JP2016145311A - 2−ピロリドン重合体の製造方法、及び2−アゼチジノン重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高分子量の2−ピロリドン重合体を、形状の自由度が高く容易に反応容器から取り出すことができる2−ピロリドン重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させる2−ピロリドン重合体の製造方法である。
【選択図】図3
【解決手段】2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させる2−ピロリドン重合体の製造方法である。
【選択図】図3
Description
本発明は、2−ピロリドン重合体の製造方法、及び2−アゼチジノン重合体の製造方法に関する。
ポリアミドは、アミド基の水素結合により優れた強靭性を有し、機械部品、建材、フィルム、繊維などの用途で用いられている。ポリアミドを製造する場合、アミド結合を有する開環重合性モノマーを重合する方法が用いられている。例えば、ポリアミドの一例としての2−ピロリドン重合体は、2−ピロリドンを重合させて得られる。
例えば、アルカリ重合触媒、重合活性剤、及び約0.05モル%〜3モル%のヘキサメチレンジアミンの存在下で、2−ピロリドンを重合する、2−ピロリドン重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、アルカリ金属以外のアルカリ性重合触媒と、重合活性剤としての二酸化炭素の存在下で、2−ピロリドンを重合する、2−ピロリドン重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、2−ピロリドンを、塩基性重合触媒、及び重合開始剤である炭酸ガス又は二酸化イオウの作用により重合する際、特定の化学式で表されるカルバミド化合物を前記塩基性重合触媒1molに対して0.0001mol〜0.1mol存在させる、2−ピロリドン重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、重合開始剤としてのポリカルボン酸誘導体と、2−ピロリドンとを塩基性重合触媒の存在下に重合する、特定のポリイミド4誘導体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、アルカリ金属以外のアルカリ性重合触媒と、重合活性剤としての二酸化炭素の存在下で、2−ピロリドンを重合する、2−ピロリドン重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、2−ピロリドンを、塩基性重合触媒、及び重合開始剤である炭酸ガス又は二酸化イオウの作用により重合する際、特定の化学式で表されるカルバミド化合物を前記塩基性重合触媒1molに対して0.0001mol〜0.1mol存在させる、2−ピロリドン重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、重合開始剤としてのポリカルボン酸誘導体と、2−ピロリドンとを塩基性重合触媒の存在下に重合する、特定のポリイミド4誘導体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、塩基性触媒と、活性化剤としてN−アシルラクタムとの存在下、N−メチルピロリドンなどを溶媒として、2−アゼチジノンを重合する、2−アゼチジノン重合体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
ポリアミドを超臨界中で重合する例として、触媒を失活させることなく、生成するポリアミドを可塑化するジメチルエーテル中で重合させる例が提案されている(例えば、特許文献6参照)。しかし、この提案の方法では、可燃性ガスを使用するという問題がある。
前述の従来技術の2−ピロリドン重合体の製造方法では、重合速度が遅く、かつ得られるポリマーの分子量は実用に供するには不十分であるという問題がある。また、従来技術の2−ピロリドン重合体の製造方法では、2−ピロリドンを開環重合した場合には、反応の進行に伴い得られる2−ピロリドン重合体が固化する。このため、2−ピロリドン重合体の形状の自由度や、2−ピロリドン重合体を反応容器から取り出すときの自由度が制限されるという問題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高分子量の2−ピロリドン重合体を、形状の自由度が高く容易に反応容器から取り出すことができる2−ピロリドン重合体の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の2−ピロリドン重合体の製造方法は、2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させることを特徴とする。
本発明の2−ピロリドン重合体の製造方法は、2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させることを特徴とする。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決することができ、高分子量の2−ピロリドン重合体を、形状の自由度が高く容易に反応容器から取り出すことができる2−ピロリドン重合体の製造方法を提供することができる。
(2−ピロリドン重合体の製造方法)
本発明の2−ピロリドン重合体の製造方法は、2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させる。
本発明の2−ピロリドン重合体の製造方法は、2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させる。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、二酸化炭素を含む圧縮性流体を、2−ピロリドン及び2−ピロリドン重合体に添加することによって、反応の進行が適切となり反応後の2−ピロリドン重合体の取り出しも容易となることを見出した。
(2−アゼチジノン重合体の製造方法)
本発明の2−アゼチジノン重合体の製造方法は、2−アゼチジノンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−アゼチジノンを開環重合させる。
本発明の2−アゼチジノン重合体の製造方法は、2−アゼチジノンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−アゼチジノンを開環重合させる。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、二酸化炭素を含む圧縮性流体を、2−アゼチジノン及び2−アゼチジノン重合体に添加することによって、反応の進行が適切となり反応後の2−アゼチジノン重合体の取り出しも容易となることを見出した。また、この製造方法においては、溶媒を使用せずに2−アゼチジノン重合体を得ることができる。
本発明の2−ピロリドン重合体の製造方法、並びにその製造方法により得られる2−ピロリドン重合体、及びその用途等について、以下に説明する。
また、以下の説明は、「2−ピロリドン」を、「2−アゼチジノン」に読み替えるこにより、本発明の2−アゼチジノン重合体の製造方法等の説明となる(ただし、実施例を除く)。また、特記する場合はその限りではない。
例えば、本発明の2−アゼチジノン重合体の製造方法は、以下の説明において、「2−ピロリドン」を「2−アゼチジノン」と読み替えること、「2−ピロリドン金属塩」を「2−アゼチジノン金属塩」と読み替えること、「2−ピロリドン重合体」を「2−アゼチジノン重合体」と読み替えることにより説明される。
例えば、本発明の2−アゼチジノン重合体の製造方法は、以下の説明において、「2−ピロリドン」を「2−アゼチジノン」と読み替えること、「2−ピロリドン金属塩」を「2−アゼチジノン金属塩」と読み替えること、「2−ピロリドン重合体」を「2−アゼチジノン重合体」と読み替えることにより説明される。
<混合物>
前記混合物は、2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
なお、以下の本明細書において、単に「混合物」と称するときは、前記混合物を意味する。
前記混合物は、2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
なお、以下の本明細書において、単に「混合物」と称するときは、前記混合物を意味する。
<<塩基性重合触媒>>
前記塩基性重合触媒としては、ラクタム類のアニオン重合法で一般的に用いられる化合物が使用できる。そのような塩基性重合触媒としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等)、アルカリ金属の水酸化物、水素物、酸化物及び塩(例えば、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、カリウムメチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムピロリドン、カリウムピロリドン、アルコラート等)、塩基性の有機金属化合物(例えば、リチウムアルキル、カリウムアルキル、ナトリウムアルキル、アルミニウムアルキル等)などが挙げられる。
