JP2016143823A - 光電変換素子 - Google Patents

光電変換素子 Download PDF

Info

Publication number
JP2016143823A
JP2016143823A JP2015020208A JP2015020208A JP2016143823A JP 2016143823 A JP2016143823 A JP 2016143823A JP 2015020208 A JP2015020208 A JP 2015020208A JP 2015020208 A JP2015020208 A JP 2015020208A JP 2016143823 A JP2016143823 A JP 2016143823A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide semiconductor
semiconductor layer
photoelectric conversion
electrode substrate
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015020208A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5897742B1 (ja
Inventor
圭介 中
Keisuke Naka
圭介 中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujikura Ltd
Original Assignee
Fujikura Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujikura Ltd filed Critical Fujikura Ltd
Priority to JP2015020208A priority Critical patent/JP5897742B1/ja
Priority to US15/533,246 priority patent/US10692658B2/en
Priority to EP16746677.0A priority patent/EP3220400A4/en
Priority to CN201680003797.8A priority patent/CN107004510B/zh
Priority to PCT/JP2016/053317 priority patent/WO2016125846A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5897742B1 publication Critical patent/JP5897742B1/ja
Publication of JP2016143823A publication Critical patent/JP2016143823A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Abstract

【課題】光電変換特性を向上させることができる光電変換素子を提供すること。【解決手段】少なくとも1つの光電変換セルを備え、光電変換セルが、電極基板と、電極基板に対向する対向基板と、電極基板上に設けられる酸化物半導体層と、電極基板及び対向基板の間に設けられる電解質と、電極基板及び対向基板を接合する環状の封止部とを備え、酸化物半導体層が、封止部の内側で且つ電極基板上に設けられ、電極基板から対向基板に向かって真っ直ぐに延びる本体部と、本体部から封止部側に突出し、電極基板に非接触の突出部とを有し、酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層と電極基板との境界面である第1面の幅よりも、酸化物半導体層のうちの対向基板側の第2面の幅の方が長くなっている、光電変換素子。【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子に関する。
色素増感太陽電池は、スイスのグレッツェルらによって開発されたものであり、光電変換効率が高く、製造コストが低いなどの利点を持つため注目されている次世代光電変換素子である。
このような色素増感太陽電池などの色素を用いた光電変換素子は一般に、少なくとも1つの光電変換セルを備えており、光電変換セルは、電極基板と、電極基板に対向する対向基板と、電極基板上に設けられる酸化物半導体層と、電極基板及び対向基板の間に設けられる電解質と、電極基板及び対向基板を接合する環状の封止部とを備えている。
このような光電変換素子として、例えば下記特許文献1に示す色素増感太陽電池が知られている。この色素増感太陽電池においては、封止部が、電極基板としての透明電極に固定され、無機材料からなる無機封止部と、無機封止部と対向基板としての対極とを接合し、樹脂材料からなる樹脂封止部とで構成され、無機封止部は樹脂封止部よりも内側に突出している。また下記特許文献1では、酸化物半導体層は透明電極から対極に向かって真っ直ぐに延びている。
特許第5320405号公報(図1)
しかしながら、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池は以下に示す課題を有していた。
すなわち、上記特許文献1に記載の色素増感太陽電池は、光電変換特性の向上の点で未だ改善の余地を有していた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、光電変換特性を向上させることができる光電変換素子を提供することを目的とする。
本発明者は上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、少なくとも1つの光電変換セルを備え、前記光電変換セルが、電極基板と、前記電極基板に対向する対向基板と、前記電極基板上に設けられる酸化物半導体層と、前記電極基板及び前記対向基板の間に設けられる電解質と、前記電極基板及び前記対向基板を接合する環状の封止部とを備え、前記酸化物半導体層が、前記封止部の内側で且つ前記電極基板上に設けられ、前記電極基板から前記対向基板に向かって真っ直ぐに延びる本体部と、前記本体部から前記封止部側に突出し、前記電極基板に非接触の突出部とを有し、前記酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、前記酸化物半導体層と前記電極基板との境界面である第1面の幅よりも、前記酸化物半導体層のうちの前記対向基板側の第2面の幅の方が長くなっている、光電変換素子である。
本発明の光電変換素子において、酸化物半導体層が、本体部から封止部側に突出する突出部を有さず、酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層と電極基板との境界面である第1面の幅よりも、酸化物半導体層のうちの対向基板側の第2面の幅の方が長くなっていない場合において、そもそも電極基板のうち対向基板と反対側の表面に対して斜めに光が入射してきた場合や光が電極基板等で屈折した場合には、本体部と電極基板との境界面に対して斜めに光が入射し、本体部を通過した光は酸化物半導体層にて吸収することができない。これに対し、酸化物半導体層が、本体部から封止部側に突出し電極基板に非接触の突出部を有し、酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層と電極基板との境界面である第1面の幅よりも、酸化物半導体層のうちの対向基板側の第2面の幅の方が長くなっている場合、光が酸化物半導体層と電極基板との境界面である第1面に対して斜めに入射され、本体部を通過しても、突出部に入射され突出部で吸収されることが可能となる。その結果、光の利用効率が高まり、光電変換素子の光電変換特性をより向上させることができる。
