JP7138862B2 - 地盤改良装置および地盤改良工法 - Google Patents
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Description
・円筒鋼管からなり地盤中の所定深度まで貫入されるケーシングパイプ3と、
・ケーシングパイプ3の先端の下に設けられたスクリュータイプの底面爪91と、
・ケーシングパイプ3の先端側外周面に設けられた回動可能な可動式掘削爪93を
有している。
地盤を締固める地盤改良体を地盤中に造成する地盤改良工法として用いる装置であって、
地盤に貫入させた状態で先端から砂杭材料を排出可能なケーシングパイプと、
前記ケーシングパイプの先端に一体回転可能に設けられ、前記ケーシングパイプの先端から排出された砂杭材料を下方へ押し出すための先端スクリューと、を有し、
前記先端スクリューが上から下に向かって径が大きくなるように形成された地盤改良装置によって達成される。
このような特徴を具備する先端スクリュー(テーパー型スクリュー)をケーシングパイプの真下に設けることで、地盤改良体の造成工程では、ケーシングパイプ先端から排出された材料をより多く下方向へ押し出す機能が向上し、地盤改良体の造成時間を短縮することができ、工期の短縮を図ることができる。さらに、地盤改良体の締固め効果(締固めの範囲)が拡大することで確実な地盤改良体を造成できる。
また、特許文献1の場合では、可動式掘削爪の位置(造成時は水平方向)によって材料排出能力が影響を受けていたが、本発明の場合ではそのような可動式掘削爪が無いため、その位置に左右されることなく、安定した材料排出能力を維持できる。
このような特徴を具備する先端スクリューを設けることで、地盤改良装置の貫入工程では、ケーシングパイプの回転貫入に伴って、当該スクリューによる“ねじ込み効果”を発揮する。また、この先端スクリューが、ケーシングパイプの径以上の原地盤をほぐしながら土砂を上方に移動させ、ケーシングパイプ側面の摩擦を低減させることで貫入力が向上する。
また、先端スクリューは、下に向かうほどスクリュー径が拡大しており、最下部においてケーシングパイプの径を超える最大径を有している。したがって、モータのトルク(力)をスクリュー底面によって地盤改良体に対し直接伝達できる範囲が拡大し、締固め効果が向上する。
なお、特許文献1の図2(b)には、ケーシングパイプ内側に設けられたエアー噴射部(内ジェット31)が開示されており、このエアー噴射部からはエアーが単に連続噴射されるようになっている。しかしながら、低振動・低騒音で地盤改良体を造成する「静的締固め工法」では、バイブロハンマーによる振動が無く、ケーシングパイプを回転させたときに該ケーシングパイプ内の材料に水平方向の遠心力が作用して、材料とケーシングパイプとの摩擦抵抗が大きくなり、ケーシングパイプと材料が一体化してしまう。そのような状況下でエアーを単に連続噴射(絶え間なく噴射)しても、ケーシングパイプ先端内部の圧力が安定してしまい、材料の排出速度が低下する。
そこで本発明では、ケーシングパイプ内側の先端寄りに設けたエアー噴射部から、エアーを間欠的に噴射する。この間欠エアーの作用によって、ケーシングパイプ内側の先端寄りの材料(すなわちケーシングパイプの先端開口部手前の材料)に作用する圧力に脈動が生じ、この脈動による圧力変化によって材料の排出が促され、ケーシングパイプ内の材料を滞りなく連続排出できるようになる。すなわち、地盤改良体の造成工程において安定した材料排出が達成される。
そこで本発明の地盤改良装置は、地盤改良体造成時の排土抑制を目的として、ケーシングパイプの側面に側面スクリューを設けている。具体的には、ケーシングパイプ先端部よりも上方の位置に造成工程時に下に押し込む方向(先端スクリューと同じ巻き方向)にスクリューを装備する。この側面スクリューによる効果は、ケーシングパイプ側面に沿って出来たエアーの通り道(地上へのエアーの逃げ道)を攪拌して、排土しようとする土砂を下方向へ移動させ、排土を抑制できるといったことにある。