これらの中でも、開環重合反応のしやすさの点から、2−ピロリドン金属塩が好ましく、2−ピロリドンのアルカリ金属塩がより好ましく、2−ピロリドンのカリウム(カリウムピロリドン)が特に好ましい。
前記塩基性重合触媒としては、ラクタム類のアニオン重合法で一般的に用いられる化合物が使用できる。そのような塩基性重合触媒としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等)、アルカリ金属の水酸化物、水素物、酸化物及び塩(例えば、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、カリウムメチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムピロリドン、カリウムピロリドン、アルコラート等)、塩基性の有機金属化合物(例えば、リチウムアルキル、カリウムアルキル、ナトリウムアルキル、アルミニウムアルキル等)などが挙げられる。
これらの中でも、開環重合反応のしやすさの点から、2−ピロリドン金属塩が好ましく、2−ピロリドンのアルカリ金属塩がより好ましく、2−ピロリドンのカリウム(カリウムピロリドン)が特に好ましい。
更に、前記塩基性重合触媒としては、アルカリ土類金属の水素化物(水素化カルシウム、水素化ナトリウム等)、塩基性の有機金属化合物(n−ブチルリチウム等)も使用できる。これらの中ではナトリウムが扱いやすく、重合結果も良好であるので好ましい。
前記2−ピロリドン重合体の製造方法における、前記塩基性重合触媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記2−ピロリドンに対して、0.3モル%以上15モル%以下が好ましく、0.6モル%以上12モル%以下がより好ましく、2.4モル%以上6.0モル%以下が特に好ましい。前記塩基性重合触媒の使用量が、前記好ましい範囲内であると、重合速度も早く、かつ高分子量、高転化率の2−ピロリドン重合体が得られる。
前記塩基性重合触媒として前記2−ピロリドン金属塩を用いる場合、前記混合物は、例えば、金属アルコキシドと、前記金属アルコキシドよりも過剰の2−ピロリドンとを反応させることにより得ることができる。前記金属アルコキシドとしては、例えば、アルカリ金属のアルコキシドなどが挙げられる。前記アルカリ金属としては、例えば、カリウム、ナトリウムなどが挙げられる。前記アルコキシドとしては、例えば、炭素数1〜6のアルコキシドなどが挙げられる。前記炭素数1〜6のアルコキシドとしては、例えば、メトキシド、エトキシド、t−ブトキシドなどが挙げられる。
<重合開始剤>
前記2−ピロリドン重合体の製造方法において、前記2−ピロリドンの開環重合は、重合開始剤の存在下で行われることが、高い反応率が得られる点で好ましい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、前記重合開始剤の語の意味には、二酸化炭素は含まれない。
前記2−ピロリドン重合体の製造方法において、前記2−ピロリドンの開環重合は、重合開始剤の存在下で行われることが、高い反応率が得られる点で好ましい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、前記重合開始剤の語の意味には、二酸化炭素は含まれない。
前記重合開始剤としては、アシル基を有する重合開始剤が好ましい。そのような重合開始剤としては、例えば、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸無水物、カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸エステルが好ましい。
前記カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、カルボン酸塩化物、カルボン酸フッ化物、カルボン酸臭素化物などが挙げられる。これらの中でも、カルボン酸塩化物が好ましい。前記カルボン酸塩化物としては、例えば、塩化ベンゾイルなどが挙げられる。
また、前記重合開始剤としては、2−ピロリドンに由来する構造を含むカルボン酸系化合物が好ましい。そのような重合開始剤としては、例えば、N−アシル−2−ピロリドンなどが挙げられる。前記N−アシル−2−ピロリドンとしては、例えば、1−アセチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。前記N−アシル−2−ピロリドンも前記アシル基を有する重合開始剤に該当する。
なお、2−アゼチジノン重合体の製造方法において、前記重合開始剤としては、2−アゼチジノンに由来する構造を含むカルボン酸系化合物であってもよいし、2−ピロリドンに由来する構造を含むカルボン酸系化合物であってもよい。
前記カルボン酸ハロゲン化物としては、例えば、カルボン酸塩化物、カルボン酸フッ化物、カルボン酸臭素化物などが挙げられる。これらの中でも、カルボン酸塩化物が好ましい。前記カルボン酸塩化物としては、例えば、塩化ベンゾイルなどが挙げられる。
また、前記重合開始剤としては、2−ピロリドンに由来する構造を含むカルボン酸系化合物が好ましい。そのような重合開始剤としては、例えば、N−アシル−2−ピロリドンなどが挙げられる。前記N−アシル−2−ピロリドンとしては、例えば、1−アセチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。前記N−アシル−2−ピロリドンも前記アシル基を有する重合開始剤に該当する。
なお、2−アゼチジノン重合体の製造方法において、前記重合開始剤としては、2−アゼチジノンに由来する構造を含むカルボン酸系化合物であってもよいし、2−ピロリドンに由来する構造を含むカルボン酸系化合物であってもよい。
前記2−ピロリドン重合体の製造方法における、前記重合開始剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記2−ピロリドンに対して、0.75モル%以上10モル%以下が好ましく、0.75モル%以上4モル%以下がより好ましく、1.5モル%以上2.5モル%以下が特に好ましい。
開環重合に際しては、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤の例としては、界面活性剤、酸化防止剤、安定剤、防曇剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、無機粒子、各種フィラー、熱安定剤、難燃剤、結晶核剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、天然物、離型剤、可塑剤、その他類似のものがあげられる。必要に応じて重合反応後に重合停止剤(安息香酸、塩酸、燐酸、メタリン酸、酢酸、乳酸等)を用いることもできる。上記添加剤の配合量は、添加する目的や添加剤の種類によって異なるが、好ましくは、2−ピロリドン重合体100質量部に対して0質量部以上5質量部以下である。
前記安定剤としては、エポキシ化大豆油、カルボジイミドなどが用いられる。
前記酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが用いられる。
前記防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが用いられる。
前記フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが用いられる。
前記顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、群青などが用いられる。
前記酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソールなどが用いられる。
前記防曇剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸モノステアリルなどが用いられる。
前記フィラーとしては、紫外線吸収剤、熱安定剤、難燃剤、内部離型剤、結晶核剤としての効果を持つクレイ、タルク、シリカなどが用いられる。
前記顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、群青などが用いられる。
<圧縮性流体>
次に、図1及び図2を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの流体を意味する。
次に、図1及び図2を用いて本実施形態の製造方法で用いられる圧縮性流体について説明する。図1は、温度と圧力に対する物質の状態を示す相図である。図2は、本実施形態において圧縮性流体の範囲を定義するための相図である。本実施形態における「圧縮性流体」とは、図1で表される相図の中で、図2に示す(1)、(2)、(3)の何れかの領域に存在するときの流体を意味する。