上記光電変換素子において、前記突出部が、前記酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、前記本体部から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有することが好ましい。
本発明の光電変換素子によれば、突出部が、酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、本体部から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有している。このため、電極基板の表面上において、封止部と酸化物半導体層の本体部との境界線付近に、電極基板の表面に対して斜めに且つ本体部から離れる方向に光が入射する場合でも、その光を酸化物半導体層の一部である突出部にて受光することが可能となる。その結果、光の利用効率が高まり、光電変換素子の光電変換特性をより向上させることができる。
さらに突出部が本体部から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有しているということは、突出部は、その先端から本体部に向かうにつれて太くなっているということを意味する。このため、突起部が本体部から離れる方向に向かって細い状態を維持している場合に比べて、突起部の強度がより向上する。光電変換素子の周囲の温度が変化して非接着部が膨張又は収縮を繰り返しても、突出部にクラック等が生じ難くなり、光電変換素子がより優れた耐久性を有することが可能となる。
上記光電変換素子においては、前記封止部が、前記電極基板に設けられる環状の第1封止部と、前記第1封止部と前記対向基板とを接合する環状の第2封止部とを有し、前記第1封止部は、前記第2封止部と接着される接着部と、前記第2封止部と接着されず、前記第2封止部よりも内側に突出する非接着部とを有しており、前記酸化物半導体層の前記突出部が、前記第1封止部の前記非接着部上に乗り上げるように設けられていることが好ましい。
この場合、酸化物半導体層の突出部が第1封止部の非接着部によって支持される。このため、酸化物半導体層の突出部の安定性をより高めることができる。また、電極基板のうち対向基板と反対側の表面に対して鋭角に入射してきた光も吸収することが可能となる。
上記光電変換素子においては、前記電極基板の表面上において、前記第1封止部の前記非接着部と前記酸化物半導体層の前記本体部とが前記本体部の全周にわたって接触していることが好ましい。
この場合、前記電極基板の表面上において、酸化物半導体層の本体部と第1封止部との間の隙間がなくなるため、酸化物半導体層に入射する光の量をより増加させることができ、光電変換素子の光電変換特性をより向上させることができる。
上記光電変換素子においては、前記酸化物半導体層の前記対向基板側に凹部が形成されていることが好ましい。
酸化物半導体層のうち対向基板側に凹部が形成されていると、凹部が形成されていない場合に比べて、酸化物半導体層のうちの対向基板側の表面の表面積がより大きくなる。その結果、電極基板から入射され、酸化物半導体層を通過して対向基板で反射された光をより多く捕捉することが可能となり、光電変換素子の光電変換特性をより向上させることができる。
上記光電変換素子においては、前記対向基板が電極基板であることが好ましい。
この場合、電極基板の表面上において、第1封止部と酸化物半導体層との間に隙間が存在している場合でも、酸化物半導体層の突起部によって、電極基板である対向基板が、対向する電極基板に接触することを防止することが可能となり、対向基板と電極基板との短絡を防止することが可能となる。
本発明によれば、光電変換特性を向上させることができる光電変換素子が提供される。
本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す断面図である。 図1の対向基板を示す部分断面図である。 本発明の光電変換素子の第2実施形態を示す断面図である。 本発明の光電変換素子の第3実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子の第1実施形態を示す断面図、図2は、図1の対向基板を示す部分断面図である。
図1および図2に示すように、光電変換素子100は、1つの光電変換セル60で構成されており、光電変換セル60は、電極基板10と、電極基板10に対向する対向基板20と、電極基板10上に設けられる酸化物半導体層30と、電極基板10及び対向基板20の間に設けられる電解質50と、電極基板10及び対向基板20を接合する環状の封止部40とを備えている。電解質50は、電極基板10、対向基板20及び封止部40によって形成されるセル空間に充填されている。
電極基板10は、透明基板11および透明基板11の上に設けられる電極としての透明導電層12で構成される。ここで、透明導電層12の周縁部は封止部40と透明基板11とによって挟まれている。また透明導電層12の一部は、環状の封止部40の外側まで延在しており、この封止部40の外側まで延在している部分は、電力を取り出すための電力取出部として機能する。
封止部40は、電極基板10に設けられる環状の第1封止部41と、第1封止部41と対向基板20とを接合する環状の第2封止部42とを有している。第1封止部41は、第2封止部42と接着される環状の接着部41aと、第2封止部42と接着されず、第2封止部42よりも内側に突出する環状の非接着部41bとを有している。非接着部41bは、その厚さ方向に沿った断面において、環状の接着部41aから内側に向かって先細りするテーパ形状を有している。具体的には、電極基板10からの非接着部41bの厚さは、接着部41a側から内側に向かうにつれて減少している。
対向基板20は、図2に示すように、基板と第2電極を兼ねる導電性基板21と、導電性基板21の電極基板10側に設けられて電解質50の還元に寄与する触媒層22とを備えている。すなわち、本実施形態では、対向基板20は電極基板を構成している。
酸化物半導体層30は、第1封止部41の内側で且つ電極基板10上に設けられる本体部31と、本体部31から封止部40側に突出し、対向基板20と第1封止部41の非接着部41bとの間に設けられる突出部32とを有する。ここで、本体部31は、図1において二点鎖線で示されており、電極基板10から対向基板20に向かって真っ直ぐに延びている。具体的には本体部31は、電極基板10の表面に垂直な方向に向かって真っ直ぐに延びている。一方、突出部32は、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、本体部31から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有している。すなわち、酸化物半導体層30においては、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層30と電極基板10との境界面である第1面30aの幅よりも、酸化物半導体層30のうちの対向基板20側の第2面30bの幅の方が長くなっている。ここで、突出部32は、電極基板10に対して非接触となっている。そして、突出部32は、第1封止部41の非接着部41b上に乗り上げるように設けられている。また酸化物半導体層30においては、電極基板10の透明導電層12の表面上において、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31とが本体部31の全周にわたって接触している。すなわち、電極基板10の透明導電層12の表面上において、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31との間に隙間が形成されていない。さらに酸化物半導体層30には色素が吸着されている。
