時に、ケーシングパイプ4の上方にあるエアー弁を再び閉めてケーシングパイプ内に圧縮空気を送り込み、ケーシングパイプ4の管内圧を上げることで、ケーシングパイプ4の下端開口部から砂杭材料が排出される。
その際、ケーシングパイプ4に対するインナースクリュー56の相対回転によって砂杭材料の排出が促され、必要に応じて、内ジェットによりエアージェットを噴射し、砂杭材料の排出を更に促進させる。
これにより、ケーシングパイプ4を逆回転させつつ引抜く過程で、ケーシングパイプ下端から砂杭材料が排出される。
<工程f,g>
工程d,eを繰り返す。
<工程h>
工程d,eを繰り返してケーシングパイプ4を改良天端高まで引抜いたら、締固められた砂杭(地盤改良体)の造成が完了する。
(その他の実施形態)
上述した実施形態は、特許請求の範囲に記載した本発明の例示であって、本発明の形態は必ずしもこれに限定されるものではない。特に、底面爪(改良材移動手段)の形状やレイアウトについては、排出された改良材の移動や締め固めが可能であれば良いので、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の形態を採用することが可能である。
(本発明の効果)
上述した本発明によれば、地盤改良装置はケーシングパイプと一体回転する「底面爪」(改良材移動手段)を具備している。このような底面爪を設けることで、地盤内に排出された砂杭材料に対して下向きの応力を加えることが可能になり、また、該砂杭材料を拡径方向に拡げることが可能になるので、従来のようにインナースクリュー用の回転駆動装置などを設けなくても、従来と同等の砂杭(拡径された地盤改良体)の造成を行うことができる。
1 地盤改良装置
3 ベースマシン
4 ケーシングパイプ
5 リーダ
6 回転駆動装置
7 ホッパー
8 エアー弁
11 軸部材
12 側面爪(爪部材)
13 斜面
14 底面爪(改良材移動手段)
14b 底面爪(改良材移動手段)
14c 底面爪(改良材移動手段)
14d 底面爪(改良材移動手段)
14e 底面爪(改良材移動手段)
15 斜面
16 底面爪用の固定部材(改良材移動手段の固定手段)
17 底面爪用の固定部材(改良材移動手段の固定手段)
18 空隙(空間)
21 外ジェット(エアージェット噴射手段)
23 流路
24 流路
25 流路
31 内ジェット(エアージェット噴射手段)
33 流路
51 可動爪(爪部材)
52 底面(ガイド面)
53 突起(位置決め部材/ストッパー)
56 インナースクリュー
57 軸部材
58 共回り防止翼(共回り防止手段)
59 ヒンジ
61 ボルト(回転軸)
63 傾斜部
64 傾斜部

Claims (13)

  1. 地盤に貫入させた状態で改良材を排出可能なケーシングパイプと、
    ケーシングパイプの下端に設けられ、該ケーシングパイプの下端開口部から排出された改良材に対して下向きの応力を加えるとともに、該改良材を外側方向に移動させるための改良材移動手段と、を具備し、
    前記改良材移動手段は前記ケーシングパイプと一体回転可能に設けられている、ことを特徴とする地盤改良装置。
  2. 前記改良材移動手段は、ケーシングパイプの下端開口部の真下に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良装置。
  3. ケーシングパイプの下端側外周面に設けられ、ケーシングパイプの下端から突き出るように設けられた爪部材を更に具備する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤改良装置。
  4. 前記改良材移動手段は、前記ケーシングパイプと一体回転する前記爪部材の後方に生じた空隙に向かって改良材を移動させるように設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の地盤改良装置。
  5. ケーシングパイプの下端側外周面に設けられ、縮径位置と拡径位置との間で回動可能に設けられた略ブレード状の爪部材を更に具備する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤改良装置。
  6. 前記爪部材は、底面視で長さが変わるように回動可能に構成されている、ことを特徴とする請求項5に記載の地盤改良装置。
  7. 前記爪部材は、拡径位置にあるときに、ケーシングパイプの下端開口部から排出された材料を前記改良材移動手段の方へ誘導するように設けられている、ことを特徴とする請求項5又は6に記載の地盤改良装置。
  8. 前記ケーシングパイプの内側に回転自在に設けられており、改良材の排出を促すためのインナースクリューを更に具備しており、
    前記改良材移動手段はスクリューを含んで構成され、
    前記インナースクリューは、前記改良材移動手段のスクリューとは逆向きの螺旋を有している、ことを特徴とする請求項1、2、5、6、7の何れかに記載の地盤改良装置。
  9. 前記ケーシングパイプと前記改良材移動手段の間に設けられ、前記ケーシングパイプから排出された改良材の共回りを防止するための共回り防止手段を更に具備する、ことを特徴とする請求項1、2、5、6、7、8の何れかに記載の地盤改良装置。
  10. ケーシングパイプの下端開口部から排出された材料を前記改良材移動手段の方へ誘導する傾斜したガイド面を有する略ブレード状の爪部材を更に具備する、ことを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の地盤改良装置。
  11. 貫入したケーシングパイプを打ち戻すことなく引抜いて地盤内に改良体を造成する地盤改良工法であって、
    下端開口部の真下に改良材移動手段を一体的に具備するケーシングパイプを地盤に貫入し、
    目標深度に達したケーシングパイプを引抜くとともに、ケーシングパイプの下端開口部から改良材を排出し、
    ケーシングパイプの下端開口部から排出された改良材を、ケーシングパイプと一体回転する前記改良材移動手段により外側方向に移動させる、ことを特徴とする地盤改良工法。
  12. 前記ケーシングパイプは、ケーシングパイプの下端側外周面に設けられ、ケーシングパイプの下端から突き出るように設けられた爪部材を更に具備しており、
    回転する前記爪部材の後方に生じた空隙に向かって、前記改良材移動手段により改良材を移動させる、ことを特徴とする請求項11に記載の地盤改良工法。
  13. 前記ケーシングパイプは、ケーシングパイプの下端側外周面に設けられ、縮径位置と拡径位置との間で回動可能に設けられた爪部材を更に具備しており、
    前記爪部材が縮径位置にセットされた状態で、ケーシングパイプを正回転させながら地盤に貫入し、
    ケーシングパイプを逆回転させることで、地盤の抵抗を受けて前記爪部材が縮径位置から拡径位置になり、
    前記爪部材が拡径位置にある状態で、ケーシングパイプを逆回転させながらケーシングパイプを引抜くとともに、ケーシングパイプの下端開口部から改良材を排出する、ことを特徴とする請求項11に記載の地盤改良工法。
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