このような領域においては、物質はその密度が非常に高い状態となり、常温常圧時とは異なる挙動を示すことが知られている。なお、流体が(1)の領域に存在する場合には超臨界流体となる。超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮しない流体のことである。また、流体が(2)の領域に存在する場合には液体となるが、本実施形態においては、常温(25℃)、常圧(1気圧)において気体状態である物質を圧縮して得られた液化ガスを表す。また、流体が(3)の領域に存在する場合には気体状態であるが、本実施形態においては、圧力が臨界圧力(Pc)の1/2(1/2Pc)以上の高圧ガスを表す。
前記圧縮性流体を開環重合の系に添加することで、溶媒としての有機溶剤を用いることなく重合でき、また重合体の取り出しが容易になる。
<重合反応装置>
続いて、図3及び図4を用いて、本実施形態において2−ピロリドン重合の製造に用いられる重合反応装置について説明する。まず、図3を用いて重合反応装置100について説明する。図3は、重合工程の一例を示す系統図である。従来の製造方法により2−ピロリドンをアニオン重合する場合、反応中にポリマー生成物が固化するため、連続的にポリマーを製造することができなかった。本実施形態の製造方法によると、例えば、重合反応装置100を用いることにより、連続的にポリマーを製造することができる。
続いて、図3及び図4を用いて、本実施形態において2−ピロリドン重合の製造に用いられる重合反応装置について説明する。まず、図3を用いて重合反応装置100について説明する。図3は、重合工程の一例を示す系統図である。従来の製造方法により2−ピロリドンをアニオン重合する場合、反応中にポリマー生成物が固化するため、連続的にポリマーを製造することができなかった。本実施形態の製造方法によると、例えば、重合反応装置100を用いることにより、連続的にポリマーを製造することができる。
重合反応装置100は、2−ピロリドンなどの原材料及び圧縮性流体を供給する供給ユニット100aと、供給ユニット100aによって供給された2−ピロリドンを重合させる連続重合装置の一例としての重合反応装置本体100bとを有する。供給ユニット100aは、タンク(1,3,5,7,11)と、計量フィーダー(2,4)と、計量ポンプ(6,8,12)と、を有する。重合反応装置本体100bは、重合反応装置本体100bの一端部に設けられた混合装置9と、送液ポンプ10と、反応容器13と、計量ポンプ14と、重合反応装置本体100bの他端部に設けられた押出口金15と、を有する。なお、本実施形態において、圧縮性流体と原材料あるいはポリマーを混合して、原材料等を溶解または溶融させる装置を「混合装置」と呼ぶこととする。本実施形態において、「溶融」とは、原材料あるいは生成したポリマーが圧縮性流体と接触することで、膨潤しつつ可塑化、液状化した状態を意味する。また、「溶解」とは、原材料が圧縮性流体中に溶けることを意味する。
供給ユニット100aのタンク1は、2−ピロリドン及び塩基性重合触媒の混合物を貯蔵する。貯蔵される混合物は粉末であっても液体の状態であっても良い。タンク3は、例えば、重合開始剤及び添加剤のうち固体(粉末又は粒状)のものを貯蔵する。タンク5は、例えば、重合開始剤及び添加剤のうち液体のものを貯蔵する。タンク7は、圧縮性流体を貯蔵する。なお、タンク7は、混合装置9に供給される過程で、あるいは、混合装置9内で加熱または加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)、または、固体を貯蔵しても良い。この場合、タンク7に貯蔵される気体または固体は、加熱または加圧されることにより、混合装置9内で図2の相図における(1)、(2)、または(3)の状態となる。
計量フィーダー2は、タンク1に貯蔵された混合物を計量して混合装置9に連続的に供給する。計量フィーダー4は、タンク3に貯蔵された固体を計量して混合装置9に連続的に供給する。計量ポンプ6は、タンク5に貯蔵された液体を計量して混合装置9に連続的に供給する。計量ポンプ8は、タンク7に貯蔵された圧縮性流体を一定の圧力及び流量で混合装置9に連続的に供給する。なお、本実施形態において連続的に供給するとは、バッチ毎に供給する方法に対する概念であって、開環重合させたポリマーが連続的に得られるよう供給することを意味する。即ち、開環重合させたポリマーが連続的に得られる限り、各材料は、断続的、或いは、間欠的に供給されても良い。また、重合開始剤及び添加剤がいずれも固体の場合には、重合反応装置100は、タンク5及び計量ポンプ6を有していなくても良い。同様に、重合開始剤及び添加剤がいずれも液体の場合には、重合反応装置100は、タンク3及び計量フィーダー4を有していなくても良い。
本実施形態において、重合反応装置本体100bの各装置は、原材料、圧縮性流体、あるいは生成したポリマーを輸送する耐圧性の配管30によって、図3に示されたように接続されている。また、重合反応装置の混合装置9、送液ポンプ10、及び反応容器13の各装置は、上記の原材料等を通過させる管状の部材を有している。
重合反応装置本体100bの混合装置9は、各タンク(1,3,5)から供給された混合物、重合開始剤、添加剤などの原材料と、タンク7から供給された圧縮性流体とを連続的に接触させ、原材料を溶解させるための耐圧性の容器を有した装置である。混合装置9では、原材料と圧縮性流体と接触することにより、原材料が溶融または溶解する。混合物を溶解した場合には流体相、溶融した場合には溶融相が形成されるが、均一に反応を進めるために、溶融相または流体相のいずれか一層が形成されていることが好ましい。また、圧縮性流体に対して原材料の比率が高い状態で反応を進行させるために、混合物を溶融させることが好ましい。なお、本実施形態では、原材料及び圧縮性流体を連続的に供給することにより、混合装置9において、混合物などの原材料と圧縮性流体とを一定の濃度の比率で連続的に接触させることができる。これにより、原材料を効率的に溶解又は溶融させることができる。
混合装置9の容器の形は、タンク型でも筒型でもよいが、一端から原材料を供給し、他端から混合物を取り出す筒型が好ましい。混合装置9の容器には、計量ポンプ8によってタンク7から供給された圧縮性流体を導入する導入口9aと、計量フィーダー2によってタンク1から供給された混合物を導入する導入口9bと、計量フィーダー4によってタンク3から供給された粉末を導入する導入口9cと、計量ポンプ6によってタンク5から供給された液体を導入する導入口9dとが設けられている。本実施形態において各導入口(9a,9b,9c,9d)は、混合装置9の容器と、各原材料または圧縮性流体を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。また、混合装置9は、供給された各原材料及び圧縮性流体を加熱するためのヒータ9eを有している。更に、混合装置9は、原材料、圧縮性流体などを攪拌する攪拌装置を有していても良い。混合装置9が攪拌装置を有する場合、攪拌装置としては、一軸のスクリュウ、互いに噛み合う二軸のスクリュウ、互いに噛み合う又は重なり合う多数の攪拌素子をもつ二軸の混合機、互いに噛み合うらせん形の攪拌素子を有するニーダー、スタティックミキサーなどが好ましく用いられる。特に、互いに噛み合う二軸又は多軸攪拌装置は、攪拌装置や容器への反応物の付着が少なく、セルフクリーニング作用があるので好ましい。
混合装置9が攪拌装置を有していない場合、混合装置9としては、耐圧配管が好適に用いられる。この場合、耐圧配管をらせん状としたり折り曲げたりして配置することで、重合反応装置100の設置スペースを削減したり、レイアウトの自由度を向上させたりすることができる。なお、混合装置9が攪拌装置を有していない場合、混合装置9内での各材料を確実に混合するため、混合装置9に供給される混合物は予め液化されていることが好ましい。
送液ポンプ10は、混合装置9で溶解又は溶融させた各原材料を反応容器13に送液する。タンク11は、重合開始剤を貯蔵する。計量ポンプ12は、タンク11に貯蔵された重合開始剤を計量して反応容器13に供給する。
反応容器13は、送液ポンプ10によって送液された溶解又は溶融させた各原材料と、計量ポンプ12によって供給された重合開始剤とを混合して、2−ピロリドンを連続的に開環重合させるための耐圧性の容器である。反応容器13の形状としては、タンク型でも筒型でもよいが、デッドスペースが少ない筒型が好ましい。反応容器13には、混合装置9によって混合された各材料を容器内に導入するための導入口13aと、計量ポンプ12によってタンク11から供給された重合開始剤を容器内に導入する導入口13bとが設けられている。本実施形態において各導入口(13a,13b)は、反応容器13と、各原材料を輸送する各配管とを接続する継手によって構成される。この継手としては、特に制限されず、レデューサー、カップリング、Y、T、アウトレットなどの公知のものが用いられる。なお、反応容器13には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていても良い。また、反応容器13は、送液された原材料を加熱するためのヒータ13cを有している。更に、反応容器13は、原材料、圧縮性流体などを攪拌する攪拌装置を有していても良い。反応容器13が攪拌装置を有する場合、原材料と生成されたポリマーの密度差によって、ポリマーが沈降することを抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。反応容器13の攪拌装置としては、互いに噛み合うスクリュウや、2フライト(長円形)や3フライト(三角形様)などの攪拌素子、円板又は多葉形(クローバー形など)の攪拌翼をもつ二軸又は多軸のものがセルフクリーニングの観点から好ましい。あらかじめ触媒を含む原材料が充分に混合されている場合には、案内装置により流れの分割と複合(合流)を多段的に行う静止混合器も攪拌装置に応用出来る。静止型混合器としては、特公昭47−15526、同47−15527、同47−15528、同47−15533などで開示されたもの(多層化混合器)、及び特開昭47−33166に開示されたもの(ケニックス型)、及びそれらに類似する可動部のない混合装置が挙げられ、これらの記載内容を参照によりここに含めるものとする。