光電変換素子100においては、酸化物半導体層30が、本体部31から封止部40側に突出する突出部32を有さず、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層30と電極基板10との境界面である第1面30aの幅よりも、酸化物半導体層30のうちの対向基板20側の第2面30bの幅の方が長くなっていない場合において、そもそも電極基板10のうち対向基板20と反対側の表面に対して斜めに光が入射してきた場合や光が電極基板10等で屈折した場合には、本体部31と電極基板10との境界面に対して斜めに光が入射し、本体部31を通過した光は、第2封止部32等で吸収され、このような光を酸化物半導体層30にて吸収することができない。これに対し、酸化物半導体層30が、本体部31から封止部40側に突出し電極基板10に非接触の突出部32を有し、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層30と電極基板10との境界面である第1面30aの幅よりも、酸化物半導体層30のうちの対向基板20側の第2面30bの幅の方が長くなっている場合、光が本体部31と電極基板10との境界面に対して斜めに入射され、本体部31を通過しても、突出部32に入射され突出部32で吸収されることが可能となる。その結果、光の利用効率が高まり、光電変換素子100の光電変換特性を向上させることができる。
特に、酸化物半導体層30が、本体部31から封止部40側に突出する突出部32を有しない場合において、対向基板20が光反射性を有する場合には、光が電極基板10から入射され、酸化物半導体層30を通過して対向基板20で反射されると、その反射光のうち第1封止部41の非接着部41bに向かう光は、第1封止部41の非接着部41bに入射され、そのまま電極基板10を通して外部に出射される。これに対し、酸化物半導体層30が、本体部31から封止部40側に突出する突出部32を有する場合、光が電極基板10から入射され、酸化物半導体層30を通過して対向基板20で反射されても、その反射光のうち第1封止部41の非接着部41bに向かう光は突出部32に入射され突出部32で吸収されることが可能となる。その結果、光の利用効率がより高まり、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
またそもそも電極基板10のうち対向基板20と反対側の表面に対して斜めに光が入射してきた場合や光が電極基板10等で屈折した場合、第2封止部42に光が入射することで、第2封止部42が光により劣化する恐れがある。これに対し、光電変換素子100では、突出部32で光を吸収させることで、第2封止部42に光が入射されなくなるため、光電変換素子100の耐久性も向上する。
また光電変換素子100においては、酸化物半導体層30の突出部32が、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、本体部31から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有している。このため、図1に示すように、電極基板10の表面上において、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31との境界線A付近に、電極基板10の表面に対して斜めに且つ本体部31から離れる方向(図1のLで示す方向)に光が入射する場合でも、その光を酸化物半導体層30の一部である突出部32にて受光することが可能となる。その結果、光の利用効率が高まり、光電変換素子100の光電変換効率をより向上させることができる。さらに突出部32が本体部31から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有しているということは、突出部32は、その先端から本体部31に向かうにつれて太くなっているということを意味する。このため、突起部32が本体部31から離れる方向に向かって細い状態を維持している場合に比べて、突起部32の強度がより向上する。光電変換素子100の周囲の温度が変化して非接着部41bが膨張又は収縮を繰り返しても、突出部32にクラック等が生じ難くなり、光電変換素子100がより優れた耐久性を有することが可能となる。
また光電変換素子100においては、酸化物半導体層30の突出部32が、第1封止部41の非接着部41b上に乗り上げるように設けられている。このため、酸化物半導体層30の突出部32が第1封止部41の非接着部41bによって支持される。このため、酸化物半導体層30の突出部32の安定性をより高めることができる。また光電変換素子100によれば、電極基板10のうち対向基板20と反対側の表面に対して鋭角に入射してきた光も吸収することが可能となる。
さらに光電変換素子100によれば、電極基板10の透明導電層12の表面上において、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31とが本体部31の全周にわたって接触している。すなわち、電極基板10の透明導電層12の表面上において、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31との間に隙間が形成されていない。このため、酸化物半導体層30に入射する光の量をより増加させることができ、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
また光電変換素子100においては、対向基板20が電極基板を構成しているため、電極基板10の表面上において、第1封止部41と酸化物半導体層30との間に隙間が存在している場合でも、酸化物半導体層30の突起部32によって、電極基板である対向基板20が、対向する電極基板10に接触することを防止することが可能となり、対向基板20と電極基板10との短絡を防止することが可能となる。
次に、電極基板10、対向基板20、酸化物半導体層30、封止部40、電解質50及び色素について詳細に説明する。
<電極基板>
電極基板10は、上述したように、透明基板11と、透明基板11の上に設けられる透明導電層12とで構成されている。
透明基板11を構成する材料は、例えば透明な材料であればよく、このような透明な材料としては、例えばホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、白板ガラス、石英ガラスなどのガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、及び、ポリエーテルスルフォン(PES)などの絶縁材料が挙げられる。透明基板11の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば50〜40000μmの範囲にすればよい。
透明導電層12を構成する材料としては、例えばスズ添加酸化インジウム(ITO)、酸化スズ(SnO)、及び、フッ素添加酸化スズ(FTO)などの導電性金属酸化物が挙げられる。透明導電層12は、単層でも、異なる導電性金属酸化物で構成される複数の層の積層体で構成されてもよい。透明導電層12が単層で構成される場合、透明導電層12は、高い耐熱性及び耐薬品性を有することから、FTOで構成されることが好ましい。透明導電層12の厚さは例えば0.01〜2μmの範囲にすればよい。
<対向基板>
対向基板20は、上述したように、基板と第2電極を兼ねる導電性基板21と、導電性基板21のうち電極基板10側に設けられて電解質50の還元に寄与する導電性の触媒層22とを備えるものである。