また、上述した排土抑制に伴って、地盤中に造成する地盤改良体による密度増大効果を高めることができる、といった優れた効果も併せて達成される。
これにより、ケーシングパイプ内側の先端寄りの材料(すなわちケーシングパイプの先端開口部手前の材料)に作用する圧力に脈動が生じ、この脈動による圧力変化によって、地盤改良体の造成工程においてケーシングパイプ内の材料を滞りなく連続して排出できるようになる。
はじめに地盤改良装置の構成について説明する。
本実施形態の地盤改良装置は、低振動・低騒音で締固め杭を造成して地盤の密度増大を図る静的締固め工法(地盤改良工法)の実施に用いる装置である。また、本実施形態では、地盤改良材として、砂、リサイクル砂、再生砕石などの砂杭材料を用いる。
・地盤上を移動自在なクローラ式のベースマシン2と、
・円筒鋼管からなるケーシングパイプ3を具備する地盤改良装置4と、
・地盤改良装置4を上下方向で昇降可能に支持する柱状のリーダ5と、
・リーダ5に沿って昇降しケーシングパイプ3を軸周りに回動させる回転駆動装置6と、
・ケーシングパイプ3の内側空間に砂杭材料を送り込むためのホッパー7と、
・開閉自在に構成され、ケーシングパイプ3の管内圧力を高める際に閉弁するエアー弁8を有している。
・先端開口部から砂杭材料を排出可能なケーシングパイプ3と、
・ケーシングパイプ3の先端の下方に設けられた先端スクリュー10と、
・ケーシングパイプ3の外側の先端寄りに設けられた外ジェット21と、
・ケーシングパイプ3の内側の先端寄りに設けられた内ジェット31と(図4参照)、
・ケーシングパイプ内の砂杭材料の天端位置を計測するための計測手段と(図6参照)、
・ケーシングパイプ3の側面に設けられた側面スクリュー40を(図7参照)
備えている。
この外ジェット21は、必要に応じてその先端の噴射口からエアージェットを噴射することが可能であり、ケーシングパイプ3の貫入を補助する役割(貫入抵抗を緩和する役割)を担っている。
この内ジェット31は、必要に応じてその先端開口部からエアージェットを間欠的に噴射することが可能である。そして、この間欠エアーによって、ケーシングパイプ内側の先端寄りの砂杭材料(すなわちケーシングパイプ3の先端開口部手前にある砂杭材料)に作用する圧力に脈動が生じ、この脈動による圧力変化によって、ケーシングパイプ3内の砂杭材料を滞りなく連続して排出できるようになる。
非接触式砂面計測装置を使った砂面計測の具体例としては、図6(a)に示すようなマイクロウェーブ式レベル計や、図6(b)に示すようなレーザーレーダー距離計による砂面計測による砂面計測を挙げることができる。
接触式砂面計測装置を使った砂面計測の具体例としては、図6(c)に示すような重錘式砂面計測計による砂面計測を挙げることができる。
前述したとおり、本実施形態ではケーシングパイプ3内への圧縮空気の充填を行ない、ケーシングパイプ内側の先端寄りでは内ジェット31から間欠エアーを噴射して、ケーシングパイプ先端部から材料を排出する。ところが、この材料排出と共にケーシングパイプ先端から余剰なエアーが漏れ、ケーシングパイプ側面に沿って地上に排気される。そして、地上に排気されるエアーに伴って排土が発生する。
そこで本実施形態では、砂杭造成時の排土抑制を目的として、ケーシングパイプ3の側面に側面スクリュー40を設けている。この側面スクリュー40による効果は、ケーシングパイプ側面に沿って出来たエアーの通り道を攪拌して、排土しようとする土砂を下方向へ移動させ、排土を抑制できるといったことにある。
また、上述した排土抑制に伴って、地盤中に造成する締固め砂杭による密度増大効果を高めることができる、といった優れた効果も併せて達成される。
次に、ケーシングパイプ3の先端開口部の真下に設けられた先端スクリュー10の具体的構成について、図2、図3に基づいて説明する。