反応容器13が攪拌装置を有していない場合、反応容器13としては、耐圧配管が好適に用いられる。この場合、耐圧配管をらせん状としたり折り曲げたりして配置することで、重合反応装置100の設置スペースを削減したり、レイアウトの自由度を向上させたりすることができる。
図3では、反応容器13が1個の例を示したが、2個以上の反応容器13を用いることもできる。複数の反応容器13を用いる場合、反応容器13毎の反応(重合)条件、すなわち温度、触媒濃度、圧力、平均滞留時間、攪拌速度などは、同一でもよいが、重合の進行にあわせて、それぞれ最適の条件を選ぶことが好ましい。なお、反応時間の増加や装置の煩雑化を招くため、あまり多くの容器を多段的に結合することは得策でなく、段数は1以上4以下、特に1以上3以下が好ましい。
計量ポンプ14は、反応容器13内のポリマー生成物Pを、ポリマー排出口の一例としての押出口金15から、反応容器13の外に送り出す。なお、反応容器13の内外の圧力差を利用することにより、計量ポンプ14を用いずにポリマー生成物Pを反応容器13内から送り出すこともできる。この場合、反応容器13内の圧力やポリマー生成物Pの送り出し量を調整するために、計量ポンプ14に変えて圧調整バルブを用いることもできる。
また、各原材料が効率的に溶融するように、反応容器13で各原材料及び圧縮性流体に熱や攪拌を加えるタイミングを調整しても良い。この場合、各原材料と圧縮性流体とを接触させた後、熱や攪拌を加えても、各原材料と圧縮性流体とを接触させながら熱や攪拌を加えても良い。また、あらかじめ2−ピロリドンに融点以上の熱を加えて溶融させてから、2−ピロリドンと圧縮性流体とを接触させても良い。
また、各原材料が効率的に溶融するように、反応容器13で各原材料及び圧縮性流体に熱や攪拌を加えるタイミングを調整しても良い。この場合、各原材料と圧縮性流体とを接触させた後、熱や攪拌を加えても、各原材料と圧縮性流体とを接触させながら熱や攪拌を加えても良い。また、あらかじめ2−ピロリドンに融点以上の熱を加えて溶融させてから、2−ピロリドンと圧縮性流体とを接触させても良い。
続いて、図4を用いてバッチ式の工程で用いられる重合反応装置200について説明する。図4は、バッチ式の重合工程の一例を示す系統図である。図4の系統図において、重合反応装置200は、タンク21と、計量ポンプ22と、添加ポット25と、反応容器27と、バルブ(23,24,26,28,29)とを有している。上記の各装置は耐圧性の配管30によって図4に示したように接続されている。また、配管30には、継手(30a,30b)が設けられている。
タンク21は、圧縮性流体を貯蔵する。なお、タンク21は、反応容器27に供給される供給経路あるいは反応容器27内で加熱、加圧されて圧縮性流体となる気体(ガス)または固体を貯蔵しても良い。この場合、タンク21に貯蔵される気体または固体は、加熱または加圧されることにより、反応容器27内で図2の相図における(1)、(2)、または(3)の状態となる。
計量ポンプ22は、タンク21に貯蔵された圧縮性流体を、一定の圧力及び流量で反応容器27に供給する。添加ポット25は、反応容器27内の原材料に添加される重合開始剤を貯蔵する。バルブ(23,24,26,29)は、それぞれを開閉させることにより、タンク21に貯蔵された圧縮性流体を、添加ポット25を経由して反応容器27に供給する経路と、添加ポット25を経由せずに反応容器27に供給する経路などとを切り換える。
反応容器27には、重合を開始する前に予め混合物を収容する。反応容器27は、予め収容された混合物と、タンク21から供給された圧縮性流体と、添加ポット25から供給された重合開始剤とを接触させて、2−ピロリドンを開環重合させるための耐圧性の容器である。なお、反応容器27には、蒸発物を除去するための気体出口が設けられていても良い。また、反応容器27は、原材料及び圧縮性流体を加熱するためのヒータを有している。更に、反応容器27は、原材料、及び圧縮性流体を攪拌する攪拌装置を有している。原材料と生成したポリマーとの密度差が生じたときに、攪拌装置の攪拌を加えることで生成したポリマーの沈降を抑制できるので、重合反応をより均一かつ定量的に進められる。バルブ28は、重合反応終了後に開放されることにより反応容器27内のポリマー生成物Pを排出する。
<<ポリマー製造方法>>
続いて、上記の原材料、圧縮性流体、及び、重合反応装置100を用いたポリマーの製造方法について説明する。本実施形態のポリマーの製造方法によると、2−ピロリドン及び塩基性重合触媒を含有する混合物と、圧縮性流体とを接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後に、前記2−ピロリドンを開環重合させる。
続いて、上記の原材料、圧縮性流体、及び、重合反応装置100を用いたポリマーの製造方法について説明する。本実施形態のポリマーの製造方法によると、2−ピロリドン及び塩基性重合触媒を含有する混合物と、圧縮性流体とを接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後に、前記2−ピロリドンを開環重合させる。
まず、各計量フィーダー(2,4)、計量ポンプ6、及び計量ポンプ8を作動させ、各タンク(1,3,5,7)内の混合物、圧縮性流体、及び必要に応じて任意成分である重合開始剤と添加剤を連続的に混合装置9に供給する。なお、各装置から供給された原材料及び圧縮性流体等は、各導入口(9a,9b,9c,9d)から、混合装置9の管内に原材料及び圧縮性流体が連続的に導入される。なお、固体(粉末又は粒状)の原材料は、液体の原材料と比較して計量精度が低い場合がある。この場合、固体の原材料を前もって溶融させて液体の状態にしてタンク5に貯蔵しておき、計量ポンプ6によって混合装置9の管内に導入させてもよい。各計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6、計量ポンプ8を作動させる順序は、特に限定されないが、初期の原材料が圧縮性流体に接触せずに反応容器13に送られると、温度低下によって固化する恐れがあるため、先に計量ポンプ8を作動させることが好ましい。
計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6による各原材料の各供給速度は、混合物、重合開始剤、添加剤の所定の量比に基づいて、一定の比率となるように調整される。計量フィーダー(2,4)及び計量ポンプ6によって単位時間当たりに供給される各原材料の質量の合計(原材料の供給速度、(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。同様に、計量ポンプ8によって単位時間当たりに供給される圧縮性流体の質量(圧縮性流体の供給速度、(g/min))は、所望のポリマー物性や反応時間等に基づいて調整される。圧縮性流体の供給速度と原材料の供給速度との比(原材料の供給速度/圧縮性流体の供給速度、フィード比という)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、10以上が特に好ましい。また、フィード比の上限値については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000以下が好ましく、100以下がより好ましく、50以下が特に好ましい。
このフィード比を1以上とすることにより、各原材料及び圧縮性流体が反応容器13に送液されたときに、原材料及び生成したポリマー生成物の濃度(いわゆる固形分濃度)が高い状態で反応が進行する。このときの重合系内の固形分濃度は、従来の製造方法で圧倒的な量の圧縮性流体に対して少量の混合物を溶解させて重合したときの重合系の固形分濃度とは大きく異なる。本実施形態の製造方法は、固形分濃度が高い重合系でも重合反応が効率的かつ安定して進行することに特徴がある。なお、本実施形態において、フィード比を1未満としてもよく、この場合であっても、得られるポリマー生成物の品質に問題はないが、経済的な効率は劣ることになる。また、フィード比が1,000を超えると、圧縮性流体が混合物を溶融させる能力が不十分となる恐れがあり、目的とする反応が均一に進まない場合がある。
各原材料及び圧縮性流体は、混合装置9の管内に連続的に導入されるので、それぞれが連続的に接触する。これにより、混合装置9内で、混合物、重合開始剤、添加物などの各原材料が混合されて、混合物が溶融または溶解する。混合装置9が攪拌装置を有する場合には、各原材料及び圧縮性流体を攪拌してもよい。導入された圧縮性流体が気体に変わることを避けるため、反応容器13の管内の温度及び圧力は、好ましくは上記圧縮性流体の三重点以上の温度及び圧力に制御される。なお、この圧力は、例えば、ポンプの流量や配管径、配管の長さ、配管の形状などにより制御される。また、この制御は、混合装置9のヒータ9eの出力或いは圧縮性流体の供給速度を調整することにより行われる。