導電性基板21は、例えばチタン、ニッケル、白金、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ステンレス等の耐食性の金属材料で構成される。また、基板と第2電極を分けて、上述した絶縁性の透明基板11に第2電極としてITO、FTO等の導電性酸化物からなる透明導電層を形成した積層体で構成されてもよい。ここで、導電性基板21が透明基板11に透明導電層を形成した積層体で構成される場合、透明導電層は、少なくとも対向基板20のうち封止部40より内側の部分では、透明基板11上に設けられることになる。ここで、透明導電層は、封止部40と対向基板20との接合部においては透明基板11と封止部40との間にあってもよいし、なくてもよい。また導電性基板21の厚さは、光電変換素子100のサイズに応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、例えば0.005〜4mmとすればよい。
触媒層22は、白金、炭素系材料又は導電性高分子などから構成される。ここで、炭素系材料としては、カーボンナノチューブが好適に用いられる。なお、対向基板20は、導電性基板21が触媒機能を有する場合(例えばカーボンなどを含有する場合)には触媒層22を有していなくてもよい。
<酸化物半導体層>
酸化物半導体層30は、酸化物半導体粒子で構成されている。酸化物半導体粒子は、例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化タングステン(WO)、酸化ニオブ(Nb)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化スズ(SnO)、酸化インジウム(In)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タリウム(Ta)、酸化ランタン(La)、酸化イットリウム(Y)、酸化ホルミウム(Ho)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)、酸化アルミニウム(Al)又はこれらの2種以上で構成される。
酸化物半導体層30の本体部31の厚さは通常は、2〜40μmであり、好ましくは10〜30μmである。
<封止部>
封止部40は、第1封止部41と第2封止部42とを有する。
第1封止部41を構成する材料としては、例えば変性ポリオレフィン樹脂、ビニルアルコール重合体などの熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂などの樹脂材料、及び、ガラスフリットなどの無機材料が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
第2封止部42を構成する材料としては、例えば変性ポリオレフィン樹脂、ビニルアルコール重合体などの熱可塑性樹脂、紫外線硬化樹脂などの樹脂材料、及び、ガラスフリットなどの無機材料が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂としては、例えばアイオノマー、エチレン−ビニル酢酸無水物共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−ビニルアルコール共重合体が挙げられる。これらの樹脂は単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
第1封止部41と第2封止部42とは同一材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。
第1封止部41は無機材料で構成されることが好ましい。無機材料は樹脂材料よりも小さい線膨張係数を有するため、光電変換素子100の周囲の温度が変化して非接着部41bが膨張又は収縮を繰り返しても、突出部32にクラック等が生じ難くなり、光電変換素子100がより優れた耐久性を有することが可能となる。
<電解質>
電解質50は、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )などの酸化還元対と有機溶媒とを含んでいる。有機溶媒としては、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、メトキシプロピオニトリル、プロピオニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロニトリル、ピバロニトリル、グルタロニトリル、メタクリロニトリル、イソブチロニトリル、フェニルアセトニトリル、アクリロニトリル、スクシノニトリル、オキサロニトリル、ペンタニトリル、アジポニトリルなどを用いることができる。酸化還元対としては、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )のほか、臭化物イオン/ポリ臭化物イオン、亜鉛錯体、鉄錯体、コバルト錯体などのレドックス対が挙げられる。また電解質50は、有機溶媒に代えて、イオン液体を用いてもよい。イオン液体としては、例えばピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾリウム塩等の既知のヨウ素塩であって、室温付近で溶融状態にある常温溶融塩が用いられる。このような常温溶融塩としては、例えば、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨーダイド、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド、ジメチルイミダゾリウムアイオダイド、エチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、ジメチルプロピルイミダゾリウムアイオダイド、ブチルメチルイミダゾリウムアイオダイド、又は、メチルプロピルイミダゾリウムアイオダイドが好適に用いられる。
また、電解質50は、上記有機溶媒に代えて、上記イオン液体と上記有機溶媒との混合物を用いてもよい。
また電解質50には添加剤を加えることができる。添加剤としては、LiI、I、4−t−ブチルピリジン、グアニジウムチオシアネート、1−メチルベンゾイミダゾール、1−ブチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
さらに電解質50としては、上記電解質にSiO、TiO、カーボンナノチューブなどのナノ粒子を混練してゲル様となった擬固体電解質であるナノコンポジットゲル電解質を用いてもよく、また、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド誘導体、アミノ酸誘導体などの有機系ゲル化剤を用いてゲル化した電解質を用いてもよい。
なお、電解質50は、ヨウ化物イオン/ポリヨウ化物イオン(例えばI/I )からなる酸化還元対を含み、ポリヨウ化物イオン(例えばI )の濃度が0.006mol/リットル以下であることが好ましい。この場合、電子を運ぶポリヨウ化物イオン(例えばI )の濃度が低いため、漏れ電流をより減少させることができる。このため、開放電圧をより増加させることができるため、光電変換特性をより向上させることができる。特に、ポリヨウ化物イオン(例えばI )の濃度は0.005mol/リットル以下であることが好ましく、0〜6×10−6mol/リットルであることがより好ましく、0〜6×10−8mol/リットルであることがさらに好ましい。この場合、光電変換素子100を電極基板10の光入射側から見た場合に、電解質50の色を目立たなくすることができる。
<色素>
色素としては、例えばビピリジン構造、ターピリジン構造などを含む配位子を有するルテニウム錯体、ポルフィリン、エオシン、ローダミン、メロシアニンなどの有機色素などの光増感色素;ハロゲン化鉛系ペロブスカイトなどの有機−無機複合色素などが挙げられる。ハロゲン化鉛系ペロブスカイトとしては、例えばCHNHPbX(X=Cl、Br、I)が用いられる。
上記色素の中でも、ビピリジン構造又はターピリジン構造を含む配位子を有するルテニウム錯体からなる光増感色素が好ましい。この場合、光電変換素子100の光電変換特性をより向上させることができる。