図3に示す実施形態では、地盤改良装置4は、ケーシングパイプ3と平行な一対の固定部材15を有しており、この固定部材15の上側は、ケーシングパイプ先端の側面に溶接されており、また、固定部材15の下側は、先端スクリュー10のフィンに対して溶接されている。すなわち、図3に示す実施形態では、先端スクリュー10は、一対の固定部材15を介してケーシングパイプの外周面に対して間接的に固定されており、その結果、ケーシングパイプ3が回転すると、先端スクリュー10は一体回転する。
このような形状の先端スクリュー(テーパー型スクリュー)をケーシングパイプ3の先端の真下に設けることで、砂杭の造成工程では、ケーシングパイプ先端から排出された材料をより多く下方向へ押し出す機能が向上し、砂杭の造成時間を短縮することができ、工期の短縮を図ることができる。
さらに、ケーシングパイプ3と一体回転する先端スクリュー10のフィンによって、ケーシングパイプの先端開口部から排出された砂杭材料に対して下向きの応力を加えることができる。排出済みの砂杭材料に対してこのように下向きの応力を加えることで、造成する砂杭に対する締固め効果(締固めの範囲)が拡大し、その結果、設計どおりの品質の砂杭を確実に造成できる。
このような特徴を具備する先端スクリュー10を設けることで、地盤改良装置4の貫入工程では、ケーシングパイプ3の回転貫入に伴って、当該スクリューによる“ねじ込み効果”を発揮する。また、この先端スクリュー10が、ケーシングパイプ3の径以上の原地盤をほぐしながら土砂を上方に移動させ、ケーシングパイプ側面の摩擦を低減させることで貫入力が向上する。
次に、図1~図7に示す装置構成を参照しつつ図8、図9に基づいて、上述した地盤改良装置を用いた地盤改良工法について説明する。
なお、以下説明する工程a~工程hは、それぞれ、図8に示す工程(a)~(h)に対応している。
砂杭(地盤改良体)の造成予定位置の地盤上に、ケーシングパイプ3を誘導する。
続いて、原地盤土砂の進入防止のために、ケーシングパイプ3内に砂杭材料(ポイント砂)を投入する。
次いで、回転駆動装置6によりケーシングパイプ3を正回転させて、該ケーシングパイプの貫入を開始する。
地盤への貫入の過程では、必要に応じて、貫入補助手段である外ジェット21などを併用しながら、ケーシングパイプ3をリーダ5に沿って規定深度まで貫入する。
なお、ケーシングパイプ3を貫入する過程では、ケーシングパイプ3の先端開口部を砂杭材料が閉塞しているため、ケーシングパイプ内への土砂の進入・混入が妨げられる。
ケーシングパイプ3の下端が目標深度まで到達したら貫入を終える。また、外ジェット21を併用していた場合には、そのエアージェットの噴射を停止する。
次いで、ホッパー7を介してケーシングパイプ3内に砂杭材料を投入する。砂杭材料の具体例としては、砂、リサイクル砂、再生砕石などが挙げられる。
続いて、ケーシングパイプ3の上方にあるエアー弁8を閉めた状態でケーシングパイプ内に圧縮空気を送り込み、ケーシングパイプ3の管内圧を上げる。そして、ケーシングパイプ内の砂杭材料の天端を、前述したマイクロウェーブ式レベル計などの計測手段(図6(a)参照)にて確認する。
また、内ジェット31によりエアージェットを間欠的に噴射して、ケーシングパイプ3内側の先端寄りの砂杭材料に脈動を生じさせて、ケーシングパイプ3の先端開口部からの砂杭材料の排出を促す。これにより、ケーシングパイプ3の先端開口部での砂杭材料の停滞を防いで、速やかに排出させることが可能となる。
また、回転駆動装置6によりケーシングパイプ3を逆回転(図8(b)(c)の回転方向と逆方向で回転)させつつ、巻上げウインチによりケーシングパイプ3の引抜きを開始する。
そして、ケーシングパイプ3を、内ジェット31、回転駆動装置6を作動させつつ、リーダ5に沿って引抜く過程で、ケーシングパイプ下端から砂杭材料が排出される。また、ケーシングパイプ3内の砂杭材料の天端を計測手段にて追従する。
そして、ケーシングパイプ3が規定深度に到達したら、該ケーシングパイプの引抜きを停止する。
引き続き、内ジェット31、回転駆動装置6を作動させ、砂杭材料を排出し、更なる締固めを行う。