本実施形態において、混合物を溶融または溶解させるときの温度は、混合物の常圧での融点以下の温度であってもよい。これは、圧縮性流体の存在下、混合装置9内が高圧となり、混合物の融点が常圧での融点よりも低下することによると考えられる。このため、混合物に対する圧縮性流体の量が少ない場合であっても、混合装置9内で混合物は溶融または溶解する。
各原材料が効率的に混合するように、混合装置9で各原材料及び圧縮性流体に熱や攪拌を加えるタイミングを調整してもよい。この場合、各原材料と圧縮性流体とを接触させた後、熱や攪拌を加えても、各原材料と圧縮性流体とを接触させながら、熱や攪拌を加えてもよい。また、より確実に混合させるため、例えば、あらかじめ混合物に融点以上の熱をかけてから、混合物と圧縮性流体とを接触させてもよい。上記の各態様は、例えば、混合装置9が二軸の混合装置である場合には、スクリュウの配列、各導入口(9a,9b,9c,9d)の配置、ヒータ9eの温度を適宜設定することにより実現される。
なお、本実施形態では、混合物とは別に、添加物を混合装置9に供給しているが、混合物と共に、添加物を供給してもよい。また、重合反応後に添加物を供給してもよい。この場合、反応容器13から、得られたポリマー生成物を取り出した後に添加物を混錬しながら添加することもできる。
混合装置9で混合させた各原材料は送液ポンプ10によって送液され、導入口13aから反応容器13に供給される。
各原材料及び重合開始剤は、必要に応じて反応容器13の攪拌装置によって充分に攪拌され、或いは送液される間、ヒータ13cにより所定温度(重合反応温度)に加熱される。これにより、反応容器13内で、重合開始剤の存在下、2−ピロリドンは開環重合する(重合工程)。2−ピロリドンを開環重合させる際の温度(重合反応温度)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40℃以上150℃以下であることが好ましく、50℃以上100℃であることがより好ましい。重合反応温度が、前記好ましい範囲内であると、反応速度の低下もなく、かつ副反応の生じる可能性も少ない。ただし、圧縮性流体、混合物及び重合開始剤の組み合わせなどによっては、上記範囲以外の温度で2−ピロリドンを開環重合させても良い。なお、重合反応温度は、例えば、重合反応装置に設けられたヒータ或いは外部からの加熱等により制御される。
本実施形態において、重合反応時間(反応容器13内の平均滞留時間)は、目標とする分子量に応じて設定される。目標とする分子量が4000乃至1000000である場合、重合反応時間は、例えば、30分以上120分以下とすることができる。
反応容器13内で開環重合反応を終えたポリマー生成物Pは、計量ポンプ14によって反応容器13の外へ送り出される。計量ポンプ14がポリマー生成物Pを送り出す速度は、圧縮性流体で満たされた重合系内の圧力を一定にして、運転させ均一なポリマー生成物を得るために、一定とすることが好ましい。そのため、計量ポンプ14の背圧が一定となるように、反応容器13の内部の送液機構及び送液ポンプ10の送液量は制御される。同様に、送液ポンプ10の背圧が一定となるように、混合装置9内部の送液機構及び計量フィーダー(2,4)、及び計量ポンプ(6,8)の供給速度は制御される。制御方式は、ON−OFF型つまり間欠フィード型でもよいが、ポンプ等の回転速度を徐々に増減する連続又はステップ方式の方がより好ましいことが多い。いずれにせよこのような制御によって、均一なポリマー生成物を安定に得ることができる。
本実施形態により得られるポリマー生成物に残存する触媒は、必要に応じて除去される。除去方法としては、特に限定するものではないが、減圧留去や圧縮性流体を用いた抽出等が挙げられる。減圧留去する場合、減圧条件は触媒の沸点に基づいて設定される。例えば、減圧の際の温度は、35℃以上100℃以下であり、ポリマー生成物が解重合する温度より低い温度で触媒を除去することが可能である。このため、抽出操作においても溶媒として圧縮性流体を用いることが好ましい。このような抽出操作としては、香料の抽出などの公知の技術が転用できる。
重合時の圧力、すなわち圧縮性流体の圧力は、タンク7から供給された圧縮性流体が液化ガス(図2の相図の(2))、または高圧ガス(図2の相図の(3))となる圧力でも良いが、超臨界流体(図2の相図の(1))となる圧力が好ましい。圧縮性流体を超臨界流体の状態とすることで、混合物の溶融が促進され、均一かつ定量的に重合反応を進めることができる。なお、ジメチルエーテルを圧縮性流体として用いる場合、反応の効率化やポリマー転化率等を考慮すると、その圧力は、2.7MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは臨界圧力の5.4MPa以上である。
本実施形態の製造方法において、2−ピロリドンの開環重合による2−ピロリドン重合体へのGPCから求めた転化率は、4%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上である。なお、残モノマーである2−ピロリドンは圧縮性流体とともに除去することができる。
本実施形態により得られるポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤の量によって調整が可能である。特に限定されるものではないが、重量平均分子量は一般的に5000以上100万以下が好ましい。重量平均分子量が。前記好ましい範囲内であると、粘性の上昇に伴う生産性の悪化は起こらず、かつ、得られる2−ピロリドン重合体の強度も十分なものとなる。
<<2−ピロリドン重合体の用途>>
本実施形態の製造方法により得られた2−ピロリドン重合体は、有機溶剤を使用しない製法で製造され、残存モノマー量も少ないことから、安全性、安定性に優れている。なお、有機溶剤とは、常温(25℃)、常圧で液体である有機化合物を示し、圧縮性流体とは異なる。本実施形態の製造方法により得られた2−ピロリドン重合体は、例えば、粒子、フィルム、シート、成型品、繊維等に成形して、例えば、日用品、工業用資材、農業用品、衛生資材、医薬品、化粧品、電子写真用トナー、包装材料、電気機器材料、家電筐体、自動車材料等の用途に幅広く用いられる。
本実施形態の製造方法により得られた2−ピロリドン重合体は、有機溶剤を使用しない製法で製造され、残存モノマー量も少ないことから、安全性、安定性に優れている。なお、有機溶剤とは、常温(25℃)、常圧で液体である有機化合物を示し、圧縮性流体とは異なる。本実施形態の製造方法により得られた2−ピロリドン重合体は、例えば、粒子、フィルム、シート、成型品、繊維等に成形して、例えば、日用品、工業用資材、農業用品、衛生資材、医薬品、化粧品、電子写真用トナー、包装材料、電気機器材料、家電筐体、自動車材料等の用途に幅広く用いられる。
<<実施形態の効果>>
従来の2−ピロリドンの溶融重合法では、融点以上の高温で反応させるため、ポリマー生成物(2−ピロリドン重合体)中に未反応のモノマーが残存する。そのため未反応のモノマーを除去する工程が必要となる場合がある。また、溶媒を用いて溶液重合した場合、得られた2−ピロリドン重合体を固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。即ち、従来のいずれの方法でも、工程の増加や、収率低下によるコストアップが避けられない。本実施形態の重合方法によると、圧縮性流体の供給量を制御することなどにより、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーの提供が可能となる。
また、従来の2−アゼチジノンの溶液重合法では、有機溶剤を使用するため環境負荷、コスト、省エネルギーの点で問題点がある。本実施形態の重合方法によると、有機溶剤を使用しないため、低環境負荷、低コスト、省エネルギーでのポリマーの提供が可能となる。
従来の2−ピロリドンの溶融重合法では、融点以上の高温で反応させるため、ポリマー生成物(2−ピロリドン重合体)中に未反応のモノマーが残存する。そのため未反応のモノマーを除去する工程が必要となる場合がある。また、溶媒を用いて溶液重合した場合、得られた2−ピロリドン重合体を固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。即ち、従来のいずれの方法でも、工程の増加や、収率低下によるコストアップが避けられない。本実施形態の重合方法によると、圧縮性流体の供給量を制御することなどにより、低コスト、低環境負荷、省エネルギー、省資源の点で優れ、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーの提供が可能となる。
また、従来の2−アゼチジノンの溶液重合法では、有機溶剤を使用するため環境負荷、コスト、省エネルギーの点で問題点がある。本実施形態の重合方法によると、有機溶剤を使用しないため、低環境負荷、低コスト、省エネルギーでのポリマーの提供が可能となる。
また、本実施形態の製造方法によると以下の効果を奏する。