なお、色素が光増感色素で構成される場合、光電変換素子100は色素増感光電変換素子で構成されることになり、光電変換セル60は色素増感光電変換セルで構成されることになる。ここで、色素増感光電変換素子としては、太陽光によって発電が行われる色素増感光電変換素子(すなわち色素増感太陽電池モジュール)、及び、屋内灯などの太陽光でない光によって発電が行われる色素増感光電変換素子が挙げられる。また色素増感光電変換セルとしては、太陽光によって発電が行われる色素増感光電変換セル(すなわち色素増感太陽電池)、及び、屋内灯などの太陽光でない光によって発電が行われる色素増感光電変換セルが挙げられる。
次に、上述した光電変換素子100の製造方法について説明する。
まず1つの透明基板11の上に、透明導電層12を形成してなる電極基板10を用意する。
透明導電層12の形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、スプレー熱分解法及びCVD法などが用いられる。
次に、電極基板10の上に環状の第1封止部41を形成する。このとき、第1封止部41が樹脂材料で構成される場合には、封止部形成体を加熱溶融させることによって電極基板10に第1封止部41を形成することができる。また第1封止部41が無機材料で構成される場合には、無機材料を含むペーストを電極基板10上に塗布した後、焼成することによって電極基板10に第1封止部41を形成することができる。このとき、第1封止部41は、第2封止部42が接着される接着部41aと、接着部41aの内側に設けられ、第2封止部42が接着されない非接着部41bとを有することになる。ここで、非接着部41bは接着部41aから内側に向かうにつれて先細りするテーパ形状となるように形成される。
次に、透明導電層12の上であって環状の第1封止部41の内側に酸化物半導体層30を形成する。酸化物半導体層30は、酸化物半導体粒子を含む酸化物半導体層形成用ペーストを印刷した後、焼成して形成する。このとき、酸化物半導体層形成用ペーストの印刷は、酸化物半導体層形成用ペーストが透明導電層12上であって第1封止部41の内側の全領域を覆うとともに、非接着部41b上に乗り上げるように行う。こうして、酸化物半導体層30は、第1封止部41の内側で且つ電極基板10上に設けられる本体部31と、本体部31から外方に突出する突出部32とを有することとなる。ここで、突出部32は、本体部31から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有するように設けられる。また電極基板10の表面上においては、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31とが本体部31の全周にわたって接触することとなる。
酸化物半導体層形成用ペーストは、上述した酸化物半導体粒子のほか、ポリエチレングリコールなどの樹脂及び、テレピネオールなどの溶媒を含む。
酸化物半導体層形成用ペーストの印刷方法としては、例えばスクリーン印刷法、ドクターブレード法、又は、バーコート法などを用いることができる。
焼成温度は、第1封止部41が樹脂材料で構成され、酸化物半導体層30が低温で焼成形成可能である場合には、100〜250℃であり、第1封止部41が無機材料で構成される場合には、350〜600℃である。焼成時間は、酸化物半導体粒子の材質により異なるが、通常は1〜5時間である。
こうして、第1封止部が設けられた作用極が得られる。
次に、第1封止部が設けられた作用極の酸化物半導体層30の表面に色素を吸着させる。このためには、作用極を、色素を含有する溶液の中に浸漬させ、その色素を酸化物半導体層30に吸着させた後に上記溶液の溶媒成分で余分な色素を洗い流し、乾燥させることで、色素を酸化物半導体層30に吸着させればよい。但し、色素を含有する溶液を酸化物半導体層30に塗布した後、乾燥させることによって色素を酸化物半導体層30に吸着させてもよい。
次に、電解質50を準備する。
次に、酸化物半導体層30の上に電解質50を配置する。電解質50は、例えばスクリーン印刷等の印刷法によって配置することが可能である。
次に、対向基板20を用意する。
一方、環状の封止部形成体を準備する。封止部形成体は、例えば封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに1つの四角形状の開口を形成することによって得ることができる。
そして、この対向基板20を、封止部形成体の開口を塞ぐように配置した後、封止部形成体と貼り合わせる。対向基板20の封止部形成体への貼合せは、例えば減圧下で行う。
以上のようにして1つの光電変換セル60で構成される光電変換素子100が得られる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、酸化物半導体層30の突出部32は、第1封止部41の非接着部41b上に乗り上げるように設けられているが、酸化物半導体層30の突出部32は、第1封止部41の非接着部41b上に乗り上げるように設けられていなくてもよい。すなわち、酸化物半導体層30の突出部32は、第1封止部41の非接着部41bから離間していてもよい。
また上記実施形態では、第1封止部41が非接着部41bを有しているが、第1封止部41は非接着部41bを有していなくてもよい。すなわち、第1封止部41は接着部41aのみで構成されてもよい。この場合、突出部32と電極基板10との間には空間が存在することになる。ここで、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、第1封止部41が非接着部41bを有しない場合に対向基板20側の第2面30bの幅を第1面30aの幅よりも長くする方法としては、例えば焼成によって消失する部材を第1封止部41の接着部41aの内側にあらかじめ設けておき、その部材の上に、酸化物半導体層30の前駆体を印刷して焼成することで、突出部32の下に空間を形成する方法が挙げられる。
さらに上記実施形態では、電極基板10の透明導電層12の表面上において、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31とが本体部31の全周にわたって接触しているが、電極基板10の透明導電層12の表面上において、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31とは本体部31の全周にわたって接触していなくてもよい。具体的には、第1封止部41の非接着部41bと酸化物半導体層30の本体部31との間に本体部31の全周にわたって隙間が形成されていてもよい。
さらにまた上記実施形態では、突出部32が、本体部31から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有しているが、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層30と電極基板10との境界面である第1面30aの幅よりも、酸化物半導体層30のうちの対向基板20側の第2面30bの幅の方が長くなっていさえすれば、図3に示す光電変換素子200のように、突出部32は、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、本体部31から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有していなくてもよい。すなわち、突出部32は、酸化物半導体層30の厚さ方向に沿った断面において、帯状であってもよい。この場合、第1封止部41の非接着部41bが本体部31の外周面に接触し、非接着部41bのうち対向基板20側の表面上に突出部32が乗り上げるように設けられる。