なお、図9に示すとおり、工程d~fの過程で内ジェットによる圧縮エアーが砂杭材料と共に排出されることで、間隙水圧を上昇させ、有効応力の低減に伴い、締固めの進行を高める効果が得られる。
ケーシングパイプ3内の砂杭材料の天端を計測手段にて計測し、規定量の砂杭材料がケーシングパイプ3から排出されたかを確認する。
そして、砂杭材料の補給と工程d~gを繰り返してケーシングパイプ3を改良天端高まで引抜いたら、締固められた砂杭(規定長の地盤改良体)の造成が完了する。
図2に示す特徴を具備する地盤改良装置を実施例とした。
図12に示す特徴を具備する地盤改良装置を比較例とした。
・ケーシングパイプ3の先端の下に設けられたスクリュータイプの底面爪91と、
・ケーシングパイプ3の先端側外周面に設けられた回動可能な可動式掘削爪93を
備えていた。
貫入能力を検証する実験では、実施例と比較例でモータ出力を同じ値に設定し、同じモータ出力に対する貫入力を比較した。
すなわち、ケーシングパイプ先端の真下にテーパー型スクリューを具備する実施例では、(比較例に比べて)同じモータ出力に対する貫入力が増加し、1.5~1.7倍程度の貫入速度の向上に繋がることが分かった。
すなわち、ケーシングパイプ先端の真下にテーパー型スクリューを具備する実施例では、(比較例に比べて)1.5~2.5倍程度の材料排出能力が向上することが分かった。また、排出能力の向上に伴い、施工速度が向上することが分かった。
2 ベースマシン
3 ケーシングパイプ
4 地盤改良装置
5 リーダ
6 回転駆動装置
7 ホッパー
8 エアー弁
10 先端スクリュー(テーパー型スクリュー)
11 軸部材
13 固定部材
15 固定部材
21 外ジェット(エアー噴射部)
31 内ジェット(エアー噴射部)
40 側面スクリュー
91 底面爪
93 可動式掘削爪
Claims (6)
- 地盤を締固める地盤改良体を地盤中に造成する地盤改良工法として用いる装置であって、
地盤に貫入させた状態で先端から地盤改良材を排出可能なケーシングパイプと、
前記ケーシングパイプの先端に一体回転可能に設けられ、前記ケーシングパイプの先端から排出された地盤改良材を下方へ押し出すための先端スクリューと、を有し、
前記先端スクリューは、上から下に向かって径が大きくなるように形成されている、ことを特徴とする地盤改良装置。 - 前記先端スクリューは、
上部が、前記ケーシングパイプの径とほぼ同じ径を有し、
下部が、前記ケーシングパイプの径を超える径を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載の地盤改良装置。 - 前記ケーシングパイプの内側の先端寄りに設けられ、前記ケーシングパイプの先端からの地盤改良材の排出を促すエアーを間欠的に噴射するためのエアー噴射部を、
更に有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の地盤改良装置。 - 前記ケーシングパイプ内の地盤改良材の天端位置を計測するための計測手段を、
更に有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の地盤改良装置。 - 前記ケーシングパイプの側面に設けられ、該ケーシングパイプの側面又はその近傍に沿って生じ得る排土を抑制するための側面スクリューを、
更に有していることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の地盤改良装置。 - 請求項3に記載の地盤改良装置を用いた地盤改良工法であって、
地盤改良材を排出可能なケーシングパイプを用いて、地盤を締固める地盤改良体を地盤中に造成する方法において、
ケーシングパイプ先端からの地盤改良材の排出を促すためのエアーを間欠的に噴射する、ことを特徴とする地盤改良工法。
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