(1)従来の重合法により、2−ピロリドンを開環重合した場合には、反応の進行に伴いポリマー生成物が固化するために、その後の反応が不均一になったり、ポリマー生成物の形状や取り出し方が制限されたりする。
本実施形態の製造方法によると、ポリマーの常温での融点以下の温度で重合した場合においても、溶融状態でポリマー生成物を取り出すことが可能となるため、ポリマー生成物の形状や、ポリマー生成物を反応容器から取り出すときの自由度が向上する。また、ポリマーを連続的に製造することも可能となる。なお、ポリマー生成物の形状や取り出すときの自由度が向上するとは、反応途中でポリマー生成物が固化するような従来の製造方法では不可能であったポリマー生成物の形状あるいは取り出し方法が実現可能になることを意味する。このような取り出し方法としては、例えば、反応容器の2−ピロリドン重合体組成物をストランド状に取り出すことが挙げられる。また、形状としては、例えば、ストランド状に取り出したポリマー生成物を、そのままカッティングしてペレットとすることや、そのまま成型することでフィルムとすること等が挙げられる。
(2)従来の製造方法により融点以上の溶融状態で2−ピロリドンを開環重合させる場合と比較して、低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらない。これにより、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーを得るためのモノマーやオリゴマーの除去等の精製工程を簡略化又は省略できる。
(3)2−ピロリドンの開環重合において、比較的低温(生成するポリマーの融点以下)、かつ、短時間で、連続的にポリマー(2−ピロリドン重合体)を得ることができる。
(4)有機溶媒を用いた重合法では、得られたポリマーを固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。本実施形態の重合方法では、圧縮性流体を用いるため廃液等も発生せず、乾燥したポリマーが1段階の工程で得られることから、乾燥工程も簡略化又は省略できる。
(5)圧縮性流体の供給量を制御することで、重合速度と重合効率(重合系に占めるポリマーの割合)の両立を図ることが可能となる。
(1)従来の重合法により、2−ピロリドンを開環重合した場合には、反応の進行に伴いポリマー生成物が固化するために、その後の反応が不均一になったり、ポリマー生成物の形状や取り出し方が制限されたりする。
本実施形態の製造方法によると、ポリマーの常温での融点以下の温度で重合した場合においても、溶融状態でポリマー生成物を取り出すことが可能となるため、ポリマー生成物の形状や、ポリマー生成物を反応容器から取り出すときの自由度が向上する。また、ポリマーを連続的に製造することも可能となる。なお、ポリマー生成物の形状や取り出すときの自由度が向上するとは、反応途中でポリマー生成物が固化するような従来の製造方法では不可能であったポリマー生成物の形状あるいは取り出し方法が実現可能になることを意味する。このような取り出し方法としては、例えば、反応容器の2−ピロリドン重合体組成物をストランド状に取り出すことが挙げられる。また、形状としては、例えば、ストランド状に取り出したポリマー生成物を、そのままカッティングしてペレットとすることや、そのまま成型することでフィルムとすること等が挙げられる。
(2)従来の製造方法により融点以上の溶融状態で2−ピロリドンを開環重合させる場合と比較して、低温で反応が進むので、副反応もほとんど起こらない。これにより、成形加工性、熱安定性に優れたポリマーを得るためのモノマーやオリゴマーの除去等の精製工程を簡略化又は省略できる。
(3)2−ピロリドンの開環重合において、比較的低温(生成するポリマーの融点以下)、かつ、短時間で、連続的にポリマー(2−ピロリドン重合体)を得ることができる。
(4)有機溶媒を用いた重合法では、得られたポリマーを固体で使用するためには溶媒を除去する工程が必要となる。本実施形態の重合方法では、圧縮性流体を用いるため廃液等も発生せず、乾燥したポリマーが1段階の工程で得られることから、乾燥工程も簡略化又は省略できる。
(5)圧縮性流体の供給量を制御することで、重合速度と重合効率(重合系に占めるポリマーの割合)の両立を図ることが可能となる。
以下、実施例及び比較例を示して本実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で得られたポリマーの分子量は次のようにして求めた。
<ポリマーの分子量測定>
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%のポリマーを1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの重量平均分子量Mwを算出した。
GPC(Gel Permeation Chromatography)により以下の条件で測定した。
・装置:GPC−8020(東ソー社製)
・カラム:TSK G2000HXL及びG4000HXL(東ソー社製)
・温度:40℃
・溶媒:HFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)
・流速:1.0mL/分
濃度0.5質量%のポリマーを1mL注入し、上記の条件で測定したポリマーの分子量分布から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用してポリマーの重量平均分子量Mwを算出した。
(実施例1)
減圧装置の付いたフラスコに、精製して水を除去した2−ピロリドン4.26g(50mmol)、カリウムt−ブトキシド0.017g(1.5mmol)を入れ、減圧下、50℃で加熱してカリウムt−ブトキシドを反応させた。その結果、2−ピロリドンと、塩基性重合触媒である2−ピロリドンのカリウム塩との混合物を得た。
図4の重合反応装置200を用いて、2−ピロリドンの開環重合を行った。重合反応装置200の構成を示す。
・タンク21 :二酸化炭素(CO2)ガスボンベ
添加ポット25:1/4インチのSUS316の配管をバルブ(24、29)に挟んで添加ポットとして使用した。予め重合開始剤として1−アセチル−2−ピロリドン0.095gを充填した。
・反応容器27 :100mLのSUS316製の耐圧容器に予め、得られた混合物を4.26g充填した。
減圧装置の付いたフラスコに、精製して水を除去した2−ピロリドン4.26g(50mmol)、カリウムt−ブトキシド0.017g(1.5mmol)を入れ、減圧下、50℃で加熱してカリウムt−ブトキシドを反応させた。その結果、2−ピロリドンと、塩基性重合触媒である2−ピロリドンのカリウム塩との混合物を得た。
図4の重合反応装置200を用いて、2−ピロリドンの開環重合を行った。重合反応装置200の構成を示す。
・タンク21 :二酸化炭素(CO2)ガスボンベ
添加ポット25:1/4インチのSUS316の配管をバルブ(24、29)に挟んで添加ポットとして使用した。予め重合開始剤として1−アセチル−2−ピロリドン0.095gを充填した。
・反応容器27 :100mLのSUS316製の耐圧容器に予め、得られた混合物を4.26g充填した。
計量ポンプ22を作動させ、バルブ(23,26)を開放することにより、タンク21に貯蔵された二酸化炭素を、添加ポット25を経由せずに反応容器27に供給した。反応容器27内温度を40℃とし、その時の圧力が6MPaになるまで二酸化炭素を充填し、前記混合物を溶融させた。反応容器27の容器内を50℃となった時点で、バルブ(24,29)を開き、添加ポット25内の1−アセチル−2−ピロリドンを、反応容器27内に供給した。その後、昇温及び昇圧の操作を行い、50℃、8MPaに到達してから120分間、反応容器27内で2−ピロリドンの重合反応を行った。反応終了後、バルブ28を開放し、反応容器27内のポリマー生成物(2−ピロリドン重合体)を取り出した。2−ピロリドン重合体は、取り出した後に固化した。このポリマー生成物について前述の方法で求めた重量平均分子量を表1に示す。
(実施例2〜3)
反応時間を、表1の実施例2〜3の欄に示すように変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
反応時間を、表1の実施例2〜3の欄に示すように変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
(比較例1)
圧縮性流体を、ジメチルエーテルに変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
圧縮性流体を、ジメチルエーテルに変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
(比較例2)
減圧装置の付いたフラスコに、精製して水を除去した2−ピロリドン4.26g(50mmol)、及びカリウムt−ブトキシド0.017g(1.5mmol)を入れ、減圧下50℃で加熱してカリウムt−ブトキシドを反応させた。カリウムt−ブトキシドが反応して無くなった後、1−アセチル−2−ピロリドン0.095g(0.75mmol)を加えて、減圧下50℃で72時間加熱した。生成した重合物をギ酸に溶解しアセトンで沈澱させ、蒸留水、メタノールで洗浄することにより精製し、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