また上記実施形態では、酸化物半導体層30のうち対向基板20側の表面は平坦面となっているが、図4に示す光電変換素子300のように、酸化物半導体層30の対向基板20側の表面に凹部33が形成されていてもよい。
酸化物半導体層30のうち対向基板20側に凹部33が形成されていると、凹部33が形成されていない場合に比べて、酸化物半導体層30のうちの対向基板20側の表面の表面積がより大きくなる。その結果、電極基板10から入射され、酸化物半導体層30を通過して対向基板20で反射された光をより多く捕捉することが可能となり、光電変換素子300の光電変換特性をより向上させることができる。
凹部33の最大深さは特に制限されるものではないが、1〜50μmであることが好ましい。この場合、凹部33の最大深さが上記範囲を外れる場合に比べて、極間距離(電極基板10と対向基板20との間の距離)の均一性がより高くなる。
さらに上記実施形態では、酸化物半導体層30の対向基板20側の表面に、酸化物半導体層30から出射される光を反射して酸化物半導体層30側に戻す光反射層が設けられてもよい。
また上記実施形態では、透明導電層12の周縁部は封止部40と透明基板11とによって挟まれているが、透明導電層12の周縁部は、上記電力取出部を除き、封止部40と透明基板11とによって挟まれていなくてもよい。
また上記実施形態では、光電変換素子100〜300が1つの光電変換セル60で構成されているが、光電変換素子は、光電変換セル60を複数備えていてもよい。
さらに上記実施形態では、対向基板20が電極基板で構成されているが、対向基板20は絶縁性基板で構成されてもよい。この場合、電極基板10上に、酸化物半導体層30、電解質50を含浸した多孔性の絶縁層、及び対向電極が順次設けられる。ここで、多孔性の絶縁層は、酸化物半導体層30の周囲に設け、電極基板10と対向電極との間に設けられてもよい。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まずガラスからなる厚さ1mmの透明基板の上に、厚さ1μmのFTOからなる透明導電層を形成してなる透明導電性基板を電極基板として準備した。
次に、電極基板の上に、幅2.0mm、最大厚さ10μmの環状の第1封止部を形成した。このとき、第1封止部は、ガラスフリットを含むガラスペーストを電極基板上に塗布した後、焼成することによって電極基板上に形成した。このとき、第1封止部は、第2封止部が接着される接着部と、接着部の内側に設けられ、第2封止部が接着されない非接着部とで構成され、非接着部は接着部から離れるにつれて先細りする形状となるように形成した。
次に、透明導電層の上であって環状の第1封止部の内側に酸化物半導体層を形成した。酸化物半導体層は、酸化物半導体粒子を含む酸化物半導体層形成用ペーストをスクリーン印刷した後、焼成して形成した。このとき、酸化物半導体層形成用ペーストの印刷は酸化物半導体層形成用ペーストが、透明導電層上であって第1封止部の内側の全領域を覆うとともに、非接着部上に乗り上げるように行った。また焼成は500℃で1時間行った。こうして、第1封止部の内側で且つ電極基板上に設けられる本体部と、本体部から外方に突出する突出部とを有する酸化物半導体層を得た。ここで、本体部は、電極基板から離れる方向に真っ直ぐに延びるように設けられていた。また突出部は、本体部から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有していた。また電極基板の透明導電層の表面上において第1封止部の非接着部と酸化物半導体層の本体部とが本体部の全周にわたって接触していた。すなわち、電極基板の透明導電層の表面上において本体部と第1封止部の非接着部との間の隙間が0mmとなっていた。こうして、第1封止部が設けられた作用極を得た。
次に、第1封止部が設けられた作用極を、光増感色素溶液中に一昼夜浸漬させた後、取り出して乾燥させ、酸化物半導体層に光増感色素を吸着させた。光増感色素溶液は、アセトニトリルとt−ブタノールとを体積比1:1で混合した混合溶媒中に、Z907からなる光増感色素をその濃度が0.2mMとなるように溶解させることで作製した。
次に、酸化物半導体層の上に電解質を塗布した。電解質としては、ヨウ素0.002M、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨーダイド(DMPImI)0.6Mを含む3−メトキシプロピオニトリル(MPN)溶液を用意した。
次に、対向基板としての対極を用意した。対極は、5cm×5cm×40μmのチタン箔の上にスパッタリング法によって厚さ5nmの白金からなる触媒層を形成することによって用意した。
一方、封止部を形成するための封止部形成体を準備した。封止部形成体は、5cm×5cm×50μmのバイネル14164(商品名、デュポン社製)からなる1枚の封止用樹脂フィルムを用意し、その封止用樹脂フィルムに、四角形状の開口を形成することによって得た。このとき、開口は、4.82cm×4.82cm×50μmの大きさとなるようにした。
そして、この封止部形成体を、対極のうち作用極と対向する面に加熱溶融させることによって対極に接着させた。
そして、作用極に形成した第1封止部と、対極に接着させた封止部形成体とを対向させて重ね合わせた。そして、減圧下で、封止部形成体を加圧しながら加熱溶融させた。こうして第1封止部の接着部上で第2封止部が形成され、作用極と対極との間に封止部が形成された。また第1封止部の非接着部と対極との間には酸化物半導体層の突出部が幅0.15mm設けられ第2封止部と接触した。
以上のようにして1つの光電変換セルからなる光電変換素子を得た。なお、得られた光電変換素子においては、酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層と電極基板との境界面である第1面の幅よりも、酸化物半導体層のうちの対向基板側の第2面の幅の方が0.3mm長くなっていた。
(実施例2)
突出部が本体部から離れる方向に向かって先細りするテーパ形状を有さず、突出部の断面形状が幅0.15mmの帯状となるようにしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
(実施例3)
電極基板の透明導電層の表面上において本体部と第1封止部の非接着部との間の隙間を0mmから0.15mmとしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
(比較例1)
本体部から突出する突出部を有しないように(即ち、酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層と電極基板との境界面である第1面の幅と酸化物半導体層のうちの対向基板側の第2面の幅とが同一となるように)酸化物半導体層を形成したこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
(比較例2)
本体部から突出する突出部を有しないように(即ち、酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、酸化物半導体層と電極基板との境界面である第1面の幅と酸化物半導体層のうちの対向基板側の第2面の幅とが同一となるように)酸化物半導体層を形成し、且つ、電極基板の透明導電層の表面上において本体部と第1封止部の非接着部との間の隙間を0mmから0.15mmとしたこと以外は実施例1と同様にして光電変換素子を得た。
<特性の評価>
(光電変換特性)
上記のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜2の光電変換素子について、疑似太陽光下(出力密度100mW/cm、AM1.5)でI−V測定を行うことにより光電変換効率η1を測定し、下記式に基づいて、比較例1を基準とした光電変換効率η1の向上率(%)を算出した。結果を表1に示す。