減圧装置の付いたフラスコに、精製して水を除去した2−ピロリドン4.26g(50mmol)、及びカリウムt−ブトキシド0.017g(1.5mmol)を入れ、減圧下50℃で加熱してカリウムt−ブトキシドを反応させた。カリウムt−ブトキシドが反応して無くなった後、1−アセチル−2−ピロリドン0.095g(0.75mmol)を加えて、減圧下50℃で72時間加熱した。生成した重合物をギ酸に溶解しアセトンで沈澱させ、蒸留水、メタノールで洗浄することにより精製し、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
(実施例4〜6)
重合開始剤量を、表2の実施例4〜6の欄に示すように変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
重合開始剤量を、表2の実施例4〜6の欄に示すように変えた点以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表1に示す。
(実施例7〜10)
重合開始剤として塩化ベンゾイルを用い、かつ塩化ベンゾイルの量、及び反応時間を表3の実施例7〜10に示すように変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表3に示す。
重合開始剤として塩化ベンゾイルを用い、かつ塩化ベンゾイルの量、及び反応時間を表3の実施例7〜10に示すように変えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ポリマーを得た。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表3に示す。
(実施例11)
図3の重合反応装置100を用いて、2−ピロリドンの開環重合を行った。重合反応装置100の構成を示す。
・タンク1,計量フィーダー2:日本精密社製、プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、無酸素乾燥窒素気流を3時間液中に通じることにより水分率を0.01モル%(15ppm)とした、実施例1で得られた混合物を、50℃に加熱して充填した。
・タンク3,計量フィーダー4:日本分光社製、インテリジェントHPLCポンプ (PU−2080)
タンク3には、重合開始剤としての1−アセチル−2−ピロリドンを充填した。
・タンク5,計量ポンプ6:本実施例では使用しなかった。
・タンク7 :圧縮性流体ボンベ
タンク7には、二酸化炭素を充填した。
・タンク11,計量ポンプ12:日本分光社製、インテリジェントHPLCポンプ (PU−2080)
タンク11には重合開始剤としての1−アセチル−2−ピロリドンを充填した。
・混合装置9:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
シリンダー設定温度 150℃
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
・反応容器13 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
シリンダー設定温度 原材料供給部150℃ 先端部200℃
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
図3の重合反応装置100を用いて、2−ピロリドンの開環重合を行った。重合反応装置100の構成を示す。
・タンク1,計量フィーダー2:日本精密社製、プランジャーポンプNP−S462
タンク1には、無酸素乾燥窒素気流を3時間液中に通じることにより水分率を0.01モル%(15ppm)とした、実施例1で得られた混合物を、50℃に加熱して充填した。
・タンク3,計量フィーダー4:日本分光社製、インテリジェントHPLCポンプ (PU−2080)
タンク3には、重合開始剤としての1−アセチル−2−ピロリドンを充填した。
・タンク5,計量ポンプ6:本実施例では使用しなかった。
・タンク7 :圧縮性流体ボンベ
タンク7には、二酸化炭素を充填した。
・タンク11,計量ポンプ12:日本分光社製、インテリジェントHPLCポンプ (PU−2080)
タンク11には重合開始剤としての1−アセチル−2−ピロリドンを充填した。
・混合装置9:互いに噛み合うスクリュウを取付けた二軸攪拌装置
シリンダー内径 30mm
シリンダー設定温度 150℃
二軸同方向回転
回転速度 30rpm
・反応容器13 :二軸混練機
シリンダー内径 40mm
シリンダー設定温度 原材料供給部150℃ 先端部200℃
二軸同方向回転
回転速度 60rpm
混合装置9の二軸攪拌装置及び反応容器13の二軸混練機を上記の設定条件で作動させた。計量フィーダー2により、タンク1内の溶融状態の前記混合物を二軸攪拌装置の容器内に定量供給した。計量フィーダー4により、タンク3内の1−アセチル−2−ピロリドンを、前記混合物の供給量1モルに対し0.03モルとなるように二軸攪拌装置の容器内に定量供給した。計量ポンプ8により、タンク7から圧縮性流体としての二酸化炭素を二軸攪拌装置の容器内の圧力が8MPaとなるように供給した。これにより、二軸攪拌装置のスクリュウにより、各タンク(1,3,7)から供給された、各原材料(前記混合物及び1−アセチル−2−ピロリドン)、及び前記各原材料に対して10質量%の圧縮性流体を、連続的に接触、及び混合させるとともに、各原材料を溶融させた。
混合装置9で溶融させた各原材料は、送液ポンプ10によって反応容器13に送液された。計量ポンプ12により、タンク11の重合開始剤としての1−アセチル−2−ピロリドンを前記混合物に対し1.5モル%となるように反応容器13としての二軸混練機の原材料供給孔へ供給した。二軸混練機内で、送液ポンプ10によって送液された各原材料と、計量ポンプ12によって供給された1−アセチル−2−ピロリドンとを混合し、2−ピロリドンを開環重合した。この場合、二軸混練機内の各原材料の平均滞留時間は約1,200秒(20分)とし、これを反応時間とした。二軸混練機の先端には、計量ポンプ14、及び押出口金15が取付けられている。計量ポンプ14の生成物としてのポリマー(2−ピロリドン重合体)の送り速度は200g/minである。得られたポリマー生成物は、取り出した後に固化した。
(実施例12)
図4の重合反応装置200を用いて、2−アゼチジノンの開環重合を行った。重合反応装置200の構成を示す。
・タンク21 :二酸化炭素(CO2)ボンベ
・反応容器27 :100mLのSUS316製の耐圧容器
・添加ポット25:1/4インチのSUS316の配管をバルブ(24、29)に挟んで添加ポットとして使用した。予め重合開始剤として1−アセチル−2−ピロリドン 1.79mg(0.0141mmol)を充填した。
反応容器27に、2−アゼチジノン 100mg(1.41mmol)、及びカリウムt−ブトキシド 15.8mg(0.141mmol)を充填し、反応容器27の内温を80℃に昇温して、2−アゼチジノンカリウム塩と2−アゼチジノンの混合物を得た。次に、添加ポッド25内の1−アセチル−2−ピロリドン 1.79mg(0.0141mmol)を反応容器27内に供給した。
その後、計量ポンプ22を作動させ、反応容器27の内圧を10MPaまで昇圧した。80℃、10MPaの状態で2時間、重合反応を行い、バルブ28を開放してポリマー生成物(2−アゼチジノン重合体)を取り出した。取り出したポリマー生成物について、転化率は70%であり、前述の方法で求めた重量平均分子量は、83,000であった。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表4に示す。
図4の重合反応装置200を用いて、2−アゼチジノンの開環重合を行った。重合反応装置200の構成を示す。
・タンク21 :二酸化炭素(CO2)ボンベ
・反応容器27 :100mLのSUS316製の耐圧容器
・添加ポット25:1/4インチのSUS316の配管をバルブ(24、29)に挟んで添加ポットとして使用した。予め重合開始剤として1−アセチル−2−ピロリドン 1.79mg(0.0141mmol)を充填した。
反応容器27に、2−アゼチジノン 100mg(1.41mmol)、及びカリウムt−ブトキシド 15.8mg(0.141mmol)を充填し、反応容器27の内温を80℃に昇温して、2−アゼチジノンカリウム塩と2−アゼチジノンの混合物を得た。次に、添加ポッド25内の1−アセチル−2−ピロリドン 1.79mg(0.0141mmol)を反応容器27内に供給した。
その後、計量ポンプ22を作動させ、反応容器27の内圧を10MPaまで昇圧した。80℃、10MPaの状態で2時間、重合反応を行い、バルブ28を開放してポリマー生成物(2−アゼチジノン重合体)を取り出した。取り出したポリマー生成物について、転化率は70%であり、前述の方法で求めた重量平均分子量は、83,000であった。
得られたポリマーについて上記の方法で求めた物性値を表4に示す。
実施例1と比較例1とを対比すると、圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、圧縮性流体としてジメチルエーテルを用い、かつその他の重合条件が同じ場合と比べて、分子量が高くなった。
実施例1と比較例2とを対比すると、圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、圧縮性流体を用いない場合と比べて、反応時間が大幅に短く、かつ分子量も高くなった。
実施例1と比較例2とを対比すると、圧縮性流体として二酸化炭素を用いた場合には、圧縮性流体を用いない場合と比べて、反応時間が大幅に短く、かつ分子量も高くなった。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させることを特徴とする2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<2> 前記塩基性重合触媒が、2−ピロリドン金属塩である前記<1>に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<3> 前記2−ピロリドン金属塩が、2−ピロリドンのアルカリ金属塩である前記<2>に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<4> 前記2−ピロリドンの開環重合が、重合開始剤の存在下で行われる前記<1>から<3>のいずれかに記載の2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<5> 前記重合開始剤が、アシル基を有する前記<4>に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<6> 2−アゼチジノンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−アゼチジノンを開環重合させることを特徴とする2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<7> 前記塩基性重合触媒が、2−アゼチジノン金属塩である前記<6>に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<8> 前記2−アゼチジノン金属塩が、2−アゼチジノンのアルカリ金属塩である前記<7>に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<9> 前記2−アゼチジノンの開環重合が、重合開始剤の存在下で行われる前記<6>から<8>のいずれかに記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<10> 前記重合開始剤が、アシル基を有する前記<9>に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<1> 2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させることを特徴とする2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<2> 前記塩基性重合触媒が、2−ピロリドン金属塩である前記<1>に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<3> 前記2−ピロリドン金属塩が、2−ピロリドンのアルカリ金属塩である前記<2>に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<4> 前記2−ピロリドンの開環重合が、重合開始剤の存在下で行われる前記<1>から<3>のいずれかに記載の2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<5> 前記重合開始剤が、アシル基を有する前記<4>に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法である。
<6> 2−アゼチジノンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−アゼチジノンを開環重合させることを特徴とする2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<7> 前記塩基性重合触媒が、2−アゼチジノン金属塩である前記<6>に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<8> 前記2−アゼチジノン金属塩が、2−アゼチジノンのアルカリ金属塩である前記<7>に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<9> 前記2−アゼチジノンの開環重合が、重合開始剤の存在下で行われる前記<6>から<8>のいずれかに記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
<10> 前記重合開始剤が、アシル基を有する前記<9>に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法である。
1,3,5,7,11;タンク
2,4;計量フィーダー
6,8,12,14:計量ポンプ
9:混合装置
9a:導入口
9b:導入口
10:送液ポンプ
13:反応容器
13a:導入口
13b:導入口
15:押出口金
21:タンク
22:計量ポンプ
23:バルブ
24:バルブ
25:添加ポット
26:バルブ
27:圧力容器
28:バルブ
30:配管
100:重合反応装置
200:重合反応装置
P:ポリマー生成物
2,4;計量フィーダー
6,8,12,14:計量ポンプ
9:混合装置
9a:導入口
9b:導入口
10:送液ポンプ
13:反応容器
13a:導入口
13b:導入口
15:押出口金
21:タンク
22:計量ポンプ
23:バルブ
24:バルブ
25:添加ポット
26:バルブ
27:圧力容器
28:バルブ
30:配管
100:重合反応装置
200:重合反応装置
P:ポリマー生成物
Claims (10)
- 2−ピロリドンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−ピロリドンを開環重合させることを特徴とする2−ピロリドン重合体の製造方法。
- 前記塩基性重合触媒が、2−ピロリドン金属塩である請求項1に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法。
- 前記2−ピロリドン金属塩が、2−ピロリドンのアルカリ金属塩である請求項2に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法。
- 前記2−ピロリドンの開環重合が、重合開始剤の存在下で行われる請求項1から3のいずれかに記載の2−ピロリドン重合体の製造方法。
- 前記重合開始剤が、アシル基を有する請求項4に記載の2−ピロリドン重合体の製造方法。
- 2−アゼチジノンと塩基性重合触媒とを含有する混合物を、二酸化炭素を含む圧縮性流体に接触させて前記混合物を溶融又は溶解させた後、前記2−アゼチジノンを開環重合させることを特徴とする2−アゼチジノン重合体の製造方法。
- 前記塩基性重合触媒が、2−アゼチジノン金属塩である請求項6に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法。
- 前記2−アゼチジノン金属塩が、2−アゼチジノンのアルカリ金属塩である請求項7に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法。
- 前記2−アゼチジノンの開環重合が、重合開始剤の存在下で行われる請求項6から8のいずれかに記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法。
- 前記重合開始剤が、アシル基を有する請求項9に記載の2−アゼチジノン重合体の製造方法。
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JP2015014536 | 2015-01-28 | ||
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016186068A (ja) * | 2015-03-19 | 2016-10-27 | 株式会社リコー | ポリアミド粒子及びその製造方法 |
JPWO2021095482A1 (ja) * | 2019-11-11 | 2021-05-20 |
-
2015
- 2015-03-25 JP JP2015062320A patent/JP2016145311A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016186068A (ja) * | 2015-03-19 | 2016-10-27 | 株式会社リコー | ポリアミド粒子及びその製造方法 |
JPWO2021095482A1 (ja) * | 2019-11-11 | 2021-05-20 | ||
JP7181421B2 (ja) | 2019-11-11 | 2022-11-30 | 株式会社クレハ | ポリアミドの製造方法およびポリアミド |
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