η1の向上率(%)=100×(実施例のη1−比較例1のη1)/比較例1のη1

また実施例1〜3及び比較例1〜2の光電変換素子について、白色LEDを光源とし、200ルクスの低照度下でI−V測定を行うことにより光電変換効率η2を測定し、下記式に基づいて、比較例1を基準とした光電変換効率η2の向上率(%)を算出した。結果を表1に示す。

η2の向上率(%)=100×(実施例のη2−比較例1のη2)/比較例1のη2
Figure 2016143823
表1に示す結果より、実施例1〜3の光電変換素子は、比較例1〜2の光電変換素子よりも光電変換特性を向上させることができることが分かった。
以上より、本発明の光電変換素子によれば、光電変換特性を向上させることができることが確認された。
10…電極基板
20…対向基板
30…酸化物半導体層
30a…第1面
30b…第2面
31…本体部
32…突出部
33…凹部
40…封止部
41…第1封止部
41a…接着部
41b…非接着部
42…第2封止部
50…電解質
60…光電変換セル
100,200,300…光電変換素子
上記光電変換素子においては、前記対向基板が電極を含むことが好ましい。
この場合、電極基板の表面上において、第1封止部と酸化物半導体層との間に隙間が存在している場合でも、酸化物半導体層の突起部によって、電極を含む対向基板が、対向する電極基板に接触することを防止することが可能となり、対向基板と電極基板との短絡を防止することが可能となる。

Claims (6)

  1. 少なくとも1つの光電変換セルを備え、
    前記光電変換セルが、
    電極基板と、
    前記電極基板に対向する対向基板と、
    前記電極基板上に設けられる酸化物半導体層と、
    前記電極基板及び前記対向基板の間に設けられる電解質と、
    前記電極基板及び前記対向基板を接合する環状の封止部とを備え、
    前記酸化物半導体層が、
    前記封止部の内側で且つ前記電極基板上に設けられ、前記電極基板から前記対向基板に向かって真っ直ぐに延びる本体部と、
    前記本体部から前記封止部側に突出し、前記電極基板に非接触の突出部とを有し、
    前記酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、前記酸化物半導体層と前記電極基板との境界面である第1面の幅よりも、前記酸化物半導体層のうちの前記対向基板側の第2面の幅の方が長くなっている、光電変換素子。
  2. 前記突出部が、前記酸化物半導体層の厚さ方向に沿った断面において、前記本体部から離れるにつれて先細りするテーパ形状を有する、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記封止部が、
    前記電極基板に設けられる環状の第1封止部と、
    前記第1封止部と前記対向基板とを接合する環状の第2封止部とを有し、
    前記第1封止部は、前記第2封止部と接着される接着部と、前記第2封止部と接着されず、前記第2封止部よりも内側に突出する非接着部とを有しており、
    前記酸化物半導体層の前記突出部が、前記第1封止部の前記非接着部上に乗り上げるように設けられている、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 前記電極基板の表面上において、前記第1封止部の前記非接着部と前記酸化物半導体層の前記本体部とが、前記本体部の全周にわたって接触している、請求項3に記載の光電変換素子。
  5. 前記酸化物半導体層の前記対向基板側に凹部が形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  6. 前記対向基板が電極基板である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光電変換素子。
JP2015020208A 2015-02-04 2015-02-04 光電変換素子 Active JP5897742B1 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015020208A JP5897742B1 (ja) 2015-02-04 2015-02-04 光電変換素子
US15/533,246 US10692658B2 (en) 2015-02-04 2016-02-04 Photoelectric conversion element
EP16746677.0A EP3220400A4 (en) 2015-02-04 2016-02-04 Photoelectric conversion element
CN201680003797.8A CN107004510B (zh) 2015-02-04 2016-02-04 光电转换元件
PCT/JP2016/053317 WO2016125846A1 (ja) 2015-02-04 2016-02-04 光電変換素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015020208A JP5897742B1 (ja) 2015-02-04 2015-02-04 光電変換素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP5897742B1 JP5897742B1 (ja) 2016-03-30
JP2016143823A true JP2016143823A (ja) 2016-08-08

Family

ID=55628668

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015020208A Active JP5897742B1 (ja) 2015-02-04 2015-02-04 光電変換素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5897742B1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6194084B1 (ja) * 2016-08-31 2017-09-06 株式会社フジクラ 光電変換装置
JP2018037654A (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 株式会社フジクラ 光電変換素子

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011040102A1 (ja) * 2009-09-30 2011-04-07 大日本印刷株式会社 色素増感型太陽電池
JP2013143334A (ja) * 2012-01-12 2013-07-22 Sony Corp 光電変換素子、光電変換素子モジュール、光電変換素子モジュールの製造方法、電子機器および建築物
JP2015020207A (ja) * 2013-07-23 2015-02-02 パナソニックIpマネジメント株式会社 アーク溶接装置、電気機器、モータユニットおよび電気機器のモータ交換方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011040102A1 (ja) * 2009-09-30 2011-04-07 大日本印刷株式会社 色素増感型太陽電池
JP2013143334A (ja) * 2012-01-12 2013-07-22 Sony Corp 光電変換素子、光電変換素子モジュール、光電変換素子モジュールの製造方法、電子機器および建築物
JP2015020207A (ja) * 2013-07-23 2015-02-02 パナソニックIpマネジメント株式会社 アーク溶接装置、電気機器、モータユニットおよび電気機器のモータ交換方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018037654A (ja) * 2016-08-30 2018-03-08 株式会社フジクラ 光電変換素子
JP6194084B1 (ja) * 2016-08-31 2017-09-06 株式会社フジクラ 光電変換装置
WO2018043583A1 (ja) * 2016-08-31 2018-03-08 株式会社フジクラ 光電変換装置
CN109314400A (zh) * 2016-08-31 2019-02-05 株式会社藤仓 光电转换装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5897742B1 (ja) 2016-03-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5451920B1 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP2016072418A (ja) 色素増感型光電変換素子
JP6122156B2 (ja) 光電変換素子
JP6285673B2 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP5897742B1 (ja) 光電変換素子
JP5897741B1 (ja) 光電変換素子
JP5377786B1 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP5410628B1 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP5444488B1 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP5412593B1 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP5839748B1 (ja) 色素増感光電変換素子
JP6401826B1 (ja) 光電変換素子
WO2016125846A1 (ja) 光電変換素子
JP5382827B1 (ja) 色素増感太陽電池モジュール
JP5380619B1 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP5882507B1 (ja) 光電変換素子
WO2014162640A1 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP6539081B2 (ja) 光電変換素子
JP6576784B2 (ja) 光電変換素子用電解質、及び、これを用いた光電変換素子
JP5377787B1 (ja) 色素増感太陽電池素子
JP5456119B2 (ja) 色素増感太陽電池モジュール
JP2018006489A (ja) 光電変換素子

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160302

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5897742

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250